in side
そんなわけで再びやってきました幻想郷――
「ああ、言っておくが……落とすなよ?」
「……ち」
来る前にスキマとこんなやりとりをしたが……なぁ、あんたは落とさなきゃ気が済まないのか?
なんて疑問を感じたものだが……それはともかく、博麗神社にやってきて……毎度の如く集まってやがるな、おい……
「ほぉ……」
「これは……」
と、エヴァとセイバーはなにやら感心した様子を見せてたけど。
「どうかしたのかい?」
「ふむ、お前達にはわからんだろうが……そうだな、ここにはどこか懐かしさを感じるのだ」
「ええ、かつてブリテンにあったような……そのような物を感じます」
気になったらしい高畑さんが聞いてみるとエヴァは腕を組みつつ、セイバーはうなずきながら答えていた。
けど、懐かしい感じね。確か、ここって昔からの妖怪とかがいたと思ったから、そのせいかね?
「ふ〜ん……しかし、幻想郷か……彼女達は何者なんだい?」
「あ〜……そうですねぇ……」
首を傾げた高畑さんだが、辺りを見回してからそんなことを聞いてくる。
で、俺は困った。ここにいるのはほとんどが妖怪です……と言っても信じてくれるだろうか?
だってさ……どう見たって少女や女性しかいないもん。見た目的にも妖怪とかには見えないだろうし。
「あら、あなたも来てたの?」
「レミリア・スカーレットか」
なんてことを考えてたら、レミリアが咲夜さんを連れてやってきていた。
で、声を掛けられて顔を向けるエヴァ。そういや、前に来た時に会いに行くとか言ってたもんな。
だから、知っててもおかしくはないか。
「エヴァ、知り合いかい?」
「ああ……前に私の別荘に来てな」
「レミリア・スカーレット。エヴァンジェリンと同じ吸血鬼よ。隣にいるのは私の従者の――」
「十六夜 咲夜と申します。
「え?」
気になったらしい高畑さんの疑問に気難しそうに答えるエヴァ。
そんな2人を楽しそうに見ながら自己紹介するレミリアと優雅に頭を下げる咲夜さん。
それにあからさまに反応したのはシャークティさんだが……まぁ、吸血鬼って聞いたら当然か?
「あら? どうかしたのかしら?」
「く――」
「あ〜……それくらいにしといてくれ……」
それに気付いたレミリアが挑発してるような笑みを向けると、シャークティさんが構えたので声を掛けておく。
まぁ、例えシャークティさんが手を出したとしてもレミリアには勝てないだろうが……
で、その様子を見ていたパチュリーが呆れたようにため息を吐いていたのが見えたけど……待てよ?
そういや、パチュリーって誰かに似てるような……あ――
「お〜い、夕映。こっちこい」
「な、なんですか?」
「なに、あいつの横に立ってくれればいい」
「は? え?」
「あら……」
手招きする俺の元に恐る恐るやってくる夕映。で、俺の言葉に首を傾げたが、パチュリーを見て驚いたような顔をする。
パチュリーの方も夕映を見て目を見開いてるし。うん、やっぱり似てるな。
まぁ、夕映の方は身長とか他が足りてないせいで、パチュリーのミニサイズって感じだけどな。
「今、何か失礼なことを考えなかったですか?」
「気のせいだ」
夕映が睨んでくるが……なんでこう、こいつらって勘が鋭いんだろうか?
本気でニュータイプだったりするのか? ありえそうだから嫌だな……
「あなた、名前は?」
「え? あ、はい……綾瀬 夕映と言いますです……」
「そう……私はパチュリー・ノーレッジ。あなた、私の弟子になってみる気はない?」
「は、はい?」
戸惑いながら答えていた夕映だったが、問い掛けていたパチュリーのいきなりの提案に慌てていた。
ま、いきなりあんなことを言われたら戸惑うのは普通だわな。
なお、これが切っ掛けで動かない大図書館コンビ(師弟とも言う)の誕生の瞬間だったりもするのだが……
今はあんまり関係無いので、あえて割愛させてもらおう。
「あやつ、ただ者ではないな?」
「まぁ、魔法だけならエヴァより凄いかもしれないな」
「エヴァよりも……かい?」
エヴァの言葉に思わずそんなことを言ってしまったが、聞いていた高畑さんは少し驚いたような様子を見せていた。
エヴァから文句が出ると思ったけど、そんなことは無い様子。それどころか感心した様子で見てたし。
「ケケケ、見タ目ハガキダゼ?」
「でも、結構長く生きてると思ったけどな」
チャチャゼロがそんなことを言うが、詳しくは忘れたけど……パチュリーは結構長く生きてるはずだと――
「え、あ、これって……」
「ナンダァ〜?」
なんてことを考えてたら、アリス……マーガトロイドの方ね。
そのアリスが信じられないといった顔でチャチャゼロに詰め寄っていたが……どうしたんだ?
