外伝その218『勇壮5』


――江藤、ノイマンという、それなりに功あるウィッチがある提案と過去の行為で降格、勲章剥奪を含めた重い懲罰がなされた、あるいは検討されたという事実はウィッチの現場に大いなるショックを与え、結果的に扶桑中堅層のクーデターを却って、誘発させた。ミーナが覚醒しても、『留学』が取り消されなかったのは、政治的に不味い方向に向かわせた世代間対立を煽った事実は残っているため、その懲罰の意味を込めたものである。事実、レイブンズの復帰に伴う、中堅層とレイブンズを見てきた古参層の対立が表面化し、特に海軍航空隊の空中分解の危機になりそう(粛清人事で本当にそうなり、再建にわざと数年単位の時間がかけられた事もあり、海軍航空隊にコンプレックスが植え付けられた)な事でこの二件の事例は当時の連合軍に多大な衝撃を与え、クーデターの粛清人事のニュースはウィッチの新規志願を萎縮させるに充分な効果を上げた。花嫁修業の一環でウィッチになった者を軍に行かせるという考えがあったからでもあり、結果的にはウィッチも職業軍人という考えを根付かせたものの、黒江達が将官になったのに関わらず、前線に居続ける事は本人たちとは関係ない次元で議論を呼んだのも事実だ。近代以前は将官が前線で指揮を執る事は珍しくなかったが、21世紀では将官は前線で指揮を執る事は珍しくなった。最も、23世紀ではミノフスキー粒子と人型機動兵器の普及でまた珍しくもなくなったが、21世紀ではイレギュラーであり、また、勲功華族になるほどの功があるのに、佐官で据え置こうとしたことで陸軍参謀本部が叩かれ、その一環で江藤が叩かれたというのが事の経緯だ。ウィッチとて、大佐になる事は珍しいことで、功あるウィッチであろうと、現役中は大尉止まりだったり、少佐止まりのケースが珍しくなかった。しかし、今回は勲功華族への叙爵がなされた『現役復帰していた元エース』がまた、抜群の戦功を上げたという、当時としては特異なケースであり、陸軍参謀本部にとっては想定外のケースすぎて対応が後手後手に回ったのは否めない。そのため、人員が入れ替わっていた作戦部(第二課)にスコア認定の責任はあるが、当時の人員がもはや誰もいない以上、今の人員を前任者のミスで島流しするのは魔女裁判に等しいが、日本の政治家は任命責任を強く説いた。そのため、レイブンズのスコア認定の訂正と国民向けの報道、現責任者の給与自主返納という形で政治的には手打ちになった。しかし現場はそうはならず、結局、クーデターで黒江はエヌマ・エリシュを使用せざるを得なくなったり、結果的に、撃墜王の宣伝に反対した志賀と撃墜王宣伝の中心にいた黒江に精神的なしこりを残し、和解が1950年代後半と太平洋戦争後にまでもつれ込んでしまう弊害を生む。(志賀は警備会社を興し、自分が傭兵になることで宣伝の大切さを理解した)黒江はスコアよりも生きて帰ることを重視しており、『スコアとか飛んでる本人にゃ関係ねーよ、敵を落として帰還できるのが最高のパイロットだしな』と日本で人気の軍事評論家兼イラストレーターとの対談ではっきり言っている。彼が言うように、バルクホルンやハルトマンが勲章をもらいまくっている事は事実なのだが、二人もスコアは『強さの絶対的指標ではないのだが』と苦言を呈している。二人も黒江とともに、エースの存在は未来世界でのアムロとシャアの例から、必要であることだけは繰り返し述べている。バルクホルンもハルトマンも、自分たちが精神的支柱になっている事は自覚しつつも、カールスラントとブリタニアの始めた撃墜王ランキングは『若い奴らの目標にはなるのだが…』と快くは思っていないものの、報奨の指標になっている事は仕方がないとも、インタビューで述べている。扶桑の失敗はレイブンズが偉大すぎたがために、彼女たちの後に続こうとした者を掩護しようとしなかった施策の失敗による世代間対立を煽ったためで、黒江とバルクホルンはこう言っている。

『エースを目標とか希望の象徴って捉えるのは良いんだ、だけど細かいスコアの差で優劣を語ったり、スコアのみ評価するのはどうかって話なんだ。 空の戦いってのは使う機材やそれぞれの飛行スタイルで相性ってのが少なからずあるし、生き残ってる中堅から古参連中の多くが自他のそれぞれの特長を熟知して如何に自分の有利な、もっと端的に言うと死なずに帰れる手立てを組み立てられるのが自然にエースになってたりするんだ。だからスコアは少ないけど模擬戦でスーパーエースが当てられないくらい回避が上手いヤツも居るし、射撃が上手すぎるからかえって避けられちまうってのだっているし(いるからな)』と。しかし、今更ランキングを止めると若手が暴動を起こすため、黒江達は個人的見解と断っている。扶桑のこの一連の問題の処理の失敗は海軍航空隊の気質に問題ありとされた事もあり、それが日本側主導で『撃墜王の奨励』が公的な軍の決定になる要因となり、ウィッチ社会のピラミッド型階層社会の形成の始まりともされるのである――




