外伝その135『舞台裏』


――ダイ・アナザー・デイ作戦に日本の自衛隊が駆り出された裏には、日本連邦としての義務という事と、2017年時の若者にあった『扶桑に軍事的負担をかけていいのか』という世論があった。その当時、日本連邦としての組織運用が軌道に乗り始め、周辺国が扶桑が持っている強大な軍事力への恐れ、学園都市のロシア軍駆逐、朝鮮半島への扶桑の軍事制裁が効き、領土問題がいっぺんに解決した事で、軍事的行動に若年層が抵抗感を無くした。もちろん、大日本帝国の再来を恐れた層は扶桑側の軍事力を削ぐために、あらゆる手段を講じた。その内の一つが、黒江らも懸念している『少年兵』問題だった――






――日本側で2016年前後(扶桑側の1945年7月)。少年兵と見なされた扶桑ウィッチ達の若年層は、その軍籍を日本連邦の法制で実質的に『なかった』ものとされ、当初は社会復帰方策も模索されたが、扶桑側の国民からの猛抗議(軍学校などへの再入学に学費を請求したなどの問題)により、ウィッチで比較的年長である15歳を数ヶ月過ぎた層以降を『軍人』とし、年中である14歳以前の若年層を『事実に則って軍属にする』と扱った。これは、正式な連邦法の制定までの経過措置であるものの、人員不足に悩む扶桑への日本の政治的配慮だった。扶桑は比較的ウィッチの人数は多かったが、未来世界の介入以前の名残りで、18歳〜20代の層がそれ以前の層より圧倒的に少なく、高年齢層が見るからに先細りしていた事、満15歳でないと『軍人』と扱わないと規定された混乱、人類間の戦争のショックで新規志願数も減り、自衛隊や米軍からの、若年層の年齢不相応の高階級への反発などから、経過措置として、『44年までに志願した者は昇進などに志願当時の規則が充てがわれ、日本連邦軍の認定試験に合格すれば、正式な階級を維持できる。そうで無い者は認定試験に不合格の場合、正式な階級は最大で三階級降格するが、任務遂行への混乱を考慮し、勤務階級の維持と給金の保証は確約する』とされた。この規則は波紋を呼んだ。ウィッチ達が不相応までに高い階級なのは『名誉的意味合い』も含まれていた。しかし、純軍事的な戦争には不都合が出たので(おおよそ一年未満の速成教育を受けた層では、ロジスティックスの概念への理解が薄いなどの難点が目立った)、勤務階級の維持は軍事的混乱を避けるためと、彼女達の名誉に考慮した事項だった。この事はウィッチ世界の全世界の軍隊に波及し、ダイ・アナザー・デイ作戦に参加した全ウィッチの中核になっていた層は、この試験を合格し、正式な階級を自らの努力で維持した層である。また、戦功と試験で階級が上がった例もあり、黒江達は大佐と少佐(智子は当時、尉官だった)、ハルトマンとバルクホルンも少佐に上がり、皇帝の頼みで爵位を得た。(マルセイユは中佐へ)ハインリーケ(アルトリア)はブリタニアの王位経験者である経歴により、大佐への昇進が約束されるなど、この処置で利益を主に得たのは、Gウィッチ/Fウィッチ達だった。彼女らは階級の昇進が試験を経て行われた後、各国政府により、『ウィッチの範』とされた。それが現役世代からの反発を招いていた。ハインリーケ(アルトリア)達は当時の現役だったので、まだ良かったが、黒江達は当時の一般常識では『エクスウィッチ』だったのが、扶桑の誤算であった。当時の一般常識として、扶桑のエース達は事変当時の若年層だったレイブンズもそうだが、その大半が20代に達しているので、往年の威光を知らぬ層が多くなっていた。特に45年では、坂本すら引退する年齢に達していたので、尚更だった――


