in side
さて、俺達は現在ノーディスの町を歩いている。
ちなみにだが幻想郷で宴会をした後、この人数で泊まるのは流石に無茶だったんで、紫に頼んでそのまま帰ってきた。
で、一晩寝て元の世界に戻るために俺の世界に通じてる穴の所へ向かってる最中なんだが――
「でも、大丈夫なのか? ウルスラさん達も一緒に行くことになっちゃったけど?」
「構わんよ。数日くらいならば、さほど問題では無い」
俺の疑問に美希は腕を組みつつ答えていたけど……
そう、なぜかウルスラさんとクノーさんも俺達の世界に来ることになったんだわ。
というのも、幻想郷の宴会の時にその話を刹那達としてたんだけど、それを聞いたようで自分達も来たいと言い出したわけだ。
で、美希がOK出しちゃったと……なんでまた、OK出したかな?
「まぁ、あなた達の世界も見てみたいと思ったのよ」
「そうですか……」
笑顔なウルスラさんにそう言っておく。でも、いいのかなぁ……連れてきちゃって?
ふと、そのことが気になって……あれ? あの悪魔、こっち見てない? なんでこっちを――
『ノーディスの町でラットという悪魔を探してみな。種族は堕天使メルコムだ』
あ、そういやルイ・サイファーがそんなこと言ってたっけ? てことは――
「あんた、もしかしてラット?」
「やっぱり、あんたがあの方が言ってた人間か」
気になったんで聞いてみたら、悪魔ことラットはなにやら呆れたようにんなことを言ってくれました。
やっぱりそうかい……でも、なんかガラが悪いなぁ……
「ほら、付いてきな。あんたらをいい所に連れてってやるよ」
「いいの……かな?」
「まぁ、とりあえず行ってみりゃわかるんじゃないの?」
「少しは緊張感を持って欲しいものだがな」
ラットの手招きに理華は不安そうにしてるが、俺は付いていくことにした。
スカアハにすっごく呆れられたけどね。でもまぁ、気になるといえば気になるしな。
そんなわけでラットに付いて行ったんだが――
「ここからはあんたらだけで行ってくれ。俺の仕事はここまでだからな。じゃあな」
人気の無い路地に入り、ドアの前に来るとラットはそう言ってどこかへと行ってしまうんだけど――
「どうするんだ?」
「まぁ、入ってみようか」
クー・フーリンに聞かれるけど、このままここにいるわけにもいかないので入ってみる。
中に入ってみるとどことなく怪しい雰囲気漂う部屋が目に入る。
なんて言えばいいんだろう……ちと古いがディスコを静かにしたような……と言えばいいのか……
で、俺達の視線の先にはなんか豪華な造りの椅子に座るタキシードを着た老人らしき人がいる。
なぜ、らしきかというと鼻が長かったり耳がとんがってたり……とまぁ、そんな顔をしてたからなんだけどな。
で、その両隣には2人の女性が立っていた。1人は銀色っぽいショートヘアに正面に丸が並んだワンピースっぽい青い服を着た人で――
もう1人は同じく銀髪だけど、こちらは少し長くて後ろで束ねたようにしてる。
で、着ている服もさっきの女性と似た感じのワンピースっぽい青い服を着ていた。
「ようこそ、ベルベットルームへ――」
「あれ? あの人ってペルソナに出てた人じゃないか?」
で、老人らしき人がなにやら言ってるが、それを見てた克也が首を傾げてる。
そういや、そんなゲームにこんな人がいたな。ええと、名前はなんと言ったっけ?
