外伝その296『迷わないで』


――のび太はダイ・アナザー・デイ中、その能力でもっぱら支援を担当していた。のび太は青年時代以降、妻の静香と同じ高レベルの大学を卒業し、公務員に就職する『勝ち組』であり、裏世界ナンバー2の地位も得ている。ここまで立身出世すれば、かつての悪評は完全に過去のものである。子供の頃に劣等生となじられた事も日常茶飯事だった男がここまで変わるなど、誰が予想できたか。のび太の高潔な精神と博愛を理解しようとする難易度はそれこそ、1940年代の壮年達に1970年代以降のロックンロールを理解させようとする事くらいの高難易度である。戦闘面でも、圭子の不在を彼が補っていると過言ではない活躍であり、イチイバルのアームドギアで貫けない、学園都市の遺産で作られた装甲服を容易く貫くなど、その能力を遺憾なく発揮していた――


「うそだろ、イチイバルで貫けねぇ奴を、そんな普通のマグナムをちょっと弄った奴で……」

「学園都市が残した技術で造った防護服だよ。技術自体は後の時代にも残されたしね。対魔術師用だから、下手な聖遺物は通じないが、純粋科学には脆いもんさ。学園都市も可怪しいの色々持ってたけど、制御OSにバグがあったりしてるのさ」

のび太は雪音クリスがイチイバルを纏った時に発揮する戦闘力を銃一つで上回っていた。クリスが弱いわけではないが、立ち回りで青さを見せるため、のび太に一歩譲る形になっていた。

「さっ、行こうか」

「あたしのミサイルで空を飛んだほうがはえーぞ?ミニ・クーパーなんて、50年以上前の車だろ」

「ミサイルだと、混戦の時に落とされるよ?こういう市街地じゃ、コンパクトカーのほうが勝手が効くもんだ」

のび太が大叔父から受け継いだミニ・クーパー。レストアで中身は別物だが、外見は元のままであるので、レトロ感が漂う。シンフォギアを纏ったままで乗り込むクリス。こうした光景もこの作戦では珍しくないものだ。シンフォギアへの感覚も、プリキュアへの変身に似た感覚で捉えられるようになった証というべきだろう。特に、ススキヶ原では調が日常的に纏っているため、感覚としては『普段着』と変わらなくなっている。根本的にそれを上回る聖衣の存在も大きいだろう。

「……はぁ。第二次世界大戦の時代に行って、当時のアメリカ軍とやり合うなんてな。わけがわかんねー。しかも、あいつは問題起こすわ、戦艦大和が空飛ぶわ、スーパーロボットは闊歩する、プリキュアの実物はいるわ…」

「ま、君だって、綾香さんが入れ替わってた事はわからなかったんだろう?世の中、そうそう予想通りにはいかないもんさ。あの子には悪い事にはなったけど、概念兵装ってのはそういうものさ」

「概念兵装、ねぇ。あたしらにしてみれば、シンフォギアを買い物に使うことのほうが重大だぜ。映像と写真は見たけどよ、みんな腰抜かしてた」

「調ちゃん、あの姿で料理してるし、買い物くらいは序の口さ。最近はプリキュアも現れてるし、僕自身、宇宙人、海底人、地底人、神の使いに会ってるから、シンフォギアだとか、プリキュアくらいじゃ、びくともしない」

「あんたの事はあいつが読んだ漫画とかで知ったけどよ、なんでスイーパーになったんだ?」

「世の中、Mr.東郷や僕みたいな存在が必要なのさ。特に、地球や宇宙を股にかけた冒険なんてしてるとね、裏仕事も世界を回すのに重要なのが分かるよ」

ミニ・クーパーを運転しつつ、のび太はそう明言する。自分の転生体からの連絡により、23世紀以降のGウィッチの面倒は『ノビ少尉』に任せている。のび太と彼は、同じ魂と意識を継承する存在だが、別個の存在という意識はお互いにあるという。

「僕は21世紀までの時間軸での彼女達の盾さ。ガキの頃の僕のイメージのままの色眼鏡でみる連中は、他人を見下すことで、自分の自尊心を満たしたい阿呆どもさ。秀才で鳴らしたカミさんと同じ大学に行き、公務員になってるんだよ?世間的に言えば、勝ち組だろ?」

