外伝その351『第三幕』


――旧・日本軍義勇兵の数は膨大であり、当初予定の五倍以上の人数だった。これは作戦に参加した扶桑生え抜きのパイロットの有に数倍になる。これは日本側の官僚などの官僚がパイロットの飛行時間などで厳しい制限を加えたが、扶桑のパイロットの大半が800時間未満の飛行時間であった事が不幸であった。そのため、旧日本軍でパイロットをしていた老人たちを若返らせ、戦線に送り込むという最終手段が取られた。扶桑生え抜きが少数派なのは教官クラスでも、総飛行時間は700時間ほどであった影響であり、生え抜きは少数派で、陸上はともかく、空母機動部隊にいる人数に至っては100人もいない。これは完全に日本の不手際であり、この時に溜まった不満がクーデターを煽る一因になったのは事実だ。日本側でも、従軍経験のある老人たちを駆り出す事に批判はあったが、自衛隊の今以上の規模での派遣は政治的に困難である。義勇兵は双方に旨味があるため、批判はあれど、継続される。その一方、歴代プリキュアたちの激闘ぶりは生中継されており、形式上とは言え、『軍人』の地位を与えられた事に批判も飛んだが、戦闘行為を合法化する唯一無二の手段であるのと、見かけはともかくも、精神的には成人後の状態である者も多いので、最終的には容認された。また、扶桑に多い自衛隊への不満を逸らすため、『秘匿兵器』の取り扱いを黒江に一任し、運用人員を丸ごと委ねた。黒江は自衛隊史上空前絶後の部隊の指揮権を得たこととなり、対外的な面目もあり、自衛隊の派遣部隊は『Gフォース』として再編し、陸海空自衛隊の諸兵科連合部隊とする事が決定された――






――64Fの指揮下に収まった『Gフォース』は自衛隊が対学園都市用に用意していた超兵器の運用部門とされ、黒江に指揮権が与えられた。そのため、黒江は航空自衛隊の派遣部隊総責任者でありながら、64Fでは大隊長の地位であるという状態になった。黒江の職責は中将待遇がふさわしく、扶桑軍は作戦中の措置として、准将で当面は固定するつもりであったが、日本側で中将相当の職責を担わされたため、作戦終了後に本当に昇進させる羽目になった。扶桑軍はこの人事的措置に苦慮し、前例が無いことであるが、日本側の人事介入を避けるため、正式に中将に任じ、爵位も子爵にする事になった。黒江は扶桑軍初のウィッチ出身の中将になるわけだ――

「参った。自衛隊のG兵器を松代から引っ張り出したら、扶桑でも中将になりそうだ」

「元々、中将待遇の准将になってたし、階級が職責に追いついたじゃないの」

「前線で戦功を挙げる将官であるのを求められるってのは、ガランド閣下の同位体以来だろうさ。空自の先任達からはオカシイとか言われたが、おりゃ肉体的にはバリバリだしな。パイロット出身の高官達と違って、第一線の空中勤務者だし」

「江藤隊長が愚痴ってたわよ」

「時代だよ、時代。オレたちゃ、将来は元帥も約束されてるんだぜ?階級を上げられた分、給料泥棒って言われないようにしなくちゃな」

「現場がパニックになってるわよ。大佐達を中央に取るのかって」

「大佐を将官にして、日本を黙らせないと、すぐに問題にされるんだよ。軍事音痴の連中に」

「日本の人事考査の影響?」

「そうだ。同じ階級に長くはいられなくなるから、古い連中の階級を上げるだけ上げとくんだと」。

当時、部隊指揮官級のウィッチの古参らが相次いで准将に任ぜられ、士官学校卒でない下士官達も空軍では少尉に任ぜられていった。海軍特務士官出身の赤松も空軍中尉になるというわけで、人数が多い空軍では下士官の人数が減り、代わりに尉官が増加するわけだ。設立間もない空軍では、64が最大規模の実働部隊化したため、配属も狭き門となった。ひかりや静夏の配属は日本向きのプロパガンダ的意味合いも含まれる。

