――鉄人兵団の牙城といえるスイス基地へ侵入した一同は銃撃戦を繰り広げていた。
「ここはぼくに任せてください」
のび太が愛銃を撃つ。小学生とは思えぬ銃さばきで6発装填のリボルバーを扱う様はウィッチの面々を感嘆とさせる。弾を素早く交換する。しかも弾を交換する際の動作はプロのレベルに達しているのが分かる。
「ノビタ、それどこで覚えたの?普通の小学生じゃとてもそんな事出来ないよ」
「ぼくは実戦経験豊富ですから。この戦いが終わったら話しますよ」
ハルトマンにそういうのび太。銃を持てば並の兵士を凌ぐ腕前を持つ。非常時においてその真価を発揮するタイプの人間なのだ。普段は0点の天才というべき間抜けなところがあるとドラえもんに補足されると顔を真っ赤にする。のび太自身でも恥ずかしいと思っているのだろう。
「ハハ、面白いなお前たちは」
シャーリーも続く。ウィッチという存在そのものが無く、11歳未満の子供が戦争に駆り出される事が一部の例外以外は殆ど無いこの世界(V2ガンダムのウッソ・エヴィンでも初陣は13歳である。プルらは例外)、しかも平和な時代に生きたはずののび太が曲がりなりにもプロの軍人である自分たち以上に場馴れしている事が不思議なようだ。
「こっちだ!俺に続け!」
ストロンガーがエレクトロファイヤーで次のブロックへの道を塞ぐ暗証番号ロック式のドアを強引にぶち壊し、先行して駆け抜ける。ストロンガーはサイボーグである都合上、銃弾を物ともしない。そのためにウィッチやのび太とドラえもん、美琴をかばいながら戦闘を行なっていた。その様子はシャールも司令室のモニターで確認していた。
「来るかストロンガー……我が生涯最期の相手に相応しい相手だ」
彼は戦闘で死ぬことを望んでいた。兵団の司令官級の多くが軍人として名誉ある死を望む背景には政権の転覆を予見しており、次代の政権によって高級軍人が戦犯の対象とされるはずので、それならば戦死して名誉ある死をする事で後世への名誉と遺族へ恩賞金を残した方がいいと考えているのだろう。彼のボディは戦闘用ロボとして考えるならかなりの強さを持つ。が、歴戦の勇士であるストロンガーに勝てる保証はない。
――彼はこの時点で相打ちを狙っていた。それは軍人として生き、その名誉を守るための意地であった。
「閣下、ストロンガー一味がCブロックへ侵入いたしました」
「うむ。各員はストロンガー一味を阻止せよ。私も直接前線で指揮を取る」
シャールは死に装束に身を包む。軍の礼装を着込んだその姿は悲壮感に溢れていた。基地の誰もが玉砕覚悟の防戦に打って出る様は正に自国の敗北を自覚した軍隊そのものであった……。
――次のブロックへ侵入した一同は戦慄した。基地のすべての人員が玉砕覚悟で突撃してくるのはさすがのドラえもん達も背筋に悪寒が走った。自らの生死を顧みない突撃。倒れても倒れてもどんどん出てくる上に、鬼気迫る攻撃。
「ドラえもん、空気砲を!」
「あいよ!」
銃弾が尽きたのび太は空気砲を受け取る。他の一同も弾丸が尽きたらしく、ドラえもんから武器を受け取る。種類はショックガンと空気砲だ。
「護身用って……もっといい武器無いのかよ?」
「あるにはあるんですが、室内で使うには威力過剰なんですよ」
そう。ジャンボガンや熱線銃を筆頭とするドラえもんの秘密兵器はMS用の火器に匹敵、あるいは凌駕する火力を誇るが、室内戦には不向きである。なので必然といつもの武器セレクトに落ち着くとはのび太談。
「コイツは束ねて撃てば中々の火力です。いいですか?行きますよ〜!」
空気砲は撃つ時にいちいちドッカーンと言わないと発射されないという欠点がある。なので羞耻心を拭い切れないハルトマンなどはショックガンを選んだが、シャーリーとルッキーニ、西沢はノリノリで空気砲をセレクト。腕にはめて撃ちまくる。おまけで美琴も電気の放電で援護する。
