艦長室にてタリアは、アスランから預かって来た命令書に目を通していた。彼女の傍で立っているアーサーは気に食わなそうにアスランを見ている。
「はぁ……貴方をフェイスに戻し、最新鋭の機体を与えてこの艦に寄越し……」
そう言うと、タリアは一緒に渡された小箱を手に取る。箱の中には、アスランと同じフェイスの徽章があった。
「私までフェイスに? 一体何を考えてるのかしらねぇ、議長は? それに貴方も……」
「申し訳ありません」
脱走兵だったアスランが、何のお咎めも無しにフェイスに任命され、ミネルバに配属されたのでタリアも困るだろうと、謝る。
「別に謝る事じゃないけど……それで? この命令内容は、貴方知ってる?」
「いえ、自分は聞かされておりません」
「そう、中々、面白い内容よ。ミネルバは出撃可能になり次第、ジブラルタルへ向かえ。現在スエズ攻略を行っている駐留軍を支援せよ」
それを聞いてアスランは眉を顰め、アーサーは疑問の声を上げた。
「スエズの駐留軍支援ですか? 我々が?」
「ユーラシア西側の紛争もあって今一番ゴタゴタしてる所よ。確かに、スエズの地球軍拠点はジブラルタルにとっては問題だけど。何も私達がここから行かされ
るようなものでもないと思うわね」
現在、ミネルバが位置するのはオーストラリア北部に位置するカーペンタリア。ジブラルタルは、ユーラシアとアフリカ大陸の間にある基地である。何で、わ
ざわざミネルバで、そこまで赴かなければならないのか理解できなかった。
「ですよね。ミネルバは地上艦じゃないですし。一体また何で?」
「ユーラシア西側の紛争というのは?」
ふとアスランが尋ね、タリアとアーサーが目を向けると彼はバツの悪そうな顔で……。
「すみません。まだ色々と分かっておりません」
それで彼の事情を察したタリアは、デスクの端末を操作し、分かり易いニュースの画面を映してくれた。
「常に大西洋連邦に同調し、と言うか、言いなりにされている感のあるユーラシアから、一部の地域が分離独立を叫んで揉めだしたのよ。つい最近の事よ。知ら
なくても無理ないわ」
そのニュースには、ウィンダムやダガーLで民衆を虐殺する連合の姿が映っていた。アスランは、その様に眉を顰め、嫌悪感を露にする。するとアーサーが
言ってきた。
「開戦の頃からですよね?」
「ええ」
「確かにずっと火種はありましたが……」
「開戦で一気に火がついたのね。徴兵されたり制限されたり。そんな事はもうごめんだと言うのが、抵抗してる地域の住民の言い分よ。それを地球軍側は力で制
圧しようとし、かなり酷い事になってるみたいね。そこへ行けという事でしょ? つまりは」
その言葉にアスランは目を細め、デュランダルの笑みを思い浮かべる。
「我々の戦いは、あくまでも積極的自衛権の行使である。プラントに領土的野心はない。そう言ってる以上、下手に介入は出来ないでしょうけど。行かなくては
ならないのはそういう場所よ。しかも、フェイスである私達二人が……覚えておいてね」
議長直属であり、軍から独立した存在であるフェイス。それは、つまり、そこでデュランダルは何かを求めているという事である。アスランは、デュランダル
が何を求めているのかを考えながらもタリアに頷いた。
そして、ふと出て行こうとした所でアスランは、もう一つ気になっている事をタリアに尋ねた。
「あ、あの……」
「ん?」
「オーブの事……艦長は何かご存知でしょうか? 自分は何も知らなかったものですから……」
「ああ、今大騒ぎですものね。代表が攫われたとかで。オーブ政府は隠したがってるみたいだけど。代表を攫ったのはフリーダムとアークエンジェルという話
よ」
それを聞いてアスランは大きく目を見開いて驚愕した。
「え!?」
「でも主犯はワイヴァーンだそうよ」
「は?」
「彼らが密かにオーブで改修されていたアークエンジェルとフリーダムを奪って、民間人を人質にし、アスハ代表を攫ったそうよ」
「(先輩が……民間人ということは……キラ達か……?)」
アークエンジェルやフリーダムの存在を知っている者などオーブでは、カガリや自分を除けばキラ達だけだ。しかし、それにレン達がどう関わっているのか分
からなかった。
「何がどうなってるのかしら? こっちが聞きたいくらいだけど」
そう訝しげに聞いてくるタリアだったが、アスランはハッと目を見開くと、フッと笑みを浮かべた。その変わり様にタリアは眉を顰めたが、彼は礼を言って頭
を下げると退室した。
その後、タリアはアーサーに翌朝、出発すると告げた。
