短編『次元震パニック』
(ドラえもん×多重クロス)
――次元震がゴルゴム創世王の仕業と判明し、駆けつけた三人の仮面ライダー。彼らは圧倒的な力で怪人軍団を蹂躙していく。
「ライダーの皆さん、加勢しますぜ!」
黒江Aは血が抑えられなくなったのか、黄金聖衣を纏って乱入し、右腕の聖剣で怪人を斬り裂く。ノリノリで手刀を放ち、怪人の首を跳ね飛ばすあたり、情け容赦無しである。その様子を観察する坂本Bと竹井Bは唖然とする。
「お、おい。今、手刀で……」
「首を跳ねたわね……」
坂本Bと竹井Bは、黒江Aの行為に唖然とした。黒江Aの纏う、アンティーク調の西洋甲冑は、華奢な装飾が多い見かけながら、驚異的な強度を見せる。溶解液、引っ掻き、噛みつきをもまったく避けつけない。
「勝利を約定せし聖剣!!エクスカリバー!!」
黒江のエクスカリバーのビジョンは先々代に当たる『山羊座の以蔵』同様に、日本刀のビジョンである。これは黒江が日本人である故で、紫龍の有する同名の聖剣に比べると、鋭さが上であり、単純な面単位の破壊力では上回る。多くの怪人が衝撃波で真っ二つに斬り裂かれ、爆発していく。これにはライダー達も感心する。
「エクスカリバー、ねぇ。確かあれはケルトかブリテンの伝説の聖剣だろ?なんでたってギリシアの聖域に伝わってるんだ?」
「長い年月の内に伝わったんじゃ?聖域って色々な地域の連中が集まるから」
「それが可能性大ですよ、先輩。エクスカリバーなんて聞くと、英国人大喜びですよ?アーサー王伝説、人気あるし」
「神様の与える剣に名がついてるって分かりゃ、そうなるだろ。最近は戦闘機でその名前の名機出したから、面白い事になるかもな」
――エクスカリバーは聖剣の中でもポピュラーで、23世紀にはVF-19のペットネームとして著名である。そのため、英国人は大喜びであったりする。
「実はこれだけじゃないんですよ まだ取っておきがあるから。だけど、使うと色々ヤバいから取っておきなんですけど」
「そう言えば、綾ちゃん。右腕しか使ってないね」
バイオライダーに相槌を打つ。
「左腕は『エア』なんですよ。諸説あるけど、バビロニア神話のエヌマ・エリシュに由来するとされる剣。次元も斬り裂けるんで、使うと訳がわからない事になるんで、神レベルでもない限りは使わない事にしてるんス」
「創世王の証と言われたサタンサーベルのようなものか。あれも創世王が振るえば『次元も斬り裂ける』と、かつて、シャドームーンが言っていたからな」
「うへぇ。流石は……」
「君のほうが大概だと思うよ、手刀だしね」
「そりゃ、この間のことだけど、穴拭に泣きつかれて、ゴキブリ退治で使いましたけど。家の壁の一部が次元ごと消えたけど……」
「やれやれ。さて、今度は……!」
なんともオーバーキルにすぎる使い方である。バイオライダーは呆れつつも、ロボライダーになる。
「俺は炎の王子!RX・ロボライダー!!」
ロボライダー。全身を金属質の装甲(強化皮膚が変質したもの)に包むロボット然とした風体だが、光速にも余裕で対応可能な速度も出せる能力を持つ。そして、バイオライダーと別ベクトルで恐ろしいのが……。
「ボルティックシューター!」
光線銃を召喚し、それを連射する。一発一発が必殺の威力を持つ光線銃を砲身冷却の概念無視のあり得ない速さで連射する。爆発エネルギーが発生させた劫火をも物ともせずに制圧前進するその姿は、正に炎の王子である。
「よし、ロボライダーに敵が怯んでる今だ!突撃する!!」
ストロンガー達はロボライダーの援護射撃を受けながらマシーンを呼び出し、モトクロス戦に移行する。時速300キロを有に超える速さで戦場を疾駆する様はかっこいいのだが……。
「あれ、やってることはひき逃げだよな……」
「正義の味方だから、オールOKってところじゃないかしら」
もっともらしいツッコミを坂本Bが双眼鏡越しに入れる。竹井Bも同様の思いだが、幼少期にヒーローに憧れたのは彼女の世界でも同じためか、坂本Bよりは理解を示す。戦いはボルテージを上げていく……。
