外伝その169『Gウィッチ達の力3』


――太平洋戦争までに日本連邦が苦労したのが防空網の構築で、乙戦の整備数が甲戦を減らしてでも増やされ、四式戦闘機は当初の売りであった航続距離を減らされ、火力と装甲の増強がなされたし、当初は少数生産で済ますはずの雷電が零戦五二型のラインを停止してまで増産されるなどの混乱が生じていた。また、ニッケルの採掘量が倍増され、諸外国からも買い漁るなど、資源備蓄を急いでいた。これは後期レシプロ機に必須の排気タービンの製造のためであった。扶桑軍は元々、甲戦を重視するドクトリンで、乙戦は重視していなかったが、日本側のヒステリックな怒鳴り散らしで、懲罰的に横空と審査部の活動自粛が宣言された。これが黒江達の危惧する『クーデター』の決定的要因となった。この時に横空と審査部のウィッチ達がなじられ、侮辱された事がクーデターの大事化に繋がり、決定的に、Gウィッチの支配力増強が成る要因となった――

――扶桑本土――

「うーむ。陸奥よ、横空は暴発寸前だと」

「ええ。日本のとある野党の議員がヒステリックに怒鳴り散らしたことで、不満がかなり大きくなりまして。乙戦偏重の行政に不満が」

山本五十六は密偵の陸奥から東京で報告を受けていた。日本連邦の名のもとに、雷電や紫電改などの生産が進められる一方、制空戦闘機の烈風の生産数が少数である事に横空のウィッチはかなり不満を抱いていると。

「日本はB公に異常なトラウマを抱えているが、自由リベリオンからもかなり抗議が来ておる。B-29の乗員のなり手がいなくなると」

「どうにかできませんか、提督」

「三式12cm高射砲と五式15cm高射砲の低率量産を大量生産に切り替えたが、あれらはおいそれと用意できん」

「未来から地対空ミサイルシステムでも輸入するので?」

「それも手だが、それ前提に防空網を再構築すると、開戦までに間に合わん」

「しかし、日本は甲戦の生産制限を敷いていますよ?烈風は愚か、旭光や栄光も」

「うぅーむ。かくなる上は、空軍64Fの正式発足後、VFの運用を公に進めるしかあるまい。今のうちに他部隊からも集めて、いくつかの部隊にVFを配備する検討をせねばなるまい。ワシの任期は残り少ないんだがな…」

甲戦の生産制限をされた扶桑が編み出したウルトラCの秘策。23世紀からバルキリーを買いまくることだ。この時にリストアップされたのはVF-17以降の高性能機だが、地球連邦軍にもあまり配備されていない機種の配備は地球連邦軍も気が進まなかったが、日本の乙戦偏重政策に悩む扶桑への救済策ということで、最終的には了承される。ただし、VF-11EXやVF-1EXもかなり加えられたので、17以降の高性能機は精鋭部隊に、特にAVF以降の次世代機は64の特権とされた。実際、AVF以降の高性能機のポテンシャルを引き出せるパイロット/ウィッチは64のGウィッチに限られていたので、山本の決定は得策だった。これはB-29の空襲の経験で乙戦に傾倒している日本の背広組への当てつけも兼ねていた。しかしながら、当時、扶桑軍の中には『数を揃えられる従来機を重視すべきだ』とする意見が根強く、横空のウィッチや専門部隊のウィッチにこの傾向は強かった。横空チーフウィッチをある野党議員が皆の前で人間否定級に怒鳴り散らしたのが原因の一つと後に分析された通り、末端ほど感情的にクーデター軍に入ったウィッチが多かった。実際、100機近い多数が襲いかかる戦に、21世紀の防空システムが対応できるか、横空でかなり疑問があり、また、彼女たちがB29の性能を楽観視していた事も理由だった。(自由リベリオンの持ち込んだもので模擬戦をした所、専門部隊でさえ撃墜率が低く、それを視察した野党議員に編成の廃止を脅された部隊さえある)遠からず、B-36の生産も近いという、ある種の強迫観念からの恐怖を抱いていた日本は横空と審査部へ乙戦への定見の無さを理由に活動停止処分を下してしまう。その処分を理由にクーデターは発生、この時に海軍航空ウィッチ/パイロットの多くを島流し、あるいは軍籍剥奪か抹消による収監が少尉以上へ徹底した事が、扶桑海軍を戦争中に苦悩させ続ける事になった。つまり、自前で空母機動部隊のパイロットを確保できなくなったのだ。この解決法がややこしいのである。また、傷痍軍人への優遇措置が廃止された事、未来人の流入でエクスウィッチの再就職が困難になった事も、Rウィッチの異常増加に繋がる。傷痍軍人の事については『勧告』であったが、扶桑軍は文民統制の観点から受諾せざるを得なかった。野党議員の勧告であるので、実効性は無いが、傷痍軍人の一般社会復帰は総じて困難であることから、年金の一般の年金との一本化、年金の優遇と引き換えの軍人傷痍記章の廃止は押し通り、その代りに医療費支援の優遇処理で解決が図られる事になった。(エクスウィッチは日本企業のストライカー開発の講師や、ウィッチ技術の研究やストライカーの講師として招聘されたりとか、都会住みだとそれなりに仕事は有るがその募集に気付かない者が殆どだった。44年から45年の新規エクスウィッチの少なからずがRウィッチとして再志願した理由は、故郷に居場所がないという切実な理由からで、扶桑は日本からの反戦思想流入の統制を急ぐこととなる。戦時中に戦死し、絶えたウィッチの名家も複数生じるので、ウィッチの名家は今後、様変わりする事になる)

