外伝2『太平洋戦争編』
行間『エースという称号』


――扶桑空軍は基本、陸軍航空が海軍基地航空を飲み込んでできた軍隊である。そのため、撃墜王も陸軍式に公式発表がなされる事になり、ランキングが1947年度から公式カウントされるようになった。これはリベリオン軍との共同戦線をする都合、釣り合い取りのため、撃墜王の公式化が必要になったからである。そのため、部隊単位で細かいスコアを残している陸軍出身者が上位に食い込みやすく、黒江達はトップテンに入っている。海軍出身者は自己申告も多いため、不正確な部隊も多く、上位に食い込んでいるのは、若本、西沢、菅野、芳佳、赤松などの自他共に認める強豪だけであった。撃墜王の公式化は褒賞のバランス化が主因でもあるが、風習的にそのような習慣のない海軍航空隊から、『将兵を政治利用するな』との声や、『今更、武功有るといえ、個人をいちいち称える制度の創立はおかしい』との声が大きかったが、5機撃墜で撃墜王と讃えられるリベリオン軍に対する対抗心がそれに勝り、次第に沈静化していった。


――1948年1月ごろ

「撃墜王を公式化したのか?」

「ああ。リベリオンとのバランス取りのためだ。向こうは五機撃墜で撃墜王と讃えられて褒賞されるから、不都合が出てな」

そう。扶桑は各軍航空隊で『撃墜王』に対する見方は違っており、三羽烏を要したため、撃墜王の公表に積極的な陸軍は、撃墜王制度が部内にあり、金鵄勲章の確約代わりに、陸軍武功徽章も与えられていた。対する海軍は部隊戦果として扱う形で記録しており、多量撃墜者は部隊司令が感状を出し、それを全軍に布告する程度にとどめていた。そのため、不正確なものも多く、結果、ハッキリと記録がある陸軍出身者のスコアが伸びる傾向にあった。坂本Bは『撃墜王ランキング』と称する経産新聞の記事を手にとり、意外そうな顔を見せた。

「海軍閥から反発出たろ?陸軍閥主体で制度を作るのは」

「出たが、亡命リベリオンを見て、自然に収まったよ。海軍航空隊も結局、同じような制度を作ったしな。戦争の長期化で金鵄勲章だけじゃ、褒章に不都合が出てきてるんでな」

そう。旧・陸軍航空と、それに同調する海軍軍人が主導権を握る空軍に反発する者は、海軍航空隊(空母)や、空軍内部の海軍基地航空隊閥に根強い。公的な撃墜王制度の創設は統合参謀本部にて、喧々諤々の議論が起こったのだが、陛下が『撃墜王の存在が国民の士気を高揚し、慰めになるのなら、それでよろしいのではないか』と発言した事で収束した。陛下は新憲法で統帥権こそ内閣に移譲はしたが、名目上は大元帥としての立場を維持していたこその発言であった。また、リベリオンとの褒章のバランスを陛下が考慮していたからでもあった。

――この時期、急速に防空システムや早期警戒機の導入が進められ、空戦はシステム化が進められた。『ティターンズと渡り合うため』という題目のもとに推し進められる近代化に反発するウィッチ・搭乗員は多かった。特にレシプロ機にさえ電探装備が必須になり、地上なり、早期警戒機との連携を前提に行う空戦を『コンピュータに使われる空戦など、空戦ではない』とし、部隊長が電探を取り外させる部隊もあったが、その結果、ティターンズ率いるリベリオン軍に手もなくひねられる事例が続いた事で、慌てた上層部からの至上通達が出される始末となった。扶桑軍上層部は太平洋戦争の顛末を知り、それ故、史実日本帝国陸海軍が遅れを取った分野を徹底強化する方向性となっていたが、現場単位では、『押し付けられた改革』に反発する者たちもまた、多数に登っていた。

「この4ヶ月あまりの間、各地を回った。感想としては、未来人から『押し付けられた』改革に反発する部隊も多いぞ」

「そうだ。未来技術で自分達の教えられた教義、常識が覆されるのが気に入らない輩は大勢いる。防空一つ取っても、早期警戒機とかの指示通りに飛ばないとイカンのが気に入らない部隊は、海軍出身に多い。あいつらは脳みそ古いのが多いからな」

「お前ら陸軍のほうが空戦に関しての考えは進んでいたからな。ここの私を赤松先輩と一緒に説得したが、骨が折れたぞ」

「あ、やっぱりか。どうだ?ここのお前の感想は?」

「自分で別の自分を客観的に見るのは、変な気分だったよ。ドッペルゲンガーでも見てるみたいで。ここの私は……うん、青臭く感じたよ。若いころの自分自身を見てるみたいだ」

