in side

「ほっほっほ、久しぶりじゃの」
「ええ、本当に……」
 そんなわけで高畑さんに案内されてやってきました、麻帆良学園学園室――
で、学園長と挨拶してるんだが……見なくても気配でわかる。初対面組がどんな表情をしてるのかを。
たぶんだが、あの人は人間か? と、考えてると思う。まぁ、無理もないとは思うが。
だって、あの頭はなぁ……いや、今でもどうすればそうなるのか気になるんだけど。
「なぁ、じいさん。そのあた、ごふ!?」
 で、やっぱりというか蒔寺が何かを言おうとして咳き込んだ……わけが無いな。
なんか、膝を付いたような音が聞こえたし。いや、たぶんなんだけど。
きっと、氷室か美綴が突っ込んだんだろう――
「なにしやがるんだ!?」
「あのねぇ……気持ちは痛いほどわかるけど、言われたことを忘れたの?」
 訂正、やったのは凜のようだ。ていうか、何をやった? 蒔寺の怒りようからして、ろくなことじゃなさそうなんだが。
「ほほほ、賑やかな者達じゃのぉ〜」
「いや、すいません……」
「いやいや、別にいいのじゃよ」
 思わず頭を下げる俺だが、笑っている学園長は気にして無いといった様子で手を軽く振ってたけど。
いや、学園長はいいのかもしれないが……今回も周りにたくさんの魔法先生に生徒がいるんですけど。
そんでもって、凜と蒔寺のやりとりをものすっごく見てるんですけど……本気でなんとかなりません?
「さて、まずは礼を言わせてもらおう。ありがとう……君達のおかげで大事にならずにすんだのじゃからな」
「あ〜いや……なんつ〜か……」
「私達は知り合いに頼まれたようなものだからな。礼を言うのなら、そいつに言ってくれ」
 頭を下げる学園長に俺は困ったように後頭部を掻くが、その横でスカアハがそんなことを言っている。
ま、確かにここに来たのって、シンジに頼まれたからだしな。
 ちなみにだが、学園長が頭を下げたことに魔法先生や生徒達が驚いていた。
後で聞いたんだが、魔法先生や生徒達は俺達が何をしたかを詳しく知らなかったらしい。
なので、学園長が頭を下げたことに驚いたんだそうな。
「じゃが、君達がいなければこのかは……いや、京都はどうなっていたかはわからなかったのは確かじゃ。
ああなってしまったのも、わしの見通しが甘かったとしか言えん。それも含めて、君達には感謝しておるのじゃよ」
「まぁ、そちらにも色々と事情はあるのだろう。気にするなとは言わないが、必要以上に気に病むことはない」
 どこかすまなそうな声で話す学園長に、スカアハはそう言い聞かせていた。
ていうか、アスラが現われるのって予想出来るのか? 普通、無理だと思うんだけど?
そう思ったんだが後で聞いた話によると、学園長が言っていたのはスクナの方なんだそうな。
学園長は関西呪術協会の過激派がこのかを利用することは考えていたそうなんだが、もろもろの事情で人員を増やせなかったらしい。
それが元で対処に遅れ……結果として、アスラを呼び込んでしまったと思っていたそうな。
「そう言ってもらえると助かるんじゃが……ところであなたは誰かの?」
「そういえば、自己紹介がまだだったな。私の名は女神スカアハ。といっても、その本人というわけではないがな。
知り合いに頼まれて翔太の師をしている」
「なんと……あなたが……刹那君達から話を聞いておったが……」
 聞かれて自己紹介をするスカアハだが、聞いた学園長はというとなんか驚いていた。
周りの魔法先生や生徒の何人かも驚いてたみたいだけど。
「まさか、神話の人物に会えるとは……長生きはしてみるもんじゃの」
「ふん、その程度で驚いては身が持たんぞ、じじい」
「ふぉ? どういうことじゃな?」
 エヴァの言葉に感慨深げな学園長は首を傾げたけど……
言い忘れてたが、ここにはエヴァの他に茶々丸と刹那に真名もいたりする。
ネギ達は一旦帰っているらしいけどな。
「なに、この一見少女に見える奴は彼のアーサー王だし、そっちの長身の女性はメドゥーサ。
そこの大男にいたってはヘラクレスだそうだぞ」
「なんと……まことかの?」
 にやりとするエヴァに学園長は開いた口がふさがらないといった様子で驚いていた。
魔法先生や生徒達の中にもそういう奴がいたみたいだけど。
「なぁ、さっきから思ってたんだけど、あいつらってそんなに凄いのか?」
「その手の話では有名人と言ってもいいだろうな」
 背後でそんなことを聞いてる蒔寺に、氷室がやや呆れた様子で答えてたみたいだけど――
思わず振り向いてみたら、美綴と三枝も驚いてた。2人も知らなかったようだな。いや、俺もなんだけど。
「ええ……かつて、ブリテンを治めていたのは事実です」
 で、セイバーが渋々といった様子で答えると、ライダーとバーサーカーもうなずいた。
それを見てか、学園長が呆然としてたけど……え? なぜにこっちを見る?
「本当……なのかの?」
「ああ、まぁ一応ですが……」
 聞かれて思わず後頭部掻きながら答えたけど……いや、良く考えるとなんでそんなのと知り合いになってるかね、俺?
