外伝その120『ドッグファイター』


――二代目レイブンズの異名が坂本の提案で、初代に遡って与えられる事になり、扶桑の新聞の一面記事を飾った。これにより、歴史は塗り替えられ、ミーナも前史の教訓から、扶桑史上最強のウィッチであるレイブンズの威光を利用して、隊の運用費の拡大を図る方向に舵を取り、赤松に三人の統制を丸投げして、プロパガンダに力を入れた。このプロパガンダが天皇陛下の目に留まり、作戦の完了と同時に叙爵したいという希望を宮内省に申し出た。当時、混乱の渦中にあった宮内省にはその余裕は無く、太平洋戦争も控えている事から、翌年度に先送りとなった。その代わりに、待遇面を改善する方向になり、華族の証である紫の袴を着用する許可、給金の増額などは45年度中に実行される事になった。二代目レイブンズがそうであるように、初代の三人は1946年度に華族に列しられ、新設の騎士爵に始めに叙爵され、次に子爵の爵位を得る。同年、黒田家では邦佳が爵位を継承する事に伴い、親たちが将来の『嫁入りのため』と溜め込んでいた仕送りは『黒田家の運営資金』として使われ、邦佳は両親の願いとは裏腹に、当主という責務を負わされた事により、職業軍人であり続ける事になる。――


――富士艦内――

「黒田、お前。家の方はどうなったんだ?」

「じーちゃんとお上と話し合って、次の当主はあたしがなることには変わりはないけど、その次はふーちゃんの子がなる事になったよ。これが最善の方法なんだろうね、直枝」

「で、黒江さんたちは?」

「宮内省が来年以降に叙爵をするって。待遇は来月の給料から変わるらしいよ」

「なーるほど。で、敵の動きは?」

「宇宙から空挺降下でモビルドールを、ヴェネツィアからゴースト持ってきて、こっちの航空部隊は荒されてる。イサムさん呼んだから、YF-29で来るって」

ゴースト。ティターンズ/バダンが入手していたのは『AIF-7S』と標準的なものだが、ユダシステムのリミッターカット状態であった事により、当時のあらゆるウィッチを避けつけない戦闘力を見せていた。その中にはカールスラント最強のナイトウィッチと謳われた『ハイデマリー・W・シュナウファー』も含まれており、彼女をしても、ユダシステムの全開になったゴーストを視認する事すら不可能であり、被弾、ほうほうの体で富士に着艦したが、それと同時に昏倒した。彼女の技能を以ても、ゴーストの魔手からは逃れられなかった。彼女の才を知るミーナ、ハインリーケは医務室で大いに嘆いていた。黒田はそれを見届けると、すぐにイサム・ダイソンに連絡を取り、エデンで専用のYF-29のテストに勤しんでいた彼を呼び出した。

『イサムさん!ゴーストがこっちに現れて……。ユダシステムが起動状態で、手がつけられません!助けてください〜!』

『おし、カワイイ子ちゃん達の頼みだ。すぐに行くぜ。それに、ゴーストにはガルドの事でかりがあっからよ』

『イサムさん……!』

『それに、ちょうどヤンの奴にデュランダルのテスト頼まれてんだ。また連絡する』


それから数十分。イサムはエデンから地球、更にゲートを通り、ウィッチ世界へと転移し、専用のYF-29スーパーパック装備でやってきた。波動機関搭載デンドロビウムで運搬され、そこからイサムと付き合いが長く、同等の腕を持つ同期のキ○ガイ共と共に射出される。武装コンテナの代わりに、パラサイトファイターの要領でVFを積み込まれて。デンドロビウムのパイロットはコウ・ウラキである。


