ギャラクシーエンジェル
新緑から常緑へ(中編)
「エネルギーバイパス稼働、エンジン始動中、出力40%を維持! エルシオール発進準備完了!」
「周辺宙域策敵完了!
現状、直上方向、左舷下方、右舷後方の3方向からそれぞれ約2000の艦隊が、
おおよそ10光分の距離を取って布陣しいています!」
「我が方の艦隊は第三方面軍1122、第四方面軍895、第五方面軍960の2979隻と、
ルフト少将率いる第六艦隊342、そしてテンカワ准将率いる近衛艦隊81、計3409隻となります」
「うむ……、してアキトはどう見る?」
シヴァ皇子と共にエルシオールのブリッジに戻ってきた俺は報告を聞きながら考える。
今、一番いい方法は何か?
6000隻の敵艦隊相手に正面から戦う事?
ノー、倍の数がいる事もだが、それで終わりとも限らない。
何せ、向こうは無人艦隊、艦隊を編成するのに人材育成をする必要がない。
クーデターを起こした時に3000隻、半年もたたないうちにそれほど増えるか?
疑問に思わなくもないが、そもそも最初に3000隻の無人艦隊をエオニアが用意出来た事がおかしい。
何せ彼は孤立無援で国外へと蟄居させられた身、ありていに言えば島流し。
そもそもトランスバールの国外とは銀河の海の中、人類には未知の領域のはずだ。
そんな領域で無人艦隊を用意したなら、何か特殊なものがあるはず。
かの木連が持っていた木星遺跡”都市”のように無人の製造工場である可能性が高い。
だとすれば木連が万に届く程の無人艦隊を持っていた様に、エオニアも持っているはずだ。
ならば、叩くべきはエオニアとそして彼の頼りとしている遺跡。
そして、彼らの艦隊がトランスバール方向から来ているなら、
恐らく遺跡もそう遠くない宙域に移動している。
「敵軍の大部分は布陣の状態のまま動きません! 我が軍からも無人偵察機を出している程度です!」
「……ルフト准将に通信を繋いでくれ」
「了解しました」
『だから! こいつらを叩いても何にもならんと言うておろうが!!
倍する敵軍というだけではない! 向こうは兵士がいらない無人艦隊なのじゃぞ!
いくらでも補充が効く! こちらはそうはいかん!! それが分からんのか!!』
「……あー、構わんだろうか?」
俺が声をかけた時、通信に映ったルフト少将は丁度第三艦隊司令と口論している時だったようだ。
先ほどの通り、6000隻が偽装だというのが元艦隊司令部の意向なのだろう。
それは、別に間違った見識ではない、普通の財源で普通に戦えば早々戦艦は作れない。
財源がない、資材がない、作る人員がいない、どう考えてもエオニアにそれだけの艦隊増加はおかしい。
まだ、征服したトランスバールからまともに税を徴収する時間もないはずだからだ。
だがそれは、自動的に無人艦隊を作る遺跡”都市”のような存在があると仮定すればひっくり返る。
時間を与えれば毎日数隻、いやこの増加スピードなら毎日50隻以上増えているだろう。
俺達がエンジェル隊を駆使して100隻くらい破壊しても2日で回復する計算だ。
つまり、エオニアに時間を与えればこちらに勝ち目が無くなると言う事。
恐らくルフト少将も俺に近い考え方を持っているから司令部に意見していると言う所だろう。
『ん? なんじゃアキトか? 昇進祝い等してやる気はないぞ?』
「いえ、挨拶をさせてもらおうと思いまして」
『……ふむ、なるほど。またやれと言う訳か』
「何度も悪いですが」
『なあに、その手の事はいつもの事よ。まだ近衛艦隊にはアレがあるようじゃしな?』
「はい、ではお願いします」
『全く、年寄り使いの粗い坊主じゃな』
「何、先生はまだ若いですよ」
『そうか、まだ若いか! なら若者の務めをしなくてはの! 行って来い!』
「はっ!」
通信が切れた、何となく言っている事が分かった者もいるだろうし、分からなかった者もいる。
シヴァ皇子は残念ながら分からなかったようだ。
困ったような顔をして俺を見、そして勇気を振り絞るような感じで聞いてきた。
「その、一体何の話をしていたのだ?」
「ルフト少将はここに残って、エルシオールのように偽装した艦を守ってくれるそうです」
「は? 今の会話がそう言う意味であったのか?」
「そうですね、まあ直接言葉に上らせると、誰に聞かれるかわかりませんから」
「なるほどの……」
「これから、エルシオールは識別コードを変更、艦内エネルギーを巡洋艦と同等に偽装します」
正直符牒等と呼べるものではなかったが、ルフトなら分かってくれると思ったのでやった。
この戦場で挨拶とは、つまり別れの挨拶、そして過去それをやった事がある。
ルフトはこの時点で既に俺がルフトにまた囮をやれと言っている事に気付いたはずだ。
そして引き受ける事を決めてくれた。
ならば俺達のやる事は、エオニア撃破、恐らく遺跡”都市”の様なものを見つけて破壊する事だ。
旨く接収出来ればこの国の為になるかもしれないが……。
その辺りは臨機応変にいくしかないだろうな。
「旗艦機能をルフト少将の乗艦ルクノワールへ委譲!