「奇兵隊に孝美の妹と坂本の最後の弟子の子は回したけど、どうして引っ張ったの」

「才能がないわけじゃないし、日本から予算が取れる。ひかりは物語の主人公になるはずだった奴だし、静夏は坂本の最後の愛弟子だ」

「アニメは見たわ。孝美が気まずそうだったわよ」

「ま、数ある可能性の一つだが、シスコンすぎて、妹を前線に置いときたくなかったんだろう。あいつ自身、俺にめっちゃペコペコしてたよ」

「それと、47から錦、今はのぞみだけど…を引っ張ったでしょ?あそこの大隊長が近況を知りたいと」

「あそこの大隊長は俺の後輩だ。テキトーな事を言っとく」

「いいの?」

「最高機密だしな、プリキュアになって、人格が上書きされたの。記憶は損なわれてないけど、実質は別人だし、説明も面倒だろ?まだ、記憶の混濁も起きるだろうしな」

「あそこ、航空審査部の手を離れたでしょ?独立飛行隊から通常編成になったの文句多いのよね」

「外征が俺らと50Fの仕事になった以上はあいつらは本土防空だ。244Fに手回しておいたから、あそこと交流してもらうさ」

「244の指揮官は小林だったわね?」

「俺と黒田の後輩で、13で戦隊長になったガキだ。腕はいい。機材で援助してやったら、心酔されたよ。まて、ここだと『大林』だったかな?何分、黒田から聞いただけだし」

「同位体は小林照彦元三佐でしょ?」

「元少佐のほうが通りがいいかもな」

244Fの指揮官『大林照子』少佐は当時で14歳前後。史上最年少の戦隊長であった。黒田の後輩で、黒江の5〜6期ほど後の後輩でもある。同位体は244戦隊の指揮官『小林照彦少佐』。戦後に空自に入ったが、事故で殉職した事で知られた人物だ。同位体も大物のウィッチながら、64に配属にならなかったエースパイロットの一人である。本土防空最強を謳われつつ、機材更新が遅れていた244に黒江が機材で便宜を図ったところ、心酔されたと話す。

「貴方も子供に好かれるわね」

「ガキは嫌いじゃないさ。そうでなきゃ、兄貴達のガキと遊ぶかよ」

黒江は巴武蔵や車弁慶のように、子供目線になれるため、子供に好かれる。のび太とはその点、不思議な関係であった。

「そう言えば、はーちゃんや調とはどうしてたの?この20年間」

「のび太に色々と仕込んでやったよ。ウチのガキで得たノウハウをな。みらいとリコには悪いが、あいつらの高校と大学の学費は出してやったよ」

「はーちゃんの高校と大学の学費は貴方が?」

「のび太の親に頼まれてな。調は俺が保護者だから当然、出した。そういえば、みらいとリコって、はーちゃんと再会した時には19歳だったってあったろ?再生で現役時に戻ったから、どうするんだろうな」

「学校でも行かす?」

「それが無難かもな。モフルンが言ってそうだし」

「まほプリの戦力は未知数よ。とは言え、今の時点じゃ、ZEROの因果律操作に捉えられるから、当面は学業に専念させましょう」

「ハピネスチャージとドキドキのキュアハートは動員か?」

「ええ」

「マーチに伝えとく。それと、そろそろ試合も終わったろう?ノンナがキュアコスモだったそうだから、カチューシャが泡吹いたって」

「あの子もプリキュア?」

「スタートゥインクルプリキュアだそうだ。ミルキィローズやキュアレモネードは腰抜かしたそうだ。なにせ、戦車道のライバルだったのがプリキュアだぞ?しかも一番未来の」

「プラウダ高校の幹部はプリキュアなのね…」

「ま、サンダースにもキュアレモネードが潜り込んでるし、黒森峰女学園にはキュアハートが、大洗はミルキィローズとキュアロゼッタだ」

「あとは英国系の学校にキュアベリーか…。あの世界、プリキュアが多くないかしら」

「ハッピーはここにいるが、大洗の生徒会長経てるから、すごくカオスだぞ。戦車道世界のプリキュアには試合終わったら、役人を脅せと言ってある」

「なんか凄い絵面ね?」

「島田愛里寿、いや、そのお付きの大学生の副隊長のほうが狂喜乱舞すると思うぞ?歴代のプリキュアがランダムにいるし」

「プリキュア5が二人、フレッシュが一人、スマイルが一人(ハッピーは宮藤芳佳に更に転生しているので、別扱い)、ドキドキが二人、スタートゥインクルが一人。うん。凄い豪華ね」

