―ミッドチルダにて遂に相見えるドイツ第三帝国海軍と扶桑皇国―ひいては往年の大日本帝国海軍―海軍。主力艦を多数率いての大海戦はドイツ側にとっては第一次世界大戦の時のユトランド沖海戦以来、日露戦争を経験していない扶桑にとっては史上始めてとなるはずの大海戦であったのだが……。


――フッ。久しぶりだな、戦は。『レイテ』以来か……。儂が前にこの立場になった時はもうこのような偉容は連合艦隊には無かったからな……感慨深い。

小沢治三郎連合艦隊司令長官はまるで、『大日本帝国海軍軍人』として、一敗地に塗れたままで生涯を終えた、並行世界の自分の記憶を持つかのような独白をした。どういう事であろうか。それは夢であった。この地に来てからというもの、小沢は夢という形で大日本帝国海軍の興亡のビジョンを見た。彼にとってそれは悪夢のようでもあった。だが、はっきりとしすぎている事に何となく妙な感覚を覚えた小沢は未来の戦史を読みあさる事で、夢が普通の夢ではなかった事を認識し、それが並行時空の自分の記憶である事を漠然とだが、感づいたというわけだ。


「長官、高町なのは一尉より入電。『日向、後部大破ナルモ、健在ヲ確認。我、コレヨリ旗艦の援護に向ウ』との事です」

「了解と返信しろ。水偵からの報告はきたか?」

「敵の陣容の報告が入りました。H41級2、ビスマルク級2、グラーフ・ツェッペリン級空母2、ウェーザー級軽空母1を確認、それと中央部に本艦すら凌ぐ超弩級戦艦を一隻確認したと報告が。後は護衛艦が複数であります」

「全艦、直ちに戦闘準備!」

「全艦直ちに戦闘準備に入れ!!空母艦載機は発進せよ!!」

ここが日本と扶桑の違いであった。大日本帝国海軍は『合戦準備』と独自の単語を用いていたが、扶桑海軍は作戦を他国と共同で行うことが多いので、用語を他国と共有化していた。その点が扶桑海軍が、正確には『日本海軍』ではないところの一つだ。

艦隊にいる空母から、零戦五二甲型、紫電改艦戦型に、彗星・九九式艦爆、天山・流星改が次々に発進し、敵艦隊へ向かう。艦隊直掩はベテラン搭乗の零戦五二型だ。



「さて……どの程度戦果を上げてくれるか」

これは日本海軍お得意のアウトレンジ戦法である。航続距離が長めである艦載機で敵に打撃を与えるという寸法であるが、そうは問屋は卸さなかった。





――数時間後


まずは航空隊の攻撃。紫電改と零戦五二型の突撃で道を切り開く。紫電改を主力に、零戦がその補助である。この頃には零戦はもはやドイツ軍の目から見ても、旋回性能しか取り柄のないロートル戦闘機であったから、紫電改より数は少ない。

「無線を受信モードにしろ!」

「了解!」

――扶桑皇国海軍の無線機は史実では343空などの大戦末期の航空隊でようやく実施された無線の改善は、扶桑皇国では国土が侵食された扶桑海事変の直後から進められ、1944年12月時点では史実において1950年代以降にに航空自衛隊が使える性能の無線機が装備されるに至った。そのため1944年12月では戦闘機同士の空戦では零戦で戦っていた当時ほどの大損害を被る事は激減したという。ちなみに無線を指揮官機のみが送受信可能な状態にし、部下たちは受信のみにさせるのは無線の混線を避けるためである。



「さて、ドイツ野郎共に一泡吹かせてやるぞ!!各機、500で射撃だ!!それまでは我慢しろよ。続け!!」

紫電改隊の各指揮官機は地球連邦から伝えられた、『343空のストライプ模様』を真似し、思い思いの色のストライプ模様を描いていた。色は白、赤、青と、指揮官の好みが反映されていた。腕に覚えのある敏腕搭乗員かつ、指揮官の特権とも取られるこのカラーリングはドイツ空軍からも警戒され、格好の標的だったもの、果敢に立ち向かう紫電改には不思議と弾が当たらなかった。