――前線司令部――

「うぅ。なんで私が槍玉に挙げられるんだ、章香…」

「いい年して拗ねるな。仕方ないだろう。当時の作戦部の人員は定年か転属でいないんだ。当時とほぼ同じ立場のお前に批判が行くのは仕方がない。遡って裁くのは、魔女裁判に近いが、連中はそれが正しいと思ってる。お前、今回でよほど戦功挙げんことには、感状すら覚束ないと思え。大陸方面軍など、関東軍と同一視されて、次の戦争ですり減らすというのが話し合われてるらしいからな」

当時、江藤は元・部下の挙げてきた戦果の矮小化の罪と言うことで野党の党首らの猛批判で軍法会議からの尉官への懲罰的降格すら検討されたが、江藤の行為は当時の常識では『教育の一環』ということで合法であった事、未確認戦果として、日誌などに本来の戦果は記していた事、レイブンズを統制できる参謀という価値により、なんとか難を逃れた。だが、猛批判を受けたショックには変わりはない。世代間対立の原因を作ったという責任を取らされ、給与は引かれ、勲章はもらえるか怪しいという罰に打ちのめされていた。世代間対立はウィッチのどうしようもない摂理である『世代交代』で自然と生じたのに、一人に責任を押し付けるのはスケープゴートそのものだ。中堅層の反発は要するに、『自分たちにあれだけ撃墜王と誇るのを戒めておいて、ロートルが名乗るのはいいのか!!』とする子供じみた理由での反発であり、これが海軍中堅層のクーデターの理由とわかると、日本側による粛清人事の嵐が吹き荒れる。その粛清人事で海軍航空隊は形骸化し、再建後は空母機動部隊からの人員の転属が禁止されるため、海軍航空隊の再建には長い苦難が待ち受ける事になる。また、国家自体も戦時体制への移行が極めて困難に陥り、戦意高揚運動も日本側が止めようとしたので、軍部の戦時動員計画そのものが破綻した。徴兵による動員が事実上潰されたため、志願による増員をするしかないが、日本からの反戦思想流入でこれも難しいため、ウィッチの増員についてはこの時期には半ば諦められており、Gウィッチ依存がこれで深まる事になったと、二代目レイブンズの時代には語られている。

「私は戦うことでしか、許されないのか…」

「参謀だろうが、温室にいないで前線の苦労を味わえ!が向こうの批判者の言い分だからな。黒江君達は雑魚寝だぞ」

「あいつらはもう将官だろう!?本来なら司令部で図上演習とかするのが仕事だ!そうだろう!?」

「日本側は私達、高級将校が図上演習でしか戦場を知らないから無駄死にさせたと責め立てる。だから、将官達も困っている。黒江君たちが戦線に立つのは日本側の求めた結果だ、割り切れ」

「しかし、あいつらの立場でする仕事では」

「若い子らが、こんな血みどろの戦場でまともに働くか。サボタージュするのがオチだ」

江藤はG化しても、黒江たちが准将になったのに関わらず、一戦士として戦う事に抵抗があり、司令部で北郷に愚痴るような言い分をしゃべる。北郷はこの点は江藤より大人であり、黒江達の苦しい立場を理解していた。

「新任から大尉迄は現場なのに、何で将官まで現場に…」

「日本だと車に通信機積んで師団本部ごと移動してるってさ」

「本当か?」

「黒江くんから聞いてないのか?彼女は自衛官の事実上の最高位である将の地位にあるんだぞ」

黒江は自衛官として、将の地位に任ぜられている。その立場の黒江を前線に立たせるのは自衛隊でも賛否両論だが、約束された勝利の剣を持つことが公表されると、前線に立つのが統幕から要請されたほどだった。また、続いて左腕のエヌマ・エリシュが公表されたので、黒江は引っ込めなくなった。また、黒江は参謀も兼務しながら、前線で戦えるマルチタスクの持ち主であるので、司令部に引っ込めるのは損失とされた。それを後押ししたのが、黒江がまだ防大在籍中に第一空挺団の中堅であった2018年時の陸自派遣隊の陸将で、黒江を陸自に引っ張りたいと見込んでいた人物である。黒江とはそれ以来の付き合いで、本来なら退官が迫っていたが、扶桑の戦時が近いことから、異例であるが慰留されていた。第一空挺団の出である事から、後に空挺団が64を鍛え上げるのにパイプ役を務め、太平洋戦争終戦で退役する。太平洋戦争の勃発が自衛官の高官を慰留させたと言っていい。早期定年制を取っていた自衛隊だが、太平洋戦争で並み居る扶桑軍将官や元帥らと対等に会議するのに、人数が不足しすぎていることが今更、問題視されたからだ。元々、扶桑は準戦時状態とされており、大将の人数に制限が無く、また、『元帥』も軍隊階級は大将であることもあり、大将は多かった。日本側の財務省に日本軍の制度が忘れ去られていたため、元帥と大将が別個に扱われ、財務省がそれを指摘し、問題になっていた。扶桑は財務省による予算削減による脅しに屈した形で、元帥を階級として復活させる流れになったが、山本五十六による説明で財務官僚は赤っ恥をかき、報復で16式機動戦闘車の予算を削る暴挙に出た。しかし、結局は臨時予算で元より増加し、さらなる新型戦車の開発予算も得る事になる。

