野性児ライダー!?
RXの世界とBLACKの世界を巡り、仲間の命を救った一行は次なる世界の扉を開いた。
「士は何故か野球のユニフォーム姿だし、今度は一体何の世界何だ?」
ユウスケは仲間と共に写真館を出てからそう言った。
士は色の消え去った一枚のカードを手に取ると、しばし眺めてポケットにしまった。
「…少なくとも、俺達仮面ライダーには不都合な世界だな」
「へ?」
「どうしてですか?」
廻の発言に夏海とユウスケは疑問を感じる。
「見てみなさいよ…周りを」
流姫に促されて皆は周りを見た。
「「イー!」」
「「イー!」」
「「イー!」」
街の人々は妙な掛け声と同時に右手を上げて挨拶をしている。
「確かにこれは…」
士は嫌な予感を覚えた。
すると、一人の女性が一行に近づき…。
「イー!」
「「「「「「………」」」」」」
女性の挨拶に全くの沈黙でいる六人。
「挨拶はどうしたの?…まさか、あんた達大ショッカーじゃないんじゃ!?」
「いや、大ショッカーは俺達の敵ですよ」
「それに幹部の一人を倒した身ですし…」
ユウスケと信彦がそう言うと、女性は首から下げているホイッスルを吹き鳴らした。
すると、周りの人たちは敵意むき出しになって一行を囲む。
「な、なんだ?」
「どうやら、この世界でも俺達は歓迎されていないようだな」
すこし離れた場所では、黒一色の服装に大ショッカーのシンボルマークがあるランドセルを背負った少年が白衣の女性に駆け寄っていた。
「リツコ姉ちゃん!反乱分子はどこ?」
「あいつらよ」
リツコと呼ばれた白衣の女性は少年に廻達の方向を指さして見せた。
少年は廻達のほうに近づいた。
「…お前そのユニフォーム、どこで手に入れた?」
少年は士の着用しているユニフォームを見てそう言った。
「坊主…年上を相手にお前呼ばわりは良くないな」
「坊主ではない。僕は大ショッカースクール4年2組の岡村マサヒコだ」
「大ショッカースクール?」
「大ショッカーに入団していない者は皆粛清する。イー!」
マサヒコの掛け声と同時に周りの人間も掛け声を発し、さらには…。
アンノウン・ワーム・グロンギが出てくる始末。
「もしかしてこの世界…大ショッカーに占領された世界?」
夏海がそう言っている間にも、怪人達はゆっくりと近づいてきている。
そこへ…。
「ハッ!!」
左腕に奇妙な腕輪をつけた一人の青年が現れた。
「そこまでです。貴方達は逃げるんです」
「アマゾン!」
アマゾンと呼ばれた青年は腕をクロスさせた。
「アァァァマァァァゾォォォォォン!!」
彼の身体は緑を主体に赤いまだら模様のあるトカゲの如きライダーとなった。
「アマゾンの世界か」
世界の救済者、ディロード。幾つもの世界を巡り、その心は何を映す?