アスランは艦長室を出ると、廊下を歩きながらカガリ誘拐の件を考えていた。
「(フブキ先輩が、もしプラントのミーアの演説ニュースを見てたら……)」
自分同様、レンはデュランダルを疑っている筈だ。なら、ミーアを偽者と見抜いたら、絶対にデュランダルは何らかのアプローチを仕掛ける筈。現に自分も
“本物のラクスが現れたら?”と彼に問うた。
そこからデュランダルに裏があれば突き崩していけるとレンも考えるだろう。何でカガリを誘拐する事までしたのかは分からないが、少なくともレンガいれば
心配ないとアスランは、つい笑みを零すのだった。
機動戦士ガンダムSEED Destiny〜Anothe Story〜
PHASE−14 インド洋の死闘
「ええ!? マジで!?」
「うん」
レクリエーションエウームでは、談笑していたヴィーノが素っ頓狂な声を上げた。
「ほんとのほんとに艦長もフェイスになったの?」
「うん。いずれ正式に通達するけど、そうだって副長が。なんか凄い嬉しそうだったよ」
メイリンがそう言うと、ヴィーノはパァッと顔を輝かせた。しかし、その横でヨウランが呆れたように声を上げた。
「えぇぇ!」
「副長関係ないじゃん」
「え? そうなの? 副長は違うの? え? じゃあ俺達は?」
「関係ねえよ。あのな、フェイスってのはな、個人が任命されるもんなの」
それを聞いてヴィーノが目をパチクリさせると、ヨウランがフェイスの説明をした。
フェイス……議長直属の特殊隊の事で、通常の命令系統には組み込まれず、軍功、人格が優れている者に与えられる称号である。
「その権限は、その辺の指揮官クラスより上で、現場レベルでなら、作戦の立案、実行まで命令できんだぜ?」
「へぇ〜」
ちなみにフェイスでも指揮官の命令は聞かなくてはならない。が、その指揮官の命令が現場で不適なものだとすると、異論を唱える事が出来るという事だ。
「評議会直属のザフトのトップエリートだぜ? 何でお前が関係あんの?」
「ヨウランだってそうじゃん」
「そうだよ」
ヴィーノの返しにムッとなるヨウラン。その横でメイリンがポツリと呟いた。
「トップエリート………」
「エリシエル・フォールディア。出頭致しました」
突如、呼び出されて艦長室にやって来たエリシエル。彼女は、此処で次の部隊の配属を待とうとしていたのだが、いきなりミネルバに呼び出され何かと思っ
た。
「ああ、ご苦労様。これ、アスランが議長から受け取って来た命令書なんだけど、貴女にミネルバの配属を任命するものもあったわ」
「は? 私がミネルバにですか?」
「ええ。それと昨日、輸送されて来た新型のMS……バビを与えられるそうよ」
「はぁ……ですが何で私が?」
自分ではなくてもミネルバにはかなりの戦力がある。シン、レイ、ルナマリア、そして先程、小耳に挟んだ復隊したアスラン。しかもフェイスになって。とて
も、自分が入る余地など無いと思う。
「さぁ、上の考える事は分からないわね。でも、これからは貴女もミネルバの一員よ。しっかり頼むわね」
「はっ!」
少なくとも感情的になり易いシン、何を考えているのか分からない時のあるレイ、射撃の甘いルナマリア、フェイスとなって復隊したアスランよりも、頼りに
なると思うタリアだった。
地球連合軍空母J.P.ジョーンズはインド洋に浮かんでいた。その甲板の端っこで金髪に赤い瞳をし、ピンクの地球軍の軍服を着た少女が膝を組んで海を見
つめていた。
「お、何だ? このお嬢ちゃんはよ?」
「あ! おい、よせって……」
背後で声がしたので振り返ると、そこにはニヤニヤと笑みを浮かべた兵士がいた。ボーっとしている少女に、兵士が声をかけてくる。
「こんなとこで何してんの? ねぇ」
「海……」
「ん?」
「見てるの……好き……だから」
「はぁ?」
少女の言葉に眉を顰める兵士。その横で彼を止める別の兵士。
「おいよせって、そいつ……」
「変な奴だなぁ。まぁ、良いや、ちょっと一緒に来いよ」
同僚の言葉を聞かず、兵士は少女の両脇に手を回して立たせる。「あ……」と声を上げて振り返る少女。すると、止めていた兵士の背中を彼女の“仲間”が踏
み台にして跳び越えた。
「うッ!」
そして少女を立たせていた兵士は振り返ると、水色の髪に青い軍服を胸で肌蹴させて着ている少年に喉を掴まれ、銃口を突きつけられた。
「うわッ!」
「やめときなよ。俺ら第81独立機動軍でさ……」
「ううぅ……」
「ボーっとしてっけどさぁ、そいつも切れっとマッジ怖いよ〜?」
