外伝その376『GとN』


――のび太は成人後の時間軸で参加している、ウィッチ達がメインの戦いでは脇役に徹しているが、元々は『主人公』であったため、どうしても目立つ場面はあった。

「やれやれ。大人になった後は仕事の都合もあって、目立ちたくないんだけど」

のび太は愚痴りつつも、銃撃で光る。成人後はドラえもんの補助無しで裏世界No.2にまで登り詰めた。デイブ・マッカートニーにカスタマイズさせたSMGで弾をばらまき、敵兵をなぎ倒す。プリキュア達の戦いを支援するやり方だが、本人は成人後は仕事の都合もあるので、目立つ事はしたくない。だが、彼女たちへの誹謗中傷対策のため、どうしても目立たくてはならない。それを雪音クリスに愚痴る。


「仕方ねぇだろ?ばーちゃん達は世界の法則無視できるくらいに強いんだしよ。あいつが色々とやらかすのも分かるぜ。それに反則技使えるんだから、誹謗中傷が来るのもな」

「まぁね。もっとも、あれには軍事的に理由があるんだよ?綾香さん達は顔バレしてて目立ちすぎて、『指揮官』である事が馬鹿でも分かる。戦国時代以前の時代ならいざ知らず、この時代は第二次世界大戦相当の近代だよ?指揮官である事を隠すのは、軍事的に理に適った合理的思考さ。日本人は日露戦争以前で戦争の認識が止まってるからなぁ」

「確かに…」

「ヒーローとヒロイン達は目立つのも仕事だけど、あの人達は本来、職業軍人だ。指揮官が前線で目立つのは格好の獲物さ。ワーテルローの戦いで実際にフランス軍がやられた手だ。日本人はそんな事も知らないしねぇ」

のび太は日本人の戦争への無知ぶりに呆れているようだ。自身が数多の戦場に立ったため、21世紀の日本人としては、ありえないほどに百戦錬磨である。ヒーローとヒロイン達は目立つのも仕事だが、黒江達は比較的に目立つ事が求められる職分にいるとは言え、一応は職業軍人である事から、指揮官である事を隠すのは近代の戦いでは鉄則である。M粒子散布下でもない限り、指揮官が目立つのは愚の骨頂であるとされていた。その事から、ミノフスキー粒子が近代に確立された合理的な戦闘システムを如何にぶち壊したかが分かる。(かのトレーズ・クシュリナーダは前近代的な騎士像を理想とするところがあり、東方不敗も似たような思想を持っており、23世紀ではその風潮がもっぱら持て囃されており、それを疎んじる風潮もないわけではない)

「いくらミノフスキー粒子が使われるとは言え、この世界での影響は限定的だよ。23世紀じゃ、敢えて機器を大型化させる事で対応してきてるし、この世界じゃ影響を与えられる電子機器はそもそも無いに等しい。せいぜい君のミサイルの照準をおかしくする程度さ。むしろ、21世紀以前のミサイルのほうが影響を受けないよ。22世紀以降のミサイルは21世紀以前とは構造が違うしね」

「…はた迷惑なんだけど、それ」

「仕方ないさ。M粒子は電子回路に悪影響を及ぼすからね。ティターンズのターゲットは地球連邦軍であって、米軍と自衛隊でもないし。君に悪影響が出るかもしれないけど、まぁ、許容範囲ではあるよ」

「なんだそれ」

「ミサイルの誘導精度が落ちるだけさ。切歌ちゃんがボイコットしたのは予定外だったけどね」

「ところで、あいつは何が気に入らないんだよ?」

「大方、綾香さんが自分と調ちゃんの仲を裂いたって考えてるんだろう。不可抗力で入れ代わってたんだし、後で文句つけるのはフェアじゃないよ。それを受け入れられなくて、精神が破綻してたのは同情するけど、自業自得の感あるからね。子供の頃に一度しか会うことがなかったのは、僕の手落ちだよ」

