外伝その254『イベリア半島攻防戦3』
――ダイ・アナザー・デイの最中、なのはは黒江やアムロにより、立花響の一軒で正式に訓告となり、しばしのウィッチ隊舎での従卒勤務を命じられたが、その最中であった。
「大変だぁ〜!」
「どうした、なのは。朝っぱらから騒ぐなっての」
「どうしたもこうもありませんよ、菅野さん!うちのヴィヴィオ、知ってますね?」
「ああ、お前がM動乱で拾ったガキだろ?」
「そのヴィヴィオからメールが来てて、急に三者面談が入ったんですよぉ」
「ナヌ!?そりゃ大事だ。ケイさんに知らせてくる」
なのはは黒江達からのお叱りを受けてから、小学生の姿で従卒勤務をする事になり、マドリードでさっそくその勤務についていたのだが、娘のヴィヴィオからメールが来たことで大慌てであった。三者面談である。この頃、ヴィヴィオは外見上は8歳前後だが、実年齢は6歳。まだ魔法学園の初等科の一年目だが、ミッドチルダでは初等科が五年であるため、いくらエレベーター式の進学といえど、本人の自主性などの育成の兼ね合いで三者面談は普通にあるのだ。
「なぬ、三者面談だぁ?あのガキ、まだ小学校の一年だろ」
「ミッドチルダじゃ、初等科って五年なんです」
「そうか。生徒の自主性がどうのって奴だろ?でもよ、ここはミッドチルダからは遠いんだ。その日に帰れないだろうし、ミッドチルダにいる誰かに行かせろよ。シャマルとか、シグナムとか」
「メールで聞いてみたけど、断りの返事が」
「んじゃ、はやてに聞いてみろ。あいつ、管理局の要職についたから、むしろ暇だぜ?」
菅野から呼ばれてきた圭子が言う。はやてはM動乱での管理局の分裂で要職に抜擢され、今や、大将(ミッドチルダは時空管理局武装隊が元々、旧時代の軍隊を改編して警察権を与える形で成立したため、武装隊の階級は軍隊時代のままである。また、再度の改編で警察権を手放す見込みであり、実質的に三権分立に動くことになった。その時に大将が常設された)候補である。また、警察権に属する任務をする必要がなくなり、武装隊が軍事に特化するようになるため、はやてはむしろ暇になる。これはなのはも同様で、フェイトは聖闘士であるためもあり、執務官資格は有したままでの転向も考えている(地球連邦軍の軍籍も得た都合上、軍人として動いたほうが政治的に問題にはならないため)。また、銀河連邦警察が強力な装備を持ち、M動乱で弱体化した管理局が対応しきれない業務を代行しているため、管理局の立場は微妙である。
「確かに、あの動乱で分裂して、管理局の体制が揺らいでるから、はやてちゃんも要職になった割には、暇だっていってたなぁ」
「そりゃそうだ。首都を他世界の助力でも奪還に至らなかったから、連中の権威は地に落ちてるんだ。駐留していた世界からの引き上げも始まったから、多分、形骸化するぜ」
「事実上、アースの地球連邦の植民地になりましたしねぇ」
「仕方がないぜ。管理局や政府の上の連中はバダンの息がかかってたんだ。下っ端連中にいきなり統治させるのは無理がある。アースの植民地にでもなんないと、時空管理局って組織自体も空中分解する寸前だったしな」
「連邦はなんで間接統治に?」
「ルーツがあるとはいえ、管理外世界の政府がいきなりしゃしゃり出てみろ。イラク戦争のイラクとか、カダフィ死んだ後のリビアだぜ。だから、間接統治にしたんだよ。形だけでも、ミッドチルダ政府は存続してるしな」
