「ですが、三人とも素質はあると思います。もう少し時間があれば実践訓練での検証も出来るんですが……」

「後、39時間……」

「これって、地球の危機って事になるのかね?」

「怖いです〜〜〜(泣)」


そう、作戦が目前に迫っている。

そして、39時間以内にフタバアオイを開放しないと場合によっては地球に核の雨が降ることになる。

人質にとられた政府高官の子弟のことも気がかりだが、どちらにしろ、犠牲なしに事を終わらせるのは不可能に思えた。

イツキは少し険しい顔になるものの、すぐに顔を上げ、二コリと微笑んだ。


「はい、時間が無いのでもう一回訓練しましょう」

「「「ええぇーーー!!!!?」」」


少しでも底上げをしておかねばとイツキは思う。

戦場で死んで欲しくは無い。

同じ人間と戦うという事を考えれば余計に……。





機動戦艦ナデシコ
〜光と闇に祝福を〜



第十七話「それぞれにある『正義』」その5



<火星の後継者>の宣戦布告より10時間。

フタバアオイコロニー内は意外なほど静けさの中にあった。

基本的に<火星の後継者>は通信のブロックと宇宙港及び軌道エレベーターの封鎖くらいしかしていない。

コロニー内部は第三層を乗っ取ったのみである。

これは、純粋に人員が足りない事に起因する。

フタバアオイ内部の火星の後継者の数はおおよそ5000人。

第五艦隊と合流して一気に膨れ上がった物の。

半数近くはヨーロッパの兵士であり、いつ裏切ってもおかしくない。

10万近くいる元火星の住民による第五艦隊の義勇兵も、事態を完全に把握しているのかは怪しい所である。

よって、コロニー内部は未だ増員の見込みはなく分散配置しているため隙も多い。


「これがラピスやアメジストに連絡を入れてルリの入手した情報とあわせた推測だが……」

「第五艦隊が従っている理由が判断できかねますし、人員の増員をしない理由としては薄いという気もしますね」

「確かに、少し希望的観測が入っているかもしれないな」


俺はルリと頭をつき合わせて話し込んでいる。

実際八方塞がりには変わりない所だが、リンクを使って情報を集められるために、

多少普通に情報収集するよりは正確な推論を作り出せると思ったのだが、

実際問題分からない事が多すぎて現時点ではお手上げだ。


「晩御飯に出来そうなもの見つかったわよ」

「あ、すみません」

「じゃあ行くか」


べスに伴われて座り込んでいた部屋から隣の部屋に移る。

俺は今まで筋肉痛で動きが取れなかったし、ルリも疲れのために眠り込んでいた。

俺達を回収したアルフレートらは、倉庫から車を使ってここまで移動した。

ここは、普段は利用されていないべスの知り合いの別荘らしい、

俺達はここに来る途中で狙われている事をはなし、巻き込むからとは言ったのだが、

考えてみればあの飛行機は目立ちすぎる。

もう完全に係っているからと言われればそれまでだろう。

実際、[今から分かれたとして助かるのか?]と言われている。


「さて、俺達にも分かるように説めムゴッ……!?」

「……ふう、あぶない」

「まさかここまで来るとは思えませんが……」

「へっくち」

「アイちゃんどうしました?」

「今、お兄ちゃんが呼んでいたでちゅ♪」

「そうなんですか、良かったですね」

「うん♪」

俺とルリは冷や汗をかく、

あの人……いや今はあの子か、説明のためなら時空を超えかねない(汗)

