in side
さて、プレシアの所に行く準備をすることになったのだが、そこで俺はあることに気付いた。
「ところでさ、プレシアが夜天の書に興味を示さなかったらどうするんだよ?」
「おや、気付きましたか? 実を言いますとその可能性が高かったりするんですよねぇ」
ほとんど思い付きのひと言だったんだが、シンジの返事に顔が引きつるのを感じた。
いや、激しく待とうか? こいつ、今なんつった?
「いや、待て……さっき、お前は夜天の書にプレシアは興味を持つって言わなかったか?」
「可能性があるとは言いましたがね。まぁ、プレシアさんの精神状態や目的を考えるとそうなる可能性が高いものでして」
「おいおい、どうするんだよ?」
思わず出た疑問にシンジはため息混じりに答えたが……
そういや、アニメでもなのはやフェイトの話を聞いてないようなものだったっけ?
それじゃあ、どうやって説得するんだよと本気で心配したのだが――
「ま、方法はそれだけではありませんがね。策士が1つのやり方に囚われるのは愚策でしかありませんし」
肩をすくめるシンジを見るに方法はそれだけではないようだが……本当に大丈夫なんだろうな?
そんな不安が顔に出てたらしくなのは達に心配されるが……言わない方がいいよな、これって……
out side
時の庭園……その中枢にいるプレシア・テスタロッサは苛立ちを募らせていた。
『偶発的』に起きた事故によって管理外世界にばらまかれたジュエルシード。
自分達はそれを誰にも悟られないままに回収し、己の目的の為に発動させる。それが『奴ら』と交わした計画……
そうしなければならなかった。娘を……アリシアを蘇らせるには自分だけでは力が足りなかった。
だから、自分は全てを捨て、嫌だった『奴ら』とも手を組んだ。だが、それももうすぐ終わる……そう思っていた。
封印状態のジュエルシード……管理外世界ならば発動はすることも無く、回収は容易い……そう思っていたのだ。
だが、それは最初から頓挫した。発動するはずの無いジュエルシードが発動していた。
しかも、それをいるはずのない魔導師が対処している。予想外の連続……そこに更に予想外の事が起きる。
シンジが現れ、プレシアが理解出来ない方法でジュエルシードを確保してしまったのだ。
これにはプレシアは混乱した。指を鳴らしただけで発動していたジュエルシードを封印処理する。
なんの冗談かと思った。だが、それは紛れもない事実で……フェイトとアルフもあっさりと拘束されてしまった。
娘と同じ姿をしたフェイト……彼女を見ていると吐き気がしてくるが、それでもちゃんと仕事が出来るかと嫌でも監視をしていた。
しかし、それによって判明した予想外の連続……あまりにも予想外すぎて怒り狂ってしまったほどだ。
こんなはずじゃなかったのに……怒り狂いながらも睨むかのようにその様子を見ていたプレシア。
だが、次の瞬間驚愕する。シンジが……こちらを見ていた――
怖かった……確かに監視のためにサーチャーを飛ばした。だが、それは隠密性を高めた物。
少なくともすぐに見つかるような物では無い……プレシアはそう思っていた。
しかし、シンジは確かにサーチャーを……自分を見ていた。その事実にプレシアは思わず恐怖を感じる。
なぜか、見透かされているような気がした。そんなはずは無いと否定したかったが……シンジの笑顔を見た瞬間、腰が抜けた。
なんだあれは……その疑問を感じた時にサーチャーとの通信が途切れ、シンジを映していた映像が消える。
怖かった。理解出来ない力にまるで見透かされたような笑顔……怖くて……だから、苛立ちを募らせる。
このままでは計画そのものが破綻するとプレシアは考えた。では、どうするべきなのか……そんなをほとんど寝ずに考えていた時だった。
突然の警報。次々と空間に映し出されるモニター。そのモニターにはなにやら集団が映し出されている。
まさか、時空管理局!? 驚き戸惑いながらプレシアはモニターを凝視し……そこでその集団の中に見つけてしまった。
アオイ シンジの姿を……それを見た瞬間、プレシアの顔は憎しみで酷く歪んでいた。
こいつのせいで私の目的は……殺そう。全てを狂わしたあいつを……今、プレシアにあるのはその想いだけであった。
それを実行するためにプレシアは操作を行う。その様子を誰かに見られているとは気付かずに――
in side
やってきました時の庭園。メンバーは俺に理華と美希に仲魔達。
なのはとフェイトにアルフ、はやてにヴォルケンリッター。ユーノのはフェレット状態でなのはと一緒にいたけど。
で、タカハシさんとその仲間の方々。で、タカハシさん達の仲魔も数体いる。
ちなみに居残り組はレッドスプライト号の中でこちらの様子を見てるはずである。
うん、ちょっとした部隊だよねぇ……ていうか、数多すぎね?