「確かに、あんたのワイフは秀才だったもんな。同じ大学にどうやって入った?」

「補欠入学さ。おふくろに浪人する覚悟を言っといた矢先に決まってね。十分に成功者だろ?」

「まーな。世の中、あんたの事を『転生者の下僕』なんて言う奴らもいるけど、そういうのは僻みだぜ」

「まあね。そもそも僕は『意志の存続は望んでも、自分の不滅性は望んでない』んだけどね。だから、それは未来にいる子孫に任せたのさ。かみさんの血が入ってるから、腕っ節もいいしね」

のび太は自身の転生体『ノビ少尉』が不死性を手に入れた存在であると明言し、自身は腕っ節に関しては子供時代とさほど変化していないとする。

「あんたも大変だな。転生してまで、あの人達の面倒かよ」

「そもそも、不死性を得てしまった彼女達は迫害される事が多いしね。魔力の永続性を得たことでさえ、部内が割れるくらいの騒ぎになってる世界じゃ、尚更さ。軍事的に有用な存在って分かった途端に、手のひら返ししだす軍の上層部には呆れるね」

のび太はあからさまに扶桑皇国軍主流派を揶揄する。しかし、ウィッチの世代交代期に大戦が始まる世界情勢がもろにおっ被るなど、大多数が予測不可能だった事、対人戦争への忌避感が予想を遥かに上回っていた、レイブンズと電光三羽烏の同一性に、後輩達が殆ど気づかないなど、軍部にとっての予想外の出来事が重なったことを考えるべきでもある。実際、レイブンズが電光三羽烏と同一の存在と気づいた者たちは陸海を問わずに彼女達の味方に転じ始め、海軍航空隊の本土組はいつしか、政治的に孤立している。

「ま、一部の魔女に手柄が集まることを危惧する声があるから、色々な施策をしたけど、日本が誤解で潰した。その代償はもうじき起こるはずさ」

扶桑皇国軍はGウィッチの戦果には満足していたものの、彼女達の飛び抜けた英雄視を嫌う風潮は45年時点では海軍を中心に存在し、その一環で東二号作戦が実行された。だが、それが頓挫したことで、教育部隊と分離した古参の行き場が無くなった。人員は64と各戦線の補填に使用されたが、この事がクーデターを煽ったのは否めない。想定よりは小規模化するものの、やはり起こったクーデターを理由に、海軍航空隊の再編が実行される事こそ、扶桑皇国海軍にとっての『血の日曜日』であり、海軍航空の自主性の喪失と嘆かれる事になる。

「代償?」

「クーデターさ。それで懲罰的に海軍航空の陸上にいる部隊は問答無用で空軍行きになるのさ」

この懲罰は効果てきめんであったが、601空まで空軍に転科させたのは事務手続きのミスであった。そのため、601空は視察した幹部自衛官の指摘で後に、『戦時、海軍航空隊にその責を負えないと判断された場合、空軍は空母航空団を代行できる』という規則を設けられ、同隊の空母航空団としての機能が存続する。のび太はその流れを『知る』男である。

「クーデターか…。過激な連中はそんなことしか考えねぇんだな」

「自分達の利権を守りたいのさ。それと、改革を拒む保守的な風潮が扶桑皇国軍にはあるんだよ。昔の江戸幕府なものさ。硬直化した官僚組織の悲哀だよ」

のび太は父親と違い、タバコは吸わないが、喉の薬は咥えている。ダイ・アナザー・デイの第二段階の頃は、雪音クリスと行動を共にする姿が見られるようになった。子供の切歌がなのはの行為への抗議の意図もあり、参戦を取りやめているため、その代わりに比較的にニュートラルな立ち位置のクリスが働いている。元から高い素養を持つために、シンフォギアの展開時間に制限がない事、多忙な風鳴翼より余裕があるのも理由だ。