「よし、そのまま強行突破するぞ!」
ストロンガーの指揮で一同は兵団の突撃に何とか持ちこたえる。スタミナが無尽蔵にある自分はともかくも問題がある。美琴のことだ。美琴は年の割には体力があるとは言え、14歳の女子中学生にすぎない。立て続けに強力な放電をし続けていればスタミナ切れに陥って戦闘不能となる。
「こいつらいったいどんだけいんのよ……キリがない…!」
雷撃の槍を連続で投げて兵団を吹き飛ばす美琴だが、数が多すぎて減るどころか、逆に増える。しかも全てが戦闘用で、反撃が一層熾烈になる。反応が遅れ、避けられない美琴をドラえもんがひらりマントで庇う。
(数が多すぎる。オレはともかくもビリビリ娘が持たん。こうなれば先輩たちに…)
息を切らし始めた美琴を見かねたストロンガーは機転を利かし、脳波通信で他のライダーへ通報する。それを受けたのは……。
――こちらはドラグナー&黒江達。D兵器の威力は衰えておらず、残党軍のMSをレーザーソードで切り裂いていく。
「どけどけ〜!当たるといてぇぞ!」
ケーン・ワカバはD兵器の扱いを熟知していいる事と数度の戦争の経験が相なって、すっかり連邦軍最強のメタルアーマー乗りとして成長していた。そのためか余裕の表情であった。
「おっと、その手には乗らねーぜ!」
アッシマーの攻撃をバレル・ロールで華麗に回避する。別の敵機のビームサーベルを咄嗟にレーザーソードで受けきり、もう片方を取り出した。それで叩き斬りぬける。空戦での機動性はメタルアーマーのほうが上らしく、バイアランのメガ粒子砲を尽く避け、すぐに敵の上位を占位する。飛行速度こそ時速1225km(音速)程度と、純粋な飛行機械として見るなら空力特性の都合で可変、非可変戦闘機より遥かに劣速であるが、推力そのものは推力で強引に飛翔させる世代の空戦型MSより上の次元に位置する。メタルアーマーがモビルスーツより優位に立てる点はここであった。
「本領発揮といきますか!当たるといてぇぞ!」
ケーンはスロットルを押しこみ、操縦桿を引いて愛機を急降下させる。そのまま勢いよく残党軍のMSをレーザーソードですれ違い様に斬りすてる。空戦ではD-1カスタムが有利だ。D-2カスタムの援護射撃も相なって敵の数は減っていく。10分後には当初の半分以下に減っていた。
「これがメタルアーマーか……でもあんま見たこと無いな……なんでだろう?」
「メタルアーマーは空戦用のパーツを一緒に作る必要あるんでコストがMSよりかかるんですよ。その関係で財務関係に受けが良くなくて配備数はMSより少ないんですよ」
「へぇ……」
「新機種の開発もMSとかに比べて遅いんで、ドラグーンがまだ現役なんですよ」
D-1カスタムの空戦を見つめる黒江の疑問にD-3のライトが答える。メタルアーマーは総じてモビルスーツとの共通点が多い。空戦能力が得られる利点があるが、宇宙空間での能力にあまり差が無い、製造コストが割高であるのを理由に新規開発、生産共に可変戦闘機とMSに比べて遅く、D兵器やドラグーンなどの世代の機体が未だ現役の座を保っている理由を大まかに説明する。
「金ねぇ……いや〜に現実的だなぁ」
「今の連邦は戦続きで財政危機の状態ですからねぇ。人も金も本国は不足しがちですから高い兵器は財務省に受け良くないんですよ」
そう。今の地球は財政を移民星や船団から得られる貿易収入に頼る状態で経済を持ちこたえさせている状態だ。そのためあまりにも高価な兵器は財務省の反対で没になる場合が多い。ヱルトリウム級三番艦が建造途中で中止されたのがその実例だ。
「経済かぁ。そっちの方は疎いんだよな」
「あたしもあんたもそっち方面の勉強はあまりしてないもんねぇ」
「だな」
「まぁ、扶桑じゃ主計科は軽んじられてますからね」
