――メカトピア戦争は奇しくもシャールの死とともに政変により和平が成った。だが、鉄人兵団が強奪したフォールド爆弾の起爆阻止がドラえもんたちの命題となった。

――兵団基地 最深部

「とう!!」

ライダー達が先行し、敵を倒す。だが、既にフォールド爆弾は起爆スイッチが押されていた。カウントダウンは二分。こうなればロボライダーでも解除不能である。だが、手はあった。親友テレカである。


「みんな、こうなったら親友テレカで爆弾のエネルギーを吸収するしかない!」

「もうそれしか手はないぜ、みんな、準備はいいな!?」

「おう!」

「OKであ〜る!

「ガオ!(OKだ!)」

「はい!」

「うん!」

『親友テレカ〜〜!!』

ドラえもんズが一斉に親友テレカをかざす。すると、親友テレカから黄金の光が発しられ、その光がフォールド爆弾の内包するエネルギーを全て吸収してみせ、フォールド爆弾を無力化する。

「わ〜!やったねドラえもん!」

「うん。最後にとっといて正解だったよ。コイツは奇跡の道具だからね」

ドラえもんズが持つ最大最強のひみつ道具『親友テレカ』。いつ、誰がどのようにして作ったのか?それはドラえもんズも知らない。試練の果てに手に入れ、単なる道具の範疇を超えた強大なパワーを持つ事は判明している。だが、ドラえもんズの頃には『伝説のひみつ道具』として知られていた事から、21世紀中盤から後半頃に何者かが当時の技術水準を超越した技術によって作り上げたと言われている。その元の技術がなんなのかは永遠の謎だ。これぞ正に『ロストロギア』である。

「ドラえもん君、それが噂の?」

「親友テレカ。僕達の最大最強のひみつ道具にして、最後の切り札さ。取っておいて良かったよ」

(ドラえもんならテレカを悪用しないだろうし、私の出る幕じゃないな)

なのはとフェイトは親友テレカに驚嘆した。同時にフェイトはここで時空管理局執務官としてのセオリーを初めて無視した。立場上、親友テレカをロストロギアとして『譲渡させる』事も出来るが、それをするつもりはさらさらない。たとえ管理局にとってロストロギアであろうと、個別の世界にとっては至宝である。それを無視すれば、その世界から反感を買い、自らの首を絞める。ある世界で強引にロストロギアを取り上げた結果、その世界に破滅が訪れた例も聞く。彼女は親友テレカの事はなのはから聞いていたため、ドラえもんズならば親友テレカを悪用しないだろうと結論づけた。(時空管理局執務官が難関なのは、その結論を迫られる故でもある。ただ、全てがフェイトやクロノのように有能で、節度ある行動ができるわけではないのは言うまでもない。地球連邦軍もしかりだ)

「これでフォールド爆弾は無力化したが、まだ戦い自体が終わったわけではない。外ではまだまだ戦いは続いている。俺達はそれを収めるぞ!」

「おう!」

一同は意気軒昂、外に出て戦いを継続する。外に出てみると、一体のガンダムがザンダクロスを切り伏せているところだった。そのガンダムはガンダムデスサイズヘル。別所の破壊を終え、合流しにきたらしいが、後の祭りであったのが伺える。


『よう、ヒーローの皆さん。こちらはプリベンターのデュオ・マックスウェル。こっちのほうは終わったから合流したんだが、その必要はなさそうだな』

「デュオ君、状況はどうなっているんだ?」

『プリベンター本部から連絡があって、奴さんの本星でレジスタンスが政権を奪取した。即日で臨時政府が樹立される見通しだそうだ。だが、鉄人兵団は抵抗を続けてる。新政府の停戦指令には通達が間に合わない。いや、言ってもたぶん従わないだろう。プリベンター本部を通して残党狩りの要請が下されている。俺と相棒はその仕事中だよ』

デュオはそう言いつつ、襲いかかってきた敵機をビームシザースで斬り裂く。他のアナザーガンダムたちも各個に行動を起こしているとの事で、上空ではウイングガンダムゼロがツインバスターライフルで殲滅しているのが目に留まる。その護衛を黒江たちがしているようだ。

