外伝その43
――扶桑皇国の戦闘機開発は地球連邦軍による統制を事実上、1944年以降は受けていた。これは扶桑の軍隊上層部、特に史実陸海軍で『特攻を推進させた』人物が、地球連邦軍から信用されていない証とも言えた。烈風も扶桑が独自に完成させた艦載機型の他に、連邦軍の手による陸上戦闘機型が採用されたのがその証であった。軍令部や陸軍航空本部には地球連邦軍の強権的な立ち振舞いに憤慨するものも多かった。だが、地球連邦軍の強権的な動きの根拠に、『大日本帝国陸海軍の航空行政の大失敗』がある事には困り果てていた。山本五十六や今村均などが支持しているからだ。
――陸海軍航空行政関係者の集う、とある料亭
「山本大臣や今村閣下らの支持をいいことに強権的に振る舞われている……我々の立場がない」
「彼らの上に立つ『日本人』は別の可能性の我々の大失敗の結果、国家が他国の手で解体させられた歴史を覚えている。だからこちらが見込んだ全ての試作機の顛末を知っているし、我軍は国土を守れなかった愚かな軍隊のレッテルを貼られている。それ故に強権的に振る舞うのだろう」
「しかし、リベリオンが実用化したというB-29……富嶽より性能が劣ると思うのだが?」
「向こうでは資源がないから『絵に描いた餅』に終わり、高高度戦闘機もその全てがB-29の飛行高度まで上がれなかった。上がっても数撃与えるので精一杯、ほぼ無力だった。結果、東京、名古屋、大阪などのめぼしい都市は灰燼に帰したそうだ。広島など、中島地区が地図から消えてしまい、そこがかつては中心市街地であった記憶すら薄れているそうだ」
「……」
一同は、史実の本土空襲が最終的に招来した結末に青ざめる。特に広島出身者は、中心市街地が以後の歴史で地図から消えてしまい、時が流れるに連れてその記憶が薄れてしまった事がショッキングだったようで、泡を吹いて卒倒してしまった。彼らは自分達の予測が全て外れた場合、国土は根こそぎ灰燼に帰し、軍隊は国民から罵倒される結末が待っているなど考えてなかったのだ。そして、
「おまけに私らが構想した全ての機体は敵機に抗する性能を持ち得ず、全て歴史の闇に葬り去られたそうだ……」
自分達が試作を構想した機体は飛躍的高性能化する敵機に抗する力を持ち得ず、たとえ生産しても無意味であるという『史実』に打ちのめされる。
「じゃあどうしろというのだ!?戦闘機を作っても、高度11000mで編隊飛行が出来なければ向こうから落第扱い、双発機を戦闘機にしようと思ったらダメなんだぞ」
「噴流推進に縋るしか我々にはもう道はない……烈風や紫電改以上のレシプロ機はもう望めん。以後はこれで活路を見出す他はない」
――彼らに示された道はもはやジェット戦闘機しかなかった。1950年代以降はジェット機の時代なのは確実。現有機の改善は地球連邦軍から購入する機体で当座をしのぎ、根本的に次世代機であるジェットに全てを費やすのが彼らの結論であった。未来世界で実績のあるジェット機をライセンス生産して技術育成を行い、然るべき時に自国製を製作するという道である。この料亭での会合の影響とは関係無しに、先行してジェット機を使用できる部隊は新生501であった。彼らの使用機材の多くは地球連邦軍製であり、旧・502と504も事実上編入する形で活動を行っていた。
――新生501が出撃したのと同時刻 現地駐留地球連邦軍旗艦「朝日」
「501に編入か……上は何を考えているんだ?」
「あの撤退戦以降、504は活動停止状態ですからね。上はプロパガンダも兼ねて、501を最強部隊に仕立てあげようって寸法じゃないですか。大将」
「だからといって、501を大きくして『航空軍』編成にする必要がどこにある?まるで見せ物だ」
「去年から本当の世界大戦みたいになっちゃって、退役してるウィッチも多いですからね。501を宣伝に使って、志願者を確保しようってことじゃ」
「やれやれ」