「あいつ、源田さんの要請で自衛隊に入ったとは聞いていたが、上がりすぎだろ!」

「20年近く在籍して、しかも、課程を満点で合格してれば、扶桑軍人の地位を抜きにしても、早いほうだ」

黒江は扶桑軍人の経歴がかつての旧軍将校達の軍隊階級と同じ扱いで処理された。革新政党もそこは手出しを控えた分野だ。黒江は現役軍人であり、しかも母国で功績を挙げるので、自然と出世も早く、2006年時点では佐官の地位にあった。2017年までに将になっているが、革新政党が冷遇した時期があったのと、黒江自身が将への出世を嫌がったので、延びていたが、母国の階級で少将を約束された事が契機になった。その時の様子を今一度詳しく説明する。


――作戦が始まり、何日か経過した時の皇居

「どういうことか、私の言葉を嘘にする気かね、君たちは」

作戦が始まる前、黒江はレイブンズを代表して天皇陛下に拝謁し、将官への昇進を約束された。それに軍令部や参謀本部が不満を顕にした事を天皇陛下は問題視し、軍令部、参謀本部の高官らを呼びつけて、真意を問い質した。彼等高官はまさか、天皇陛下が自ら約束した事であることとは夢にも思わなかったのか、軍令部の高官の一人は背中が冷や汗でグッショリだ。

「いえ、その、あの……まさか陛下御自らのご裁断とは夢にも思わず……」

天皇陛下は45年時点では大元帥として、明確に軍事指揮権を持っていた。その最高指揮官にして、国家元首の言葉であるということは、扶桑軍人にとって、命令系統の最上位に位置する。

「私は今までの彼女たちの忠節に報いるために申したのだ。彼女たちの戦功は君たちも知っておろう?」

「は、ハッ。しかし、彼女たちはまだ20代の青二才です。将官にするには時期尚早かと」

「カールスラントでは、アドルフィーネ・ガランド君が23歳で元帥になり、先日、娘さんと共に拝謁に参られたが?」

ガランドは大将から元帥への昇進が矢継ぎ早であったため、軍部の処理が追いつかなかったが、天皇陛下の前では元帥として拝謁した。そのため、天皇陛下の拝謁後に正式な辞令が通達されている。

