in side
そんなわけでやってきました幻想郷は博麗神社――
「あら、お久しぶりね」
「まぁ、そうなんだけどね……」
で、境内にいた霊夢に返事を返すんだけど、思わず言いよどんでしまう。
というのもね――
「わ、脇巫女だぁぁぁぁぁ!?」
「あっちは魔理沙もいるぞぉぉぉぉぉ!?」
「な、なんだぁ?」
「わき巫女?」
直貴、叫ぶな。克也、人を指差すんじゃない。魔理沙が戸惑ってるじゃないか。
それに霊夢は首を傾げてるけど、意味がわかったら絶対に弾幕打たれるぞ?
「お〜い、誰かこいつら静かにさせてくれぇ」
「しょうがないな」
この2人を静かにさせないと話が進まないな〜と思ってそう言ってみたら、スカアハが前に出て――
「はふぅ〜……」
「はへぇ〜……」
スカアハの人差し指に魔力の明りがともったかと思うと、克也と直貴はへたり込んでしまった。
「何やったの?」
「消沈効果がある魔法をな。これでしばらくは静かになるだろう」
「あら、興味深い魔法ね。それがあなた達の世界の魔法なのかしら?」
聞いてみたらスカアハは肩をすくめつつ答えるけど、それに興味を持ったのは……確か、アリス・マーガトロイドだったっけ?
宙に浮いてる人形を連れてきながら、そんなことを聞いてくる。
いや、実はね。なぜか、東方キャラが勢揃いしてるのよ。さっき言いよどんだのは、それに戸惑ったからなんだけど。
「お久しぶりね、サマナー?」
「ああ、本当に……」
言葉を返すが、自分でも顔が引きつってるのがわかる。ていうか、なんであんたもいるの?
「あの、翔太さん……この方は?」
「ああ……レミリア・スカ―レットっていう吸血鬼だ」
「吸血鬼……まさか、エヴァンジェリン以外の吸血鬼を見ることになるとはね」
刹那に聞かれたんで答えたら、真名が感心した顔付きになっていたけど……あ、エヴァンジェリンで思い出した。
「ああ、そうだ。紫、実は頼みたいことが――」
「エヴァンジェリンという吸血鬼のこと? 嫌よ」
言い切り前に笑顔の紫に断られてしまいました。いや、ちょっと待て。まだ、用件言ってないんですけど?
それ以前になんでエヴァのこと知ってるの?
「いや、なんで知ってるの?」
「スキマで見てたもの。あなた達のことはこの幻想郷にも関わってくるから」
気になって聞いたら、紫はあっさりと答えてたけど……いや、見てたんかい。
しっかし、見てたなら手伝ったって……ああ、こういう奴だったよね、紫って……
「あっそ……で、なんで嫌なのさ?」
「そんなことをする義理なんて無いもの」
「あ〜……前に言っていたお礼ということで――」
「それはあなたに対してでは無いでしょう?」
それでもお願いしようとしてみたが……笑顔であっさりと断れました。
うん、どうしようか? このままだとエヴァに怒られそうなんだけど?
いや、もしかしたら怒られるだけじゃないかもしれないけど……
「とまぁ……意地悪ばかりというのもなんだし、お願いを聞いてくれたらやってあげてもいいわよ」
「お願いって?」
笑顔の紫に嫌な予感を感じつつ、聞いてみたら――
「ボルテクス界にソーマというものがあるそうよ。それを持ってきてくれないかしら?」
「ソーマとは……また無茶なことを……」
紫が笑顔でそんなことを言ったら、なぜかスカアハが呆れていました。うん、なんか嫌な予感増大中なんだけど?
