突然ですが、十日から十三日の間は諸事情で小説を執筆できません。なので、次回の掲載は十三日以降となります。ご了承願います。

闘技場

初戦における圧勝を皮切りにディガイドは快進撃で大会を勝ち進んだ。
そして…。

≪ATTACK RIDE…EXTRA SLASH≫

ディガイドライバーの刃は元の20cmから1mのエネルギーの刃となって対戦相手を切り捨てた。

「決まった――!!ディガイド、スパイダーオルフェノクを撃破!これにて彼女の準決勝戦は終了となる!!」

実況を聞いたディガイドは、

「良しッ!決勝進出♪」

と喜んでいた。

「ま、当然の結果だな」
「確かにね」

と観客席で試合の結果に感想を述べた二人だった。





世界の救済者、ディロード。九つの世界を巡り、その心は何を映す?





「サタンよ、随分と頑張っているようだな?」
「……」

とある部屋で、男とサタン変身者と思われる青年がいた。

「おっと、すまない。君は何が何でも頑張らなくてはならなかったね」
「………」

これ以上話すことはないとでも言うかのように青年は部屋から出ようとする。

「サタン。…言っておくがお前の決勝戦相手、ディガイドは強豪中の強豪。負けでもして、くれぐれも私を失望させないようにな…」
「心得ている」

それだけ言って青年はその場から出た。



***

決勝戦は準決勝終了の二日後となった。
そうと決まったは流姫、対戦者たるサタンのことを調べようと聞き込みに回った。幸いなことに決勝戦進出者ということもあって、闘技場の常連と言える者たちは快くそれに答えた。

その一。サタンは今回を含んで三回コロシアムに出場していて、過去二回ともダントツで優勝している。
その二。その素顔や素性は誰も未だに知らない。
その三。噂によると、サタンは裏世界で名高い人物と繋がりがあること。

このように、ある程度の情報が集まった。

「なんか、”その三”のとこが明らかに怪しい…」

確かに裏の世界の人物と接触を持っていると言うのは闘技選手としては怪しいものがある。

「……まてよ、何か理由があるとしたら…」

変なところで”女の勘”という奴が働いた。

「良し、つけよう…!」

ちなみにサタンには優勝候補筆頭と言うこともあってか、専用の控室があるらしく、そこの場所からはまだサタンは出てきていない。

「フッフッフッ…」

悪戯めいた笑顔でいた。



***

夕暮れ時、サタンは控室から出てきた。
出口から出てくるとファンやらマスコミやらが群がってインタビュー云々を求めているが、サタンは終始無言で通した。
マスコミ共を払いのけると、サタンはベルト=”サタンドライバー”のバックルにセットしてある”サタンフォン”にコード入力する。

ピッピッピッピッ(6821)
≪TURBO LIGER COME CLOSER≫

すると、彼方からサタン専用バイク”ターボライガー”が自動操縦で走って来る。
それに跨ると、サタンは何処かへと走り去ってしまう。

そのいく先は、街から少し離れた…。

「ただいま!」

サタンは変身を解除してそう言った。

「おかえりなさーい!」

大勢の子供たちがそれを出迎える。
そう要するに此処は……孤児施設。

(ふーん、そう言うわけか…)
「!!、誰だ?」

気配を察知して叫ぶ青年。

(バレちゃった…だてにライダーをやってるわけじゃなさそうね)

すると、青年の前に姿をゆっくりと現したのは…。

「お前は…ディガイド…」
「こんばんわ」

そうディガイドはカードによって発動する”ディガイドインビジブル”の効力で姿を透明にしてサタンを追跡していたのだ。

「お前がどうしてここに居る?まさか、俺の弱みを握ろうなどとは―――」
「流石に私も子供のために戦ってる人相手にそこまでやるきは毛頭ないわね。そこは誤解しないように」

その言葉を裏付けるためにディガイドは変身を解いた。

「……わかった。信じよう…」
「ありがとう」

その後、色々なことを聞き出せた。
なんでもこの孤児施設の運営はギリギリの崖っぷちで、主にサタン……誓黎蝗(ぜくろ こう)がコロシアムで稼いだ賞金で賄っているようである。
ついでに、サタンの本名を聞いたときに流姫は”うわ、珍しい名前!?”といったらしい。確かにこんな名前している奴はそういない。

