二心一体
「龍焔の世界」
「え…ってことは、あいつがこの世界の…」
「要だ」
自分たちに自らの契約モンスター”無双爆龍ドラグフレイム”をぶつけてきた龍焔。
どうやら、ディロードとディガイドを敵と誤認しているようだ。
「戦いをやめろ」
「…俺達はお前等のライダーバトルとは関係の無いもの何だがな」
「少なくとも、貴方とだけは戦わないわ」
二人の言葉に龍焔はこう返す。
「だったら何故ゾルダや王蛇と戦っていた?倒してこそは居なかったようだが…」
「いきなり仕掛けてきた奴らが悪い。俺達はちょいとお灸をすえてやっただけだ」
「だから、私達を信じてほしい」
と説得が行われる。
その時、
「ウラァァァァァ!!」
紫色のアーマーを鈍く光らせ、叫び散らしたのは王蛇だった。
「テメー、さっきはよくもやってくれたな…!今度は俺の番だ!」
殺気を駄々漏れにしてディロードを睨む王蛇の前に龍焔が立ちはだかった。
「お前…!」
「巳多付、戦いをやめろなんて言ってお前が止まるとは思えん。だから…力づくで止める」
「うるせぇぇぇぇぇ!!」
王蛇はベノバイザーにカードをベントインする。
≪STRIKE VENT≫
王蛇は”メタルホーン”というサイ型モンスター”メタルゲラス”の頭を模した角付きアタッチメントを召喚・装備して龍焔に攻撃しようとする。
≪SWORD VENT≫
そして龍焔は王蛇がメタルホーンを装備した瞬間にアドベントカードを”焔召機甲(えんしょうきこう)・フレイムバイザー”にベントイン。
それによってドラグフレイムの尻尾を模した”フレイムセイバー”が召喚された。
「フンッ!」
「グアァ!!」
龍焔の一振り目でメタルホーンが弾かれ、二振り目で剣撃が決まった。
「…終わりだな…」
「まだに決まってんだろうが!俺は今猛烈にイライラしてんだよ!」
≪SWING VENT≫
あくまで負けを認めない王蛇はエイ型のモンスター”エビルダイバー”の尻尾を模した電磁鞭”エビルウィップ”を召喚。
「まだ戦うと言うなら、無理やりに追い払ってやる」
龍焔はフレイムセイバーを投げ捨て、新たなカードをベントインする。
≪STRIKE VENT≫
空からドラグフレイムの頭を模した手甲”フレイムクロ−”が召喚され、龍焔はそれを受け取り、装備する。
そして、身を深く構えて…。
「ハアァァァ……ダアァァァァァ!!」
力の限り前へと突き出されたフレイムクローの口に当たる部分からは高威力の火炎球が発射される”凄龍突破”が発射され、その一撃は王蛇に激突する。
「ガアァァァァァァァァ!!!!」
耳を覆いたくなるような大きな悲鳴をあげて王蛇は鏡の中へ吹っ飛ばされ、現実空間に戻される。
「やるな…!」
ディロードは龍焔の実力を高く評価した。
「おい、龍焔」
「なんだ?」
「殺し合いではない戦いをしてはくれないか?」
「何故だ?」
ディロードのぶっ飛んだ言葉にディガイドは焦った。
「ちょ、廻!何を言ってん…」
「お前は外に出ていてくれ」
ディロードを止めようとするも、ディガイドは結局またディロードを戦わせる羽目となった。
戦闘開始。
「変身!」
≪KAMEN RIDE…RYUDO≫
カメンライドのカードを装填することで、ディロードはDリュ−ドに姿を変える。
「何ッ!?」
姿を変える能力を持つライダーと言えば、龍焔の記憶には”ベルデ”という他のミラーライダーの姿をコピーするライダーが居たが、ディロードの変身したリュ−ドは生物的かつ凶暴そうな容姿をしているので一目でミラーライダーとは違うと判断した。
「驚いてる暇あんのか?」
と言ってDリュ−ドは自慢の生体武器で戦っていく。
龍焔も左手にフレイムクローと先程投げ捨てたフレイムセイバーを右手に携えて対抗する。
――ガギイィィィン!――
≪SEPARATE VENT≫
刃が離れ、距離を置いたその瞬間に龍焔はガラスが割れたような音を立てながら砕け散った。
かと思えばその飛び散った破片は集まって二人の龍騎士の姿となった。
「龍騎とリュウガに分裂した!?」
余りに予想外な芸当にDリュ-ドは驚く他ない。
だが、焦っていても勝てるわけではない、彼は冷静さを考えを取り戻して二人に立ち向かっていく。
≪ATTACK RIDE…SHOULDE TENTACLE≫
カード装填直後にDリュ-ドの肩から生体触手”ショルドテンタクル”が飛び出し、龍騎とリュウガを捕縛する。抵抗する二人のライダーだが、龍騎やリュウガのスペックは龍焔には劣るものがあった。故に数では勝っていても力勝負ではエクシードギルスと同等のパワーを持つリュ-ドの力に適うわけもなかった。それを悟ったのか、二人はデッキからカードを引き、同時にベントインする。