504統合戦闘航空団のドミニカ・S・ジェンタイル、ジェーン・T・ゴッドフリーは同隊が501に事実上吸収された事を受けて、同隊へ赴任せよという辞令に不満を見せる。しかしながらティターンズの空軍力は強力で、地球連邦軍の援助がなければ制空権維持も覚束ない有様なのは知っていた。なので、強力なウィッチを集中運用して場を凌ぐという策自体は納得している。そしてスーパー戦隊の介入まで撃墜されず、比較的軽傷で済んだのが自分達を初めとして数名しかいない事も。
――ヴェネツィア撤退戦はティターンズがネウロイの出現に乗じて空軍戦力を送り込んだ事も相なって、凄惨な戦いとなった。ネウロイを落としてゆく最中にティターンズが介入し、強力なジェット戦闘機を送り込まれ、護衛艦は小型艦は殲滅され、大型艦も中破以上の損害を被った。この時の様子を少し語ろう。
「な、何よあれ!?」
504のフェルナンディア・マルヴェッツィは介入してきたそれに驚く。彼女らが見たこともない、流麗な流線形で、後退翼を持つプロペラがない機体。ティターンズという異世界の軍隊が保有する次世代推進器を持つ飛行機というのは理解できた。だが、それは人が乗る乗り物である。これまでウィッチの多くが本当の戦争とは無縁であった。それ故、一瞬の間であるが、引き金を引くのを躊躇してしまう。
「戦場で隙を見せるとは。愚かな……FOX2!」
だが、ティターンズに取って一瞬の隙は正に行幸であった。赤外線探知であるサイドワインダーミサイルが一斉に放たれ、彼女らを猛追する。しかも虎の子と言える、未来世界で使用されているモデルであるため、追尾能力は高かった。
「あれが噂のフリーガーファウストやフリーガーハマーみたいな、空対空ロケット弾!?……ならっ!」
この時代のロケット弾の弱点は咄嗟に急旋回すれば避けられる、編隊を崩す時などに使用すべきという運用上の弱点がある。フェルもそれはよく知っていた故(サーニャが百発百中なのは、使用タイミングを知っているからである)、急旋回すれば避けられると踏んだのだ。だが、現実は非情であった。急旋回に追従してきたのだ。ピタリと。これには思わず青ざめる。
「嘘!?何でついてくんのよぉ!?しかも向こうのほうが断然早い!?」
当然ながらジェット戦闘機を撃ち落とすためのミサイルは速度がこの時代の全てより高速である。フェルは咄嗟に一か八か、撃ち落とすことを選択、持っていた装備で弾頭部を撃つ。すると大爆発を起こす。破片をシールドで防御するが、引き起こされた爆発の大きさに驚く。
「こんなの食らったらどんな飛行機も落とされる……未来じゃこんなのが使われてるの……!?」
「フェルさん、状況を報告して!」
「タ、タケイ!なんか知らないけどプロペラがない飛行機が攻撃してきた!」
「プロペラのない機体!?という事はジェット戦闘機……!」
「ジェットって、最近、上がやけに研究してる新型機関よね?」
「そうよ。だけど、彼らにとっては当たり前の技術にすぎないわ。この機に乗じて来るなんて……!」
通信での竹井の声からは、事態の深刻さが伺えた。ティターンズの技術を以てすれば瘴気もどうにもできるだろうし、ミサイルを知らない504で彼らに対抗できるかは怪しいからだ。唯一無二の勝機は格闘戦に持ち込む事。それを竹井は知っていた。ジェット戦闘機は格闘戦に持ち込めば、概ね水平旋回ではレシプロ機には及ばない。高い速度は曲がるという点では不利なのだ。
「なんかロケット弾撃ってきたけど、こっちを追尾してくる!」
「誘導ミサイルか……!あれは私達では迎撃するしか方法がない!撃たれる前に接敵しないと!」