もっとも、口を塞がれたアルフレートはもごもごと抗議をしているようだ。

他の三人は目を点にしている。


「今から判っている事だけ話すから、静かに聞いてくれ」

「ですね、くれぐれも先ほどの<せ>のつく言葉は禁止にしてください」

「……トラウマでもあるの?(汗)」

「聞かないでくれ(汗)」


微妙な沈黙が落ちる中、俺はコホンと咳払いをしてから話を続ける。


「先ず最初にこのコロニーは<火星の後継者>と名乗る者たちに占拠された」

「うん、どうやらそうみたいね」

「でもこのコロニーを丸ごとか?」


べスが作業着にかかった金色の髪を払いながら憂鬱そうに応じると、

リョウジが少しおなかをさすりながら席に着いた。


「ああ、内情まではわからないが火星出身者が大半を占めるテロリストという事になるのだろう」

「……あの放送を聴いていたけど、あそこまでひどい仕打ちがあったの?」


べスは不思議そうに俺たちを見る。

確かに、日本では表立った差別はあまり見られなかったのは事実だ。

しかし……。


「確か火星出身者は大体ナノマシンを体に埋め込んでいるんだよな?

 地球ではナノマシンを体に入れた人間に対する差別が根強い。

 他にも、ボソンジャンプっていうのはジョーとかいう人物やナデシコが実際に使っている。

 ある程度は本当だと考えた方がいいんじゃないか?」


ワガンが体格のいい体を席に沈めつつ、核心を突いた言葉を言ってきた。

そう、火星出身者はそれだけでも差別対象にされる傾向にあるのだ。


「不満などが蓄積していたのは事実です。ただ、その中核をなしている人物は……」

「海燕ジョーだっけか、ゲキガンガーのキャラクターだよな。全然似てないけど」

「そう、ただし火星を救った英雄です」

「……」


ルリは俺の事を知っているはずだが、ぼかしている。

混乱を避けるには必要な事だろうが……。


「それでさ、俺達は人質ってわけだな」

「そうなる」


リョウジの言葉に俺はうなずく。

現状はほぼ最悪、このままでは人質としてコロニー内でい続けるか、先ほどのようなやつらに捕まるという選択肢しかない。

脱出しようにも港は全て封鎖されているし、コロニーの周りは元第五艦隊が囲んでいる。

連合宇宙軍もおっつけやってくるだろうが、この状態を解決する策があるだろうか?

誰もが必死に打開策を考える中、俺は頭の中に響く声を聞いた。


(アキト、聞こえる?)

(ん? ラピスか)

(今から私達は、連合宇宙軍と一緒にフタバアオイに対する作戦につく)

(そうか……)

(元火星の人たち40万人を連れてね、ちょっと可哀相な気もするけど……)

(!?)

(向こうが人質で来たからね、人質交換って言うわけ)

(つまり、は火星の人たち全てを差し出して人質を解放させるというわけか)

(うん、アキトにとっては辛いかもしれないけど……)

(それはカグヤちゃんの発案か?)

(うん、って何で分かったの?)

(なるほどな、このまま彼らを地球においておくのはまずい。

 火星の人々は差別対象だからな、更に酷い差別や正義を気取ってリンチに走る輩が出かねない)

(ふーん、つまり人質の奪還と、火星の人たちの安全確保の両方の意味があるわけなんだね)

(そうとも言い切れないが、その後の戦いの行方次第だな、それに彼女なら三つ目の効果も狙うかもしれないな)

(?)

(それは……)