「よし、スカイライダーはセイリングジャンプで援護しろ。他の者はロボか母艦を呼ぶんだ!」

「よっしゃあ!気伝招来!」

「隠流・超忍獣の術!!」

「ジャガーバルカン、発進!!」

「シャトルベース、発進!!」

「ターボマシン、発進!!」

「マシンバッファロー!!」

と、手っ取り早く呼び出せるロボ、あるいは母艦が召喚される。ジャッカー電撃隊に関しては駐機されているスカイエースを離陸させた。そして同時にメカが合体していき、言わば夢の共演が実現した。

『合体・グランドクロス!』

『合体・アースコンバーション!!』

『合体シフト、ターボロボ!!』

『合体・ライブディメンション!!』

『五神合体、隠大将軍、推参!!』

『五星合体!大連王!!』

二体ほど無機物生命体が混じってるが、ほとんどスーパーロボットである彼らも参陣し、鉄人兵団と死闘を展開した。意外に彼らのメカは俊敏な動きでザンダクロスに対抗した。それぞれの時代で無敵と謳われたモノ達の饗宴は確かに見る者の心を熱くさせた。それぞれの必殺武器が炸裂する様は高揚感を伴う光景であった。

『太陽剣!!オーロラプラズマ返し!!』

サンバルカンロボが太陽剣をかざし、必殺技を決める。この十文字に斬り裂く技はほぼ無敵を誇った。太陽エネルギーがオーロラとプラズマを伴い、一気に敵を一刀両断する。綺麗サッパリに斬り裂く様は爽快感すら感じられた。

『電撃剣!!』

チェンジロボが必殺武器を盾から取り出し、構える。するとその名のとおりに雷鳴が轟き、切っ先にエネルギーが収束していく。そしてそれがマキシマムレベルに達した瞬間、操縦担当のチェンジドラゴンはレバーでコマンド入力をしながら叫ぶ。

『スーパーサンダーボルト!!』

袈裟懸けに雷鳴を纏った剣で一刀両断する。チェンジマンはこれで大星団ゴズマに連戦連勝してきたのである。絶対無敵の技であった。

『超獣剣!!』

ライブロボは時代の進歩か、空中に黄金のエネルギーを迸らせ、剣を実体化させる。その黄金のエネルギーを剣に宿し、×文字に斬り裂く。最初の必殺技『スーパーライブクラッシュ』が通じなかった事から強化改造された産物であり、一号ロボであるライブロボの到達点がこれ。

『ストロングクラッシュダウン!』

X文字に切り裂かれたザンダクロス型工作兵は断末魔もなく果てる。その隙を突こうとした一体はターボロボによって倒される。

『高速剣・ターボクラッシュ!!』

見事な連携プレイである。巨大戦力は過去においてはスーパー戦隊が代々担当してきた。ある意味では、この分野の先駆者である。カクレンジャーとダイレンジャーも、連携プレイで倒している。隠大将軍の鉄拳ゴッドフィニッシュを耐えぬいた敵を大連王の『大王剣・疾風怒濤』で倒すというものだ。あとはそのまま剣戟を展開するロボが大半であり、辺りに屍を増やしていく。その様子はベルギーの鉄人兵団総司令部でも確認されていた。


――ベルギー 

「閣下!恐れていた事が起こりました……」

「読め」

「ハッ。鉄人兵団地球派遣軍は本日を以って臨時政府の管理下に入り、停戦協定に従って武装解除を行うべし……です」

「無視せよ」

「ハ……?」

「無視せよと言ったのだ。どうせ本国に帰れば我々は戦犯扱いで裁かれる。それも一方的にな。ならば戦って死んだほうがマシだ。今死ねば家族に塁は及ばんからな」

「それでは鹵獲し、改造強化したあれを……!」

「ウム。直ちに全力投入せよ。一号艦は私自らが指揮しよう」

もはや帰るべき祖国を失った彼らは最終兵器を投入し、それと共に果てるべく赴く。格納庫で調整を受けている機体は旧ジオン軍残党を彼らが開戦劈頭にオーストラリア方面で撃滅した際に鹵獲したモビルアーマー『ライノサラス』をベースにメカトピアの技術で強化改造を施した『陸上戦艦』であった。ベース機は廃品利用であったが、新造パーツの割合が多くなったので、艦橋部などは原型の物では無くなっている。ライノサラスであったのを窺えるのは全体のシルエットだけであった。