「そういえば、あなた方の世界はそういったものでしたね。では、改めまして自己紹介を――
私の名はイゴール。このベルベットルームの主です。どうか、お見知りおきを……」
なんてこと言う老人ことイゴールだが……ちょっと怖い。いや、目がね……ギョロっとしてる感じがね。
「本来、私の本職とは違うのですが……あの方の命により、ここではフォルマ精製を行わせていただきます」
「フォルマ精製?」
「ええ……悪魔から手に入れたフォルマは実は不純物も混じっております。
ここではフォルマを精製することでその不純物を取り除き、より純度の高いフォルマにすることが可能となるのです。
また、いくつものフォルマを掛け合わせることで新たなフォルマを精製したりすることも可能となるのです」
首を傾げる俺にイゴールさんは意味ありげな視線を向けながら説明してくれたが――
つまりはフォルマをいい物にするってことなのかな? でも、その意味ってあるのかね?
「疑問に感じているようですが、純度の高いフォルマは武具合成でより良い物へと合成することが可能となるのです。
ですから、あなた方の役に立つことでしょう。なお、精製の際にはわずかながら生体マグネタイトを頂くことになりますが――」
どうやら、俺の考えてることがわかったようで、イゴールさんはそんな説明をするのだが……
ねぇ、なんで話すたびにそんな意味ありげな視線を向けるのさ? ちょっと怖いよ?
「どうするの?」
「とりあえず、やってもらおうか?」
理華に聞かれたんでとりあえずそう言ってから、持ってるフォルマを全部出してみた。
実は集めたフォルマって結構な数になるんだよね。倒した悪魔から出るのはたまにだけど、何度も戦ってきたからなぁ。
で、精製方法なんだけど、魔方陣が書かれた台にフォルマを置いて、あれ?
ヴィクトルさんとこの悪魔合体に似てる気がするな。塵になったりとかする所とか……
でもまぁ、やってみて正解だったかも。フォルマって形が様々だから、結構かさばるんだけどね。
精製したらビー玉より少し大きい物とか、チョークみたいな形になったりとか。
持ち運びも結構楽になるから、ボルテクス界の家に置いてあるフォルマもやってみようかな。結構、数あるし。
ちなみに今回の精製で払った生体マグネタイトは50程。これなら手軽に出来るな。
「さて、次は私の出番ですわね。初めまして、私はエリザベスと申します。私の役目はアミュレット製作となります」
などと、青いワンピースみたいなのを着た女性ことエリザベスは頭を下げながら自己紹介してくれたけど――
「アミュレットって……どういうものなのさ?」
「はい、アミュレットとは文字通り護りの加護を持つ物です。
例えば、炎に対して大きな耐性を持ったり、呪殺を無効にすることが出来るようになります」
「マジで!?」
意味がわからなくて首を傾げてたが、エリザベスの説明で思わず驚いてしまう。
いや、呪殺対策は本気で大事なんだよ。喰らえば一発で終わりだしな。で、その対策として今の所は道返玉だけなんだよ。
ちなみにこういった特殊なアイテム製作には悪魔も関わってるらしい。
ただ、その辺りは詳しく聞けなかったんだけど、悪魔によって専門分野が違うらしく……なので、呪殺対策アイテムがほとんど無いそうな。
でも、もしそのアミュレットがあれば一気に問題解決――
「残念ながら、今の段階では製作は行えませんが」
「え? なんで?」
「アミュレット製作にはあるフォルマが必要となるのですが、今のあなたはそれを持っておりませんので」
エリザベスの話に首を傾げるが説明を聞いて肩を落とした。
しかしまぁ、家の方にもフォルマはまだあるし……そいつを精製すれば造れるかもしれないしな。
「最後は私ですね。私の名はマーガレット。私の担当はアイテム製作となります」
「アイテムって……どんなのを?」
「そうですわね……道具屋で売っている物よりも効果が高いものですとか、特殊な効果を持つ物などですね」
「ふむ、どんなのが造れるのか、わかるかな?」
「はい、こちらがメニューとなっております」
最後の女性ことマーガレットさんの説明にやっぱり首を傾げるが、説明を聞くと普通のアイテムとは違うらしい。
で、どんなのが出来るのかとクノーさんが問い掛けて、マーガレットさんからメニューを受け取ってる。
俺も横から覗いて見るけど……ふむ、道具屋では置いて無い物ばっかだな。
ところでマーガレットさんとエリザベスさんは姉妹だろうか? なんか、雰囲気とか似てる気がするけど。
「テトラジャの石? 毒消しとかの石は持ってるけど、どんな効果なんだろ?」
「ああ、それは1回限りですが呪殺を無効化出来ます」
「マジで!?」
気になった物があったんで聞いてみたら、マーガレットさんの返事に思わず顔を向けてしまう。
1回限りとはいえ、呪殺対策が出来るのは助かる。お、手持ちのフォルマで造れるな。よし、今すぐ造ってもらおう。
「おい、造るならこれとこれも造ってもらえ」
「これとこれを?」
と、スカアハがメニューを指差したけど……ええと、物反鏡と魔反鏡? これをか?