「アキトさん!」

「ん?」

「もう、聞いているんですか?」

「すまん、今知らせが来た」

「アメジスト……いえラピスですか、何か進展があったんですか?」

「ああ、だが……」


俺は視線を回す。

同じ食卓についているワガン、アルフレート、べス、リョウジが俺達を不信そうに見ている。

それに対してルリは動じる事もなく一言。


「気にしないでください」

「「「「気にするわ!!」」」」


結局俺が実験的に精神の通信のようなことが出来る事を全員に話す羽目になった。

アルフレートはあまり興味なさそうだったが、べスもワガンもリョウジも興味心身で聞いていた。

ルリは少しつまらなさそうにしている。


「つまり、テンカワ君は今外部の情報をもらえるわけね」

「そうなるな」

「それで狙われていたの?」

「……」

「あまり、深入りはお勧めしません」


俺が黙り込むとルリが俺をかばうように前に出る。

何か言おうとしたべスはその時点で固まったように口をつぐんだ。


「兎に角、人質交換はそれほど時間を置かずに行われるはずだ。お前達はそれにまぎれて帰ることだ」

「テンカワ達はどうするんだ?」


ワガンは俺を見て真剣に問い返す。


「俺達は流石に見逃してくれないだろうな……いや、俺はと言うべきか」

「どういう意味だ?」


リョウジが不思議そうに俺を見る。

俺は、戦闘の役に立てる意味で持ち歩いていたバイザーをポケットから取り出す。

それをつけたとき、4人からうめき声があがった。


「海燕ジョー……」

「一体どういう事なの?」

「お前まさか……」

「……」

「俺が海燕ジョーだった、そして今は別の誰かがしている」

「つまり、邪魔に思った偽者がテンカワ君を消しに来ているというの?」

「そういうわけだ」

「でも、だとすればどうやって脱出するつもり?」

「何、難しい事じゃない。ここにはミサイルをボソンジャンプさせるための施設があるはずだ。

 そうでなければミサイルを飛ばす事など出来ないからな。

 そして、俺とルリは跳べる」

「そうです」


ルリは俺に向き直って微笑む。

俺がルリを置いて行くと言われなかったのが嬉しいらしい。

しかし、北辰のターゲットになった今、ルリ一人でも安心できる状況ではない。

だから……。


「そういう訳だから、俺達を助けてくれたのは嬉しいが……」


そう言おうとした時、屋敷の外に気配が生じる。


「伏せろ!!」

「な!?」

「何!?」


何人かは窓のほうを向いたものの、既に窓を突き破って人が入り込んでいた。

組笠(編み笠とは微妙に違うらしい)をかぶった異様な一団……。

その数7人。

見紛うはずもない、ホクシンと北辰衆……。

まずい、この状況では庇いきれない。


「対応が遅いな、テンカワ・アキト……コロニー内で我らの目が届かない所があるとでも思ったか?」

「クッ!?」

「もっとも、それ以前に貴様には発信機がついているのだがな」

「な……」


烈風のつぶて……くそ、あの時か!

そう考えている間に、北辰衆が動いていた、目指しているのはルリ達の方向!?

