「いや〜、危なかったね〜」

 ブースターの壊れたアスランのザクを片手ずつ持ちながら空を飛ぶラストとインパルス。レンは、無事に地球に降下できかんらかんらと笑う。すると、シンが 大声で文句を言って来た。

<何、暢気に言ってんだよ!>

「シン君、眉間に皺寄せてたら禿げるよ?」

<アンタの所為だよ!>

<シン、やめろ。先輩、助かりました。ありがとうございます……シンもありがとう>

<…………>

 素直にアスランに礼を言われ、シンは複雑そうな表情を浮かべる。

「う〜ん……落下の影響で電波状況が悪いね」

 ミネルバと通信が繋げず、困惑する声を上げるレン。一応、二機分でザクを支えているから海面に落ちる事は無いだろうが、如何せんエネルギーが尽きては元 も子もない。ラストは、ジャスティスと同じNジャマーキャンセラー搭載の核エンジンなので、エネルギー切れの心配は無いが、早く合流しないと危険だ。

 その時、前方で発行信号が輝いた。レンは、眉を顰め、映像に出すとそれはミネルバからのものだった。

<ミネルバ!>

「ふぅ……どうやら離されてなかったようだね」

 ラストとインパルスは急ぎ、ミネルバと合流するのだった。




機動戦士ガンダムSEED Destiny〜Anothe Story〜

PHASE−06  答えの見つけ方




「アスラン!」

 コックピットから降りるなり、カガリが声を上げて駆けて来た。シンは、あからさまに不機嫌な表情になって、彼女から視線を逸らす。アスランは、カガリの 姿に表情を綻ばせるが、その時、ドォンという衝撃が船体を揺らした。

「な、何だ!?」

「地球を一周してきた最初の落下の衝撃波だ。恐らくな」

 どよめき立つクルーの中で、レイは一人冷静に何なのか説明する。地球を一周しても尚、戦艦を揺らすほどの衝撃波。シンは、地球ではどれだけの被害があっ たのか想像だに出来なかった。

 その間、ミネルバは海面に降下し、盛大な水しぶきを上げた。

<警報! 総員着水の衝撃に備えよ>

 今度は着水による衝撃が艦を揺らす。激しい振動が続くミネルバ。やがて、振動が収まると、アーサーの声がスピーカーから届いた。

<着水完了。警報を解除。現在全区画浸水は認められないが今後も警戒を要する。ダメージコントロール要員は下部区画へ>

 クルーに安堵の息が零れる。その中で、レンは蹲っていたので、アスランが不思議そうに尋ねた。

「先輩、どうしたんです?」

「し、舌噛んだ……」

「「…………」」

 涙目で口を押さえるレンに、アスランとカガリは表情を引き攣らせた。




 アスランやシン、カガリにミネルバの年少クルーは、甲板に出て地球の海を眺める。粉塵により、空は黒く覆われているが、地球の海を初めて見るクルー達 は、その広さに驚いていた。