「連中、アンツィオ高校のカルパッチョがキュアフェリーチェじゃないかって睨んでたら、外れたところにキュアコスモだそうだ」

「どんなことになるのやら」

「役人はケイが追い込むように仕込んどいたそうだから、むしろ大学生チームにサインねだられるんじゃね?あの年代の大学生、初代が放映中に子供だろ?」

「初代以外だから、シリーズを毎年見てないとわからないような」

「どれかは見てるだろ?アニメってのは、いくつになっても面白いものはハマるもんだ」

戦車道世界にもプリキュアはアニメであるため、御本人が大会も終わり、7人ライダーが去った後に覚醒するのは、タイミングがずれた感はあるが、ともかく、それが最大のきっかけだ。

「陸自の教官なんか、食いつき良さそうだけどなぁ。自衛隊の連中は多いし、ファン」

「で、一番最初の覚醒は5とフレッシュ?」

「そうなるな。ダージリンとカエサル、見えないとこで変身しないで力を使ったとか言ってたし」

「待って。カエサル、元・妖精になるわよ」

「正確には、人間に変身できる妖精だ。そこからプリキュアに変身するんだし」

「ダージリン、どうやって、戦車道やってたのかしら?」

「聞く所によると、薀蓄でかなり困ったけど、板についた辺りで、裏で『私、完璧!』って喜んでたそうだ。ラブが爆笑してたって言ったら、固まったけど」


「7人ライダーの影響で覚醒したの?」

「数人はそれがきっかけらしい。キュアハートはモロにそれだな。今じゃ、相田マナとしてのキーが高い声がデフォルトらしいし」

「でも、なんかアンバランスじゃない?」

「目つきが柔らかくなって、人当たりも良くなったから、人気は上がったみたいだ。まほに声を聞かれた時は心臓が止まると思ったそうだが、萌えたらしいぞ、向こうのまほ」

「シスコンねぇ、まほは」

逸見エリカはキュアハートとして覚醒した。人格は相田マナのそれが基本になり、目つきも柔らかくなって博愛精神旺盛な人物になったため、部内での人気は急上昇である。覚醒が遅めであったため、ダージリンとカエサルのように、バダン相手に戦ってはいない。キュアレモネード/ナオミはサンダースの副隊長であるために戦いに行けず、残念がっていた。(メタモルフォーゼは大会の時点で可能になっていたが、立場上の問題で自重した)

「でも、カエサルの基本は保ってのミルキィローズ化ねぇ。面白いことになったわね」

「ケイが爆笑してたぞ。歴史オタクでプリキュアだものな」

「これで、プリキュアもだいぶ集まったわね」

「仮面ライダーは平成ライダーが徐々に行動を起こし始めたそうだ。プリキュアは初代とSplash Star以外はだいぶ集まった。だが、多くはまだ非力だ。だいぶ鍛えないと、実戦には出せん」

「基礎値が高い子を選びなさいよ?」

「大丈夫だ。歴代でも、戦闘力で鳴らした連中から来てるから」

「キュアラブリーとフォーチュン、キュアハートを優先して鍛えましょう。基礎能力値が高めだし、戦闘経験値も第二期プリキュアでは高い」

「だな」

「上にはそう報告しとくわ」

「あ。それと、カールスラントから泣きつかれた。史実で東ドイツに入った連中を排除しようと、ドイツが人事介入したんで、軍隊はガタガタだそうだ。おまけにナチス要素の排除をしようと、あれこれやったそうだ。ビスマルク帝国だってわかっても、軍隊をドイツ連邦軍に合わせようとして、反対する人員に人員整理を行うそうだ。それに備え、ラルはエースをウチに避難させる。親父さんに言って、魔弾隊の編成は認めてもらった。ハルトマン達は順次、魔弾隊に入れる」

「バダンが喜ぶわね、それ」

「ああ。大学生の奨学金以下の年金で済ませようとするから、バダンの誘惑に乗っちまう連中を出すんだ。ドイツも余計な事をしてくれる」

「予定人員は?」

「44戦闘団の主力を丸ごとだ。表向き、予備役にした上でウチに編入する。カールスラント空軍は顔面蒼白だそうだけど、リストラされるより、ウチで厚遇してやったほうがいいだろ」

「ドイツはアホなの?」

「国防軍の否定に躍起になってるのさ。カールスラントの本土奪還は遠い夢になりつつある。それに反発する連中は山ほどいる。多分、皇室親衛隊の多くはバダンに入っちまうだろうし、下手したら内乱だ。日本はそれを分かってるから、軍隊の管理に踏み込む事は土壇場で避けた。民間軍事会社を日本は嫌うからな。外人部隊を作ったほうが早いし、海援隊は国営にする」