――とある駐屯地
「何だって!?ここは別の世界!?」
中島錦が事情聴取を受けていた。彼女も「B」と呼ぶべき存在である。見せられた504の吸収直前の隊員名簿に『自分と天姫の名前』がない事を教えられ、困惑していた。
「そうだ、少尉。この世界では、君は504には派遣されていないのだ。従って、他の隊員と君は『面識はない』」
「嘘だろ……畜生、あのネウロイの巣のせいか?こんな『似てるけど違う世界』に流れ着くなんて」
錦は困惑する。504に自分らが配属されなかった場合の世界が目の前に広がっているのだ。めまいを覚える。
「それで、俺以外にもいるんですか?なんていうか、その、巻き込まれたのは」
「天姫少尉、竹井少佐、赤ズボン隊は確認されている。当人と出くわす可能性が高いので、別の場所で保護している。他の国のことは情報収集中だ」
――と、情報を伝えられる錦だが、他国でも異常気象での転移現象は起きており、一時帰国したハルトマンがその確認と救助に向かい、一人を保護した。それは……。
「こりゃ、ややこしいことになるなぁ」
「何を言っている?ハルトマン」
「あ、いや、こっちの話」(うへぇ。Wトゥルーデだよ。漫才コンビ作れるなこれ…)
バルクホルンBを保護したのだ。保護されたバルクホルンBは不時着の際に、機体を破損しており、ハルトマンAは陸路での迎えを手配していたのだが。
「陸戦型かぁ。このトゥルーデの前で見せたくないんだけど、やるかな」
刀を鞘から抜刀し、構えるハルトマンA。戸隠流の心得があるため、見得も決めた上で剣技を放つ。
『秘伝・真っ向両断ッ!』
怪異を十文字に叩き斬り、屠る。無論、この技能は『この世界のハルトマン』独自のものなので……。
「な、な、な、な、な……ハ、ハルトマン!お前……いつの間に扶桑の剣術を!?」
案の定、バルクホルンBは口から泡を吹きそうなくらいに狼狽え、困惑する。日本刀を振るい、事も無げに陸戦型ネウロイを屠るハルトマンという、おおよそ『天地がひっくり返った』ような光景が展開されたのだ。当然のことだった。しかも慣れた手つきで刀を鞘に納めるなど、あの自堕落なハルトマンとは縁遠い動きなのだ。
「あ〜、もう。説明めんどくさい〜!後でミーナかガランドにでも聞いてよね。あ、お〜い。ここだ、ここ〜」
そこに一台のワーゲンが現れ、停まる。乗っていたのは……」
「二人共、乗れ。迎えに来た」
「あれ、ルーデルじゃん。ミーナは?」
「基地で待っている。閣下もお待ちだ。……何をしている、大尉。ボサッと突っ立ってないで、車に乗れ」
「り、了解」
ルーデルが迎えに来たのだ。これにバルクホルンBは驚天動地だった。しかも迎えに来たのが、バルクホルンBに取っては大先輩である上に、縁遠い人物であるはずのルーデルなのだ。
「いやあ、ありがとうルーデル」
「何、偶には運転せんと腕が鈍るからな。ご苦労だった、『少佐』
「し、少佐!?」
バルクホルンBは、ハルトマンが少佐と呼ばれた事にこれまた驚く。二階級も上がっているからだ。ハルトマンの軍服の階級章もよく見てみると、少佐のそれに変わっている。
「な、な、なぜお前が少佐に!?いや、確かにスコアで言えばそれに値するのは分かるが……」
先程から驚きっぱなしのバルクホルンB。ハルトマンAは心外だと言わんばかりの顔を見せる。
「何さ、あたしが少佐になっちゃいけないってのさ」
「い、いや、そういうわけじゃ……」
バルクホルンBは何がなんだか分からず、困惑する。当然の反応である。しかしながら、流石は、と言うべき順応性を見せ、帰還後の説明を一発で理解した。
「やれやれ。ようやく腰を落ち着けられた。ミーナ。ハルトマンの面倒は私が見るぞ」
「いいの?この世界の貴方を任地から呼び戻そうかとしたのだけど」
「そちらの私に迷惑はかけられん。それに、ハルトマンの僚機は私でなければ務まらん。それはそれとして、お前は近くにいなかったから、召喚されなかったのか?」