「なんでまた?」
「もしかしたら、必要になるかもしれんからな」
気になったんで聞いてみたんだが、スカアハはなぜか明後日を見ながら答えてたけど。
しっかしなぁ……あ、ソーマも造れるじゃん。でも、材料が足りないか……ていうか、何気に使う材料多くないか?
「じゃあ、これとこれとこれをお願いします」
「わかりました。ああ、言い忘れておりましたが、製作の際にも生体マグネタイトを頂いております。よろしいですか?」
「まぁ、それくらいだったら、俺としては別に構わないですけど」
「ありがとうございます。では、すぐに取りかかりますので」
マーガレットさんに精製したばかりのフォルマを渡して早速お願いしてみる。
なお、製作方法はといえば、さっきのイゴールに似た感じである。で、乳白色の石に形が違う2枚の小さな鏡が出来上がった。
ちなみに今回出した生体マグネタイトは200ちょっと。精製よりお高いのね。
「1つ聞きたいのだが、ここは私達も利用出来るのかな?」
「本来ならば、そちらの方に協力を……と、言われておりますが……まぁ、よろしいでしょう。
必要な時はいつでもいらっしゃってください。私達はここでお待ちしておりますので」
ウルスラさんの問い掛けにイゴールは意味ありげな視線を向けて答えるんだが……あんた、そうしなきゃ話せないんかい?
そんなどうでもいい疑問を感じたが、それはそれとしてこの場を去ることにした。本来の目的は俺の世界に行くことだしな。
「しかし……君のおかげで色々と助かっているな」
「俺が……ですか?」
「そうね。あなたのおかげでフォルマの重要性を知り、新たな武器を手に入れることが出来たわ。
それだけでなく、COMPの強化や造魔、それにさっきのフォルマ精製と新たなアイテムとアミュレット製作。
あなたがいなかったら、私達サマナーはここまでたどり着けなかったと思うわ」
クノーさんの言葉に首を傾げるけど、ウルスラさんが代わりに答えてくれました。
でもなぁ、俺としても偶然が重なったようなもんだしな。なので、喜んでいいのか正直微妙な感じなのだが……
「いや、まぁ……なんつ〜か……俺も偶然見つけたようなもんですしね」
「あら、謙遜? でも、感謝してるのは本当よ?」
後頭部を掻きつつそう言ってみるが……ウルスラさんは微笑みながらそう言ってきた。
俺としては、むずがゆいかんじなんだがなぁ……
なお、この時理華や美希、ミュウやアリスにシルフ、モー・ショボーにクー・フーリンにルカに睨まれていたらしい。
なんでさ? 後、フロストとランタンは羨ましそうな顔をしてたそうだけど。
ああ、克也と直貴も同じく睨んでいたらしいけどな。いや、お前らなんか勘違いしてるだろ?