ミッドチルダ政府は管理局地上本部の陥落から間もなく、その機能を喪失している。今は伝説の三提督が事実上の首班であり、リンディ、クロノ親子は管理局の事実上のトップ、はやては艦隊司令に抜擢されているが、改革派が少数派であった都合上、手持ちの戦力は地球連邦宇宙軍の一艦隊未満でしかない。これは主流派との戦争、管理世界政府の離反による接収の影響であり、最盛期には地球連邦軍に伍するとされた勢力の見る影もなく衰退していた。首都が奪われ、工業力に少なくない打撃を被ったミッドチルダは内乱を独立のチャンスと捉えた、強権的支配に反目する管理世界に離反され、戦力を色々な理由で喪失。残された戦力はハラオウン家の息がかかってた艦隊のみであった。そのため、地球連邦軍と銀河連邦警察の後ろ盾を得るしか存続の道は考えられなかった。また、主流派がバダンに合流したための人材不足も悲惨であり、なのはが無条件で三佐になれたほどだ。
「お前も知ってんだろ?時空管理局が分裂して、内輪もめした結果、ミッドの築いた秩序が不安定になったのを。だから、地球連邦政府の植民地になったほうが得だったんだよ」
「でも、ある意味、管理局の魔法至上主義もこれで鳴りを潜めたから良かったかも」
「これで今度、前史と同じように別のミッドチルダに飛ばされたら、ど肝をますますぬけるぜ」
「前回はドラゴンで来ましたね?」
「おう。今回は號たちに真ゲでも持ってきてもらうさ。前回よりドワォな光景になるけど」
「なんですか、『ウオオ、ゲッターが敵を食っちまってる〜!』的な?」
「そそ。今回はその路線だ。M動乱中からタイミングずれたからなー、今回は」
「はぁ…。今回は何て言われるかなあ」
「基本世界に近けりゃ、色々変えまくったお前のいる世界は驚かれるだろうよ。フェイトがタイムテレビで一部確認してみたが、擬音でいうと『ドワォ』、『ズオオッ』だったってよ」
「なんですか、それ」
「つまり、真ゲッターが神ゲッターに変異して、後で向こうのフェイトがこっちに食ってかかったらしーぜ」
「ああ、だいたい想像つく…」
「強力な質量兵器に拒否反応があるからな、何もない場合のあいつ。特にゲッター線の力で敵を食らう上、ゆりかごもかる〜く捻り潰す神ゲッターにゃ怯えるだろう」
圭子の言う通り、フェイトは何もない場合、純粋な科学兵器を嫌い、特に、真ゲッターロボのような極端に強力な兵器に怯える傾向がある。そのため、確認したところ、同一人物同士でいざこざが起き、ライトニングプラズマを打って黙らせたらしき場面があったという。なのはもそうだが、管理局の思想に疑問を持たなくなると、真ゲッターやマジンカイザー級の質量兵器へ極端に拒否反応を見せる。これはフェイトのほうが強い。それは自分たちからすれば、極論に近いため、二人の転生後の思想と性格もあって、無事には終わらないのがお約束である。事実、『自分達は一番、戦闘にパラメータを割り振った』成長をしたという自覚があり、いざ戦闘になれば、別の自分を圧倒できる自負がある。また、自然と戦闘を楽しむ傾向がある(なのはも前史でゲッター線を高濃度で浴びた名残りで好戦的になっている)二人は基本世界に近めの世界の自分自身からは気味悪がれるのだ。
「ま、あたしらは基本世界から大きく逸脱した存在だし、自分自身の中でも異質なのは自覚してますよ。フェイトちゃんなんか聖闘士だし」
聖闘士にまでなったフェイトはその技能を以て、インターミドル・チャンピオンシップに一度だけ出場。お忍びでランカ・リーが観戦していた事もあって、ハッスル。圧倒的な力で優勝を勝ち取っている。その影響はヴィヴィオに色濃く表れ、なのはを困惑させているのである。
「だいたい、管理局は自分に伍する文明に会ってないから、科学が異常発達した世界に怯えるんだよ。古代ベルカの愚を〜って割には、基盤は科学だし」
「あとで考えると、馬鹿らしいですけどね」
「前史のドラゴンの時点で腰抜かしてたし、もっと強力な真ゲッターなんてみたら泡吹くぜ」
「確かに」
「お、そうだ。お前、ヴィヴィオが格闘技やりたいっていったらやらせるか?」
「え、ええ。でも、あの子、まだ6歳ですよ?」
