in side
さて、俺達の目の前ではプレシアと中学生くらいの背丈となったアリシアにフェイトが仲むつまじい光景を見せていたりする。
いきなりこんなこと言うと何がんだかわからないと思うので説明すると――
まず、シンジはアリシアを生き返らせた。シンジが言うには正確には生き返らせたわけではないらしいけど。
一方で自分はこのまま死ぬんだと思ってたらしいアリシアは驚いてたけどな。
ただ、体に関しては少しばかり不満があったそうな。なんでも、魂だけの時はstsのフェイト並みのプロポーションだったらしい。
それが今は中学生ボディ。それが不満というのだが……それでも着ているワンピース越しに見えるスタイルが凄いと思うのは俺だけか?
で、プレシアの方は記憶の改変を行った。といっても大筋の記憶は変えてはいないそうだけど。
変えたのは俺達と出会った時のこと。シンジとの取引を得てアリシアを蘇生。
その後、アリシアと俺達の説得でプレシアは改心した――ということにしているらしい。
精神崩壊が理由となった記憶は封じ込めてるそうだ。
それはいいことなのかはわからないが……まぁ、3人が喜んでるので良かったのかもしれない。
ただ――
「あのさ……プレシアを若返らせる必要あったのか?」
「いや、病気を治すついでに老廃物除去とか新陳代謝の活性化とかしただけなんですけど……」
思わずプレシアを指差す俺にシンジは苦笑しながら答えていたんだが……
えっと、つまりは若返らせたわけじゃないってことか? でも、今のプレシアはどう見たって20代くらいにしか見えんぞ。
何、そのリリカル的な神秘は?
プレシアも桃子さんや会ったこと無いけどリンディみたいな年齢と見た目のギャップ素質があったってこと?
うん、なぜか納得出来る俺はダメな人なんだろうか?
それはそれとして、プレシアにアリシアにフェイトは最初こそ抱き合って泣き合っていたが、今は笑顔を交えた団らんという光景を見せていた。
なのはやはやて、すずかにアリサはその光景にほっとしてるけど、逆にアルフは複雑そうな顔をしている。
「どうかしたのか?」
「あ、いや……なんか、納得出来なくてさ……だって、あの鬼ババア、今までフェイトにひどいことをしてきたんだよ」
気になったシグナムが問い掛けると、アルフは複雑そうな顔をしたままで答えた。
まぁ、アルフの言うこともわからなくはない。アニメの方でも、それが元でプレシアに襲い掛かってたしな。
「そのことに関しては納得するなとは言いませんよ。ですが、今後プレシアさんがフェイトさんにひどいことをすることは無いでしょうね」
「なんでですか?」
「今のプレシアさんにはトラウマになってるからですよ。精神崩壊を起こした記憶は封じ込めただけですしね。
それを思い出すまいとフェイトさんに手を挙げるような真似はしなくなるはずですよ」
気になった理華が問い掛けると、話していたシンジが人差し指を立てながら答えていた。
それが本当ならフェイトがひどいことをされるのは無いとは思うけど、本当に大丈夫なんだろうな?
「でも、なんかプレシアの心を利用してるようで後味が悪いな」
「否定はしませんよ。むしろ、これはまだ軽い方で済んだものです。
下手をすれば非人道的と非難されてもおかしくないようなことをしなければならなかったかもしれませんしね」
思わずぼやいてしまう俺にシンジは肩をすくめながら返してたけど。
あの、それを聞くと色んな意味で不安になるんだが。というか、今の状況は本当に大丈夫なんだろうな?
「色々と疑問に思う所はあるが、それは後にしておこう。とりあえず、今はジュエルシードを集めなきゃダメなんだろ?」
「それなんですが……それはなのはさん達に任せて、私達はネギさん達の世界に行かなきゃダメみたいなんですよ」
気にはなったがそこら辺の問題は置いとくことにして別なことを聞いてみたら、シンジに不吉な返事をされました。
いや、ちょっと待とうか?
