外伝その177『近代化による変革』


――大和型戦艦は扶桑には量産の意思は無かったが、結果として、紀伊型戦艦の期待されし『ワークホース』としての役目を担わされた。これはレイブンズのリークで各国が対抗馬を構想し、実際にいくつかは完成した事、紀伊が呉で見事に爆沈し、その性能的陳腐化が示された事による恐慌が大和型戦艦の増加、ひいてはその後継達を生み出した。この事は『モンタナショック』と呼ぶ――





――1945年。日本連邦は発足時、当時稼働中の戦艦戦力の整理で揉めていた。結局、近代化済みの大和型戦艦と、未来技術で建造されし、その後継艦のみを現役とし、後は予備艦かテストベッド艦に使う事になった。これは紀伊型戦艦の基本設計は大正期であり、装甲厚などが一線級ではない事が理由であり、航空戦艦のテストベッドに使用された(建造時にウィッチ運用可能なように、後部に格納庫があったので、それを拡大し、後部主砲の一基を取り払う)。加賀型戦艦はその火力は評価されていたので、戦後に退役が予定されたが、上陸支援用途で戦時中は維持される事になった。そのため、大和型戦艦はより上位の艦達の登場で一般に完全公開され、日本と同様の崇敬を集める事になった――


――前線――


「大和型戦艦の日本での人気は凄まじい。それ故、我々は常に最前線にいる羽目になったが」

「向こうがあれこれ言ったおかげで、我々は砲台代わり、ですか」

「敵艦と撃ち合える戦場が得られただけでも幸運だよ。本来なら、ウィッチ連中に小馬鹿にされていただろうからな」

大和型戦艦の砲術士官達は、ウィッチの支援という裏方でなく、人類史上久方ぶりの『大海戦』の主役を演じられる事をそう評する。ウィッチ世界では、人類同士の戦争は21世紀世界の記録にある『普仏戦争』、『南北戦争』を最後に起こっていなかった。そのため、海軍の戦術研究は机上の空論と馬鹿にされていたが、その正しさはここ数年の緊迫した世界情勢が証明してくれた。

「今や、爆撃ウィッチも雷撃ウィッチもCIWSやパルスレーザー、RAMの餌食になるだけだから、運用がストップされた。海自の迎撃で20人のウィッチ隊がアウトレンジで封殺された事が理由だそうだ」

「いい気味だぜ、連中、俺らを浮き砲台って見下してたしな」

その事は戦艦乗員の爆撃/雷撃ウィッチへの溜まりに溜まった不満や反発の表れであり、爆撃/雷撃ウィッチ達は艦隊防空網の急激な近代化で活躍の場と存在意義を喪失し、『バスターウィッチ』に転身できたエースパイロット以外は空母で腐っているだけの存在に堕ちていた事を妙実に示す出来事であった。