そう言い、笑みを浮かべる少年に兵士は苦しみながら声を上げた。
「ファ、ファントムペイン……」
「う、うわぁ……!」
すると兵士は慌ててその場から逃げ去って行った。少年はつまらなそうに吐き捨てると、再び海を見つめている少女に目をやる。
「まだここいんの? お呼びかかたったぜ。ネオから」
「え!?」
それを聞いて、無気力だった少女の顔が歓喜に彩られる。
「ってことはまた戦争だね。ま、俺らそれが仕事だし」
「うん」
去って行く少年にトテトテと駆け寄る少女。
「今度は何機落とせっかなぁ」
「うん!」
「ルシーアも出るみたいだぜ」
「ルーシー? 10歳なのに?」
「自分で自分専用のMS造る奴だぜ。立派な軍人じゃん」
そう軽口を叩く少年――アウル・ニーダと少女――ステラ・ルーシェ。彼らこそ、アーモリーワンを襲い、アビスとカオスのパイロットであった。
<J.P.ジョーンズは○九○○出港。第一戦闘配備発令。整備各班、戦闘ステータススタンバイ>
J.P.ジョーンズの発進アナウンスが艦内に響き渡り緊張が包まれる。ブリッジでは、ネオが通信機で交渉していた。
<当部隊のウィンダムを全機出せだと!? 何をふざけた事を!>
ネオの理不尽な頼みに怒鳴って来る通信機の向こう側の司令官。しかし、ネオはサラッとかわした。
「ふざけてんのはどっちさ? 相手はボズゴロフ級とミネルバだぞ? それでも落とせるかどうか怪しいってのに……この間のオーブ沖会戦のデータ、アンタ見
てないのか?」
<そういう事を言っているのではない! 我々は此処に対カーペンタリア前線基地を造るために派遣された部隊だ! その任務もままならないまま、貴官にモビ
ルスーツなど……>
「その基地も何も、全てはザフトを討つためだろう? 寝ぼけたこと言ってないでとっとと全機出せ! 此処の防衛にはガイアを置いていってやる」
ネオが語気を荒げると、向こうも弱々しくなる。
<いやぁ、しかし……>
「ネオ君、貸したまえ」
すると、今まで彼の横で黙って聞いていたキースが、苦笑しながら手を差し出して来た。ネオは、素直に通信機を渡す。
「あ〜……私はキース・レヴィナスというものだが……」
<!? ちゅ、中将閣下殿ぉ!?>
向こうで姿勢を正したような音が聞こえ、驚く相手にキースはフッと笑う。
「おや? 私などの名前を知っていてくれるとは光栄だな。嬉しいよ」
<も、勿体無いお言葉! きょ、恐縮であります!>
「無理を言ってスマンね。だが、ネオ君の言うように相手が相手だからね……是非、君の協力を仰ぎたいのだ? …………駄目かな?」
<と、とんでも御座いません! すぐに手配致します!!>
「ありがとう」
そう言い、通信を切るキース。まぁ権力もあるだろうが、鮮やかな手口にネオは素直に感心した。
「相手が相手だから……ですか。閣下は出撃なされないのですか?」
「ああ」
キースが出ればミネルバなど堕とせると思うが、彼はフフッと楽しそうに笑うと、バサッとエプロンを着用する。
「ルシーアにクッキーを作ってくれ、と頼まれたのでね。お菓子作りは初挑戦でね……戦闘より大変だよ」
そう言われ、ネオを含むクルー達は唖然となる。キースは、材料をブツブツと呟きながらブリッジから出て行った。そして、ハッとなって兵士に尋ねた。
「カオス、ガイア、アビスは?」
「全機発進準備完了です」
「よし、ジョーンズは所定の場所を動くなよ」
そして彼はモニターに映るミネルバを見て、笑みを浮かべるのだった。
「いいなぁ、皆。ステラだけお留守番」
パイロットスーツに着替えたステラは、シュンとなって呟くとアウルと、短い髪を逆立てた少年――カオスのパイロットであるスティング・オークレーが顔を
見合わせ、アウルが言った。
「しょうがねえじゃん。ガイア飛べねえし、泳げねえし」
海の上での戦闘で、カオスは空を飛べるから問題ないし、アビスは水中でも戦えるMSだ。陸上戦を想定されて造られたガイアでは、海上の戦闘は無理だっ
た。ハァと溜息を吐くステラ。すると、スティングが彼女を宥めた。
「海でも見ながらいい子で待ってな。好きなんだろ?」
「……うん」
それでもやっぱり寂しいステラは、シュンとなるが背後から彼女の大好きな声がした。
「俺もステラと出られないのは残念だがねぇ」
「ネオ!」
パァッと顔を輝かせるステラは、ネオの元へと駆け寄る。ネオは、フッと笑ってステラの髪を撫でる。
「だが仕方ない。何もないとは思うが後を頼むな?」
「……うん」
「オ〜ッス!!」
バンッ!!