『『ネギ、さん?』』
「ネギ達の世界に何かあったのか?」
「どうも、大物が動き出したみたいなのですが……けど、おかしいですね?
あそこにある物を考えると、奴らは学園祭まで大きな動きは見せないと思ったんですけど――」
なのは達やタカハシさん達が首を傾げる中、美希が問い掛ける。
そういや、タカハシさんやなのは達はネギのこと知らないから野菜のことだと思ってるのかも。
それはそれとして、その問い掛けにシンジは首を傾げながら答えていた。
ネギ達の世界にある物といったら世界樹のことか? でも、あれが大規模の魔力を放つのって、原作通りなら学園祭の時のはず。
シンジの言葉を信じるなら、世界樹が今狙われるのはおかしなことかもしれないけど――
「なんか、別な目的があったんじゃないのか? 例えば、先に世界樹を押さえておこうとか?」
「確かにありえなくもありませんが……ともかく、そういうことですので、早急に向かった方がいいでしょう。
幸いと言いますか、もう少しで私の知り合いがここに来ることになっておりますので」
思わずそうなんじゃないかと思って聞いてみたんだが、シンジもそのことは考えていたらしい。
それでも首を傾げてたが、シンジとしては予想外だったってことか? それも気になったが、もう1つ気になることが。
「前にも聞いたけど、知り合いってどんな奴だよ?」
「次元監査局という所に所属している方です。なのはさん達には現地協力員として手伝っているということにします。
そうした方が時空管理局への牽制にもなりますからね」
「なぜ、そんなことを?」
気になったことを聞いてみたらシンジは人差し指を立てつつ答えてくれた。
その返事に俺は思わず納得するが、ユーノはわからなかったらしくて首を傾げていたけどな。
ちなみに話を聞いていたらしいプレシアが、表情をわずかに歪めたのを見えてたが。
「あ〜……このことをここで話すのもなんなんですが、プレシアさんが持ってるデータを見せてもらった限りなんですけどね。
プレシアさんが起こしたとされる事故って、会社側と時空管理局の上層部の一部の無茶ぶりが原因みたいなんですよ。
そんな人達が今ここで起きていることを知ったら、黙っているとは思えませんので」
肩をすくめながら話すシンジだが、なのは達子供組はわからないようで首を傾げていた。
しかし、恭也さんや忍さん、プレシアにヴォルケンリッター達にタカハシさん達は顔をしかめていたけど。
まぁ、今の話で時空管理局にそういった物があるってのはわかる話だしな。当然と言えば当然の反応か。
「でも、その次元監査局って所は大丈夫なの?」
「その点に関してはご心配なく。時空管理局に比べれば、かなりクリーンな方ですよ。
それに私がこの件に関わってると知れば、下手な手出しはしてこないでしょう」
「そりゃまぁ兄さんにこっぴどくやられれば、そうなるでしょうね」
少し睨むかのように聞いてくる忍さんにシンジが答えると、そんなことを言う女性の声が聞こえてきた。
振り向いてみるとそこにいたのはやはり女性が1人立っていた。
女性としては高めの身長に少しくせっ気がある栗色の髪をポニーテールにし、美人と言ってもいい顔立ちにある栗色の瞳はややつり上がっていた。
スタイルの方はモデル並と言ってもいいくらいで、その体をどこかSF風の青い制服みたいなので包んでいる。
なお、スカートではなくてズボンだったけど。ていうか、ちょっと待て。今、聞き捨てならない一言を言ってなかったか?
「にい、さん?」
「ああ、昔お世話になった人の娘さんでして、その関係でそう呼ばれてるだけなんですけどね」
思わず顔を向けて疑問となった一言を漏らしたが、シンジは気にした風も無く答えてくれやがりました。
つまり、本当の兄妹じゃないってことか。それはそれでいいのだが、ほっとしたのはなぜだろうか?
