究極のミラーライダー
「ついたな、新しい世界に」
廻達三人…いや、四人は家から出てきた。
「あの…流姫さんってそんな服持ってましたっけ?」
初めての異世界による流姫の服装変化を見た和雄は頭上にハテナマークを浮かべる。
ついでに言うと、今現在の流姫の格好はリュックを背負い、手にはカメラがあった。
「今度は……フリージャーナリストみたいね」
いい加減に慣れたのか、流姫は余裕な感じでポケットの中から名刺を取り出した。
「にしてもホントに毎度毎度のこと世界越えるたびに色んな服装になるよねぇ」
「え?異世界来るたびにこんな状態になるんですか?」
「そうだけど」
「俺達から言わせれば何をいまさらって感じだな」
和雄の疑念に三人は全くと言って良いほどの冷静な表情で答える。
(この人たちホント凄いわ…)
と、心の中で感心する和雄だった。
其の時に。
――キィーーーン!…キィーーーン!…――
どこからか金属を切っているかのような奇妙な音が聞こえてきた。
その音は四人全員に聞こえたらしく、廻はいち早くこう呟いた。
「…鏡…」
「か、鏡?」
和雄には何を言っているのかが今一わからなかったが、流姫と信彦は意味を理解したらしい。
廻と流姫は近くのゴミ捨て場に置いてあった鏡の前に立った。
「「変身…!」」
≪KAMEN RIDE…DEROAD≫
≪KAMEN RIDE…DI‐GUIDE≫
二人は変身を完了させ、
「「ハッ!」」
「!!?」
次元戦士の異名冠する仮面ライダーが持つライドプレートの力で二人が鏡の中へと飛び込み、和雄はそれにかなり驚いていた。
***
二人が鏡をゲートに飛び込んだのは”ミラーワールド”という一種の別次元世界。
このミラーワールドは全ての光景が現実世界を文字通り鏡映しにしたかのようにあべこべであるが人間は一人として存在せず、代わりに蹂躙しているのは…。
『キシャァァァ!』
『シュウゥゥ…!』
ミラーモンスターと呼称されるこの世界における怪人たちだけである。ちなみにここで吠えてるのはブロバジェルというクラゲ型のモンスターとソノラブーマというセミ型モンスターである。
「成程、この世界がどんな世界なのかが多少はわかってきた」
「それは良いけど、今はこいつを倒した方がいいんじゃないの?」
ディロードに軽く催促するディガイド。そしてディロードはカードを装填して、ディガイドもカードをトランスドライバーへ。
≪FINAL KAMEN RIDE…B・B・B・BLADE≫
≪FORM RIDE…LEANGEL JACK≫
「「変身」」
ディロードはバックルから飛び出したスペードのカテゴリーKことコーカサスビートルアンデッドの紋章が刻まれた黄金に輝くオリハルコンエレメントを通過して、重醒剣キングラウザーを手にしたDブレイド・キングフォームへと変身し、ディガイドも黄金に輝くアーマーに強化型のレンゲルラウザーを手にしたDレンゲル・ジャックフォームに姿を変えた。
「行くわよ」
「この位の雑魚なら苦労しないで済みそうだ。一撃で決める」
相手がそこら辺にいる野生モンスターということもあって二人は決して崩れそうにない余裕の態度でいる。
≪ATTACK RIDE…STRAIGHT FLASH≫
Dキングはセイバーモードとキングラウザーを片手ずつに持つと、二つの刃にはエネルギーを帯びていく。ソノラブーマはDキングに突っ込んでいくが、ハッキリ言うとそれは自殺行為に等しかった。
「フンッ!」
キングラウザーとライドセイバーが同時に振り降ろされると、激しい閃光と突風が巻き起こり、ソノラブーマは完全に消滅していた。
一方、Dレンゲル・ジャックフォームは強化型レンゲルラウザーを持前のパワーで駆使して、ブロバジェルを圧倒していた。多少の反撃を受けたが、防御力にも秀でているため大したダメージを負うこともなかった。
「タアッ!」
レンゲルラウザーによる強力な突きをお見舞いすると、ブロバジェルはカードを使うまでもなく倒された。
「こんなもんかしら」
といって、ディガイドに戻った。
そして、Dキングもディロードに戻ろうとした矢先。
――ズドォーーーン!!――
「「!!?」」
――ドガァーーーン!!――
「ドワ!?」
「キャァ!?」
二人の間近に砲撃が行われたのだ。
吹っ飛ばされた二人は急いで立ち上がり、砲撃主の姿を見た。
「あれは…ゾルダ!」
「……ちょっと、こっちにもやばいのがきてるけど」
二人を攻撃してきたのは銃火器を召喚するアドベントカードを操り、バッファロー型モンスターの”マグナギガ”と契約して力を得た銃士こと仮面ライダーゾルダ。
そして、もう一方から近づいてくるのは…。
「オイ…。面白い祭りだな!」
戦いそのものを快楽とし、コブラ型モンスター”ベノスネーカー”との契約を交わした狂戦士、仮面ライダー王蛇。
「ライダーバトルの始まりだな」