≪FUSION VENT≫
ベントインが完了すると同時に龍騎とリュウガは元通りの龍焔へと戻った。
元に戻ると、龍焔はショルドテンタクルを力づくで振り解いた。
戦いは益々ヒートアップする。
「次で互いに決めるとするか!」
「あぁ!」
確認を取り合い、二人は一撃の準備をする。
≪FINAL ATTACKRIDE…RYU・RYU・RYU・RYUDO≫
音声が鳴り終わると、膝に生えている赤黒い極めて鋭利な刃こと”リュ−ド二−ネイル”が大きさを増した。
龍焔もフレイムクローを破棄し、フレイムセイバーのみにエネルギーを集中させると、刃は赤い光を帯びていく。
「「ッタアァァァァァァ!!」」
――ギギャァァァァァァァン!!――
***
「……異世界と呼ばれるものが本当にあったとは」
「驚くのも仕方ないわね」
「確かに」
「でも、分かってもらえて良かったよ」
「そうですね。私異世界初めてですから、いきなり協力断られたらどうしようかと思いましたよ」
闘いを終え、近くのカフェで五人は話し合っていた。
彼の名は赤火竜弥。龍焔のカードデッキを手に入れ、ライダーバトルに巻き込まれたらしく、人間を守る為に戦い続け、ライダー同士の殺し合いも止めたいと思っている。
「そうか、この世界以外でもライダーバトルが…」
「お前の気に病むことではない」
「だが、他人事じゃない。俺もミラーライダーだ」
「でも、大変なんじゃないですか?殆どのライダーが戦い合おうとしてると言ってましたし」
和雄が気まずそうに聞いてみた。
「止めて見せる、この戦いを。俺はその為に生きている」
決意の宿った強い言葉。
「竜弥、お前の気持はわかった。でも、戦いを止めるだけに生涯をささげる何て言うなよ」
「………」
「戦いを終えた後、お前にお前なりに光る道があるんじゃないか?」
「そうかもしれんな。…ライダーやってるやつにこんなこと言われたの初めてだ」
「そいつは良かったな」
(廻ったらホントに人の本質を見抜くのが上手ね)
(それ故に僕らは君と共に歩める)
信彦と流姫は改めて廻の良さを感じていた。
***
その少し後のこと。ミラーワールドで。
「丑射!!今日でケリをつけようぜ!」
「フンッ、望むところだ、いい加減お前との腐れ縁を断ち切りたいからな、巳多付!」
ゾルダと王蛇が対峙していた。
その後、凄まじい激闘が繰り広げられた為に辺り一面は建物の瓦礫が散乱していた。
≪FINAL VENT≫
ゾルダはカードをベントイン。
マグナギガが彼の眼前に姿を現す。
≪UNITE VENT≫
王蛇はユナイトベントのカードの効力でベノスネーカー・メタルゲラス・エビルダイバーの三モンスターは王蛇によって一か所に呼び出され、その身を結合して獣帝(じゅうてい)の異名を冠するキメラモンスター…ジェノサイダーとなる。
「消えろ…そろそろ」
≪FINAL VENT≫
その瞬間、ジェノサイダーの腹部に穴が開いたかと思うと、その穴は周りの空気を吸い込み始めた。そう、ブラックホールである。
「これでドタバタ騒ぎは終わりだ!」
マグナギガの背面にある部分に銃口を差し込んでいたゾルダは引き金を引いた。
すると、マグナギガの到る所に仕掛けられた砲門が開かれて一斉砲撃する”エンドオブワールド”が発動される。
「喰らえぇぇぇぇぇぇ!!」
王蛇もゾルダをブラックホールに叩きこもうと、彼を狙って両足ドリルキックをお見舞いする”ドゥームズディ”を発動。
――ズがガガガガガガガガガガガガ!!――
――ズダァァァ!!――
二つの必殺技は激しい交差線を描いた。
そして、途方もない爆炎と煙が起こった。
――ピュゥーーーーー!――
煙が晴れた時、戦いのであった場所には誰一人として居なかった。
***
竜弥との話し合いは良き方向で終わり、五人は機嫌良く帰路についていた。
そんな時に…。
――ビュゥン!――
なんと、次元の壁が現れたのだ。
と思いきやすぐに消えてしまった。
「なんだったんですか?今の…」
「次元の壁と言って、いつも僕らはあれを通過することで異世界へと渡ってる」
「………おい、居ないぞ。流姫が…」
「「はい?」」
***
「あれ?まさか、アタシ一人で…」
そのまさかで流姫は仲間と分断された。
『おいおい、魔王が来るって聞いたのに…その腰巾着かよ…』
いきなり失礼なことを言ってきた。
声からすると男だ。
「誰かしら…?」
流姫は眼を鋭くさせて姿すら見ていない相手に問うた。