我らはこれよりルフト提督の第六艦隊に紛れ敵艦隊を突破する!
その際、目立たないようにエルシオールのエネルギー消費を必要最低限に落とす!
そして、エンジェル隊は待機、エルシオールに直接取りつかれた場合を除き出撃は控えるように!」
そう、この包囲を突破する事自体は容易いだろう。
全速力で離脱し、そのままクロノドライブに突入すればいい。
しかしそれでは、ルフト准将に頼んだ囮の役目が機能しない。
何れはばれるだろうが、出来るだけそれまでにトランスバール本星に近付いておきたい。
シヴァ皇子を連れていくべきではないのだろうが、一つ気になる事もあった。
白き月に入るカギがシヴァ皇子であると言う事。
そして何よりシヴァ皇子が自ら志願してきたのが大きい。
「足手まといには決してならん!
着る物もユニクロで構わぬし! 食べ物もインスタント食品で構わぬ!
自分一人で生活しろというならばする! 故に置いて行く等という事はするな!」
「今まで以上に命の危険があります。今までは脱出行でしたが、これからは戦いに行くのです」
「それでもじゃ! エオニアと戦うというのに、近衛の要であるエンジェル隊が行くというのに。
我だけ行かぬと言う事はありえぬ!」
「……わかりました、しかし、侍女達はどうするのです?」
エルシオールを操っているスタッフの大半は元々白き月の巫女シャトヤーンに仕える侍女達。
白き月が一種の国家であった事を考えるなら、その重臣達であるといっていい。
シヴァ皇子はずっとシャトヤーンに育てられ、母子と慕う存在ではあるが……。
トランスバール奪還のために連れて行くのは筋が違うとも言える。
「暇をやる」
考えるまでも無いと言うように、シヴァ皇子が告げる。
その事に、侍女達、ブリッジにいた艦内スタッフ達全員が凍りついたように動きを止めた。
本人にはそのつもりが無いのかもしれないが、侍女に限らず宮仕えるにとって暇とは解雇通告だ。
彼女らの顔が青ざめる。
だが、その内、以前俺に銃を向けた侍女が気丈に声を上げる。
「お待ちください!!」
「どうしたのだ?」
「殿下が行くというのであれば、我ら侍女は皆着いて行きます!」
「……だが、お前達は我と違いどうしても戻らねばならぬ理由はなかろう?」
「我ら侍女は元より月でシヴァ皇子に仕える為に育てられてきました。
シヴァ皇子が死ねと言うならば死ぬ、そう言う者達しかおりませぬ」
「なんと……」
今度はシヴァ皇子が驚く側だ、実際こういう例はよくある。
王族にとって、信用できる人間はそういない。
それゆえ侍女等身辺の者は決して裏切らぬよう子供の頃から王族に絶対服従する事のみを教えるという。
もっとも、実際目にした王族がやはり鼻もちならない人間だったりすれば限界が来る事もある。
そうでなくても王族同士の殺し合いも良く起こるためこの方法は危険と隣り合わせでもあった。
しかし、月の民が育てた皇子はシヴァ皇子だけ、つまり元よりシヴァ皇子のみの侍女であったと言う事。
ただ、それは傍仕えの十数人前後と言う所だろう、何百人もいる彼女達全員がそうとは思えない。
実際、不安そうな顔をする者もいた。
「だがそのような理由で許可をする事は出来ぬ。我が許す故……」
「殿下!」
「……」
真剣な目でシヴァ皇子を見る侍女。
他の侍女達も決意を持っているように見える。
それが正しいのか否か、それは本人達にしか分からない。
ただ、皇子に出来る事は、正しいと認めるか、あるいは間違っていたと認めさせるか。
次の一言で彼女らの命運は決まるだろう。
シヴァ皇子が俺を見る、それは戸惑い、しかし直ぐに決意のそれと変わった。
「ならば、我と共に死ぬ覚悟があると言う事だな?」
「「「「「はい! 殿下がお望みとあらば!」」」」」
「ならば好きにせよ、しかし、脱出行の時より更に隠密行動となるそうだ、贅沢はできんぞ!」
「「「「仰せのままに!」」」」
「こう言う訳なのだが、構わぬか?」
「はい、殿下がお望みとあれば」
「言うでない、まったく……」
正直彼女ら全員に出ていかれるのは困る、紋章機の整備は彼女らにしか出来ないからな。
それに、エンジェル隊のテンション維持の為にもある程度は無駄も必要だろうとは考えていた。
ともあれ、クルーに問題がないのなら、次にする事は決まっている。
「レスター作戦準備!」
「ああ、了解した! その代わりお前はそこの嬢ちゃん達の相手をしておいてくれよ?」
「……」
少し凹みそうになるが、扉の前ではエンジェル隊の皆が縦になって倒れていた。