「さらにドロレス・バーダー大佐も拝謁したが、君たちのいう青二才だったのだが…」

「し、失礼しました!」

「それに彼女たちを扶桑の武人の象徴のように扱っていたのは君たちではないのかね、航空総監、軍令部総長?」

陸軍は航空総監が来ていたが、海軍は航空本部長が病気で寝込んだため、軍令部総長が自ら出向いていた。しかし彼らはレイブンズの現役時に軍令部総長だったり、航空総監だったわけではない。彼等の二代前の前任者がそうしていたのだ。その後任、彼等の前任者が任についた頃、モントゴメリーがマンネルヘイムを抱き込んで、人型怪異との接触を軍機に指定した事、黒江の厄介払いが部署存続のために特秘扱いになった影響で、黒江と智子が冷遇されたのだ。前者はモントゴメリーが漏れることでの士気の崩壊を警戒したことで、いらん子中隊の運用に制限を課された事は連合軍公式の指令であった。しかし、この時期にはそれ自体が、全世界に思わぬところからバレてしまっていた。マンネルヘイムを同位国のフィンランドが『大統領職を罷免されてもおかしくない』と脅したり、日本連邦として抗議を外務省がし、全世界で大ニュースになったのはこの日のことだ。それに至り、天皇陛下は寵愛していたウィッチの一人である、智子が軍内で冷遇されたことを知り、スオムスへ扶桑皇国天皇の名のもとに、マンネルヘイムへ抗議するに至っている。マンネルヘイムは顔面蒼白に陥った。経済制裁を示唆され、部隊撤兵までもなされたら滅んでしまうのは自明の理。天皇陛下自らの抗議の意味を過剰に捉えた彼は慌てて、天皇陛下に返事をこう返す羽目になった。『穴拭智子くんを冷遇したつもりはございません。陛下がご不満であれば、我が国最高の名誉である、宝飾・剣付スオムス白薔薇勲章を彼女に授与いたします故…』と。智子は通常の白バラ勲章を、既に現役引退時に授与されているので、本来は自分以外に授与するつもりのない勲章を与えると勢いで書いてしまった。これは後でスオムスで問題になる。日本連邦の圧倒的軍事力に怯え、自分専用の勲章を与えようとしたのだ。しかし、裏では 日本連邦軍が未来兵器を持ち、智子の往年の神通力の真実を目の当たりにしていたスオムス軍はマンネルヘイムを責めなかった。勲章の位には智子はこだわりはなく、むしろ通常の白バラ勲章をつけていたら、日本で問題にされたので、スオムスからの勲章には困っていた。マンネルヘイムからの『戦争回避のために、受けてくれ』という言葉で断れず、勲章は公式には授与済みだが、宝飾・剣付に変わった。また、このことでモントゴメリーはアフリカの失敗とウィッチ部内の混乱を招いたということでキングス・ユニオン最初の降格処分となり、マンネルヘイムはこの日付けで機密事項から人型怪異を外した。江藤の上奏から一週間以内にこれらが起こったため、海軍中堅層は『今更スコア訂正は虫が良すぎる』と血気に逸り、暴発へ向かう。あまりに落差が大きすぎたのだ。カールスラントの撃墜王が数年の累積でやっと出せる数字をたった一年くらいで叩き出した。しかも粗末な武器しかない時代に。中堅層の世代がちょうど事変未経験者の第一世代になっていたため、自軍の戦果にも関わらず、プロパガンダの数字とした。江藤が辛酸を嘗めた理由はそこにある。奇しくも、パットンが持ち出していた予備のフィルムを編集し、扶桑カラーニュースとして上映したのもこの日である。黒江が約束された勝利の剣を奮い、圭子が二挺拳銃で大暴れし、事変当時のクーデター軍を血祭り、スオムスの撮影していた43年次の智子の戦闘記録と併せて編集され、上映された。カラーで鮮やかに光り、大地を切り裂く黒江のエクスカリバー、二挺拳銃でイってる表情の圭子、変身する智子の様子は当時の全世界のウィッチを震撼させた。この時に黒江の長兄が映画を見るついでに視聴していて、妹の軍功を初めて知った彼が東京の本屋で買った本こそが圭子の著書で、弟から『兄さん、それ、綾香の戦友の本』と聞かされ、ここより数年後、圭子の著書の映画化に妹を参加させた理由となる。


――戦場――

「うお、兄貴から電話?……兄貴、なんだよ、こっちは現在進行形で戦の最中なんだけど」

「お前の戦功だが、兄貴が知ったぞ」

「兄上が?…マジ?」

黒江は次兄までは兄貴と呼ぶが、長兄のみは兄上と呼んでいる。それは年齢が15歳違うため、45年には40代の壮年になっていた事に由来する。また、長兄は祖父に似た、『お硬い生真面目な性格』であり、雰囲気的に近寄りがたく、転生を重ねても、いまいち怖いのである。

「兄貴、兄上に説明してくれよ」

「今度、帰省したら兄貴の家に顔出して、お前が説明しろ。お前が言うのが筋だろ。兄貴が怖いんなら、俺がついていってやる」

「頼むよ。兄上、ガキの頃から苦手なんだよ」

「兄貴はお前のこと可愛がりたいとか常々言っとる。母さんの目があったから、やれなかっただけで」

「お袋、オレに英才教育しやがったからね。結果的には役立ったけどさ、親父の心労が」

「親父のガンの早期発見が成ったんだから、文句言うな。母さんもお前の演技力を見て、考えを変えてくださった」

「戦争が終わったら、副業で女優はするけどさ、お袋もだいぶ老けたよな」

「仕方ない。もう五十路なんだ。最近は白髪混じりになってきたからな」

黒江の母は若くして結婚したので、末娘が23歳、長男が40代に入っても、まだ還暦前と若かった。しかし、この時代の基準では老境に入りつつあると言える年齢だ。つまり長男を20代に入る前に産み、綾香が忘れた頃に生まれたと言っても、まだその頃は30代くらいだった事になり、21世紀基準では子沢山と言える。