冷静沈着な竹井がここまで強く、焦りを見せる事は、フェルに取っては初めてだった。501は地球連邦軍の後援を得て、既にミサイルの探知妨害手段を講じている(チャフやフレア)が、他の部隊にはまだ行き渡っていなかった。これは司令部の派閥抗争で、軍事機密に指定されてしまい、結果的に軍全体に、戦術として行き渡るのが阻害された結果だった。菅野からそれを知らされていた竹井は苦々しい思いをしたものだが、結果はこの有様であった。この時に504を襲ったのは、比較的容易に整備が可能なF-100の爆装機であった。爆装の都合上、飛行速度は900キロ台である。だが、それでもこの時代の飛行機の全てよりも遥かに優速である。竹井が焦ったのはそこである。
――その様子を確認していたスーパーバルカンベースでは、着々とメカの発進準備が進められていた。バリドリーン、コズモバルカンを始めとするマシーンが暖機運転を初めており、出撃指令を待つのみであった。その指揮を取っているのがバトルフィーバーJの総司令であった倉間鉄山将軍である。彼はかつて、大日本帝国陸軍最末期の陸軍士官学校第57期在籍で、終戦時に少尉であった。若かりし頃は端正な美貌の持ち主でありながら、軍事的才能も高く、往年の帝国陸軍が健在ならば最年少将官は確実であったろうと言われたほど招来を嘱望されていた。幼年学校出身でないこと、元高官らの後援もあり、戦後は保安隊→陸自のコースを辿った。以後は順調に出世、地球平和守備隊設立後は抜擢され、将軍として任についた。ちなみに、サンバルカンの嵐山大三郎長官は彼の陸自時代の教え子の一人である。
「閣下、いつでもマシーンは出撃準備完了しております」
「よし、各マシーンは直ちに発進!504統合戦闘航空団を救援せよ!」
『ゴー!!』
鉄山将軍の指令は直ちに通達され、基地が浮上する。そこからハッチが開き、戦闘態勢に入っていたマシーンが次々と発進していく。秘密戦隊ゴレンジャーの『バリドリーン』(二号機。オリジナルは黒十字軍との死闘で失われているので、再建造された)、太陽戦隊サンバルカンのコズモバルカン、電撃戦隊チェンジマンの『ジェットチェンジャー1』、光戦隊マスクマンの『マスキーファイター』、超獣戦隊ライブマンの『ジェットファルコン』などが次々と離陸していく。目指すはヴェネツィア上空。彼らは高速を発揮できるメカを中心に先行させ、敵航空兵力の排除を急いだ。
――私達が『彼ら』と出会ったのは、後に調べたが、彼らが発進して10数分後だったそうだ。その時、私とジェーンはみんなと散り散りになり、手持ちの武器も尽きかけていた。だが、こちらは比較的明るかった。
「ジェーン、手持ちの弾薬がない」
「私もです」
「フッ、このまま仲良く突撃して死に花を咲かせようか?」
「リベリオン人らしくないですけどね」
「ハハッ。では行くぞ、ジェーン!!」
「はいっ、大将!」
――などと言い合っていると、突然、耳を劈くような轟音が響いてきた。ふと上空を見上げると、見慣れない大型の飛行機が雲を引き裂いて現れたのだ。それが彼らとの出会いだった。機体後方にプロペラを持ち、鳥を象った形状の大型機。この時代の航空力学まるで無視であるこの大型機こそ、後で聞いたが、秘密戦隊ゴレンジャーの誇った『バリドリーン』と呼ばれているそうな。圧倒的な火力でネウロイや敵機を粉砕し、私達を回収した。
「君たちが504統合戦闘航空団のウィッチだね?私は新命明。地球連邦に協力している者だ」
「504統合戦闘団所属、ドミニカ・S・ジェンタイル中尉です」
「同じく、ジェーン・T・ゴッドフリー中尉です。あ、あの、救助感謝致します。で、ですが、仲間を助けてもらえないでしょうか」
「噛み過ぎだぞジェーン」
「だ、だって大将!」
「ハハハ、その心配は無い。既に同行している仲間が君たちの仲間を救助しに行動を開始している。そこのモニターで映像が確認できるはずだ」
――彼に促され、モニターを確認すると、列機と思われるメカが敵機をネウロイものともビームや機関砲で粉砕し、皆を救援しているのが確認できた。私はここで改めて、彼らの有する戦力が卓越したものであると認識した。
『スカイロック、発射!!』