それぞれ言い訳をしているが……気になっていたと言う事だろう。
俺自身色々決めかねていた所もある。
ヴァニラ達を巻き込んで良かったのか、力があるとはいえ若い女性ばかりだ。
シヴァ皇子に関しては更に言うまでも無い。
だが、皆志願して来てくれたのなら俺は断る訳にはいかない。
失敗する訳にはいかないからだ。
「あの……アキトさん?」
「なんだ?」
「あたし達……勝てますよね?」
「何、相手の正体はある程度読めた。なら勝ち目は十分あるさ」
「へぇ、言うじゃないかい」
「フンッ根拠なんてないくせに」
「あら、あるようですわよ」
「えッ!?」
「ま、そう言う事だ。任せてくれ」
俺は出来るだけ自信があるようにふるまう。
ランファのそれは本当は不安の表れだろう、ミントのフォローに感謝だな。
実際、作戦ゼロと言う訳でもないが確実性と言われると難しい。
だが今やらなければ、時間は俺達の敵となった。
無人艦隊は無限に増える、エオニアの統治機構が完成すればトランスバール全土が敵になる。
そもそも王族なのだから、問題はあるにしてもトランスバールの後継者として認められるのは時間の問題だ。
今はまだ白き月のシャトヤーンが抵抗しているから皆が認めないだけだろう。
だが、その白き月とて人工の星だ、いつまでも外交なしでやっていけるほどには安定していまい。
だからこそ、主力を味方艦隊が引きつけてくれている今しかエオニアの懐に入り込めるチャンスはない。
そう、今やらねば勝ち目がないのだ。
「さあ皆、今のうちに休憩を取っておいてくれ。
作戦が開始されたらもう、最後まで休憩をとる時間がないかもしれない。
身体を休めておかないと身が持たないぞ!」
「「「「「了解!」」」」」
エンジェル隊は三々五々解散する、そして、俺はシヴァ皇子にも休むように言い、
俺自身、後の事はレスターらに任せ一時休憩をとることにした。
レスターらも交代で休憩をとるようには言ったが、真面目な奴の事だどうなるか。
本来なら、俺にはエンジェル隊のテンション管理の仕事がまだあるのだが正直俺も休憩したい。
一度部屋に戻って身体を休めよう、そう思い自分の部屋の前まで来た。
エルシオールの提督室、ルフトの後釜なのだから当然だが今は俺の部屋だ。
だが、その部屋の前には見知った人物が立っていた。
「ヴァニラ、どうかしたか?」
「いえ……、休憩時間に健康診断をしたいと思いましたので……。ご迷惑でしたか?」
「いや、構わないが……」
俺は取りあえずヴァニラを部屋に案内し、ベッドに腰掛ける。
ヴァニラはその正面に椅子を持ってきて座り、俺の手をとる。
「ウギウギ」
ヴァニラの背中に乗っていたフェレットのようなナノマシン集合体が俺に接触、
俺の体調、傷等の具合、体内ナノマシンの状況等を診断していく。
ヴァニラは目をつむり、それらの情報を整理しているようだった。
「大丈夫です。特に活性化もしていません。この状態であれば合体も耐えられると思います」
「そうか……、多分次は使うだろうからな。ありがたい話だ」
俺は表情を緩める。
合体で多少ナノマシンが暴走するとしても構わない。
しかし、それで戦えなくなるのは不味い。
戦力として合体がどれほど大きいのか今までで散々理解しているから特に。
しかし、ヴァニラは少し目を伏せる、表情にほとんど変化はないが何か思いつめているようだった。
「出来れば合体、いえ、エステでの出撃は控えて頂けないでしょうか?」
「それはどういう意味だ?」
「エンジェル隊のテンション管理も提督の仕事です。
今のエンジェル隊の精神的支柱はアキトさん、貴方です。
もしもアキトさんに何かあればエンジェル隊は……私は戦えません」
「それは……」
それが何を意味するのか流石の俺でも分かった。
ヴァニラはいつの間にか俺の事を大切に思ってくれていたらしい。
意思としてのお得意さんから家族、その位の変化はあるだろう。
恋愛かどうかの判別は流石につかないが、しかし、俺の事を大切に思ってくれているのは伝わってくる。
だがそれは出来ない相談だ、相手の戦力も判別できていない以上温存できる戦力はない。
「出来ない」
「……そう、ですか」
「ああ、戦力は相手の方が上、それは間違いない。
今までで最も苦しい戦いになる、だからこそ戦力の出し惜しみは出来ない」
「……わかりました。ではせめて、ハーヴェスターは直衛として付けてください」
「……わかった、エオニアとの決戦では必ず」
実の所、戦力の固定化は避けたい所だったが今は確実な事を言える訳じゃない。