「日本からの思想流入で、今後はMATとウィッチの食い合いになる上、少なくとも52年まで休眠期だ。しかも、MATはかなり引き抜いている。今後はGウィッチにおんぶに抱っこが当分は続くだろうな」

山本の言う通り、Gウィッチにあらゆる特権を与え、若さに見合わぬ階級を与えたのは、MATとの食い合いと引抜きによる現場の弱体化がよりによって開戦間近で表面化するからだ。つまり、Gウィッチ達は『一人で師団をぶっ飛ばせ』という無茶苦茶な要求をされているのだ。その要求故に、聖闘士になった者も多い。黒江達のように、聖闘士級の強さを誇るものは本来、Gウィッチでも稀であるが、当時はMAT勃興期であり、軍ウィッチの絶対的シンボルが求められていた。軍はそれを64Fに求めたのだ。

「どうします、提督」

「いずれ、黒江君たちと縁もゆかりもないGウィッチも現れだろうが、それは悠長に待っておれんよ。敵は議会を事実上無意味にしている以上、ユナイテッド・ステーツをキティホークの線図で作りかねんからな。」

「それは既にドックの確保に動いていると連絡が」

「プロメテウス級を買っといて正解だよ。日本から物笑いの種にされようがな。自前で65000トン級空母を作るなど、本来は8年はいる仕事だよ。しかも、海軍航空の基地航空は根こそぎ空軍だ。日本は錬成中の601空さえ空軍に引っ張った。おかげで、まともなパイロットが残っとらん。これは問題だ」

「日本はなんと?」

「陸に置いていたほうが悪いそうだ」

「なんですか、それ」

陸奥が呆れたように、扶桑が指摘したのに関わらず、空母航空団の母体にする予定で錬成中の601航空隊まで空軍へ強引(反対したウィッチに対し、役人が私的制裁したとの情報がある)に移籍させた。その結果、空母の機材は潤沢にあるのに、人材が払底しているという惨状となった。この惨状への対応策が新規再建ではなく、空軍精鋭の乗艦という場当たり的対応が取られたのも、空母乗艦に最低でも800時間超えの飛行時間が必要とされた新規則も大きく関係していた。45年は本来、ウィッチの本格的世代交代に当るはずの年代だったこともあり、元・空母経験者が多い64Fは空母乗艦が戦中を通して、当たり前に行われる。これは空母航空隊の再建がジェット機前提に切り替えられた故の課程の長期化も大きく関係しており、また、戦艦と空母の分離を前提にした編成が日本側の誤射事故の記録の多くを理由に否定された(あ号作戦で誤射が頻発した)事による艦隊編成の混乱もあり、空母航空団の自前の作戦能力の復帰はとうとう戦時中に間に合わなかったという。