「魔力供給は受けてるけど……自分で動いてる……自我を持っている……凄い……」
「ふむ、これは興味深いな」
「ナンナンダ、オ前ラハ?」
なんて、感動してるんだか震えてるんだかわからない様子で見ているアリス。
その横である人があごに手をやりつつ見ていたが、それにチャチャゼロも引きそうになってる。
それはそれとして――
「橙子さん、お久しぶりですね」
「ああ、紫から聞いたよ。君も大変そうだったらしいね」
とりあえず、右手を軽く挙げて挨拶する俺に、橙子さんはタバコをふかしつつ答えていたが……
うん、確かに大変だったよ。殺されかけたりしたしな。
「だから、助けるのを手伝っただけよ?」
「頼むから、人の考えを読むな。さとりさんか、お前は」
スキマのひと言に文句を言っておく。ツッコミとも言うが。
「おい、なんなんだこいつは?」
「彼女はアリス・マーガトロイド。魔法使いにして人形使いだよ。ちなみに私は蒼崎 橙子という。
この人形は君が創ったのかな?」
こっちを睨むエヴァに対して橙子さんが答えてくれたが……なんか、エヴァの顔が引きつっているように見える。
どうしたんだ? と、思ったら背後に気配を感じて振り返ってみると――
「ねぇ……今、あの人……蒼崎 橙子って名乗らなかった?」
「そうだが?」
「つ……なんで封印指定の魔術師がこんな所にいるのよ!?」
おい、なぜに私が睨まれますか、凜さん。で、答えたらなんで襟首つかまれなきゃならんのよ?
後、声がでっかいよ。いきなりすぎたんで耳塞げなかったじゃないか。結構効いたんですが……
いや、まぁ……ここで再会するまで橙子さんの存在忘れてたのは、流石に言わん方がいいよな?
「シンジに聞いてくれ」
「ちなみにここにいるのは、パチュリーなどの魔法使いに会うためだが……いやいや、ここは素晴らしい。
多少不便な所もあるが、元の世界には無い知識に技術……来てみて正解だったよ。ところで……私を知っている君は誰なのかな?」
なので、問題を丸投げしました。橙子さんは補足するように話してたけど。
うん、なんかすっごく嬉しそう……だけど、すぐに凜を睨んでたりするが。
「く……初めまして、遠坂 凜と言います。彼の人形師に出会えて光栄ですわ」
「ほぉ……もしかして、冬木のセカンドオーナーかな? なるほど、それなら私を知っていてもおかしくはないわけだ」
一瞬怯んだかと思ったら、いつもの猫かぶりで挨拶をする凜。
それに対し、橙子さんは納得といった様子を見せていたけど……なんだろうか、この雰囲気は?
なんでこう……殺伐としてんのよ?
「ところで……話を進めていいのかしら?」
「いいんじゃないのか?」
スキマの問い掛けに投げやりに答える。いや、あっちはあっちでやってるしね。
パチュリーと夕映はなにやら話し込んでるし。あ、氷室も混ざってら。
あっちは凜に睨まれながらもアリスと一緒にエヴァと話し込んでる橙子さんがいたし。
あ、橙子さんがなんか驚いてる。聞こえてくる話だと、エヴァが吸血鬼だってことに驚いたみたいだけど。
「それで霊夢が攫われたって話だったけど――」
「そのことに関してはこの子から聞いて頂戴。目撃者だから」
「ど、どうも……大妖精といいます……」
とりあえず、話を聞こうとしたらスキマは1人の女の子……というよりは妖精か。
緑の髪をして、立派な羽根を持っている。なるほど、ある意味大妖精というのも納得かね。
「あ、あの……森の上を飛んでいたら、紅白の巫女さんが3人の人に襲われているのを見かけて――」
「3人ね……どんな奴らだったんだ?」
「そ、その……なんか怖くて……それで近くに行けなくて……ただ、おかしな格好だったのはわかるんですけど……ごめんなさい」
3人組と聞いてその特徴を聞こうと思ったんだが、大妖精は頭を下げて謝ってしまう。
怖くて変な格好ね……悪魔の中にはそんなのもいるからな。スキマはそれで悪魔の仕業と考えたのかね?