『出撃だ!』

原型機のライノサラスはあくまで現地改良の応急建造に過ぎず、軍から制式番号を頂いたわけでないモビルアーマーであった。欠陥もそれなりに多かったからで、重武装・重装甲とトレードオフに機動性は低かった。一年戦争のオセアニア戦線に投入された個体はMSの小回りの良さに対応しきれずに撃破されている。だが、ジオン軍は良くも悪くも旧ナチス・ドイツ陸軍的発想が多分にあり、ライノサラスもその発想の産物だ。鉄人兵団もそこのところは理解していたらしく、大まかな形状には手を入れていない。ただし原型機と違う点は大口径砲がレールカノンへ換装されていたこと、ジェネレーターが地球製の核融合炉から、彼らにとっての最新最高のエンジンであった『次元振動流体重力エンジン』へ換装されていた事、防御フィールドを張れるように改造されていたことだった。(この次元振動流体重力エンジンは当時の地球製最高のエンジンであった波動エンジンをも上回る出力とトルクをひねり出せる代物。ただしエネルギー鉱石が必要であるため、無限機関ではない)玉砕前提の決死行な故、武装をてんこ盛りにし、機動性は犠牲にしても重装甲を実現させたそれは彼らの最後の切り札であった。




――ラー・カイラム 戦闘艦橋

「ベルギーに侵攻中の陸軍師団から緊急電!」

「何!?内容は!」

「敵陸上戦艦により、第三、第五機甲師団が壊滅したようです!なお、敵戦艦は一年戦争の時のジオンのモビルアーマーに酷似との事!」

「その陸上戦艦の写真は?」

「今、送られてきました。データ解析と機影を照合します」

戦闘ブリッジ要員はほぼ、エゥーゴ時代のネェル・アーガマからの引き継ぎであるラー・カイラムだが、情報処理能力を買われて初春飾利が出入りを許されていた。彼女の仕事はデータ解析と処理などで、今回もその仕事を行っていた。照合すると、旧ジオン軍のモビルアーマーであった『ライノサラス』とサイズ以外は一致した事を伝えた。

「判明しました。大まかな機影は旧ジオン軍のライノサラスと一致します!それと機体に旧ジオン軍のマークが消された跡がありました」

「ライノサラスだと!?たしかアレはあの戦争の最末期にオセアニア戦線で、ホワイトディンゴ隊が撃破したと聞いているが……」

「試作兵器は一機だけとは限りません。パーツ状態のが戦後も残されていたり、完成した別個体がいて、鉄人兵団が鹵獲して強化を施したと充分に考えられます」

「全機に打電!向かってくる敵陸上戦艦を撃破せよ!!」

この指令は直ちにアナザーガンダムを含む全ての機体に打電された。だが、ライノサラスは予想外の強力さを発揮していた。撤退してきた陸軍のヌーベルジムVを蜂の巣にし、ビックトレー級をレールカノンで船体を真っ向からぶちぬいて破壊して蹴散らし、スイスへまっすぐ進行しているのが映像で確認された。しかも一体ではない。

「鉄人兵団は玉砕覚悟で進行してきている!全機はなんとしても阻止せよ!!」

ブライトの必死の指令でアナザーガンダムらが先手を撃って攻撃するが、敵は予想外の強固さを見せつける。ガンダムヘビーアームズ改が全弾薬を叩き込んだものの、バリアを破れずに撤退し、アルトロンガンダムがドラゴンハングの片方を無残に破壊され、更に下半身に集中砲火を浴び、左膝関節を稼働不能にされ、ガンダムサンドロック改に肩を担がれながら後退するなどの悲報が舞い込む。

「何!?彼らの装甲でも耐えられんのか!?」」

ブライトが思わず驚きを露わにするのも無理はない。ほぼスーパーロボットにも匹敵する重装甲を誇ったアナザーガンダム達を撤退に追い込むなど、並みの火力では考えられないからだ。