「連中の扱いはどうなるかね」

「上はエースパイロット以外は陸に揚げて、別の仕事用の訓練につかせるつもりだが、反発している。ありゃ、下手すると叛乱かもな」

「何故だ?」

「敵も有力艦には後世の技術の装備を施しているし、戦艦や空母の護衛にイージス艦がいる。奴らの能力では物の役にもたたん」

「なるほどな。あいつら、俺らを給料泥棒と小馬鹿にしていたからな、今度はその気分を味わって貰おうぜ」

Gウィッチが活躍を求められたのは、こうした兵器の近代化でウィッチの活躍の場が急激に縮まっていく背景も理由の一つである。特に海軍ウィッチは携行火器の陳腐化が問題視されていた、兵器が急速に進歩し、最低でも『F6F』と言った、零式艦上戦闘機の20ミリ砲でも一発では落ちない防御力を備えたモノに変革したせいで、怪異と違い、魔力での装甲の劣化が起きない『普通の兵器』相手では、13mm機関銃では、いくら初速を上げたところで防弾装甲の貫徹には火力不足を露呈したのである。坂本はそれを予見しており、今回の歴史では、『13ミリ機関銃を新規に作るよりも、20ミリ機関砲に慣れるべし』という意見を出し、基礎火力の維持を主張したが、補給の観点から無視された経緯がある。リベリオンの分裂による世界情勢の緊迫化がその所見の正しさを証明した。高度8000から10000でB29の防御方陣と対峙する羽目になった部隊から『火力不足だ!!フリーガーハマーを狙える位置取りも出来ない!』と悲痛な声が出されたからだ。軍部は生産が中止されていた、ウィッチ用の20ミリ砲を急遽、生産再開するという後手後手の対応を行ったものの、Gウィッチや、専門部隊以外は使用せずじまいであり、需要と供給のバランスが歪であった。当時は未来兵器が戦場の主役になりつつあったため、ウィッチ関連予算はこの時点で4割は確実に削られており、Gウィッチには『ウィッチ全体の未来を守る』ための一騎当千が必然的に求められたのだ。


「Gウィッチとか言うバケモノ連中を上はウィッチを軽視していないプロパガンダに使うが、中心はレイブンズの世代だ。今の育ってきた連中は認めんだろうな」

「だが、あの時の戦果をどうして、参謀は矮小化した?」

「非現実的だった上に、当人達しか見ていないから、だそうだ。馬鹿なお方だよ、江藤参謀は」

当時の扶桑軍では、事変当時の江藤の行為は理解されず、海軍の少尉たちにまで小馬鹿にされる始末だった。江藤は先見の明がある陸軍航空将校ではあったが、部隊戦果を最重要視した事の負の面がモロに人事評価に影響し、釈明の記者会見でも、情け容赦ない罵声を浴びせられる屈辱を味わった。江藤は渡欧前、この屈辱に耐える必要があった。そのため、酔って吐いた、陸奥への愚痴の言葉は本音である。しかし、クーデターのきっかけを生んでしまった点での失点は大きく、江藤は参謀でありながら、一戦士として戦う羽目に陥っている。江藤は黒江達が転生者であると知らされなかった事への憤りをきちんと若松に言っており、『転生者と分かってれば、スコアの調整などしなかった』と反論し、天皇陛下にもその旨を伝え、釈明している。天皇陛下は寛大であったので、真意さえ説明すれば、厳罰は課さないが、嘘を伝えた事はやんわりと『責任者が部下の戦果を矮小して報告する悪しき例になりかねないので、よろしくないな』と告げ、江藤は冷や汗タラタラであったが、陸奥と摩耶、長門の執り成しで、前線で戦う事で禊を行うように、と伝えられたわけだ。実際、黒江達の戦果が更新された直後、真501の若手は実力を試すという名目で挑んでは、Gウィッチの驚異を目の当たりにしていった。また、ハルトマンやバルクホルンがG側である事もあり、作戦までには混乱は収まり、ミーナの覚醒も挟んで、作戦では類稀な戦果を挙げている。江藤は実質、501付けの参謀として赴任した扱いになったという。

「連中は大和型戦艦に目的を与えてくれた。その点は感謝しなくては。そうでなければ、今頃は金食い虫と馬鹿にされていたろうさ」

「うむ。俺達はウィッチは好かんが、『彼女』達のためなら、使いっ走りになろう」

黒江達はモンタナの登場を読んでおり、事変当時に大和型戦艦の情報を敢えてリークし、各国の建艦競争を煽った。その結果、紀伊の犠牲が信濃と甲斐の戦艦としての登場を促した。言わば、信濃と甲斐を大和型戦艦として生まれさせるための『生贄』が紀伊という事になる。その『功績』は戦艦乗員の中では知られており、黒江達の恩売りは大成功と言えるものだった。国民は世界最強の主砲を持つ大和型戦艦を国の誇りと言い出すようになり、退役した長門に代わり、『海軍力のシンボル』として君臨しだした。艦政本部は苦笑いしたものの、自らが好きに艦艇を立案できる土壌を整えてくれたGウィッチへ恩義を感じており、どんどん艦艇の設計立案を加速させていくのであった。