橋の下でアマゾンライダーは三体の怪人相手に戦っていた。
「なんか、どっちも怪人に見えるぞ」
「あの垂れ目のライダー…アマゾンだ」
「オオトカゲの能力を持ち、野性的な戦闘スタイルを備えている」
ユウスケの言葉に反応するかの如く、士と廻はアマゾンについて説明した。
「士君!」
アマゾンが劣勢気味になったのを見て、夏海は士に声をかけるが、士が手にしているのはカードではなく野球ボール。
士はそれをどっかに投げると、今度こそカードを取り出す。
廻も変身のスタンバイを行う。
「「変身!」」
≪KAMEN RIDE…DECADE≫
≪KAMEN RIDE…DEROAD≫
「お前等は!」
「ディケイドにディロード!」
変身した二人の姿に怪人達は真っ向から突っ込んでいく。
「ディケイド、ディロード、貴方達もライダーですか?」
「maybe…多分な!」
「俺は、Of course」
アマゾンの質問に答えると二人は戦いを再開する。
「見てな」
「目に焼き付けておけ」
≪FINAL ATTACKRIDE…DE・DE・DE・DECADE≫
≪FINAL ATTACKRIDE…DE・DE・DE・DEROAD≫
二人のディメンションキックとディメンションクラッシュによってワームとグロンギが倒された。
残ったアンノウンに三人は同時にキックをお見舞いして吹っ飛ばした。
すると、そこへ街の人々がやってきて…アンノウンを応援し始めた。
さらにライダーに対する侮辱の言葉まで口にする始末。
「この世界の人たちはライダーより怪人を応援するんですか!?」
「センスずれてるわねぇ。どうみても正義か悪かが見た目で判別できるのに」
「流姫よ、それをいったら仮面ライダーシンはなんなんだ?」
残りの怪人は一体と言うこともあって、既にディケイドとアマゾンに戦いを任せているディロードは高みの見物を決め込みながらそう言った。
そして、アンノウンは再び吹っ飛ばされると人々はアンノウンを庇うような陣形をとり、
「仮面ライダー!僕達が相手だ!」
と言い放ったのだ。
「チッ!人間相手は趣味じゃないぜ」
「じゃあ、せめて気絶させて、アンノウンだけ倒せば?」
ディケイドは戦いを渋ったが、ディロードはコールドライバーを出して威嚇攻撃をせん雰囲気である。
「行きましょう!」
しかしアマゾンが場を仕切っったことで、一行はその場から離脱した。
***
「一緒に戦ってくれる、ライダーと出会えるなんて、アマゾンとても嬉しい」
ある通路を通りながらアマゾンはそう言っていた。
「ディケイド、ディロード、アマゾン、トモダチ」
アマゾンは両手で印をつくった。
「なんなの?」
「仲間や友達って意味だよ」
信彦がユウスケに説明した。
「了…それに大樹」
廻は唐突にそういうと、呼ばれた二人が出てきた。
「やっぱりいたか、泥棒コンビ」
士は前回のこともあって、二人をコンビ扱いする。
「流石廻、俺らの気配を感じるとは」
「誰ですか?」
「安心したまえ、僕等もライダーだ」
「ほざけ、ただの盗人だろ」
了→アマゾン→大樹→士。
「二人とも、この世界は?」
「この世界では、十面鬼率いるゲドンが大ショッカーと手を組み、世界征服を企んでいる」
「彼らは人々に訴えました。…ライダーが世界を破壊する悪で…自分たちが、世界を救う正義だと」
「俺達ライダーからすれば迷惑極まる嘘っぱち。しかしそれを信じた人たちは続々と大ショッカーに入団し、入団しない者は追われる身となったわけだ」
話を聞いて、士はいつも通り「大体わかった」と言って…。
「で、お前等の狙いはこれか?」
士が言ったのは、アマゾンが付けている腕輪。
「見くびってもらっては困るな。僕らの狙ってるのは、ギギの腕輪よりレアな、ガガの腕輪だ」
「ま、いずれギギの腕輪も頂戴するがな。なにせギギの腕輪とガガの腕輪はセットになってこそ最大の力を発揮する」
***
大ショッカースクールの校庭。
そこには生徒たちが集められ、朝礼台に戦闘員服を着た校長と思われる男が立つと、
「イィー!!」
『イー!』
甲高い声を揚げ、生徒たちも応えた。
「気合が入っとらんぞ!イィー!!」
『イー!』
「もっとぉー!!」
『イー!!』
「…いいだろう。では成績優秀者の諸君の中から、反乱分子摘発数トップの者を表彰する。…4年2組、岡村マサヒコ」
