外伝その151『Dead or alive』
――連合軍はおおよそ、二つの地区で地上の戦線を構築していた。一つは対リベリオン軍のヒスパニア方面ピレネー戦線。もう一つは特殊な事情で(マジンガーZERO用)で空間ごと入れ替えを行った南ロマーニャ戦線である。北ロマーニャは日本が政治的都合で防衛戦に拘ったために早期に放棄が決定されたので、黒江達の戦う鏡面世界は南ロマーニャになる――
――南ロマーニャ戦線では、マジンカイザーとキングダークががっぷりと組み合っての格闘戦を繰り広げているのだが、バダンは更なる増援を用意していた――
「ん、時空魔方陣!増援を送り込んで来たな……おう、こいつは驚いた。ライオトルーパーだ」
「スマートブレイン社も奴らの影響下だって、あいつから聞いたことはあるけど、これが隠し玉の一つか。十万単位で来やがったぜ」
バダンは、キングダークをマジンカイザーに抑え込まれたため、別世界で大ショッカーの影響下にあったスマートブレイン社のツテで『ライオトルーパー』と呼ばれる量産型仮面ライダー555とカイザと言える者達を十万単位で投入してきた。大ショッカーは平成仮面ライダーの敵も配下に取り込んでいた。当然ながら、仮面ライダー555の世界の仮面ライダーを構成する技術はスマートブレイン社が生み出したので、それを大勢用意するのは容易い事である。ショッカーライダーをそのまま量産するよりも遥かに廉価なコストしかかからないため、ライオトルーパーは組織も『通常の戦闘員よりは強い戦闘員』扱いで採用されていたが、そもそもライオトルーパーを含めた技術はその世界の人類の進化形とされる『オルフェノク』を前提にしたもののはずだが、大ショッカーとしての影響力の大きさを垣間見せた。
「あれだけのライオトルーパーを揃えるには、相応の数のオルフェノクが必要の筈だけど、555の近接世界からも揃えたのか?…っていいたいくらいだぜ」
「ええ。あれだけのライオトルーパーは、一つの世界じゃ賄いきれませんからね……。私やレヴィさん、のび太くんはともかく、マリアと切ちゃんは、そろそろ下がらせたほうがいいですね…」
「な、なんでデスか!?」
「響さんはともかく、マリアと切ちゃんはギアの展開時間がそろそろ限界のはず。ドラえもんには連絡してあるから、翼さんが送られた後方に下がって」
「調、どうしてなのデスか……?」
「君の力はあくまで時間制限のついてる代物だよ?しかも時間が立つと、効用は薄れる。LINKERって薬が無いと戦えないんじゃ、長期戦は無理だよ」
アストルフォが調の言葉をフォローする。今の調は黒江と同様に『慣れていないと冷たさを感じさせる』判断を下す性質がある。生粋の軍人である黒江の戦局を見極める性質を受け継いだのだ。
「後方へ行くついでに、ドラえもんに敷島弾薬グロスで送ってって伝えて。お願い!」
「は、はいデス」
「こりゃ……やれねーこたねぇが多少覚悟しとかねーとマズイか?」
迫りくるライオトルーパー軍団だが、のび太も弾数がオケラに近いことを示唆し、仮面ライダー達もスタミナが切れ始め、オールレッド戦隊も、三大メタルヒーローもあまりの数に押され、疲弊の色が見え隠れし始め、武器の損傷も蓄積している。さしもの仮面ライダーストロンガーも『覚悟を決める』かのような台詞を吐く。珍しいことだった。
「さっきの聖剣でどうにかできないのデスか!?」
「ポンポン撃てたら苦労はありません。私達が抑えている内に、早く後退を!」
アルトリアも流石に焦りを見せる。一騎当千の実力を持つが、流石に大技はそうそう使えない事も明示する。
「そうだぜ。オレたちは既に一度『おっ死んでる』から怖くはねぇが、オメェらは正真正銘の生者だからな。命は粗末にできねぇだろ?まー、お前らんところの馬鹿はまだまだ行けるらしいけどな」
