外伝その408『ユトランド沖海戦の再来6』


――のび太はダブルスペイザーを借り受け、強行偵察などをこなしていた。ゴルゴ13共々、裏方に徹しているわけだ。のび太はかつての子供時代の冒険の時も別の時間軸の自分の補助に回った事がある(バウワンコ王国の冒険の時)ため、裏方に徹する事にも抵抗はない。艦娘たちの作戦行動を補助する――



――大和と長門は突撃する。無論、艦艇より自在に水上を疾駆できる艦娘と言えど、大艦隊相手に戦うわけであるので、集中砲火を浴びるのは必至。本来の護衛たる二水戦の艦娘達は防御が薄いため、かつてのような突撃戦法は取るに取れない(史上最後にして最強のデモイン級重巡がいるため)。そのため、のび太のダブルスペイザーによる攻撃は大変有効であった――

『サイクロンビーム!』

サイクロンビームがダブルスペイザーから放たれ、モンタナ級戦艦の主砲塔の一つを粉砕する。対空砲火が上がるが、超合金ニューZ製のダブルスペイザーにはなんてことはない。リベリオンは主砲を対空用途に用いる事はあまりないため、ダブルスペイザーには傷すらつけられない。のび太はダブルスペイザーを降下させ、更にダブルカッターでの攻撃も行う。

『ダブルカッター!!』

これは両主翼からカッターを射出し、合体させて相手を斬り裂く武器であり、超合金ニューZの切れ味鋭いカッターである。急降下からのダブルカッターでアイオワ級戦艦『イリノイ』の前部主砲塔を斬り裂き、使用不能に陥らせる。直掩ウィッチ隊の攻撃を物ともしないのび太の操縦術もあり、大和と長門への援護攻撃を遂行する。

「護衛のウィッチには悪いが、零式通常弾で地獄に落ちてもらう!」

「長門さん、三式弾は?」

「あれは米軍機には有効でないからな。零式通常弾を装填しろ!」

「は、はいっ!」

大和と長門は砲弾を零式通常弾に切り替える。史実でも三式弾より有効と判定された砲弾であるため、対戦闘機用防弾板を外し、対怪異運用に特化している当時のストライカーユニットが耐えられる道理はない。

『僕が弾着観測をする。君たちは僕の言うとおりに砲を指向させてくれ』

『は、はいっ!』

案の定、対空砲火に主砲を使うことはないと高をくくっていたリベリオンのウィッチ隊はわずか数秒後には防御の間すら無く、消し炭にされる。海に虚しく落下するF6Fユニットの音が残酷までの力の差を示していた。これは日本製近接信管に取り替えた弾を使用した故の結果だが、三式より良好な結果を叩き出した。

「日本の山の名前のエアコンの会社に発注したものを使ったが…、あっけないものだな。ウィッチの驕りという奴だな」

長門は武人然とした振る舞いを見せるが、実艦としての戦闘経験は対空戦にほぼ限定される。そのため、宇宙戦艦としてならば、あらゆる経験が豊富である大和が有利である。だが、指揮権は長門にあるので、長門の指示を仰ぐ。

「長門さん、どうします?」

「これで上空の心配は無くなった。野比氏が敵を撹乱しているうちに我々も離脱する。二水戦には悪いが、敵にデモインがいる以上、二水戦本来の任務である露払いもできんからな」