――これは海軍の編成そのものが米軍と同様の任務部隊制を目指したら、扶桑国民が連合艦隊解消を望んでいないと意思を示した事による混乱が起こったからだ。結局、味方艦上機の誤射を避けるため、空母機動部隊が主力戦艦群を任務に応じて編入するという方法が取られた。これは松田千秋大佐が危うく乗艦の誤射を理由に、不当な軍法会議にかけられそうになった事の教訓だ。(扶桑軍が機銃のCIWS化を推し進めた背景の一つは、日本の一部の者の介入で機銃要員の誤射程度で艦長と対空見張員の先任士官が軍法会議で不当な処罰を受け、左遷されそうになったからである)誤射程度で艦長のクビが飛びそうになるほどの大事になったためか、現場の機銃要員が萎縮してしまった事が自動化の大きな要因である。自衛隊の現場は『96年に俺らだって誤射起こしたよ?なんで鬼の首を取ったように大騒ぎするわけ?』と冷ややかだが、扶桑軍はパニックになり、とにかくCIWSの導入を進めた。これが皮肉なことに、戦艦の大幅省力化に繋がる――

「日本はなんでも難癖つければ、予算を削れると思ってる。おかげで空母航空団は戦争中は立ち直れんだろう。64を載せるための隠れ蓑を作らないといかん」

「つまり、予定があった『六三一海軍航空隊』や『第六三四海軍航空隊』、『第六五二海軍航空隊』を空母航空団ではなく、空軍の隠れ蓑に?」

「空母航空団の再建には最低で三年かかるが、今の現有空母すべてをフル稼働できるだけの人数など、今からとても新規で集められん。プロメテウス級三隻で、軽空母五隻分以上の要員を食うだろうしな。その三部隊は予算上は空母航空団として成立はさせる、ただし機材、人員は空軍64Fってだけだ」

「そのために64の規模を異常に大きく?」

「既に宇宙戦艦の貸与も話をつけてある。そのために未来にウィッチを多めに行かせていたのだ、陸奥」

日本連邦になる過程で浮上する、空母航空団の問題を解決するため、山本五十六は黒江達を一箇所で集中管理する部署として、源田実に命じ、64の編成の凍結を解除させたのだ。

「江藤君だが、戦々恐々でお上に拝謁だそうだ。若松くんが制裁を加えたと、赤松から報告があった」

「ああ、梅津美治郎参謀総長の圧力もあったようで、私が会った時には、カールスラントのスコア至上主義的風潮にぶーたれてました」

「仕方ない。それが外国では当たり前だ。江藤君は我々の沽券に関わるようなことを私的な理由でしてくれたもんだ」

陸奥は江藤に会ったらしく、渡欧前、同年代に見える陸奥へ酒が入ったせいか、さんざ愚痴りまくった江藤のことを報告した。若松には理不尽に殺されかけ、梅津美治郎には『お上へお前が上奏しろ!』と遠回しに言われた事が腹に据えかねたらしく、自棄飲みしていた。江藤の渡欧の三日前の事。扶桑の東京の銀座のあるデパートで買い物を終えた陸奥は、私服姿の江藤を見かけ、声をかけたら泣かれたので、行きつけの居酒屋に連れて行った。すると、普段は豪放な江藤が嘘のように飲みまくり、溜め込んでいたモノを吐いたのだった。


――居酒屋――

「きーてくれるか、えーと」

「陸奥よ。山本五十六大臣の秘書官の一人」

「きーてよぉ!教官にはボコボコにされるし、梅津参謀総長には遠回しに嫌味言われるし、伏見宮殿下には呆れられる!もーやだー!!」

江藤は若松の制裁がよほど効いたらしく、若松のことを教官と呼んでいた。新人時代の癖が戻ったのだろう。江藤はヤケになっているのか、酒を何杯も煽り、五分もあれば、『出来上がっていた』。

(おにーさん。これ焼酎じゃない!)

(す、すみません!間違えまして……連れの方は?)