――ここでウイングゼロが動く。敵上空に滞空し、最大出力のツインバスターライフルを放つのだ。

「お、おい!お前、どうするつもりだ!?」

「お前たちはラー・カイラムの直掩に回れ。俺はツインバスターライフルで足止めを行う。三発が限度だが、奴らに火力の差を思い知らせる」

ヒイロはウイングゼロの強度限界を熟知していた。最大出力のツインバスターライフルの強烈な反動は大きく、大気圏内での戦闘に置いては三発が限度である。それを超えるとライフルの砲身が放熱出来ずに自壊する危険性もある。ウイングゼロが『天使のような悪魔』と恐れられているのは、その天使のような流麗な細身のフォルムと裏腹の圧倒的な火力と、ゼロシステムのおかげである。ウイングゼロが翼を『はためかせ』、ツインバスターライフルを手に持って飛行する姿に、黒江は『非常識にも程がある』と半分呆れる。天使の翼を持つなど、兵器とはとても思えないからだ。智子の方は目を輝やせながら『か、かっこいい……!!』と見とれていた。感性の違いだが、智子が黒江に比べると、精神的に少女期のそれを維持しているのが分かる。



――上空に滞空したウイングゼロがツインバスターライフルを最大出力で発射したのは、それから間もなくであった。空にオレンジ色の閃光が走り、ライノサラスの一体に命中する。流石にツインバスターライフルはバリアも防ぎきれなかったようで、後部の武装が熱で溶解し、装甲も焦げ跡がつく。だが、MS中最強武装であるツインバスターライフルを以ても、それが精一杯であった。だが、連邦側に一定の希望を生じさせた。

「ウイングゼロ、撤退します」

「ふん、次元振動流体重力エンジンのフィールドを破るには力不足だったな。三号艦の損傷度は?」

「後部の武装が喪失しましたが、航行には支障ないと」

「よし!!このままスイスに殴りこむ!ロンド・ベルの旗艦に一撃を入れ、我が軍の名を後世へ刻み込むのだ!!」

ホバークラフトの出力を最大にし、スイスに進撃する彼ら。目指すはラー・カイラム。それだけが今の敗軍となった彼らの心の拠り所であった。


――ダンクーガ、マジンカイザー、グレートマジンガーとデビルマジンガーの激闘はある一声で中断した。戦場に一人の乱入者が現れたからだ。

「遊びがすぎるぞ、地獄大元帥」

「闇の帝王様……!」

「闇の帝王だと!?」

剣鉄也が驚きの声を出した。その乱入者は甲冑を着込んだ騎士のようにも思えた。マジンカイザーよりやや大柄の30m程の体躯、頭部の意匠はどことなくマジンガーを思わせた。甲冑の隙間から除くボディは黒で、足は青と、ヒーローロボ然した風体を持つ事を暗示させた。武器は剣でなく、鎌であった。それも二つの鎌を連結させた形状で、力強さを感じさせた。

「久しいのう、兜甲児、剣鉄也、それと獣戦機隊の小僧ども」

「やいやい闇の帝王、その身体はどこで手に入れた!?オメーは実体をとっくの昔に放棄したはずだ!」

「フフ、今の私は言わば、精神だけの生命体だ。機械を操る事など容易いことよ。この身体は貴様らにヤヌス侯爵や7大将軍が倒された後に平行世界で手に入れたものだ。直にこの身体が元はどのようなスーパーロボットであったかを知るだろう」

「何っ!それじゃ今のテメーの身体は平行世界のスーパーロボットだってのか!?」

「そうだ。そしてそのスーパーロボットはこの世界にも存在し、しかももうじき地球に亡命しにやってくる。その時にお前達は儂の言葉の意味を知るだろう。フフ、また会おう」

「ま、待ちやがれ!」

闇の帝王はそう言い残し、デビルマジンガーを引き連れて戦場を去った。兜甲児はその言葉の意味をすぐに知ることになる。すぐに……。ブライトからの打電でライノサラスを撃破しに向かう中、甲児は心に何かが引っかかるような感覚を覚えてならなかった。







――ライノサラスの進撃は続き、真ゲッターロボとダンガイオーのダブルビームで三号艦が炎上したものの、最後に残ったレールカノンで隊列を組んでいたチェンジロボを狙い撃った。最大出力である。その発電量は15億ボルト。美琴よりも更に強大な出力で、大口径砲弾を電磁加速させて打ち出したものなので、威力は推して知るべしだろう。

『うわああああああ!』

ドラドクス合金という素材で出来たチェンジロボの持つシールドを真っ向から粉砕し、片腕をもぎ取りながらもんどり打ちながら、1030tもあるチェンジロボを派手にぶっ飛ばす。これまで目立った損傷を負わなかったチェンジロボを中破に追い込んだというのは、彼らの主敵であった大星団ゴズマでさえ成し得なかった大殊勲である。炎上しつつの砲撃だったので、三号艦は自爆した。命と引き換えにスーパーロボットに損害を負わせたのだ。