「恐らく、巣に近い座標にいたウィッチが無差別に召喚されたんでしょう。そちらの私は巣から遠い位置にいたから、召喚を免れたんでしょうね」
「今頃、私の世界のお前とリーネ、ペリーヌはパニックになってるかもしれんな……。私だろ、ハルトマンだろ、ロマーニャに向かっていた宮藤達、エイラ、サーニャのいずれとも連絡が取れんのだから。」
「シャーリーさんとルッキーニさんは?」
「あいつらはアフリカ方面から向かったそうだから、こちらには詳しい情報は入ってきていないんだ」
「分かったわ」
「これで504と501関係者の多くが巻き込まれた事になるな。どこに転移するかわからんからな。手の打ちようがない」
ルーデルも困った表情だ。彼女らが向こう側から姿を消してから、どれくらいの時間が経ったかは見当もつかないが、あらゆる無線回線を開いて、消息をつかもうとするミーナ達の姿が目に浮かぶ。こちら側も、転移場所に法則性が見つけられずに困惑しているのは確かであるのだ。
「大佐、扶桑より緊急電です。現象の原因が分かったと」
「何!」
と、秘書官からの報告を受けたルーデルは急いで無線室に向かう……。
――南洋島
一時帰国したシャーリーは、南洋島で、完成した自身専用のISの実戦テストをしていたのだが……。
「おいおいおい、マジかよ……」
観測モードのスクリーンに映ったのは、『2年前の服装をした自分とルッキーニ』だったのだ。扶桑軍からの通達は届いているので、事情は分かるが、なんとも言えない気分になってしまうのだった。
「な、なんでリベリオン軍があたし達を攻撃するの!?」
「わかんねーよ!見たこともない戦車に、フリーガーハマーみたいなの担いでやがる!?しかもみんな、私達に銃口を向けてるぞ!?」
シャーリーとルッキーニBはなんと太平洋戦争の最前線に放り出され、対空砲火を向けられた。対シールド能力を持つM42ダスター自走高射機関砲の40mm機関砲の砲弾が炸裂時に魔力を炸裂させ、シールドを貫通。弾がルッキーニBの機体をかする。
「に、にゃ!?し、シールドを貫かれた!?」
そう。1945年前後ではどこでも、防弾板を取り外す改造が横行し、機動力を上げる工夫が施されているのが当たり前であった。そのため、40ミリ弾が直撃すれば、ストライカーはお釈迦だ。
「くたばれ!!」
海兵隊の空戦ウィッチの一人がハイドラ70ロケット弾改造の携帯式ロケットランチャーを撃つ。人から殺意をここまで明確に向けられたのは初めてであるルッキーニBは恐怖のあまり、動けずにいる。シャーリーBはルッキーニBを援護しようにも、別のウィッチが張り付き、振りきれない。
「馬鹿め!そんな旧式の51のD型で、最新鋭のF2Gを振りきれるか!」
「なんだってんだ!?なんで、リベリオン海兵隊が私達を狙うんだよ!?」
シャーリーBには、彼女らの殺意の意味が理解できない。地上の兵器らから対空砲火を向けられる理由も。頭上を取られ、銃口が向けられる。
「終わりだ、裏切り者のウサギ野郎」
と、罵声を浴びさせられながら。シャーリーBは本能的に死を予感し、思わず目を覆う。だが。
『うおおおおおりゃあああ!!』
と、そのウィッチは別の何かの回し蹴りを喰らい、盛大に吹き飛ぶ。その際に骨がへし折れるような音と共に。だが、ここでシャーリーはあることに気づく。
「今のって……あ、あたしの声……だよな?……へ!?」
――その何かを動かしていたのは、紛れも無く、自分自身だった。全身の至る所を甲冑のような装甲が包み込んでいるが、露出箇所も多めの『甲冑型の兵器』だった。
「やれやれ、まさか、『自分で自分を助ける』なんて、ドラえもんの奴の話だけかと思ってたぜ」
――シャーリー用のISは、右手にはアームドアーマーVNが取り付けられ、ビームマグナムを持ち、背部の翼は回収されたデスティニーガンダムから着想を得た、連邦軍製の『能動性空力弾性翼』となっていたりするなど、各世界のMSの特徴が表れている。リベリオン機には極めて珍しい、(X-1以外という意味)赤と橙色のカラーリングもあり、強烈な存在感を放っていた。