モードレッドも言う。自分達『英霊』、あるいはそれに値する資格がある者は『死』を経て転生したり、人の肉体を捨て去ったり、未来永劫、地球のために戦う運命を背負っているので、敵を前にしても引き下がらないが、それに『生者』であるマリア、切歌などを巻き込むのは忍びないという優しさを垣間見せる。モードレッドが響を馬鹿と言ったのは、おそらく、その精神の歪み(家族仲が修復されて尚も、自分の居場所を失うことへの怖さは持ち続けているため、たとえ英霊たちの言葉であろうと引き下がらない点を指しているのと、モードレッドの声質が櫻井了子=フィーネに似通っていたため、守りたいと考えたのだろう)を指している。
「あの馬鹿、オレの声が『貴方の声、どこか、了子さん……フィーネに似ているんです!』って言いやがってな。他人の空似だっての」
「すみません。立花響はスイッチが入ると突っ走る性格なので…」
「いいさ。オレは生前、母上に認められたいために、反乱起こしたからな。それを思えば、あれくらいの馬鹿は見てて気持ちいい」
マリアが一応、モードレッドに謝っておく。響は一度、『スイッチ』が入ると、親友の小日向未来でないと、彼女を諌めることは甚だしく困難である。黒江が嫌がっているのは、自分に演技を半ば強制し、恫喝とも取れるほど強い調子で迫ったほどの悪癖である。これは事の詳細が明らかになり、黒江が切歌とマリアに対しては非情と受け取れる見通しを言った事で、『調の家族と居場所を守る!』と、トラウマのスイッチが入り、歪な自己犠牲精神から、後先考えず、黒江も引くほどに強く迫った事で、辟易を買ったからだ。
「ああ、あいつ、綾香に調の元の世界での居場所を守るためだーとかって綾香を半分脅す形で迫ったんだってな?未来から聞いたぞ?」
「ええ。私は『個人的な願い』って、前置きしてから頼んだのだけど、立花響は『義務』みたいに言って迫ってね。私達は当然、諌めようとしたけど、聞かなくて」
レヴィにマリアはそう答える。響自身も、後で小日向未来に諌められ、謝罪を促されてから、編入試験を終えた黒江に謝った。黒江も未来の顔を立て、それ以上は別に追求していないものの、不満は一応、述べている。
「そんな事があったんデスか?」
「切歌、貴方はショックでその時の記憶が無いから、ある意味では幸せね。その時、かなり揉めたのよ、立花響と」
「え!?」
「掻い摘んで言うとね、皆に諌められた立花響がトラウマスイッチが入って暴走しちゃってね、黒江綾香が闘技ですぐに止めたけど、気まずい雰囲気になってね…」
黒江の存在はまさしく、シンフォギア世界にはイレギュラーであった。フロンティア事変の後に起こり得る事は、マリアと切歌が国際法廷で裁かれる事であった。黒江が成り代わりを起こした後は、一貫して基本的に善行をしていた事もあり、調はF.I.Sのテロリストとしてではなく、『日本の新たなシンフォギア装者である』と認知されていた。(その辺を含めて、マリアたちの活動をこまめに潰して大きな被害は避けたが、やはり被害は出ている。主に、シンフォギア装者すら超越した黒江の戦闘レベル由来の被害であるが)マリアと切歌は国際法廷で死刑になる可能性が濃厚だったので、響はそれを知った事で、二人を国際法廷からなんとしても守ろうとしたのだろうが、響らしくない感情的な『暴走』と言える。国際法廷は日本政府が調(黒江)の判明した前歴と、それに該当する行方不明、あるいは過去に死亡したとされる子供(調のそもそもの出自は、調神社の宮司の死亡したとされる孫娘である可能性が濃厚。かなり幼少で拉致されたので、調の肉体が持つ記憶に両親の記憶は無い)のことで米政府を脅せば、法廷の裁きを有耶無耶にできる。黒江はそれを予め、風鳴弦十郎に頼んでおり、それはフロンティア事変の最終決戦の段階で実現しつつあった。それは極秘だったので、響達には知らされなかった。その齟齬が黒江には災難になったが、合法的に高校生生活を送れたという点は感謝してはいる。小日向未来は事を理解した上で黒江を補助し、響にちゃんと『演技を強制した事を謝罪させている』。その点から言えば、未来は黒江からも好意を持たれているのは確かだ。