そんなこんなで俺の世界の穴へと向かいました。うん、このメンバーだと穴まで行くのに楽だよね。
「お、お嬢様……その方々は?」
「私の親友とあちらの世界で助けてくださった方々だ。粗相の無いようにしろ」
「あ、はい!」
で、襲ってきた悪魔を倒した他は何事も無く元の世界に戻ってきた俺達。
でもって、来た早々黒服の集団に囲まれるが、美希のひと言で戸惑いながらも構えを解いてくれたが……
この人達って、もしかしなくても美希の所の人達だよね? なんでいるのさ? あ、美希の帰りを待っていたからか?
「ここが、翔太さんの世界か……」
「なんか、私達の世界と代わり映えしませんね?」
「そうですねぇ〜」
一方で辺りを見回す真名に刹那とミナトはうなずきながら同じように辺りを見回してる。
そりゃまぁ、ネギま!の世界とは地理的には似たようなものだしな。
「あの地面、ちょっと変な感じがするけど、あれはなんなのかしら?」
「ああ、あれはアスファルトと言いまして――」
一方でアスファルトを物珍しそうに見ているウルスラさんに京介さんが答えている。
そういや、ボルテクス界にアスファルトなんて無いしな。クノーさんもあっちこっち見てるし。
「ええと、着替えたいんだけど……こんなに人がいると……ねぇ?」
と、理華が恥ずかしそうに言ってくるが……そういや、ここには俺達以外にも黒服の人達とかいるしなぁ。
俺は防具外してバッグに詰めればいいけど、美希の場合は着替えなきゃダメだし――
「今、車を用意させた。来たら、その中で着替えると良い」
「あ、ありがとう」
「なに、大した事ではない。それでこれからどうするのだ?」
礼を言う理華に美希は手を振りながら答えてから、こっちに顔を向けてそんなことを聞いて来た。
どうすると聞かれてもな……どうしたらいいんだろ?
「とりあえず、刹那と真名にミナト、ウルスラとクノーは美希と一緒に宿泊場所に向かった方が良いだろう。
それと仲魔達はCOMPに入れておけよ? この世界は悪魔は存在しないことになっている。
ルミアはともかく、他の仲魔達は姿を見られただけで問題になるからな」
『ふむ、そういうことなら仕方がないな』
スカアハの指示にバスクはうなずいていたけど……まぁ、普通に考えたらそうか。
刹那達やウルスラさん達を俺や理華の家に泊めるには色々と問題があるしな。
「ま、ついでに私とクー・フーリンも泊めさせてもらうがな」
「ちょいと待て。なんでまた、泊まるとか言い出すんだよ?」
で、スカアハの話に俺は待ったを掛ける。いや、なんでそうなる?
「なに、こっちでもベッドで寝たくてな」
「おい……」
「冗談だ。ま、ちょっとしたことをお願いしたくてね。それで付いて行くだけだよ」
思わずジト目になる俺だが……スカアハ、ベッドで寝たいってのが本音だろ? なんか、そう思うんですけど?
たく、大丈夫なんだろうな……その後、それなりに大きなバスがやってきて、その中で理華が着替えると俺達はそれぞれに別れて家に帰るのだった。
あ、そういや今思い出したけど、明日は学校は午前中で終わりだったな。で、土日を過ごせば月曜で終業式と……
「なんか、とんでもない夏休みになりそうだな」
「そうだね……」
思わず出たぼやきに、理華は渇いた笑みで返してくれたが……
ホント、なんでこんなことになってるかね、俺達……思わず出た疑問を考えつつ、俺は空を見上げるのだった。
ああ、夜になりそうだな……なんて、言い訳しよう……
あとがき
そんなわけで日常編の始まり〜。しかしながら、ウルスラ達も来たりとどんなことになるのやら……
後、ペルソナキャラも出してみましたが……うん、資料不足だね。ニコニコ動画しか無いというのは問題だよね。
出したの……失敗だったかな?
さて、次回はなぜか秋葉原に来ていた翔太達。そこでは新しい出会いも待っていて――
というようなお話です。お楽しみに〜
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