『イーヤッホー!!待たせたな』

『イサムさん、パイロットファイターの真似なんかしてどうしたんですか!?』

『ウラキの奴がちょうど外洋航海の訓練でエデンに来ててよ、タクシーにさせてもらったぜ。ちょうど同期の連中も捕まえられたしよ』

武装コンテナの代わりに打ち出されるのは、イサム、それと彼の士官学校時代の悪友達で、皆がロイ・フォッカー勲章の叙勲経験者であった。機体もVF-19/VF-22系列である。名前は後の記録によれば、『カワモリ』『テンジン』、『ミヤタケ』など、どこかで聞いたようなネームの連中で、連邦軍の中でも『ゴーストをEXギア無しで撃墜した』経歴を持つ怪物達だ。そのため、有人機とは思えない機動を見せ、当時在籍していたウィッチたちを唖然とさせた。しかも目で追えない速さの航空戦を見せつけたのだ。彼らは大気圏内での限界速度で高機動をしたため、映像モニター越しでなければ、何がなんだかわからない状況になっていた。


――艦内の一室――

「す、凄い……これが戦闘機の到達点……」

仕事が完遂できなかったウルスラだが、流石に可哀想だと思ったラルの計らいで、艦内に留まるように指令され、そんな中で、イサム達の高機動戦闘を映像モニター越しに目の当たりにした。ウルスラは当時、ジェットの高速を活かすには『ズームアンドダイブ』が望ましいと考えていたが、それを吹き飛ばすようなドッグファイトであった。

「ウルスラ中尉。VFを見ても参考にはならんぞ?」

「ハインリーケ少佐」

「あれはもう、飛行機のカテゴリには収まらん兵器じゃ。彼らより、まだコスモタイガーのほうが飛行機らしいが…」

「そうなんですか?」

「そうじゃ。見てみるか?確か、リモコンの切り替えボタンが……これじゃ」

リモコンをポチッと押し、コスモタイガーにカメラを切り替える。コスモタイガー隊がアベンジャー雷撃機隊に手本のようなズームアンドダイブを仕掛けるところであった。山本のコスモタイガーは、エンジンノズルなどが柿色に塗られていた。それらが一斉にアベンジャーに襲いかかる。元々、鈍重であったアベンジャーは、相手が零戦や紫電改であれば、まだ抵抗のしようがあったが、相手が23世紀で主力を張る万能戦闘機であることが不運だった。ミサイルすらもったいないと、パルスレーザーで最前列の編隊が炎上し、墜落してゆく。無論、アベンジャー攻撃機には12.7mm重機関銃の旋回機銃があるが、宇宙戦闘機であるコスモタイガーには、雀の涙ほどの効果しか望めない。(塗装を剥がす程度)瞬く間に次々と炎上し、墜落するアベンジャー。編隊が乱れ始める。統制が崩れ始めたのだ。魚雷を投棄して逃げを図る小隊も出てきている。直掩としては成功である。が、そこで編隊の一機の通信手ががなり立てたらしく、F6Fが12機ほど現れたが、パイロット達はかなり狼狽えているのが見えた。

『敵は我々に狼狽えているようだ。各機、化石のようなレシプロとは言え、曲がりなりにも戦闘機だ。丁重にお出迎えしてやれ!』

山本の部下へ指示を飛ばす音声が入る。F6F側は勇敢にもコスモタイガー隊に挑むが、コスモタイガーに火力で圧倒され、数回の接敵で全機が撃墜されていった。その際にコスモタイガーが極東方面軍お得意の『カウンターバーニア使った急旋回』を行った事から、ウルスラは『バーニア取り付けてみようかな?』と呟くが、『バーニアは宇宙戦闘機でもない限り、デッドウェイトとして大きいから、よっぽどハイパワーなエンジンが無いと物にならんぞ?コスモタイガーはコスモタービンを積んでるからできるんであってじゃな、この時代のジェットエンジンでは不可能じゃ。ただし、運動性向上にはエンジン、ノズル等を機体重心に集めるべきというのは分かったじゃろ?』と返された。

「確か、大佐の作った模型が……あ、あったあった」

黒江が趣味で作っていたコスモタイガーの模型を出して説明を行う。ハインリーケは兵站にも元々詳しく、(書類仕事は壊滅的)グランウィッチに覚醒し、黒江らと親しい立場であった事もあり、ジェット機の事を説明できた。もっとも、兵站重視の姿勢は前史から通しているが、判明した弱点は『悪筆なのに、タイプライターが苦手』という点で、黒江には今回、判明した時点で腹が捩れるほど笑われ、思わずエクスカリバーを叩き込んでいる。(敢えて食らって、その日は胸の辺りに包帯を巻いた格好で通したとか)