「ここのお前は、精神的に大人になりきらないままなんだろうな。お前みたいにスパっと割り切れないところ多いし」

「面目ない。私のために、先輩であるお前に面倒をかけて。赤松先輩から聞いたが、殴り合いしたそうだな?」

「4年前の事だ。あれは――」


――44年

「このバッキャロー!!」

「あうっ……!」

横須賀航空隊に転属した坂本は同基地に顔を出していた黒江に『修正』を受けていた。内容は配備機種に文句を言った事。一士官にすぎない坂本が文句を言う権限はないが、メーカーの整備士を大いに憤慨させた。その行為を見かねて、修正したのだ。

「烈風が来ないからって文句言うんじゃねー!紫電改で十分だろうがボケェ!ウチの疾風よりエンジン稼働率がいいじゃねーかぁ!ゼータク言ってんじゃない!」

「水上機メーカーがいきなり作ったストライカーに素直に『ハイ』と乗れるかぁ!」

「それがゼータクなんだ!お前のその宮菱偏重をどーにかしろぉ!」

黒江はテストパイロット歴が長い。それ故にあらゆるメーカーの機種を乗りこなしてきた。彼女から見れば、宮菱重工業製のストライカーなり戦闘機にこだわる坂本の暴言に我慢ならなかったのだ。戦線でそのようなゼータク言ってたら死ぬし、一メーカーをひたすら愚亭するのでは、実用試験の役割も背負う横須賀航空隊にいる意味が無いからだ。北郷が黒江に電話で言っていた『悩み』をここに至って理解した。因みにこの時に彼女が坂本に見舞ったのはストレートパンチと回し蹴り。坂本もお返しに右ストレートとアッパーを食らわしており、二人共、流血沙汰もいい所であった。坂本は鼻血を出し、黒江は拳が当たって口を切っていた。

「長島製のには九五にしか乗ったことないし、山西のはしょせん水上機の強風の手直し版じゃないか!」

「紫電改は再設計されて殆ど別物だ!そりゃ紫電の初期型だけだってってんだろ!!」

「あんなメーカーの言いぶんなど信用できん!飛行艇や水上機しか能がないのに!」

「んだとぉ!?テメェ、それでも横空の一員かぁ!!」

「――あん時は頭に血が登っちまって、細かいやり取り覚えてねーんだけど、そんな感じで大喧嘩しちまってな。後で聞いたら、下手なボクシングより迫力あったって」

「う、うむ……。それでどうしたんだ?」

「その後、加藤唯雄大佐が来て、喧嘩両成敗、私とお前はしばらく自宅謹慎処分だった。私は住まいを未来に移してたから、宮藤の家に下宿したよ」

「だろうなぁ。ん?宮藤の家に?お前、宮藤の家の家業手伝えんだろ?」

「オメーだって同じようなもんだろー?お前の時はどうだった?」

「赤松先輩がいたから、折れたよ。どうやら、ここの私は宮藤に何かを残したいがために、急速に進む時勢を考えなかったんだな。我ながら、頑固だな」

「自分を客観的に見て、どう思う?」

「宮藤に似てるんだなって、思ったよ。こうだと思ったら頑固で曲げようとしない。フフ、何の因果だか、な」

「宮藤がお前に似たんだろうな。私もあいつに結構影響されたとこあるし、不思議な奴だよ」

黒江は自分への芳佳の影響を指して、こう評する。芳佳は良い意味でも、悪い意味でもポジティブさがある。

「だな。そっちの宮藤は何故、撃墜王になったんだ?こっちは銃も持ち歩かないくらいだが?」

「こっちでも、基本的に守り専門だ。だけど、私や穴拭が仕込んだから、剣術ができるようになってるのが違いだよ」

「あいつが剣術を?凄いな。どうやって仕込んだ?」

「まぁ、色々あってな。こっちじゃ護身術代わりに剣術が広まってるから、ハルトマンやマルセイユも使い手だぜ」

「ハルトマンのは前に見たよ。あいつが剣術をなぁ……何か決意じみたものを感じたよ」

「ここのハルトマンは若いころの真面目な側面が復活してるとか、前にプンスキー伯爵が言ってたな。たぶん、ありゃ……いや、あいつの名誉のために言わん」

黒江はハルトマンの名誉のため、剣鉄也に淡い思いを抱いている事は誤魔化した。ハルトマンに若かりし頃のような真面目な側面が復活した事はバルクホルンBも、言動から気がついているだろうが、半信半疑だからだ。


「ハルトマンの変わりようもそうだが、お前らのせいだろ?あっちこっちのウィッチに変な影響与えたの」

「私達があれこれしたら、色々と変わったんだよ。変な方向に。特に私なんて、オリンポス十二神のアテナに仕える身だから、原初の神々とも会った事あるしな」

この時点では、黒江は黄金聖闘士の身分も持つため、アテナに仕えていると公言していた。光速拳と聖剣を本業でも積極的に使用し、エクスカリバーとエアに目覚めたこの時点では、『一個軍団?聖剣で地割れ起こして、丸ごと消せるぜ?』と豪語している。