(ご覧の有様よ)

顔が赤くなっている江藤。完全に泥酔状態である。だからこそか、溜め込んでいたものを一気に吐き出す。

「きょーかんもひどいー!あいつらの事を教えてくれればスコアを公式戦果にしてたのに〜!そうすれば、お上がお咎め無しに…」

江藤は事変当時、自分だけ除け者扱いに等しく、レイブンズの直属上官なのに、事を一切知らせてくれなかった若松へ言いたかった事を吐き出す。理不尽に積尸気冥界波で冥界の様子を見させられ、脅されたのが怖かったらしい。

「あーしは妬んでないもんー!ただ、あいつらが若いから、つけあがる事は教育に良くないって思っただけだもーん!」

酒が入ったためか、口調が子供時代に戻った江藤。弱冠であるが、呂律が回ってない。子供時代は『あーし』と言っていたらしく、すっかり大きい子供だ。

(出来上がってますねぇ、連れの方)

(焼酎、何杯飲んでる?)

(あ、七杯ですね…)

「仕方ないわねぇ。おー、よしよし」

「ぐすっ……ちゃんと詳報には、みかくにんせんかは記したもん…なんで冥界の黄泉比良坂見させられるのー!」

黄泉比良坂。若松が積尸気冥界波で見させたらしく、トラウマになっているようだ。若松は頭に血が上ると、すぐに積尸気冥界波に訴えるため、赤松も苦労している。江藤がいうのは、公認しなかった戦果は諸報には記していたことで、若松はそれを咎め、積尸気冥界波を連発し、黄泉比良坂を見させまくった。黒江が若松になついてくれないのは、ある意味、この頭に血が上ると積尸気冥界波を撃つことの自業自得の感があった。実際、制裁の際に積尸気冥界波は三回ほど撃っており、江藤はそのたびに黄泉比良坂を見たらしく、凄く怖がっているのが分かる。(赤松が『やめんか、若!』と止めたのは、敵を地表に張り付け生かさず殺さずの状態にしてしまう積尸気冥窮波を使って、江藤を拷問しようとしたからとも)

「なんで……『隊長』は個人戦果がすべてじゃないっておしえてくれたのにぃ……」

江藤が新人時代の隊長は恐らく、第一次大戦の生き残りである世代だ。その隊長が江藤にそう教えた事が、個人戦果にあまりこだわらなかった江藤の気質を形作り、武子に受け継がれたのだろう。黒江達が江藤を隊長というように、彼女にも『隊長』と慕うエクスウィッチがいたのだろう。

「なんだよ……カールスラントとかはスコアで競いやがって…。ウィッチはそれだけが全てじゃないもん」

これである。よほど若松に咎められたのが怖く、そして、黒江達がスコアの差で苦しんでいると言われても、ただただ、困惑することしかできなかった原因はそこにあった。江藤は個人戦果より部隊戦果を重視している流れの古株であり、自身が新人時代の時にそう教育されたため、撃墜王の名誉云々は広報にネタを与えるためのものとしか考えていなかった。若松にひたすら怒鳴られたのは、その考えであった。

「あのね、敏子。エース=切り札 それだけの力が有るという敵への示威と、守るべき国民への安心感の源になるのよ。若から教わったんじゃない?」

「確かにそう教わったけど……私達の時代は怪異さえ落とせばよかったから…」

江藤はそういう。更に。

「あの時は地べたの連中がヘマやって追い込まれてたからで、広報がかってに言い出したんだもん!」

グラスの焼酎を更に煽る。江藤は撃墜王の名誉を宣伝することは、自身のポリシーと相反するため、黒江達の戦果は9割差っ引いたと告白した。それでも、『金鵄勲章は取らせてやった』という辺り、江藤の自己満足が見て取れた。

「勲章は取らせてやったんだ……私達の頃は夢みたいな話なのに……それが自己満足なのはわかってるけどさ…」

江藤は本音を言えた安心感からか、安らいだ顔になっていた。江藤は自己満足である事はわかっていたが、黒江達の世代は撃墜数で勲章がもらえる時代である事から、金鵄勲章の推薦は申告したスコアで行った。当時、ウィッチで勲章を得れたのは、たった七人(七勇士だけ)であり、調べればすぐに分かることもあり、江藤は戦闘詳報にだけ証拠を残し、退役したが……。

「なのに、審査部で黒江がいじめられ、穴拭は冷や飯食いぃ?おかしーよ……なんで調べないの…」

江藤はそこまで責任持てと追求されているのは理不尽と感じ、そして、若松の制裁だ。江藤は世代交代の摂理をそこで初めて恨んだと愚痴った。

(レイブンズの考査票に『未確認スコア』を注記しとけば、若にボコボコにされることも、上から責任持てとヒステリックに言われることもなかったでしょうに)