「けど地球か……」

「太平洋って海に降りたんだろ、俺達? うっはは、でけー」

 感慨深げに呟くヨウランに対し、ヴィーノは目を輝かせて言った。そんな相棒をヨウランが嗜める。
 
「そんな呑気なこと言ってられる場合かよ。どうしてそうなんだ、お前は」
 
 地球最大の海、太平洋にたった一隻の戦艦が不時着した。これから、どうすべきかも分からず、漠然と不安に駆られもするだろう。事実、シンも戸惑ってい た。

「大丈夫か? アスラン」

 その横で、カガリがアスランを心配そうに尋ねる。

「ああ、大丈夫だ」

「けどほんと驚いた。心配したぞ。MSで出るなんて聞いてなかったから」
 
「すまなかった、勝手に」

「いや、そんな事は良いんだ。お前の腕は知ってるし……私はむしろ、お前が出てくれて良かったと思ってる」

 その言葉にシンとアスランは眉を顰めるが、カガリは更に続ける。
 
「ほんとに……とんでもない事になったが、ミネルバやイザーク達のおかげで被害の規模は格段に小さくなった」

 彼女自身、この出来事に対し懸命に明るく振舞っているのだろうが、シンはギュッと拳を握り締め、カガリを睨み付ける。

「その事は地球の皆も……」

「やめろよこの馬鹿!!!」

 ついにシンの怒りが爆発した。カガリを含め、皆が呆然とシンを見る。彼は、歯を噛み締めてズカズカとカガリの元へ歩み寄る。

「アンタだってブリッジに居たんだ! ならこれがどういうことだったか分かってる筈だろ!」
 
「え?」

 キョトンとなるカガリにシンは更に怒る。
 
「ユニウスセブンの落下は自然現象じゃなかった。犯人が居るんだ! 落としたのはコーディネイターさ!」

 その言葉にアスランは沈痛な表情を浮かべ、ルナマリアやヴィーノ達も衝撃を受けたような表情になる。

「あそこで家族を殺されてそのことをまだ恨んでる連中が、ナチュラルなんか滅びろって落としたんだぞ!?」

 シンには、ユニウスセブンを落とそうとした連中の気持ちは痛いほどに分かった。戦争とは何の関係も無い家族が巻き込まれ、死んでいった。もし、自分が彼 と同じ立場だったら、きっと同じ事をしていたに違いなかった。

「わ、分かってる、それは………でも!」
 
「でもなんだよ!?」

「お前達はそれを必死に止めようとしてくれたじゃないか!」

「当たり前だ!」

「だが…それでも破片は落ちた」

 すると今まで黙って顔を俯かせていたアスランが呟く。

「アスラン……」

「俺達は止め切れなかったんだ……」

 アスランの言葉にシンも悔しそうに唇を噛み締める。

「一部の者達のやったことだと言っても、俺達、コーディネイターのした事に変わりない。許してくれるのかな……それでも……」

 親が憎ければ子も憎い。一部のコーディネイターがやった事にしてみても、被害者側から見れば、コーディネイター全てが憎いと思うだろう。それは、シンの カガリに対する感情と同じである。アスランは顔を俯かせて背を向けると、その場にそぐわない能天気な声が響いた。

「魚、釣れないね〜」

「そりゃ餌つけてませんからね」

 ずるぅ!!

 思わず滑って転びそうになるが、必死に堪えるアスラン。シンやカガリ達も呆然と、何故か釣竿を垂らしているレンとリサに注目した。

「な、何やってんだ、アンタら!?」

「釣りですよ。見て分かりませんか?」

 リサがシンをアホの子を見るようにして言い返す。

「そうじゃなくて、何で部屋から出てんだよ!?」

 彼らを軟禁している部屋には一応、外から開かないようロックしてる筈だった。が、リサはフッと笑みを浮かべると、右腕を肘から掴むと、ズボッと取った。 すると、彼女の右肘から下は銃口になっていた。

 義手だった事に驚愕するシン達。リサは腕を戻すと、誇らしげに言った。

「あの程度のロック、私にかかれば無いも同然です」

「で、折角、海に来てみたんだし釣りでもしようかな〜って……」

 そう言ってレンは、お手製の鉄の棒に糸を垂らしただけの釣竿を見せる。シンは、頭を押さえて項垂れる。

「一応、捕虜なんだから勝手な行動するな!!」

「まぁまぁ、シン君。落ち着きたまえ。もう一本あるから君もしない?」

 ズイッともう一本釣竿を出すレンだったが、シンはソレを振り払った。釣竿はポチャンと海に落ちて、波に攫われて行く。

「やれやれ……君、そうやって怒ってばかりだと疲れるだけだよ? たまには、こうやってゆっくりと心を落ち着けないと」

「そんな事してる場合じゃないんだよ!」

「じゃあ何が出来るんだい?」

「え?」

 そう問い返され、シンは言葉を詰まらせる。アスランも目を見開いて、ニコニコと笑っているレンを見る。

 シンは答えれなかった。ミネルバが不時着し、インパルスの修理も今は出来ない状況だ。そんな中で、何が出来ると問われると分からなかった。レンは、フッ と笑い、水面に揺れる糸を見る。