「了解です」

長門の言うデモインとは、史上最後にして最大最強の重巡である『デモイン級重巡』のことである。この世界では敵国の海軍が絶頂期の規模を維持しているため、12隻以上が起工されている他、それらが就役しつつある。その戦闘力はかつての弩級戦艦に匹敵し、扶桑の全ての重巡を圧倒している。日本側は同艦級への対応艦を建造させようとした。だが、扶桑は超甲巡を以て対応する計画であった。戦艦として中途半端と日本側に見做されたが、扶桑は既に『既存戦艦サイズの巡洋艦』として整備途上であった。大型怪異相手に戦後型ミサイル巡洋艦やミサイル駆逐艦は有効ではない(直接防御がないため)ため、超甲巡に近代化を施し、『大型ミサイル巡洋艦』化させたものが扶桑水雷戦隊の旗艦、空母護衛艦として配備され始めており、扶桑が当初に構想していた『遊撃艦隊の主力』としては用いられず、殆どは空母と戦艦の『弾除け』や水雷戦隊旗艦(想定内であるが)、として運用されている。扶桑はあくまで、『アラスカ級以下の艦艇を排除するためのフネである』という趣旨だが、コストパフォマンス重視の日本防衛省からは『何もかも中途半端なフネ』と見做されている。大きい巡洋艦と取るのか、小型戦艦と取るのか。史実にはないフネなため、見解が分かれている。ちなみに、黒江は『日本の未成艦だからって、アラスカと一緒にすんな。あれは戦艦サイズの巡洋艦だ』と意見を述べている。

「お、デモインだ!大和、やれ!」

「わかってます!」

デモイン級は長門が単独での対応を避け、大和に初撃を譲るほどの重装甲を持つ。(船体防御は高雄の二倍以上の装甲厚であり、角度によっては長門の徹甲弾すらも弾き得る)大和は徹甲弾を用い、デモインを撃ち、長門が続く。流石に大和の46p徹甲弾は防げず、続いて飛び込んだ長門の砲弾で大火災を起こすが、苦し紛れに同艦が放った砲弾が長門の副砲の一つを吹き飛ばす。

「おわっ!……ち、副砲をやられたか!」

「大丈夫ですか!?」

「なんのこれしき。だが、何という威力だ。これまでの巡洋艦を遥かに凌ぐぞ…。侮れんな…」

デモインの最新型徹甲弾は日本戦艦の弱装甲部を軽く抜けることがここで判明した。のび太のダブルスペイザーが反転し、二人の離脱を支援する。護衛のフレッチャー級駆逐艦をサイクロンビームが血祭りに挙げていく。長門は通信でのび太に謝意を伝え、友軍艦隊の後退を確認すると、二水戦共々、自らも下がる。

「艤装を明石に強化して貰わんとな。史実の加賀型か、紀伊型のプランを採用させるように提督(山本五十六)に頼もう」

「それだと物足りないですよ?」

「長砲身三連装41cm辺りを積むしかないな。副砲はいらんから、ボフォース辺りを積んで、対空を上げよう」

長門はこの後、敵新鋭艦対策を進め、艤装を陸奥共々に改良強化。山本五十六と宇垣纏の指令で艦娘・明石が研究していた試製装備の『46cm連装砲』と『三連装41cm砲』の被験者となり、装甲も強化。モンタナと殴りあえる能力を手に入れ、大和も『試製51cm連装砲』に強化される事になる。

「私は実は51cmに格上げを明石さんに頼んでます」

「お前、いつの間に抜け駆けを」

「モンタナが量産されると、私たちの火力も色あせますからね。51cm砲を頼んでたんですよ」

大和は史実でライバルになると目されたモンタナを強く意識しつつ、宇宙戦艦としてのライバルであるアンドロメダへの羨望も持っていた。大和はヤマトとしても主砲口径はあまり変化せず、アンドロメダに負けている(後にはブルーノアにも)事を気にしていた。そのため、戦艦艦娘ではいち早く、主砲強化を意見具申していたが、大和の46cm砲の時点で、建造当時(実艦として)は過剰性能という批判があったし、三連装九門より、連装八門を推す声もあった。艦娘・大和のこの要請は航空閥の井上成美から『馬鹿げた物言いだ。米軍は大和に対抗するための戦艦よりも空母を作るさ』と嫌味を言われるもとになったが、リベリオンがモンタナを量産しだしたため、大和の憂いは現実のものとなった。井上成美は呉の一件で立場を失い、後に空軍へ移籍する事になり、扶桑の国民は紀伊の仇討ちを望み、建艦運動を起こしたわけだ。

