【注意】 このSSはタイプムーンから発売されているゲーム「Fate/stay night」のネタバ レを含んでいます。
ゲームを未プレイの方は先にプレイ することをオススメします。
それでもよろしい方は先にお進みください。
Fate/stay nitro プロローグ
作者 くま
「うえっぷっ」
彼もしくは彼女かもしれないが、それは今にも吐きだしそうな感じだった。
吐き出しそうになるそれを必死の思いで飲み込み直す彼もしくは彼女。
彼もしくは彼女の心の声はこう語っていた。
「―――もう勘弁してください。
―――限界っス!マジで!!」
彼もしくは彼女はその言葉の通り、限界を迎えていたのだ。
彼もしくは彼女を人として観測できるものならば、
彼もしくは彼女の顔面は蒼白で脂汗をかきガタガタ震えている様が解っただろう。
一つの原因により、その存在を毒された彼もしくは彼女はここの所ずっと調子が悪かった。
だから、彼もしくは彼女はその原因を排除する為、作られた当初の在り様を超えて起動し始めた。
限界だった彼もしくは彼女は早急に事を進めるべく動いた。
暴走。
彼もしくは彼女を造ったモノからすればそう言っても差し支えない行動だった。
彼もしくは彼女は本来ならば参加者が選ぶべきものを適当に決定した。
それは一つで三つのものをあえて分けたり、
通常は使われるはずのないものを選んだり、
外部委託したり、
三回連続で同じものだったりした。
こともあろうに、参加者の資格すら適当だった。
前回の参加者の生き残りはもちろん選んだが、それ以外は本当に適当だったのだ。
彼もしくは彼女の行動の前に、もはやルールなどあってなきものだ。
それほどまでに、彼もしくは彼女は追い詰められていた。
ただ1点、彼もしくは彼女も復讐を忘れたわけでは無かった。
彼もしくは彼女を苦しめる原因を作ったモノにはしかるべき罰を。
そんな打算も含めたところで彼もしくは彼女は選択をしてもいた。
七組の内の一組は復讐の為に選ばれていた。
そしてその為にも普段よりもさらに我慢をしている所もあった。
復讐すべきあの一族に気取られてはマズイからだ。
まあ、結局彼もしくは彼女のその努力は無駄に終るのだが…。
吐きだしそうになるそれを必死でこらえる彼もしくは彼女。
復習の為、彼もしくは彼女は来るべき瞬間を待ち、待って、待ちつづけたその瞬間。
彼もしくは彼女は我慢していたそれを解放したのだ。
それは今までと同じものの始まりの合図であり、
また今までの在り様を全く違えるものの始まりを告げるものでもあった。
一番に優先されるべきは彼もしくは彼女の復讐だった。
彼もしくは彼女の復讐の為、ただそれだけの為に、
前回に最初の参加者となった者が、今回も最初の参加者に選ばれたのだ。
参加者を選んだ彼もしくは彼女は冬木の町に長く在るもの。
その彼もしくは彼女の名を『聖杯』といった。
こうして冬木の町の六回目の『聖杯戦争』の火蓋は切って落とされた。
続く
あとがき
と言うわけで連載で始めてしまいました。
現段階で全くオチが見えてません。
故に無事完結まで続けられるかわかりませんが、どうぞお付き合いの程を。
次話には一組目の組み合わせが明らかになります。
皆さんの予想を裏切る展開が!!………出来たら良いなァ。
ではまた