だから、ヴァニラのその言葉を無碍にできなかった。
指揮官としては失格だな俺も……。
「それと、これ……」
「ん?」
「貴方を拾った時、手に持っていました。渡そうと思っていたのですが……」
「これは……チューリップクリスタル、そうか……」
それはペンダント、いざと言う時のために脱出用にとってあったはずの……。
ヴァニラが何故持っていたのかは分からない、彼女の性格なら黙って持っているとは考えづらい。
しかし、それでも持っていて、今俺に渡したのだとすれば、理由があるのだろう。
俺には類推する事しか出来ないが……。
そんな事があった後、2時間ほど休憩をした俺達は再度配置につく。
エンジェル隊は機内待機、俺はエルシオールのブリッジへと。
「敵軍に動きは?」
「一時間前布告がありました、シヴァ皇子を渡さないなら殲滅すると。
布告では3時間後、今から2時間後に総攻撃を開始するとの事です」
「艦隊司令部はどう動いている?」
「艦隊司令部は、敵軍本隊の割り出しに奔走しているようです。
6000の艦隊に偽装が無いかの確認も完全には取れていないとの事」
「悪あがきだな……。まあいい、ルフト准将の判断は?」
「問題なしとの事です」
「そうか、ではブリッジクルーの皆も交代要員と変わって休憩してくれ」
「「はい!」」
「レスター、お前もだぞ?」
「わかってるさ……それじゃ、ちょっとコーヒーでも飲んでくる」
「お付き合いします!」
「まってくださいー、私もー」
相変わらずレスターはブリッジクルーにもてもてだった。
よく気が付くし、ぶっきらぼうだが信頼のおける男、その上クールで二枚目、もてる要素は揃っている。
あれで本人にその気があれば、ジゴロも夢じゃない。
今にしてみれば俺のナデシコ時代もなかなかだったと思うが、あの時期の俺は振り回されただけだ。
相手を受け止められないなら多人数に好かれても意味はない。
今の俺は……まあ、はた目から見ればやはりモテモテかもしれない……。
もっとも、彼女らの事を俺が受け止められているのかは疑問だが。
せめてヴァニラだけでもきちんと正面から向き合ってやりたい。
そう思ってはいる……。
「司令! 敵艦隊に動きがありました!」
「何?」
俺は疑問を感じる、今あちら側からは動く必要がない。
第一に、今襲いかかればやけくそになって皆全力で抵抗する可能性が高い。
対して時間を待つ事で恐怖とプレッシャーを与え続ける事が出来る。
その上、時間一杯になって更に援軍でも現れようものなら、
艦隊司令部はシヴァ皇子の差出しに応じる可能性もあった。
応じてしまえば、エオニアの事だ、その後のこちらの軍は全滅させられるだろうが……。
兎に角、先に動く必要はない、それでも動いたとなれば……。
「動いているのは、直上方向の一軍です。
他の軍が連動していない事から、恐らく独断ではないかと」
「……なるほど、それはどっちにむかっている?」
「艦隊司令部より宇宙頂点方向に3度、恐らくプロトタイプエルシオールが目標です!」
「そうか、なら放置しておけ」
「え?」
「護衛は全軍あげてやってくれるし、ルフト少将も今は近くにいる。
俺達が出張れば作戦がばれてしまう、今は動くな。
ただし、警戒レベルはBに引き上げておけ」
「はっ、はい!」
「それと、エンジェル隊にはこれに関する映像や情報を回すな」
「え?」
「回せば、彼女らが勝手に出撃しかねない。そうなれば俺達の負けだ」
「分かりました!」
ただ問題は、ルフト少将が艦隊司令部にシヴァ皇子の不在をどれくらい隠しておけるかだ。
取り入りたい人間は頻繁に会見申し込みをかけてくる可能性がある。
出来るだけバレずにすませたい所だが……。
何通りか録画した画像と対応をもとにCGが作成されているとか言う噂はあるが。
あったらあったで怖いな。
「第三艦隊交戦に入ります! 敵軍は艦隊150隻、それとは別に5機の大型戦闘機を擁しています!」
「それは、あの紋章機もどきか?」
「映像解析から97%の確率で一致、ほぼ間違いないと思われます」
「……無視だ」
「え、無視されるのですか?」
「ああ、あれはシヴァ皇子がどこにいるのか探るためにやって来ている。
紋章機が出ればそこにシヴァ皇子がいると知らせているようなものだ」
「確かに」
俺は映像で第三艦隊が5機の戦闘機にいいようにあしらわれる様を見るしかない。
第三艦隊の司令は出世欲の強い男でいけすかないと思わなくもないが、
だからといって負けていい要素にはならない。
「ルフト少将に……ん?」
「ルフト少将から第六艦隊に通達!