「いくぞっ!!」
シャーリーAは怒りに燃え、ビームマグナムを放つ。無論、これは海兵隊のウィッチ程度が防げる威力ではなく、敵ウィッチはシールドごとビームに焼かれ、爆散する。
「いったい何がどうなってるんだ!?海兵隊に追っかけられるわ、陸軍には対空砲火食らう、おまけに何だがよくわからない兵器を動かしてるあたし!?のわああああああ〜!誰か説明してくれよぉぉぉぉ!!」
戦場に虚しく響く、シャーリーBの混乱からの絶叫。それをよそに、ISを駆って大暴れのシャーリーA。ルッキーニBを救わんと大空を駆ける。それが二人のシャーリーの出会いだった。
――シャーリー専用ISは1945年の段階で草案に入っていたが、亡命リベリオン成立に伴う政治的混乱と、シャーリー自身の連邦軍への従軍もあり、完成と受領が予定より大きく遅延した。装甲部の小型化が最初から施された連邦軍制式の第二世代型のPタイプの一機として、コンセプトが練り直されたためでもある。その為、度重なる改装で性能が嵩上げされた黒江の機体を、スピード面などで上回る性能を持つ。そのため、パラメーター化された数値では、元となった赤椿を火力と最高速で数段超えるものの、明確な弱点がある。高速での旋回性能と引き換えに、低速での旋回性能が低いという特性となってしまったのだ。それを火力で補うというシャーリーの言から、武装はバスターランチャーに至るまでのフル装備。更にどこぞの世界の機動兵器から着想を得た『パイルバンカー』が備えられている。ラファールリヴァイブカスタムのようなシールドバンガーではなく、リボルバー方式の大口径かつ大型のものだ。左腕に備えられたそれは突貫力強化の一環で備えられた。
「うおおおおおっ!!」
シャーリーAはパイルバンカーを海兵隊ウィッチへ使用する。シールドを貼られようがゼロ距離ならば関係ない。
――『ズドォォン』という炸裂音と共に杭が打ち込まれる。これは対人戦では一撃必殺となった。杭が炸薬の爆発エネルギーで撃ちだされるので、人体程度はゼリーのように貫く。このバンガー攻撃を防げるボーダーラインは芳佳やなのは級の防御が必要で、そのレベルの魔導師で、杭を『反らせる』程度の防御が可能という恐るべき代物であった。
「なんだよ、あれ……馬鹿でかい杭打ち機じゃねーか。誰か、誰か説明してくれよぉぉぉぉ!!」
シャーリーBはひたすら説明を求め、絶叫する。精神状態が不安定になっているらしく、冷静さをすっかり欠いていた。これに頭を抱えるシャーリーAだった。
「悪いなー、今、ウチらは内戦で立て込んでるんだわ、後で説明すっからその辺で待機な?」
「なぁ!?」
シャーリーAは戦いながら、別の自分を落ち着かせ、恐怖で固まったルッキーニBを回収する。
「シャーリー、シャーリーぃ……」
「よしよし、もう怖くない、怖くないからな……」
シャーリーAは泣きじゃくるルッキーニBをなだめ、Bに渡す。
「わりぃ、ルッキーニを頼むわ!」
そして、シャーリーAは吠える。
「許さねえ……ルッキーニを傷つけ、泣かせた野郎共は……絶対に許さねえ!!」
気を昂らせるシャーリーA。圭子からある程度の気の扱いを習い、覚えたらしく、気のオーラが機体の周りに出現し、放電のような現象も起こす。目つきが完全に敵を殺る時の鋭いモノとなる。これはシャーリーAが完全に『キレた』証でもあった。そして、腕には剣が握られていた……。それは何を意味するのか……。シャーリーBは直観的に薄ら寒さを感じ、その場に立ち尽くした。
――このように、同一人物でも、遭遇した出来事などの違いで『まったく別の人物』となる事が実証された。シャーリーBは正気を失いかけていたが、ルッキーニの手前、発狂するわけにもいかず、その点は幸運だった。だが、僅かにだが、足は震えている。死への恐怖が今、彼女を襲っているのだ。同胞に殺される恐怖もだ。
(こ、怖いのか……?命のやり取りが……相手は人間、人間…!)