思い出したら幻想郷じゃ神様とか閻魔とか他諸々……うん、メンバーだけで考えたらとんでもないな。
「そうか……気にはなるが、今は話を進めるとしようかの」
「そうしてもらえると助かります」
 まだ戸惑った様子を見せてる学園長の言葉にうなずく俺。いや、聞かれたってどう答えたもんか困るだけだしな。
あ、良く見たら高畑さんも苦笑してるし。
「ともかく、君達のおかげで我々は助かったと言っても過言ではない。
それでこれはそのお礼を兼ねた物じゃ。うけとってくれぬかの?」
「はぁ……」
 と、学園長が高畑さんから受け取った箱を差し出してきたので思わず受け取ってしまうが……何が入ってるんだろ?
大きさはちょっとした小箱ぐらいだが、大きさの割に結構重い。気になったんで、思わず開けてしまったんだが――
「え?」
 中身を見て、思わず固まる。いやね、なんか重いなぁ〜とは思ってたんだよ。
で、中を見たら金の塊とか宝石が箱一杯に入っていたと……確かにこれだと重いはずだが――
「あ、あの……なんすか……これ?」
「うむ。まずは刹那君や真名君、ミナト君がお世話になった際の滞在費の代わりじゃよ。
ボルテクス界の通貨を用意することは出来んからな。後、今回のお礼も兼ねて、それなりに多めしたがの」
 戸惑いつつ聞いてみると、学園長はにこやかに答えてくれたが……
これっていくらぐらいするの? なんか、金額がとんでもなさそうなんだけど?
ていうかさ……ボルテクス界のお金の価値ってどん位なのかわからないんだけど……
ここや俺達の世界のお金に換算したら、どれくらいになるんだろうか? まぁ、それはいいとして――
「いいのかな……受け取っても?」
「くれるというのだから、別に良かろう。それにここ最近は出費が激しかったのも事実だ。
副収入として受け取っておいた方が良いだろう」
 思わず顔を向けて聞いてしまったが、スカアハは腕を組みつつ答えていました。
ああ、確かに出費は激しかったね。主にセイバーの食費とか……本人は気付いてないのか、キョトンとしてたけど。
代わりに自分達のことだと思ったのか、刹那と真名は恥ずかしそうにしてたけどな。
「ねぇ……」
 ふと、声を掛けられたんで振り返ってみると、そこにはいい笑顔の凜がいた。
確かにいい笑顔なんだが……なんか、獲物を狙う獣に見えるのは気のせいか?
「宝石……くれないかしら?」
「激しく断る」
 なんてことを言い出した凜にハッキリと言ってやる。
この野郎、宝石が狙いだったのか。ていうか、場を考えろ。スカアハとアーチャーが呆れてるぞ。
「おほん……よろしいでしょうか?」
「なにかの?」
 で、咳払いをした凜が真面目な顔をしてそう言い出すと、学園長が首を傾げたが……あ、エヴァがまた笑いをこらえてる。
「はい、私もまた別の世界から来た者なのですが、自分の世界では魔術と呼ばれる物を探求する者でした。
その探求の一環として、この世界の魔術を学びたいと思っております。そこで魔術書の類を見せてもらえないかと思いまして」
「ほほぉ……魔術か……ふむ、どんな物かは後で聞くとして……何冊か見繕っておこうかの。翔太殿の知り合いのようじゃしな」
 で、どっかで聞いたことがあるセリフを話す凜に、学園長はあごに手をやりながらそう答えていた。
凜……お前、新幹線に乗る前に詠春さんから魔術書もらってなかったか?
なにか? あれだけじゃ足りないのか? あ、気付かれないようにガッツポーズしてやがるし。
「ありがとうございます」
 すっごい笑顔で頭を下げてもいるし……うん、呆れて何も言えねぇ……
士郎やセイバー達もこれには呆れてるしな。
「それで、これから君達はどうするのかの?」
「それなのですが、今日1日の滞在を許可してもらいたい」
 で、こちらに顔を向けた学園長の問い掛けに、スカアハは真剣な表情で答えていた。
それに学園長は片眉を跳ね上げ――
「理由を聞いていいかの?」
「翔太は……見た目こそ平気そうには見えるが……ここしばらく無茶な戦いが続いたせいで体を酷使している。
それでエヴァの別荘を使って休ませたいと思っていたのだ」
「なるほどの……」
 俺に視線を向けつつ話すスカアハ。確かに未だに体のあちこちが痛かったりするのは事実だけど。
それに対し、問い掛けた学園長はあごひげをいじり――
「ふむ、エヴァも良いかの?」
「構わん。こやつらには色々と話を聞きたかったしな」
「そうか……よろしい、許可しよう。ゆっくりと体を休めなされ」
「すまない。恩に着る」
 エヴァの返事を聞いて問い掛けた学園長がうなずくと、スカアハは頭を軽く下げていた。
なぜか、周りの魔法先生や生徒の多数が驚いていたようだけど。
「では、今日はゆっくりと休むといいじゃろう。エヴァ、頼んだぞ」
「わかっている」
 学園長の言葉にエヴァは不敵な笑みを浮かべてたが……
そんなわけでエヴァと茶々丸に付いていく形で学園長室を出る俺達だったが――
出た直後に学園長室が騒がしかったように思えたけど、何かあったのかね?