「そう言えば、兄貴、兄上にまた子供できるんだろ?義姉さんから手紙が来てたけど」

「これで三人目だ。兄貴、やることはやるからな」

「貴之兄貴(綾香の三兄)も結婚するって?」

「あいつ、未来で言うところのできちゃった婚だってよ」

「聞いたよ。大吾兄貴(次兄)は結婚しねぇの?」

「結婚は俺の柄じゃねぇさ。好きだったのは職場にいたが、玉砕だったしな」

前史では彼はその相手と結婚にこぎつけたが、今回は玉砕だった模様である。三兄の貴之は翼の実の祖父なので、そこは固定されていると綾香は悟った。

「兄貴、お前の戦友の本を読みふけって、ここ二、三日寝てないと義姉さんから愚痴られてるぞ。兄貴は仕事が多忙で官報も広報も見てないし、ラジオも滅多に聞かないからな」

「今どき、ラジオも聞かねーの?」

「兄貴は未来で言えば、モーレツ社員気質だ。退職したら老け込むタイプだ、あれ」

「大吾兄貴は気楽だよな、そのへん」

「家はどの道、兄貴が隠居すれば、お前にお鉢が巡ってくるしな。騎士爵に叙爵されてる以上、母さんもつべこべ言わんだろう」

黒江家は当主が長男ではない事が伝統的にあり、女性当主も曾祖母の代で曾祖母がなっている。嫁入りした黒江の母は良くも悪くもその風習に納得せず、女優として育てようとした。綾香がウィッチになったのを不服し、娘を折檻したこともあり、それが黒江の少女期の家出の理由になっていた。綾香が抜群の戦功で英雄になったことで彼女は家での立場を悪くし、一時は離婚すら考えたとは、父の談。黒江が裏で次兄と今は亡き祖母に剣を習い、それで一流の剣客になった事は黒江の直近の兄弟たちの暗黙の了解だった。祖母は1905年に今の綾香より多少上くらいで、戦役でご奉公した際の写真はほぼ瓜二つである。在りし日の祖母の剣技は示現流免許皆伝の腕前で、長巻の使い手であったと祖父と40年前は子供だった父は綾香に言っている。あいにく、映像記録技術が確立されて間もない時期の戦役が祖母の絶頂期であり、祖母の勇姿は写真のみである。黒江の祖母の絶頂期は元・連合艦隊司令長官の山本五十六が少尉候補生、元総理大臣の東條英機(当時は士官候補生)ら、現在の指導層が青年だった頃に相当し、当時は高野性だった山本五十六と会っている。


「こっちはそろそろお盆だから、婆さんの遺品を整理してたら、高野五十六君と…って写真が出てきたんだが、わかるか?」

「兄貴、その人、海軍大臣…」

「本当か!?」

「今は山本五十六って言えば、わかる?」

「あー…婆さん、すげえな…」

祖母が絶頂期の頃、青年時代の山本五十六と写した写真がある事を綾香に伝えた大吾。高野は山本家を相続する前、五十六の名字だったため、間違いなく、山本五十六の青年時代である。他には……

「ん?なんだ、秋本芳子君と……?」

「あーーー!それ、後輩の婆さんだ!」

「何ぃ、あの子のか!」

その名前は芳佳の祖母の名であり、自分の祖母の後輩が芳佳の祖母である事実が判明した。秋本家の娘である清佳が宮藤一郎に嫁入りしたのが今の宮藤家であり、以後は宮藤の家名が代々受け継がれ、以後は秋本家の後身として、宮藤家は見なされていくのである。つまり、芳佳とも祖母の代で縁があったのが黒江である。次兄の大吾は45年の年始、家に綾香を送り届けてくれた芳佳を知っている。そのため、綾香に言われ、すぐにピンときたらしい。芳佳の髪型は祖母譲りであり、その祖母も写真での若き日は芳佳に瓜二つであり、ある意味では必然に近い出会いであると示す証拠だと言えた。つまり、綾香と芳佳は時を超えた先輩後輩関係にあるという事だ。

「嘘だろ、ばーちゃん、あのばーさんが後輩だったのかよ。それじゃオレと宮藤の出会いも…は、ははっ、なんかすげえ感じだよ、兄貴」

宮藤家と自分の家は祖母の代で縁があった事が判明した衝撃で黒江も言葉を失う。電話口でとは言え、祖母が自分を宮藤家に導いたのかと考え、なんとも言えない気持ちになった。

「これもばーさんのお導きだな。帰ったら線香あげてやれ。お前を特に可愛がってたからな」

「そいや、ばーちゃん死んで、もう何年?」

「お前が志願して間もなくの頃だから、10年くらいだな。それと、ばーさんが使ってた古い刀と長巻だが、叔父さんのところに出していいか?お前に使ってほしいと晩年に言ってたしな」