陸奥は自業自得とは言え、江藤は自分の正しいと思ったままに動き、そして、責任を取るべく拝謁しようとしている。天皇陛下は寛大であり、きっと江藤のことはわかってくれるだろう。江藤はすっかり眠り込んでいた。

(あら、すっかり寝てますね)

(友達に運んでもらうわ。電話借りるわ)

陸奥は摩耶と霧島を呼び、日比谷公園のベンチで江藤を寝かせた。数時間後……。

「あれ……、なんでこんなところで…」

「貴方、すっかり眠り込んでたわよ」

「あいたた……。頭いたい……何杯飲んだか記憶にない」

「アンタ、10杯以上焼酎飲んでたぞ」

「何……頼んだ覚えないぞ……って、君は誰だ」

「高雄型重巡洋艦、摩耶だ」

「あー……って、えぇ―!?」

「アンタ、一気に10杯以上煽ってたぞー?かなり泥酔してて、喋り方が『あーし』とか…」

「え……う、うわぁあああ!?」

その時、江藤は恥ずかしそうに叫んだという。



「――って感じでした。その後にお上に拝謁して、事の次第を報告。まっつぁんに正式スコアが書かれた全軍布告を持たせて、着任させて、江藤参謀も一緒に渡欧しました。」

「確か、その時は査問中だったな?」

「はい。おかげで若手の人事評価が尽く下がったようです」

「江藤くんの厄介な置き土産だな。これで江藤くんをすぐには源田くんの後継につけるわけにもいかなくなったな。繋ぎの人選をリストアップしてくれ」

「分かりました」

江藤はこれで空軍司令の座につける年代が数年は先延ばしされる羽目になったものの、黒江らが転生者である事を知った事により、心のモヤモヤが晴れ、以後は協力者として振る舞うようになり、ダイ・アナザー・デイでは、戦線に立つことになる。そして……欧州では。




――欧州――


「さーて、マジンガーの力を使えるのは、智子だけじゃないぜ!甲児、カイザーの技、ちょっち借りるわー!」

『おう、やったれ!』

『これが未来を作る創造の光だぁ!カイザァァァノヴァ!!』

黒江はギャラクシアンエクスプロージョンの応用で、ついにカイザーノヴァの再現に成功し、初披露した。カイザーノヴァの原理そのものはフルチャージした光子力エネルギーのの広域放射であるため、ギャラクシアンエクスプロージョンの応用で再現は可能である。その破壊力は怪人軍団に大穴を穿つには必要充分であった。黒江曰く、カイザーのそれには及ばないとのことだが、個人単位で放つ技としては最大級の威力である。

「へへーんだ!私だって、伊達に何度もカイザーを見てねぇぜ!」

マジンカイザー。神を超え、悪魔も倒す最強のマジンガー。黒江は智子と同じように、その姿に憧れていた。その力は調も使えるようになっており、既にショルダースライサーは使えている。カイザーは甲児が改造したので、前史までとは異なる姿であるが、基本能力は変わらない。

『なら、本家大本の魔神皇帝の力を見せないと、男・兜甲児の名がすたるぜ!ゴッドサンダー!!』

こちらは機械獣軍団を一閃する神の雷を放つ。マジンカイザーという存在はマジンガーZ、グレートマジンガー、グレンダイザーの三大スーパーロボットを超える魔神の皇帝。ゼウスの力と権能を色濃く持つ、より高次元の魔神である『ゴッド・マジンガー』には及ばないが、それでも皇帝に相応しい次元の力を有する。しかし、マジンカイザーも甲児の意思に応え、次第にゴッド・マジンガーの次元に近づきつつあった。

「あれが穴拭の言っていた……マジンカイザー」

「そうっす。魔神皇帝!神を超え、悪魔も倒す正義のスーパーロボットッスよ!」

興奮冷めやらない黒江。こういうところで子供っぽさが出るのだ。智子と黒江がその拠り所にしている鉄の魔神。その力は江藤に感銘を与え、調はそれを模した力を手に入れる事を決意するなど、マジンカイザーは色々と影響を与えていた。



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