『ハインリーケ少佐〜、ルッキーニだけど、本艦に敵編隊が近づいているからさ、エクスカリバーで撃退よろしくね〜』

艦内放送がいいところでかかる。ルッキーニの呼び出しだ。ハインリーケは騎士然とした甲冑姿(コスプレ)を気に入っており、今回もそれを通していた。真面目なウルスラはツッコんでいいのか分からず、敢えて言及しなかったが、流石に言及することにした。

「あ、あの、少佐。その服装は……」

「妾が連邦軍のある連絡将校から頂いたものじゃ。未来で言うところのコスプレ衣装というものでの。元々、妾は貴族の出で、世が世ならば、騎士じゃ。それを思えば違和感はないぞ」

コスプレ衣装はよく出来ており、甲冑とスカートのバランスも取れている。ハインリーケも気に入ったのか、髪型を黒いリボンでまとめたポニーテールに変えており、声色もあり、そっくり度は満点であった。また、エクスカリバーの属性に雷も加わった黒江と違い、彼女の属性は風一本であり、その観点からも『お墨付き』なほどのそっくりさである。前甲板に上がり、艦から見て、前方から突っ込んでくるF4Uの編隊が見えた。横合いからでは未来火器の餌食になるのを見込んでか、主砲のある前方から突っ込んでくる。ハインリーケはそれを視認すると、剣型デバイス『エクスカリバー』を引き抜く。鞘のデザインもそれらしくなっており、柄にカートリッジ機能がついているなど、時空管理局にかなり予算を使わせたのが分かる。ハインリーケはカートリッジで魔力を増幅した上で、腕のエクスカリバーの力で威力を更に底上げする方法を用いており、エクスカリバーを小宇宙と魔力を複合させて放つ。そのため、放たれるその斬撃は、傍から見れば『巨大なビーム』にしか見えず、黒江が衝撃波であるのとは差異がある。

『さて、妾の故郷の聖剣ではないが……!』

エクスカリバーを金色に輝かせ、両手で構え、大きく振りぬく。その際に撃ち出される金色の光は『斬撃』と呼んでいいのかはわからない。が、本来ならば『グラム』などの北欧神話系の剣であるべきハインリーケだが、仕えた神の都合、どうしてもエクスカリバーになるのだ。

『エクス!!カリバァァァッ!!』

「エクスカリバーって……少佐、あれはブリタニアの神話で、私達の国の剣じゃありませんよ!?」

「仕方がないだろう?アテナから授かった剣なのだから」

「いやいやいや!?そもそもオリンポスがあるのギリシアですよ!?」

「まぁ、細かい所は気にしなくてよろしい。気にしていたら、色々と身が持たぬぞ?」

「それはそうですか……」

仕事を終え、エクスカリバーを鞘に納めるハインリーケ。黒江と黒田の影響で大らかなところが出来たらしく、以前には滅多に見せない温和な表情を見せた。グランウィッチ化した場合、前世の人生経験がプラスされるため、覚醒した時間軸での人物像とに差異が生じる事が多い。西沢の鬼教官ぶりと、荒武者然とした振る舞いや、黒江の純真さ、智子の面倒見の良さ、ハインリーケの温和さと人当たりの良さなどがそれに当たる。菅野や坂本のように、元からあまり変化がない例もあるが、芳佳のように、大きな変化を伴う場合も多い。ハインリーケの温和な態度はその象徴であった。