『大丈夫か、チェンジマン』

『マーメイドとフェニックスが気絶したが、俺達はなんとか気絶せずにすんだ。なんて威力だ……』

ライブロボに助け起こされるチェンジロボ。時代背景を考えれば、自分たちの装甲が破られるのは予想範囲内であったが、予想以上の損害に面食らったらしい。

『ここは俺達に任せてくれ!ラガーファイター、発進!!』

ターボレンジャーが二号ロボであるターボラガーを呼び寄せる。そしてすぐに超合体を敢行する。

『スーパーシフト・スーパーターボロボ!!』

ライブマンからのスーパーヒーローが持つようになったスーパー合体。その二番手にして、最高レベルの実力を誇るスーパーターボロボがその勇姿を見せた。

『完成!スーパーターボロボ!』


全長こそ51mだが、その出力は600万馬力以上を誇る。二機分のスーパーロボットの動力を一つに束ねたからこその業であった。装甲厚もターボロボがターボラガーを『着こむ』ようにしているので、実質上は倍以上となっている。それと引き換えに運動性能は低下しているが、火力は随一である。

『よし、俺達に続いてくれ!!スーパーミラージュビーム!!』

『ゲッタービィィィム!!』

『ダンガイビィィィム!!』

三つのビームが一つとなり、ライノサラス二番艦へ直撃し、バリアを突き破った。前部対空砲が余波で粉砕され、艦橋が消滅し、船体が膨れ上がり、爆発した。だが、このビームはそう連射できるわけではない。砲身冷却や炉心の安定(真ゲッターは高出力な反面、炉心に注意が必要である。)の都合上、数十分程度のインターバルを必要とする。スーパーターボロボが盾となり、時間を稼ぐが、敵艦はあと三艦以上は控えている。それを踏まえて、美琴が動き出す。

「初春さん、黒子は!?」

「ベットで寝言言いながら寝ぼけてますけど?」

「すぐにたたき起こして!あたしからの指示なら黒子は1分で来るわ!」

「はい!」

「どうするつもりだ、美琴!」

「決まってんでしょうが!私の超電磁砲でぶちぬいてやるのよ!」

「待て!お前の発電量は10億ボルトだ、あの戦艦のレールカノンの出力には5億足りんぞ!?」

「その位なら気合でどうにかすんの!」

「気合いでどうにかなる差か!?」

送られてきたデータを確認した故、億単位で発電量が違う相手に気合いで押し通せるのか?箒は制止しようとするが、こうなると美琴は止まらない。そこで助け舟をストロンガーが出した。

「待て、ビリビリ。俺のエネルギーも上乗せしてやる。それで出せ。フェイトとか言ったな?今すぐ俺に雷槌を食らわせろ」

「え!?感電しますよ!?」

「俺は改造電気人間だ。屁でもねーよ。事は一刻を争う。早くしろ!」

「は、はい!サンダーレイジ!」

ストロンガーにサンダーレイジが炸裂するが、彼はそのエネルギーを自己のモノにし、体内にある彼の最後の切り札を発動させる。彼が再改造で埋め込んだ、最強の電気エネルギー『超電子エネルギー』を発生させる超電子ダイナモを久方ぶりに完全起動させた。

『チャ――ジア――ップ!!』

ストロンガーの胸のS字マークが高速回転し、触角の色が銀になり、身体にも銀のラインが入る。これが彼が『7人ライダー最強』を欲しいままにする所以、電気を超えた電気を扱える形態『チャージアップ』なのだ。その発電量は電気を無効化可能なハズのデルザー軍団さえ瞬殺可能なほどの途方も無いもの。ただしダイナモそのものが試作段階の物を強引に埋め込んだので、姿を誤差ありで一分しか維持できないという難点を持つ。

「これで発電量はこっちが上回る。パワーバズーカ用の聖獣パワーが詰まった砲弾を黒子のテレポートで運んで、スカイライダーと箒で美琴と俺を有効射程まで運んで撃つ。よし、いくぞ!」

スカイライダーがストロンガーを、箒が赤椿で美琴を運ぶ。黒子は着替えてすぐに砲弾をテレポートさせる。そして美琴はここでようやくこの時代にやってきて初めての役目を果たす。

