in side

 スカアハとクー・フーリンの衝撃の発言からなんとか立ち直り、事情を聞くのだが――
「なに、お前を手助けしてくれる者がいるということだ。ちと事情があって、ここには来れないがな。
それで代わりに私達が来たのだ。師匠をするというのは、お前には足りないものが多すぎる。
それを教える為に私が師匠をすることになったのだ」
 とスカアハさんは言ってくれましたが……誰なんだ? 手助けしてくれるのは助かるけどさ……
なんでまた、俺に師匠なんかを? すっげぇ、疑問なんだけど?
「しかし、死んだ者を蘇らせただけでなく、力まで与えるなんて……そいつ、何者だ?」
 と、真名はそのことを気にしてるみたいだけど……いや、ホント何者なんだろ?
確かにオニを蘇らせてくれたのは嬉しいけど……でも、なぜあの姿? しかも、なんで女? 何考えてんのそいつ?
もしかして、オタクとかじゃないよな? なんか、服もそんな感じするんだけど?
「けど、師匠って……何やらせる気なんだ?」
「安心しろ。基本的には今までやることは変わらん」
 で、師匠をするというスカアハに気になったことを聞いたが、返ってきたのはそんなひと言……どういうこと?
「今のお前は自分なりのスタイルが出来ようとしている。ならば、それを高めてやろうと思ってな。
私が教えることは何が必要で何だそうでないのか? そういったことだ」
「なるほどね」
 と、スカアハは言うのだけど……理解出来てるのは真名だけらしい。あの〜……それって、どういうことなんでしょうか?
「ま、いつも通りやれってことさ」
 と、クー・フーリンは言うのだが……なんか、すっごい不安なんですけど?
「それはそれとして……お前達は先程まで何を落ち込んでいたのだ?」
「え? あ……見ていた……のですか?」
「合流する前に翔太がどんな奴なのかを見ておきたくての。その時にお前達が落ち込んでいたのを見たのだが……それが気になってな」
 スカアハに聞かれて刹那はつらそうな顔をする。良く見ると真名も顔をそらしているようにも見えるな。
まぁ、自分達の漫画のことを引きずってるんだと思うんだけど――
「その……私達が出てる漫画がありまして……それを見ていましたら……私達は漫画の存在なんじゃないかと思ってしまって……」
「ふむ……翔太。お前はこやつらと初めて会った時、何を思った?」
「へ?」
 つらそうに答える刹那だけど、スカアハはなぜかそんなことを顔を向けながら聞いてくる。
ていうか、なんで俺? でもまぁ――
「まぁ、嬉しかったというのは本音ですかね? 漫画の世界がマジであったなんて思いもしませんでしたし」
「そういうことだよ」
「は?」
 答えるとスカアハはなぜかニヤリと顔を向けるんだけど、刹那は戸惑ってます。真名もだけどな。
いや、俺もわからん。それってどういう意味なのさ?
「そうだな……自分達が出ている漫画を見て、お前達自身は何か変わったか?」
「え? あ、いや……別に何も……」
 問い掛けるスカアハに刹那は戸惑いつつ答えた。確かに刹那達は悩んだけど、何かが変わったわけじゃない。
確かに漫画じゃ、刹那と真名はボルテクス界に来てはいないけど、それは俺が関わったからだしな。
漫画とは確かに直接は関係無いけど……でも、意味はわからん。
「つまりだ。自分達が漫画で出ていたというだけで、お前達がどうなるわけでもない。
何かを言う奴らはいるだろうが、それもお前達に直接関わることでもないしな。気にするだけ無駄だ」
「え? そんな大雑把なものなの?」
「そういうものだよ。別にそんなことを知ったからといって、どうかなるとは限らん」
 スカアハの話に理華は首を傾げるが……でもまぁ、そういうもんかもしれないな。
実は前にボルテクス界に出てくる悪魔はゲームに出てくる悪魔に似てるんで、攻略本とか見たら良くね? と、思って調べた時があったんだわ。
その時、ミュウがその攻略本を見て自分と同じ者がゲームに出てるって知ったんだが、その時はそうなんだって程度の反応だったしな。
ミュウも知っても何も変わらなかったし。あ、そうそう。攻略本はものの見事に役に立ちませんでした。
だってね、前にも話したと思うけど、同じ種族……例えば、ピクシーの場合。
あっちで火炎魔法使ったかと思ったら、別なとこじゃ疾風魔法使ってたりと、必ずしも同じ魔法を使うとは限らなかったし。
それに攻略本にあった耐性とかも、実際に戦ってみると無かったり、別なのがあったりしたし。
まぁ、女神転生も作品によって同じ種族でも耐性とか違うこともあったしな。そういうもんなんだろう。現実は甘くないと。
「ま、思う所はあるのだろうがな。気にしない方がいい」
「は、はぁ……」
 と、スカアハは声を掛けるけど、刹那は戸惑っているように見える。真名も複雑そうな顔をしてるけど……
言われたからといって、納得するとかは別か。とまぁ、こんなやりとりが町に戻るまであったりするのだった。


 で、何度か悪魔の群れと戦いながら町に戻ってきたのだが……スカアハはあまり戦わなかった。
自分に襲いかかって悪魔だけと戦ってたんだよ。でも、武器を使わずに一撃で倒してました。なに? その非常識な強さは?