「井上提督の事は知っているか?」

「比叡さんが落ち込んでましたから。個人的に秘書官は続けるようです。私の要請を2年前の時に伝えなかったのは気にいりませんが、大鳳型を増産するためと割り切りました」

井上成美は当時としては過激な航空論者だった。大鳳型空母の二番艦と三番艦の予算を通すために大和の要請を二年は黙殺したが、大鳳型が艦上機の急速な更新と大型化に追随できなくなり、モンタナが量産されたため、昭和天皇に『井上は後方で学者でもするべきだね』と述べられた事に衝撃を受けたが、比叡の擁護もあり、空軍へ移籍する事になった。また、日本側主導で売却された軽空母に代わるプロメテウス級空母に売却された軽空母の名が継承され、計画が中止された大鳳型二番艦以降の装甲空母の代替品とされた。

「空軍はおそらく、ここ数年で強大な軍隊になるだろうが、寂しいものだ」

「まぁ、セクショナリズムで連携がままならなかった史実を思えば。それに、私の後身たるGヤマトがいますから、この戦いは負けませんよ」

「Gヤマト。お前のかつての体の生まれ変わりというが」

「正確に言えば、私の体だった戦艦大和が宇宙戦艦ヤマトになって、その躯をベースに30世紀に活動している後身です。その時代の太陽系連邦(地球星間連邦の後身)の旗艦です」

宇宙戦艦ヤマトの更に後身『宇宙戦艦大ヤマト』。地球星間連邦のさらなる後身の政体『太陽系連邦』のもとで再編されたアースフリートの総旗艦である。ダイ・アナザー・デイに馳せ参じたヤマトの後身である。別個体扱いであるため、23世紀にいる初代ヤマトと共存できるというトンデモな存在である。内部機構は2520年の18代ヤマトの発展型ながら、外観は初代ヤマトの純粋な強化型と分かるものになっている他、第三世代波動モノポール機関を積む。波動砲は『トリプルノヴァ波動砲』、『回帰時空砲』などの機構を持つ30世紀の最高峰のテクノロジー満載であり、戦闘力はアルカディア号、エメラルダス号に比肩する。23世紀の初代ヤマト(最終改装時)の20倍ともされる性能を持つため、ダイ・アナザー・デイでの戦闘統制指揮艦の役目も担っており、ダイ・アナザー・デイでの移動総司令部の任についていた。その戦闘班長こそ『古代将』。初代ヤマトの古代進の直系子孫である。容貌は進と瓜二つであり、代々、戦闘機乗りから艦長に転ずる経歴と、ハーロックと共通点を持つ。


――Gヤマト――

「沖田艦長、前線の状況はこのような…」

「23世紀の君のご先祖が私と君を見たらひっくり返るやもしれんな、古代」

「そうですな。代々、貴方の指揮で戦うのは因果でしょうな」

古代進はこの頃、第15輸送艦隊の護衛艦『雪風』の艦長としての出向中であり、極秘に第二次改装中のヤマトの事は知らされていない。一方、30世紀のアースフリート総司令は23世紀の軍令部総長『藤堂平九郎』の子孫である事から、Gヤマトは彼の勅命を受けて、ウィッチ世界に赴いている。つまり、Gヤマトはアースフリート上層部の総意で23世紀の地球連邦に協力し、ハーロックの歴史改変の思惑に乗っかったわけだ。

「沖田提督、お久しぶりです」

「久しぶりだな、黒江くん。前史のディンギル戦以来だな?」

「ええ。まさか、貴方も記憶を持つとは」

「私はヤマトの初代艦長だ。神々に愛されてしまったらしい」

苦笑いの沖田十三。この時は50代だが、それに見合わぬ老け顔と白髪である。また、前史の記憶も持つらしく、神々に愛されたと自嘲する。

「23世紀の古代さんには?」

「ボラー連邦の頃に知らせるつもりだ。デザリアムの戦いは山南君に頼んでおるよ」

沖田十三は黒江の知る沖田十三と同一人物であった。デザリアム戦役前の段階では表向き、宇宙放射線病の根治手術の被験者『O』という扱いだが、30世紀から『アースフリート総司令』としてやってきたので、驚きであった。階級は宇宙軍元帥であるため、問答無用で黒江は敬語で接する。