そんな俺達ですが現在は……絶賛襲撃にあってます。
なんかもう、傀儡人形だったか傀儡兵だか……細かい名前は忘れたが、それが襲ってきてとにかく忙しい。
だってね、数が明らかに多いよ。ネギの世界で戦った式神やら悪魔の集団よりは少ないけど。
それでもこっちはミサイルやらビームやら飛ばしてくるので……そっちの回避とかで忙しくなってるのだ。
なのはやフェイトにアルフ、はやてが若干戸惑ってるけど、そっちは俺達やタカハシさんがフォローに回ってるので今の所問題は無し。
フェイトがつらそうな顔をしてるが……まぁ、母親に襲われてるようなもんだし、ショックだったのかもしれないな。
それはともかくとして、まったく問題無いわけじゃないけどね。だって――
「なぁ、これって明らかに殺す気でやってないか?」
「ですねぇ……こっちの様子を気にしてるようにも見えませんし……はて、夜天の書を見せればなにかしらの反応を見せると思ったのですが……」
思わず出た疑問にシンジはあごに手をやりつつ首を傾げていた。
ちなみにシンジは何もしてないようで、なんかの力でミサイルやビームを防いでいたりする。
たまに殴り掛かってくるのもいるが、結界を張ってるのか届きやしない。
ていうか、明らかにシンジばっかりが狙われてるような――
「お前、なんかしたんじゃないのか?」
「いや、直接会ったりしてはいませんし……はて?」
思わずそう考えてしまうが、シンジもそのことには気付いていたらしい。
けど、思い当たる節が無いようだが……こいつ、本当に何もしてないんだろうな?
「しょうがありませんね。この手はなるべく使いたくなかったのですが……」
と、シンジがそんなことを言いながら指を鳴らす……次の瞬間、全ての傀儡人形が魔方陣に囚われて動かなくなった。
「え!? バ、バインド!? 全部に!? デバイスも無しで!?」
ユーノが驚いてる。シャマルも驚いてら。
で、シンジはというと再び指を鳴らして……あ、傀儡人形が全部爆発した。
呆気ない。あまりの呆気なさに俺や理華、美希や仲魔達以外のみんなは呆然としていたが――
「出来るんならとっととやれよ」
「いや、後々の事を考えますとやりたくなかったというのが本音なんですがね。
というわけですので、このことは他言無用願います。特に時空管理局にはね」
ジト目を向けるが、シンジはなぜかにこやかにそんなことを言ってたりする。
ほとんどの奴らが呆然と視線を向けてたけど……しかし、シンジが言いたいこともわからなくもない。
こんなこと出来る奴がいるって知れば何かしらのことはあるだろう。特に時空管理局は……確か、万年的に人手不足じゃ無かったっけ?
その原因が魔法に頼ってるからだったと思ったが……いくら質量兵器の廃絶の為とはいえ、本末転倒な気がするのは俺だけか?
「ちょ!? なんですか今の!? ていうか、いつの間にミッド式なんて覚えたんですか!?」
「ん? ああ、昨日夜天の書の改修をした時に興味が出ましたんで。
ちょっとレイジングハートさんとバルディッシュさんにもお願いしてデータを見せてもらってたんですよ。
その時のデータを参考に組んでみたんでが……いやぁ〜、意外と単純な術式なんで簡単に覚えられましたね」
で、気付いたように驚き出すユーノにシンジは人差し指を立てながらにこやかに答えてるんだが……
いや、俺でもそれはないとは思うぞ。なのはも覚えるのにかなり苦労してたはずだし。
ほら見ろ。ユーノが口をあんぐりと開けてるじゃないか。あ、なのはやフェイト、ヴォルケンリッター達も似たようなもんか。
「か、簡単にって……そんなのって――」
「まぁ、そこら辺の説明は難しいのですが……そうですね……
これは他の魔法にも言えるのですが、あなた方の魔法は科学技術の延長……いや、性質上で言うなら科学技術の色が濃いんですよ。
まぁ、ついでに言っちゃうとあなた方の魔法って質量兵器とあまり変わらなかったりするんですがね」
「「な!?」」
戸惑うシャマルだが、シンジの話にユーノと一緒に驚いていた。
しかし、科学技術云々はわからんけど、質量兵器とあまり変わらないというのは納得かもな。
いや、だって攻撃って点で考えれば似たようなもんじゃん?