――作戦はH43級の増援でブリタニア艦隊が打撃を被ったものの、扶桑連合艦隊の奮戦で概ね作戦通りに進捗していた。当時のブリタニア艦隊はH43級に真っ向から対抗できるフネは存在せず、扶桑艦隊の露払いの印象が否めないものであり、ウインストン・チャーチルを大いに憤慨させていた。当時、新鋭戦艦そのものは完成していたが、練度不足と一部の機関不調を理由に、ブリタニア海軍は参加させなかった。しかし、H43という脅威の出現で、ブリタニア艦隊はまるで相手にされず、無線で『俺のケツを舐めろ』と、公然とバカにされる有様であり、48cm砲の一斉砲撃でキングジョージX級の一隻が艦隊から落伍する、モンタナ級にさえ単艦では苦戦するなど、苦戦が目立っている。しかしながら、ウォースパイト、テメレーアの奮戦など、いいところも存在はする。だが、やはり大半が旧式であるが故、大和型戦艦に対抗するためのH43級には大したダメージは与えられず、その護衛のH42級にさえあしらわれるのが関の山であった――


――ロンドン――

「わが新鋭戦艦をどうして温存したのか」

「練度不足と一部の艦の機関不調であります、閣下。フルセットでの運用が望ましいので、我軍としましては」

「そんな事を言っとる場合か!扶桑のタライ(戦艦大和)は、別世界のドイツ軍最強のフネと、モンタナ相手に一歩も退かぬ戦闘を見せておるのだぞ、海軍卿!」

「は、はぁ……奴らは戦艦の使い方を知らぬのです。艦隊決戦などという費用対効果の薄い戦いに特化させるなど」

「戦艦はそれが存在意義だろう?」

「し、しかし…」

ブリタニアは艦隊決戦志向の派閥は確かにいるが、多数派は植民地への示威に使う船として考えていた。それ故に今回の艦隊決戦に際し、存在感の埋没を恐れるチャーチルに怒られる海軍卿という光景が出現していた。トレヴァー・マロニーの一件以来、ブリタニアはその軍事的主導権を扶桑に明け渡しつつあるため、チャーチルは危機感を募らせており、新鋭戦艦を温存した海軍卿を叱責していた。ブリタニアは機関技術が如何せん低めで、セント・ジョージに当初、搭載した機関はカタログスペック詐欺と言われるほどの故障しやすさを見せ、日本製の機関に換装するために即刻、工事に入るなど、恥を晒している。しかし、火力と防御力が上がった事は評価されているため、その投入を望む声は大きい。

「戦線では新鋭戦艦を温存したことに恨み節の兵も出ておる。これはわがキングス・ユニオンの沽券に関わる事だ」

「しかし、閣下」

「しかしもヘチマもない。これは首相である私の命令なのだ、海軍卿」

「ハッ……」

「クイーン・エリザベスU号とその完成済みの姉妹艦を出撃させよ。これは女王陛下のお望みなのだよ」

「し、失礼しました!」

「キングス・ユニオン、万歳だ、海軍卿」

こうして、第二海戦が生起する前に、という事で、増援として、ブリタニア新鋭戦艦はなし崩し的に投入される事になった。これは扶桑が三笠型に至るまで投入しているのに、ブリタニアはセレモニーまでした新鋭戦艦を出し惜しみしているとの批判を避ける事が第一と考えたチャーチルの鶴の一声で、海軍高官らの決定が覆った事となり、海軍提督らは困惑したというが、女王陛下の意思でもあるがため、結局、稼働状態のクイーン・エリザベスU級が威風堂々たる出撃セレモニーを挟んで出撃したという。










――智子は人類史上初の人型怪異との交戦経験者だが、それが特秘事項に指定された事、その時に起こった出来事の露呈を恐れ、智子在籍時の『義勇独立飛行中隊』の功績は半ば封印されており、そこも507初代司令(ハンナ・ウィンドが強硬に原隊からの離脱を辞退し続けたため、着任が44年に入ってからと遅れ、事務手続き上は智子が初代司令になる)という名誉に預かりながら、最近は黒江の影に隠れがちであった。転生前と異なり、黒江が『約束された勝利の剣』、『乖離剣エア』という絶対的決め技を持った事もあり、どうにも最近はぱっとしなかった。だが、ゼウス神から二大魔神皇帝の力を与えられた事もあり、昔年の輝きを取り戻しつつあった――