「無茶って、どうして?」
「確かにボルテクス界にはソーマは存在する。しかし、どこにあるかは私にもわからない。
なにしろ、ある宗教では神の飲み物ともされてる物だからな。そんな物がそこら辺にあるわけがなかろう?」
理華の問いにスカアハは手で顔を覆いつつ答えてたけど……そういうことかい。
スカアハの言うとおりなら、探すのは困難みたいだけど――
「あ〜……いつになるかわからんないけど、探してみるわ。
で……その代わりといっちゃなんだけど、せめて修学旅行に行けるようにしてくんない?」
とりあえず、そんなことを言ってみる。いや、とりあえずがんばってますよ〜って所見せておかないとやばそうだしな。
「ふむ……面倒なのだけど……まぁ、いいわ。今回の厄介ごとを片付けてくれるならね。でも、約束は果たしてもらうわよ」
「了解……」
紫の言葉に返事を返すが……今、本音が出なかった? 面倒って……
「ところでエヴァンジェリンって何者なの?」
「ボルテクス界とは別の世界にいる吸血鬼よ。あなたとはちょっと毛並みが違うけどね。
そして、今はちょっとした理由で呪いを掛けられてるのよ。翔太はそれを解いて欲しいとお願いしてたわけ」
紫の言葉に聞いてきたレミリアがなぜか笑顔になる。いや、何かを思いついたって顔……というか、にやりとしたというか……
「ねぇ、そのエヴァンジェリンとかいう奴に私も会いに行ってもいいかしら?」
「あら、どうして?」
「幻想郷じゃフラン以外の吸血鬼に会えないもの。ちょっとした暇潰しよ」
「そう……まぁ、いいわ。連れて行くぐらいなら構わないし」
「そうなの、楽しみだわ」
「あ、私も行きたい〜」
笑顔でんなことを話し合う紫とレミリア。でも、なぜだろう……その背景が不吉な物に見えるのは……ていうか、黒いんだけど?
で、話を聞いていたフランドール・スカーレットもそんなこと言い出すし。
「あ、あのぉ……レミリアさんの横にいる方々はどなたなんですか?」
「ん? ああ……メイドさんは確か十六夜 咲夜さんだったっけ? レミリアのメイドさん。
で、宝石みたいな羽根を持ってるのがフランドール・スカーレットで、レミリアの妹のはず……だったよな?」
ミナトに聞かれたんで、思い出しながら答えた。実は幻想郷から戻ってきた後、元の世界で東方のこと調べたんだよ。
しかしまぁ、宴会の時にも思ったけど人が多いよね。なので、忘れてる人もいるかもしれん。
「ほう……あれを見ているとエヴァンジェリンと茶々丸を思い出すね」
「あ、それはわかるかも。で、ネグリジェみたいなのを着てるのがパチュリー・ノーレッジ。
魔法だけならエヴァよりも上かもしれない、凄い魔法使いだったはずだな」
「なんと……」
「で、そのパチュリーの隣にいるのが小悪魔……使い魔だったっけ?
で、中国っぽい人が紅 美鈴といって、レミリアの屋敷の門番だったはずだ」
真名がそう言うんでうなずきつつ、更に紹介を続ける。パチュリーのことに刹那は軽く驚いてたみたいだけど。
うん、紅魔館の人達が勢揃いなのですよ。でも、勢揃いしてるのはここだけじゃないんだけど……
「やぁ〜、久しぶりだねぇ〜……」
「や、どうも……」
「彼女達は?」
手上げる萃香だが、酔ってるな。ふらついてるし。で、君嶋さんが問い掛けるけど――
「伊吹 萃香っていう鬼ですよ。隣にいるのは星熊 勇儀だったかな? 同じ鬼の……」
「鬼……ですか? 確かに角はありますけど……」
紹介すると刹那が戸惑った様子で萃香と勇儀さんを見ていたが……うん、見てると普通に鬼に見えないね。
ていうか、姉妹に見えね? 勇儀さんが姉で萃香が妹で――
「翔太……今、何考えた?」
「なんにも」
萃香に睨まれたが、即行で首を横に振った。ていうか、なんで気付かれたんだろうか?
「それで……あの明らかに人魂っぽいのを引き連れているのは誰なんだい?」
「ええと……西行寺 幽々子さんだったっけ? どんな人なのかは詳しく知らないけど……」
「白玉楼という所で冥界の幽霊の管理をしてますの。隣にいるのは魂魄 妖夢。白玉楼の庭師をしてもらってますの」
「ど、どうも……」
真名に聞かれたんで紹介したら、幽々子さんは妖夢の紹介までしてくれました。妖夢は少し戸惑いながら頭を下げてたけど。
思い出したんだけど、この人って亡霊じゃなかったっけ? 全然、それっぽく見えないんだけど? あ、妖夢で思い出した。
「そういや、妖夢って半人半霊っていうハーフじゃなかったっけ?」
「え? ええ、そうですけど?」
「え?」
そのことを思い出して聞いてみたら、妖夢はうなずいてくれました。
これに反応したのが刹那。そういや、刹那もハーフだったよな。それで気になったか?