「そんなわけありません!?」
「そうでもありませんよ? 100%完全にという事でなければ、なのはさんの世界でも十分再現は可能ですしね」
ユーノは否定するように叫ぶんだが、シンジは気にした風も無く答えている。
でもまぁ、そうかもとは思う。確かに完全再現は無理だろうけど、似たようなことは出来ると思う。
フェイトやシグナムみたく斬るというのも剣にこだわらなければ出来ると思うし、
なのはの砲撃魔法だってビームは無理でもなんかの形で出来そうな気がするし。
「け、けど非殺傷設定はいくらなんでも――」
「あれ? ご存じ無かったのですか?
相手をほとんど傷付けずに無力化出来る武器とかは普通にあるんですけど?」
それでもユーノは反論しようとするが、シンジの言葉に何も言えなくなっていた。
表情を見た感じはそんな馬鹿なって感じがする。いや、フェレット姿なんで表情とかわかりにくいんだって。
しかしまぁ、シンジの話もあながち間違いでは無いと思う。相手を無力化するだけの武器があるのは事実だし。
どんなのがあるかまでは詳しいわけじゃないから知らないけど……
「さてと……見ていたのでしょう、プレシアさん?
どうです? 話だけでも聞いてみませんか? あなたにとって有意義な物になると思いますけど?」
と、シンジはどこかに顔を向けながらにこやかに話してたが……
まぁ、プレシアのことだ。こっちを見てるのは当然だろうな。俺達、無断侵入みたいなもんだし。
『ふん……その方が良さそうね』
と、不意にそんな声が聞こえてきたけど……もしかしなくてもプレシアだったか?
「お母さん……」
どうやら間違いないらしい。フェイトが不安そうな顔をしてるし。
しかし、これから正念場なんだけど……大丈夫かね?
out side
その様子をプレシアはただ呆然と見ていた。
シンジを殺すためだけに送った傀儡人形。時の庭園にある物の大半を使って。
もっとも、プレシアはこれでシンジを殺せるとは思ってはいない。ジュエルシードの封印の仕方を見れば、ある意味当然と言える。
だから傀儡人形を襲わせ、それに気を取られている間に自分の全力の魔法で撃ち抜くつもりだったのだ。
ちなみに夜天の書のことはプレシアは気付いている。なので、シンジを殺した後に手に入れようと考えていた。
もしかしたら、アリシアを生き返らせる方法があるかもしれないから……
それもシンジが見せた力で全ての考えが吹き飛んでしまった。あれはなんだ……それが今のプレシアの考えで占めていた。
百体以上いた傀儡人形全てにバインドを掛け爆破する。それをたった1人でデバイス無しで行う。
そんなこと、例えデバイスがあったとしても自分では不可能だとプレシアは結論づけていた。
では、シンジは何者なのかと考える。それを考え始めるとシンジの異様さが際立ってきた。
よくよく考えれば、指を鳴らしただけでジュエルシードを封印するなんて普通は出来るはずがない。
もしかしたら、彼なら……プレシアがそんなことを考え出した時、シンジから申し出が来た。
そのことを訝しながらもプレシアは自身の目的の為に受けることにした。
興味もあったが、自分の目的を叶える可能性があったから……故にシンジの申し出を受けたのだ
これが後に自分の運命をも変えるとは知らずに……プレシアはシンジに会うべく、その場へと赴くことにしたのだった。
あとがき
そんなわけでシンジ無双……いや、この話ではシンジが中心みたいなもんなので……
まぁ、言い訳はこれくらいにして……想定外はあったものの、ようやくプレシアと会うことが出来た翔太達。
そこでの話し合いである事実が発覚する。その事実とは?
なのは編もそろそろ終わりが見えてきましたが……仕事と相まってこんなに進みづらいとは……
いや、私の力量不足もあるんですがね。本当に申し訳無いです。
それでもやります。私のフリーダムに!(いいのか?)
そんなわけで次回もよろしくお願いいたします〜
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