――当時、ウィッチ世界に広がりを見せ、一定の指示を集めていた『ウィッチ排除』論。トレヴァー・マロニー大将(かのジョージ・マロリーの実弟)を始めとする、ウィッチに纏わる軍事に関わる者の少なからずが支持していたが、未来兵器の登場が皮肉な事に、それに一定の説得力を与えてしまった。また、日本の一部政治勢力や中国共産党、ソ連邦残党などが新天地獲得と『ソ連邦の復活』(これは主にソ連邦残党の思惑)を真の旗印にし、『革命』を起こし、ついにはペテルブルクとモスクワの陥落も間近というところまでこぎつけていた。が、連邦軍が全面的に介入したことでクーデターは瓦解し、オラーシャ帝政は守られたが、サーニャ・V・リトヴャクの扶桑移住を招いてしまった。オラーシャ帝国英雄の資格を備えていた彼女のオラーシャからの脱出は、オラーシャ皇帝をして『我がオラーシャ最大の損失である』と大いに嘆くほどに甚大な損害と受け止められ、オラーシャ軍に残留したアレクサンドラ・I・ポクルイーシキン(サーシャ)が極めて早期に空軍元帥の座と、オラーシャ帝国英雄の称号を与えられるきっかけともなった。(サーシャの亡命が起こった場合、オラーシャ空戦ウィッチ部隊は二度と立ち直れないと見られたため)サーニャが祖国を捨てて、扶桑でその後の戦乱を生き抜いたという事実は、革命騒ぎの内乱の密告や監視社会の構築、英雄すら手のひら返しで迫害した民衆の浅はかさの象徴と記録された。サーニャが扶桑軍入隊後の1950年以後、今までのうっぷんを晴らすように戦果を挙げてゆくからだ。結果、強国・ソビエト連邦の復活を夢見たり、中国共産党の衛星国樹立、教官化した日本の実現を目指していた者たちの夢は儚く崩れ、肝心のオラーシャが前身の初期段階のモスクワ大公国時代並の国力に衰退してしまう散々な結果と終わった。独ソ戦と大粛清を合わせたような内乱による大損害は、オラーシャ新皇帝をして、『向こう120年は立ち直せないだろう』と言わしめるほどの損害であった。だが、これで膨張していた帝国という風船が萎んだ事で、国家財政は安定し、皮肉にも国体の維持に成功するという皮肉な状況となる――


――その逆に、扶桑は激しい妨害を余所に、超大国化せざるを得ない状況となり、ウィッチ世界がそれを望んだ事もあり、事実上、亡命リベリオンを保護国化した事もあり、連合国軍の実権を掌握してゆく。ただし、軍事・経済の飛躍の影で、ウィッチ達は苦悩の日々だった。それは後の三輪の台頭の予感を感じさせるウィッチへの不満の蓄積、一度は疎んじたレイブンズを祭り上げなくては、求心力を維持できない現況。それがレイブンズの栄達と復権』により生じた『歪み』とも言うべき必然であった。坂本もそれを受け入れた事で、レイブンズの流れを汲むウィッチらが絶対的な権力を持つようになる。三輪一派は太平洋戦争終了後、レイブンズの『専制政治』とも言うべき状況に不満を持つウィッチらを利用し、利用して切り捨てる事で栄達してゆく。レイブンズはそれを知っているが、それは歪みからの必然とし、二代目からの被害者の詳細の報告により、『救済』に力を入れてゆく事になる。――




――戦場――

「あ、あれはイサムさん!?それもYF-29!?な、なんで!?」

黒江は変身とギアを纏った状態なので、口調が微妙にあーや寄りになっている。上空を飛ぶYF-29が、尊敬するイサム・ダイソンのパーソナルカラー(YF-19以来、イサムはクリーム色を好む)に塗られている事に気づいたのだ。イサムは黒田からデータが送られていたため、黒江に気づき、バトロイドで挨拶をした。

『よう。随分と可愛くなってんな?いつから魔法少女やり始めたんだ、おい?』

『イサムさんこそ、いつからYF-29に乗り換えたんすか?』

『ヤンの奴にテスト頼まれてんだよ。29はフロンティア船団で使われた試作機が不時着で放棄されたから、残りのテストを俺がやることになっちまったんだ』

それはアルトの事で、その場に居合わせたため、ヤン・ノイマンが愚痴り、事後に新造された機体のテストを頼まれた。ちょうど19ADVANCEのテストが終了し、予定が空いていたため、29のテストもそのまま押し付けられた形だ。