「あ、でも……何か黒くてでっかい物が現れて……それで紅白の巫女さんが落とされちゃって……」
「そのまま攫われたか……て、でっかいってどれくらい?」
「あ、あの……とにかく大きかったです。森の木よりも……」
気になるひと言に顔を向けて聞いてみると、話していた大妖精は両手を振り上げながら答えてくれたが……
森の木よりもでっかい? 思い浮かぶのは以前戦ったでっかいフロスト……あれ? でも、あいつは白かったような……
「やり方からも考えると悪魔の可能性が高いわ。それであなたにお願いしたわけよ」
「たく……タイミング的には最悪だな……」
スキマの言葉を聞いて、思わずため息が漏れる。だってそうだろ?
アスラというとんでもない奴と戦った後。しかも、休もうと思った矢先にだぞ。
愚痴も出たくなるって……でもまぁ、なんとかしなきゃならんのは変わりないか……
「まぁ、こちらからは魔理沙と早苗を同行させるから――」
「すまない……私と香奈子は参加出来ない」
スキマがそのことを言いかけた時、そんなことを言い出したのは君嶋さんだが……
本当にすまなそうな顔をしてるけど、どうしたんだ?
「どうしたんですか、いきなり?」
「いや、実は弾薬の残りを確認してみたのだが……ハッキリ言って心許ない。前回のことを考えると明らかに足りなくなる。
ボルテクス界に戻るまでは戦闘は無いと思っていたからな……弾薬の補充をしていなかったんだ。すまない……」
聞いてみると君嶋さんは答えてから頭を下げてたが……あ〜、それは仕方ないか。
君嶋さんと香奈子さんは銃メインだからな。俺や理華、美希みたく剣で攻撃とかは慣れてないし。
「ん〜……セイバーとかに手伝ってもらうにしてもなぁ……」
「私達では不足でも?」
「いや……なぁ、妖精は今回も暴れてんの?」
「ええ……前回以上にね」
俺のひと言にセイバーは睨んできた。まぁ、言い方が悪かったのは確かだけど。
とりあえず、そのことに答える前にスキマに聞いてみたら、そう返されました。
ていうか、前回以上かい……明らかに手が足りなくならないか?
「聞いただろうけど、ここにいる妖精も襲ってくるんだよ。しかも、とんでもない数で。
そうなると俺達だけじゃ対処が……なぁ……」
「ちょっと、なんで妖精まで襲ってくるわけ?」
「普通の妖精じゃ力に当てられやすいのよ。一種の悪酔いね。妖精で平気なのは大妖精やHみたいな力がそれなりの子くらいよ」
困ったように後頭部を掻く俺に凜が聞いてくるが、スキマが面白そうに答えていた。
凜はHって何? と、漏らしながら首を傾げてたけど。ちなみにそのHことチルノは……なぜか、イリヤ相手にふんぞり返っている。
「ふん! あたいは最強なんだぞ!」
「へぇ、じゃあ試してみる? バーサー――」
「イリヤ、やめろ。それは色んな意味でダメなフラグだから」
強がってるチルノに物騒なことを言い出すイリヤを止めておく。いや、ここでバーサーカー暴れさすような真似はやめろ。
バーサーカーが可哀想なことになるから……だって、ここにいる奴らはなぁ……
「なら、私達が手伝ってあげましょうか?」
なんてことを言い出したのは……レミリア?
「いいのか?」
「ええ……それにエヴァ、あなたも行くんでしょ?」
「む……ふん、そういうことか……いいだろう。見せてやるよ、真祖の吸血鬼の力というのをな」
聞いてみるとレミリアは楽しそうに答えてたが……
そのレミリアに顔を向けられていたエヴァは一瞬呆然とするが、すぐに不敵な笑みを浮かべてそんなこと言い出すし。
あれか? お前の力を見せてみろとかそういうの? まぁ、いいか……手伝ってくれるなら――
「いいわね、フラン、咲夜、パチェ、小悪魔、美鈴?」
「は〜い!」
「かしこまりました」
「私もなの?」
「はぁ……」
「わかりました」
レミリアに言われて、フランドールは元気良く両手を挙げ、咲夜さんは頭を下げ、パチュリーは呆れた様子で、
小悪魔は首を傾げて、美鈴はどっかの少林寺みたく両手を合わせて頭を下げるが……
紅魔館メンバー全員かよ……レミリアと咲夜さんだけでも十分と思うんだが、エクストラボスのフランドールも一緒となると……
うん、軽くオーバーキルだよね? ていうか、核をぶち込むようなもんだろうか?