のび太は切歌と会ったのが子供の頃の一回のみである事を手落ちとしつつも、切歌の行為をフェアではないと切り捨てる。

「で、これからどーすんだ?」

「大人の切歌ちゃんに動いてもらう。それと、新しい戦士も着くはずだよ」

「まだいるのかよ、おい!」

「プリキュア達は全員集まると、60人を超えるからね。その中でも『強い子達』があの子達と、今度来る子なんだ。君たちより全体的に強いよ。」

ドリーム、ピーチ、メロディ、ハート、ラブリーの五代のピンクチームは(なぎさ/ブラックを除いて)強者に分類される。シンフォギア装者はコンディションにも強さが左右されるため、安定して強さを引き出せるプリキュアたちは戦力として、シンフォギア装者より上位と判断されている。立花響が欠けた状態では個々の戦闘力はけして突出しておらず、絶対性もないからだ。

「あいつがいない状態だと、戦力としての爆発力に欠けるのは認めるよ。聖遺物、いや、正確にいうと、大半が超古代文明が神代の宝具を擬似的に再現した代物か……の欠片を媒介にした力じゃ、聖遺物そのもの力を好きに奮える英霊やばーちゃんたち、アンタもだが……及ばねぇ。反則だろ…」

「君たちはよくやってるほうさ。だけど、聖遺物そのものの力が変質してる場合のほうが多い君たちの力じゃ、本質的に神殺しは不可能だよ。グングニルも神殺しの槍と本来は定義されていない。ロンギヌスとグングニルの存在が同一ではない世界の神には、あの子の力は通じないよ」

「それ、何気にあいつのアイデンティティの否定だぞ」

「神殺しはロンギヌスのもので、グングニルのものじゃない。おまけにザババの武器もあの子達が使う形じゃない。ゲート・オブ・バビロンで綾香さんが調べた結果だよ」

「ゲート・オブ・バビロン…!?」

「かの英雄王が有していた宝物庫の俗名だよ。そこに君達の力のもとになった宝具はある」

「ばーちゃんはそれを扱えるってのか?」

「君達のもとを去ってから、さ。あの中には天の鎖もある。そうすれば、君達は為す術もなく拘束される。それと、ゲート・オブ・バビロンはいうなれば、海賊漫画で語られた『ワンピース』の更に上位互換みたいな物かもしれない。綾香さんはキューティーハニーと同じ能力で姿を変えられるようになった後、この宝物庫を使う許可を取った。大変だったそうだけどね」

「あいつが聞いたら、パニクるところだぜ」

「そもそも、あの子には悪いけど、あの子のガングニールはあの子が最初に受け継いだものでもない。今や、マリアちゃんからもらった個体なんだよ?あの子は何に固執してるのかねぇ」

のび太もその点については辛辣である。立花響のガングニールは一度、既に消失している。今、彼女が使うガングニールは黒江が天空剣で強制解除させた上で響に手渡したものである。調はその執着心に嫌気が差していたので、なのはに加担していた。黒江も響の異常な力への執着心に引いているのは事実だ。

「あいつは自分の力が否定される、あるいは自分の思うような使い方をされないと途端にヒステリックになるところあるんだ。ばーちゃん達とそこで折り合いが悪くて…。あの子も苦労してたぜ」

クリスはのび太に語る。黒江に調の役を演ずるように強要したことは響最大の過ちであると。小日向未来でさえ『それはどうかと思う』と漏らすほどの強要は結局、調の出奔を招いた。出奔に協力したのが小日向未来である事は誰も響に伝えていない。調が未来に関与を否定するように言ったからだ。調が辞表と手紙を残して出奔した事で、響の精神的不安定さは実は増していた事、キャロルとの最終決戦に関われず、気絶している間に全てが終わっていた事などが今回の精神侵食の根源である。他のシンフォギア世界と違い、黒江が歴史を変えた事で『歯車が狂った世界』と言えるものの、軍人の身分で圧する事で風鳴訃堂の動きそのものを封じた点で、黒江の功績は実は大きい。