『姿と力を見ればわかるぜ。一発でな♪」
その瞬間、何処からか大量の砂があらわれ、異形の者…イマジンとなる。
「ご、ゴーストイマジン!?」
そう、それはとある世界で仮面ライダー電王として戦っていた特異点たる青年に憑依して暴れまわったゴーストイマジンだった。
そして、奇妙なメロディが聞こえてくるとゴーストはいつの間にか装着していた”ユウキベルト”のバックルにライダーパスをセタッチする。
『変身…!』
≪SKULL FORM≫
電子音と共にゴーストはオーラスキンとオーラアーマーに包みこまれ、最後に電仮面が装備されると、”仮面ライダー幽汽・スカルフォーム”に変身した。
流姫も対抗すべくディガイドライバーをスタンバイ。
「変身!」
≪KAMEN RIDE…DI‐GUIDE≫
『ハッ!まあいいや。お前を倒した後、餌にして連中皆殺しだ!」
「アタシをなめないでほしいわね…変身」
ディガイドはトランスドライバーにカードを装填。
≪KAMEN RIDE…ZERONOS≫
ディガイドは緑色のオーラスキンと黄色いデンレールの走ったオーラアーマーに覆われ、牛をモチーフとした電仮面を装着してDゼロノスに変身。
さらにDゼロノスはカードをもう一枚使う。
≪ATTACK RIDE…SAISHONI ITTEOKU≫
「最初に言っておく」
『?』
「アタシはか〜な〜り、強い!」
『………役に立たないカードも、あるんだな』
折角決め台詞を決めたと言うのに、幽汽の同情じみた言葉のせいで場の空気が沈んだ。
Dゼロノスはディガイドライバーにカードを装填。
≪KAMEN RIDE…NEW DEN-O≫
カメンライドによってNEW電王を召喚。
そして、絶好調なまでに微笑ましい声でこう言った。
「さあ、そこにいる”ゴミクズ以下”を切り刻んで♪」
その瞬間、幽汽は背筋にとんでもない寒気を感じた。
「さて、アタシももう一丁」
≪FORM RIDE…ZERONOS ZERO≫
フォームライドの力でDゼロノスは赤錆色をしたゼロフォームにフォームチェンジした。
それと同時に手元にはデネビックバスターが出現する。
「連撃で仕留めてあげる、その方だ苦痛が残るだろうし」
≪ATTACK RIDE…CROSS ATTACK≫
すると、NEW電王の右足にはフリーエネルギーが充填されていく。
「ハアァァァ!!」
NEW電王はジャンプすると、一気に必殺キックこと”ストライクスパート”を決めた。
『グボォ!』
「もう一撃…!」
≪FINAL ATTACKRIDE…ZE・ZE・ZE・ZERONOS≫
デネビックバスターの銃口にフリーエネルギーがチャージされる。
「ウリャァァァ!」
そして、ゼロフォーム最大の必殺技”バスターノヴァ”が決まった。
『グ、ガ…アァァァァァァァ!!』
幽汽は叫び声を上げて爆発四散した。
すると同時に次元の壁が現れ、ディガイドを龍焔の世界へと誘った。
***
「ふ〜」
「おい、流姫。大丈夫か?」
「いきなり次元の壁に飛ばされるなんて…」
廻と信彦は安否を心配して声を掛ける。
「大丈夫。……それより、さっきのことはもう言わないでね、思い出したくもない記憶(メモリー)ができちゃったから…」
「「「はい!」」」
三人は気持ち良いくらいに頷くしかなかった。何せ、流姫の背後に色々とオーラと言うか、気迫的なものが見えそうで見えないほどに出ていたから。
***
ミラーワールド。
「…また、止められなかった…」
王蛇とゾルダが相討ちに終わった場所に龍焔は足を運んでいた。
「こうなったら…!」
「待て、龍焔」
意を決して何処かへ向かおうとした龍焔を止める騎士がいた。
「ナイト……」
そこに居たのは仮面ライダーナイト。
闇の翼と異名されるコウモリ型モンスター、ダークウイングと契約した剣士である。
「熱くなろうとも仕方ないだろ」
「……そうだな、熱くなりっ放しだと周りが見えなくなる…感謝するぜ、青風」
「構わん、俺とお前の仲だ」
龍焔は頷いて答え、ナイトもそれに答えると、二人はミラーワールドから退散した。
だが、そんな二人を見つめるものが居た。
「いよいよ、ライダーバトルも大詰めだ」
その者、不死鳥を模した黄金の鎧を纏い、威厳漂わせる仮面ライダーだった。
次回、仮面ライダーディロード
「…兄さん…」
『…竜弥…』
「俺は青風 翼。あいつ…いや、あいつらは……」
「ライダーは殺し合う運命だ!」
”兄弟の実像と鏡像”
全てを救い、全てを砕け!
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