で、余裕がありまくりのスカアハは俺にああしろこうしろと指示を出してくるんだよねぇ。
ちょっとやりにくいような……でも、怪我はしなかったな。いや、ここら辺のは比較的弱い方ってのもあるんだろうけど。
ちなみにそんなスカアハに真名は感心してました。あ、クー・フーリンも強かったぞ。ほとんどの悪魔は一撃だったし。
 で、町に入るとフロストとランタン、モー・ショボーにシルフはGUMPの中に入り、残りは俺達と一緒に歩いてます。
出来ればスカアハとクー・フーリンにもGUMPに入って欲しかったけど、スカアハに却下されました。
生体マグネタイト、節約したいのに……ちなみにミュウはいつものことだし、ルカは一緒にいた方が町では色々と重宝する。
アリスはお願いされたからだが……いや、瞳を潤ませて上目遣いでお願いとか反則ですよね?
俺、ロリコンじゃないけど、心がすっごく痛かったよ。
 そんなわけでちょっと泣きそうになりながら業魔殿に行って、ドリー・カドモンはヴィクトルさんに渡しました。
喜んでました。これで新しい研究が出来るって。
 で、業魔殿を出てどうしようかということになり――
「じゃあ、リョカさんのお店でお昼でも食べないか?」
「リョカさん? 誰なんですか?」
 俺の提案に刹那が首を傾げてる。て、刹那達が知ってるわけないか。
「リョカさんってのはルカのお姉さんでな。酒場をやってるんだけど、料理も美味いから時々食べに行ってるんだ」
「しかし、酒場がこんな時間に開いてるのかい?」
「ああ、今の時間ならもう開いてるはずだ」
 なので教えておく。うん、リョカさんって本当に料理が美味いんだよね。
で、真名がそんな疑問を聞いてくるけど……確かに今の時間は俺達で言う所の昼飯時。
でも、リョカさんのお店はこの時間にはすでに開いてたりする。なんでも、料理を出す関係らしいけど。
そんなわけで俺達はリョカさんの酒場に向かったわけだが――
「こんちわ〜」
「ん? お、あんたかい。ちょうど良かった」
「はい?」
 酒場に入ったら、なぜかリョカさんにそんなことを言われるんだけど……何かあったのか?
「あんたにお客だよ」
「お客?」
 リョカさんに言われるけど、俺は首を傾げる。
はて? こっちじゃ顔見知りはいるけど、知り合いって程の人はそんなにいないはずだけど……
あ、今気付いたんだけど、リョカさんの前にちょっと恰幅のいいおじさんがいるや。
でも、誰? 俺の知らない人だよな?
「この人がですか?」
「そ、私が知る限りじゃ、一番の腕利きだよ」
 なんてことをおじさんとリョカさんは言うんだけど……腕利き? 俺が?
いや、俺はまだまだだと思うけどな? やっぱりというか、未だに怪我は絶えないし……て、そうじゃなくて――
まったくもって話が見えないんですけど。俺に関係あるのか?
「あの、どういうことなんですか?」
「おっと、そうだったね。話すから、ここ座りなよ」
「はぁ……」
 聞いてみるが、リョカさんに言われるまま席に着いた。みんなも思い思いの席に座り――
「紹介するよ。この人はフォルス・マグヤードさん」
「食品や日用雑貨を売る商人をしております」
 リョカさんに紹介されて頭を下げるフォルスさんだが、良く見たら見覚えあるな。
買い物で行った先のお店で確か顔を見たことがあるや。でも、それはそれとして……俺に何のようだろ?