           まとい

俺は、とっさに<纏>を発動、北辰衆の動きを止めようとするが、ホクシンも同時に動いていた。


「その技、木連式の肉体操作術<纏>だな」


俺の拳を手に持った錫杖で払い、そのまま体勢の崩れた俺の体に突きこんで来る。

俺は、その錫杖をのけぞったまま跳ぶことでどうにか避けた。


「動きにも木連式柔の流れが見える」


<纏>を発動した俺の動きと同等かそれ以上の動きで北辰は迫る。

恐らく、奴も<纏>を発動しているのだろう。

俺は焦りを感じていた。

北辰衆は俺を無視してルリと学生達に向かう。


「くそ! 今はお前に構っている暇はない!!」

「ククク……あの少女、遺伝子操作されているな……。人にあらざるもの、妖精か」

「それがどうした!」


ホクシンは何も言い返さず、唇を湿らせるように舌を動かす。

それは、蛇が獲物を見定めたような印象だった。


「くそ!!」


俺は極限近くまで加速、ホクシンに連撃を叩き込む、だが、ホクシンはそれを捌き、いなし、ダメージを与えられない。

それでも、徐々には押しているものの、限界が近づいてきていた。

気配でルリ達がまだ無事であることは分かるが、背後の状態は分からない。


「ククク、貴様がいかにあがこうと、現実は変えられぬ!」


俺の連撃の息が切れてきた所を見計らってホクシンが錫杖を撃ちふるう。

俺はとっさに跳び下がるが、肩口が浅く裂ける。

背後のルリ達の気が小さくなっている、しかし、目の前のホクシンを倒さないかぎり、向こうには進めないだろう。

くそ、このままでは……。

ホクシンの錫杖の連撃が迫る。

俺は、大きく避けながら跳びずさる。

タイミングを合わせてもぐりこみたい所だが、ホクシンの素早さについていくのがやっとで攻撃にまで手が回らない。

やはりホクシンは強い……。

俺は覚悟を決めて踏みとどまると、賭けに出る事にした。


「ほほぅ、我と刺し違えるつもりか」

「そんなつもりは全くないが、場合によっては仕方あるまい」


俺とホクシンは静かに構え、自然体で立つ、サレナでの一騎打ちを思い出すその状況に俺は緊張した。

俺は以前とほぼ同等の力を取り戻している、しかし、ホクシンは前に戦った時より若い。

4年の若さがどれほどの違いを生むのか予測できなかった。


「ふぅぅぅぅぅぅ!」

「はぁぁぁぁぁぁ!」


俺とホクシンが激突する。

錫杖をもって俺にたたきつけてくるホクシンと避けつつ踏み込んでいこうとする俺。

一瞬の交錯だった。


「ぐ!?」


俺はわき腹を打たれて肋骨にひびが入ったらしい。

わき腹を刺すような痛みが走り抜ける。


「がは!?」


ホクシンの右胸が拳状に陥没する。

恐らくは折れたはず。


「さすがだ、復讐人よ……」

「な!?」

「ふふ、我を倒すためにそこまで強くなったのだとすれば流石と言わせてもらおう」

「なぜそれを!?」

「さぁな、我の知る者に少々口の軽い輩がいただけの事」


……オメガか?

いや、時期的におかしい気がする。

根拠はないが、オメガは種をまいたと言っていた、これもその一つだというのか?

だとすれば、俺の過去を知るものが多く存在している事になる。

暗澹たる気持ちになったが、それでも、ルリ達の方が心配だ。

俺はホクシンを倒すべくもう一度立ち上がろうとしていた。


「クク、貴様のあがき、なかなかのものだな……しかし、我を退けたとしてもその体で六人衆を相手に出来るかな?」

「黙れ!」


俺は同じく立ち上がり始めているホクシンに止めを刺すべく近づいていこうとした。

しかし、立て続けの<纏>の反動か、体が上手く動かない。

ギシギシと筋肉が悲鳴を上げているのが分かる。

それでも、もう一度無理やりに<纏>を発動しようとした。

その時!


「ごばぁ!?」

「グギャ!!」

「何!?」


突然、悲鳴とともに何かが突入してきた。

強大な気を持つ何か、それは瞬く間に北辰衆を圧倒し俺の眼前に立つ。


「はじめましてご主人。

 見事に死に掛けているようだな。

 だが、その意気やよし!

 このメイドガイバッジを進呈しよう」


何か重そうな金属のバッジを押し付けてきた(汗)

唐突に現れた雲を突くような大男、ゴートと比べても遜色ない筋骨隆々なその男の格好は……。


メイドだった……(滝汗)


いや、もう何が現れても驚くには値しない筈だが、視覚的なインパクトは強すぎる。

筋骨隆々なメイドなんて聞いた事がないし、男はメイドじゃなくて侍従では? とか。

ロングヘアなのはメイドを意識してですか? とか。

何故に半そで? とか。

異様に伸びたその爪は不潔だからメイドに向いてないんじゃ? とか。

目元を覆っているバイザーのようなものはもしかしてあてつけですか? とか。

無意味な質問が怒涛の如く押し寄せてきたが、何とか口をつぐむ。

多分聞いてはいけない事なんだろう。

つーか、コレと同じじゃコーラルも可哀相だ(汗)

しかも、俺の事をご主人とか呼んでいるし(汗)

ホクシンですら呆然と事態を見守っている。

多分脱出のタイミングを間違えたんだろうな……(汗)


「さて、自己紹介等はいらぬ事。

 このままでは、ご主人の命も風前の灯だ。

 だが、任せて安心メイドガイ!