Dキングはディロードに戻らず、そのままの姿だった。
「おい、お前ら。何者だ?ライダーは残り五人の筈だぞ」
「そんなこと、どうでもいいだろ。戦う相手が増えるってのは俺にとっては大歓迎だ!」
見知らぬ二人のライダーに疑問をぶつけるゾルダと楽しげな声で言う王蛇。
「久しぶりのミラーワールドだ。羽目外すのに丁度良い相手もいる」
「結局そうなるのね」
この状況を楽しむことにしたのか、Dキングは王蛇の方に歩み、ディガイドは仕方ないとでも言うような雰囲気でゾルダの方に行った。
そして、戦闘開始。
≪SWORD VENT≫
「ウラアァァァ!」
「オラアァァァ!」
ベノスネーカーの尻尾を模した金色の突撃剣”ベノサーベル”を召喚した王蛇はDキングに走りかけていく。Dキングもキングラウザーを振り回して対抗した。
――ガギィーンッ!ギイィーンッ!ギガァーンッ!――
幾度となく刃はぶつかり、火花が散った。
「ハッハハハハハ!!楽しいぜ、やっぱり戦いわよぉ!」
「そうかい、でも俺が勝って終わるぜ!」
二人はもう一度剣をぶつけ合うと、後方にジャンプして距離を取った。
そう、必殺技によって勝負を決める気でいるのだ。
≪FINAL VENT≫
≪FINAL ATTACKRIDE…B・B・B・BLADE≫
王蛇の”牙召杖・ベノバイザー”の電子ボイスと共にベノスネーカーが呼び出される。
「ハアァァァァァ!!」
べノスネーカーを後ろに王蛇は地を這うような姿勢で走り、ベノスネーカーもそれを追うように這いずり回る。
「………」
一方、Dキングはキングラウザーを構えて前方にスペードのカテゴリー10・J(ジャック)・Q(クイーン)・K(キング)・A(エース)で連なる五枚のラウズカードが出現。
「ダァァァァァァァ!!」
王蛇はベノスネーカーのエネルギーと毒液の力を受けて発動する必殺のキックこと”ベノクラッシュ”を炸裂させようとする。
「ゼアァァァァァァァ!!」
そして、Dキングもベノクラッシュのそれと同じタイミングでキングラウザーをラウズカードに向けて一振りさせると、それを通して強大なエネルギーを放出させる”ロイヤルストレートフラッシュ”を放つ。
――ズガアァァァァァァァァン!!!!――
とんでもない爆風が起こった。
そして、その爆風が晴れた時立っていたのは…。
「通常形態で勝てるかよ」
Dキングから元に戻ったディロードだった。
王蛇は死んだわけではないようだが、気を失って倒れている。
そして、ディガイドは。
「お前たちが何者なのかはわからないが。取りあえずは倒させてもらうぞ」
「勝手なこと言わないでほしいわね」
二人はディガイドライバーと”機召銃・マグナバイザー”を構える。
その時、
――ガギィーンッ!――
王蛇とDキングが剣をぶつけ合っていた時の音が二人の耳に入り。
――バンバンバンバンバン!!――
――ズギュンズギュンズギュン!!――
二人は凄まじい銃撃を交わし合う。
≪SHOOT VENT≫
ゾルダは巨大バズーカ砲の”ギガランチャー”を召喚してディガイドを攻撃しようとするも、
≪ATTACK RIDE…INVISIBLE≫
ディガイドは透明化してそれをよけた、無論ゾルダはそれに驚いて取り乱している隙を狙い、ディガイドは彼の眼前で姿を現す。
「!!?」
≪ATTACK RIDE…EXTRA SLASH≫
アーマーの薄い所に攻撃を加え、ディガイドはゾルダを気絶させた。
「おい、そっちはどうだ?」
「大丈夫」
ディロードとディガイドはお互いに確認を取ると、気絶した二人のライダーをミラーワールドから放り出した。
その時、また一難が降りかかって来た。
『グウォォォォォ…!』
天空から真紅と漆黒で彩られた龍が現れたのだ。
龍は口から超高熱火炎をディロードとディガイドに放った。
「「!!?」」
二人は咄嗟の判断で火炎をよけることができた。
でも、その直後に声が聞こえた。
「…お前等も、殺し合うのか…」
少々ドスの効いた声。
ディロード、ディガイドは声の主のいる方向へと顔をむけた。
「あれって…龍騎?それともリュウガ?」
ディガイドがそう言ったライダーは仮面ライダー龍騎のような真紅のスーツ、そしてその鏡像たるリュウガのような漆黒のアーマーを纏い、右腕には”龍召機甲・ドラグバイザー”とはカラーリングが違うだけで形は同一のガントレットタイプの召喚機があった。
そのライダーを見たとき、ディロードはこう言った。
「龍焔の世界」
次回、仮面ライダーディロード
「止めて見せる、この戦いを。俺はそのために生きている!」
「龍騎とリュウガに分裂した!?」
「待て、龍焔」
「いよいよ、ライダーバトルも大詰めだ」
”二心一体”
全てを救い、全てを砕け!
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