「でぇ……だな……」
「どうしたのかしら?」
次の紹介をしようとした所で少し悩む。ウルスラさんに疑問に思われたけどね。
まぁ、なんというか……ねぇ……
「いや、大したことじゃ無いんだけど……でぇ、あの人が蓬莱山 輝夜っていう……そのぉ……」
「あら、どうかしたのかしら?」
とりあえず、紹介はするのだが……その先がいいずらい。だってねぇ……
輝夜は微笑んでるけど……なぜだろう? なんか、裏があるように見えるのは……
「どうかしたんですかぁ?」
「いやな……輝夜は……かぐや姫本人なんだよね……」
「はい?」
ミナトに聞かれたんで答えたら、香奈子さんが固まってました。
いや、わかるよ……俺も元の世界に戻って調べて……それ知って、驚いたしな。
「そ、それは本当なのか?」
「かぐや姫とは?」
「え、えっと、私達の世界のそういう名前のお姫様が登場する物語があるんだけどね……」
美希は大いに戸惑ってました。それもそうか……クノーさんは首を傾げてたけど、香奈子さんが説明してて――
「あ、あの……本当なのですか?」
「ふふ……私が月の民であるのは間違いないわよ。物語の方は私は読んだことは無いけど、地上にいた時に求愛を受けたのは確か。
その時に難題を与えたのも……ね」
「ほ、本当なんだ……」
戸惑ってる刹那に輝夜はなぜか不敵な笑みを浮かべてます。
で、理華が呆然としてて……あ、理華は輝夜がかぐや姫だってことは知らなかったんだっけ?
「え〜とだ……お医者さんっぽ人は八意 永琳って人で……輝夜のお付きの人だったかな?
んで、うさぎ耳ある小さいのが因幡 てゐ。もう1人は……名前なんだったっけ?」
とりあえず、自己紹介を続けるけど、もう1人の名前が思い出せない。
いや、フルネームが思い出せないだけで、ウドンゲっていうあだ名があるのは知ってるんだけどね。
「鈴仙・優曇華院・イナバです」
「うどんげいん?」
「ぷ……」
「なんですか?」
名前を聞いて君嶋さんは首を傾げるが、ミナトは笑いそうになってこらえてる。
それで自己紹介したウドンゲ……鈴仙に睨まれてたけど……うん、鈴仙と覚えておこう。なんか、怒られそうだし。
「私の名は上白沢 慧音。人里で寺子屋をやっている者だ。隣にいるのは藤原 妹紅だ」
「ふん……」
で、慧音さんが紹介するが……妹紅はなぜか不機嫌だった。
あ、今思い出したんだけど、輝夜と妹紅って仲悪かったんじゃなかったっけ?
どんくらい悪いのかはわからないけど……不機嫌なのはそのせいか?
「ども〜文々。新聞です〜。取材いいですか?」
「後にしてくれ……」
「あ、あの……この方は……」
「初めまして。清く正しい射命丸 文と申します」
適当に断ってると刹那が顔を引きつらせて聞いて来たが、文が笑顔で答えてくれた。
しかし……清く正しいは嘘だろ? と思えるのはなぜだろうか? しかし、刹那が顔を引きつらせたのはなんでだろ?
確か、文は烏天狗だと思ったが……それが関係してるとか?
「お久しぶりですね。善行を積んでいますか?」
「ああ……たぶん……な」
声を掛けられて返事をするが……思わずこめかみに指を当ててしまう。
なんでかというと――
「可愛らしい子ですねぇ〜。お名前はなんて言うんですかぁ?」
「四季映姫・ヤマザナドゥ……この辺りを担当する閻魔です」
と、ミナトが問い掛けると映姫は不機嫌そうに答えた。うん、そうなんだよ。この人、閻魔なんだよ。
前に幻想郷に来た時、それ知らなくてね……延々と説教されたことがあってね……俺、苦手なんだよね。
「え、閻魔……ですか?」
「そ、だから変なこと言わない方がいいぞ」
刹那が戸惑ってるので、一応忠告しておく。俺の時も不用意なひと言で説教されたと思ったしな。
「ふむ、それじゃあ隣の女性は死神かな?」
「そうさ。私は小野塚 小町。三途の川の船頭してるよ」
真名の問いに小町が笑みを向けてくる。うん、鎌は持ってるけど死神っぽく見えないね。
なのに真名は良くわかったね。まぁ、閻魔の横にいて、あんな鎌持ってればわかるか。
しかし、映姫のことを閻魔だと知らずに小町と並んでみると……うん、萃香と勇儀さんと一緒で姉妹に見えるかもな。
「あなた、何を考えましたか?」
「大した事は考えてません!」
映姫に睨まれて、即座に首を横に振る。いや、だからなんで気付くの? あんたらニュータイプか!?