「で、プリキュアの子たちの原動力はなんなんだ?」

「君達とほとんど変わらないさ。そもそも、子供の頃の僕みたいな落ちこぼれの子がプリキュアとしてのカリスマだったりするからね。愛は奇跡さえ起こすからね」

「昔、そんな歌詞の歌があったなぁ」

「その時、君は生まれてないだろう?」

「懐メロ番組で偶に流れんじゃん」

「あいつ、なんで嫉妬なんか抱いたんだろうな」

「多分、ノイズを何のペナルティ無しで倒せるとこに、だろうね。プリキュアは次元世界の女の子の願いの結晶みたいな側面がある。だから、世界の法則なんて超えちゃうのさ。それでも、仮面ライダー達の敵には及ばない時がある。僕はその仮面ライダーに伍する戦力を持っていると評価されてるよ」

のび太は神速の早撃ち技能で西部に伝説を残した男であり、ドリーマーズランドの西部の星で23世紀初頭時点でさえも破られていない不朽の大記録を打ち立てている。成人後は裏稼業で名を成しているが、腕っぷしは見切りで相手の自爆を誘う戦術が主であるなど、運動神経は根本的に鈍い部類のままである事が分かる。

「その割には腕っぷしはからしきだよな、あんた」

「ガキの頃からだよ。僕は見切りで避けることを覚えたけど、野球は下手の横好きのままだよ。ガキの頃の打率は一分だよ」

「イチブ!?」

クリスも驚きののび太のジャイアンズでの成績。のび太はまぐれ当たり以外は戦力にならない数字の運動神経ぶりであるため、見切りで避けることは覚えても、喧嘩は弱めだし、野球は下手の横好きである。その割には、鋼線を使った暗殺術、銃では超一流の腕前を誇るというチグハグさである。

「それでなんで、銃とかじゃ激強なんだよ!?」

「ぼかぁ、半英霊みたいなもんだからね」

のび太がそう言ったタイミングで、ラ號が戦車道世界から帰還する。その甲板には、最強フォームたるパルテノンモードに変身済みのキュアハートが立っていた。翼を広げ、その勇姿を現す。

「な、なんだよ、あいつは!?な、なんかすげぇ派手だぞ!?」

「あれはキュアハート!しかも、パルテノンモード……。サイコフレームでも使ったな、誰か」

苦笑いののび太だが、キュアハートは最強フォームたるパルテノンモードを以て初陣を飾った。残像を生み、相手を翻弄するほどのスピード、相田マナが天才肌の少女であることに由来する身体能力の高さは歴代最強フォームでも随一の強さと言えよう。

『みなぎる愛!!キュアハート!!』

歴代と違い、最強フォーム固有の名乗りはないが、その神々しさはシャイニングドリームに匹敵するインパクトであった。マントを羽織っていて、それでいて翼を生やすようなド派手な意匠と裏腹に、残像を発生させるほどのスピードで動け、ティターンズの繰り出すMS『ハイザック』を成層圏まで蹴りあげ、更にキュアドリームと同じ『シューティングスター』を以てしてハイザックの胴体を貫き、爆破する。なんともド派手なデビューだった。

「嘘だろ!?あんな姿でどーいうパワーとスピード持ってやがる!あたしらのXDモードを超えてやがる!?」

「あれが10番目のプリキュア『ドキドキ!プリキュア』だよ。そしてそのリーダー『キュアハート』こと、相田マナちゃんだ」

「キュアラブリーから話は聞きました。アタシも一緒に戦います!」

「野比のび太。ラブリーとハッピーから話は聞いているね?そのまま戦線に参加してくれ!僕と、この雪音クリスちゃんで援護する!」

「つーわけでよろしくな。挨拶は後だ!」

「うん!前衛はアタシに任せて!」

ハートはピンクチームでは希少な『天才肌』である。ドリームとピーチたちのような戦闘時に潜在能力を発揮するタイプとは一線を画する。のび太とクリスの援護攻撃を受けつつ、その圧倒的ポテンシャルで『ハイザック』と『ジム・クゥエル』を含めたティターンズの部隊をボコボコに叩きのめしていく。そして、キュアラブリー(こちらは通常フォーム)も参戦し、ティターンズの部隊は一気に追い詰められる。