「何をしたら良いのか分からない時は、こうやって待つのも良い。無理に探さなくても、ひょっとしたら答えの方からやってくるのかもしれないよ?」

「(答えの方から……)」

 その言葉にアスランは、ギュッと拳を握り締める。

「確か彼らの一人が言ってたっけ……“自分達コーディネイターにとって、パトリック・ザラの執った道こそが唯一正しいものだ……って」

 それを聞いてルナマリア達は驚き、カガリもアスランを見ると彼は顔を俯かせ、沈痛な表情を浮かべた。

「彼らみたいに憎しみに身を任せて出した答えが、あんな結果になった。シン君、君は彼らの行為は“理解”できるけど、“納得”はできないんじゃないのか い?」

 透き通るような青い瞳に見られて言うと、シンは驚いて言葉を詰まらせた。

「じゃなきゃ、今のアスハ代表の発言に怒れる筈ないもんね」

「う……」

「先輩は……」

「ん?」

 その時、アスランが不意に声を上げたのでレンは振り向いた。

「先輩は、そうやって答えを見つけたんですか? 何が正しいのか……」

「そうだね〜……私は私って事かな」

「え?」

「レン!!」

 キョトンとなるアスランだったが、突然、エリシエルが血相を変えて艦から出て来た。

「貴方、勝手に部屋を出て何こんな所で油売ってるんですか!?」

「ふふ……」

 レンは苦笑し、釣竿を戻すとポンとリサの頭に手を置いた。

「ザフトの軍人だろうと、海賊だろうと…………私は私って事だよ。アスラン、私は君に何と戦う事よりも重要なものがあると教えた筈だよ」

 そう言われ、アスランは目を見開き、ゴツンとエリシエルに頭を叩かれるレンを見る。

「フブキ先輩……」

「ん?」

「ありがとうございます」

 今までの表情と打って変わって微笑んで頭を下げるアスラン。レンはニコッと笑い、エリシエル、リサと共に艦に戻ろうとした。その時―――。

「お、おい! 何だアレ!?」

 ヴィーノが叫んで海を指差した。皆が、海の方を見るとダークレッドのMSが、こちらに迫って来ていた。

「ジャスティス!?」

 アスランが叫ぶ。そして、シンは驚きながらも、ギリッと唇を噛み締めた。ジャスティスは、ミネルバの前で急停止すると、コックピットが開いてシュティル が出て来た。

「レン、リサ。帰るぞ」

「「え?」」



 ミネルバのブリッジで、タリア、アーサーとシュティルがレン達の事について話している。彼の後ろでは、レンとリサが不思議そうな顔をしていた。

「地球に降りる前にボルテールのデュランダル議長にウチの艦長が“ユニウスセブン破砕に協力するから、レンとリサを返して欲しい”と申し出たら、議長は許 可してくださった」

 そう言い、会話を録音したディスクを差し出すシュティル。タリアは、ハァと溜息を零し、ジロッとシュティルを見る。

「みすみす海賊を釈放しろ、と?」

「艦長もダメ元で言ったようだが、案外、アッサリ言って驚いていたぞ」

「…………まったく……議長は何を考えて……」

「さて……それは御本人に直接窺ってください」

 フッと笑みを浮かべて答えるシュティルに、タリアは再度溜息を零す。

「だ、ダメですよ、艦長! こいつ等を釈放したら今度は、こちらの敵にだってなり兼ねないんですよ!?」

 アーサーが至極真っ当な反論を出す。彼らは“武力を奪う海賊”と名乗っているが、所詮はテロリストと大差ない。現に、今回は利害が一致したから協力した が、彼らは元はザフトの新兵器を狙っていたのである。

 そんな彼らを、逃がすなんてデュランダルの考えが分からないタリアは、親指の爪を噛む。

「(確かに博士は何を考えてるんだ……? 私達を逃がすなんて百害あって一利なしだと思うけど……)」

 レンも、デュランダルの考えが分からず眉を顰めていた。

「どうしてもダメだと言うのなら、実力行使も考えるが?」

 そう言って、シュティルは笑みを浮かべ、タリアを見る。彼女はハァと嘆息し、答えた。

「良いわ。とっとと出て行って頂戴」

「ちょ……艦長!?」

「議長が、そう判断されたのなら仕方ないわ」

 所詮、自分達は軍人。上の言葉には従うしかないとタリアは、アーサーに言い聞かせた。そして、この後すぐ、レンとリサはミネルバから出るのだった。




<やれやれ、やはりだいぶやられたな>

 地下に作られたジブリールのシェルター。まるで地上での惨劇など感じさせない、その部屋には多くのモニターがあり、世界各国のニュースと、老人達の映像 通信が映っていた。
 