「神々にか」

「ああ。あんのジイさん達、いたずらで人間界にちょっかい出してくるんだよ。ウラノスとか、カオスとか……」

神々は人間界には、基本、人間の姿で現れる場合が多い。ハーデスやポセイドンなどは青年期の姿を持つが、大神のウラノスやゼウスは人間界で言えば、壮年の肉体を持つ。

「欧州の神話はよくわからん。扶桑神話ならなんとか……」

「お前なぁ」

聖闘士として神々と出会っているためか、大神をジイさん扱いする黒江。それに微妙な表情の坂本B。

「いいのか?神をジイさんなどと……」

「身近にオリンポス十二神がいるから、感覚がおかしくなってるんだよな」

飛行64戦隊は聖域からも支援を受けているため、黒江が聖衣を本業の戦いで使用する許可を城戸沙織から得ている。また、同じく聖闘士となった箒やフェイトが派遣されている。この日も一個軍団が箒のギャラクシアンエクスプロージョンで綺麗さっぱり消え失せる光景が発生していた。

「撤退、撤退――!!」」

ギャラクシアンエクスプロージョンにより、南洋島中央部を脅かす軍団の半数が綺麗さっぱり消え失せる大爆発が起こる。最低、数十万人が死傷するという大惨事が頻発しているリベリオン軍の勢いは止まりつつあった。聖闘士が二人もいれば、戦線を支えられる事の証明であった。

「ふう。これで20万は後送してやった。しかし、奴らはどこから兵力出しているのだ?魔法か!」

リベリオン本国は徴兵制であり、陸軍の兵士ならば5万はすぐに確保できる補充体勢を整えてあり、箒達が数十万を後送しようが、代わりがどんどん補充されるのである。しかも、怪我人が多くとも、この時期、最も先進的と言える医療体制を有するリベリオンのキャパシティはパンクしておらず、野戦病院であろうとも豊富な医療資源を有するため、いくら箒達が叩こうが、大勢に影響はないのである(それだけ、リベリオンの医療体制のキャパシティが大きい証でもあった)。これはリベリオンの膨大な資源と元々の国力にモノを言わせた物量戦術であり、更にティターンズの医療体制が駆使された事もあって、意外に死者の数は多くなかったのである。なので、神も倒せる黄金聖闘士の力でも、大勢を決する程ではないのだ。

「兵器は壊したから、攻勢には出られんだろうが、この銃、M14だぞ。置き換えが進んでるな」

兵士が投げ捨てていった銃を拾う。それはM14バトルライフルであり、順当な更新具合でもあった。元々、主力小銃として開発されたのだからだ。

「まぁ、こっちも14は配備進めているが、ウィッチ達からはM1918自動小銃のほうが人気あるとか聞くな」

そう。ウィッチ達であれば、M14の7.62x51mmNATO弾のフルオート射撃の反動を抑えられるが、それでも軽量なBARが人気である。ティターンズであれは、M16をいきなり作りそうなものだが、弾薬の都合もあり、M14を作っているのだろう。

「こっちもM16作りそうなものだが、幹部らから『5.56x45mmは貧弱すぎる』と反発しているとかいうしな。陸軍の高官は高速弾を知らんから、しょうがないが」

その他には、M16はこの時代ではプラスティックのライン確保が難しい事(史実での民生普及は1960年代)から、この時代では見送られ、代わりのサンプルとして、AR-18が送られ、リベリオン亡命軍、扶桑軍が共同実地テストを行っていた。これが四式自動小銃となった64式小銃の後継の小銃として選定され、1950年代に入る数年後には、精鋭部隊が実地テストを行うまでの配備が進められるのだった。

『綾香さん。軍団を壊滅させましたけど、敵はもう14を配備してますよ』

『14か。そうなると、16も時間の問題かもしれん。AKも輸入させているが、あまり混在はさせたくないが、SIGのSG550も輸入させていこう』

『あとで、ラウラに連絡を取って、G3とG36の事も聞いておきますよ』

『頼む』

小宇宙を使ったテレパシーで会話をする黒江と箒。内容は物凄く濃いが、この戦争を左右する要素なのである。

『本国の銃器メーカーに無茶いう形ですけど、大丈夫なんですか?』

『戦前日本は無茶が当たり前だから、メーカーも慣れてるんだよ。ラインの構築中だって』


そう。無茶が当たり前な戦前日本のもう一つの姿といえる扶桑では、メーカー側が競作兵器のどちらもラインを作っておく事も多かったため、NATO弾の2つの規格に対応する製造ラインは用意されていたのである。そのため、64式小銃を生産すると同時に、5.56x45mm弾の89式の生産も、その気になれば可能な状態であるのだ。