「そんなわけで兄さんの要請で来ました、次元監査局所属捜査員のエレナ・ライドです。よろしく」
「あの、次元監査局とは? それにこっぴどくやられたというのはなんでしょうか?」
と、女性ことエレナさんは敬礼しながら挨拶したんだけど、その後にフィオナさんが右手を軽く挙げて問い掛けてきた。
そういや、次元監査局ってどんな所か聞いてなかったな。時空管理局とは違うのか?
それにこっぴどくやられたってのも激しく気になるんだけど。
「そうね。私達の世界では異世界の存在を確認し、行き来出来る技術を確立させてるの。
私達、次元監査局の仕事は何者かが異世界に不必要な接触をしないように監視したり、
異世界に行ってしまった犯罪者を捕まえたりとか、他にもあるけど主にそんなことをしてるわ。
で、こっぴどくっていうのは……兄さんが所属してる銀河統一政府っていう所に昔の上層部が良からぬ手出しをしようとしたのよ。
それを兄さんは阻止しただけでなく、そいつらのスキャンダルまで大々的にばらしちゃってね。
あの時は大変だったわ。つまらないことしてた連中は全員牢獄にぶち込まれるわ、そのせいで組織構成狂って混乱するわ。
他にも色々とあったけど……まぁ、そのおかげで今ではかなりマシにはなったけどね」
最後の方ではため息を吐きそうな様子で答えてくれるエレナさん。
で、聞いた俺達はどっから出したのか、のん気に緑茶を飲んでるシンジに顔を向けていた。
お前、本気で何やった。今の話でシンジの怖さを再確認したような気がしたぞ。
「まぁ、その辺りの話は機会があったらということで。
というわけで申し訳ありませんが、なのはさん達はしばらくはエレナさんの指示で動いてください。
ネギさん達の世界へは私がゲートを開きますので、それを通って行きましょう」
シンジはいつもの様子で今後のことも含めて話していたが……いや、非常に気になるんだけど。
お前、本当に何したんだよ? でも、聞かない方がいいような気がするのもなんでだろうか?
「じゃあ、シンジさん達は行ってまうんか?」
「まぁ、あちらの世界の様子を確かめておかないと行けませんし。
ただ、私はすぐにこちらへ戻ってくることになると思いますがね」
「シンジさんだけが、ですか?」
「こちらの世界で私のやることはまだありますからね。
翔太さん達の方は、場合によってはすぐにどこかの世界に行ってもらう可能性もありますので」
はやての疑問にシンジが答えると、それに疑問に思った理華にも答える。ま、俺達はそうなりそうだよな。
メムアレフって奴がなにやらかすかわかったもんじゃないし。俺としては勘弁して欲しいんだけど。
でも、1つの世界に1日しか滞在しないってのはいつものことだし、いずれまたこの世界に来ることになるだろうしな。
その時でも楽しめたら楽しみたいもんだ。主に観光の方で。
「そうか……もう行ってしまうのか……」
「俺としてはのんびりしたい所だけどな。うん、本当にそうしたいよ……ていうか、戦いたくねぇ……」
「おいおい、あたし達に勝った奴が何情けないこと言ってるんだよ?」
どこか寂しそうな顔をするシグナムに思わずため息を吐きながら答えるが、ヴィータに呆れられた。
良く見るとザフィーラも何言ってんだって顔をしてる。一方でタカハシさんやフィオナさんは同情的な顔をしてるけど。
まぁ、ヴィータ達は俺が強いと思ってるんだろうけどね。
「いや、いくらなんでも神とか魔王とケンカするのは普通嫌だぞ」
『え?』
ため息混じりに答えた俺の一言になのは達は一瞬呆けてしまった。
ま、普通はそんな反応をしてもおかしくはないわな。でも、マジなんだから困るんだよ。
「あ、え、ちょっと。変な冗談はやめてよ」
「うん、これが冗談なら、俺も本当に気が楽だったんだがな」
「まさに名の通りの強さだからね。普通に戦ったら、勝ち目なんてものは無いに等しい」
戸惑いを見せながらも苦笑混じりに忍さんはからかうけど、俺とタカハシさんの言葉にその顔も固まっていた。
いや、今更なんだけど、本当になんでそんなのとケンカする羽目になってるかね、俺は。
決して自業自得じゃない……と、思いたいんだけど。
「ほ、本当に……神様や魔王っているの?」
「いるぞ。困ったことに」
「しかも、神話のごとく無茶やってくれる人もいますからねぇ。本当に困った物です」
怯えているなのはに右手で顔を覆いながらため息を吐きつつ答えると、シンジもため息混じりに同意していた。
ただ、お前人のこと言えるのかと思うのは気のせいだろうか?