――武子と黒江は『カールスラントはドイツに振り回され、日本は軍隊と海援隊の癒着を叩こうとして、混乱を招いた』事に話題を移す。魔弾隊は民間軍事会社を『金儲けで動く傭兵』と侮蔑する日本を黙らせるために編成される『外人部隊』なのだ。44戦闘団の主力を丸ごと魔弾隊に編入するのは、ドイツによる人員整理から守るためでもある。(これにカールスラント政府は激しく狼狽したが、国力も軍事力も弱体化したカールスラントには反論できる余地は無かった)人員整理は旧東ドイツの人民軍やシュタージに入ったであろう人材の排除を狙ってのものが、当てずっぽう過ぎた。エクソダスの犠牲者になり、ウィッチ世界では鬼籍に入った者が多い上、軍人は双方で復権していたので、どっちがどっちかわからず、ドイツが問い合わせたら『戦死済み』の者も多かったのだ。それを知ったドイツだが、国家プロジェクトとして始めていた事なので、引っ込みがつかず、王室親衛隊はおおよそ60%以上が追放処分となった。爵位の廃止も社会の安定とを天秤にかけられ、結局はお流れになったため、マルセイユなどは新たに永世爵位を授与されたという。これが大混乱の顛末で、日本連邦も華族の身分廃止を選択しなかったように、ある一定の義務を負う者達がいなければ、ウィッチ世界のまとわりは維持できないのだろう。結果、44戦闘団主力はある日を境に、人員整理のチグハグさを危惧したガランドの手で丸ごと、予備役編入からの扶桑空軍外人部隊と化した。カールスラント最強の航空部隊が丸ごと『扶桑最強の外郭独立部隊の一部門に移籍する』。前代未聞の珍事だ。これにカールスラント政府も震撼し、即日で扶桑の外務筋に質問書を送るほどのショックに見舞われた。ガランドは政治的に失いたくない戦力を急ぎ、ウルスラの反対を押し切ってまで44に集め、丸ごと魔弾隊に集めた。この部隊は拡大し、魔眼系能力者の『魔眼隊』もできた。メンバーは政治的に追い込まれたJG52出身者が幹部であり、ハルトマンとマルセイユの原隊も書類上は移行している。こうして、64Fは44戦闘団の主力をも取り込み、その規模を更に肥大化させていく。その内の第一大隊『新選組』は歴代プリキュア関係者も含めた万能部隊と扱われ、予備も兼ねる維新隊、天誅組と違い、兵科は『諸兵科連合』とされている。機動兵器運用部隊も兼ねるため、パイロット教育を履修済みの事変世代が最も多い。他の大隊は事変後第一世代が幹部なので、機動兵器操縦教育に耐えうる世代は新選組に集中しており、のぞみ達や菅野、芳佳はその中では『青二才』扱いである。

「先輩達、ガキ共の教育をどうします?」

「家の相続の手続きは終わったの?那佳」

「じいさまが隠居したついでに、長男を廃嫡しちゃったんで、いやいやですけど。両親が泣いたんですけど、本家の当主の決定だし」

黒田は当主になったため、爵位も正式に継いでいる。黒田家先代当主が陛下の介入まで招いた醜聞に怒り狂い、那佳を後継者に指名し、長男を廃嫡したため、黒田は否応なしに黒田家を背負って立つ羽目に陥った。その公式公表は1946年が予定されている。ちなみに、黒田の両親は最後まで当主に反対し、辞退させたかったが、当主に一蹴されている。黒田は末席の分家の出でありながら、本家の当主となった初の例となった。これは那佳が皇室の覚えもめでたい事、実直な職業軍人であるため、華族の柵に囚われない事が期待された事からの当主が『メタ情報』を鑑みて選択した。結局は当主の継承をする羽目になったものの、黒田家などの政治的バックボーンを得た事になる。

「ま、これでお前の家が持つ川滝の株式を有効に使えるようになる。慈善事業にも手を出しとけ。軍役従事者がお前しかいねぇから、当主もお前を選んだ。これからは本家の連中を煮て焼いて食おうが、自由にできる。お上のお墨付きだぞ」