「あんたらには迷惑かけてると思う。あの馬鹿はボイコットする、響は考え込みやがるし……」

「あ、あの子だけど、どうやら、因子があるみたいなんだ。英霊の」

「何だって!?本当かよ」

「ああ。アストルフォちゃんが言ってた。沖田総司の因子があるそうな」

「沖田総司?新選組の?」

「そう。もし、目覚めれば、なんかすごいことになりそうだよ」

「あいつのあり方と相反しないか?」

「それが因子を抑えてるんだろうね。『誰かと手を繋ぎ合う』事と反する『人殺しの道具』、『合理性を持つ近代の戦闘集団』の、ね」

のび太はクリスに『立花響に存在する英霊因子』の詳細を教える。覚醒した場合、『斬り合いなんて生きるか死ぬか』と公言する『人斬り』になる事が大方の予想であり、立花響本来の優しさと相反するような冷酷さが表面化するとされている。また、沖田総司の生きた時代背景、本人の性格的に合理性を重視するため、武士道にかぶれている風鳴翼とは折り合いが悪くなるともされる。(翼は黒江も苦笑いするほど、天羽奏の死後は武士道にかぶれているため、沖田総司の有り様と相容れないだろうと予測されている)

「あいつの意志が強いおかげか?」

「だね。なんかの加減で覚醒めたら、緋村剣心と互角に渡り合った剣技が炸裂するのは間違いないと見ていい。自分が狂言回しの役回りに近い事は自覚してるさ」

のび太は自分は狂言回しに近づいている事を自覚しているとハッキリと言った。それでいて、依然として戦闘要員である。のび太の担う役割は複雑と言っていい。ミニ・クーパーをしばし走らせていると、アガートラームを纏ったマリアが戦っていた。のび太はミニ・クーパーをドラフトさせつつ、ドアを開けてスタイリッシュに飛び出て、スーパーレッドホークを連射する。のび太の英霊としての能力もあり、全弾が相手を貫く。

「ふう。大丈夫だったかい」

「貴方は大人の野比のび太…。大人になって、雰囲気変わったわね…」

「まったくだ。こいつ、どことなくスイーパー的な雰囲気醸し出しやがる。普通の銃であたし以上の火力出すんだから、信じられないぜ」

「ま、これでも英霊の資格は満たしてるからね。その能力の発露と思って差し支えないよ。」

「英霊、か。シンフォギアが霞んでしまいそうね」

「ま、プリキュアもいるからね。スーパー戦隊や仮面ライダーとタメを張れる。それでいて、シンフォギアのようなリスクがない。あの子が僻むのも無理ないさ」

「銃だけで、それに並び立てる貴方のほうがよほど反則じみているわよ?」

「神様、上手いことしたもんでね。ガキの頃は親父とおふくろに疎んじられたんだけどね」

マリアは、銃だけで英雄達と同じ領域に至ったのび太に賛辞を送る。ただし、接近戦は子供の頃同様にからっきしのままであるが、ロ○ャー・ムーア時代のボンドのように、強運で乗り切っているという。

「立花響と切歌の事は詫びるわ。立花響に原因があったし、まさか、切歌がボイコットするなんて…」

「まあ、あの子のことはこっちに不手際があったし、切歌ちゃんが怒るのも無理はないさ。その分はこちらで補うさ」

のび太が微笑む。青年期、この微笑みの効果で、省内でモテモテであったので、20代から30代の頃は『大関スケコマシ』とあだ名されていた。25歳で入籍していて、である。少年期に『面白い顔』と静香にさえ言われたのに比べて、雲泥の差である。

「ごめんなさい、まさかこういう流れになるとは」

「いいさ。あの子は綾香さんが入れ替わってた事に気づいてたけど、怖くて言えなかった事がある。それになのはちゃんのやり口は残酷過ぎたしね。ドラえもんと僕からも叱っておいた。それに……」

『あなた達に負担をかけるわけにもいかないしね。想いを咲かせる奇跡の光、シャイニングドリーム!』

シャイニングドリームが飛来する。それに随伴するエンジェルピーチ。

『ホワイトハートはみんなの心、羽ばたけフレッシュ!キュアエンジェルピーチ!』

名乗りはお約束半分のサービスだが、翼を持つ強化形態で登場したため、実に映える。まだ修行前の段階だが、怪我が治ってからは、感覚を研ぎ澄ます意図もあり、強化形態にいきなり変身している。