――扶桑国内のある訓練校――

「本校はウィッチ専門学校としての責務が明確化された。諸君らは栄えある改編後の一号生である……」

47年までの任期で、扶桑国内のウィッチ訓練校の校長に任ぜられた北郷。扶桑海七勇士にしては閑職に思えるが、意外に重要事だった。当時の状況下では、扶桑海七勇士の記憶も薄れており、現役の高年齢層でなければ、その実像は知らなかった。智子が43年以降にお局様扱いされていた理由も世代交代にあり、七勇士達が実在する事すら知らない世代も出てきていた。そのため、七勇士では最年長の一人だった北郷は、戦争前の期間、訓練校の校長に添えられたのだ。また、レイブンズが空軍幹部に内定し、その復帰と活躍が華々しく報じられていた頃でもあり、若手中心に、突如として舞い戻ったレイブンズへの反発も存在していた。北郷はそれを憂い、候補生らへこう訓示した。


「ウィッチとして訓練を積むのは、怪異(ネウロイ)討伐が第一義では有る。だが、ウィッチの力で成せる事は他にも多い。軍に進むものは、ウィッチとして怪異の討伐以外に他国との紛争や海賊、テロリスト等の人間との戦いも待っている。古来、扶桑には女武者や天狗と呼ばれたウィッチの先祖の話が多い様に、人々の争いに加わるウィッチが多かった、何故か!それは其々が守りたいものの為に戦う事を決め、武器を振るっていたのだ。此所に集った若きウィッチ候補生が守りたい何かを見つけられることを、その為に必要な物を得ることを応援する。そして、レイブンズ達の様にウィッチの力だけでなく、人間の可能性を追いかけ色々な事を学び、吸収してくれる事を期待する」

北郷は七勇士の最年長にして、最高の剣士と謳われたが、実際のところの中心はレイブンズだった事を知っている。当事者であり、坂本に次いで、Gウィッチとなったからで、黒江達が事変時に19歳の自分の顔を立ててくれた事も恩義を感じていた。黒江も、北郷が坂本の孫の面倒を前史で引き受けていた(曾孫に当たるためもあるが)恩義があるので、お互いに気遣いあっていたと言える。北郷は前史での曾孫である百合香が今回も生まれ、同じ道を辿る事は、黒江の義娘の翼から伝えられており、今回は坂本がその成長を見届けられるだろうと喜んでいる。その仲介で、坂本と北郷は自分たちの子孫に当たる百合香との記念撮影を行っていた。百合香は任官後の17歳の時間軸から来ており、その容姿は二人の特徴を程よく受け継いでいた。坂本は百合香へは前史での負い目から、今回はいいおばあちゃんであろうとしており、偶々に扶桑に旅行しに来ていたミーナに『うちの孫娘だ』といつもの調子で紹介していたりする。また、ミーナも作戦中に、ある変化が生じていた。北郷に赤松から連絡が入ったのは、訓示のすぐ後、校長室に戻った時だった。

「ああ、赤松か。私だ。……ミーナ大佐に変化だと?詳しく説明しろ」

北郷は赤松を従卒にしていた過去を持つので、赤松に命令口調が取れる。赤松が言うところによれば。


――作戦中の最高司令部――

「何、ミーナが高熱出して寝込んだぁ?」

「なんか急に来たらしいんですよ。こりゃ、覚醒とまでいかなくても、誰かと共鳴した結果かもねー」

駆けつけたハルトマンに、芳佳が言う。芳佳の口調は角谷杏のそれだ。

「誰かって?」

「ドイツ的意味で、西住ちゃんのお姉ちゃんかもしれない。ほら、声似てたでしょ」

「山本じゃなかったのか」

「玲さんじゃないのは意外だったけどね―」

「そうしたら、考えると面白いことになるなぁ。ミーナは空軍だろ?西住姉は陸軍だろー?どんな化学変化が起きるか」

ハルトマンは、ミーナが共鳴を起こした相手が黒森峰女学園の西住まほであることを悟り、微笑う。恐らく、西住流の考えをそのまま反映するだろう事は予測が付く。芳佳がリーネと別行動を取っているのは、この事に備えての事だ。