「ええと……手伝ってくれるようなんで……とりあえず行ってくるわ」
「いいけど、あの子達も一緒なのかしら?」
少し呆れながらもそう言ってみると、スキマはそんなことを聞きながら指を差す。
なんだろうと指が差された方へと顔を向けてみると……なぜか、行く気満々のネギと明日菜の姿があった。
いや、ちょいと待とうか……
「なにしてんだ、お前らは……」
「人が誘拐されたんです。助けに行かないと!」
「そうよ!」
一応聞いてみたのだが、何言ってんだとばかりに言い返すネギと明日菜。
良く見ると高畑さんはもちろんのこと、刀子さんにシャークティさん、高音と愛衣まで行くつもりのようである。
シャークティの横に美空とココネもいるので、彼女達もだろうが……美空だけは嫌そうな顔をしてたけど。
さて、どうしたものだろうか……ネギと明日菜は……不安だな――
確か漫画だと……修学旅行後は戦いの方はまだまだだったはずだし。
でも、ここにいる2人は修学旅行前からエヴァに鍛えてもらってるはずだが……なぜか不安が消えない。
高畑さんは大丈夫だろ。実際に戦ってる所を見たことあるし。刀子さんもかなり強いはずだ。
確か、刹那に剣を教えていたこともあるってどっかで見たこともあるし。シャークティさんはどうなんだろうか?
漫画じゃ戦ってる様子を見たことないしな。美空とココネは論外だろう。
美空は逃げ足は凄いみたいだけど、他はてんでダメだったと思ったし。ココネも年齢的に無理だって。
高音と愛衣は……高音は脱げ女の印象が強いが、弱いわけじゃない。あれは運の悪さというか……そんなもんだろう。
ただし、強いというわけじゃないので……うん、やっぱり不安しか感じないね。
「どうする?」
「危険だが……連れていこう」
「いいの?」
スカアハに聞いてみると、腕を組みながらも呆れた様子でため息を吐いてました。
理華も不安そうな顔をしてるが――
「置いていっても、もしかしたら後を追い掛けてくるかもしれないだろうしな。
だったら、そばにいてもらった方がまだ安心出来る。その代わりといってはなんだが……応援を頼めるか?」
「あなた達も大変ね」
肩を落とすスカアハにスキマは苦笑してたが……まぁ、あいつらは言って聞くかどうか……無理だな。
なんていうか、この頃のネギはまだ頑固だったような覚えがあるし、高音やシャークティもそんな感じだしな。
けど、応援って言っても……誰か来てくれるんだろうか?
「なら、私達が行こうじゃないか」
なんてことを言い出したのは……神奈子さん? 横には諏訪子もいたけど……
「あら、いいの?」
「ああ、ちょうど暇をしていた所だしね。それに信仰心も手に入るかもしれないじゃないか」
スキマの問い掛けに神奈子さんはガッツポーズをしているが……信仰心?
3人ほどキリスト教信者がいるんだが……それはいいんだろうか?
「そう……萃香、あなたも勇儀と一緒に行ってくれないかしら?」
「ああ、いいよぉ〜」
スキマに言われて返事をしたのは酔った子供こと萃香。勇儀さんも「なんか面白そうじゃん」とか言ってるけど。
う〜ん、果てしなく人が多いな……大丈夫だろうか?
「それじゃあ、お願いするわね」
「へいへい……」
ネギや明日菜なんかから睨まれる中、肩を落としつつスキマに返事をするけど……
あ〜……平穏無事に終れればいいなぁ……絶対に無理そうだけど――
でも、この時映姫がアーチャーを睨んでいたことに気付かなかったんだが……
それがあんなことになるとは……ま、今気付くわけないわな。
あとがき
そんなわけで幻想郷の者達と共同で霊夢を助けに行くことになった翔太達。
しかしながら、ネギや明日菜なども参加したことに不安を感じますが……
そんなわけで次回は霊夢の救出へと向かう翔太達。
そこでネギと明日菜らが見たのは自分達の未熟さだった――
というようなお話です。そんなわけで次回をお楽しみに〜……
ただ、仕事が入ったんで次回が定期的に出せるかは不安だが――
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