シンフォギア世界において、装者不在の状況でのアルカ・ノイズ出現に窮したS.O.N.G.だが、状況説明のために現地を訪れていた門矢士/仮面ライダーディケイドと智子は討伐を表明、その力を存分に見せつけた。世界の理をまるで無視して。



「貴方のその自信はどこから来るのですか?」

「俺は『通りすがりの仮面ライダー』だ、よく覚えておけ」

門矢士は『世界の破壊者』という渾名を持つ特異点でもあるため、仮面ライダー達の中でも高い戦闘能力を誇る。決め台詞を通信でエルフナインへ吐くと、ディケイドへ変身した。ディケイドは大ショッカー首領であった経歴と、歴代ライダーでも最強クラスの本郷猛や南光太郎を倒すための存在と目されていたなど、色々と複雑怪奇な仮面ライダーでもある。だが、仮面ライダーの名を持つ以上、本郷達との共闘を最後には選んだ事になる。

「行くぞ、智子」

「ちょっとぉー!相変わらず傲岸不遜なんだから!」

ディケイドは世界を渡り歩く存在であるため、シンフォギア世界の理を『無かったように』振る舞えるし、ノイズの攻撃で炭化も起きない。(世紀王候補とも言われたので、当然か)平成仮面ライダーの能力を駆使し、ディケイドは暴れ回った。

「さて、雑魚の掃除をするか」

ディケイドはカメンライドと呼ばれる、他のライダーへの変身を披露する。ベルト以外がそのライダーになるもので、この時はファイズへのカメンライドを披露し、アクセルフォームの力を使い、アクセルクリムゾンスマッシュを敢行、雑魚を蹴散らす。

「あー!アクセルフォームをやられた!くぅ〜そんなら、これよ!」

智子も負けじと、変身した状態で嵐を巻き起こす。圭子と対になるような、魔神皇帝の力を与えられたための芸当だ。黒江が先立って行っているが、智子は変身して容姿が変わった状態で行ったので、より絵になった。

『雷雲を呼ぶ!!』

局所的な嵐を起こし、使い魔の妖狐の尻尾に帯電させ、雷のエネルギーを凝縮し、天に掲げた右腕に一点集中させる。マジンエンペラーGのサンダーボルトブレーカーであり、黒江も使用した技だ。しかし、見栄えは黒江以上であった。

『超必殺パワー!!サンダーボルトォォブレーカーぁ!!』

サンダーボルトブレーカーはサンダーブレークと違い、電撃をある程度制御可能であるため、鞭のように振るい、広範囲を巻き込み、空間ごと爆破する。

『これが闇を斬り裂く光よ!』

智子は聖剣は太平洋戦争時まで与えられないが、圭子の『ゲッター線』と対となる『光子力』の力を得たため、黒江に劣らぬ力をようやく得た事になる。もちろん、既に水瓶座の聖闘士にはなっていたが、黒江と比べると、俄仕込みとも言われ、決め手に欠ける嫌いがあるので、そこも悩みどころであった。黒江の方が求道者であったため、聖闘士としては熟練度で負けており、それを補う力が光子力の力であると言える。黒江はウィッチとしての自分の限界に気づいていたため、最近では『ウィッチもやれる聖闘士』の体裁であるが、智子はその対になる技能特性であった。そのため、ウィッチの体裁は智子のほうが色濃いと言える。

『ターボスマッシャーパァーンチ!!』

智子はターボスマッシャーパンチを好むらしく、今回は拳状の破壊エネルギーを撃つ形で再現した。(黒江はシンフォギアの腕のパーツを変形、射出する形で再現したが。余談だが、後に、調の便宜上の名字である『月詠』が、A世界では『月詠』、B世界では『月読』という違いがあった事が判明したという)