「なーにぬかしてやがる。お前だって初陣は9歳だろーが」
「うっ!」
「とにかく、はやてに聞いてみろ。今の時間なら、ミッドチルダはお昼のはずだ」
「は、はい。……はやてちゃん?あたしだけど、実は……」
はやてはちょうど昼食中であった。ぼやきつつも、ヴィヴィオに相談された事を伝え、自分が行くと明言する。曰く、その日は午前中の観艦式の視察以外は暇であるからだという。
「いいわよ。その日は午前中に観艦式あるだけだから。ヴィヴィオから相談されたのよ」
「ごめん、はやてちゃん。どうしても今は抜けられなくて」
「なに、覚醒してからはヴィータに怖がられてね。いい気晴らしになるわ」
はやては上手い具合に遠坂凛の記憶や自我との融合が果たされたらしく、口調は遠坂凛の表裏あるもの(猫かぶりとそうでない時の差が激しい)であり、振る舞いも遠坂凛寄りだが、八神はやてとしてのノリがいい面も残っている。なお、喋り方が標準語寄りなのは遠坂凛の記憶によるものだ。
「ヴィヴィオがストライクアーツ始めたいっていうから、とりあえず、あと数年待てと言っといたわ。その時になったらデバイスを作ってあげるって言ったから、発注はしといたわ」
「ヴィヴィオは三者面談でそれを言うつもり?」
「ええ。ま、夢を追うことはいいことだし、周りにいい手本がいるじゃない。私が最低限、護身術は仕込むから、あとは好きにさせなさいな」
口調もテキパキとしたものであり、おっとりした印象のある八神はやて本来のものとは異なる印象である。覚醒後は京都弁は鳴りを潜め、標準語を用いる事が多い。ヴィヴィオの三者面談に赴く事と、ヴィヴィオはやはり、格闘技に憧れていた事が明らかになった。身近に使い手がごちゃまんといることも大きいが、フェイトが圧倒的な強さで大会に優勝したことが、今回におけるヴィヴィオの憧れの理由である。なんとも言えないらしいなのはだった。
「いきなり聖闘士の修行なんかさせたら、小学生なんかすぐ壊れるでしょ。 取り敢えず基本中の基本の震脚正拳だけ教えて体作りのランニングとストレッチだけ仕込んで置けばしばらくは紛れるでしょ」
「そうかなあ」
「貴方が特別なの。とにかく私に任せなさい」
と、はやてはなのはを言いくるめるのであった。
――一方、黒江は後輩の中島錦がまさかのプリキュア出身のGウィッチである事が確認されてから、その裏付けのため、仮面ライダーディケイド/門矢士に調査を依頼し、その結果報告を聞いていた。
「…やっぱりか。ありがとう、士」
電話を切り、その錦、いや、黒江の私室では変身し、『夢原のぞみ』というべきか…。を呼び出していた。
「お前、マジで元・プリキュアか」
「後輩に襷を渡しただけで、変身アイテムは引き続き持ってましたよ、先輩」
「お前、その姿だとよ、一気に女言葉になるな」
「ま、まぁ、これが私なんですよ。夢原のぞみ、即ちキュアドリームっていうか」
「うーん。他のプリキュアの前世持ってそうな連中を探してもらってるとこだが、日本の連中が聞いたら狂喜乱舞するぞ?」
「うーん…喜んでいいのか」
「アニメって形で、お前が戦ってた期間は知られてるかんな。ま、有名税と思っとけ。それに、お前、いいロマンスしてたんじゃないか」
「う、うわわ〜!せ、先輩!?」
「安心しろ、自衛官の連中はみんな知ってる」
「なんですか、その笑顔とサムズアップはぁ〜!」
「あ、言っとくけど、お前がキュアドリームになっても、俺はお前のパンチを受け止められるかんな」
「ズルいですよぉ〜!」
「芳佳とシャーリーがお前を同好会に誘うとか言ってたぜ。たぶん、あいつらも因子を持ってるはずだ。仮面ライダーディケイドからの情報によれば、あいつらはお前のプリキュアとしての二人の後輩の因子を持っているそうだ」
「えぇ!?なんとなく心当たりありますけど、そんな、都合が良いような」