「この時代に来た目的がなんなのか。あたしはようやく『理解した』ッ!あの子達の願いを叶えるためにここにいる!!」

「その意気だ。お前にもあるんだろ?命の賭け時。今がその賭け時だ!」

「でぇぇりゃああああああああッ!!」

美琴がこの時代において、本気で放った初めての超電磁砲。ストロンガーの超電子エネルギーとチェンジマンの聖獣パワーが美琴の発電量に上乗せされた結果、完全にレールカノンの威力を上回った。ライノサラスの前面装甲を中央部から綺麗サッパリ『撃ちぬいて』動力部へ命中。大爆発を起こす。

「フッ…これで…あの子たちには…」

彼は今際の瞬間、故郷に残した孫と娘夫婦の姿を幻視し、この言葉を残した。家族に責任追及が行かないようにするには、自らの死しかない。彼の不幸は邪悪な将軍に仕えたという事実かもしれない。残ったのは二号艦だけだ。指揮艦の喪失にもめげずに、なお抗う。ここでダンクーガがタイミングよく到着、最後の締めを買って出る。

『最後の締めは俺達、獣戦機隊に任せな!』

『おう、頼んだぜ藤原!』

『断・空・剣!!』

ダンクーガが断空剣を取り出し、天空に捧げるように構える。その瞬間、機体の周囲にオーラが発生し、断空剣に集中していく。

『愛の心にて、悪しき空間を断つ!!名づけて断空光牙剣!!いくぜ兵団野郎!!』

断空光牙剣。本来であれば彼らの母艦『ガンドール』の補助前提の技であったが、ガンドールの炉心には欠陥があり、起動から183日経つと稼働不能に陥るという致命的欠点があった。それを解消するため、ダンクーガにはマイナーチェンジが施された他、藤原忍達の野生が高まったため、単独でも発動できるようになった。奇しくも、この時が初披露となった。

『うぉぉぉぉ!!やぁぁってやるぜ!!』

振り下ろされた断空光牙剣の波動は文字通りに『悪しき空間を断つ』。地面を深く抉り、後にはチリひとつ残さなかった。その姿に、なのはは目を輝かせ、箒も智子も、黒江も深く感動し、一様に『お〜〜〜!』と拍手喝采だった。ダンクーガの一撃がこの戦いを決したのである。

「いやあ、真ゲッターもそうだけど、こいつも噂通りにすげえな……」

「本当だよ。剣であれをシールドごと叩き斬るなんて、さすがだ」

「でも、技の名前を大仰に叫ぶのって扶桑人の共通事項なんだね」

「お前だって、あれ使う時、名前言ってんだろ?」

「そりゃそうか…」

この理屈に、ハルトマンは納得したようだった。スーパーロボット特有のこの慣行は彼女たちに影響を与える事になるが、それはまた別の話。箒はスーパーロボットの圧倒的な力に改めて感銘を受け、鍛錬に力を入れていく。

――この瞬間、メカトピア戦争の欧州戦線は終結した。いつしか夜が明け、朝日が登る時刻となっていた。同時にメカトピア臨時政府との停戦が成功した旨のラジオが流れる。一般人が現地に残していたラジオからの雑音混じりの音声であるが、ロンド・ベル隊の面々は終戦を実感した。

――西暦2200年 3月某日、メカトピア戦争は実質的に地球連邦軍の辛勝という形で幕を閉じたのであった……。






――それから、暫くして……。

戦勝を祝した宴会が終わり、別れがやってくる。のび太たちは当初の目的であった『歴史の調査と修正』の内、『修正』は放棄した。修正すれば、この世界はドラえもんの知る形へ戻るが、この世界を否定してしまう事になる。この歴史の良い側面を実感していたドラえもん達は苦渋の末に、この世界の復興支援をする事を選択した。これに伴い、一つの流れが確定した。『恐竜ハンターやドルマンスタインらのいた歴史はパラレルワールドとして確定した』という事だ。ドラえもんはスイス攻防戦からの数週間後まで復興に必要なあらゆる道具のサンプル提供や実演を買って出、地球圏の復興は飛躍的に進んでいく。