「実は私どもは他の町へ商品を運び、売るということもしているのですが……知っての通り、町の外は悪魔がおります。
一応、護衛を雇ったりはしてはいるのですが……それでも大量の商品を運ぶことが出来ずにいたのです。
そのため、その町に商品が行き渡らず……なんとか出来ないかとその町の人達に言われていました。
私どももどうしたものかと悩んだ時にあなたの噂を聞きまして……
噂通りなら、あなたに護衛してもらえれば、大量の商品を運べると思いましたので。
お願いいたします。どうか、私どもの護衛をしてもらえないでしょうか?」
 と、フォルスさんは結構深刻そうな顔をしていたけど……でも、ここ以外に町があるなんて、初めて知ったな。
いや、あちこち行ってるように思われそうだけど、実は行ったことが無い所が意外とあったりする。
たぶん、その町も俺が行ってない場所の先にある所なんだろうな。
ん〜しかしなぁ……護衛か……どうなんだろ? 受けてもいいんだろうか? 確かに今まで仕事は受けてきたけどね。
リョカさんの時は銃の合成が終わるまで時間が掛かるから、それまでの間ということで受けたし――
ヴィクトルさんの場合は色々とお世話になってるから、そのお礼という感じだし……どうしようか?
「ふむ。どの位の規模で運ぶつもりなのだ?」
「馬車で7台分です。それくらいじゃないと、とてもではありませんが運びきることが出来ませんので」
 いや、スカアハさん。なぜに勝手にそんなことを聞いてますか?
あ、ちなみにだが、この世界には車は存在しない。テレビとかはあるのに、なぜか車とかそういうのは無いのだ。
一応、油はあるらしい。どんな油かまでは知らないけどね。
「翔太。この仕事を受けろ」
「はい?」
 スカアハにいきなりそんなことを言われてしまうが……いや、なぜに?
確かに受けようかどうかは悩んだけどね。みんなと相談してからと思ったのに。なんでまた?
「なに、ちょうどいいからだ。いいから受けろ」
「いや、みんなと相談してからの方が――」
 などと、スカアハに睨みながら言われてしまいました。一応、反論してみるものの――
「つべこべ言うな」
「つ〜わけでお願いいたします」
「あ、いや……こちらこそ助かりますので……」
 スカアハに思いっきり睨まれて、泣く泣く受けることになりました。見ていたフォルスさんは戸惑ってたけどね。
で、馬車に乗る人達の人数や仕事方法を詳しく聞き――
「では、明日出発しますので、お願いいたします」と言って、フォルスさんは去っていった。
まぁ、それはいいんだけど――
「あの……なんで受けなきゃならないんですか? 何か意味でも?」
「言ったはずだ。私は翔太の師となるべく来たとな。そして、今回の仕事は指導にちょうど良さそうなのでな」
 理華の疑問にスカアハは得意げに話してるけど……しかし、指導にちょうどいいって、どういうことさ?
「どういうことよ?」
「そうだな……今回は馬車7台……は、いい。問題は馬車を動かす者や荷物を降ろす者など、全部で21人だったか?
それだけの数を悪魔達が見逃すと思うかな?」
 ミュウの疑問にスカアハは意味ありげな笑みを浮かべる。
確かに悪魔が人間を襲うのは、人も高濃度の生体マグネタイトを持ってるからというのをヴィクトルさんかミュウに聞いたことがあったっけ?
他にも理由があるとか言ってたような……ともかくとして、その理由で悪魔は人を襲うのは間違いない。
それなのに20人以上も行くんだから、確かに狙われる可能性大だよなぁ。
「しかし、問題は護衛方法だ。なぜかわかるか?」
 いきなりスカアハに聞かれるが、わからないので首を傾げた。
理華もわからないみたいだけど、スカアハはどっかに顔を向けて……って、真名を見てる?
「お前はわかったようだな?」
「ああ……つまり、守る範囲が問題だということだね?」
 真名の答えに、問い掛けたスカアハは満足そうにうなずくんだけど……ごめんなさい。まったくもって、わからないんですけど?
つまり、どういうことさ?
「そうだね……このコップを馬車としよう」
 そう言って、真名はリョカさんが出してくれた水入りのコップを7つテーブルの上に並べて――
「そして、この水滴を私達だとしよう」
 で、コップに指を入れて水で濡らし、その指をトントンとテーブルの上を叩くようにして水滴を落とした。
コップの周りを囲むようにして。その数は14。俺達と仲魔を合わせた人数だな。
「さて、これを見てどう思う?」
「どうって……ん〜……」
 真名に言われてテーブルの上の物を見てみるけど……さっぱりわからない。
考えてるんだけど、何か意味があるんだろうか?