「はぁ……」
「あら、ため息なんて吐いちゃって……疲れてるのかしら?」
「いや、そういうのじゃ無いんですが……ええと、どなたでしたっけ?」
思わずため息を吐いたら、緑色の髪にチェック柄のドレスに日傘を差した女性に声を掛けられる。
でも、誰だろ? 確か、前に来た時はいなかったと思うけど……
「風見 幽香。花の妖怪よ。よろしくね」
「あ、はぁ……」
幽香の自己紹介に思わずうなずいてしまうけど……なぜだろう? 背筋に冷たい物がよぎるのは……
「おい、気を付けた方がいいぜ?」
「なんでさ?」
「幽香はああ見えてとんでもなく強い妖怪だからな。変なことしない方がいいぞ」
魔理沙に言われて顔が引きつるのを感じた。いや、花の妖怪って言ってたよね?
それなのに強いって……魔理沙が言うのならそうなんだろうけど……どんなだけ強いの?
なんか、嫌な予感しかしないよ?
「やぁやぁ、人間。相変わらず、面白そうな機械を持ってるねぇ〜」
「いや、武器なんだけど……」
「あなたは?」
「ああ、私は河城 にとり。人呼んで谷カッパのにとり。よろしく」
「か、カッパ……ですか?」
にとりに声を掛けられて呆れた感じで言葉を返していたが……
美希の問い掛けににとりが答えると刹那が戸惑っていた。うん、わかるよ。どう見たってカッパに見えないもん。
「初めまして、異世界の方々。私は守矢神社の風祝の東風谷 早苗と申します。
この方々は守矢神社に祀られている神で八坂 神奈子様と洩矢 諏訪子様です」
「そういうことだ。よろしく頼むよ」
「よろしくねぇ〜」
と、早苗が自己紹介を交えて神奈子さんと諏訪子を紹介するのだが……
俺とクノーさんにウルスラさんと2人の造魔。それに俺の仲魔達以外は呆然としております。
「あの……神って……その……」
「聞かんでくれ……」
顔が引きつってる刹那だが、俺もそうとしか言えない。ていうかね、神様に見えないよね?
神奈子さんはフランクすぎるし、諏訪子は見た目から問題だし。
「君、何考えた?」
「なんにも」
諏訪子に睨まれて、即座に首を横に振る。ていうか、あんたらは本当になんでわかるのさ!?
本当にニュータイプなのか!? いや、神様か……何達観してるかね、俺……
「久しぶりね、翔太」
「ああ、本当に……」
で、声を掛けてくる比那名居 天子にため息混じりに返事を返した。
ちなみに天子は前に来た時にあれやこれやと俺達の世界のことを聞いてきたんだよ。
あまりのしつこさにどうしたものかと思っていたら――
「初めまして、異世界の方々。私は竜宮の使いの永江 依玖と申します。
この方は天人であらせられる比那名居 天子様と申します」
と、頭を下げつつ丁寧な紹介をする依玖さん。でも、俺としてはちょっと怖い印象を受けてたり。
いや、だってね。しつこい天子に雷落としたんだよ、この人……
あまりご迷惑を掛けては行けませんよと微笑んでたけど、それがちょっと怖かったよ。
「あら、あなたは彼女をそう思っているのですね」
「頼むから、それを話さないでくれ」
「え〜? 何を考えたの?」
「黙秘だ」
いつの間にやら横にいた古明地 さとりにそう言っておく。彼女、人の心が読めるんだよな。
その妹である古明地 こいしにキッパリと断っておくが。ちなみになんか事情があって、人の心を読める力を封印してたんだっけ?
「そんなに仲良く話して……妬ましいわ……」
「おや、それなら君も話してくればいいじゃないか」
なんてこっちを睨んでるのは水橋 パルスィじゃなかったっけ? で、なにやらけしかけてるのは黒谷 ヤマメじゃなかったっけ?
しかし、仲良く話してるように見えるのかね?
「あの、翔太さん……あの猫又の隣にいる少女も烏天狗……なのですか?」
「ああ、あの子? 確か、霊烏路 空っていう地獄烏なんだけどね。私達が八咫烏の力を与えたんだよ」
「え?」
「八咫烏って……なに?」
諏訪子が答えるんだが、聞いた刹那は驚いてるけど……俺はわからず首を傾げた。
いや、覚えてるのはキャラの名前くらいなんだってば。ちなみに刹那が言ってた猫又ってのは、確か火焔猫 燐っていう名前だったと思うけど。
「お前は……八咫烏とは太陽の化身と言われる。つまり、あやつは太陽の力を持っているということになる」
「それは……凄まじいね……」
呆れながらも説明するスカアハだが、真名はなぜか顔が引きつっていた。
いや、太陽の力と言ってもピンと来ないけど……もしかしなくても、とんでもなくね?