彼らが第三艦隊に釘付けになっている間に艦隊の方に横撃を加えるとの事!」
「よし、第六艦隊に着いて行くぞ! 出来るだけ艦隊中央部の動きに合わせろ!
一応、光学迷彩で巡洋艦に偽装しているが、エネルギーの総量でバレる可能性がある。
あくまで40%出力を忘れるな!」
「了解しました!」
ルフトも上手い手を考えてくれた。
この横撃で打撃をあたえつつ、俺達を引き連れて行ってくれるつもりのようだ。
もっとも、実際の質量が多いので方向転換のためには余計な出力がかかる。
だから、操舵担当とエンジン周りの人達には何倍も苦労をかける事になるだろう。
「敵の反応はどうだ?」
「こちらに気付いてはいないようです」
「分かった、このまま監視を続行してくれ」
そうやって警戒しながら進んでいくうちに、敵艦隊の横に出て来ていた。
ルフトは敵の半数以上が射程に入った頃を見計らい一気に仕掛けた。
無人機とはいえ、人の命令に従う以上、待機と言われれば回避行動すら起こさない。
レーダーは配備している以上、発見そのものはされているだろうが指揮官が気付かなければそれまでだ。
そして、ルフトの第六艦隊による横撃によって支援が断たれた紋章機もどきは孤立する。
流石に止めを刺すまでには至らなかったが、撤退に追い込むのはさほど難しい事ではなかった。
それからしばらくは互いの艦隊に動きはなかった。
変わった事といえば、シヴァ皇子がブリッジに来た位の事だろうか。
やはりじっとしてはいられなかったらしい。
「予定の時刻まで後1時間ほどか……待つ身というのは辛いものだな」
「いえ、そろそろ終わりでしょう」
「というと?」
「先ほどの攻撃で150程ですが艦隊を撃退しました。
第三艦隊は恐らく数の減った直上方向への全軍による撃破を進言するでしょう」
「ふむ、しかしそれでは拠点が無くなってしまうのではないか?」
「確かに、ローム星系が占領される可能性はあるでしょう。
しかし、一般人を脱出させようとすれば軍艦に乗せるしかなく、戦況次第では死ぬ事になります。
住人には占領されれば大人しく従うように言い含めるしかないでしょう」
今の言葉は第三艦隊の性質を考えての事だ。
だが、事実としてそれ以外の方向からもこの場に留まるのはまずい。
戦場がここになれば否応なしに人が住む惑星を巻き込む事になる。
「むむ……」
「この作戦の利点は2つ、一つは防衛を意識しなくて済む事。
近くに拠点があれば防衛戦になる可能性が高く、巻き込まれるのは一般市民です。
そして、もう一つは6000の無人艦隊全てを相手しなくてもいい事」
「何? しかし、2000の艦隊と戦っているうちに背後を取られ囲まれる可能性もあるぞ?」
「それまでに突破するのは容易いでしょう。
10光分の距離を艦隊が行くには20分以上かかります。そしてこちらは3000以上の艦隊がいる。
相対20光分の距離で連携している彼らは、こちらの動きを見て直ぐ動いても40分はかかる。
人が乗っていない故の速度差を引いても30分は時間があるでしょう。
それに向こうのAIも学習しているとはいえまだ人間の乗る艦ほど強くはないです」
「こちらが同数で負けた事もあるぞ?」
「それは作戦の段階で負けていたと言う事です」
そして同時に、エオニアにとってこの6000という数字は艦隊の大部分ではあっても主力ではない。
6000全て破壊しても奥の手を持っている可能性が高い。
何故なら、エオニアの旗艦がここにあるという連絡は一度も来ていないからだ。
恐らく今回の作戦、エオニアは参加していない。
それはつまり、シヴァ皇子がいなくても白き月にアクセスする方法が見つかったか、
もしくはその必要がなくなったかだ。
彼が俺達と戦っていた理由。
そう、既に首都は抑えていて半分以上の宙域を領土としているエオニア。
彼ににとって単なる反乱の芽でしかないシヴァ皇子とその勢力を血眼で探したのは白き月が欲しいから。
理由は分からない、可能性としては中にあるロストテクノロジーが欲しい為と言われている。
案外、シャトヤーンに惚れているだけかもしれないが。
どちらにせよ、彼がシヴァ皇子に興味を失ったのだとすればかなりまずい。
殲滅戦を躊躇っていた理由がそれだからだ。
恐らく、白き月を手に入れるなり破壊するなりした彼が次にする事は敵対勢力の完全消滅。
皇王ジェラールのやった事の焼き直しだろう。
彼がその決断をするまでに決着をつけねばならない。
その後流れる血の量は夥しいものになるだろうから。
「第六艦隊ルフト提督からの指令が布告されました!」
「なんと!? しかしまだるっこしいな。直接聞けないのか?」
「我らは今見つかるわけにはいきません。