「やれやれ……人と人の間の隙間が大きいと思わないかい?」
「あ、そういえば……」
 呆れた真名がそう言うと、理華がああ〜といった感じでうなずくけど……もしかし、これが言いたかったのか?
でも、何の意味があるのかやっぱりわからないんだけど?
「お前達がいくら強かろうが、戦える人数と範囲にはおのずと限界がある。
襲ってくる悪魔が1体や2体ならまだしも、もし大勢で来られたらどうなる? 
戦っている間にその隙間から抜け出て、商人達が狙われる可能性もあるということだ。
それだけではない。戦っている最中に別の悪魔の群れが来るなんて事も考えられるだろう?」
 などとスカアハに言われてしまったが……言われてみるとなるほどと思ってしまう。
俺も一度に相手出来るのは良くて2体がやっと。それ以上となるととてもじゃないが相手出来ない。
それに悪魔と戦ってたら、別の悪魔の群れが来たなんて良くあることだしな。
「では、なぜ引き受けられたのですか?」
 と、ルカが不思議そうに聞くけど……そうだよな。
真名やスカアハが話したことは必ず起きるってわけじゃないんだろうけど、もし起きたら俺達じゃ手におえなくなることもありえるし。
なんで、フォルスさんの依頼を受けたんだろうか?
「なに、方法が無いわけではない。その方法だが……翔太はどうすればいいと思う?」
「へ?」
 話してたスカアハにいきなり聞かれて戸惑うが……方法ねぇ……ん〜……
「人を増やすとか?」
 思わず思いついたことを言ってみたり。
いや、人が少なくて隙間が大きくなるんだったら、人増やせば狭くなるんじゃないかと思ってさ。
「その通りだ」
 で、スカアハはあっさりとうなずいてって……へ?
「それで……いいの?」
「何を言っている? この依頼を困難なものにしているのは、人の少なさにある。ならば、人を増やすのが手であろう?」
 理華は戸惑ってたが、スカアハは何言ってんの? って感じで答えてるけど……
いやまぁ、確かにそうかもしれないけど……でもなぁ――
「でも、今から仲魔を集めるって言ってもな……」
 頭を掻きながら思わず漏らしたけど……悪魔との交渉ってのは意外と難しい。
というか、まず交渉に持っていくのが大変なんだよ。道具をあげたりとか、生体マグネタイトをあげたりとか。
それで機嫌を取って、ようやく交渉に入れるってわけ。ただ、交渉は交渉で大変なんだけど……
ただ、悪魔ってのは気まぐれなのが多くて……ちょっとしたことですぐに機嫌が悪くなって、交渉が出来なくなるなんてことが実は多い。
昨日のカハクだって、OKもらえるまで結構時間掛かったんだぞ。
 それに目的地の町なんだけど、途中までは幻想郷に通じる穴の周りにいた悪魔と同じ奴がいるはずだ。
だから、町の周りで適当に仲魔にするってわけにもいかない。意外と強いんだって、そこにいる悪魔は。
「やれやれ……今のおぬしではそれが限界か……まぁいい。どうすればいいか教えてやるのも師の勤めだしな。
その前に昼食を取らぬか? 流石に腹が減ったしな」
 と、スカアハは笑顔混じりに言うんだけど……どうする気なんだろうか?
そんなことを考えて、俺は思わず理華や刹那達に顔を向けてしまうのだった。理華達も不安そうだったけど。
 しっかし、スカアハは何をする気なんだろうか?



 あとがき
てなわけで、早速師匠らしいことをしているスカアハ。
しかしながら、今回の依頼は今の翔太達には難しそうで……どうするつもりなのか?
次回は新たなサマナーが現われます。なんで、新たなサマナーが現われるのか?
スカアハが取った行動とは? そして、刹那は新たな疑問にぶつかり、それにスカアハは――
でもって、他でも動きがあってと……色々と起きます。大丈夫か、私?(おい)

さて、拍手の方のレスですが、主人公は斬撃を飛ばすことはありません。
仮面ライダーは……ちょっと待ってね^^;
デュエルモンスターズは知らなかったですね。探せば見れるかな?
そんなわけで次回をお楽しみに〜



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