「てぇい!!」

ドイツ空軍の誇る“MG151機関砲”などを初めとする航空機関砲には及ばないものの、対リベリオン軍機やネウロイへの対抗の対抗で、海軍主力火器として一時代を築いた、九九式二〇ミリ機銃の両翼四門が火を噴く。その火力は雷電と並んで実用機としては海軍最強レベルで、メッサーシュミットBf109の艦載型である『T型』を叩き落としていく。

「おっと!!」

指揮官の彼は操縦桿を動かし、空戦フラップを作動させて急旋回、攻撃をヒラリと避ける。その勢いに乗って、相手のお株を奪う一撃離脱戦法の要領で、2機、3機と落としていく。

「くそっ、所詮、大戦初期に主力を張っていたE型をベースに艦戦にしただけのT型では……!ああ、Me262か、BV155が欲しい〜!!」

「そうだよなぁ。陸の連中はK型とかに乗れてんのになんで俺たちゃE型の改造のポンコツなんだ〜!!クソッタレのマリフアナだがモルヒネ中毒のゲーリングめ!!」

ドイツ軍のパイロットはこの戦いにおける航空装備が空母大国である日本に及ばない事はよく認識しており、グラーフ・ツェッペリン級に少数積んでいるメッサーシュミットMe262の改良機は温存され、攻撃部隊は依然としてT型にしか乗れない事を嘆いた。残党化した今でもそれが改善されない事に、海軍航空隊の設立を邪魔した、今は亡き麻薬中毒であったあの国家元帥を詰りたくなるのも無理かしらぬ事だった。




――紫電改は日本軍機特有の運動性能の高さを見せ、爆撃機と攻撃機の進路を切り開いていく。犠牲を払いつつも、制空権を確保する。紫電改は大型機故に零戦よりは小回りが効かないが、それでも大概の欧米機を問題としない。零戦五二型隊も負けじと突撃するが、旧式機故か分は悪く、零戦があちらこちらで落とされるのが確認できた。

「零戦隊、損害を報告せよ」

紫電改隊の最先任指揮官は零戦隊に向けて無電を発する。すると彼の目の前に煙を吐いて、ヨレヨレな零戦が現れ、無電に答えた。


「こちら零戦隊四番。我、飛行隊のおよそ三分の一と指揮官、副指揮官を失ウ!!生き残った機体は全員が被弾、これ以上の組織的戦闘は困難ナリ!!」

「直ちに戦線を離脱せよ!!後は我々がどうにかする!!」

「了解!!」

零戦隊は威風堂々と出撃した当初の面影が全い、惨めな敗北を味わったかのように、フラフラと離脱、各々の母艦へ帰還していった。これが一時は扶桑海軍における花形と繁栄を謳歌した零式艦上戦闘機の最期の雄姿であった。坂本美緒が紫電改に乗り換えた裏にはこの敗北が彼女に伝わっていたからだと、永い時が経った後に後輩たちの間で囁かれたというが、真偽の程は明らかではない……。






――この空戦で、扶桑海軍の編隊空戦術の遅れが改めて浮き彫りになった。扶桑海軍は編隊空戦の研究が陸軍に比べて立ち遅れており、陸軍飛行戦隊から揶揄嘲笑される有様であった。扶桑海事変に範を発する今時大戦での欧州戦線などで巴戦の限界が明らかになると、陸軍では編隊空戦の研究が盛んになった。しかしそれは零戦全盛期であった当時の海軍では軽視され、ベテラン勢の『零戦の空戦での強さは旋回性能にある』との声が大きかったために、零戦後継機の烈風の開発の際に海軍側から「空戦性能を零戦二二型と同程度にしろ」と無理難題を押し付けられる格好となった。その結果は誉発動機の不調などが重なって予定より一年以上の開発遅延が起こってしまった。それで急遽、陸軍最新鋭制空戦闘機の疾風と同等以上の性能を発揮した局地戦闘機の紫電改が陳腐化が急速に進む零戦各型の後継機に認定され、次期主力機として生産された。奇しくも山西航空機としては初の主力機を輩出した事になった。応急策ではあったが、零戦五二型の最高時速560qから紫電改の時速680qへの飛躍と防弾装備の増強は若手を中心にバカ受け。今や、海軍の決戦機としての地位を確立した。実際、この空戦での戦果の大半は無線機の活用と、新鋭機たる、紫電改のものであったため、零戦の陳腐化はここで指揮官・幹部に至るまでの共通認識となったのは言うまでもなかった。