 貴様の身の安全は怖気をふるうほどに保障してくれよう!」



メイドガイと名乗ったそのメイド風変態大男は、くるりと向き直るとホクシンに飛び掛った。

ホクシンはそれを軽く捌く、俺よりもダメージは大きかったはずだが、<纏>の反動はまだ来ていないのだろう。

しかし、大男もかなりの速度で動いている。

ホクシンといえど、あれだけの豪腕の攻撃を防ぐのは辛いだろう。

<纏>を発動すればどうとでもなるだろうが、それをすれば俺と同じになる。

その時のために俺は止めを刺すべく<纏>の準備をしながら待機していた。


「貴様何者!?」

「貴様の様な輩に名乗る名は無いが、このメイドガイコガラシ、名を知られても困る所など無い!」


大男……いやコガラシか、はホクシンを追い詰める。

本調子ではないとはいえ、ホクシンを追い詰めるとは……。

俺はそう思いつつ、ルリ達の状態を把握するため気配を探った。

どうやら大男は北辰衆を撤退させる事に成功したようだ。

特に危険な気配は見当たらなかった。


「仕方あるまい、ここは一度引くか」

「ぬぅ、逃さん!」


ホクシンは言い終わるより前に煙球を数個周辺に飛ばし視界をふさいだ後、逃げ出そうとした。

全力を出せない状況では勝てないと踏んだのだろう。

しかし、コガラシは俺が思う以上の変体だった(汗)


「クク、それで隠れたつもりか! 37あるメイドガイセンシズを持ってすれば視界を奪われた程度どうと言う事も無いわ!」

「く!?」


コガラシはまるでホクシンが見えているかのごとく蹴りを繰り出した。

それは空を切ったが、ホクシンの声は確かにそこからする。

俺は煙に霞む目で、その程度は把握していたが、気配を読んで戦っているだけではないのか?


しかし、コガラシの速度ではどうしてもホクシンは捕らえきれないようで、

いつの間にかホクシンの気配は遠ざかっていた。
























あれから一時間後、俺達は場所を移して一休みしていた。

現状、俺とルリ、メイド風変態男、そしてアルフレート、べス、ワガン、リョウジの6人が取り合えず森に潜んでいる。

会議の様な事をしようということになったのだが、さっきの事もあり、べスたち大学の生徒は口をつぐんでいる。

それに何より、メイドガイと名乗ったこの男に警戒しているという感じであった。


「ご主人、このメイドガイ特性溶解液を塗るがいい」

「溶解液?」

「ご主人には特殊なパルスを発信する塗料が塗りつけられている、

 先ほど羽織ってもらったコートでとりあえずパルスは外部に漏れていないがな」

「発信機か!?」

「そうとも言うな」

「しかし、そのネーミングは……体は溶けないだろうな?」

「クク、この溶解液は宇宙船の装甲板をも溶かす特別製だ! ひと塗りすればたちまち何もかも溶け崩れ……」


スパー ン!

「アキトさんを溶かさないでください!」



ルリがコガラシにスリッパをたたきつけるが、コガラシは全く効いた様子が無い。

まぁ体格的にそういうのには強そうだが。

もっともルリはかなり本気でたたきつけたようだが(汗)


「ククク、心配する必要は無い。前にネズミに塗った時は特に溶ける様子は無かった。動物が溶けないなら問題あるまい?」

「いや……せめてもうちょと保障が……」

「気にするなご主人! ちょっと体が溶けても、我のご奉仕で貴様に不自由はさせん!」

「……そもそも、何で俺が主人?」


あまりの異様な雰囲気に流されていたが、そもそもこの男にご主人呼ばわりされるいわれは無い。

一体何がどうなっているんだ!?


「ククク、貴様知らないのか? 我らはメイド、ご奉仕するのに理由は無いわ!」

「いや、あるだろ普通は」

「まぁない事もない、ネオスの事は知っているな?」

「ん? ああ……」

「その治療法が貴様にご奉仕すること。そういう事だ」

「……は?」


それはいったい……。

(あっ、繋がった)

(ん? ラピスか)

(今そっちに変なメイド来てない?)

