目覚める魂
それはとある日に起こった。
「キャアァァァァ!!」
「アァァァァァァ!!」
「助けてくれぇ!!」
逃げまどい、叫ぶ人々。
『『『『『ファァ…!』』』』』
幾多ものアンノウン群。そして、それを率いていた。
『……』
『……』
『……』
三体の使徒。
水のエル。
風のエル。
地のエル。
***
「!!……ついに来たか」
家の中でエル達の気配を察した光介は急いで外に出ると、
「変身!」
変身ポーズの完了と同時にリュ?ドへ変身すると同時に近くにあった彼のバイクは変身に呼応して”ネスリューダー”へと変貌する。
***
「鉄!アンノウン大量出現につき、ただちに出撃!」
「はい!」
アンノウン出現の報告でG4ユニット内では和雄にG4のアーマーが装着される。
「装着完了」
G4自身がそう言うと、塚田はコンピューターの端末を操作していく。
ユニット内にあったシャッターが開き、奥には幾叉にも別れどの道にも幾重の固く閉ざされたセキュリティドアがあったが端末操作によって現場への最短ルートに道が続くように設定される。
「G4システム、発進」
塚田がそう告げると、G4は”ロードチェイサー”というバイクに搭乗し、開かれた出撃経路を駆けていく。
***
「今日はずいぶん多いな。頭が痛くなる…」
バイクで外を出歩き、一旦止めていた際、に光介同様にアンノウン達の出現を察知した仙寺はバイクに跨ったままで変身ポーズをとる。
「変身…!」
変身ベルトたるアンクポイントのバックルから発せられるオルタフォースの光で仙寺はアナザーアギトに変身。変身に連動するかの如くダークホッパーへとバイクは姿形を変える。
***
同時刻。
「いよいよ…だね」
「行きましょう!」
「とっとと決めてやるか」
家の外でバイクの一歩手前の位置で変身プロセスが行われる。
「「「変身ッ!」」」
≪KAMEN RIDE…DEROAD≫
≪KAMEN RIDE…DI‐GUIDE≫
「仮面ライダーSHADOW!RX!」
各々変身を完了し、専用のバイクに跨った。
世界の救済者、ディロード。九つの世界を巡り、その心は何を映す?
走り始めて数分後、あともう少しで目的地に到着と言うところで…。
『ウゥゥ…!』
蟻に似た超越生命体、アントロードの大群が待ち構えている。
「付き合ってる時間は無いわ。こいつらで我慢してもらうわよ!」
ディガイドは運転したままでカードを装填し出した。
≪KAMEN RIDE…G1≫
≪KAMEN RIDE…G3MILD≫
≪KAMEN RIDE…G4‐X≫
召喚されたのはクウガ・マイティフォームの姿と能力を再現したG3のプロトタイプたるG1、
人に優しくというコンセプトのもと造られた簡易型G3ことG3MILD、
そして、とある世界で破損したG3‐Xの便宜的応急処置のためにG4のパーツを付けたG4‐X。
「頼むわよ、機鎧兵達!」
召喚ライダーたちは呼び出したディガイドとディロード、SHADOWの進路確保のためにアントロードに攻撃を開始して、三人のバイクが通れるくらいの広さの道を作った。
三人がそこを通過した後も、召喚ライダー達はアントロードを全滅させるまで、消えること無く戦い続けていた。
***
「初めてだな、こうして三人揃って立つのって」
そう言ったG4の両隣りにはアナザーアギトとリュ?ドがいた。
「そうだったな」
「知るかよ」
アナザーアギトは素直に答えたものの、リュ?ドは口悪く答えた。
目の前に居るのは三体のエル。
「俺達も混ぜろ!」
その声は遠くから聞こえてきた。
「あれは!」
「来たか!」
「…フンッ…」
三人が見たのはディロード、ディガイド、SHADOWだった。
三人のライダーは戦いの場にバイクを止めて、その地を踏んだ。
『貴様等も力を持つものか』
水のエルがそう言ってくる。
その瞬間にディロード達の近くに次元の壁が現れ幾体ものグロンギ怪人達が現れる。
出てきたのはズ・ゴオマ・グ、メ・ギイガ・ギ、ズ・バヅー・バ、メ・バヂス・バ、ゴ・ベミウ・ギ、ゴ・ジャーザ・ギの六体だった。