『戦前日本のど根性ですね』

『1940年代の日本でも、資源と技術さえありゃ、世界水準の兵器作れたってことさ。今日はその辺で戻ってこい。そっちの敵は当分の間、動けんだろうしな』

そう。日本人は『有効性が認められた』ものは認知してすぐに同水準のものを作り上げ、改良する事は得意な民族である。未来世界で有効性が認められた兵器をすぐにコピーすることは『お家芸』と言えるため、扶桑の保有兵器は数年で急速に進歩し、史実60年代どころか70年代以上の水準にレベルがアップしつつあった。(一部、80年代以上の技術水準の兵器もある)


――この日、45年にあったノーブルウィッチーズ解散の真相が、二代目ノーブルウィッチーズ発足のために機密解除され、夕刊のトップを飾った。『新生ノーブルウィッチーズ、堂々結成』と。新生ノーブルウィッチーズの隊長は、少佐となったペリーヌ・クロステルマンであり、ペリーヌは祖国の要請に、3年越しに応えた形である。(1948年時点では19歳なため、リウィッチ化を受けている)ただし、オリジナルメンバーの多くは既にノーブルウィッチーズを離れており、黒田が『戦争が終われば召集に応える』と返事を返しただけで、ペリーヌの受難が始まったと言える。

「ペリーヌが506の二代隊長になったのか。・・…ん?再編とはどういうことだ、黒江」

「ああ、それはこっちだと、ガリア諜報部強硬派と旧王党派残党の策略のせいで解散状態に追い込まれてな。それでガリアの政治的立場も悪化したし、506構想も頓挫した。だから、そこからの再建だから、ペリーヌが隊長にならざるを得なかったんだ」

「ペリーヌは復興第一のはずで、軍部の政治には興味は無いはずだが?」

「そこだよ。ペリーヌを担ぎ上げて、ガリアの復興の象徴にしたがってたんだが、アイツは軍部のご機嫌取りよりも、国の復興を選んだのは知ってるだろう?それが発端で、ノーブルウィッチーズは迷走してな――」

――1945年。ノーブルウィッチーズはガリアの旧王党派の陰謀に巻き込まれ、B部隊のジェニファー・J・デ・ブランクがその片棒を担いだ事がわかり、黒田はカーラ・J・ルクシックと共に、その調査を行っていたのだが……。

「ジェニファーさん……な…んで……私を……」

「私は……仲間を信じたかった。だけど、みんなを裏切った……その罪滅ぼしくらいは……させ……」

ジェニファー・J・デ・ブランクは、旧王党派の陰謀に加担してしまった自分を悔いており、王党派の首魁の凶弾に倒れる。黒田を庇ったのだ。体から血を流しながら、崩れ落ちるジェニファー。それを目の当たりにし、動揺のあまりにへたり込んでしまう黒田。半ば錯乱状態のカーラ。

「ジェニファーさん、ジェニファーさん!」

普段は脳天気ですらある黒田も、この事態には顔面蒼白となる。目の前で仲間が撃たれたのだから、当然といえば当然だった。

「なんで、なんで人同士で殺しあえるんですか!?」

泣きながら叫ぶ。それは激情の発露であった。

「それが人の業だからだ、黒田那佳。この世界の自然な摂理なのだ。ライオンが獲物を狩るように」

黒田と対峙する彼は、黒田へ銃口を向ける。ルガーP08だ。

「この銃の弾丸は特別製でね。君がシールドを貼ろうとも防げない。つまり君は『死ぬ』のだ」

彼は引き金に指をかける。

「黒田、黒田、黒田ぁ―ーッ!」

屈強な男たちに押さえつけられたカーラが必死に叫ぶが、黒田へは届かない。

「私、誰も傷つけさせないって、誓ったのに……誓ったのに……」

ショックが大きかったか、うわ言を言いながら呆然とへたり込んでいる黒田。銃声が響き、カーラは思わず、目を閉じて、慟哭の叫びをあげてしまう。だが、黒田を庇う一人の『ヒーロー』がそこにいた。

「何者だ、貴様は!」

「俺は炎の王子!RX・ロボライダー!!」

――ロボライダーだった。バイオライダーでゲル状となり、この場所に侵入した後、ロボライダーとなっての登場であったが、劇的な登場劇であった。南光太郎に黒田を見守るように頼んだのは智子であり、彼は智子の頼みに応じ、クライシスのロマーニャ空母化作戦を追う傍ら、陰ながら黒田を見守っていたのだ――

「自分たちの野望のために、女の子の思いを利用せんとする、ガリア王党派!!この俺が許さん!!」

決めポーズを決めながら啖呵を切るロボライダー。その姿はまさにヒーローそのものであり、カーラは目を輝かす。ロボライダーを取り押さえようと、周りの男たちが動くが、ロボライダーには無駄な努力でしかない。ものの一瞬で吹き飛ばされる。ロボライダーのパワーからすれば『軽く触れた程度』だが、人間に取っては『4トンダンプカーの全力突進』にも等しい衝撃が加えられるのだ。生きているだけ御の字といえる。