と、そこへ元気な声がキャットウォーク中に響き、ステラの背中をバァンと叩いた。ビックリして振り返るステラ。そこには、ステラと同じピンクのパイロッ
トスーツを着たルシーアがいた。
「ルーシー?」
「えへへ〜。ステラ、待っててね。ルーシー、一杯一杯、殺して来るから!」
無邪気に笑うルシーアに、ネオが神妙な顔で尋ねた。
「本当に出るのか? 初めてなんだろ、戦闘? 大丈夫なのか?」
「何が大丈夫なの? ひょっとしてルーシーが死ぬ心配してる? バッカだな〜、ネオ」
「は?」
「ルーシーはね、死んだ方が良いんだよ。死んだ方が世界の為なんだよ……でもね、簡単には死んであげないんだ。ルーシーを殺して良いのはパパとルーシーよ
り強い奴だけなんだから」
そう言いクスクスと笑うルシーアにネオは恐怖した。自分の三分の一程度しか生きていない女の子が、虚勢でも何でもない、自然とそういう言葉を発したの
だ。
<X24Sカオス、発進スタンバイ>
やがて、発進アナウンスが響き、それぞれが機体に乗り込む。
<スティング・オークレー、カオス発進する!>
<アウル・ニーダ、アビス出るよ!>
カオスが空へ、アビスはMA形態になって海中に出る。ガイアは、そのまま岸へと移動する。
<ネオ・ロアノーク、ウィンダム出るぞ!>
そしてネオの赤紫色のウィンダムもカオスに続いて空へと飛び出した。
「ねぇパパは〜?」
コックピット内で、ルシーアはモニターでブリッジと通信していた。すると、艦長はバツが悪そうに答えた。
<あ〜……クッキーを作っているよ>
「本当!? じゃあ、とっとと片付けてくるね! いってきま〜す!」
そう言いルシーアは操縦桿を引いた。空母から出るとカオスよりも濃い緑色に変わった。その右腕には巨大なガトリング砲、左腕にはビーム砲、両肩にはミサ
イルポッド、両腰にビーム砲、脚の側面にもミサイルポッドという全身を武装で固めていた。
僅か10歳であるルシーアの造ったMS――バースト。それは、年齢にそぐわぬ重武装MSであった。
ミネルバはボズゴロフ級潜水艦、ニーラゴンゴと共に出発し、指示通りジブラルタルへと向かった。そして出発から僅か数時間も経たない内に索敵担当のバー
トが声を上げた。
「艦長!」
モニターに映る複数の点滅を見て声を上げる。タリアが、ジッと彼を見るとバートは、驚愕の報告をする。
「熱紋照合……ウィンダムです。数30!」
「30!?」
とても偵察や見張りの数ではない。間違いなく、待ち伏せされていたという証拠だった。
「内一機はカオスです! もう一機、アンノウンの機体もあります!」
それを聞いてタリアは、大きく目を見開いた。
「あの部隊だって言うの!? 一体何処から……付近に母艦は?」
「確認できません」
「またミラージュコロイドか……?」
以前、アーモリーワンでの襲撃の際、ボギーワンは、ミラージュコロイドで姿を隠して接近した。また、同じ手を使ったのかとアーサーが呟くが、タリアは否
定する。
「海で? 有り得ないでしょ?」
レーダーを無効化して姿を消すミラージュコロイドだが、地上では作用時間が短く、また船の航跡や音は消えない。言われてアーサーは納得すると、タリアは
即座に気持ちを切り替える。
「あれこれ言ってる暇はないわ。ブリッジ遮蔽。対MS戦闘用意。ニーラゴンゴとの回線固定」
艦内にコンディションレッドの警報が鳴り響き、ブリッジが戦闘ステータスに変わる。その時、モニターにアスランの顔が映った。
<グラディス艦長、地球軍ですか?>
ブリーフィングルームにいたようで、アスランの表情も厳しい。
「ええ。どうやらまた待ち伏せされたようだわ。毎度毎度人気者は辛いわね。既に回避は不可能よ。本艦は戦闘に入ります。貴方は?」
アスランも指揮権を持つフェイスであり、自分と同格なのだ。彼の意志を確認する義務があるので、尋ねる。
「私には貴方への命令権はないわ」
<……私も出ます>
「良いの?」
<確かに指揮下にはないかもしれませんが、今は私もこの艦の搭乗員です。私も残念ながらこの戦闘は不可避と考えます>
アスランのフェイスに相応しい的確な判断に、タリアは安堵する。もし、此処で意地を張って違う意見を言い合っていては、艦はまともに機能しない。アスラ
ンの確かな能力を見る。
「なら、発進後のMSの指揮をお任せしたいわ。良い?」
<分かりました>
MSの扱いなら彼が手馴れている。エリシエルの方が年上で経験も豊富だが、フェイスであるアスランに任せるのだった。
<インパルス、セイバー、バビ……発進願います。ザクは別命あるまで待機>
メイリンの声が響き渡る。空を飛べないザクは、前回同様、艦の護衛だろう。シンは、発進シークエンス通り、コアスプレンダーを起動すると同じようにセイ
バーとバビがカタパルトに設置される。
その時、通信回線が開いてアスランの顔が映った。
<シン・アスカ、フォールディア先輩>
「はい?」
<何?>
いきなり呼び出されて驚きながらも返事をするシン。同時にエリシエルもモニターに映った。