「エルの前にこいつら倒せってか。でも長々と戦う気はないから一気に済ますぜ!変身ッ!!」
≪FINAL KAMEN RIDE…HI・HI・HI・HIBIKI≫
光る炎に包まれ、それを払うと、ディロードはD装甲響鬼に変身する。
「俺は四体やるからお前等はこの二体を頼む」
「了解」
「わかったわ」
D装甲響鬼の言葉で二人はゴのグロンギ二体を対峙する。
≪ATTACK RIDE…ONIBI≫
「炙るとするか」
D装甲響鬼は口から鬼法術の鬼火を発して四体にダメージを与える。
「もう一丁!」
D装甲響鬼は背中にあった音撃棒を両手に持ち、力を入れて鬼石部分に発火させる。
「ゼアァァァ!!」
音撃棒から火炎弾を打ち出す、鬼棒術・烈火弾で更なる攻撃を加える。
それによって四体のグロンギ達は立つのもやっとの状態だ。
「止め!」
最後に烈火の炎を刀状にして完成する烈火剣。
D装甲響鬼はその炎刃をもって流れるような動きでグロンギ達の身体を切り刻んだ。
『が、ガアァァァァ!!』
四体のグロンギはファイナルアタックライドを使われることもなく倒された。
一方、ディガイドとSHADOWは。
「一気に行くわよ、信彦」
「…あぁ」
≪FINAL ATTACKRIDE…DI・DI・DI・DI‐GUIDE≫
「シャインブレイズ!」
ディガイドは普段と違ってターゲットサイトは展開せず、代わりにカードエネルギーがディガイドライバーの刃に凝縮されていく、
「ハアァ…!」
ディガイドライバーの刃は光を帯び始めた。
そのタイミングでディガイドはベミウに袈裟斬りを決める。
『ギャアァァァ!!』
必殺の”ディメンションスライス”は断末魔によって彩られた。
「喰らえぇ!」
SHADOWはシャインブレイズでジャーザの腹部を切りつける。
『クッッ!!』
腹部はグロンギの力の源たる鉱石が埋まっているので流石に効果があったようだ。
SHADOWはジャーザが苦しんでいる一瞬の隙をついて、シャインブレイズでX字型に叩っ切る”スパーキングスラッシャー”の一撃が入れた。
『ダアァァァ!!』
爆発を起こしたジャーザ。SHADOWは爆炎を背景にシャインブレイズ二本を交差させながらそれを握る手を腰元に振り下ろした。
そして、この世界の三ライダーは。
「ようやく、姿を現したなエル共」
「お前等を倒せば、暫しの間は静かになる」
「逃がさないぞ!』
『今此処で、滅ぶが良い』
『塵に還る時だ』
ライダー達の言葉に水と地のエルはそう言った。完全に自分たちの勝利を確信したと取れるものであった。
そして、戦いが始まった…
「待った!」
「俺達を忘れないでくれ」
「さて、砕いてやるか!」
と思われたところで三人が戦闘に加わる。
「流姫、信彦。お前等はあのライオンを頼む」
ディロードがその時指さしたのは地のエル。
「和雄と仙寺はニワトリを頼むぜ」
次に指さしたのは風のエル。
それを承諾した四人はそれぞれの敵と対峙する。
「行くぜ、光介」
「馴れ馴れしく呼ぶな」
リュ?ドは呼びかけてきたディロードを邪険に扱う。
『アギトなどと言う必要無き力を得たものは過ちを齎す』
水のエルはそう言うが、ディロードはそれを鼻で笑った。
「下らないな」
『何…?』
「人間の進化だの力だの、神様であってもそれを決める権利はないんだよ!」
迷いなき言葉にリュ?ドと水のエルは静まる。
「お前等の神様はただ単に自分じゃどうにかできそうにない力に怯えていただけだ!だが…光介は己を化物と卑下しながらも、ずっと運命から逃げずに戦い続けてきたんだ!」
「………」
その場の空気はさらに静かになった。
『貴様は何者?』
「…最強最悪の仮面ライダーだ。くたばっても覚えてろ!」
そう決め台詞を口にした途端にカードがライドセイバーから現れる。
「こっからか正念場だ」
「勝手に仕切らないで欲しいんだがなぁ」
≪FINAL FORMRIDE…RYU・RYU・RYU・RYUDO≫
何の前触れも無しにディロードはカード装填。
「堪えろよ」
「は…?」