――さて、戦闘機の突撃で道は開かれ、爆撃隊と雷撃隊は勇躍、艦隊に襲い掛かったが……


「撃てぇい!!日本の急降下爆撃機を叩き落とせ!!」

ドイツ海軍の各艦艇から猛烈な対空砲火が打ち上がる。何せ人員がサイボーグ化されているなどの都合もあり、対空砲への弾の装填などが迅速であり、下手な自動装填装置顔負けなほど。近接信管の開発は戦後に成功はしていたもの、配備が遅れているドイツ軍の“下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる”な対空砲火でも防御が薄い傾向にある日本軍機には意外な効果を挙げた。

「うぁあああ…!」

機銃掃射に、九九式艦上爆撃機が三機まとめて被弾し、翼がパタンとへし折れて墜落していく。やはり何の防弾装置も持たない同機では熾烈な対空砲火を潜り抜けるのには無理があるのか、九九式艦爆隊の数が、みるみるうちに減っていく。そしてようやく爆撃コースに乗り、生き残った機が爆撃を敢行する。


「よ〜そろ……よーい、てぃ!!」

ビスマルクに向けて250kg爆弾が投下され、何発かは対空砲を吹き飛ばし、副砲に損害を与えるという戦果は挙げたが、犠牲に見合う戦果とはとても言えなかった。

「隊長、我が隊の損害は……」

「……いうな。旧型機に乗った以上は覚悟しておいたはずだろう」


――急降下爆撃というのは、危険性が高い攻撃方法である。命中率があるが、その分、落とされたり、激突する危険性があり、並の搭乗員では真似事も出来ない。できても命中率は低い。そのためミサイルが発達した戦後には廃れてしまったという歴史がある。そのため、今回の任務はベテラン勢をかき集めて実行された分、史実のマリアナ沖海戦よりはマシであったが、旧型の九九式はその半数が未帰還という無残な結果に終わった。彗星隊の方は新型であるのと、500kg爆弾が搭載できるためと、特に腕がいい搭乗員が優先的に乗れたために相応の戦果を挙げ、軽空母一隻大破、駆逐艦5隻撃沈の戦果を報告したもの、大勢には殆ど影響はなかった。






――空母飛鷹艦橋

「艦長、攻撃隊は99式と天山を中心に損害を被り、思うような戦果は挙げられなかったとの攻撃隊長から打電が」

「それで、我が方の戦果は?」

「はっ。空母一隻大破、駆逐艦5隻撃沈であります。ただしこれらは彗星や流星などの新型機の戦果です」

「数合わせの旧型では所詮、生命の無駄遣いということか……主力部隊は?」

「まもなく、大和型戦艦の砲戦距離に入ります」

「そうか……はたしてどうなることやら」

飛鷹艦長の横井俊之大佐はこれより起こるだろう砲撃戦も一筋縄ではいかないと憂いた。と、そこに猛スピードで魔導師が向かってきて、すれ違う。なのはだ。

「艦長、あれは……」

「管理局の撃墜王の高町なのは一等空尉だ。小沢長官は彼女に援護を要請したらしいな……オイ」

「わかってますよ」

横井大佐は艦橋の窓の近くに立ち、なのはに敬礼し、部下に命じて発光信号で『貴官の健闘ヲ祈ル』と打電し、彼女を見送る。なのはも艦橋に向けて敬礼し返すと、主力艦隊のもとへ大急ぎで向かった。それを入れ違う形で後方から航空隊が飛鷹に帰還していく。しかし、その光景は悲痛なものであったという。