「ああ、叔父さん、鍛冶屋だっけ?」

「今は軍隊の予約で一杯だから、9月になったら受け取れ。叔父さんと久しぶりに話してこい」

「ここんとこは行く機会なかったしなあ、博多の叔父さんんとこ」

祖母の遺品の武器は、日清戦争以前に相当する戦役で従軍した曾祖母から受け継がれたものである。黒江の母親が祖母の在世中に綾香に受け継がせなかったため、それで父親は離婚を一時決意したほどに家庭環境が悪化した。母親は夫に離婚を切り出された際、『あの子を一族の鎖から解き放つべきだ』と言い訳している。しかし、黒江家は代々のウィッチの武勇で名を成した家柄であり、母親はそれへの反発と自分の夢を子に託していたため、一族の鎖に縛られた綾香を冷遇した。だが、綾香が天皇陛下の寵愛を受けると、態度を一変させた事から、息子と夫には不信を買っている。それを武器に、売名行為に走ろうとしていたからだろう。綾香は天皇陛下の寵愛を受けたが、それが審査部でのいじめに繋がり、レイブンズの武勇が世代交代で記憶が薄れるにつれ、軍で冷遇された。それを知った天皇陛下が不快感を顕にし、軍部が顔面蒼白になっているのが現在なのだ。黒江家で母親の立場が苦しいのは、娘の天皇陛下からの寵愛を『自らの立身』に利用をしようと目論んだところが息子と夫に嫌われたからであり、そういう面でずる賢いと言える。

「それと、親父が母さんとこじれたと言ったろ?あれな、お前が聖上の寵愛で立身出世したのを自分の売名に使おうとしたからだ」

「まだ諦めてなかったのかよ、お袋」

「母さんは女優になろうとしていた若い頃に、親の命でお見合い結婚させられたからな。同情はするが、お前の功労を利用しようと目論んだことで親父はカンカンだ」

次兄との電話で母親が騒動を起こしていた事を知らされ、ため息の黒江。転生を重ねても、実家がこの有様であるために野比家や宮藤家に居候するのだろう。

(オレ、母親運ねえのかな…)

母親との確執が黒江の人生に影響を与えて来たこと、転生を重ねても母親が騒動の元なことにため息をつき、母親の愛が得られない事に寂しさを感じる。これこそが綾香の不幸であった。その母性への飢えが圭子や智子の『妹である』事を望む心理であり、それが形を変えて調にも影響を与えていたため、ある意味、黒江の母の業であった。





――黒江のその母性への飢えは、感応した調には切歌への幻滅と、のび太への情景という形になる形で反映された。これが切歌に精神的ダメージを与え、修行を押しかけで始める理由となった。また、『月詠調』は後に現れるB世界の『月読調』と明確に別のアイデンティティを持ったため、『必殺技の名前を大仰に叫ぶ』、『エクスカリバーと乖離剣エアの素養を持ち、シュルシャガナの真の姿を顕現させた』という特徴を持つ。また、古代ベルカで騎士であったため、騎士である事に誇りを持っており、そこで防人たらんとする風鳴翼に対抗心を持たれている。ヒスパニアで戦っていた彼女は調が騎士であることを誇りにする言動をしているのが気になり、クロに訪ねた。

「アインツベルン、ちょっといいか?」

「イリヤとややこしいから、クロでいいわ。…で、何?」

「月詠の事だ。月詠は自分を騎士と言った。その理由を知りたい」

「アヤカと入れ替わっていた時期に別の世界で本当に騎士だったのよ、あの子」

「何ッ!?」

「たしか、その時の最後に使ったデバイスが『エクスキャリバー』だったって聞いてるわ」

「エクスキャリバーだと……ッ」

「その縁でアヤカの約束された勝利の剣が使えるし、シュルシャガナの真の姿を開放できたってわけ。多分、左腕には乖離剣エアを…」

「立花のガングニールの篭手を破壊したあの…」

「ガイちゃんのあれは思いっきり手加減してるわ。最大出力なら、世界ごと立花響は消えていたわ」

「…!」

「考えてご覧なさい。約束された勝利の剣のエネルギーを受けたって時、立花響は制御できずに逆に自分にダメージを受けた。それが宝具の力よ」

「ん?なんだ?」

「噂をすれば。調よ。」

この時はシンフォギア姿ではなく、黒江と同デザインの戦闘服(一応、扶桑空軍制式。元は宣伝用デザイン)でF-15Jを纏って飛行している。僚機は下原と真美だ。小具足と巫女装束姿であり、翼はそれに瞠目する。