<発進後の戦闘指揮は俺が執ることになった>
「え!?」
<了解よ>
驚くシンに、素直に頷くエリシエル。アスランは、シンにだけ語気を強めて言ってきた。
<いいな?>
「……はい」
仕方がない。相手はフェイスだし、経験、技量全てが上なのだ。しかし、この前のオーブ沖でミネルバを救ったのは自分だという実績が、彼を少し苛立たせ
た。
<フォールディア先輩、シンのサポートをお願いします>
<ええ>
「大丈夫なんですか? アーモリーワンじゃ負傷したじゃないですか?」
<シン!>
エリシエルに挑発的な態度を取るシン。アスランが怒鳴るが、当の本人は苦笑いを浮かべた。
<そうね。足手まといにならないよう、頑張るわ>
<フォールディア先輩を甘く見るな。彼女は、フブキ先輩の部隊で副隊長だったんだぞ>
アスランの言葉にシンはムッとしつつ操縦桿を握った。
「シン・アスカ、コアスプレンダー行きます!」
勢い良く発進し、フォースシルエットと合体する。その横でセイバーとバビも発進していた。彼らの目の前にはウィンダムの集団があった。
「あん? 何だ、あの機体は?」
スティングは、インパルスに続いて出て来た二機を見て眉を顰める。レーダーには、アンノウンと表示されていた。
<また新型か。カーペンタリアで? ザフトは凄いねぇ>
<あはは! たった三機だけ?>
「ふん! あんなもの!」
真っ先に隊を離れて飛び出すスティングのカオスは、セイバーへと向かった。
<おいおいスティング……まいっか。俺は馴染みのあっちをやらせて……>
<駄目! あの白いのはルーシーがやるの!>
<………はいはい。じゃ、俺はあっちの新型ね>
アッサリとスティングの独断を許すネオ。そして、ルシーアのプルートはインパルスを、ネオはバビを相手にする事になった。
「そらぁっ! 見せてみろ力を! この新顔!」
スティングは叫ぶと同時に、ビームライフル、兵装ポッド、シールドの機関砲と一斉にセイバーに向けて放った。しかし、セイバーは避けると、MA形態に変
形する。
そして空高く上昇し、雲の上からビームを撃って来た。ビームはカオスの機体を掠め、スティングは冷や汗を掻く。すかさず次々と撃って来るビームを避けな
がら、シールドで防ぐ。急降下して来たセイバーをカウンターでビームを当てようとしたが、アッサリと自分の横をすり抜けていった。
「こいつ……!」
スティングは、相手パイロットは余裕を見せている事に苛立ちを覚えた。
ルシーアは、ウィンダムをビームライフルで撃墜していくインパルスを見て、楽しそうに笑う。
「あは! シンだ! シンが乗ってる!」
ピキィンと何かを感じ取り、インパルスのパイロットがあの時、カーペンタリアで出会ったシンだと分かるルシーア。ルシーアは、次々とウィンダムを撃墜す
るインパルスを見て、ゾクゾクと肩を震わせた。
「きゃは……」
そして、冷笑を浮かべると、大声で笑い出した。
「きゃははははは!!! 殺してる! シンが一杯一杯、殺してる! シンが一杯、自分を作ってるんだ!! あはははははははははは!!!!!」
するとルシーアは一斉にビーム、機関砲、ミサイルを放った。それは、味方のウィンダムをも巻き込むほどのものだった。それに驚いたのかインパルスの動き
が止まって、こちらを見る。
<ルシーア! 何やってんだ!? 味方ごと狙うなんて……>
ネオが怒声を上げて来るが、ルシーアの目にはインパルスしか映っていない。
「シン〜……一緒に遊ぼ〜」
狂気に彩られた瞳。そして、彼女は再び一斉に砲門を開いてインパルスを撃ち落とそうとした。
「な、何なんだ、こいつ!?」
シンは味方ごと撃って来る無茶な相手に驚愕しながらも、ビームを放つ。しかし、バーストは背中から盾のようなアーマーを回すと、ビームが捻じ曲がって別
の方向へと逸れた。
「ビームが曲がった!?」
ゲシュマイディッヒ・パンツァーと呼ばれる特殊装甲がある。あらゆるビームを捻じ曲げるもので、かつて連合が造ったMSフォビトゥンにも設置されてい
た。
「くっそぉ!!」
シンは叫んでビームを連射するが、装甲はあらゆる角度に対応し、ビームを逸らす。
<シン! それ以上やるとエネルギーの無駄遣いよ!>
「うるさい!」
<ああいうのは、こうやって黙らせるの!>
ビームライフルで迫り来るウィンダムを撃墜し、エリシエルのバビはMA形態になる。そして、バーストにミサイルと機関砲を撃ちまくった。ビームを曲げる
装甲もミサイルなどは利かず、破壊されて穴が空いた。
そこへすかさずMS形態に戻ってビームを撃つとバーストの片方の肩が破壊された。
「きゃああ!!」
肩を破壊され、悲鳴を上げるルシーア。
「アイツ……アイツアイツアイツアイツアイツアイツアイツ!!!」
ギリッと唇を噛み締め、バビを睨み付ける。そして、凄まじいスピードでキーを叩くと、破壊された方の腕を切り離した。すると、肩と腕の付け根から、ワイ
ヤーが飛び出し、バビに襲い掛かる。ワイヤーはバビのビームライフルに巻き付いて、真っ二つに切り裂いた。
「殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!」
すかさずトドメを刺そうとするルシーアだったが、その間にインパルスが現れる。
「邪魔だ!!」
<ルシーア! 落ち着け!>
「殺してやる殺してやる殺してやる!」
ネオの制止の声を振り切り、ルシーアはインパルスにもワイヤーを放つ。咄嗟に盾で防いだが、スパッと切り裂かれてしまった。
「どうしてどうしてどうして……どうしてルーシーを殺さなかったのおおぉぉ!!」
「ランチャー1、ランチャー2、てぇーっ!」
インパルス、バビはウィンダムと謎の新型を相手に、セイバーはカオスを相手に振り切れずにいる中、ミネルバも奮闘している。ブリッジでは、ニーラゴンゴ
の艦長が不機嫌な表情を浮かべていた。
<そんな事は分かっている! だがこちらのセンサーでも潜水艦は疎か、海上艦の一隻すら発見できてはいないのだ!>
「では彼等は何処から来たと言うのです? 付近に基地があるとでも?」
<こんなカーペンタリアの鼻っ先にか? そんな情報はないぞ>
どうやら通信の相手は、自分よりも若いタリアがフェイスである事が気に入らないらしく彼女の意見を悉く反論している。あるいは議長との“噂”かもしれな
いが……。
その時、ニーラゴンゴの索敵の声が聞こえた。
<ソナーに感! 数一!>
<なに!?>
<早い! ……これはMS……アビスです!>
「何なの!? このMS!?」
迫り来る赤紫のウィンダムをミサイルで牽制しながら、エリシエルは、あのバーストに戦慄を覚えた。味方ごと破壊するのもイカれているとしか言えない。
しかも自分だけを狙っている。エリシエルは、そろそろ弾薬が尽きているのに舌打ちすると、その時、大きな水柱が上がった。
<ミネルバ! 今のは!?>
カオスと戦闘中のアスランがミネルバに回線を開く。
<アビスです。ニーラゴンゴのグーンと交戦中>
メイリンの返答では、海中からアビスが迫って来て、ニーラゴンゴの放ったグーンを倒した水柱だそうだ。一応、レイとルナマリアのザクを発進させたそう
だ。
「ミネルバ! 予備のライフルを射出してください!」
<りょ、了解しました!>
その間にエリシエルが指示を飛ばすと、発射口から新しいライフルが飛び出して来て、受け取り、赤紫のウィンダムに攻撃を仕掛ける。
「あれが隊長機らしいけど……並のパイロットじゃないわね……!?」
その時、再びバーストが攻撃を仕掛けて来たのでエリシエルは咄嗟の所で避ける。そして更にアラートが鳴ったので振り返ると、姿を見せなかったガイアが
迫って来た。
「ちょ、三人相手になんて出来ないわよ!!」
しかし、咄嗟の所でガイアの攻撃をインパルスが受け止め、そのまま二機は地上戦になった。その隙にエリシエルはバビをMA形態にして、空高く上昇し、回
転しながらビームを撃つ。
ビームは赤紫のウィンダムの片腕を破壊したが、バーストは避ける。が、すれ違う寸前でMS形態になり、バーストの両肩に足をかけ、そのまま地面に叩き付
けた。
「戦況は不利か……」
J.P.ジョーンズのブリッジで艦長は、モニターで戦闘を見て呟いた。戦況は、よもやウィンダムは全滅、残ったのはカオス、ガイア、アビス、ネオのウィ
ンダムとバーストだけだ。そのバーストもザフトの新型MSによって、地面に叩き付けられてしまった。
「ほう、中々だね」
「閣下!?」
その時、背後から香ばしい匂いのするクッキーを食べながらキースが入って来た。彼はクッキーを一齧りして笑みを浮かべる。
「あの赤いMSと薄紫のMS……中々やるではないか。ふむ……初陣のルシーアには、少々、キツい相手だったかな」
そう呟くと、ルシーアと回線を繋ぐよう指示する。パッとモニターにルシーアの姿が映った。
<パパ!?>
「やぁルシーア。初めての戦場はどうだい?」
<ふ……ふぇええええぇぇぇぇん!!!!!>
するとルシーアは大声を上げて泣き出した。突然、泣き出すルシーアに戸惑う兵士達。やはり10歳の少女に命懸けの戦場へ放り出すのは無理だったのだと誰
もが思った。しかし、本人は全く違う事で泣いていた。
<あのパイロット、下手糞だよ〜! ルーシー、殺してくれなかった〜!>
その言葉に皆が驚き、キースはフッと笑う。
<パパァ〜……また死ねなかったよ〜。死にたいよ〜……ルーシー、早く死にたいよ〜>
泣いてる姿は子供そのものなのに、言っている事は明らかに異常だ。父と呼ぶ者を目の前にして、死にたいというルシーアの神経を疑った。しかし、キースは
ニコッと微笑かける。
「ルシーア、戻っておいで。パパと一緒にクッキーを食べよう」
<…………くっきー?>
「ああ、そうだ」
<…………帰る>
グスッと鼻を啜り、バーストは飛び立った。キースは背を向け、艦長に指示を出す。
「4分34秒後に帰還命令を出し、艦を出せ。アウル君の性格なら、潜水艦の一つぐらい堕とすだろう」