「細かいことはは後で説明するわ。私達は私達に出来る事をしましょう、切歌」
「マリア……」
そう言った瞬間、マリアのアガートラームが自動解除される。その次の瞬間には切歌のイガリマも時間切れを迎える。LINKERの効用が切れたのだ。その点が過去の調を含めての『後天的装者』の重大な弱点である。響は圭子が脅して脱糞した上に失禁して伸びたクリス、負傷して治療中の風鳴翼を除くと、響は唯一の純然たるシンフォギア装者になるが、元の世界でのフルポテンシャルは世界の理によって、シンフォギア世界では同一物とされるロンギヌスの槍の因果がガンニグールと分離させられ、その力は封じられたため、実質、ガンニグール本来の能力のみで戦っているに等しい。シンフォギア世界で、神殺しの哲学兵装であるはずのガンニグールが黒江に通じなかったのは、『神でありながら、人としての肉体を持ち、尚且つアテナの加護があった』ためであると思われる。
「響さんはなんだか苦しそうデス…」
「それもそうよ。相手は異形の化け物ではあるけど、元は人間だった者達よ。いくら理性が無くて、流れ作業的に倒せって言っても、そう割り切れるものじゃないわ」
怪人は異形の姿だが、人としての風体は保っている場合が多い。元の世界での介入行動と違い、求められているのは『完全殲滅』であるのもあり、頭で理解しても、体は拒否反応を示しているのだろう。しかも今まさに向かってくるライオトルーパーは完全に『強化服を着た人間』と言える姿である。それらへ自分のフルポテンシャルが世界の理レベルで封じられたことでの恐怖が湧いたらしい節もあり、動きにキレが無くなって来ている上、精神的要因からか疲労している。
「あの子はしばらく休ませるしかないな」
「俺達はまだまだジャンジャン行けるが、あの子は精神的にキツイだろう」
「とりあえず、智ちゃん、あの子に休むように言ってくれ。精神的に不安を抱えた状態で戦っていては死ぬぞ」
「分かりました」
智子は一号と二号に従い、響を下がらせようとする。響は『まだ戦える』と譲らないが、精神的要因をつつくと急に取り乱し始める。そこが響の歪さであり、黒江が嫌う点である。
「あー、もう面倒い!手荒だけど!」
智子は面倒くさいと言わんばかりに、仮面ライダー555の必殺技の一つ『グランインパクト』を叩き込む。強力なエネルギーをぶち込んで黙らせるが、手荒な手段である。響はガンニグールに大きく依存しており、その力を他人が使ったり、それが通じない(黒江にはひたすら翻弄されるのみだった)時はガンニグールの力は絶対だと躍起になり、ひたすら攻撃する。後先考えずに、だ。
「さて、この子はしばらくその辺の建物の中で眠らせておきましょう。グランインパクトをぶち込んだから、オルフェノクなら灰化するんだけどなぁ。面倒は頼むわ」
響は聖遺物と融合していた名残りと、更に神獣鏡の洗礼で、シンフォギア世界の『神の力』を宿す器たる存在になったためか、クリムゾンスマッシュやグランインパクトを食らっても耐えられる体質になっていた。それはフォトンブラッドの毒性に耐えられるだけで、ダメージを食らわないわけではない。そのため、昏倒させるに留まる。とりあえず、マリアに伝言を頼む。最も、フォトンブラッドは通常の人間への毒性はないが、響の場合、聖遺物と融合した名残りで、人類の進化形の一つとされるオルフェノクに近しくなった事も考えられるのだが、それはないだろうとは、調の推測だ。
「伝言を頼むわ。『戻る側にも丸腰じゃ申し訳が立たないから、貴方達と近しい響が必要だった』って」
「それは、立花響を納得させるための詭弁?智子」
「仕方がないわよ、この子、綾香も言ってたけど、自分の力に大きく依存してるもの。相手の力量も見極められないんじゃ、死ぬだけだもの」