「なっ!?……」

「何、その悔しそうな顔」

「あの服装は私が纏うべきだ。そう思わんか」

「子供じみたこと言わないの。貴方って、意外に子供っぽいのね、風鳴翼」

「そ、そうでもないぞ、クロ!」

からかわれる翼。基本は生真面目だが、黒江がいた時もそうだが、防人たらんとする努力が妙な方向に行ってしまった感があり、ウィッチに覚醒し、黒江同様の使い魔の耳と尻尾を顕現させて第三世代宮藤理論型ジェットストライカーを使用している調に嫉妬しているような素振りを見せた。調はベルカの騎士であったため、パーソナルマークがかつての旧ベルカが戦闘機を使用していた頃の国籍マークである『逆向きの正三角形で内側から黄色、白、黒に黄色のピンストライプに曲刀が重なるマーク』を使用している。時空管理局(ミッドチルダ)にとっては複雑な思いのあるマークだ。日の丸とそれが共存しているのも不思議なものだ。なおかつ近接武器に刀を持つ点では箒の赤椿と共通する。エスコートに下原と真美がつくあたり、圭子からかなり期待されているのがわかる。三人がおおっぴらに第三世代型を使用したので、G化して間もないウルスラ・ハルトマンは元上官の智子に抗議したという。智子は『次の未来世界の留学推薦私の名前で出しといてあげるから、めげるな』と宥めたが、『第三世代型なんてチートです!誰が持ってきたんです!』と抗議したら、『うちの子達。麗子と翼、澪は知ってるでしょ?』と返ってきて、その一言で乾いた笑いが出たとか。ウルスラ・ハルトマンのその反応こそ、メッサーシュミットMe262までの第一世代と、魔導オグメンダー(魔導アフターバーナー)装備、高出力魔導ターボファンエンジン搭載の第三世代理論型の性能差の表れだった。特に、足の自由度がバトロイドと同レベルになった事は第二世代型以前とは次元の違う機動力の象徴である。そのため、一見すると、武装したEX-ギアにも見えるが、実機の特徴を持つため、それとの違いがわかる。これは未来のパワードスーツ方式の装甲服を扶桑が1960年代までに自前で造れるようになった事の表れでもあり、時空管理局からかなり技術供与があった証である。