――ドイツ海軍大海艦隊旗艦“H42級戦艦”一番艦「カイザー」航海艦橋

「フフフ……オザワめ……見るがいい。我がドイツ帝国海軍の象徴たる『H42級』を!!」





エーリヒ・レーダー元帥はかの大和型戦艦すらも凌駕する300m級の巨体と10万トンの排水量を誇る、ドイツ帝国海軍の智の結晶たるこの艦を勝ち誇った。彼が夢にまで見た大海艦隊の再建、そしてその権威たるH42級は出来立てホヤホヤの最新鋭戦艦で、大和型戦艦に対する完全なカウンターパート。そしてドイツ一流の防御力がこの艦の売りであった。


「張り切っておられますな、提督」

「フッ、まあな。連合艦隊との距離は?」

「距離、45000。有効射程に入りました」

「よし、撃ち方初め!!日本の奴らの度肝を抜いてやれ!!」

カイザーの前部48cm砲が向きを武蔵がいる方角に向きを変え、試射を兼ねた第一射が行われる。その轟音と爆風は大和型戦艦の46cm砲すらも凌ぐものであった。




――なのははちょうどドイツ艦隊と連合艦隊の中間地点を飛行していたが、48cm砲の発砲の轟音と衝撃波が伝わり、なのはの推力を以てしても吹き飛ばされ、錐揉み状態に陥ってしまう。

「……うぅん!?」

レイジングハートの呼び掛けで気がついたなのはは慌てて錐揉み状態から回復する。

―大丈夫でしたか、マスター。

「う、うん……何なの今のは……?」

「敵戦艦の発砲のようです」

「ドイツの戦艦!?んなアホな……大和や武蔵より遠距離撃てる戦艦がこの世にあるわけが……!?」

そう。戦艦大和や戦艦武蔵が最強を謳われたのは、主砲である46cm砲でアウトレンジ砲撃が可能であるからだとなのははよく知っていた。それ故にレイジングハートのこの報告に耳を疑ったのだ。ちなみに言葉使いが子供の時より若干荒っぽくなっているのはこの8年間の“成長”によるものとの事。連合艦隊の方角へ向けて飛行を続けていると、何と、信じられないが、“戦艦武蔵と信濃が逆にアウトレンジされている”光景が目に飛び込んできた。

「そ、そんな……大和型がアウトレンジされるなんて……」

思わずショックを受けてしまうが、角田中将の要請に答えるべく、武蔵の右上空に留まると小沢に通信を送る。

「小沢長官、大丈夫なんですか!?」

「おお、君か。見ての通り、我、健在ナリだ。どうやら敵は我が方よりワンランク上の砲を持っているらしい。だが、やり方はある。よく見ておきたまえ」

小沢治三郎は呵呵と大笑し、なのはの心配を一笑に付す。そして武蔵を操艦し、48cm砲の散布界を逆手に取り、乙字に艦を動かし、巧みに避ける。排水量70000トンの巨船が縦横無尽に動くその様は往年の水上艦艇としての戦艦の作戦行動がどういうものかをなのはに示す。



「一尉、これより本艦と信濃で統制射撃を敢行する。君はひとまず本艦に退避せよ。46cm砲の爆風は人体に致命的な損傷を与えてしまうからな」

「わ、分かりました!」


参謀長の矢野志加三少将からの通信に応え、なのはは偵察機の格納庫へ着艦すると、BJ姿のままで武蔵の塔楼を目指した。その途中で、遂に武蔵の46cm砲が火を吹いた。



――『ズゥゥゥン!!』と地響きのような揺れが艦内にも減衰するとはいえ、伝わる。それだけ衝撃波が凄まじいのだろう。思わず「ふぇぇっ!!」と、バランスを崩して躓いてでしまう。

「こ、これが武蔵の……大和型戦艦の砲撃なの……!?映画とかと全然違うよぉ……!」

未来の軍艦はビーム砲が主流なので、なのははこうした実体弾の砲撃、それも戦艦クラスの大口径砲の射撃を味わうのは実は初めてである。しかも大和型戦艦の世界最大級の艦砲射撃というのはある意味で凄い。そのため映画などで描かれる戦艦の砲撃とレベルが違う事に改めて驚く。