「初めまして、異世界の方」
「あ、ああ、どうも……」
と、物腰が柔らかそうな女性に声を掛けられるが……この人誰だっけ?
この前に来た時にはいなかったと思うけど――
「私は聖 白蓮。命蓮寺で僧をしております。この子は寅丸 星と言いまして、毘沙門天の代理をしてもらっております」
「どうぞ、よろしく」
聖さんという女性の紹介を受けて、星と呼ばれた虎柄っぽい衣装を纏った女性が頭を下げる。
思わず俺も頭を下げたけど……どんな人達なんだろうか?
「ナズーリン、一輪、村紗。あなた方もご挨拶を」
「はいはい、私はナズーリン。寅丸様のお手伝いをしてる」
「私は雲居 一輪と申します。この子は雲山。雲の入道です」
「村紗 水蜜です。ここにはありませんが、聖輦船という船の船長をしております」
「あ、こりゃどうも」
聖さんに言われて自己紹介してくれる少女と女性達……思わず頭を下げちゃったけど、どんな人達なんだろうか?
ちなみにネズミっぽい耳としっぽを持ってるのがナズーリン。尼さんみたいな格好をしてるのが一輪さん。
その隣はなにやらおやじくさい顔をした雲っぽい物がいた。で、セーラー服を着てるのが村紗と……
「うらめしや〜」
なんてこと考えてたら、古風な傘を持った女の子が舌を出しながら現われて……何してんの?
「うらめしや?」
で、その女の子は首を傾げてるけど……いや、俺が首を傾げたいんだけど? ていうか、誰?
それに良く見たら傘は一つ目の模様が描かれてて、舌をベロっと出していた。お化け屋敷とかで見るな、あれ。
でも、なんで傘の色が紫なんだろ?
「人間さん、驚かないのかい?」
「いや、驚くというか……」
女の子に聞かれるが……驚くというより、萌えるんですけど? ていうか、あんた誰なの?
「あ〜、昔は良かったわ。私が脅かせば人間は簡単に喜んでくれて……でも、最近はちっとも怖がってくれない。
もう、普通の傘に戻ろうかしら……そうしたら、わちきを使ってくれるかい、人間さん?」
「いや、どうしろと?」
いや、いきなり言われても困るんだけど? ていうか、傘に戻るって……もしかして、傘の方が本体?
どうでもいいんだけど、この子は何者なのさ?
「小傘……ごめんなさい。この子は多々良 小傘という子なんだけど、人を驚かすことでお腹を満たす妖怪なのよ。
だから、怒らないでくださいね?」
「いや、別に何かされたわけでもないんで……」
聖さんが頭を下げて謝ってるけど……人驚かすとお腹が膨れるって何? いや、ちょっと想像出来ないんだけど……
「そうだよ。驚かすにはこうしなきゃ!」
「はい?」
なんか声が聞こえたんで振り返ってみると……何あれ?
ええと、ひと言で形容しがたいんだけど……なんか、おまんじゅうみたいなのが宙に浮いていた。
「え、なんで驚かないの!?」
と、驚きの声が聞こえたかと思うと、おまんじゅうみたいな物が変な形の翼を持ってる女の子に変わった。
いや、驚けと言っても……確かにわけわかんなかったけどね。
「ぬえ! また、あなたは」
「だって〜……」
怒っている聖さんに対し、ぬえと呼ばれた女の子は不満そうな顔をしていた。
いや、どうでもいいんだけど……さっきのは何?
「ぬえとは……もしかして、あの妖怪の鵺ですか?」
「そうよ。私の名は封獣 ぬえ。正体不明が売りの妖怪よ」
刹那の疑問にぬえは答えるんだけど……正体不明が売りってなにさ?
さっきのおまんじゅうみたいなのがそうなのか? そんなわけ……ないよね?