「とりあえず、金を食いつぶしそうな長女と次女はどこかに嫁に行かせます。長男は鳥類学者でもさせますよ、風ちゃんの親ですからね、一応」

「俺が前田侯爵に接近してるから、そいつらが文句言ったら、彼の提案といえ。彼の名を使ってもいい。彼は俺たちの後援者だ」

「前田将軍を押さえたんですか」

「ウチの後ろ盾になってもらってる。新華族ってのは、後ろ盾がないと、古くからの連中に後ろ指をさされるんだよ」

黒江は戦功で爵位を得た久しぶりの例だが、新華族というものは明治からの古参に後ろ指をさされがちである事から、加賀百万石の前田家の後援を受ける事で、霞会館でも陰口が消える。黒江当人が如何に国家英雄だろうと、家柄が元は士族なため、華族界隈では『成り上がり』と嫌われるからだろう。しかし、華族の身分そのものが危うい時勢では、勲功華族は逆に歓迎されるのも事実である。身分の新陳代謝が行われているのを示すため、勲功華族は社会の変革が行われようとしていた1945年に最も多く生まれた。レイブンズはその一環を表向きの理由として、叙爵を受けたと言って良い。ウィッチ世界の特殊な事情で華族の廃止が出来ないことに悩んだ日本側は妥協し、日本国内では『名誉称号』と扱う事で手打ちにした。そのため、のび太もダイ・アナザー・デイの功績で扶桑華族に叙爵される予定で、日本人としては久しぶりの爵位持ちの人物となる。扶桑の爵位は箔付けにもなるため、義勇兵が奮戦する理由の一つにもなっている。また、金鵄勲章も扶桑勲章としてなら、戦後日本に『勲章として扱ってもらえる』事から、義勇兵には金鵄勲章の受賞経験者が多い。また、扶桑はまだ金鵄勲章の年金を停止していなかった事も理由で、自衛隊員にとっても目指すべき名誉とされた。自衛隊に正式な勲章が定められていない(瑞光章で代用されていたが)事もあり、扶桑の金鵄勲章はその代用品とされた。こうして、なし崩し的に金鵄勲章は外国勲章扱いで日本国内でも見られるようになる。元々は黒江が2005年辺りの観閲式で、その時点で授与された勲章と従軍記章を制服にジャラジャラつけていた事がきっかけの措置であ事変で金鵄勲章は既に授与済み。その他の勲章や従軍記章も昭和天皇の意向で授与されていたため、当時の自衛官としての地位ではありえないほど絢爛豪華な事になっていた。武功章、善行章、技能章もてんこ盛りで、旧軍の勲章や記章を大量につけていた事から、国会で問題視されたが、黒江がカミングアウトを行うことで封じ込めた。その五年前の時点で、『金鵄勲章と武功章を持つ佐官を送り込まないでください、源田大佐!』と防大校長が泣きついていたからだ。そのカミングアウトからは十年以上の歳月を費やしたが、黒江は自衛隊勤務中でも帯刀が許可される特権がある、扶桑出身者初の将官である。

「やれやれ。早いペースで事は進んでますよ?」

「46年になったら、ちょっと入れ替えロープで試したいことがある。智子も乗り気だ。ほら、前…」

「先輩、マジでやる気ですか?入れ替わり」

「元はそういう計画だったからな。のぞみと入れ替わって、気分を味わってくるよ」

黒江のささやかな息抜き。ダイ・アナザー・デイとクーデターが終わったら、ドラえもんの入れ替えロープでのぞみと入れ替わり、プリキュアの気分を味わいたい計画。プロジェクトの原案は黒江達がプリキュアになる事も想定していたためだ。この入れ替わりは思わぬ騒動を呼び、黒江はのぞみに成り代わる形で、『プリキュアオールスターズの世界』を文字通りに体感する羽目になる。後に、のぞみ自身が出会う事になる世界のかれんとこまちが戦った戦役であるのかは定かでないが、黒江は本当にキュアドリームに成り代わって戦う羽目になったが、プリキュアの力を弱体化させられ、追い詰められた時に『本気』を解禁。逆に、その場の敵を『瞬殺』してしまったという。(生来、黒江は目立ちたがり屋の面もあるため、瞬殺する際には、シャイニングドリーム形態になってみせたという。黒江の悪い癖だが、止むに止まれぬ事態での事ではあったため、のぞみ自身も事後にぶーたれつつも、容認したという)



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