そう言い、彼は「やはり女の子は、クマさんよりウサギさんか……」と呟きながら出て行った。クルーは呆然としながらも、彼の指示に従うのだった。
「基地? こんな所に……建設中か?」
ガイアと戦闘を繰り広げている中、ジャングルの中でシンは軍事施設を見つけた。戦車や小型の機関砲で無意味な抵抗をする連合軍の兵士が視界に入る中、深
い溝の両側なあるフェンスにしがみ付く人達が目に留まった。
基地側には屈強な男性達が、そして反対側には女子供がいた。それは、明らかに軍人ではなく、民間人だった。
「まさか……此処の民間人が……」
その時、男性がフェンスの穴を潜って外に出ようと溝に入って行くと、次々と男性達が基地から逃げ出して行く。しかし、そこへ連合の兵士が銃を撃った。
真っ赤な血を撒き散らし、倒れる男性達。女性や子供達は悲鳴を上げる。
その光景を見て、シンは、かつて戦闘に巻き込まれ、無残にも死んでいった家族の光景を思い出す。あの時、自分には力が無かった。しかし今はある。シン
は、怒りを爆発させ、その基地を襲った。
<先輩!>
「アスラン……」
海岸で膝を突いていたバビへ、アスランのセイバーが向かって来た。突如、何処からか帰還命令を告げる信号弾が飛ぶと、カオス、ガイア、赤紫のウィンダム
が撤退し、空母が現れた。
そしてアビスは、せめてもの一発とばかりにニーラゴンゴを沈めて帰って行った。その後、空母は何処かへと去って行った。
<無事ですか?>
「ええ。流石にエースと隊長をいっぺんに相手するのは厳しいわね……」
エネルギーも殆ど尽きてしまい、息を吐くエリシエル。正直、バーストを砂浜に叩き付けた時点で、ビームを一発撃つエネルギーも残っていなかった。あのま
まバーストが素直に撤退してくれた助かったと思うエリシエル。
「そういえばシンは?」
<え? あ……>
ガイアで戦っていたと思ったが、いつの間にか姿の見えないシン。その時、ジャングルで大きな爆発音が響いた。
「ニーラゴンゴが!? くっそー!」
ニーラゴンゴ撃沈の報告を聞き、シンは叫んで基地の施設にビームを撃つ。炎上する基地の中、インパルスは悪魔のように突き進む。それは避難しようとする
連合の軍人をも巻き込んで行った。
そこへMA形態のセイバーとバビが飛んで来て、回線を開いて来た。
<シン!>
<あなた、何やってるの!? もう彼らに戦う意志は無いわ!>
それを聞いて、シンは苛立つ。彼らは、連合の軍人が民間人を撃ち殺すシーンを見ていなかった。彼らなど死んで当然。シンは、基地を壊滅させると、民間人
を遮っていたフェンスを引き抜いた。
最初は驚く民間人達だったが、自分達を遮るものは何も無いと分かると、歓声を上げて家族と抱き合った。中には、殺され、遺体に泣きすがる者もいる。しか
し、それでも喜びの大きさに、シンは自分がした事を誇らしく思った。
格納庫に帰ると、シンを待っていたのはアスランとエリシエルの冷たい視線だった。ルナマリアや整備班も戦々恐々でアスラン達を見つめている。すると、ア
スランはフゥと溜息を吐いて、首を左右に振ると背中を向けた。
何だか見るからに馬鹿にされた態度に、シンはムッとなって叫んだ。
「言いたい事があるなら言ったらどうですか!? 言っきますけど、俺は何も間違った事はしてませんよ! あそこの人達だってあれで助かったんだ!!」
「…………間違った事してないね……ハァ。ヴァカに付ける薬が欲しい所だよ」
わざとらしく無意味に発音良く呟くアスランに、シンはカッとなって掴み掛かろうとする。しかし、寸前の所でエリシエルが間に入り、シンの伸ばした腕を掴
み、そのまま床に叩き付けた。
「がっ!」
そして、腕を捻り、背中に乗って関節技を決める。女性なのに振りほどけない力に、シンは苦痛の表情を浮かべる。
「シン!」
咄嗟に助けようと動くルナマリア達だったが、エリシエルの鋭い視線によってビクッと身を竦ませた。エリシエルは冷たい目で、自分を睨み付けてくるシンを
見下ろすと、アスランに尋ねた。
「アスラン、この子の修正……私がしても良いかしら?」
「……お願いします。どうやら俺は嫌われている様ですから」
そう言い、立ち去るアスラン。エリシエルは、フッと笑うと、更に強く腕を捻って言った。
「間違った事はしていない? じゃあ、聞くけど今回の戦闘で指揮を執るのは誰だったかしら?」
「ぐ……」
「誰だったかしら?」
ギリッと更に強めると、シンは悲鳴を上げる。
「ぐああああああああ!! ア、アスラン……です」
「そうね。アスランは、貴方に“やめろ”と言ったわ。貴方は命令を聞かなかった。それでも間違ってないと?」
「だ、だって……民間人の人達が……」
「民間人は関係ない! 貴方は戦う力を無くした兵士を殺して何とも思わないの!?」
かつて、オペレーション・スピットブレイクでフブキ隊に所属していたエリシエル。しかし、その作戦によりアラスカでフブキ隊の殆どが戦死し、レンが除隊
した後、彼女はパナマ侵攻作戦に参加した。