――スバルは元の世界と時代への帰還を決意し、ドラえもんに協力してもらう。この別れは必然とはいえ、なのはには辛かった。子供なのはをスバルは可愛がり、精神的に多大な影響を与えた。なのはの青年期における立ち振る舞いが変化したのは、半分は彼女の仕業であった。

「スバル、どうしても行くの?」

「ええ。やっぱり元の時代に戻らないとまずいんで……泣かないでくださいよ、なのはさん。普通に行けば4年後くらいに会えますから」

「でも、その時のスバルにこの記憶があるかどうか分かんないんだよ!?」

「ああ、それなら心配ない。ぼくのタイムマシンを使ってタイムトラベルした人物は改変前の記憶を維持出来る。従って、スバルさんが帰る先の時代でも今の記憶はあるよ。のび太くんの子孫のセワシ君を考えてごらん?」

「あ、ああ〜……ってどういう原理なのそれ〜〜!」

なのはは思わず突っ込む。ドラえもんはスバルをタイムマシンで元の時代に送り届けるべく、起動させる。

「また会えるよね、スバル……」

「ええ。約束します」

それはしばしの別れ。本来の運命に従うための……。だが、この世界に滞在した事を引き金に、彼女の運命は大きく様変わりしてくのである。


――南米 ギアナ高地

「任務解除と予備役編入、か……しかしどこにも行く宛ないし、どうしたものか……」

「あれ?箒ちゃんじゃないか」

「甲児か?お前、どうしてここに?」

「天文学の権威の宇門博士が新しい研究所開くって言うから、そこに入りたくて手続きしてるんだ。箒ちゃんは何してんの?」

「平時になったから、一応任務解除と予備役編入の通知来たから恩給を貰ってきた。問題は何処にも行く宛ない事だが……黒江さんから仕送りは貰えることになったから、食いはぐれる心配はないがな」

「だったら俺と一緒に宇宙科学研究所に来ないかい?衣食住は保証されるし、給料もいいよ。それにISだっけ……。元は宇宙開発用だろ?本来の目的に活用できないか研究できるぜ」

「姉さんが本当にその目的で作ったかどうかはもう有耶無耶だが、設計自体はその目的だったのかもしれん。出来が悪い妹の私がそれをするのも悪くない」

「だったら話は早い。コイツに乗って日本にひとっ飛びだ」

「……聞いていいか?何だこれは」

「何って、UFOだよ。TFO。あの後に俺が作ったUFOよ。光子力エンジンと超合金Z製だから頑丈だぜ。さ、乗った乗った」

「ほ、本当に大丈夫なんだよな!?」

ハンドメイドUFOという点にどこはかとない不安を覚える箒。そんな心配をよそに、甲児は意気揚々とTFOを起動させる。

「ちょっと図面と違っちゃったけど、動くから問題ないって」

「そ、そういう問題かぁ〜!!」


甲児は最高速をいきなり叩き出す。この二人、なんだかんだで、いいコンビになるのかもしれない……。





――日本

「で、戦争終わったわけなんだが、これからどうするんだヒガシ、穴拭」

「私は連邦軍との上の約束に則った任務があるから、当面の間はこっちにいるわ」

「あたしは暇だし、あんたに付き合うわ」

「501の連中とはメアド交換したし、508のアイツの連絡先も聞いといた。501の連中は任務もあるから元の世界に戻るが、私は元々、上がり迎えてたから、元の世界に行ってもテストパイロットに戻るだけだと思うから、当面の間はこっちにいることにすんわ。ロンド・ベルからも今度の同行を誘われてるし」

「で、そのままラー・カイラムに残るの?」

「そういう事になる」

「んじゃ腐れ縁だし、付き合うわよ黒江ちゃん」

「なんだかんだで事変以来の仲だし、あんたのキャラが変わったの武子が知ったら驚くわよ?」

「うるへー。お前らなぁ」

「はいはい♪」

彼女達はなんだかんだで『三羽烏』として連邦軍内での地位を得ていき、レビル将軍からも『ああ、扶桑の三羽烏かね』と覚えられるほどになり、以後、地球連邦軍とウィッチの仲を取り持つ役割で功績を残していく。この、穴拭智子、黒江綾香、加東圭子の三人は『陸軍(後に空軍)三羽烏』として、その後の地球連邦の戦乱に関わっていく……。