「俺、さ。昔この孤児施設で育ったんだよね」
「え…?」
「だから…なんかよ、護りたかったんだ。こいつらのこと」

蝗の言葉には芯の通った物を感じた。

「そう。だから、あそこに立っているのね」
「……でも、俺が…負ければ…」
「……」

そう言った蝗は子供達の待つ施設の中に入って行った。
流姫も事情を聞いてしまった以上、もう聞くこともできない。



***

翌日、つまりは試合の前日。

「ほう、あいつにそんな事情があったとはな…」
「それが本当なら、裏世界と付き合う理由って…?」

昨日の話を聞いて、二人はそれを理解していた。

「子供達の為なのかな?」
「わからない。とにかくあの人はあの人なりに必死ってことしか…」
「……成程」

二人が頭を悩ませていた時、廻がボソッと呟いた。

「何がなの?」
「見当ついた?」

信彦と流姫が聞きよると、

「だが、まだ確信に至らない。調べてくる」

と言うと、廻は外に出てしまった。

「さて…どこからあたるかね?」

と適当に街を徘徊しながら考えていると。

―…ブオォン!!…―

「何!?」

突然次元の壁が現れて廻を通過した。
つまり…。

「……チッ!」

異世界に飛ばされたのである。

『仮面ラ?イダディロード。お前には此処で消えてもらう』
「…誰だ、貴様?」
『名乗る必要はない。お前は此処で滅びる。名を聞きたければ、生きて帰ってくることだ』

すると、幾体もの怪人が次元の壁から現れた。

「ハッ!だったら簡単なもんだ。何しろ、その程度の怪人らで俺を倒そうなど児戯に等しい。…変身」

≪KAMEN RIDE…DEROAD≫

変身した。

「さて、新たな力を試すとしよう」

≪KAMEN RIDE…CREST≫

Dクレストに変身。更に一枚。

≪ATTACK RIDE…BLIZZARD GALE≫

Dクレストはコースクリューの要領で打ち出される猛吹雪、”ブリザードゲイル”で怪人の半分を氷結させると、Dクレストは拳で砕いた。

「続いて…」

≪ATTACK RIDE…EXTREAM SHOT≫

Dクレストはライドセイバー、セイバーモードの刃から四つの属性の力の籠ったエネルギー刃が放ち、怪人達は残り一体を残して全滅する。

「ラスト」

≪FINAL ATTACKRIDE…C・C・C・CREST≫

Dクレストの足に雷・風・炎・氷のエネルギーが発生していき、宿っていく。

「ハアァ……ゼアァァァァ!!」

Dクレストの必殺技”エクスショック”のキックでその場全てが片付いた。

「こんなとこかな」

そう言うと、タイミング良く次元の壁が出現する。
ディロードはそれに悠々と入って行った。



***

「……どうなっているんだ?」

次元の壁で飛ばされた後に、戦っていた時間はたかが数分の筈。
なのに今は……。

「…何で、試合時間間近なんだよ!?」

無茶苦茶に焦った。

「と、兎に角行かなければ!」

丁度家の前だったので、マシンディローダーに乗って会場に急いだ。



***

決勝戦。

「さぁさぁさぁ―――!いよいよ来たぞ、待ちに待った決勝戦!その戦いに勝ち残り栄光を手にするのはどっちなのか?まずは改めて紹介だぁ!姿を変えるだけでなく、他の戦士を呼び出す新星!ディガイドォォォ!!」

ディガイドにライトが当てられると。観客たちから熱気を帯びた歓声が飛び交う。

「そして、過去二回連続での優勝記録保持者!三度目の名誉はなるか?サタァ――ン!!」

スポットライトの光と共にディガイド以上の歓声が沸いた。

「両者覚悟は決まったか?」

実況の問いにサタンは頷き、ディガイドも少し遅れて頷く。

「それでは行くぜぇ!決勝戦の始まりだぁ―――!!」

試合開始宣言が下り、二人は動いた。

≪READY≫

サタンは右腰のハードポイントにぶら下がっている”サタンガトリング”と銃形態のサタンフォンを連結させた。

―ズドドドドドドドドドドッ!!―

絶え間なく打ち込まれるフォトンブラッド弾。

「…だったら、射手を増やそうかしら?」

≪KAMEN RIDE…IBUKI≫

ディガイドライバーから打ち出された三つの像は仮面ライダー威吹鬼となって”音撃管・烈風”の銃撃でサタンを牽制する。

「くっ!」

サタンは苦閃の声を短く上げた。

―君が負ければ…―

その時、あの男がかつて言った台詞が頭に浮かんだ。

(負けるわけにはいかない!どんな手を使ってでも!)

心の中でそう叫んだサタンはENTERを押した。

≪EXCEED CHARGE≫

大量のフォトンブラッドがサタンガトリングに送り込まれた。

「俺の勝ちだ!!」

―ズドォ――――ンッ!!―

必殺の砲撃”ヘルディスチャージ”が発射された。

「………」

だが、少々距離が開いていたのでディガイドは素早くカードをセットした。

≪KAMEN RIDE…≫

ディガイドはその時、

―おかえりなさーい!―

孤児施設のいた子供達の笑顔が頭をよぎった。
でも、それは致命的なものとなった。

「キャアァァァアァァァ!!」

避けきれずにディガイドに攻撃が命中した。
すると、過多のダメージにより変身が解除される。

「…やった、俺は…勝ったぁ!」

喜びが口に出た矢先。

『いや、サタンよ。君の役目は終わったんだ』

突然会場中に轟く声。

『君は確かによくやってくれた。でもね、もういいんだ。君はもう使い物にならないようだから』
「!?…どういうことだ?」

その問いに会場に備え付けられた巨大モニターにあの男が映った。

『君の身体はもう戦いに…いや。もうベルトにも耐えられないはず。そんな役立たずをいつまでも傍に置くほど、私は暇を余らせてはいない』

会場の人間全てが何を言い合っているのかがわからなかった。

『それでは、さようなら…。君に期待をして、損をした』

言い終ると、モニターの映像は消えて不気味なほどの静寂だけが残った。

「………」

特にサタンは亡骸のように絶句していた。

―……バタッ!!……―

そして、倒れた。

「まさか、彼が裏の世界と繋がっていたのって…!?」

客席で観戦していた信彦は何かに気づいた。
そして、

「イラつく野郎だ…!」

試合こそは終わっていたものの、男の姿がモニターに映し出されたタイミングで会場に入っていた廻は嫌悪感をあらわに、近くにあった壁を殴った。



次回、仮面ライダーディロード

「オルフェノクの力が…!?」
「暗黒のベルト…サタンギアは…」
「そういうことかよ」
「お前みたいな外道野郎には一生かかってもわからないんだよ!」

”護りたい夢”

全てを救い、全て砕け!

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