「お前がプリキュア5だった前世持ちの時点で、ご都合主義の次元超えてるぜ。いくらドラえもんが『ツキの月』を持っていても、だ」
「先輩、プリキュアの力があるって分かっても、なんかリアクションが」
「そりゃ、俺も智子からお前がシューティングスター撃ったとか聞いた時はコーラ吹き出したが、ガタガタ言っても始まんねぇし、旧日本軍が超人機メタルダーとかラ號作ってる以上、プリキュアくらいじゃな」
「なんですかーそれー!良いですよ、芳佳やシャーリーの誘いに乗りますからー、けてーい!」
服装は錦としての軍服姿であったが、姿は完全に夢原のぞみである。態度や声色も変化しており、説明に骨が折れそうである。(これにより、表向きは中島錦のままで大尉へ昇進しつつ、Gウィッチとしての地位を得た)
「ん?お前、前世でよく教師になれたな?」
「のび太くんタイプなんですってばぁ〜!」
「ふーん」
「あ〜!信じてない〜!」
「それはそうと、天姫になんて説明するつもりだ、お前」」
「あ、天姫の事、すっかりわすれてた〜!」
「最近、ツッコミ役、俺なんだぞー!」
「知りませんよぉー!」
黒江はまさか、いきがっていた後輩がプリキュア出身者である事、覚醒すると、キャラが少女らしいものに変わっていることによるツッコミを入れる羽目になるとは思わなかったらしい。
「えーと、その姿だと、のぞみでいいか?」
「あとでちゃんと説明してくださいよ〜!」
「他のガキどもにあとで説明してやっから。ただし、前世のことは自衛官の連中に聞かれるのは覚悟しとけ。お前、な〜にが…」
「う、わわ〜!そ、それは勘弁してくださぁ〜い!」
黒江に遊ばれる中島錦、いや、夢原のぞみというべきか。芳佳が趣味(おそらく、実益も兼ねていただろうが)でDVDを買っていたため、色々と前世のプライバシー(主に恋愛)が危ない事を黒江が口に出しかけ、それに狼狽する姿を見せた。本来の夢を叶えた後に、別人として転生した。転生は本来、そういうものだが、彼女の強い意志が奇跡を起こしたと言える。
「これからどうする?錦としての家族や友達もいる身だぞ、お前は」
「分かってます。私がプリキュアとしての力を持ったまま生まれ変わって、気がついたら、前と似たような立場に置かれてた…。私の使命がもし、『戦う』事なら……手伝わせてください、先輩。まだ記憶が目覚めてない時に生意気な口を聞いちゃったけど、今なら……先輩達の苦しみも、血と汗もわかります。だから!」
「その言葉に二言はねぇな?」
「かつてのキュアドリームとして、いや、夢原のぞみという一人の女の子として、ここに誓います」
「分かった」
黒江は優しく微笑む。前世での仲間と事実上は別離した環境に置かれ、『夢原のぞみ』の自我と記憶が目覚めて最初に彼女を襲った感情が『孤独』であったことは想像に難くない。戦いの場に身を置いた者がそれ以前に営んでいた生活に戻ることが難しくなるのは有史以来、枚挙に暇がない。彼女は夢を叶え、幸せになった。だが、転生で別人として生きている地にいきなり放り出されたも同然の状況や、それまでの日常にできてしまった違和感など、前世と同一人物に転生した者にはない『苦しみ』を味わった事、また、戦いの場で『命を預け合う仲間がいた』という戦場特有の感覚が自分を少なからず充実させていたという復員兵士に見られる心理作用もあり、如何にかつては歴代プリキュアきっての強メンタルで鳴らしていたのぞみでさえ、自分を支えていたものを全く別の環境に置かれた事で失ったという喪失感、別世界に転生した以上、縋れる者が誰もいないという孤独は如何ともし難かった。そのため、せめて天姫を守ろうと無意識の内に変身したのは、夢原のぞみとしての自我と感情が完全に表に出た瞬間だろう。完全にGウィッチとして覚醒した後に、こうして黒江を頼ったのは、同じ転生者だと分かったからだろう。