――新早乙女研究所

「何が見えるのだベンケイ君!!」

「見えます!新しい世界が!!」

ある時の実験の末に、ゲッター線のオーバーロードで暴走するゲッタードラゴン。その末にドラゴンは車弁慶を取り込んで深い眠りにつく。新たな戦いのために。そしてドラゴンは進化を遂げようとし、付近のゲッター線を全て収束させ、新早乙女研究所を壊滅に追い込む。その目的に気づく神隼人。

「隼人、俺はゲッターを降り、実家を継ぐ。ゲッター線が求めるのが何なのか、俺は薄ら寒い思いがする」

「そうか。俺はあくまでゲッター線の可能性を追求してゆく。それが早乙女博士やミチルさん、そして弁慶の供養だと考えている」

「最後にひとつ聞かせろ。ドラゴンは……何を始めるつもりだ?」

「進化だよ」

「進化だと……!?バカな、ドラゴンは無機物だぞ。それが生物みたいに……」

「スーパー戦隊にはそのようなモノが存在している。ドラゴンはゲッター線の作用で弁慶の意志を、いやこの研究所の全てを取り込み、次の次元への進化を行うつもりだ。さしずめ、『真ゲッターロボG』へな」

『真ゲッターロボG……』

――ゲッタードラゴンが目指すモノ。それは戦争で目撃した巨大なドラゴンとの因果を繋げる進化だった。方向性は違うが、目指すべき地点は同じ。暗躍する悪意へ対抗すべく、進化した覚醒を目指すゲッタードラゴン。それはゲッター線が生み出した因果なのかもしれない。




――同じく、日本

「俺は太陽の子!仮面ライダーBLACKRX!!人々の夢や希望を奪い、野望を達成しようとするバダンの企みは、このRXが粉砕するぞ!!」

仮面ライダー達、スーパーヒーローの戦いは終わらない。最大最強の悪の組織『バダン帝国』の暗躍を阻止せんと奮闘していく。クライシス帝国をたとえ倒そうとも、バダンがいる限りは平和は訪れない。彼らの戦いはクライシス帝国からバダン帝国との戦いへ主軸が移ろうとしていた。窮地に追い込まれたクライシス帝国はついに技術力を結集した最強の戦士(誇張なし)を創造せんと、皇帝直々の指令で作りあげていく。その名も……。



――タイムマシン

「結局、元の目的は達成できなかったわね」

「でも、あの世界にはあの世界なりの生き方があって、人々の暮らしがある。僕たちのエゴで否定すべきじゃないよ」

「でも、嬉しいだろしずかちゃん。まさかリルルがあんな形でも居て」

「ええ。民衆を導く自由の女神……ちょっと考えてたのと違うけど、あの時に『天使になるの』と、リルルは言ったわ。確かに天使になったわ」

「それも戦いを終わらせた天使だよ。こりゃ歴史に残るよ」


――転生したリルルは天使になった。それも双方に深い傷を残した戦乱の終結に、地球連邦政府のリリーナ・ドーリアン外務次官と共に尽力し、双方に福音をもたらした。『レジスタンス指導者』として生きた彼女は、しずかの願いを確かに叶えたのかもしれない……。







――だが、戦いの火種は残されている。再起を狙う新生ネオ・ジオン軍、異世界で世界大戦を狙うティターンズ残党、ミケーネ帝国。そして最大の戦力を温存している百鬼帝国。不穏な動きを見せる木星移民者。そして……


数年後 太陽系周辺監視衛星



「お、おい。ワープアウト反応多数!」

「何!?反応数は!」

「数千、いや、数万!

「その中央に極大な反応があるぞ!戦艦クラスでもない!」

「何だって!」


太陽系外縁部にワープアウトする宇宙艦隊。そこからミサイル兵器が発射され、自立飛行で地球に迫る。それは第11番惑星である智王星の宙域を通過し、第10番惑星である魔王星(地球人が恒星間航行技術を得た時期に存在が確認された、新・外部太陽系惑星郡の一つ。余りに遠くにあったので、エクセリヨンの自爆に伴って一時的に発生したブラックホールからも難を逃れた。ただし、現在の太陽系の惑星にしては遠すぎる軌道を持つため、現太陽の先代の超新星が健在時に保有していた惑星群の生き残りが現太陽の誕生時に捕獲されたと推定されている。)の宙域へ達しようとしていた。この爆弾こそが新たな戦乱の狼煙だとは、この時は誰も知る由もなかった…。



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