<パルテノンが吹っ飛んでしまったわ>

「あんな古くさい建物、なくなったところで何も変わりはしませんよ」

 ワインを片手にジブリールは、ユニウスセブンの破片が落ちたと言うのに、上機嫌に答える。

<で、どうするのだジブリール?>

<デュランダルの動きは早いぞ。奴め、もう甘い言葉を吐きながら、何だかんだと手を出してきておる>

 老人の一人が言うように、プラントのニュースにはデュランダルが、被災地への救援物資、救助人員を迅速に手回ししている。何よりも彼らは、今回の件を世 界各国に通達し、破砕を成功させて被害を最小に食い留めているのだ。

<受けた傷は深く、また悲しみは果てないものと思いますが、でもどうか地球の友人達よ、この絶望の今日から立ち上がって下さい。皆さんの想像を絶する苦難 を前に我等もまた援助の手を惜しみません>

 デュランダルのこの行動は、彼らにとって不都合この上ない。このまま行けば、地球人民はプラント……デュランダルを支持していくだろう。そうなれば、彼 らのプラントへの憎しみを煽る計画が水泡と化してしまうのだ。

 しかし、ジブリールは余裕の笑みを浮かべ、手元のディスプレイをつける。

「皆さんのお手元にももう届くと思いますが。ファントムペインが大層、面白いものを送ってきてくれました」

<ん?>

<これは?>

<やれやれ結局そういうことか>

 彼らの元にはジブリールのディスプレイと同じ映像が映されている。それは、ザフトと戦闘を行うジン部隊とユニウスセブンに設置されたフレアモーターの映 像だった。

「思いもかけぬ最高のカードです。これを許せる人間などこの世の何処にも居はしない。そしてそれは、この上なく強き我等の絆となるでしょう。今度こそ奴等 の全てに死を、です。青き清浄なる世界の為にね」



 カガリを送り届けにオーブへ向かうミネルバ。アスランが、カガリの部屋に真剣な表情で入って来た。

「カガリ」

「? アスラン、どうしたんだ?」

「大切な話がある」

「え?」

「オーブに戻ったら……俺は、もう一度プラントに行く」

「!?」

 その言葉にカガリは驚愕する。何でプラントに行くのか理解できないカガリは立ち上がり、アスランに詰め寄った。

「どういうつもりだ、アスラン!?」

「先輩に言われるまで忘れていたよ……」

「?」

「“裏の無い政治家には穴がある。穴の無い政治家には裏がある”……って、昔、教えられたっけ」

 苦笑いを浮かべて言うアスランに、カガリは首を傾げる。

「カガリ……カガリの目から見てデュランダル議長はどう思う?」

「どうって……立派な政治家だと思う。事実、私は何も言い返せなかったし……」

「そう。そしてカガリは議長に言い負かされた……まぁ経験という問題もあるが、どうも俺にはデュランダル議長が何か裏がありそうで気になるんだ」

 公の場で自分の名前を言ったり、“争いが無くならないから力が必要”と言いながら、わざわざ新しい強力なMSを開発したり……アスランには、レンの言葉 で頭がスッキリすると、引っ掛かる事が出て来たのだ。

「アスラン……議長を疑ってるのか?」

「何も無ければ、それに越した事は無いさ。だが、今、俺がオーブにいても何も出来る事は無い。なら、俺は俺に出来る事をやるだけだ……先輩のお陰で目が覚 めたよ」

「アスラン……」

 心配そうにアスランを見上げるカガリ。アスランはフッと笑って彼女を見つめる。

「心配するな。俺は何処に行こうが変わらない……アレックス・ディノでも、アスラン・ザラでも……俺は俺だ」




「さて……レンとリサも帰って来た事だし、どうするよ?」

 ドラゴネスは現在、南極海にいた。ユニウスセブンを破壊し、地球に降下した所が、よりにもよって南極海だった。レンは寒くてブリッジの隅で震えている。 ブリッジには、ラディックを中心に、シュティル、リサ、アルフレッド、ロビン、キャナルが円陣を組んでいる。

「このニュースを見たら、殆どがプラントを恨むだろうな」

 そうシュティルが言うと、皆はモニターに映る大西洋連邦の大統領が演説しているニュースを見る。それには、ユニウスセブンの戦闘や、フレアモーターなど を見る。プラントは、これを一部のテロと公表したが、恐らく地球に住む人間は、プラントを酷く憎むだろう。