「君、大丈夫かね」

「あ、あなたは……」

「武蔵副長の加藤憲吉大佐だ。小沢司令長官の命を受けて君を迎えに来た」

「た、高町なのはです!ど、どうもありがとうございまっ……いたっ!!」


なんと、なのはを迎えに来たのは武蔵首脳陣の一角である副長の加藤憲吉大佐であった。なのはは緊張のあまり舌をかんでしまう。連合艦隊司令部が艦を直卒しているのと、戦闘配備中の都合上、一般乗組員は動けないのを鑑みて、小沢は彼に命を下したのだろう。

「艦橋に案内しよう。こっちだ」

加藤大佐はなのはを艦橋へ案内する。大和型戦艦は通路が狭いの上に複雑怪奇で、迷子になる者がよく出る。なのはは歩いていて、『まるで迷路みたい』と感想を抱き、加藤大佐もそれに同意した。

「一尉、乗り物酔いには強いほうかね」

「は、はい。まぁ」

「このエレベーター、どうも出来が悪くてな酔うんだよ」

「えぇっ!?」

――そう。その通り。中甲板から第一艦橋を結ぶエレベーターは性能がイマイチであり、慣れてても一往復で酔うという情けない性能で、なのはは乗っていて、速い上にブレーキが効かないエレベーターに、胃から何かがこみ上げるのを必死に堪えた。

――ああ、こんな事ならメシ抜いとくんだった……。……と、エレベーター酔いとなったなのはは心の中で嘆いたという。










――同時刻 六課臨時隊舎

「今頃は大海戦か……」

黒江は窓に映る海に、そっと呟いた。彼女かしらぬ、ソワソワした態度を取るが、六課の連中に悟られぬように表面的には冷静を装っている。


――いざとなれば“IS”を使うっちゃないかもな……。


黒江は右腕に巻かれている紐に目をやる。未来世界から持ち込んだ待機状態の“インフィニット・ストラトス”である。未来世界で箒の赤椿をコピーする形で作られている軍用ISのテスト機である。この時点ではまだ名前は冠されてはいないが、性能的にはコピー元の都合上、第四世代相当である。出来ればもうじき到着の援軍の加藤武子の前では使いたくないが、使わなくてはならない時は来るだろう。

「たしかフジの奴は“サイパン丸”で来るとか……民間船で来たほうが相手の目を誤魔化せるって判断っつー話だが……」

黒江の心配をよそに、扶桑からのウィッチの援軍を乗せた民間客船は翔鶴の護衛を受けつつ、無事、ミッドチルダの軍港に入港したと知らせが入った。



「ここがミッドチルダ……綾香がここに来てるっていうけど……確かあなたの故郷だったわね?ティアナ」


「はい。あたしにとっては“1年ぶり”になりますね、加藤隊長」

「ふう。圭子、機動六課には連絡取ったの?」

「大丈夫よ、向こうから迎えが行くって」

「でも、あたしの事は大丈夫なんですか?色々、ややこしいし」

「う〜〜ん。その辺は黒江ちゃんが処理すると思うけど……ちょっち難しい問題だからね、あなたの場合は」

飛行第64戦隊長に就任した加藤武子はスーツケースなどを持ってミッドチルダの地に足を踏み入れた。その傍らにいるのは、アフリカから召集されたストームウィッチーズの扶桑ズである。圭子は武子の副官の一人として、他の二人は無論、隊員としてである。だが、ここで複雑な事情が出てくる。ティアナ・ランスターの帰属先だ。彼女は元々、管理局の人間で、陸戦魔導師。しかも機動六課の人間であった。しかし今現在は、『扶桑皇国陸軍飛行戦隊の下士官』として、この場にいる。なのはやスバルは地球連邦軍にも属しているとは言え、向こう側では一応は任務からは離れているという扱いなので、不問に処せられたが、ティアナの場合はバリバリに第一線任務についているので、どうなるのか。その辺は武子や圭子でも分からない。これは前代未聞なのだから。しばらく話してると、機動六課からの迎えが到着したようだ。そこで圭子達は事情説明に追われることになる。その迎えは誰かというと……。



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