外部投影による光学迷彩と出力調整によって誤魔化していますが、
直接噴射炎でも観測されれば分かってしまうほどのものでしかありません、ご理解を」
「うむ……」
「第三、第四艦隊による第一陣、第五、第六艦隊及び近衛艦隊による大二陣に分かれての奇襲を行うとの事」
「アキトの予想通りじゃな」
「はい、しかし、後衛に回されてしまいましたね。
第六艦隊は近衛の護衛という事になっているから仕方ないのですが」
「確かにの」
俺も不安に思わないではなかったが、会議に参加できる状況でもない。
ルフトに全権委任したという体裁をとって休んでいる格好だ。
艦隊司令部の作戦は単純なものではあるが、堅実な策のはずだった。
だが……いざ到着してみれば戦場は思わぬ様相を呈していた。
「敵艦隊後方にクロノアウト反応! その数約1500!!」
「なっ、伏兵か!?」
「いえ、後詰めでしょうね、元よりこちらに誘導していたという事か……」
「ではあの150隻ほどでの特攻は陽動であったのか!」
「そうなります……私も6000隻も集めた上に降伏勧告までした相手が陽動などすまいと油断していました……」
「だが……合計しても3500じゃ、ほぼ同数なら勝てるのだろう!?」
「勝てるでしょう……、ですが残り4000の艦隊が合流するまでに勝てるかと言われると難しい所です……」
そう、放置していても優位は変わらなかったはず。
なのにわざわざ陽動をかけて隙を見せ、各個撃破を狙わせる。
そんな回りくどいやり方をする指揮官を俺は一人知っていた。
そう、ルル・ガーデンとか言った貴族の娘。
まさか、こんな規模の艦隊を指揮する立場にあるとは思えなかった。
昇進したのか? それとも人材不足か? どちらにしろ、それは俺たちにとって悪い状況に追い込まれたという事。
「何か手を打たねばならないな……」
『だったらいい手がありますわよ?』
「なっ!?」
突然ブリッジのスクリーンにミントの顔が大映しになった。
どうやら聞き耳をたてていたらしい、ハッキングか、それともブリッジクルーの誰かが機密漏えいをしたか。
まあ、ある程度はテンション維持のために許可はしているが……今回は禁止したはずなんだが。
「どういう方法だ?」
『私の機体、演算を全てフライヤーに回せばかなりの距離でも操る事が出来る話はしましたわよね?』
「ああ、偵察の時は世話になったな」
『実はエルシオールプロトタイプにもフライヤーは積んでいますの』
「なるほど」
『向こうのほうで射出さえしてくれれば、操る事はできるはずですわ。
どのみち動けないのですもの、回避や攻撃と言った事に気を回さずフライヤーだけ操ればいいのですし』
「分かった、何とかしてみよう」
『頼みますわ』
こちらから連絡を取れない現状、一番いい手は分かりきっている。
問題は行きはいいが、帰りをどうするかだ。
2度分のそれは残されていない。
……いや、逆に考えればいいか。
今、既に第一陣は戦闘を開始している。
ならば、第二陣の戦闘開始と同時になら……。
急いでハンガーに行く必要があるな。
「ミント、クレータ整備班長を呼び出しておいてくれ、俺は直ぐにハンガーデッキに行く」
『了解しましたわ』
「少し待て! いったいどうするつもりだ!?」
俺は言うなりブリッジを飛び出そうとしシヴァ皇子に呼び止められる。
俺は、あまり説明している時間がない事なので言うべきか一瞬迷ったが、
一言だけ言うことにした。
「勝てる作戦を思いつきました」
「そうか……ならばやってみせよ! じゃが死ぬ事は許さぬぞ!」
「御意!」
俺は、ハンガーデッキまで走りながら通信でクレータ班長に指示を出す。
方法は単純だ、ユリカが昔使った方法。
自分達は見つからずに相手を攻撃する、そんな方法。
「クレータ班長! 進行状況はどうだ!?」
「ええ、まあそりゃさほど難しい事じゃないけど、流石に5分じゃ無理よ」
「だが、時間をかければ敵は他の2方面艦隊と合流してしまう。
そうなれば俺たちも脱出どころじゃない」
「うーん、100%は保障しないわよ!」
「頼む!」
俺は急いでエステに乗り込む、とはいえ、電源も入っていないのでハッチを手動で開けてだが。
ついでに言えば、念のために宇宙活動用ノーマルスーツを着ている。
換気には動力の稼動が必要で、動力の稼動は今は出来ないからだ。
「一応出来たけど、エステバリスを固定する時間的余裕はないよ?」
「構わない、中で多少ガタガタいったところで、リアシートの衝撃吸収でなんとかなるさ」
「それじゃ、コックピットを閉めな」
「分かった。後は頼む」
「全く……突貫でなにやらせるかと思えば……」