智子も黒江のこの言葉に同意する。二人共、育成期間中に受けた教育は軍略関連のものと部隊運営に必要な経理に必要な最低限の計算のみ。主計科のように本格的には受けていない。未来世界では兵站が重視されているためにその方面への理解がなければ指揮官は勤まらない。そのため未来世界に来て二人が実感したのは扶桑陸海軍の兵站の理解への遅れ(大日本帝国陸海軍よりはだいぶマシだが)だ。
「そう言えば奴ら残党軍はどーやって組織を維持してるんだ?正規ルートじゃ補給入んねーはずだし」
「連邦軍の物資を分捕ったり非正規で軍需産業から軍需物資の援助得たり……色々ですよ。だからこーやって攻撃かけられるんですよ」
ライトは説明しつつもD-3のお得意のハッキングで敵機が撃った誘導ミサイルを乗っ取り、撃った敵に返す。D-3のハッキング能力は戦役のたびにアップデートが重ねられており、現在では量子コンピュータにも通じるほどの能力がある。その気になればモビルスーツのOS程度なら軽く乗っ取れるとの事。
「しっかしお前のこの機体、変わった頭してんな」
「D-3は電子戦や早期警戒管制機ですからね。この方が合理的なんですよ」
黒江はD-3の頭部が早期警戒管制機のレーダーレドームと同じような形状をしているのを物珍しそうに見る。何せ元の世界では早期警戒管制機という概念そのものが無い(黒江と智子がいた1944年は他の世界の同年代に比べて通常軍事研究が一歩遅れていて、早期警戒をナイトウィッチと初歩的なレーダー網に頼る状況であった)。二人は未来世界の熟成された軍事技術に触れる事で早期警戒管制の重要さを知ったわけだ。
「お二人さん、ブライト艦長から入電です。“仮面ライダーストロンガーがドラえもん達を率いて敵基地に突入した。穴拭、黒江の両名はドラえもん達の援護を兼ねて、政府の情報機関の有するスイスの飛行場で補給を受け、現地で部員と合流せよ”との事です」
「何?ずいぶん無茶な命令だな。まぁ陸軍のお偉いさんのようなもんじゃないからいいけど」
「ブライト艦長らしいわね。例の……えぇと……プリベンターだっけ?なんかものすごいところみたいだけど」
「ある意味、地球圏最強の工作員がいるところですからね。アテにしていいですよ。あの5機がどうにかしてくれるでしょう」
「ああ、例のアナザーガンダムか……信じられないよ。一騎当千を体現したMSなんて」
「本当、あそこまでヒロイックだと現実味が薄い感じ」
――アナザーガンダムはある意味ではガンダムタイプの兵器としての可能性を極限まで追求して生まれた機体である。技術的起源は、軍が持つガンダムタイプとは違い、V字アンテナとツインアイの頭部を持つ以外は普通のガンダムタイプとの共通点は少ない。5人の天才博士が自身の技術とガンダニュウム合金という高性能合金で作ったガンダムタイプはスーパーロボットに近い次元の攻防性能を持ちながら高い機動性も併せ持つバケモノ的な機体であった。一騎当千を体現するその威力はヒロイックそのもの。智子が現実味薄いと言ったのも頷ける。(ちなみにガンダムファイトという競技用のガンダムと並んで、世に存在する分類上のガンダムタイプの中では興味深い進化を遂げた存在である。)
「タップ、お二方を援護するぞ。いいな?」
「がってん!」
「すまん!」
「いいってことよ!お二人さんはスイスへ行きな」
二人はD-3とD-2カスタムの電子戦・火力による援護を受けながら空域を突破。一路、プリベンターの有する飛行場へ向かった。
――同時刻 旧イギリス マンチェスター
ここ、マンチェスターでは秘密会合が行われていた。大英帝国の運営、ひいては連邦の運営にも一枚噛んでいる“大英帝国円卓会議”の面々の一部が揃っていた。
「この戦争はあと数ヶ月もすれば終わるだろう。だが、次の戦いの火種はあちらこちらにあるぞ」