「報告は受けている。野比のび太氏への誹謗中傷はこちらも対策を打つ。君はプリキュアらを一人前に鍛えあげることが急務だ」

「ハッ」

黒江は沖田十三から直々にお墨付きを得たことで以後、のぞみ達をバシバシ鍛え上げていくことになるが、りんの記憶喪失に伴うのぞみの暴走と狂気という予定外に困惑し、春日野うららと美々野くるみの要請を承認。ことはをキュアアクア、キュアミント捜索に宛てる事になる。のぞみはこの頃、つぼみ(アリシア・テスタロッサ)に前世を引きずっている事を告白し、前世での自分の継承者となった次女の名を明かすなど、精神的に拠り所が失われる事を恐れている事を公にしている。黒江もそれを把握はしていたが、明確に原因が自分にある立花響と違い、のぞみのトリガーが何であるかはつかめていなかったため、手出しができなかった。自分も黒井響一郎/仮面ライダー三号に半死半生に追い込まれ、闇落ちしかけた経験があるため、のぞみの不安定さの理由は悟っていたが、確証はつかめていなかった。アリシア・テスタロッサがカウンセリングの勉強を始めた理由がのぞみの告白にあるように、この時に顕になり始めた『のぞみの闇落ち要素とフラグ』はプリキュアチームを大いに狼狽させ始める。また、報告が上がったのぞみの前世での次女。一族の通字を継いでいない『夢原有希子』という名前であり、一族の通字をもらった姉と戦ったことまでしか、のぞみにはわからないという。

「沖田提督、相談が」

「なんだね?」

「実は…」

黒江もその事に不安があったため、沖田十三の知恵を借りた。アリシアから報告された事は自分には難しい問題だからだ。沖田はのぞみが前世で遭遇した事態をその豊富な人生経験から悟り、黒江にアドバイスを送る。

「その子の拠り所が何であるかを調べたまえ。堕ちてしまってからでは手遅れだ。早急に動き給え」

「ありがとうございます、提督」

黒江は多忙であったため、一から原因を調べる必要があるのぞみの調査にはかなり手こずっていく。春日野うららと美々野くるみの協力も得て調べていくが、あまりに身近なところに原因がある事に三人は気づけなかった。そして事態が起こり、短時間で憔悴し、遂に幻覚に怯えるに至ったのを見かねたことはが半ば強引にキュアアクアとキュアミントを連れてくることになる。それにハーロックが協力したのは言うまでもない。





――その際に交わされたやり取りはこれである――

「――私達と行くんですね?」

「タイムマシンにワープ機能があるなら、いつでも戻れるでしょう?あの子が抱えている闇をどうにかしてあげたいの。お願い」

かれんは闇を抱えている大人ののぞみが心配なようだった。こまちも同様の思いらしき表情だ。はーちゃんがボレット1号のキャノピーを閉めようとしたその時であった。その世界ののぞみが引き留めようと現れる。

「待って!!」

「貴方……、家に帰ったんじゃ!?」

「どうしても気になって、急いで戻って来たんです。かれんさん、こまちさん!どうして、どうして、そんな戦闘機に乗ってるんです!?」

「ごめんなさい。貴方自身のためなのよ、のぞみ」

「あの子に何があったのかはわからないけど、なんで、『ついていこう』ってなったんですか!?教えてください!」

「ごめんなさい、のぞみさん。あの子はあなたが最悪に近い場合の道を辿った貴方自身なのよ」

「何が何だか、わからないですよっ!!そのわたしは、ここにいるわたしじゃないんですよ!どうして……」

「…決めたの。あの子を救えなかった別の自分自身にケリをつけたいって。あの子は、貴方なのよ。私達が大人になって、選択を間違い、お互いにボタンを掛け違えてしまった世界の!」

かれんはその旨を14歳のぞみにはっきりと告げる。あまりの衝撃で茫然自失になる彼女の隙を突く形でことははキャノピーを閉め、エンジンを始動させる。不整地での垂直離陸が可能なボレットは、14歳のぞみが我に返った瞬間には垂直離陸を開始していた。のぞみは慌てて追いかけようとするが、機体が離陸し、機影が消えた瞬間、へたりこんで泣きじゃくる。それを見たことはは気まずくなり、アルカディア号に着艦すると…。