「那佳ちゃん、しっかりするんだ!その子はまだ生きている!」

「え……?なんで私の事を?うぅん、そんな事より、ジェニファーさんは生きているんですね!?」

「幸い、急所は外れている。処置さえ施せば、助かる」

「よがったぁ〜〜!」

ジェニファーが辛うじて生きている事に安心し、たまらず泣き出す黒田。王党派は銃をロボライダーへ発砲するが、鉄壁の装甲を誇る彼には通じるはずがなく、跳ね返された跳弾が地面に穴を開ける。そして、バイオライダーへ変身し、新たに得た『他者への細胞単位での再生治癒能力』を発揮し、ジェニファーを治癒する。弾丸は分解した上でだ。そして。

「俺は怒りの王子!!RX!バイオッライダー!」

と、お約束をした後、バイオブレードを形成し、逆袈裟懸けから彼を一刀両断する。その断末魔は『ガリア、我が喜び!』であり、狂信的とは言え、愛国者であったのが分かる。周りの男たちはこれで戦意喪失し、投降。それを指揮していたクリス・キーラ少佐は、偽物であった事が判明していたが、ガリア王党派にしか縋るものがない彼女の境遇を鑑み、司法取引による恩赦が下された。また、ジェニファーは軍法会議にかけられ、10年の禁錮刑に処され、10年後に出所したとされる。だが、それは表向きの事。実際は数年後に別人の名を与えられ、出所。以後はその人物になりきって生きたため、ジェニファー・J・デ・ブランクとしての足跡はその身代わりが行方不明になったため、1955年に途切れる。『自衛隊』に入ったとされる記録もあるが、それは軍が用意した家族向けの資料であり、当人はあくまで別人として生き、1990年代に死亡したとの事。


「――というわけだ」

「穴拭とRXさんはどういう関係なんだ?頼まれただけで、そんな事を」

「ここだけの話だが、穴拭はRXさんにアレなんだよ」

「あ、アレってなんだ」

「ニブチンだな。ホの字なんだよ」

「何ィィ〜!?」

そう。智子は光太郎に片想いなのだ。これは智子がRXに助けられ、光太郎と触れ合う内に、光太郎に縋る自分、光太郎のことを考えると、心臓が高鳴る自分がいる事に気がついた智子。『普通の恋心』に安心した面もあるものの、光太郎への想いは黒江よりも上で、三羽烏で最も強い。ほとんど崇拝に近いとさえ評されており、光太郎を侮辱されると、真っ先に突っかかるという激情を見せる(クライシスのダスマダーには殺す勢いで突っかかるわ、光太郎に卑怯な手段を使ったボスガンは討ち倒すと宣言するほど怒り狂った)。

「光太郎さんも、アイツの事を可愛がってな。光太郎さんがバレンタインに、アイツにマフラーを送った時なんてよ。ベットでのたうちまわるくらい悶えて大喜びしてた」

智子かしらぬ、萌え死にしかねないアクションだが、RXは太陽の子である。使い魔の影響もあって、光太郎に胸キュンしており、彼が好青年であるのも手伝って、智子の外見年齢相応の振る舞いとも言えた。黒江は光太郎との仲も良好だが、どちらかというと、城茂の妹分である。そのため、智子の色恋沙汰には、第三者なスタンスである。

「ん?加東さんはどうした?」

「ああ、アイツなら、ゲッターGで出てるはずだ。あいつ、最近はバイオレンスだから」

圭子は、順調にゲッター線に当てられたため、年を追うごとにバイオレンスかつ、ワイルドさが増しており、真ゲッタードラゴンの復活の後である1948年時点では――。

『ゲッターァァァァビィィィム!!』

ゲッターG改を操り、MSや怪異相手にバイオレンスな戦闘を行っていた。怪異のコアを引きずり出して握り潰すわ、MSを行動不能になるまで、めちゃくちゃに殴りつけるなどのバイオレンスな戦闘方法を取っていた。なお、ウィッチであるためか、ゲッター線との親和性が高いためか、一人で動かす状態でも、通常時と同等の戦闘力を発揮していた。そのため、ドラゴン形態で固定している。この機体、元々はゲッター真ドラゴンの一部となる機体であったので、その名残で体型が筋肉質である。


『何ぃ、ジオングだと!?』

MSの平均身長は20m強だが、時たま38mを超えるモノも造られる。ティターンズは組織存続中、パーフェクトジオングの資料を鹵獲しており、その資料を元に、より進歩した技術でサイコガンダムを作り上げたのは有名である。だが、ゲッターG改の前に現れたのは、サイコガンダムではなく、ジオング系だった。