「ミーナが倒れたのは何時?宮藤」

「えーと、3時間前ですから、そろそろ起きる頃ですよ。あ、噂をすれば」

「宮藤、状況報告。何があった?」

「ハッ。二時間前、北ロマーニャ戦線の放棄の決定がなされ、主戦場はヒスパニアに移行しました」

入ってきたミーナは空軍の軍服ではなく、ドイツのタンクジャケットを着込んで入ってきた。二人の予測は当たったようだった。

「敵の主力は何か?」

「多くは旧来のM4ですが、北ロマーニャにはM26とM48の姿も見受けられています。ですが、それは初期生産だろうと思われ、数はそれほど確認されておりません」

「数の暴力にしてやられたという事か。ロマーニャ軍の連中は何をしていたのだ?」

「戦場でパスタでも恋しがってたんでしょう」

「ロンメル麾下の装甲師団は?」

「現在、南ロマーニャ戦線で苦戦中です。すでに20両のW号G型を喪失したとの事です」

「ロンメルに通達。私が一個装甲大隊を率いて出る。連邦軍の第3機甲師団に連絡せよ」

「了解!」

ミーナはなんと、西住まほが取るであろう行動を取った。自ら陸戦ストライカーで出ると宣言し、連邦軍の機甲師団に連絡を入れた。それに芳佳も随行し、ある意味では凄い光景が繰り広げられていた。負傷し、医務室で目覚め、ミーナに報告しようとやってきた『ハイデマリー・W・シュナウファー』はハルトマンから事を聞かされ、驚愕していた。

「あー、ミーナならいないよ。出撃していった」

「え?でも、整備兵の皆さんに聞いたら、出撃していないと」

「それは航空。陸で出ていったのさ」

「……は?」

「いやー、あたしも説明しずらいんだけど、これを見てくれ。リアルタイム映像だ」

「……???」

「ティーガーTとパンターU。動かしているのが二人だ」

ミーナはすっかり西住まほに染まっている顔をし、芳佳は角谷杏としての顔になっていた。二人はロンメル麾下の師団の救援に趣き、敵の側面を突き、M4中戦車をアウトレンジし、距離2000mで百発百中の精度を叩き出し、リベリオン軍を恐怖のどん底に陥れた。

「ヤンキー共に目にもの見せてやる。宮藤、外すなよ?」

「りょ〜かい」

二人の声が聞こえてくるが、声色が若干異なっている。2000mで必中、しかも側面を突けるあたり、技量の高さの証明だった。陸戦の素人のはずの二人が、いきなり陸戦のプロになるのは、余りにも凄まじく、ハイデマリーは言葉を失う。

「んー。戦車砲は四キロは届くから、二人は確実性を取ったな。2000mなら観測もし易い」

「何故、4キロなのです?」

「それを超えると地平線の向こうだから観測が難しくて戦車には意味がない距離になるんだ。戦艦と違って、照準器が人の目の高さだしな。それと、戦車戦は最大射程より近い距離で打ち合うのが当たり前だ。実際の戦車戦だと、いい位置取りも重要要素になる。ダックイン戦法もその一例だ」

「それと高低差も効くし、徹甲弾が世代交代するまでは『避弾経始』も重要要素だったな」

「あれ、トゥルーデ。来てたんだ」

「話が聞こえてきてな」

「少佐達はなぜそんなにお詳しいのですか?空軍だから、陸戦の事は門外漢のはずでは」

「降下猟兵いるし、それと、今後は戦闘機と爆撃機の境目が曖昧になって戦闘機で対地攻撃するようになるから勉強したんだ」

「なるほど……」

降下猟兵にも触れる。あの兵科の所属は空軍であるからだ。

「例えば、この映像。自衛隊から借りてきたものだが、レーザーJDAMという奴の映像だ。250ポンド爆弾に精密誘導攻撃能力を与えるものだで、簡単な改造で普通の爆弾が誘導爆弾に変わる。」