「あれ?イサムさんじゃーん。邦佳さんから呼ばれた?」

『そういうわけだ。お前ら、なんか今回は変わった格好だな』

「まー、ほんとーは畑違いの分野してますし」

芳佳が挨拶する。すっかり口調が杏になっていて、バルクホルンが(クソ、か、カワイイ!)と悶そうな状態になっている。

『スーパーパック装備で来たから、ミサイルもたんまり持ってきた。俺のカワイイ娘ちゃんと違って、こいつは四発だから、感覚掴むのに多少かかったぜ』

「29はSFよりの設計ですからねー」

イサムは19をこよなく愛していて、カワイイ娘ちゃんと形容する事が多い。芳佳らの前でもそれを通すので、筋金入りだ。

『最近使ったカワイ娘ちゃんに新型ブースターと、ファイターだとあんまりかわんねぇけどバトロイドで推力配置が違うのが参った。馴れたら快調だけどな!ん?お前、その姿で一〇〇式機関短銃かよ?もっとマシなの無かったのかよ』

「自衛隊に行って、74式車載機銃探してもらったけど無くて。62式だけは嫌だったし」

「しゃーねー。確か、ここから近くに連邦陸軍の前進拠点が設営されてたから、そこでミニミと取っ替えてこい。俺の名前出していいから。あそこの拠点の責任者、俺のハイスクール時代の後輩なんだよ」

「おぉ〜!良かったぁ!早速行ってきます!」

ミニミ軽機関銃は性能バランスが良かったからか、23世紀でも使用と採用は継続されていた。そのため、改良が重ねられたモデルが入手できるのだ。自衛隊と米軍の使用しているものより何度も改良が加えられたものが。それを直感的に悟った黒江は喜び勇んで、ギアのローラーを使って向かっていった。最も、自衛隊製のものは製造元の不祥事で性能が劣化しているため、黒江は元から米軍製のを引っ張ってくるつもりだったのだが。

『お、あいつらが上にいるのか。ちょっくら挨拶代わりにぶっ放つか』

「ハイマニューバーミサイルの経費は?」

『S.M.Sにでもツケとけ!』

イサムはミサイルを、マルセイユとハルトマンが相対しているF7Fに向けて放った。S.M.Sにイサムは出向しているため、芳佳にそう言ったのは間違いではない。

「宮藤、ミサイルとはそんなに高いのか?」

「誘導装置入れると値段が跳ね上がるんですよ。高い時代だと、一発で億が吹き飛んでました。23世紀は生産量が増えたり、工場の自動化で安価になったほうですけど、それでも100万近くはいきますよ」

バルクホルンに説明する。ミサイルは23世紀ではセット販売もできたので、自家用機の自衛用に積む者もいる。それでもセットが10万近くする『ちょっと高い買い物』だ。

「そうか、それでミーナが前史で書類を見るのにビクついていたのか」

「はい。フリーガーハマーの花火と違って、ミサイルは誘導装置の分、費用がかかりますから。フリーガーハマーの感覚で考えてると、目回しますよ」

ミサイルはマイクロミサイルの実用化まで、値段の高騰化に各国の軍が悩んでいたが、連邦軍時代にその懸案事項が解決されると、ミサイル搭載量が跳ね上がり、一個のパックに40発は当たり前の時代となっている。ミーナが目を回したというのは、ミサイルランチャーの値段だろう。

「今回はちゃんとメーカーから技術者とか呼んで説明させるから、前史みたいに、隊長が赤っ恥晒すの無いと思いますよ。黒江さんたちにも言ってありますし」

「そうか。それは良かった。これであいつも前史のような赤っ恥を晒さずに済む」

安堵するバルクホルン。上空で展開される『板野サーカス』を仰ぎ見ながら、イサムのYF-29と共に、三人は鏡面世界に入れ替えたロマーニャの地に立つのだった。



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