 out side

「よろしいのですか、学園長?」
 翔太達が去っていった後、そんなことを言い出したのは黒人風の男性のガンドルフィーニであった。
「何がかの?」
「彼らをエヴァンジェリンに預けたことです。大事な客人なのではないのですか?」
 首を傾げる学園長にガンドルフィーニはそう問い掛けた。
前回は翔太が生徒達などを救ったのはまだしも、事態を解決したというのが半信半疑だったことがあり、あまり気にはしなかった。
しかし、今回は学園長が直々に頭を下げるなど、かなり重要なことをしたということがわかる。
そんな人物をエヴァンジェリンという危険人物に預けて大丈夫なのかと思ったのだ。
「じゃからじゃよ。それに翔太殿の体を休めるという意味ではエヴァが持つ物が役に立つじゃろうしの」
「しかし――」
「そんなに気になるなら、付いて行ってみるかね?」
 なおも反論しようとするガンドルフィーニに、答えていた学園長が意味ありげな視線を向けながら、そんなことを言い出していた。
「翔太殿はかなり強いそうじゃし、更には神話の人物とも知り合いのようじゃしの。
君達にはまたとない機会になると思うんじゃが?」
 なんてことを言い出す学園長に、魔法先生や生徒達は戸惑ったようにどよめいていた。
ちなみにだが、学園長としては思い付きで言ったわけではない。もしかしたら、何かを学んでくれるのではという期待があったのだ。
それが思いがけない結果を生むとは、この時の学園長は思いもしなかったが。
 一方で突然の提案に戸惑いながらも、誰を行かせるかで魔法先生と生徒達は話し出すのであった。