その時、ザフトが行ったのはグングニルと呼ばれる装置で連合の兵器を無効化した。その後に待っていたのは、ザフトにより虐殺だ。あの時、彼女は、無抵抗
の人間を殺すザフトに嫌悪感を覚えた。
「で、でも……」
「何の罪も無い民間人を殺した連中など死んじゃって構わない。そう思ったの?」
「!?」
自分の言い訳を先に言われて、シンは目を見開く。エリシエルは、嘆息し、言った。
「貴方は確かに民間人を救った。それは誇っても構わないわ。でもね、貴方は戦う力を無くした、“ただの人達”を虐殺したのよ。それじゃあ、貴方の家族を殺
した人達と何も変わらないわね」
その最後の言葉にシンは、プチッとキレた。そして、無理やりエリシエルの拘束を振り解くと、彼女に襲い掛かる。
「くっそおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!」
しかし、エリシエルは襲い掛かって来るシンに合わせて顔面に蹴りを喰らわせた。ドサッと床に勢い良く倒れ込むシン。
「貴方は人を守る力を得た。でも、その力で新しい憎しみを作り出す事を忘れては、貴方は、ただの殺戮者よ」
そう言い、シンを見下ろすエリシエル。シンは、ルナマリアに起こされながら、ギリッと口許の血を拭い、エリシエルを睨む。
「フォールディア先輩を甘く見るな、と出撃前に言っただろう?」
と、そこへ去った筈のアスランが軍服に着替えて戻って来た。シンの様子を見て、フッと笑みを浮かべエリシエルに言った。
「先輩、本気で怒りましたね?」
「ええ。ちょびっと聞き分けの無い狂犬を抑えるのに」
「何だと!?」
狂犬、といわれてシンが再び怒鳴るが、ルナマリアに後ろから押さえられる。
「シン! やめなさい! エリィ先輩、武術の達人なのよ!? 貴方が敵う訳ないでしょ!」
「うるさい! 離せ!」
バタバタと暴れるシンに、アスランはフゥと息を吐く。
「君は弱い人間だな」
「あぁ!?」
「常に噛み付く相手がいないと何も出来ない。君の力は憎しみと怒りだ。だから、そうやって俺や先輩に突っかからないと気が治まらないんだ」
「違う! 俺は……」
「とりあえず命令違反だ。ルナマリア、独房に入れておけ」
「は、はい!」
そう命令され、ルナマリアは頷く。
「じゃ、私もシンをサポート出来なかったから独房に入るわ。行きましょ」
ポンとルナマリアの肩を叩き、歩き出すエリシエル。シンは、呆然と床を見ながら、ルナマリアに連れて行かれるのだった。
後書き談話室
リサ「え〜……作者がゲーム買った所為で投稿が切れちゃいました」
アスラン「一応、二日間徹夜らしいが……いつ寝てるんだ?」
リサ「学校でです」
アスラン「…………敢えて何も言うまい」
リサ「今回は戦闘主体! 分かったのは、ルシーアという方の異常性、アスランさんが意外とフェイスな人、エリシエルさんって実は怖い、の三つですね」
アスラン「俺が殴らなかった分、先輩がシンに痛い説教したからな」
リサ「でもあの人、何となく兄さんに似てません? 意外と怒らせると怖いとことか……」
アスラン「一応、フォールディア先輩は、君のお兄さんの部下だったからな」
リサ「しかし、何で機体がバビ?」
アスラン「作者が好きらしい。ああいう、高性能なのに見せ場が無く、消えていく機体が。スラムダ○クの翔陽、ミスター味○子の堺一馬、るろうに○心の心眼
の宇水とか……」
リサ「またマニアックで、作者の年齢がバレそうな……」
アスラン「Zのハンブラビもそのパイロットも好きらしいぞ」
リサ「はぁ……じゃ、次はローエングリーンですか?」
アスラン「いや、飛ばす。あそこつまらないから」
リサ「マジですか!?」
アスラン「っていうか、作者あそこTVで見てないんだよ」
リサ「えぇ〜!?」
アスラン「でも見なくても話は繋がってたな〜って、感じがバンバンだったし……」
リサ「まぁ……そうですね。特に重要なイベントでもありませんし」
アスラン「と、いう訳で次回は議長とミーアが地球に降りて来る話だ。議長の会談とシンとステラの出会いだな。正確には再会だが」
リサ「ま、私はシンさんが嫌いですから、ど〜でも良いですけど」
感想
あぁ…まあ、そうではないかとは思ってましたが…
シンに関しては、もう少し救いが欲しい所ではありますね。
私はシードディスティニーには幾つか不満がある人でして。
シンが成長しなかった事、シンに主人公としての葛藤を与えていない事。
キラが無敵すぎ(敵を一人の殺さないとか)な事、回想シーンが多すぎて後半物語を圧迫していた事。
最終話で全く盛り上がらない終わり方をした事でしょうか。
主人公がシンでもキラでもいいですが、相対した以上最終話までは兎も角、
最後二話くらいかけて決闘的戦闘でもしてくれれば盛り上がったんですが…
最終話のショボイ戦闘を見ると情けなくて…
出来れば、シンにも出番をあげて欲しい物です。
主人公はレンですから、脇役か敵役でしょうけど(爆)
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