「先輩、私、怖いんです。気がついたら、それまでの全てが嘘みたいに見えて……。前世での大事なものを全部置いてきちゃったような感覚があって……。大切だった人を全部……!だから…」
「でも、お前は英雄だろう?前の世界でお前は……いや、お前たちは世界のために戦った。この世界もそうだ。次元を超えた連中の好きにさせていいのか?それがプリキュアだったお前にできることだ。世の中にはな、人としての未来を奪われて、体を化物同然にされたけど、その体と向き合って、人間の自由のために永劫の戦いに身を投じた人たち、限りある一生の間にできる事をしようと、俺達を助けてくれるダチ公共がいるんだ。俺も過去を振り返って悲観的になる事はあるさ。だけど、ダチ公の一人が言った。『夢が遥か彼方にあるのなら、焼け付くほどに手を伸ばせ。憧れがあるのなら、炎のように燃え上がせろ』ってな。のぞみ。確かに、お前が置かれた状況は孤独そのものかもしれない。けどな、神様が与えてくれた新しい命はよ、ただ、ピーピー、ヒヨコみてぇに泣くためじゃない。お前に守って欲しい誰かの明日のために使うべきもんだ。命には燃やし時がある。それが今ってことだ」
黒江は静かに、それでいて、流竜馬らの影響が垣間見える一言を言う。かつて、ヒロインであった者がクヨクヨしてどうすると発奮を促そうとして。黒江が如何に、栄光の七人ライダー、更には偉大な業績を限りある人生で成し遂げたのび太達の背中を追いかけ、その崇高な姿にあこがれてきたのか。その思いを表明しつつ、かつて、自分がいつか、流竜馬に言われし一言も添えて問う。『夢が遥か彼方にあるのなら、焼け付くほどに手を伸ばせ。憧れがあるのなら、炎のように燃え上がらせろ』と。黒江はその言葉を守り続け、遂には山羊座の黄金聖闘士かつ、サムライトルーパーにまで登り詰めたのだ。
「私だって、私だって……!プリキュアです!今だってそのつもりです。前世で貫いた希望と『夢』は誰にも奪わせない!……プリキュア・メタモルフォーゼ!」
これが中島錦改め、夢原のぞみのGウィッチとしての自己意志での『変身』だった。Gウィッチとしては史上初のプリキュア出身のGウィッチであり、転生先の人物像との前世の人物像の乖離が中々に激しい場合の二例目でもあった。彼女は葛藤を経て前世と向き合い、これからのGウィッチとしての茨の道へ足を踏み入れる決意表明として、黒江の前で変身してみせたのだ。
『大いなる希望の力、キュアドリーム!!』
――こうして、連合軍は事実上、『100万の味方を得た』も同じ力を得る。しかし、Gウィッチに与えられし『特権』への反発、ウィッチ社会の慣習を打ち破らんとする姿勢への異端視意識、生贄を求める集団心理などの相乗効果でウィッチ間の抗争は激しさを増す。その一方で、近代兵器の膨大な物量でウィッチ達が持っていた特権意識が踏み潰され始める時代を迎えつつあり、Gウィッチの頑張りをもっても、ウィッチ単独では均衡状態を保つので精一杯なのだ。それ故に上層部は諸兵化連合構想を推し進めようとするも、特権を持ち、それに見合う単騎戦闘力を誇るGウィッチへの反発や、ウィッチ全体にあった他兵科への見下しに起因する独走で部隊壊滅もヒスパニア戦線では珍しい事ではなくなりつつあり、その結果、Gウィッチの負担が却って増すという、『負のスパイラル』に陥っていた。ウィッチ全体の立場悪化を危惧する黒江達がプリキュア出身者を欲した理由はそこにあり、後世のウィッチ兵科廃止の一因は、この時の近代兵器への意外な脆さだったともされ、この時の中堅世代の後世での肩身の狭さの理由であった。
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