シャーリーBは『人を殺す覚悟』の重さに耐えられないようだった。Aは覚悟を決め、それ故に戦場に立つ。では自分は……。それを考えると、手が震える。恐怖だ。同胞と戦うという恐怖。それに耐えられなかった者はこの世界に多い。だが、シャーリーBにはルッキーニという守るべき者がいる。それを傷つける者は誰であろうと……。
「おりゃあ!!」
自分で自分を殴る事で、自らの弱い心を打ち負かしたシャーリーBの目に生気が戻る。そして、その真っ直ぐな目は空中で戦う『別の自分』を見つめる……。
――後に、シャーリーAはパイルバンカー攻撃で、本国側の海軍・空軍・海兵隊の空戦陸戦ウィッチを問わず、パイルバンカーで撃ち貫いたため、『ウィッチ殺しのイェーガー』という諢名を頂き、本国側から畏れられる事になる。また、機体の腕の装備から、黒江からは『どこのアルトアイ○ンだ、お前……』と突っ込まれたとか。シャーリー当人は『どんなシールドも撃ち貫くのみってね』と冗談めかして語り、とんでもない機体を手に入れた事が改めて示された。また、このパイルバンカーはアタッチメント式であり、別の機体にも装備が可能なため、黒江もこの後のボラー連邦軍との戦闘で装備し、対艦戦などで使用したという。(なお、黒江はのび太の家や防大の寮で、そのパイルバンカーのアイデア元となった機動兵器の登場したシミュレーションRPGを苦労してプレイしており、1年以上かけて、なんとか隠しステージまでクリアできたとの事。のび太はクリアを投げたので、後から始めた黒江がクリアした形である)
――これには理由があり、野比家は元々、のび助の祖父の代からの借家であったりする都合上、財政状況はのび助(のび太の父)が中企業の課長級であるという、年代を考えると、そこそこ高条件だが、母親の玉子は息子には厳しめで、『クリスマスや誕生日でも、成績が悪ければ、玩具などの欲しいものを買い与えないで、学習道具を与えて、子の学習意欲を高めようとする教育方針であったため、面白くないのび太は親戚からの臨時収入、ドラえもんの道具に頼ったりしている。しかし、それもない時もあり、ある時、『せっかくの誕生日に、いろたかるたはないだろ』と、野比家に来ていた黒江がむせび泣くのび太を見かねて、当時の最新ゲーム機とソフト一式を買い与えたのがきっかけとなり、のび太の両親の前に姿を見せる時には旅行の『土産』であったり、任官後は『赴任地で買ったお土産』、『誕生日プレゼント』、『クリスマスプレゼント』などの理由を考えて、のび太が欲しい玩具やゲームソフト(数年ごとに本体も)を時々、渡す方法を取ったという。また、『帰省先代わりに使わしてもらっているお礼』として、玉子とのび助がその時々に欲しがっているモノや、当時の新型の家具などを送ってのご機嫌伺いも忘れなかった。三羽烏の他の二人もこれに習ったという。また、三羽烏や出木杉のおかげで、のび太の学業成績も低空飛行ながら、徐々にアップ。中学以後は赤点をギリギリ回避出来る程度の成績となったという。(なお、それでも満点は一度もなかった)
――なお、のび太の射撃は間接的に圭子Bへ影響を与えており、圭子Aが『私が接近戦に取り組んだ理由』として、のび太がガン=カタを行い、大の男達を一瞬にして無力化する映像を見せ、『小学生がプロの職業軍人である自分より巧みに銃を操る。しかも接近戦で使う』という衝撃はカルチャーショックを与え、『扶桑海の電光』と謳われた若き頃の血が蘇るきっかけを与えたという。現役ウィッチに復帰している圭子Aは、のび太の天賦の才能には及ばなくとも、努力で技能向上を目指し、日々の修行に励む。その甲斐あって、早打ちではのび太には及ばないが、精密射撃では同レベルに到達し、太平洋戦争終戦後のメルボルン夏季オリンピックの射撃競技に、代理ながらも、当時は将官ながら出場。見事、金メダルに輝く栄冠を手にするのだった。その思わぬ偉業に感激した他、軍在籍中・退役後に至るまで、射撃競技育成、後進の育成にも尽力したという。(太平洋戦争終戦前後から毎年、強化選手団入りと、選抜記録大会の出場はしていたが、メルボルン五輪当時には、実年齢は39歳に達していたため、圭子自身、後進に道を譲ろうとも考えており、若手を出そうかと思ったら、どう言うわけか、強化枠若手選手の多くが怪我や病気でダウンし、圭子自身が出る事になり、こうなればと戦場にいた時の本気を出したら、金メダルだった)
――余談になるが、メルボルン五輪での圭子の勇姿をTVで目にした、吉田茂公の孫の一人が圭子に憧れて射撃を始め、その関係で、その彼と知己となった圭子は、彼が政治家となり、やがて祖父のように総理大臣となった頃、彼の前に、往時同様の若々しい容姿で現れ、彼の総理大臣就任を祝ったという。また、2008年頃の新京五輪に出場した際には、空軍司令を経た後だったため、軍隊にいた時の教え子達が大応援団を率いてきたという。80年代の退官から年月が経っていたため、その頃には軍の将官・佐官となった者も多く、マスコミを驚かせたという。
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