ディロードは困惑するリュ?ドに「いいから早く!」などと言って身体にそっと触れる。
それと同時にコパーリンクから眩い光が放たれる。そして、それが治まった時…。
「…これは…」
「これこそが、お前の真なる力だ!」
『ア…アギト!!』
水のエルは驚いた先程までギルスと同種と言ってよかったリュ?ドがアギトに目覚めているのだから。
しかもこれはただのアギトではない。綺麗な銅色の身体に三本のクロスホーン。中央に位置するクロスホーンの根元には新たなワイズマンモノリスがあった。
これこそがファイナルフォームライドでリュ?ドが覚醒した”リュ?ドアギト”である。
ディロードとリュ?ドアギトはお互いに顔を見合せ頷き合うと、水のエルのいる方向に突っ走っていく。
『その程度で!』
水のエルは二人へ同時にダメージを与えようとするが、二人は華麗にジャンプして避けた。
≪FINAL ATTACKRIDE…RYU・RYU・RYU・RYUDO≫
電子ボイスが鳴ると、リュ−ドアギトのクロスホーンは三本から五本になった。
「決めるぜ!」
「オォォ!」
二人は空中へ高くジャンプすると、そのまま跳び蹴りの姿勢で水のエルに突っ込んでいく。
「「ゼアァァァァァァ!!」」
――ズガアァァァン!!――
ダブルライダーによる同時必殺キック”ディロードライト”は水のエルを吹っ飛ばした。
『人を失くした者どもよ。何れわかる、我らの想いが…』
そう言い残して水のエルは光の輪を現わして爆発した。
「やったな、廻さん」
「これで一段落だ」
G4とアナザーアギトはそう言った。どうやら、風のエルを倒したらしい。
「結構きつかったわね」
「よく言うよ。スッゴク惨たらしくやってたくせに」
向こうではディガイドとSHADOWがさっきまでやっていた戦いの話をしている。
「おい」
「…何だ?」
唐突にリュ?ドアギトがディロードに話しかけてきた。
すると、リュ?ドアギトは手を差し伸べてきた。
「フ……そうか」
と言ってディロードはリュ?ドアギトと握手を交わした。
***
時が少し流れ、家の前。
「今度はこんな感じか」
いつものように出現していた写真には”三人のライダーが背中を合わせ合う”ところが像がぼやけながらも写っていた。
「さ、行こう!」
「次の世界に!」
信彦と流姫に促されて廻は次元の壁を出現させようとする時、
「あの、待って下さい!」
そこには私服姿でロードチェイサーに乗った和雄がいた。
「何の用だ?」
廻は当然質問する。
「……私も、連れて行って下さい!貴方達の旅に」
「…正気?」
「何言ってるのかわかってるんですか?」
流姫と信彦は和雄が口にしたことに当り前の反応を返す。
「連れていったやってくれ」
そして、もう一人の声。
「…チーフ…」
塚田だった。
「鉄、こいつを受け取れ!」
塚田はG4がしていたものと全く同じデザインのベルトを和雄に投げ渡した。
「これは…?」
「そいつは、G4装着時間短縮のために開発したもんだ。ベルトを装着して両サイドバックルのスイッチを入れたままで特定の言葉を言えば、ベルト内部にて超粒子状に分解されたアーマーが自動的に全身を包み込む。要するにどんな所でも自由に”変身”できる」
渡した物のことを簡単に説明する。
「良いのか?」
「答えは変わらないよ。どっちもね」
廻が尋ねると塚田は自分と和雄を交互に指さした。
「……和雄」
「…はい」
「途中でへばんなよ」
その瞬間に和雄の顔は歓喜一色に染まる。
「頼んだよ、鉄のこと」
「無論だ。仲間になった奴のことくらい、面倒は見られる」
そう言った瞬間に次元の壁が現れ、新たな仲間を得た一行を運んで行った。
「チーフ…行ってきます!」
その間際に和雄は敬礼していた。
次回、仮面ライダーディロード
「…鏡…」
「ライダーバトルの始まりだ」
「あれって…龍騎?それともリュウガ?」
”究極のミラーライダー”
全てを救い、全てを砕け!
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