ちなみに聖さん達のことは今年の夏コミで発売された東方シリーズで知ることになるんだけど……
まぁ、こうして博麗神社に集まってる人達を見たが――
「ねぇ、なんでこう女性ばかりなの?」
「俺に聞かれてもわかりません。ていうか、紫」
「何かしら?」
ウルスラさんの疑問に答えつつ、紫に声を掛けるが……その横にはいつの間にか八雲 藍と橙がいた。
まぁ、そっちはいいとして――
「厄介ごとがどんなことか知らないけど、この人達にやってもらった方が早くないか?」
「嫌よ、面倒くさい」
俺の疑問に紫はさらりと答える。ていうか、それが本音か!?
「ふふ、冗談よ。半分だけね」
などと、笑いながら紫は言うのだが……いや、本気だったろ、お前?
「まぁ、前回のこともあるから、念のためよ。霊夢達だけに行かせて、力が通じない悪魔が現われても困るでしょ?
私達がいるのは更にもしものことが起きた時の為よ」
「いや、むしろこの人達にやらせた方がいいと思うんだけど?」
「そうね。その方が面倒が無くていいわ」
紫の話を聞いて……やっぱり、あんたらがやった方がいいと思うんだけど? ほら、霊夢だってうなずいてるし。
「それで厄介ごとなのだけど――」
「スルー!?」
「どうやら、悪魔がまた現われたようなのよ」
俺を無視して話を続ける紫。藍さんが哀れみの目を俺に向けてくれるけど……うん、色々と理不尽だけど、そこは我慢して――
「悪魔がって、確か穴には――」
「そう、結界を張ってあるわ。でも、それが解かれた形跡は無い。
なのに、悪魔が現われた……あなた達には現われた悪魔を倒すと共に現われた原因も調べて欲しいのよ」
気になって聞いてみると、紫はどことなく真剣に答えるけど……なんか本気で面倒くさそうな……
「話はわかったけど……ん〜……」
そう漏らしつつ、悩んでしまう。まぁ、こうなるとやらないわけにはいかないだろう。
やらないと紫がなにしでかすかわからないし……それはそれとして、行くとなると――
「とりあえず、克也と直貴は置いていった方がいいな」
「ああ、ボクも残るよ。ここにいた方が有意義だと思うしね」
「じゃあ、私もそうします」
俺のひと言に京介さんがそう言い出し、ミナトも右手を挙げて言い出した。
まぁ、その方がいいかも。この先、なにがあるかわからないしな。
ん? 今思ったんだが、ミナトも普段は探索に付いてこないで、ボルテクス界の俺の家で待ってた方が良くないか?
いや、なんとなくそんな気がしたんだが……でも、ミナトはボルテクス界のことを調べる為に来たんだっけ?
「頼むわね。ほら、霊夢も行ってらっしゃい」
「ふぅ……しょうがないわね……」
「あ、エヴァのことよろしく」
「わかってるよわ」
紫に言われてため息を吐く霊夢。そこでエヴァのことを思い出して紫に言っておいた。
紫には嫌そうな顔をされたが、念を押しておかないといけない気がして……
「あの……私も行っていいでしょうか?」
「別にいいわよ。ね、幽々子?」
「ええ、妖夢には良い経験でしょうし」
そんなことを言い出した妖夢に紫は顔を向け、向けられた幽々子さんは笑顔でうなずいていた。
まぁ、手伝ってくれるなら俺としても助かるけどね。
「じゃあ、頼むわね」
「へいへい……」
「そうだ。ネギ・スプリングフィールドに会えたらこう伝えて欲しい。
自分を見ろ。そして、周りを見ろ。今のお前は1人ですべてを救えるほど強くは無いとな」
「いいけど……お礼は?」
「そうだな……酒の一つでもどうかな?」
「ふふ……楽しみにしてるわ」
紫に言われて返事をしつつ出発しようとしたら、スカアハと紫はそんなことを話し合う。
なんでそんなことをと首を傾げたけど……まぁ、気にすることでも無いか。
なんてことを思いつつ、俺達は霊夢と魔理沙、早苗と妖夢と共に悪魔がいるという場所へと向かうのだった。
はぁ……とんでもない悪魔じゃないといいんだけどなぁ……
なお、余談となるが……後に俺は紫にエヴァの事を頼んだことを後悔する羽目になる。
いや、なんていうか……なにしてくれてんのさ!?
あとがき
というわけで、幻想郷で再び悪魔退治をすることになった翔太達。果たして、その先に待っているのは?
とまぁ、書いてますが……実は刹那達との別れも近付いていたりします。
さて、次回は幕間その1となります。翔太のお願いでネギを鍛えるエヴァ。
その彼女の元に紫達が現われた。さて、どうなることやら……というお話です。
そんなわけで、次回をお楽しみに〜
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