「これをウルスラに見せたらさ、あいつ、驚きのあまり固まってさ〜」

二人が見せたデモムービーに固まるハイデマリー。技術の進歩の凄さをまざまざと見せつけたわけだが、飛行機もマルチロール機が増え、専業の戦闘機は絶滅危惧種である。もっとも夜間戦闘はそれなりに技能のいる事には変わりなく、夜間戦闘力も世代によっても差異がある。

「如何に機械が進歩しても、扱うのは人間だ。そこのところは同じだ」

「夜でも昼間のように物が見える装置も有るけど、強い光で故障して使えなくなるしね。23世紀になっても、基本は変わりない。そういうことだよ、ハイデマリー少佐」

「そうですか。では、お二人にご報告することが。モンタナ級戦艦の一隻に、艦首に二つのドリルがついた大型のものを確認しました」

「なにィ!?それはどこだ!?」

「私が基地を飛び立って、哨戒していた際に遠目に。恐らく、アフリカ大陸の北で停泊していたものと」

「トゥルーデ!全軍に非常警報!!ラ級が現れるのは時間の問題だ!!」

「分かっている。全軍へ緊急事態の発生の知らせを急げ!!状況『D』だ!」

司令部が慌ただしくなる。きょとんとするハイデマリーだが、自分の報告した事が重大な事態を招くのだけはわかった。

「あの、バルクホルン少佐?」

「ハイデマリー少佐、これは我々の想定している最悪の事態に近い。その戦艦は恐らく、ラ級だ!」

「馬鹿な、早すぎる!」

ハルトマンが真面目に嘆くので、事はかなり深刻である。

「ラ級とはなんなのです、少佐」

「未来世界で生み出された空中戦艦だ。元から核兵器でないと外装の破壊も覚束ない重装甲を誇るが、23世紀の技術で改造されているとしたら……恐ろしい怪物になる!」

バルクホルンが焦りを露わにする。ラ級戦艦。ラ號と同程度の性能を持ち、艦首か艦尾にドリルを有する構造の空中戦艦を指す。23世紀型はそれに波動エンジンを積み、外宇宙航行能力を持たせた改良型であり、それとなっているなら、連邦軍の切り札『ラ號』と互角に渡り合える事になる。

「少佐!」

「どうした!」

「第3艦隊より報告!『ワレ、セントウゾッコウフノウ』とのことです!」

「映像を出せ!」

「ハッ!!」


第3艦隊。扶桑/ブリタニアのそれなりに有力な艦を揃えた陣容のはずだったが、キングジョージ級の一隻が彼女らの見ている前で、鎌首をもたげて、吸い込まれるようにして沈没していく。

「今の艦はどれだ!」

「はっ、アンソンかと思われます!」

「不運な。卿は喜ばれるだろうが、こうも凄惨とは…」

「旗艦の尾張より入電。ワレ、後部第4主砲塔に直撃弾、主砲の回転機構に異常発生。艦橋に直撃弾なるも、司令部要員は生存と」

「当たりどころが良かったか。尾張の映像は出せるか?」

「出ました」

「おお……後部が滅茶苦茶だな」

尾張は艦橋も非装甲部をゴッソリと持って行かれ、射撃指揮は後部の予備側へ切り替え、司令部要員は指令塔内部に居て無事であったが、これで予定されていた航空戦艦改装が確定する。バルクホルンもG化で船のことには、甥っ子のおかげで詳しくなった(前史でバルクホルンから足の自由を奪ってしまった事故を起こす甥は、青年期、軍艦オタクだった)ので、損傷の深刻度は分かる。尾張の純然たる戦艦としての艦歴はここで終わると。被害は上部構造物に被害は集中し、船としてはまだ使えるが、戦艦としては後部の損傷が特に酷い。敗走する第三艦隊は一矢報いる事もできず、旗艦の尾張と駿河、それとハウが生き残った護衛艦らと共に、無残な落ち武者ぶりを晒す。対峙したモンタナには損傷はない。恐らくは第3艦隊の戦艦の主砲と副砲が合わせて30発は直撃したはずなのに、だ。いや、副砲の一個が沈黙している。集中砲火を浴びせたのに、それしか損傷していない。あとは甲板の機銃が吹き飛んだくらいか。その程度のダメージは負わせられたが、ショックカノンでハウは第一砲塔をごっそり持って行かれ、甲板がその熱で一部溶解してすらいる。よく沈没しなかったものだ。