『パーフェクト・ジオングじゃない。こいつはもしかして、設計図ができたところでお蔵入りになったグレート・ジオングか!?』

グレート・ジオング。それはジオングの後継機プランの一つとして、ア・バオア・クー攻防戦の前日にプランが提出された『ペーパープラン』であり、一年戦争時の技術力では実現不可能とされている。また、名もグレートでなく、グランという説がある。(後にそれが現れたので、ハイパーであると判明)原型のパーフェクトジオングとボディの装甲形状やバックパックが異なるが、大まかには原型のフォルムを保っている。そして、大型MSのネガである『敏捷性』を感じさせない動きを見せた。肩に新生ネオ・ジオンの紋章がデカデカとある事から、ネオ・ジオン所属の部隊であるのが分かる。

『ネオ・ジオンか!まったく、そんなに脅威のメカニズムを自慢したいんならよ、テメーらの地球でやれってんだ!』

圭子はそう罵倒し、ジオングとパンチをぶつけ合う。そして、ジオングのパンチは弾かれる。

『ハッ、どーよ、強化型合成鋼Gは!』

圭子はこうなるとスイッチが入る。重火力のジオングだが、前腕部の5連装メガ粒子砲、部メガ粒子砲を一斉射撃しても、ゲッターGには通じない(それでも、変形機構があるため、マジンガー系ほどの装甲厚はないが)。パンチをぶつけあった一機のマニピュレータは拳が歪む音が響く。圭子はガンダリウム合金製のジオングの前面装甲にパンチを見舞い、別の一機を吹き飛ばす。更に別の一機を掴み、柔道の要領で派手に投げ飛ばす。地響きと共に、ジオングは地面に叩きつけられる。

『さて、と』

倒れたジオングに直ぐ様、ゲッタービームを照射し、破壊する。ジオングは重装甲だが、流石にMSより遥かに威力に優れるゲッタービームを食らってはひとたまりもない。これで一機を倒したものの、十字砲火には、回避を選択する。

『あいつらめ。この近くは文化財てんこ盛りの街あるんだぞ!?メガ粒子砲撃ちまくるんじゃねー!』

圭子かしらぬワイルドな台詞だ。そこで、ゲッタービームランチャーを取り出し、空中で構える。

『こいつで吹っ飛べ!ゲッタービームランチヤー!』

ゲッタービームランチャーは、ゲッターレーザーキャノンのフレームを流用した、重火器である。頭部ビーム照射器は酷使されるため、意外にメンテナンスまでの時間が短い。そのため、レーザーキャノンのフレームを流用し、レーザー発振器をゲッタービーム発射器と取り換え、大火力・長射程化を実現させた火器である。大型であるので、取り回しはし難い。なので、圭子は他に、サイドアームとして、ゲッターマシンガンを携行している。ゲッタービームランチャーは、当たればジオングを一撃粉砕できるが、そうは問屋が卸さない。機体を分離し、オールレンジ攻撃を仕掛ける個体が現れる。一つ一つが強力なメガ粒子砲台となるので、意外に侮れない。

『うるさい奴らだな。この際だ、オープンゲット!!』

圭子もゲットマシンに分離させ、ライガーに変形する。

『チェーンジライガー、スイッチオン!』

形態に合わせ、叫び方を変えているあたり、こだわりがあるようだ。余談であるが、この時、圭子の実年齢は28歳であり、そろそろ家族から『行き遅れ』を心配される年齢に差し掛かっており、実家からお見合い写真が送られて来ている。圭子は『お見合い?そんな事興味ねー!』とバトルモンガーであり、実家の心配をよそに、戦闘狂ぶりを見せつけている。そのため、圭子は実家の兄たちへの言い訳が大変なのだ。(30を超えた後は諦めるが)

『ドリルストーム!』

ライガー及びポセイドン形態の時はドラゴン号からの遠隔操作であり、通常なら作業はともかく、戦闘は覚束ない程度の能力しか出ないのだが、圭子のゲッターとの親和性が高まっているため、その法則は無視されている。そのため、ドリルストームも通常通りの出力である。

『マッハスペシャル!!』

ドラゴン号からライガーを操縦するのは難しいが、過去にベアー号からゲッター1を操り、自爆させた巴武蔵の例がある。ライガー及びポセイドン形態は圭子に取っては、牽制の意味合いでの使用である。

『おりゃああああっ!』

ドラゴンに瞬時に戻り、分かれたパーツが結合する瞬間にダブルトマホークを叩き込む。元々、分離機能のあるジオングだが、脳天から唐竹割りされては意味は無い。また、完全な無線誘導のメガ粒子砲台としての腕部も、ゲッターGにダメージを与えるには力不足であり、爆煙からドラゴンの腕部が出現すると、怯える機体も出てくる。これにより、圭子は人型機動兵器乗りとしてもエースの称号を得るのだった。