マリアも、智子も考えることは同じだが、智子の考えた説明は詭弁だとはっきり述べた。
「言い訳がましいけど、間違ってはいないわ。立花響はガンニグールに大きく依存している。それが私達の世界との縁が無い別世界では命取りになる…。この子はおそらく、その整理がまだついていないんでしょうね」
「いざとなったら、私が拳で分からすよ、マリア。智子さんや師匠の手を煩わすのは悪いしね」
「全く、こいつ(響)は相変わらずだなー」
「あ、師匠」
「よっ。遅くなっちまったぜ」
「師匠、私の容姿使ってるんですか?」
「ああ、ウチのガキ呼んでるから、元の容姿は避けてくれと言われてるんだよ」
「ああ、娘さん」
黒江は自身の聖闘士としての後継である義理の娘に聖衣を貸している上、娘の容姿が生き写しであるため、容姿を変えている。調と同一の容姿だが、髪型のみポニーテールに変えている。聖衣は射手座である。聖衣を色々と借りているというのも凄いことだが、黒江は変身している時は元の身長よりは低いが、それでも、160cm半ばと高めの身長で調整している。
「貴方、成り代わりから開放されても、その姿を取っているの?」
「タイムマシンでウチのガキを呼んできてるから、誤認を避けるためだよ。同じ星座を継いでるしな」
「貴方、山羊座が本来の星座って」
「つっても、ウチの家系は代々、特定の星座に留まらない遊星みたいな守護星なんで有る意味何でも屋な面は有るな。山羊座は娘に貸し出してるから、射手座を借りてるんだよ。智子は今回、聖衣は使わなさそうだしよ」
「貴方の娘もやはり?」
「アロンダイトと草薙を持ってる。山羊座は代々、コスモの覚醒で剣が宿るイメージが来るを持つ定めだしな」
「娘さんのお名前はなんデスか?」
「黒江翼。お前らがよく知ってるあいつから名前をもらった。本当は兄貴の孫だが、養子に取ったからな」
「名付け親になったの?大姪の」
「ああ。ウチはしばしば、『その時々の一族で最後に生まれし者が先代の才覚を持つ』法則が適用されてな。私も末っ子だった」
黒江家は代々、一族の末っ子が先代当主が持っていた才覚を最も色濃く受け継ぐという法則が存在する。綾香の才覚の元も自ずと探れる。彼女の才能は日露戦争相当の戦役に従軍していた祖母の若き日の才覚を受け継いだものにあたる。
「私の魔力の才能は、死んだばーちゃんが若い頃に持っていたモノを受け継いだんだ。ばーちゃんは時代的に当主にはなれなんだが、親父が私を可愛がってる理由は、若い頃のばーちゃんの面影があるんだろう。代替わりで多少の変質込みだけど、だいたいその当時に使いやすい方向へ能力が変わるんだよ、ウチ」
黒江の祖母の名は『翔子』と言い、若かりし頃の容姿は綾香と瓜二つで、当時では珍しい斬馬刀持ちのウィッチであった。綾香が事変を戦い抜いた翌年に病気で亡くなるが、孫娘の勇姿を『若い頃の自分にそっくりだ』と言っており、夫が入婿である事が分かる。亡くなる半年前の1938年頃。孫娘に『先祖伝来の天翔具足』を見せ、戦役に費やした青春を語った。黒江が今回に置いて、それが祖母との今生の別れとなったが、祖母の固有魔法が『自機位置と速度の正確な把握能力「固有魔法 : 航路管理(ポジショニング)」だった事は今回の転生で初めて知り、祖母の意思を継ぐことも戦う理由に加わっている。また、祖母の若かりし頃を知る者は『綾ちゃんは生き写しだの』と口を揃えており、黒江の性格や素行は若かりし頃の祖母と瓜二つであり、祖母は若かりし頃、当時は高野性だった山本五十六の面倒を見ていた事があるとも述べた。祖母が活躍していた戦役では、山本五十六は少尉候補生の青年であった。山本は黒江の祖母に可愛がられており、山本が綾香を可愛がったのは自然の成り行きでもあった。祖母の葬式に、山本五十六が姿を見せたのは、若かりし頃に付き合いがあったのが理由だった。ある意味、山本五十六は若かりし頃の思い出を大事にする純情な一面を持つのだろう。