「二人共、怪我は治ったかい?」

「まだ、テーピングしてるけどね。プリキュアとして、いいとこ見せないと」

「そうそう。この星を守ってるのは、仮面ライダーやスーパー戦隊やドラえもんくん達だけじゃないってところを見せたいしね」

「あなた達も転生者なの?」

「正確にはね。だから、精神年齢は大人だよ、マリア・カデンツァヴナ・イヴちゃん」

「ち、ちゃん!?わ、私はこう見えても、ハタチ超えなのよ!?」

「そこは気にするか、マリアよ」

「あ、箒ちゃん」

「箒…!」

「全く、転生者の前では、外見年齢は大して意味はなさんぞ?」

射手座の聖衣を纏った箒もやってきた。纏えている理由は、現時点では、箒が正式な射手座の黄金聖闘士だからである。そのため、ビジュアル的にはものすごく豪華極まりない。それと、マリア・カデンツァヴナ・イヴと篠ノ之箒は同じ過去生を持つため、実質的に魂の姉妹関係である。ちなみに、箒が『姉』に当たるとの事。


「ドリーム、ピーチ。上層部が秘匿符号『P』プランを採択した。次の目標はポルトガルだ」

「ポルトガル?リスボンを落とそうって腹なの?」

「そうだ。戦時中の日本軍ではないが、打通作戦で短期決戦を狙うそうだ」

「マドリードの安全は?」

「それを確保するため、大規模会戦を北上する兵力と行った上で、だそうだ。陸軍は喜ぶだろうが、如何せん、機甲師団の充足率が足りておらん」

「おい、ちょっと待て。マリアとあんたの声、すごく似てないか?」

「まぁ、同じ過去生を持つ者同士だから、そういう事はままある。雪音クリス、だったな?」

「お、おう…。なんか、聞き分けがものすごくむずいんだけど」

「私のほうが微妙に違うから、慣れればそれほど気にせんでいいぞ。なぁ、のび太」

「ええ。箒さん、マリアちゃんと比べると、ちょっと低めですからね」

「その聖衣、綾香があの時に纏っていた『サジタリアス』?」

「そうだよ、マリアちゃん」

「私が一応、現時点では正式な資格者になるんだ。この三人とのび太、それと私がいれば、一個師団くらいは軽いものだ」

スーパープリキュア二名+半英霊+黄金聖闘士の戦力は通常の軍隊で言えば、連合軍の方面軍二個分以上の戦力に相当する。のぞみとラブが修行前であるのを考慮して、である。

「それにあたしとマリアを入れれば、普通の軍隊が何人いたって…」

「そうは問屋がおろさないさ。敵に世紀末救世主伝説の拳法使いがいる事が分かった。そいつらは強敵だ。この子達を圧倒できるからね」

「いったいどうやってやがるんだよ、あんたのいる世界は!」

「僕も実在を確認したのは初めてさ。そいつらと出くわしたら、正面からは僕と箒さんしか戦えない。」

ドリームとピーチもそれに頷く。裏世界ナンバー2ののび太と黄金聖闘士である箒は、世紀末系拳法にも対処できる力を有している。しかし、ドリームとピーチは泰山天狼拳に圧倒されたばかりであり、そこものび太の英霊としての高い素養、それを裏付ける早打ち(デューク東郷をも上回る)の技術の所以である。

「喚くな、クリス。これが平行世界の驚異というものだ」

「僕は銃の腕だけで英霊の座に登りつめたからね。アーチャーとしちゃ、かなりアサシン寄りだけど」

「自分の英霊属性を説明してどーする!ったく、妙なところはガキの頃と変わってねーし…。」

「まあ、のび太を子供の頃の色眼鏡で見る者の誹謗中傷は多いからな。射撃の特技など、射撃競技でもやらんかぎりは100%は活かせんものだ」

「私も現役時代は部活追い出され王って陰口叩かれてたし、のび太君と似たような生活送ってたけど、プリキュアになって、教師になれたからね。人間、第一印象だけで見る輩が多いってことだよ、クリスちゃん」