俺の乗り込んだエステはミサイルに縛り付けられ、そのまま宇宙空間に放り出された。
そう、着火されないままに。
現状では熱源にかかることもないし、不発のミサイルだと思われるだけだろう。
よく見れば確かにエステが縛り付けられているが、エステも動力が切れているから熱源にかかることもない。
それに、視認してそうとわかるほど宇宙は明るくない。
直接サーチライトでも浴びれば別だが、宇宙の距離感でそれはありえないだろう。
そんな事をボーっと考えていると、目に見える範囲からエルシオールの姿がなくなった。
それも当然、光の速度の何%なんて速度で進む船から切り離された以上ちょっとしたベクトルで凄まじく離れる事になる。
「さて、そろそろいいか。機動キーはっと……」
俺は腰につけていたエステの起動キーをまわそうとした、その瞬間。
ミサイルの方が時限起動したらしい、加速をGで感じ思わずキーを取り落としそうになる。
しかし、何とか踏ん張りエステにキーを差し込んで思いっきりまわした。
それと同時に、エステの電装系が立ち上がり、そしてこの世界で組み込まれたエンジンが起動する。
「よし、先ずは通信だな。周波数帯はこれでいいだろう。
こちら近衛艦隊指令アキト・マイヤーズ准将。聞こえるか?」
『はいマイヤーズ提督、聞こえております。しかし、そちらは』
「それは問題ない、しかし一つ頼みがあるんだが、そちらに収容しているフライヤーを全機射出してほしい」
『はあ……分かりました、ですがあれは……』
「なあに、彼女ならうまく使ってくれるさ」
『なるほど、了解しました』
艦長も頭のやわらかい人で助かった、まあ元々ルフトの元でしごかれた人間だ、ある程度素地はあったんだろう。
さて、次は……。
今ミサイルが向かっている方向は敵艦隊のいる方向から少しずれている、ちょうどいいとはいえ方向修正をしなければ。
エステのバーニアをふかし、修正を加える。
エステだけでは、長時間高機動を保つのは難しいしな。
「どんぴしゃ!」
俺はそう叫びながら、ミサイルを手放し、エステを自由にする。
位置関係は、敵艦隊の下方、正面は第三、第四艦隊の連合軍に向いているし、横からは第五、第六艦隊が攻撃している。
現状でも数時間あれば撤退に追い込めただろう。
しかし、それでは間に合わない。
ミントがフライヤーで撹乱をしてくれているようだが、流石に無理がある。
だから俺のすることはたった一つ。
艦隊を率いているルル・ガーデンの艦を叩く。
「見つけるのはたやすい、あの紋章機もどきが近くにいるからな」
だが、近づくには紋章機もどきをなんとかしなければならない。
性能的にかなりの高スペックを誇る黒い機体たちは、1対1なら魔改造が進んだエステの敵じゃない。
しかし、2〜3機相手となると厳しいし、5機で連携されたら勝ち目は薄い。
だから……。
「ディストーションアタック、フルブースト」
俺は、エステのディストーションフィールドを展開しつつ、重力制御を最大にして加速をかけた。
本来なら慣性もある程度殺しながら攻撃をかけられるが、あえてそれを無視する。
それに、この出力では5分と持つまい。
だが、それで十分。
周囲から寄ってきた無人戦闘機や無人駆逐艦、それにあらゆる方向から乱舞するビームやミサイルを回避しながら、
回避しきれないものはぶつかり、方向をそらし、また、貫き爆破する。
そうしながら出来るだけ勢いを殺さずに接近する。
『ちびっ来いのが来た!? でもいったいどこから!?』
『いい筋肉してやがる! だがこの俺はっ、なっ!? すり抜けるんじゃねー!!』
『マイハニーにいいよるお邪魔虫じゃないか! 相手をしてあげるっ!? すっぽかすとは頂けないな』
『この高貴な船には近寄る事も出来ないか、フッ』
『……』
上手く通り抜けることが出来たようだ。
俺はそのまま勢いを殺さず、旗艦と思しき船へと突っ込んだ。
だが、俺が突っ込んだ瞬間何かバリアのようなものが展開する。
これは……。
次の瞬間俺は弾き飛ばされていた。
「くっ、いったい何が?」
旗艦と思しき戦艦は確かに無防備そうに存在してはいた。
しかし、その周囲にある艦からビームのようなものが発射されている。
ビームは互いに干渉し、バリア状に戦艦の周りを覆っている。
恐らく、電磁バリアの一種か……。
『あーらお莫迦さん、私がそう何度も同じような手にかかると思って?』
「やはり貴様か、ルル・ガーデン。これだけの大艦隊を率いるとはいつの間に出世した?」
『そんなもの、エオニア様が私の事を認めてくれたからに決まっていますわ!』
ルル・ガーデンは強制的に俺に通信をよこした。
これは俺に対し恨みがあるという事だろう。