バリドリーンの胴体下部に備えられたバルカンミサイル砲『スカイロック』が発射され、ドミニカとジェーンが二人がかりでも手こずった重爆型ネウロイが一瞬で有無を言わさず粉砕される。これに二人は唖然となったが、新命から、火器管制を任せられ、二人はバリドリーンの複雑な火器管制装置に苦戦しつつも、次第にコツを掴んでいき、数十分後には新命の指令にも対応多能な操作速度となった。
『スペースウイング、発射!』
ジェーンが新命の号令に従って、バリドリーンの両翼の爪をミサイルとして射出させる。それは見事に命中し、三人は歓声を挙げる。だが、アンジー、つまりアンジェラ・サラス・ララサーバルは救援が間に合わず、重傷を負ったという報に、ドミニカとジェーンは顔を見合わせ、顔面蒼白になったのであった。この戦闘そのものはスーパー戦隊の介入により、大勝利であった。こきで、彼女たちの運命は大きく、『本来の運命』と枝分かれした。運よく、秘密戦隊ゴレンジャーの飛行要塞『バリドリーン』と出合った事で、ドミニカとジェーンは軽傷で済み、竹井などの人員もそれほど目に見える傷を追うことは無かった。それでもアンジェラ・サラス・ララサーバルが重傷を負う事は避けられなかった。彼女はネウロイの破片を受けて傷を負ったところをF-100が放ったミサイルの直撃を受けて墜落。救助はされたものの、かなりの重傷により、スーパーバルカンベースに搬送された。竹井はこのことを気に病んでおり、どうすればよかったのかと、501が再結成される前の日に黒江に電話していた。
――後日 スーパーバルカンベース
『というわけです』
『そうか……気に病むなよ竹井。アンジー中尉が重傷を負ったのはお前の指揮の結果じゃない、不可抗力だ』
黒江の慰めの言葉に竹井は少し安堵させられた。アンジーが重傷を負った際、その僚機のパトリシア・シェイド中尉から罵倒され、心を痛めたが、新命明がそれをカバーしてくれたためにどうにかなったが、竹井の心は晴れてはいない。
『はい……でも上層部はこれで未来世界で使われた『核兵器』を使ってでも排除一直線になるでしょうし、対話しようとする論調を弾圧していく事になります。私達は希望を絶たれたんでしょうか』
『……せめてサウンドエナジーの研究が進んでいたら違っていたんだろうが、奴らは宇宙怪獣みたいに、人類の殲滅が目的じゃないだろうからな』
『サウンドエナジー?』
『未来世界では歌の力に関する研究が進んでいてな。これで対話に成功して和解した例がいくつか報告されている。副次的に味方の士気高揚などにも効果がある。昔に私達がやったのもそれだ』
『でもあの時はまだ……』
『ああ。種明かしするが、あの時の私達の『精神』は一時的にしろ今の状態、つまり今の時点の魂が一時的に過去の身体に宿っていたっていう珍妙な状態でな。漫画じみてるが、あの時の私達の口調、今の状態だったろ?』
『言われてみれば……』
竹井は言われてみて、扶桑海事変後期の黒江達の口調は現在の砕けたそれだった事を思い出す。戦場で音楽を歌うという行為も、これに由来しているといえば納得がいく。
『それにISなんて、あの時の技術じゃ、どう考えても造れねーだろ?』
『確かに……』
黒江は扶桑海事変でISを使用している。それを思い出し、納得したようだ。
『今次作戦の失敗は対話の可能性が絶たれてしまう事を意味します。このまま私達は生存競争を続けるしないのでしょうか』
『YF-29があればな……』
『YF-29?』
『未来世界のフロンティア船団が開発している、異種生物との対話にも使用できる可変戦闘機だよ。バジュラとの戦いにゃ間に合わなかったが、開発は続けられててな。増産されれば私達も使用できる可能性がある』
『そんなものが造られてたなんて……それがあれば良かったのに……』