――後日

「何々?……え、えぇえええええっ!?」

圭子Bは新聞に載っている自分自身に驚愕し、思わず新聞を床に落としてしまう。圭子BはAの影武者として行動しており、本土で映画の宣伝のためのプロモーション活動のため、神奈川県内のホテルに宿泊していたのだが、新聞に『鬼神の如き戦闘を披露する加東圭子中佐。中佐は近々、大佐昇進の内示が出ており……』と書かれていたのだ。格納庫で整備を受けるゲッタードラゴンを背にして、決めポーズを決めている自分自身。Aの方が3歳も年上なのは知っているのだが、やっていることは、記憶にある、若かりし頃の智子と同レベルである。そのため、大人なイメージで売っているBは涙目となった。

「ちょっとぉ〜!何よこれぇ〜〜!?私の、私のイメージがぁ〜〜!」

年甲斐もないポーズで映る自分に愕然となるB。Bは全体的に老成しているため、10代の頃の血気盛んな一面は見せなくなっている。だが、Aはゲッター線に当てられた事もあり、若かりし頃の精神状態に戻っている、いや、かつてよりぶっ飛んだ精神状態になっており、口調も相応に荒々しく、その気になれば『荒くれ者』の演技ができる。そのため、圭子Bはめまいを覚えた。

「もう、実家になんて言い訳するのよ……これぇ……」

圭子Bは落ち込む。更に自信満々にエースパイロットとしての称号を得た事を語るAのインタビューが続くため、圭子Bはショックで寝込んだのだった。

――黒江Bは、自分が山羊座の黄金聖闘士となり、その身に聖剣を宿した事に強烈なライバル心を抱いていた。黒江Bは比較的、Aに近い心理を持つ。これは飛び続けているためだろう。

「クソぉ、なんなのよ、聖剣って!エクスカリバーって、ブリタニアの聖剣の名前じゃない!」

黒江Bはこの日より数日前、Aに勝負を挑み、エクスカリバーを見せつけられ、圧倒的敗北感を味わった。

『フッ、第一線離れてるオメーに負けるほど、耄碌してねーよ』

Aはその場から動かずにBの剣をさばき、瞬時に手刀を首元に突きつけた。

『私の右腕は聖剣エクスカリバーだ。私が腕を動かせば、オメーの首は体と泣き別れになる』

風が吹く。強い風だ。エクスカリバーが持つ加護によるものだ。ここで、黒江BはAとの実力差を思い知らされ、その場にへたり込んで泣き出す。

「あー、もう。泣くなよ。ったく、私ってこんなに泣き虫だったっけ?やりにくいったらありゃしねー……」

愚痴るA。Aは語尾が男性的になっているのもあり、同じ姿をしていても、見分けがしやすい。そのため、智子のように、目立った混乱はない。

「私の胸かそーか?」

「いらないわよ!!」

赤面するB。Bは敗北感に打ちのめされたが、同時に子供扱いも悔しいようだ。

「ホテルまで送ってやんよ。後ろに乗んな」

AはBにヘルメットを投げ渡し、愛車のエンジンをかける。エンジンの吹き上がりは良好だ。

「何よ、このオートバイ」

「私の愛車。オフロードバイクだから、山道も平気だぜ」

「し、私物?」

「そうだ。軍の陸王使うと、手続き面倒いんだよ。それに私用じゃ使えねーし」


愛車のバハスペシャルを公私共に活用する黒江A。Aは城茂の店に通い、メンテナンスやチューンまで手取り足取り指導してもらい、デザリウム戦役を経た現在(1948年)ではかなり手を入れていた。そのため、当初よりもサスペンションはより上位の品質の部品となっているほか、エンジンチューニングも行っている。シャーリーと共同で手を入れたところも多く、シャーリーとすっかりバイク仲間である。

「さて、すっかり捕まってろよ!」

「う、うわわ〜〜〜!!な、何キロ出してんのよ〜!」

黒江Aは歴代仮面ライダーとシャーリーの影響で、スピード狂である。この時代、大衆車も無く、富裕層の自動車とタクシーが通るだけな道路は空いており、21世紀の人間が見たら天国と泣いて喜ぶだろう。ものの10分ほどで、黒江Bが宿泊するホテルについた。

「ついたぜ」

「飛ばしすぎぃ!!し、死ぬかと思った…」

「あれくらいでちびったのかよ。軽いジャブだぜ?流してたつもりなんだがなぁ?」

この時期、時速180キロ以上を叩き出せる陸のマシーンは未来からの輸入品に限られ、ましてや黒江BはAと違い、バイクに触れる機会はそれほどなかった。運転を従卒にさせる事も多かったのもあり、200キロ近いスピードを味わう事はまずない。それがいきなり、市街地を180キロでかっ飛ばす芸当をされたのだから、死ぬ想いだったのだ。