当然だ、俺は何度か彼女の率いる艦隊を破っている。
しかし、なるほど……これは利用できるな。
「ふっ、そういうことか……」
『何がおかしいんですの!?』
「いや、大した出世だよ。エオニアがトランスバール残党から興味を失ったタイミングで司令官とは恐れ入る」
『な……に……を……』
ルル・ガーデンは怒りで我を忘れたのか、眼暗撃ちのように無茶苦茶に周辺艦隊からビームの雨を降らせた。
俺は、回避し、ディストーションフィールドではじき、時には近くの船の陰に入りながら、どうにかやりすごす。
しかし、通信だけは余裕のフリを続けていた。
「その証拠に、こんな大艦隊なのに率いているのがエオニアでもなければシェリーでもない」
『きっ……きっ……貴様何故それを!?』
エオニアの腹心と言えるシェリー将軍、彼女すらいないとなればエオニアの関心の低さが見え透いている。
ルル・ガーデンは確かに将軍になったのかもしれない。
しかし、成り立てのひよっこ将軍に大事な局面を任せる訳がない。
一応シヴァ皇子の確保が出来ればよし、ダメでも殲滅戦なら数で圧倒している以上そう負けないだろう。
そういう心算が透けて見えた。
俺は、そうして動きの止まったルルを見逃さない。
護衛用のバリア艦の一つに突進し、ディストーションアタックで風穴をあける。
しかし、露出したエンジン部に攻撃を加えたとたん、電磁バリアが発動し吹き飛ばされる。
「何!?」
『バリアを作ってる艦がバリアを張れない訳ないでしょ?』
「無人艦隊の強みか……」
人間が中にいれば、エンジン部だけがバリアを張るなんていう、艦そのものを危うくしかねない事はしないはずだ。
しかし、相手は無人艦、壊れても何も困らない。俺はつい人間と同じように考えてしまっていた事に気付く。
更に、今ので時間がかかりすぎてしまった。
『へっ、その程度の筋肉で俺に勝つつもりか?』
『貴族たる僕を無視するとはいい度胸だ』
『ハニーによりつく害虫はきっちり駆除しないとねー』
『今回は僕が作り出した、バリア発生メカもーらる君13号が役に立ったようっすね!』
『……』
紋章機もどきが戻ってきていたらしい。
流石にここまで来ると俺にはお手上げだ。
降参の意味もこめてエステの両手をあげた。
『へぇ、散々私たちの事を馬鹿にした貴方が降伏させてもらえると思ってるの?』
『全くだよ、君には今から消えてもらうのに』
『俺は筋肉があればなんでもいいが』
『ふっ、愚民に与える情けなどない』
『バリア発生メカは完璧っす! お前に勝ち目はないっすよ!』
『……』
「確かに俺の負けだ」
そう、このままじゃ勝ち目はない。
俺とエステの能力ではこいつらを捌ききる事など出来ない。
”俺にはできない。”
「さて、そろそろお別れの時間のようだ」
『命乞いをしないのはいい度胸ね』
「命乞い? 何の事だ?」
『もちろんっ、えっ!?』
『なっ!?』
『これは、フライヤー!?』
そう、フライヤーがバリアを作り出している4つの船に同時に攻撃をしかけたのだ。
バリア艦が攻撃されれば別のバリア艦がバリアを張るというシステムはなかなかだ。
しかし、全部同時に危機に陥った場合の事までは考えていなかったようだな。
それぞれのエンジン部に被弾し、爆発するのを尻目に俺はエステを加速させる。
バリア艦の爆発は旗艦にもダメージを与えるだろうが、だからといって安心できるものじゃない。
十分な速度が突いたと同時にディストーションフィールドを張ったエステを艦のエンジン部付近に突っ込ませる。
そして、引き抜いたイェミテッドナイフを投擲し、そのまま脱出した。
数秒後には爆発音と脱出したと思しき小型艇がチラッと見えた。
全く、しぶとさだけは賞賛に値する。
そのまま、俺は近衛艦隊のいる方向へと向かう。
4機のフライヤーも追従してくる。
「さて、そろそろいいか」
近衛艦隊に十分近づいた時、俺はエステのエンジンを切った。
それから数分、エステの熱が下がるのを待つ。
そして、胸に下げていたペンダントを取り出した。
「早速使わせてもらうよヴァニラ」
ヴァニラから渡されたC・Cのペンダント、これを使いエステごと格納庫のハンガーデッキまで飛ぶ。
何度も出入りしている俺からすればそれは容易な事だった……。
あとがき
記念連載とはとても呼べない時期の更新ではありますが、完結一歩手前という事で出しました。
最終回はもちろん、9周年記念で出す予定です。
ようやく、本当にようやく最終回を迎える事ができそうです。
いつも思うけど、最後の方は色々大変ですわ(汗)
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