(ああ、確かに来ているが……変なメイドというかメイド風の変態が……)

(ははは……そのメイドはネオスのメイドの一人で、先にそっちへ行ったんだって)

(先に? そもそも宇宙船は入港できないだろう?)

(それが……連合軍の宇宙船に密航して、ノーマル戦闘機を強奪、

 それである程度の所で破棄、火星の後継者に破壊される戦闘機のデブリにまぎれて宇宙服で潜入だって……

 人間技じゃないね(汗))

(……汗)

(兎に角、来たらこき使ってやってって伝えてって、ロマネって人から頼まれたから)

(わかった……)

(うん……アキト、無理しないでね……)

(ああ……)


「それで、ご主人。これからどうするのだ?」

「コガラシ……でいいのか?」

「ああ、このメイドガイコガラシ、呼び方でどうこう言うような小さな心は持っておらん」

「……じゃあ、コガラシ。一つ聞きたい、このコロニーからの脱出プランはあるか?」

「思考を放棄する気か、このめんどくさがりご主人め!

 だが抜かりはない! いつでもどこでも任せて安心メイドガイ!

 このメイドガイプランを聞けば脱出などへそで茶を沸かす如く簡単な事よ!」

「いや、普通の人は沸かせないから……(汗)」


俺は、コガラシのプランを聞きながら唸っていた。

コガラシの能力なら不可能ではないだろう、しかし、現状目を付けられたべスたちにまで同じ事をやらせるのは難しい。

俺はその辺りをコガラシに説いたが、根性論に持ち込まれてしまった……。

戦力増強と言う意味では頼もしい助っ人だが、性格は正直ナデシコメンバーよりも信用出来ないようだ……(汗)











なかがき


やってもーたー(滝汗)

仮面のメイドガイ、コガラシを出してしまった(汗)

今までクロスさせないようにしていたんですが、どうしてもこういうキャラは逃せなくて……。

おいし過ぎますから!(爆)

まぁずっとメインを張るわけではないはず……。

でも、コガラシとアキトのコメディは意外にいけそう……。

因みにメイドガイテイマー、フブキの出番は今のところありません。

もうメイド9人全員だしてしまったし(汗)

後はシェリーの問題もありますからね。

メイドが既に10人に!(多すぎ)



この辺で少し勢力の整理をしないといけないかなー。

私も設定というわけではありませんが、ここに少し記しておきます。


地球側勢力


連合宇宙軍(最大だが国家間の兼ね合いで動きは遅い)

クリムゾン(世界最大の武器メーカーにして巨大コングロマリッド、ただし、最近は経営に陰りが見られる)

ネルガル(急成長してきた武器メーカー、同じくコングロマリッドとしての側面もあり、クリムゾンが危険視している)

明日香インダストリー(コングロマリッドから武器メーカーとしても急成長中の企業、ただし、ごく最近に限られる)

貴族連盟(過去にためた資金がかなり大きくなっている、没落するものもいるが、運用するだけでかなりの利潤を得ている。

       過日の権力を取り戻そうという動きも見られる)


火星側勢力


一般市民(40万人)

火星の後継者(5000人)

連合宇宙軍の志願兵(10万人)


木連側勢力


草壁派(最大勢力)

ガニメデ(自治国家)

カリスト(自治国家)

エウロパ(自治国家)

神崎派(軍の一部及び、数名)


こんな感じかな〜と思います。

アキトは今のところ地球側ということになりますが、

この先の流れ次第で色々あるかもしれません。

というか話はまだ中盤に入ったところ、このお話の後は色々ありますからねー。

早いこと進めないといけませんな(汗)

ではまた〜。



WEB拍手……。

いや、申し訳ないです。

最近まともにWEB拍手の設定とかしてなかったんで、WEB拍手を普通の状態にも戻せない。

いったいどうしたものやら(汗)

拍手の際うざったいかもしれませんが、お許しください。



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