「分身ハンマー〜!」

「す、スペアポケット!?あなた、そ、そんな…いえ、どうやってそれを!?」

「私の義兄から借りてきたんです。これで分身を作って、この世界を守らせればいいんです」

「なんだかチートね」

「あれだけ泣かれると気まずいですし、のぞみさんは私にとっては家族関係になるので…。」

と、言うことになったが、実際のところは分身ハンマーを使うまでもなく、デザリアム戦役終了後の彼女ら自身が入れ違いに帰還したため、事無きを得た。14歳のぞみは困惑したものの、タイムマシンが起こした奇跡に感謝しつつ、次の太平洋戦争の時には全てを受け入れ、二人を別の自分のもとに送り出したという。(そこで正式に道が分かれ、デザリアム戦役でGウィッチ化したほうの二人は正式に太平洋戦争以降は戦列に加わり、14歳のぞみのもとに残された分身がその世界での二人の役目を代行したという)

――アルカディア号(鋭角型)にて――

『君たちがことはの言っていた仲間か。久しぶり、というべきか?』

『キャプテンハーロック!貴方がこの一軒に噛んでいたのですか?』

『ことはの義兄は我が友だ。その友たっての頼みで彼女をこの世界へ送り届けたのだ』

ハーロックはことはの義兄を友と明言した。スペアポケットの存在から、それが誰であるか。。それを感づいた二人は大いに困惑した。

「ど、どういうことなのですか!?」

「一言では語れん。だが、一つだけ言える事はある。君達は俺と同じ様に友のために戦う戦士なのだろう?友を思う者に俺は力を貸すことを惜しむ気は無い、俺の船に乗れ。髑髏の旗にかけて、友の元へ送り届けよう!」

ハーロックの重みのある渋い声での言葉はその困惑を吹き飛ばしてしまう。如何にもという感じの海賊じみたハーロックの姿だが、その言葉と風格は有無を言わさない何かがあった。ハーロックは30世紀きっての無頼漢と評されるが、実際は友情に篤い男である。わざわざアルカディア号の二番艦を使い、ことはに協力するなど、のび太との時を超えた友情はそれほどのものだった。キュアアクアとキュアミントはこの『漢の背中』に信頼を寄せ、太平洋戦争で召集に応じる動機になっていく。また、のび太はクイーンエメラルダスとも盟約があり、気高い女宇宙海賊たる彼女をも動かし、ウィッチ世界、デザリアム戦役を動かすフィクサー的動きを見せていく。また、ことははのび太のツテでクイーンエメラルダスと既に出会っており、彼女のような強さを持ちたいと願っている。彼の純粋無垢なドラえもんとの友情は30世紀の宇宙海賊の両巨塔すらを動かすほどの偉大なものであり、調がそれまでの生活をかなぐり捨ててでも殉ずるほどのもの。のび太の転生理由も『ドラえもんズを自ら出迎えるため』というものである事も後世の英雄たちが惹かれ、黒江達がその友情を大事にする理由なのだ。そして、彼のおかげで自分を見失わずに済むのぞみ、居場所を与えてくれたことはの二人は家族となる事を選択、以後はその存在を支えとしていく。のび太はその優しさで世界を良い方向へと導く役目をゼウスから担わされた存在であるのかもしれない。そして、それ以前に『戦鬼』と言われて憚れない黒江達の最大の理解者である。それが彼が黒江達に示した友情であった。

『あの人達は戦鬼でも、親離れ出来ない子でもなんでもない。ただの女の子さ。戦いに生きるのを周囲から望まれ、人並みの幸せを個人として味わうこともできない、ね。僕は彼女達に見せてあげたいんだよ。幸せをね』

28歳当時、妻に語ったこの一言がのび太の以後の友人への行動原理であり、黒江達へのスタンスだったという。のび太は生涯を通し、実子はノビスケ一人だったものの、養子は6人を越え、全ての系統が一年戦争の動乱を乗り越える強運。ビスト家をも政治的に抑え込める家格を持つ名家として名を馳せる野比家の栄光の始まりはのび太なのだ…。



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