「ジオンの奴らに元ティターンズ、ザンスカール、クロスボーン……それに百鬼帝国にミケーネ帝国……。指で数えただけでも多いぞ」
彼等は貴族や軍人、政治家などの英国内で地位の高い面々。円卓会議の名の通り、フルでは12人いる。今回集まったのは数人。軍人と貴族である。
「女王陛下は米国の独走を憂慮なされておられる。来奴らは統合戦争の失敗で政府内の立場が長年に渡り小さいのを苛立たしく思っている。最近は日本の案にいちゃもんつけるようになった」
「奴らにしてみれば昔は全土を占領した日本が自分たちの上に君臨しているのが気に入らんのだろう。かつての超大国故のプライドという奴だろう」
「“輝かしい米国時代の栄光よ、もう一度”か。わからんわけではないな」
「ヤマトを超えるはずのアンドロメダもあの有様だったからな。米国が焦るのも理解できる」
彼の言う通り、ガミラス戦後の艦隊再建計画で生まれたアンドロメダはいくつもの案から旧米国の提出した設計案が採用されて建造された。しかし設計陣が目論んだ拡散波動砲による艦隊殲滅は叶わず、当初に指摘された自動制御の盲点が露呈する形での玉砕を遂げた。これはアンドロメダのカタログスペックを信じていた設計陣を落胆させた。そのためアンドロメダ級の高度な自動制御は次世代艦には採用されなかった。アンドロメダをヤマトに代わる地球のシンボルとする予定だった米国に取って、ヤマトの活躍は苦々しいものに違いない。
「あれは悲劇の艦だったよ。期待されながらも真価をそれほど発揮せぬままに宇宙に消えた。日本にいる俺の古い友人は皮肉っていたよ」
「悲運の新鋭戦艦と、“戦乙女に愛された大昔の超弩級戦艦の転生”か……。かつての運命がここまで逆転したのも珍しいな」
彼が言うのは運命の皮肉だ。米国のかつての最終型戦艦が船として円満な人生を送り、期待されて生み出された大和型三姉妹が全て悲運の最期を遂げた運命が遠い未来で逆転し、ヤマトが旧型ながらもシンボルとして崇められ、戦乙女に愛される生き様を飾っているのとは対照的に新世代フラッグシップ艦であるはずのアンドロメダが就役から一年未満で戦没した事実をそう例える。両艦の精巧な模型を手に取りながら。米国の衰退と連邦時代における日本の再興を彼等は楽しんでいる節があった。それは大国としての歴史が米国と日本よりも長い、栄光のユニオンジャックを頂く大英帝国故の余裕かもしれなかった。
「だな。米国の事は任せろ。米国人の性質は分かりやすいからな」
「戦後処理のリーダーシップは我が帝国が引き受けた。日本やロシア、ドイツの了解は取ってある。あとはフランス野郎とイタリアだ」
連邦政府設立後も旧大国の間での政治的駆け引きは非公式ながらも存在し続けた。統合戦争の旨味を得た国々が連邦を動かしていた。その覇権の座は現在、旧日本国と旧大英帝国の手にあった。が、英国は英国で苦労していた。
「この戦争での我が国の混乱を収めた女王陛下のご裁可に感謝するべきだろうな。あの事件はセンセーショナルだったからな」
「君臨すれども統治せずの原則を破ったが、内閣や議会が機能不全に陥ったのだからな……仕方ない」
彼等はこの国が開戦のドサクサの際にスペースノイド過激派の同時多発テロで内閣や行政府議会が機能不全に陥る前代未聞の事態に陥った際に現女王が混乱を収めた事件があったのをふと思い出す。近代以降に確立された君臨すれども統治せずの原則を無視してでも女王が動かなくては混乱が収まらなかったテロは忌々しいが、これで過激派を大手を振って狩る名目は立ち、今では鳴りを潜めた。もっともティターンズのような強行的なやり方ではなく、真っ当な形のやり方であるので民衆の反対は無い。
「女王陛下へは俺から決定を伝えておこう。“国内”と連邦議会への根回しは任せる」