「大変……なのですね」
「まぁな。俺達がこの世界に来たのも、そいつらがこの世界にちょっかい掛けようとしてるのを何とかする為だしな」
「ちょ、ちょっと!? それって大丈夫なの!?」
「今のところは相手の動き次第としか言えません。何しろ、相手の動きを推測すること自体難しくなってますから。
だからといって、何もしていないわけでもありません。エレナさんに来ていただいたのも、その一環ですからね」
心配そうな顔をするリインフォースの一言に俺は答えるんだが、それを聞いた忍さんは慌ててしまう。
もっとも、すぐにシンジが答えてくれたおかげで落ち着きを取り戻したけど。
「ともかく、私も出来る限り早く戻るつもりですので、なのはさん達にはジュエルシードの回収に集中してください。
今はそれを第一にした方が良いですから」
「でも、時空管理局はどうするのかしら?」
「むろん、対処いたしますよ。エレナさんや私が早く戻る必要があるのも、その対処も含まれていますからね」
プレシアの疑問に話していたシンジはあっさりした様子で答えていた。
しかし、その言葉にも裏がありそうだと考えるのは俺の考え過ぎかね?
「おっと、そろそろ行きませんと。それではエレナさん、後のことよろしくお願いいたします」
「はいはい、兄さんも程々にね」
「すまん。そこはかとなく不安にさせる一言はやめてくれ」
そのことに気付いたシンジにエレナさんはため息混じりにそんなことを言うのだが……
何が程々になんだろうか? すっごく気になるんだけど? 思わず突っ込んじゃったよ。
「翔太さん、がんばってね」
「本来なら私達も手伝うべきなのだろうが」
「ああ、いいよ。それにこっちの世界も大変なことになりそうだしさ。
シグナム達はこっちでのことを何とかしてくれればいいさ。その方が俺達も楽が出来そうだし」
なのはの挨拶の後にシグナムがすまなそうに言うが、俺は気にした風も無く返事を返した。
どの道、俺達があちこちの異世界に行かなきゃならないのは変わらないしな。
そういったことを考えれば、シグナム達のおかげで楽をさせてもらってると思ってもいいと考えてしまう。
なんか、いい所だけ掻っ攫ってるようで心苦しいけど。
まぁ、そんなわけで俺達はなのは達と挨拶を交わし、シンジの力でネギの世界へ向かうこととなった。
しっかし、ネギの世界で何が起きてるんだか。嫌な予感がするんだけど……それも激しく。
あとがき
というわけで、数ヶ月ぶりです。どうしてこうなった?(おい)
本当はもう少し早めに出せるはずだったのですが、仕事の執筆がまた立て込んじゃいまして。
他にも色々とやることもあり、気が付けばここまで掛かるという――
仮面ライダーディケイドの方がメインになりつつあるのもありましたがね^^;
さて、なのは達の世界を後にすることになった翔太達。ネギの世界では何が起きているのか?
次回はそのお話です。というか、本当ならそこまで書く予定だったんですがね。
時間が掛かり過ぎちゃったのでこうしてます。本当に申し訳ないです。
では、次回またお会いしましょう。
押して頂けると作者の励みになりますm(__)m