竹井は思わずそう漏らす。対話の可能性に賭けた自分を戦友は笑い、あるいは罵倒するだろう。だが、未来世界の科学は対話の可能性を実現可能やもしれぬ機体を実用化寸前である。それは一縷の望みだった。意を決していう。
『その機体、できたら私に回してくれますか!?』
『な、何ぃ!?お、お前……マジか?』
『マジです』
『……分かった。可変戦闘機操縦カリキュラムのパンフ送るから、そっちに送ろうか?』
『当面は501に世話になりそうなので、基地に送って貰えば』
『OK。鉄山将軍に言っといてやるから、飛行機の訓練受けとけよ』
――竹井がYF-29を欲した理由を察した黒江は対話の可能性をあくまで信じている彼女のために、その日のうちに新星インダストリー社へ連絡を取った。たまたまジェフリー・ワイルダー艦長(マクロスクォーター艦長)が同社に来ていた事、イサム・ダイソンがその場に居合わせた事もあり、無理矢理ねじ込む形で注文を取り付ける事に成功したとの事。黒江が後輩から慕われるのは、その行動力かもしれない。
――元々、海軍兵学校→飛行学生のコースを辿ってレシプロ機の操縦技能を持っていた(ウィッチの内、飛行機に乗ることが多い者中心であるが)竹井がジェット機を乗りこなすにはそれほどの期間はかからなかったが、それよりガウォーク形態とバトロイド形態に戸惑ったそうな。後日、前段階として彼女に配備されたのはVF-11であった。
――ある日の501 格納庫
「VF-11かぁ。まだまだ遠いな」
「お前はまだまだ慣れてないからな。こいつで技能磨いておけ」
「改修はしてあるんですか?」
「主力が19や25だから、規格統一でエンジンはバーストタービンに変えたそうだ。銃剣はつけてあるから銃剣術は応用できるぞ」
地球連邦軍の第一線機である19や25は竹井の技能ではまだ扱えないので、黒江は一線級からは外れつつあるVF-11をカスタマイズして宛てがった。これは19はじゃじゃ馬な操縦性なこと、25は速すぎるというジェフリー・ワイルダーの判断と助言によるもの(彼は歴代主力機に搭乗経験ありの搭乗員出身である)だ。11は後継機種らに比べて操縦性が素直(171は生産中止されていたので確保不能であった)なため、育成用に最適だからだ。501の格納庫はストライカー用、機動兵器用が別個に設置されていた。二人がいるのは後者だ。VFだけでもそれなりの数が確保されている。29、19などの新星インダストリー社製のが多数だが、フェイト専用の22、シャーリー仕様の9が置かれているのが異彩を放っている。だが、ミーナが投入を避けているのが現状であった。これは機体の相性などを気にしての措置である。
「中佐はなぜ、これらを使うのを躊躇しているのです?」
「中佐は機体との相性を気にしているんだろう。後は補給体制への不安?ミサイルを撃ちまくると一回で千万は確実にぶっ飛ぶからな……金」
「そんなに高いんですか?」
「ああ。向こうじゃ単年度で可変戦闘機をたくさん調達しようものなら、議会が紛糾するそうだ。未来世界での貨幣価値見せたら泡吹いてたぜ。まあインフレしてるからな」
――そう。兵器は複雑化するほど高価になる。ウィッチ世界の価値なら、1億あれば翔鶴型航空母艦が一個作れるが、未来世界では一億など兵器の世界では戦闘機が数機とメンテナンス費で埋まる程度だ。お金の価値の違いは大きいのだ。
「私は運用費は気にするなと進言するつもりだ。お前も手伝ってくれ」
と、言うわけでミーナが未来兵器を解禁したのは諸方面からの援助が得られると確認できる以降であった。そういう所に『石橋を叩いて渡る』意外に堅実な側面を、二人は感じたという。ドミニカとジェーンの501への着任はそれから数週間後であったという。
――※あとがき
今さらですが、スーパーバルカンベースのアイデアはきむらたかしさんから頂いたアイデアを採用させていただきました。どうもありがとうございました! 909
押して頂けると作者の励みになりますm(__)m