「また戦争でも起こるッスかね……」

「まぁ……なぁ。戦争の火種なんざ、あっという間に大火事になるからな」

「兄さんは、どう思います?」

「ん〜……戦争が起これば、まずプラントが勝つね」

 手に息を吹きかけながら言うレン。それに、皆が驚いて彼に注目した。

「その理由は?」

「現在、地球軍を裏で操ってんのは、あのカビの生えた武器商人のロゴス。でも、あんな連中より明らかにデュランダル博士……議長の方が役者が上だよ」

「どういう事ッスか?」

「あの人、ど〜も引っ掛かるんだよね。勘だけど……ああいう完璧な政治家ほど腹の底で何考えてるか分かんないんだよね」

「けどよ、デュランダル議長は被害地に対して迅速に救援を行ってんだぜ? とても悪いような奴には……」

「う〜ん……じゃあさ、こういうのはどう?」

 ピンとレンは人差し指を立てて言う。

「まず開戦になった場合、どうするか? それは、プラントに直接、核でもぶち込むのさ」

「! ちょ、ちょっとレン! 核はユニウス条約で禁止されてるんスよ!?」

「条約なんて口約束と一緒だよ。破ろうが、最終的にプラントを落とせばコーディネイターを滅ぼせると考えてるよ、ロゴスの連中は」

 毛布で体を包みながら、説明するレン。皆の表情が重くなるが、彼は更に続けた。

「でも、もしその核を防いだら? 核で終わらせれると思ったロゴスは少なからず焦る。そうなると現在、大西洋連邦に非加盟の国及び中立国に同盟を結び付け ようと迫るだろうね〜」

「…………オーブか」

 シュティルがポツリと呟き、ブリッジに緊張が走る。レンはニコッと笑って、親指と人差し指で輪っかを作った。

「ぴんぽ〜ん。オーブの軍事力は喉から手が出るほど欲しい。でも従わなけりゃ武力行使は二年前の戦争でも明らか。無論、他の国にもね。そこへ、ザフトが民 衆を救う為、連合の基地を潰していく。そうなると地球の民衆は?」

 決まっている。民衆は常に虐げるものより、救いの手を差し伸べるものの味方なのだ。

「そこへ〜、ロゴスの存在を世界に発表したら……はい、思想統一の完成、だね」

 誰もが、そこまでするか、と思った。しかし、もしレンの言うとおりになったら、それこそ世界は再び混沌の渦に巻き込まれてしまう。

「まぁ私なら、こういうシナリオを選ぶね」

「でも、そんな事してどうするんだ?」

「さぁ……世界の王にでもなりたいのかな」

 シ〜ン、とブリッジが静まり返る。すると突然、ラディックがバンと膝を叩いた。

「まぁ何にしてもだ! 戦争になる流れは止められねぇだろ」

「だな。既に引き金は引かれたんだしな」

「どうするよ?」

「決まってらぁ! こんな下らねぇシナリオを書いた野郎をぶっ潰す!」

「なら行くのはオーブですね」

 そうリサが言うと、皆は頷いた。世界でも飛び抜けて高い技術力を持つ中立国のオーブ。そこが屈したら、他の中立国も屈していくだろう。つまり、オーブの 動きが、世界の流れを決めると言ってもおかしくない。

「おし! アルフ! 目的地はオーブだ! ただし、領海には入るな! 領海の外からボートで少人数で行くんだ」

「じゃ私が行くよ。オーブには行った事があるしね」

「私も行きます。色々と物資を調達もしたいですし」

「俺も行こう……あそこには知り合いがいるんでな」

 レン、リサ、シュティルの三人が名乗り出ると、ラディックは頷き、ドラゴネスは発進したのだった。
感想

三話連続で見せてもらいました♪

レン君の活躍がかなり大きくなってきていますね。

キースが大物振りを発揮している所もあります。

二人の地位の高さ(レン君の場合は先輩度?)は年齢の高さを思わせますが、いったい幾つなのだろう?

いや、設定表では20だけど…

アスランやキラは18くらいだっけ?

う〜む…ようわからん(汗)

でもま、シンの父親代わりだった人が23ですか…

むむぅ…年齢の割に…

やはりその辺りはコーディネイターなのかなぁ(汗)

でもお話のくくりはかなりおもしろく流れていますね。

レンとキースの二人の戦いに話が集約していく感じが見えていて面白そうです。

今後、どう流れるのか期待です♪


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