「あれ、ウチの世界が数十年後に量産する機械の箒。ストライカーユニットって呼んでる。この時代はまだ足につける感じだけど、時代が進むとああなるのよね」

「パワードスーツみたいだな」

「変身ヒロインしてる貴方が言う台詞、それ」

「お前だって似たようなものだろ」

「お生憎様、これはさる英霊の格好。あ、変形して、飛び去るわ」

第三世代型理論のストライカーユニットは戦闘用の甲冑形態の他に、航空機にまたがるような形の巡航形態を持つ。これはモデル元の実機と酷似したエアバイクとも言える姿だ。そのため、実機の操縦方法も必修科目となり、航空技能取得課程が高度化している。下原と真美は前史での現役末期に経験があり、それで調のレクチャーを指令された。下原は意外に教官の才能があり、ベトナムとの戦間期は戦技教導群に出向していた経験がある。それを圭子に買われたのだ。巡航形態ながら、実機同様の戦闘も自衛として可能であり、そこも傑作機とされる所以だ。そのため、従来式から第三世代宮藤理論式のへの機種変更は難しく、当初はGウィッチのみが許されたほどの難度とされていた。これにより舟形時代のカリキュラムが形を変えて復活しており、黒江達がその最初の教官であった。なお、世代別では、F-15は第4世代型ジェットストライカーだが、理論で分けると、第三世代型になる。巡航形態は前世代の舟形武装ユニットが負担になるとされ、パワードスーツ形式になった際の負担軽減策であるが、当初は実機の操縦方法を覚える必要から、賛否両論だった。また、古株は却って楽だと大喜びであり、極初期の舟形で訓練を受けた配備時の最古参世代は数日でモノにし、次いでレイブンズが続いた。この時に新世代でありながら、乗りこなしたのが芳佳の子『剴子』と『岩崎貴美』のコンビであり、当時は新世代の台頭の象徴とされた。同機もF-22の配備までは単純戦闘力で最強を誇り、個人単位でのパーソナルカスタムも多く生んだ初の機体であるが、自由リベリオンの虎の子であるので、扶桑以外には輸出は殆どされなかった。その中で最も高性能とされる、扶桑最終仕様機であるため、ウルスラ・ハルトマンが思いっきり抗議したのだ。また、調を含めた黒江の指揮下の中隊のコールサインは『ミスティ』で、調は『ミスティ7』である。自衛隊からは美少女揃いながら、『21世紀には老人になっている年代の者が多いという事を指して、黒江配下のGウィッチ達を『ミスティ』と総称している。また、調のTACネームは『ホワイトナイト』としている。。(レイブンズ全体の指揮下の大隊のコールサインは『ヤタ』である)特に、黒江を始めとして、年齢不詳(なのはも黒江も調も外見と精神が一致しない)が多い事も、ミスティ中隊のミステリアスさを煽り、一番人気であった。この時、扶桑本国では圭子が64の運営費確保目的で、本国の広報部にいる友人や同期を抱き込んで、大々的にブロマイドを刷って販売し、隊の運営費に当てていた。圭子は前線でのはっちゃっけぶりで有名になったが、堅実なジャーナリストとしての仕事ぶりから、広報部に在籍経験もある。広報部の救いの神であり、『神様仏様ケイさま』と冗談交じりに広報部で語られている。前線での『血塗れの処刑人』ぶりは恐れられているが、堅実な取材をし、一本筋の通った文章を書くジャーナリストぶりから『本当に同一人物?』とも言われるが、圭子の二面性の象徴として後世に有名になる。そのため、『銃さえ持たなければ温厚』というのが、剴子の時代以降での評価で、現役最末期は武子の後任で空軍総司令であった。なお、当人は抱き込んでいる同期に『さんざ猫被ってたんだから普通の文章書けるの解るだろ?あたしゃバカじゃ無いんだぜ?』と語っており、その同期も『銃さえなきゃ、気のいい姉貴肌の奴』と評していたりする。また、自衛隊には『ソードカトラスを使っている事、粗野な口調とタトゥー、ホットパンツ』で固定ファンがおり、自衛隊の統幕からは『タトゥーはシールだね?』と言われつつ、広報誌を飾った。2018年夏の広報誌だ。黒江がかわいい系を狙っていたので、日本連邦軍化で自衛官の籍を得た圭子は真逆の『ガンクレイジー』系で攻めた。そのため、固定ファンが生じた。容姿はレヴィ時のものを使った。普段のものでは顔つきが穏やかそうなので、別人扱いにしているが、使ったわけだ。部内では暗黙の了解であったためでもある。公には自由リベリオン人レベッカ・リーとして。(偶にコスプレとして、素の顔にレヴィとしての服装をした事もある)自由リベリオンも宣伝になるため、圭子のこの行為を公認し、パットンに至っては『俺とケイを表紙にせんのかね』と言い、自衛隊の広報誌カメラマンを困惑させている。圭子はレベッカ・リーとしての名義をこうして利用しつつ、部内には暗黙の了解でバレているのを承知の上で、レヴィの姿でパットンやブラッドレーなどの自由リベリオン幕僚との写真を取らせ、恩を売っていたりする。パットンは有事向けの軍人であり、副官のブラッドレーのように政治屋に好かれてはいないが、人間性は強烈なエゴイズムがないため、子供っぽい性格で通っている。ケイが面倒を見ているため、エゴイズムが矯正され、好人物になったからで、情報秘匿癖が批判的に見られ、キングス・ユニオン最初の降格処分に見舞われたモンティよりは圧倒的に幸せであった。パットンは自分よりど迫力のケイの『部下怒鳴って殴るだけじゃ折れちまうヤツも居るんだ!いい加減にしやがれ!』の剣幕で押し黙ったり、水をぶっかけられる事が多々あり、そのおかげで好人物になり、前線にいるのを好むことは有事では肯定的に見られるため、人気者である。逆にモンティは智子の功績の秘匿、倍する戦力を率いながら、ブリタニア陸軍機甲師団を壊滅させられたというアフリカでの失態がキングス・ユニオンで厳しく査定され、降格処分となった。特に前者はスオムスのマンネルヘイムが天皇陛下に釈明したことで大事となったため、後者よりも政治的失態である前者の責で降格になったと言える。ある意味、ブリタニアの扶桑への配慮である。後者の事柄は『兵員は無事の勇気ある撤退』での擁護が英国陸軍にあったからで、二階級降格は前者の政治的失態が主な理由に使われた。マンネルヘイムがフィンランド大統領に『モンティに乗せられたのであって、私は穴拭大尉を高く評価している』という言い訳をして、戦争回避のためとして、自己保身に走ったのもモントゴメリーには悪い方向に働いた。また、聡明で知られたマンネルヘイムがあからさまな自己保身に走る様はフィンランドの国民に衝撃を与え、同時に、扶桑の日本連邦としての軍事力の象徴とされ、マンネルヘイムはしばらく、国内での人気が落ちて辛酸を嘗めたという。しかし、侍の武勇がかなり轟いていた欧州にとって、扶桑人の苛烈さはレイブンズ伝説もあり、かなり恐れられていたのは事実だ。マンネルヘイムはもろにその沼にハマり、モンティに嵌められたという負い目もあり、自己保身に走った。マンネルヘイムほどの人物に思考力を奪わせる『サムライ』。サムライのミステリアス性もあり、スオムスは以後、長く扶桑を恐れるのであった。また、マンネルヘイムが釈明するまでに、『お、お、おい、何が起きた!?」 、『知らん!?どういうこった!?』、 『取り合えず謝っとけ!扶桑のサムライ怒らせたら、草木残さず薙ぎ払われるぞ!』とやり取りが交わされたとか(伝説だが、ペンペン草一本残らない戦いぶりで鳴らしたモンゴル軍相手に無双した鎌倉武士の末裔が、欧州でスイス傭兵を蹂躙する恐怖の騎馬長弓兵という悪夢の機動兵力として席巻したとか)この時、智子の故郷で、周囲の手のひら返しがまた起こり、麗子の祖母にあたる、自由人な智子の姉は『現金な奴らだ』と呆れ果て、憤慨する妹を慰めたという。智子は故郷でそういう事が起こったのにショックを受け、義理の娘である麗子に慰められ、南光太郎に泣きついたとか。



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