 in side

 さて、俺達はエヴァに連れられていたんだが――
「あ、来た来た」
 その先でネギ達がいました。いや、ちょっと待て。
「もう、遅いじゃないの」
「いや、その前に……まぁ、ネギやお前がいるのはいいんだ……なんであいつらまでいる?」
 呆れた様子の明日菜に、俺はそれを指差しつつ問い掛けた。
というのもね……このかと楓に古菲……は、まだいい……のか?
そいつら以外に裕奈とアキラに千鶴、夕映とのどかにハルナ……それに朝倉もいたんだよ。
「なんかさ、楽しそうだったんで来ちゃいました」
「うっわ〜……反省の色がねぇし」
 笑って答えるハルナに呆れる俺。あの時はすっげぇ怯えていたくせに……
スカアハも呆れたようにため息を吐いてるしな。
「ですが、色々と聞きたいことがあるのも事実なのです。
あなた達が何者で、私達が見た物はなんなのか……それを聞きたいのです」
 などと真剣な顔で話すのは夕映ではあるが……そういや、詳しいことは話してなかったっけ?
「そうか……話せる範囲でならば、話してもいいが……」
 スカアハも呆れつつもそう答えていた。まぁ、こいつらの場合、今断っても別な方法で聞き出そうとするだろうしな。
「はい、龍宮です」
 そんな時に携帯が鳴ったので出ている真名。で、話し込んでいたんだが……なんか、顔をしかめてないか?
「わかりました。伝えておきます。はい、では……やれやれ、困った事になったね」
「どうかしたのか?」
 通話を終えて携帯を閉じる真名なんだが、なぜか深いため息を吐いていた。
それが気になったのかエヴァが問い掛けると――
「なに、学園長からだったんだけど、数名の魔法先生と生徒を同行させたいんだそうだ」
「は?」
 真名の返事に思わずポカンとしてしまう俺。同行って、付いてくるってことか?
「なんでそんなことに?」
「なんでも、エヴァの所に泊まることに魔法先生達が難色を見せたらしくてね。
それを収めるために学園長が提案したらしい。後少しで来るそうだよ」
「爺め……」
 で、首を傾げる理華に真名は呆れた様子で答えてたけど、エヴァはなんか忌々しいって顔をしている。
しかし、本当になんでだろ? 前の時はそんなことは無かったんだけどな?
そんな疑問を考えながらもしばらく待ってると――
「お〜い、待たせて悪かったね」
「た、高畑先生!?」
 そう、やってきたのは高畑さんであった。そのことに明日菜は驚いてたけど。
それはいいんだけど、後ろの人達って――
「話は聞いているよね? この人達が同行することになった――」
「葛葉 刀子です。あなたのお話は刹那さんから良く聞かせてもらっています」
 で、高畑先生に促されて自己紹介を始めたのがメガネに長い髪の刀子先生で――
「高音・D・グッドマンです。よろしくお願いいたしますわ」
「あ、あの……佐倉 愛衣と言います……」
 で、こちらも長い髪になにやら自信ありげな顔をするのは高音さんに、おどおどした様子を見せる栗色の髪の女の子が愛衣で――
「シャークティと申します。この子はココネといいます。ほら、挨拶なさい」
「ココネ……ヨロシク……」
 で、黒人風のシスターことシャークティに同じく黒人風の小さな子供のシスターのココネに――
「美空、何をしてるのですか?」
「美空って誰っすか? 私はなぞのシスターですよ〜」
 顔を隠し、なおかつ顔を背けている謎のシスターこと春日 美空か……うん、全員漫画で良く見る人達だね。
「あ〜!? あなた、美空ちゃんでしょ!? なんでここにいるのよ!? ていうか、あなたも魔法使い!?」
「い、いえいえ……私は通りすがりの謎のシスターでして……」
 で、その美空を見て明日菜が驚いていたが……美空、それ誤魔化せて無いと思うぞ。
そんなやりとりを見てからため息を吐き――
「なんですか、これ?」
「はははは……」
 思わず出た疑問に高畑さんは苦笑していた。
しっかし、まさかこんな形でネギま!の人達と関わるとは……俺、ゆっくり休めるんだろうか?
この時、嫌な予感がした俺だが……それが斜め上の方向で現実になることに……まぁ、今気付けるわけないわな。



 あとがき
そんなわけで……申し訳ありません。時間が無くて、紫登場まで書けませんでした。
というか、ここ最近の暑さのせいで消耗が激しくて……書く気力を確保するのが大変です。
アスラ戦の時にミスが発覚したのに……それを修正する時間が……
ちなみになんで高音達が登場したかというと趣味……も、ありますが、ちょっとしたイベントに立ち会ってもらうためです。
あ、フラグは……今は内緒にしておきますが、翔太と以外でということはお伝えしておきましょう。

さて、次回はエヴァの別荘に到着。そのことに驚いたり、凜が絶叫したり――
そんなこんなで休暇の始まり……と、思いきや紫が現われて――
というようなお話です。さて、翔太の休暇はどうなってしまうのでしょうか?
お楽しみに〜



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