「私の能力も孫の世代に受け継がれたから、ある意味じゃ一族の法則通りなんだよ。性格は固めだけど」
綾香が奔放な性格である反動か、後継者の翼は基本的に生真面目な性格であった。綾香が本来持つべき性格となった感があるのは、血筋の帳尻合わせだろう。
「さーて、ライオトルーパーと言ったら、この技で蹴散らすのがベターだろ」
黒江は黄金聖衣を纏った状態ながら、アクセルフォームの力を使う。その速さは白銀聖闘士の比ではない秒速17.2km。クロックアップと違い、瞬間加速能力であるが、10秒もあれば、ライオトルーパーを300体単位で倒せる。また、超絶反則技としているが、その気になれば、アクセルの終了と同時にクロックアップすることも可能であるため、加速能力の切り替えは容易である。
「あ、師匠。アクセルの力は10秒くらいしか持ちませんよー」
「わーっとる。いくぜ!」
黒江はアイドリング態勢を取り、そこから一気に走り出し、加速した。タイムリミットは基になった仮面ライダー555のアクセルフォームと同じ10秒。厳密には555と違う原理で加速してはいるが、そこは合わせているらしい。ちゃんとポインターで狙いを付け、拘束する事も忘れない。そのため、昭和仮面ライダーのキックの弱点とも言える『回避行動を取られる』心配を無くしていると言える。
「はぁぁッ!」
傍から見れば、瞬間的に、空中から複数の赤いドリルがライオトルーパー軍団へ打ち込まれたように見えるが、実際は加速した状態で全員にライダーキックをしているのである。この技はアクセルクリムゾンスマッシュと呼ばれ、仮面ライダー555が決め技の一つにしていた。黒江はディケイドのツテでこの技を前史の内に覚え、今回で活用しているので、友人に当たる仮面ライダーディケイドが『世界の破壊者』と呼ばれる所以も、ある一定以上の技量がある知り合いに仮面ライダーの技を真似するように言ってみる事も含まれているのだろう。
「ふぅ。これでお前らにいいところ見せられたかな」
「む、むむ!!調の姿でそんな技使わないで下さいデス!!」
「いや、今回は微妙に違うぞ。ポニーテールだし、瞳の色も違うし……」
「そういう問題じゃなくてデスね……。ま、まぁ、アナタには色々迷惑かけましたから、許しますけど……」
「ふふ、またエクスカリバーしてやろうか?」
「それは勘弁デス……」
「お、お前。支払日にガタガタしてたくせに」
「まーね。茂さんらしくねー台詞じゃんかよ?覚悟がいるなんてな」
「俺達もガキ共を守りながらはキツイんだよ。が、これで全力出せるぜ」
「ここからはこの……」
「レイブンズが!!」
「力を貸しますよ、みんな!」
『ここからは我らの戦場だ!!』
揃い踏みのレイブンズ。変身しているが、元の原型を残す智子以外は容姿を大きく変えているので、江藤が突っ込むが、容姿が生き写しの子孫達が来ている事との兼ね合いと言い訳する。だが、今のレイブンズは英霊やヒーロー達に肩を並べる力を誇る。敢えて名乗りを上げたのも、彼らの様式に則ってのものだ。これが今回の歴史における、正式なレイブンズの復活であった。LINKERの効用が切れ、丸腰の状態になったマリアと切歌は口惜しさで胸がいっぱいになる。自分達が助けに来たはずが、逆に助けられているという悔しさ、立て続けに起こるイレギュラーな事態に対応するだけの力を持つ者達。切歌はこの『英雄たちと並び立てる力を持つに至った親友と、その師となった人物』に対抗心を燃え上がらせるが、同時に自分と調との間に立ち塞がる『力の壁』を意識せずに入られず、のび太にかけられた言葉を反復する事で、心の平静を保とうとするのだった。
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