「箱根だったから良かったけど、これが銀座だったら、人はねてるわよ!スピード落とせよ!せめて120キロくらいに!」

「わーってるって。ほんじゃな」

黒江AはBと別れ、空軍基地となった厚木基地に向かった。途中の連邦軍駐屯地で燃料補給をしつつ、そこで厚木基地から人員交流の手続きを取った。この時期、厚木基地に駐留していたのは飛行244Fであり、その最熟練者の鷹見忠江の移籍手続きを行う。同時に、天誅隊で育った手頃なウィッチを交換で送り込む。昨年度に大林少佐に源田が言っていた事が実行されたのだ。大林少佐は黒江の間接的な後輩であり、航空士官学校の講師に呼ばれた時に、黒江に唯一、意見した士官候補生だった。そのため、面識は無いわけではない。厚木基地にて、両者は対面した。

「大林、私を覚えているな?」

「はい。士官学校以来ですね、先輩」

大林少佐は13歳にして少尉、15歳で少佐に任じられた俊英であり、次代を担うエースの呼び声高い撃墜王である。史上最年少の戦隊長でもあり、武子も一目置いている。容姿は往年の智子と圭子を足して、二で割ったような感じの若々しさが全面に出ているものだ。

「今じゃ、近衛飛行隊の隊長か。お前の事は調べさせてもらったが、中々優秀なようだな」

「先輩達には及びませんよ。私は若輩者なので」

謙遜する大林。羽衣マキや圭子を思わせる髪型だが、顔立ちは昔年の智子に似ている。性格面も近いが、かつての智子が持っていなかった謙虚さと誠実さがあり、その点は上層部の受けも良かった。

「鷹見は預からせてもらうぞ、大林」

「お願いします。あの子なら、先輩方や源田司令のお役に立てるはずです」

「そのかわりと言ったらなんだが、ウチの仕込みの若いの任せるから、頼んだぜ」

と、244Fに64Fからの『土産』を置く黒江。大林少佐は源田が約束を守った事に大感激で、以後、源田に心酔していく。そして、同じ頃。



――南洋島 とある前線基地

「幸子?あなた、幸子じゃない?」

「穴拭先輩ですか?前線に戻られたとは聞いていたんですが、本当だったんですね」

智子は50F時代の僚機であった『下川幸子』少尉と再会していた。50Fが打撃を受け、本土での立て直しが指令されたのだが、下川は負傷の療養のため、南洋島に留まった。そのために待命状態にあったのだが、智子と再会したのだ。

「最後に会ったのは、五年前ですから、懐かしいですね」

「あなたも随分と大きくなったわね。いくつになる?」

「19です。先輩と別れたのが、13か14になるか位だったので」

彼女はかつて、50F三羽烏と呼ばれた俊英である。この当時には盛りは過ぎたものの、度胸の下川と呼ばれた肝っ玉の持ち主である。

「勇子の事は聞きました。あの子は三羽烏の元祖でもあった先輩に強烈な対抗心を持ってました。だから……」

「だからって、あなたや私達を裏切るなんて…!あなたは勇子を……」

「ええ、慕ってました。年も近かったので。敵に回った以上は倒すしか無いですよ」

割り切る下川。そういう面は智子より『大人』になったようだ。

「その写真は?」

「妹です。まだ小学生で、私みたいなウィッチになるって聞かないんですよ。だから、私は死ぬわけにはいかないんですよ。この子のためにも」

下川は自身の妹のことを話題に出す。そして、まだ小さい妹が作ってくれたハチマキをするようになっている。色は赤だ。

「私ももう、19です。もういつ死ぬかわからない。ですから、先輩と会えて良かったです」

「何言ってるのよ!あんたは50F三羽烏の一人でしょ!妹さんがいるんでしょ!?あたしの部隊に来なさい!あたしがあなたを守る!!絶対に、絶対に!勇子になんて殺させないから!!」

智子は極めて珍しいくらいに、感情的な物言いを見せ、下川の目を丸くした。智子は仲間内には弱さを見せる。下川の前では初めての事だが、第一次時代の晩年は後輩の前では『扶桑海の巴御前』たらんと気張っていた事もあり、これほど感情的な智子は、下川には初めてだった。

「先輩……」

驚く下川。智子はその勢いで彼女を引っ張り、なんと南洋地方総監部に直談判し、そのまま64Fに転属させるという、智子にとって、一世一代の大仕事を成し遂げる事になる。これが智子の運命の次なる扉を開く事に繋がるのだが、当人は知る由もない。かけがえのないものを守らんと、上層部に喧嘩を売ってまで、必死に行動する智子。その姿は下川に感銘を与えるのだった。



押して頂けると作者の励みになりますm(__)m


<<前話 目次 次話>>

作品を投稿する感想掲示板トップページに戻る

Copyright(c)2004 SILUFENIA All rights reserved.