「ラブリーライジングソード!!」

キュアハート、キュアラブリーといった武闘派のプリキュア達の参戦もあり、ティターンズはなんと敗走する羽目に陥る。のび太に頭部モノアイを撃たれ、更にサブカメラも破壊され、盲目になったハイザックがラブリーに破壊される、クリスの火力で擱座させられる(クリスの火力なら、ハイザックとジム・クゥエル程度は破壊できる)。

「でもよ、代にもよるんだな。あいつらって飛べたり、飛べなかったりするんだな」

「後から身につけたりして、飛べる事もあるよ。僕の亡くなったおばあさんの存在が、僕をここまで成り上がらせたようにね」

プリキュア達も現役時代から強さを増している例を、のび太は自身が生涯でもっとも慕った父方の祖母の存在、彼女が遺した言葉を糧に自分はここまで成り上がった事に言及して説明する。クリスは黒江に対し、ニュートラルな立場を取っており、響のように『表向きは友好的な態度を取りつつも、内心では当人も気が付かないところで敵愾心を抱いている』事はなかったため、黒江に協力的であった。クリスは『自覚がない敵愾心があいつの運命を歪ませたかもな』と同情的であり、響の代理として、のび太と組むことが多かった。

「ラブリー、ハート!敵は狼狽えて、敗走し始めた!後は殿を務めてるジムスナイパーカスタムだ!そいつを無力化するんだ!」

「OK!!」

敵の殿を務めているジムスナイパーカスタムはのび太が狙撃でその場から動かし、クリスがミサイルで足場を崩す。

「いくよ、ラブリー!!」

「OK!」

相手がスラスターを吹かし、上空に飛び上がったところにハートが後ろから突っ込んで、パンチをかます。思わぬ方向からの攻撃に態勢を崩され、ラブリーがライジングソードで四肢を切り裂き、無力化する。だが、殿はきっちり務めたジムスナイパーカスタム。

「よし、みんな。集まってくれ」

「OK!」

その場に集まり、自己紹介し合う一同。

「えーと、改めて、自己紹介と行こうか。野比のび太」

「雪音クリスだ」

「相田マナ。キュアハートだよ」

「愛乃めぐみ。キュアラブリー」

この後、ラブリーとハートは正式に大尉(リーダー格なので)に任ぜられ、戦線に正式に参加した。雪音クリスは装者達とのび太達の仲介役の役目を担っていき、作戦の終結後には扶桑の昭和天皇に拝謁する名誉に預かり、金鵄勲章と瑞光章が授与されたという。





――と、言うわけで、立花響の立場は非常に危うくなっていた。『居場所が消える事』、『自分の拠り所となる力を否定される事』を極端に恐れる彼女の深層心理が黒江達への敵愾心として渦巻き、それを抑えようとする理性との間でせめぎあい、理性が敵愾心を抑えきれなくなったのを以て、沖田総司に肉体の主導権を握られたわけだ。沖田総司は悪く言えば、『殺人マシン』と揶揄されるような剣士。彼女は『黒江が調の立場で行った事の償いをさせる』という思考に折り合いをつけられず、結果として『力に執着した』事でなのはに教導を受けた。それが結果として、響の心の均衡を崩してしまったのである。のび太も言うように、シンフォギア世界の法則は他の平行世界では通じないし、それを真っ向から打ち破れる力を持つ者たちがいる。それを受け入れられていれば、今回の騒動は起きなかったし、アルトリアやジャンヌのように、穏やかに沖田総司を受け入れた可能性もある。なんとも言えないが、立花響は『自覚のない憎悪』が芽生えてしまった事で道を踏み外してしまったと言える。一方、その黒江はというと…。



――黒江の執務室――

「あんたがここに顔を出すとはな。Mr.東郷」

「お前らに強力に協力してくれというのも、日本のフィクサーからの依頼だからな…。こちらが得た情報を伝えておこう…」

ゴルゴ13は黒江達のいる駐屯地に姿を見せた。ビジネスライク的な接し方ながらも、かつてのビック4(第二次世界大戦終結前夜に諜報部門を統括し、最終的にゴルゴ13と奇妙な友情を持つに至った四人の大物)同様に、黒江達に比較的に友好的に接する。のび太のみが彼に伍する実力を持つとされるデューク東郷。少なくとも日系人である事だけは確かであった。