こうして、ミニ円卓会議とも言うべき秘密会合は幕を閉じた。この頃から戦後を見据えた旧大国の駆け引きが活発となる。連邦内の復権を目論むアメリカ。統合戦争の成功で大英帝国の威光を取り戻し、欧州の雄として意気揚々と振る舞う英国。同じく、アジア代表としての自信を取り戻した日本。この三大国を基軸にして23世紀の地球連邦は動いていくことになる。22世紀最後の年の戦争の結果によって……。
――アナハイム・エレクトロニクス社は月面でデスティニーやレジェンドを解体調査していた。コズミック・イラ世界の発想のレベルが自分達と同等レベルに短期間で追いついた事に感嘆としつつも、ルナツーが転移した時間軸から数年を経ても装甲を相転移装甲に頼るという事項は変わっていないことに落胆もしていた。
「発想はいい。だが、この相転移装甲はどうにかならなかったのか?重すぎるぞ。これでよく空飛べるな」
「向こうはこの装甲の実用化で良しとし、MS用装甲材の研究をしていないのだろう。それも良し悪しだがな」
解体途中の両機は片腕を外され、装甲も一部取っ払られている痛々しい姿である。PS装甲は非通電時においてはメタリックグレーの発色を見せるため、二機ともその状態だ。アナハイム・エレクトロニクスのメタニックやエンジニア達は解体調査し、その成果を元にしたMSを作りたいのだ。そのためにデスティニーとレジェンドの携行武装は全て解析に回されていた。
「デスティニーの方だが、大型ビームソードとビーム砲を積んで対艦能力を充実させる狙いのようだが、上手く活用されなかったようだ」
「なぜだ?」
「戦闘データを解析すると、パイロットはMS戦でぶんぶん振り回して、ビームサーベル持ってる敵に折られたりを何回かやらかしてる。パイロットが機体をよく理解していない証拠だ」
エンジニアは解析したデータから読み取ったシンの戦いぶりを酷評する。これはデスティニーを対MS用ではなく、対艦用と解釈してのものだったが、あながち間違いではなかった。そもそも元の世界でのカウンターパートに当たる、ビームサーベルを複数持つインフィニットジャスティスにはデスティニーは相性が良くなく、初めて対峙した戦いにおいては腕を対艦刀ものとも叩き切られている。(もっとも、シンが本来辿るはずであった運命においては敵に完膚なきまでに叩きのめされ、ザフト敗北の象徴になってしまうというなんとも哀れな最期を迎えるはずであった)。そのためリファインする暁にはビームサーベルに置き換えるつもりらしい。
「コイツをうちらの技術でリファインする案を既に上に提出した。レジェンドはちょっと使えなさそうなので研究用に回すが、デスティニーはリファインすればいい機体に生まれ変わる」
それはデスティニーの潜在的ポテンシャルをアナハイム・エレクトロニクスが高く評価している表れであった。規格の問題などでそのままでは使用不可であるので改修案も出たが、膨大な費用がかかるので、むしろ新規建造のほうが安くなるという計算が出されたので、連邦軍の承認を得ての試作機(伝統のRXナンバーを冠する)建造に切り替えた。歴代ガンダムタイプのノウハウを以ってしてデスティニーをリファインする。それがアナハイム・エレクトロニクス社の道楽とも言える建造計画として動き始めていた。
――デスティニーを基にして作られたこのガンダムタイプは約5ヶ月後に完成した。性能特性はデスティニーを歴代ガンダムタイプ寄りにした汎用型としての特性を有し、数年間試験運用された後、紆余曲折を経てオリジナルの元専任パイロットであったシン・アスカの手に渡ったという記録が後の世の連邦軍公式記録に残されている。彼が再構成されて生まれ変わった愛機で如何なる戦いを繰り広げたかは別の物語によって語られるべきであろう……。
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