「尾張の司令部より入電。『30発の直撃弾にも関わらず、敵艦は僚艦を尽く撃沈。我が艦隊は優秀な将兵を尽く喪失ス』と」

「やはり、紀伊型戦艦では駄目だったか。せめて加賀と土佐が使えればな」

「紀伊型も悪い船じゃないけどさ、元が天城型巡洋戦艦の設計改正型だから、装甲薄めなんだよな」

「これで航空戦艦化は確定だな。武蔵でテストしていた垂直離着陸機の第二のテスト台になるだろう」

「これで戦艦の舷側装甲が400ミリないといけない時代に本格的に入ったな。紀伊型の装甲厚だと、もう役に立たないね」

「仕方がない。紀伊型戦艦はポスト・ジュットランド型のごく初期型に入るんだ。新戦艦が現れた時代では時代遅れだ、ハルトマン」

ボロボロになって、港に帰還した尾張の姿は、八八艦隊型戦艦の檜舞台からの退場の象徴として、日本の新聞紙でも取り上げられた。戦いに傷ついた尾張と駿河は、時代の騎手が大和型に移った事の証明とされ、日本海軍在籍経験者らはその姿に涙した。日本では大和型が持て囃されるが、扶桑海事変での新鋭艦だったので、紀伊型戦艦はそれほど古い戦艦ではない。むしろ大和型に対抗するために造られた艦の急速な登場が異常なのだ。日本側からは『設計古いし、超大和型戦艦をもう一隻増やしたら?』と無思慮な発言も出たが、超大和型戦艦は一隻の調達費が高いのだ。そのため、45年に三河が建艦されている。

「やっぱ扶桑には、ヤマトタイプを追加してもらわないとな。もう一隻くらい」

「扶桑は元々、大和型を四隻でローテーション組むはずが、必要上、もう一隻増やす必要が出たらしいからな。あれだけの贅を尽くした艦を量産するなど、予定外だったのだ。艦政本部も大慌てらしいからな」

「艦政本部ねぇ……あそこ、最近面食らう事増えたね」

「コンパクトな艦艇を志向していたら、空母艦載機の大型化とジェット化、18インチ砲時代で大型化が起こったのだ。しかも、未来情報で空母はそれが正しいと来ている。未来世界の空母は平均で400mは超える。それを目の当たりにしたのだ。あれらをみると、感覚が狂うぞ」

――艦政本部は未来世界の超戦艦や超空母を見た後なので、大型艦艇の整備には抵抗感が無くなった。未来世界の要請もあり、港湾再整備に乗り出し、扶桑海軍はダイ・アナザー・デイ作戦中も着々と港湾設備の更新を進めていた。同時に、海自護衛艦タイプの艦艇の建造を進め、旧来型の軍事要塞にミサイル装備を加えるなど、独自の防衛網を構築し始めていく。扶桑軍は戦艦の海岸からの近接迎撃も考慮に入れていたため、海岸要塞の維持を続けており、ある意味では、第二次世界大戦以前の軍事的資産を21世紀以降の技術で手直しするという防衛策が取られたのは、21世紀では、すでに絶えて久しい『戦艦』の確実な撃沈方法が潜水艦による攻撃しかない事に不安を持った扶桑軍の気持ちの表れと言える。ダイ・アナザー・デイ作戦は、こうして日本にも影響を及ぼしていた。また、ロンド・ベル所属者が多く戦線に参加しているため、ロンド・ベルにラー・カイラムの借用要請が出されている。ロンド・ベルも作戦中に要請を受理し、手土産という形で、黒江達の補給拠点として使用されるに至る。艦長は武子が務め、副長は腹心の檜少尉であるなど、前史でのアルバトロスの指揮の際と同じ組み合わせであった。そのラー・カイラムが扶桑に送られたのもこの日であった――



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