「敵はこちらの予想以上にリベリオンを掌握している。この戦線に投入されている戦力は史実のDデイ(ノルマンディー上陸作戦)の二倍であると考えた方がいい。予備戦力も正面戦力と同等の規模であると思ったほうがいいだろう…。航空機は100機や200機程度の損害は即日で回復される」

「敵の前線飛行場を同時に叩いて、戦線を押し戻すか?」

「いや、アメリカ系国家の土木作業力を考えれば、効果は一時的でしかない。どのみち、ある一定のところまで追い込むしかないが、陸軍力を一定規模に戻さんと攻勢は出来んだろう…」

ゴルゴは真理を突く。実際、連合軍の陸軍力は見る影なく衰えており、日本連邦と米軍、地球連邦軍の三者が実質的に戦場を支えているのが実状。カールスラントの撤兵とリベリオンの分裂だけで、デューク東郷が黒江に忠告するレベルに落ち込んだ連合軍の陸軍力。いくら強力な海軍と空軍力があろうと、肝心要の陸上戦力がなければ、多方面の奪還は覚束ないからだ。

「この戦線の要は陸軍力だ。それが回復せん事には動きは取れん。だが、敵の攻勢はそう長くは維持できん。攻勢は物資を消耗する。しばらくは正面きった会戦は避け、ゲリラ攻撃で凌ぐしかあるまい。ベトコンもゲリラ攻撃で米軍を苦しめたからな…」

「ゲリラコマンド、か。Gフォースに専門家がいたな…。検討させる」

「それと、空軍は夜間爆撃をハラスメント的に行うように具申するんだな。のべつ幕なしの爆撃は兵士達を肉体・精神の双方から消耗させる。お前たちは精鋭部隊と宣伝されている以上は敵の目を惹きつける役目も担う。言わば、囮に近い。だが、やってみる価値はある…」

「五十六のおっちゃんも言ってたが、『やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ』さ。ガキどもを一人前にせんと」

「お前たちは強大な力を持つ存在だ……。周囲から妬みを買い、謂れなき中傷を受けるのは覚悟しているだろう…。だが、『子供達』はお前たちに比べ、青い者が多い…。のび太が父親役なら、お前たちは姉のような役目を担え…。俺に言えることはそれだけだ…」

ゴルゴは黒江に『子供達(この場合は後輩のGウィッチ達やプリキュア達を指す)の姉役を担え』と言った。彼なりの黒江への忠告とも取れるが、ゴルゴは『存在そのものが滅する事を許されない身』であることから、Gウィッチ達にある種のシンパシーを感じている節もある。あるいはのび太への友情が為せる業なのであろうか。ゴルゴは感情は表に出ることは滅多になく、行動で示す事は周知の事実だ。特に旧・MI5はそれを知っている。亡きヒューム卿の存命中は蜜月とも取れる関係を維持していたからだろう。(特定の顧客は取らないと述べている一方、個人的にヒューム卿は尊敬していたのか、ルール違反も許していた)

「この場にヒューム卿かいたら、なんていうだろうな」

「あの人は真のプロフェッショナルだった…。今となっては冷戦時代の良き思い出だ…。」

ゴルゴは珍しく、冷戦時代(厳密に言えば、初代の活動時期)のスパイ活動華やかりき時代に依頼回数が多かった旧連合国の諜報部門の四人のトップ(ビック4)を回想し、懐かしそうな声を出す。また、その内の英国の諜報部門の長であった『ヒューム卿』の事を真のプロフェッショナルと評し、高く評価していた事を窺わせた。珍しく饒舌なデューク東郷だが、相手が『自身が唯一、自分に伍するプロフェッショナルと認めた男』の友人だからだろうか。彼が『日本のフィクサー的人物』からどのような依頼を受けたのかは不明だが、黒江達に加担するように頼まれているのは確実であり、ゴルゴほどの男を承諾させるほどの大人物らしい事が推察される。デューク東郷の存在はティターンズも『最重要事項』と恐れ、バダンですらも慄く。のび太は彼に伍する唯一無二の男とされ、彼らの共闘は『スーパースターの共演』と言えた。



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