「人を子供扱いすんな!くっそ、こんななりだから、自衛隊にもマスコット扱いだしよ…」

「あそこは魔窟だよ?大きい友達の。マスコット扱いならまだ可愛い方だね」

「そうそう。あらかたの事はバレてるから、プライバシーも何もあったもんじゃないし〜。」

「私なんて、初恋バレしちゃってるんだよー?」

「そういう事。人間、肝心なのは『諦めない事』、『前を向く事』、『魂を燃やして、沸き立つ本能の向かうままに生きる事』、支配層や有名人とかの『他人』の粗を探して、それに優越感を感じる事で、くだらない自尊心を満たそうとする、ちっぽけな地位や権力に溺れる『腑抜けた』考えの奴らに度肝を抜く生き様を見せつける事だよ」

「…生き様か」

「そう。調ちゃんは綾香さんの生き様に触れる事で、僕のところへ来た。他の世界で響ちゃんが担う役目を、綾香さんと僕が担った事になる。それと、調ちゃんは古代ベルカ最後の聖王、オリヴィエ・ゼーゲブレヒトに仕えた騎士だった。その事も、あの子と折り合いが悪くなっちゃった要因だね」

「異世界の古代の列強国の近衛騎士…。綾香から得た技能がなければ、それで生計は立てられなかった。戦争に従事してるだろうから…」

「……当然だな」

「君は戦争で親御さんを亡くしているから、あまりいい思いはしないだろう。だけど、調ちゃんの想いは汲み取ってほしい。あの子の保護者としての願いだよ」

「あたしだって、ピーピー喚いてるだけの子供じゃないんだ。それくらいは分かってるよ。それに…、強い願いと、何かの力を持ちたかったのは、あんたらもだろ?」

「うん。だけど、誰がために力を奮う事が大事だよ、クリスちゃん」

「守りたい、誰かを助けたいって気持ちはみんな、いっしょだよ。愛のために、自由のために、誰がために」

「そう。私達は諦めない。わたしたちの起源になった偉大な二人の背中を追いかけてるのは同じだけど、『伝説』じゃない。一緒に肩を並べて戦った友達なんだ。それを証明したいの」

のぞみとラブは、なぎさとほのかの背中を追いかけつつ、二人は『一緒に戦った友達』であり、けして、触れがたい伝説ではない事を証明したい気持ちを吐露する。代が近いため、共闘した機会が多かったのも大きいだろう。

「初代……プリキュア…」

「そう。私達が背中を追いかけてる『友達』だよ」

他のプリキュアがその背中を追いかける、なぎさとほのか。二代目の咲と舞共々、『ふたりはプリキュア』の称号を持つ。のぞみとラブにとっては『友達』以外の何者でもない。二人はなぎさとほのかの事を思い出し、クスッと微笑う。

「その子達に恥じないように、わたしたちは戦う」

シャイニングドリームとエンジェルピーチはそう明言する。のび太はそんな二人を守るかのように、彼らの前に白昼堂々と姿を現したマフィアの殺し屋と対峙する。ティターンズが事前に雇っていたのだ。

「イタリアンマフィアがイベリア半島までご苦労な事だな。…舐められたもんだ。この俺も」

ハッタリを効かした台詞で反応を見るのび太。傲慢不遜なキャラを装うのも、裏世界では当たり前の処世術だ。

「マフィアがこんな白昼堂々、娑婆に迷惑かけるのか?堕ちたもんだぜ」

「ふ、お前を倒せば、ティターンズは一生を保証してくれるんでな」

「粋がるなよ、チンピラ風情が」

のび太はティターンズの雇った暗殺者をチンピラと断じ、一笑に付す。次の瞬間のクイックドロウで正面の相手を瞬殺し、トンプソンを構えようとした残りの連中を始末する。その秒数は信じられない速度であり、西部で無敵のガンマンという伝説を打ち立てたのは伊達じゃないのだ。

「零コンマ数秒で一人目を瞬殺…。さっすが♪」

「弾は少なめ、狙いは正確にね」

「きれいに心臓ぶちぬいてるね、さすが西部のガンマン」

のぞみとラブはこの調子だが、マリアとクリスは自分達がシンフォギアを着ていても反応できないほどの速度で、のび太は心臓を撃ち抜く事に度肝を抜かれる。。しかも、普通より反動のある357マグナムで。これぞ彼の英霊としての能力の発露であった。



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