「今回はあんたのストーカーのおっさんいなくてよかったわ。あのおっさん居ると、事がややこしくなったりするもの」

「鳴滝か。奴は何考えているのか、俺にもわからん。ただ、言える事は俺や海東(仮面ライダーディエンド)を敵視してる事くらいだな」

ディケイドはファイズから今度はカブトに姿を変える。しかもただのライダーフォームではない。ハイパーフォームだ。

「あれ、あんた、自分で歴代の最強フォームなれたっけ」

「能力はカードで代用するけど、なれないとは言わなかったぞ」

「わーお、チートね、あんた」

ディケイドも能力の向上はできるのか、カメンライド能力を向上させた事を明言する。何故、彼が本郷猛や南光太郎に対抗し得る存在と期待されたのか。その理由は平成仮面ライダーでありながら、昭和仮面ライダーじみた『基礎能力そのものの引き上げが可能』な点である。

『連中がついて来れない領域ってのを教えてやろう。ハイパークロックアップ』

『ATTACK RIDE HYPER CLOCK UP』と書かれたカードでハイパークロックアップを起こし、シンフォギア世界の何者も観測不可能な領域に加速するディケイド。智子も同様にハイパークロックアップし、ディケイドと同じ世界に入る。 こうなると、ノイズは停止しているも同然であり、何ら脅威ではない。

『新しいカードを試してみるか』

ATACKRIDE PERFECT ZECTERのカードを使用し、パーフェクトゼクターを召喚する。しかもご丁寧に各ゼクターがついている状態だ。智子はあまりに反則な武器の召喚に『チートよ、チート!』とツッコまずにはいられない。しかもハイパークロックアップで停止同然の状態で撃つのは、殺りたい放題も良いところだ。しかも、ご丁寧にボタンを押し、きちんとプロセスを踏んでいる。

『KABUTO POWER、THEBEE POWER、DRAKE POWER、ASWORD POWER ALL ZECTER COMBINE』

しかもガンモードであるあたり、完全に殺る気満々である。歴代仮面ライダーの中でも、射撃系の大技として最強クラスの大技。マキシマムハイパーサイクロン。それが超エネルギーとなって、ノイズの一団を完全に消し去る。同時にハイパークロックアップが解けるが、観測していた側にとっては『何が何だか分からないが、ノイズが種類問わず消滅していた』としか認識出来ない。まさにこれは反則級の複合戦術であり、智子も『こんな手使って良いのかしら』と引け目を感じたほどだ。

「まぁ、バダンはもっと卑怯な手を使うし、このくらいは良いだろう。俺を担ぎ上げていた月影は、秋月信彦のシャドームーンより狡賢い奴だったからな」

「あんた、大ショッカーの大首領だったわね、忘れてたわ」

「向こうは困惑してるだろうが、俺達にも予定がある事くらいは教えてやれ。本郷さん達に催促されそうだしな」

士は言う。一瞬のうちにアルカ・ノイズを始末した強さは本物であるが、元大ショッカーの大首領であるため、昭和仮面ライダーも引きそうな悪どい手段も講じる。ハイパークロックアップでのマキシマムハイパーサイクロン照射がそれだ。智子はその点、引け目を感じる辺りは倫理観が普通な証拠だ。

「アンタでも、本郷さんには頭上がんないのね」

「あの人は全ての始まりの男。俺もそのくらいはわかるからな」

門矢士も、流石に本郷猛には頭が上がらない様子を見せる。そういうところは年の功という奴であるのだろう。門矢士でさえも敬語を使うべきと判断する超大物。本郷に取って、士などは『悪戯坊主』なのだろう。全ての仮面ライダーの原点。黒江と調にとっては父親代わりであり、圭子でさえも素直に言うことを聞く男。ディケイドが本郷の事を気にする素振りを見せるのは珍しいことであるが、仮面ライダーという括りの中での彼の序列を感じさせた。



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