表彰されるまでに大ショッカーに対するマサヒコの入れ込みが窺える瞬間と言えた。
「イー!」
「やったな、マサヒコ!」
返事をし、後ろに立っている友人から称賛されると、マサヒコは朝礼台に向かった。
だがなんと、表彰状を渡す者はアポロガイストだった。
「良く頑張った。この成績なら幹部候補生になるのも夢じゃない。十面鬼も、喜んでくれる」
アポロガイストはマサヒコに表彰状を渡し、マサヒコは挨拶して定位置に戻った。
「この世界が救われる日は近い。人類の未来は大ショッカーと共にある。そのためにも、徹底的に反乱分子を摘発するのだ」
『イー!』
その様子を校門前で見る者が一人。
「おのれ大ショッカー…!このままでは奴らが世界を奪ってしまう。これも全てあの魔王と悪魔のせいだ…。あいつ等の…!」
*****
掘っ立て小屋。
「良いの?アマゾンのこと」
「士達に任せれば良い。こっちの領土までアジトにされたくないからな」
聞いての通り、アマゾンはいま光写真館にいる。
写真館の隣に立っているこの小屋には廻と流姫しかいない、信彦は士達と一緒にいる。
「ねえ…廻///」
「ん?なんだ…!?」
妖艶な声で流姫に呼ばれた廻は振り返ったと同時に流姫に問答無用でキスされた。
しかも、一方的に舌を口内に入れられた。
「//////」
「//////♪」
廻はただ顔を赤くするだけだが、流姫はようやく実った想いの分を今清算しようと遠慮の欠片もなく舌を這わせる。
数分間、二人にとって密度の濃い時間が経過すると、流姫はようやく唇を離した。
「ふ〜、ごちそうさま♪」
(………可愛い)
妖艶さといつもの明るさが混ざった笑顔でそう言った流姫に、廻は心中で惚気た。
「…それじゃ、今度はこっちが頂くかな♪」
「///…なら、アタシも思いっきり甘えさせてもらうから♪」
いつの間にか完全にバカップルとしか思えない桃色空間を発生させている二人には今、きっと外部のことは全く伝わらないであろう。
*****
「…お呼びですか、十面鬼様?」
とある大ショッカーアジトで、マサヒコは膝まづきながらそう問うた。
『良く来てくれました。成績優秀な君を見込んで、頼みたいことがあるんです』
そう言ったのは下半身を奇妙な球体に埋め、上半身にはこれまた奇妙な模様が刻まれた容姿をした怪人…十面鬼 ユム・キミル。
「なんありとお申し付けください」
『世界の破壊者、仮面ライダーを一掃する為に…アマゾンのアジトを突き止めてほしいのです』
「アマゾンのアジトを…!?」
マサヒコは立ち上がりながら少し驚いた。
『アマゾンは正に、トカゲのように用心深い。しかし相手が純心な子供なら騙されやすい…、それを利用するんです』
丁寧な口調だが、言ってることは悪どいものだった。
十面鬼の頼みにマサヒコが渋ると、十面鬼はそれについて尋ねた。
「…騙すのは…なんか卑怯な気がして」
『卑怯?』
マサヒコが頷くと、
「流石は、次期幹部候補生」
アポロガイストだった。
「君の正義を愛する心は見上げたものだ。だが私は、真の正義を貫くためなら、自らの手を汚す。そんな君を私は、卑怯者と罵るかね?」
「と、とんでもありません!」
「よろしい。では正義の為に働けることを誇りに思うのだ」
大勢の人間の命を吸い取って、殺してまで、自分自身を生き延びさせようとした奴の言う台詞ではない。
「この作戦を成功させれば、大ショッカー大首領様も、御喜びになられるぞ」
「大首領様が?」
「…大ショッカーに、栄光あれ!」
すると、周りにいた戦闘員達が敬礼&挨拶の奇声を上げ、マサヒコも同じことをした。
そして、マサヒコと戦闘員達をその場から人払いすると、アポロガイストと十面鬼は二人っきりで話をしていた。
「良いな?お前はアマゾンを倒し、ギギの腕輪を奪うのだ」
『俺の持つガガの腕輪と、ギギの腕輪が揃えば、超古代文明のパワーを無限に引き出すことが可能だからな』
「さすれば、あの作戦を…」
『「フフフフフ、アハハハハハハハハハ!!」』
アポロガイストと十面鬼が喜々した笑いをしていた。
「…ガガの腕輪を持ってるのは、十面鬼か」
「にしても、あの十面鬼。俺の知ってるのとデザイン違ぇな〜、他のアマゾンの世界で見た十面鬼がダサく見える」
大樹と了は物影で十面鬼とアポロガイストの会話を盗み聞きしていた。
了にいたってはこの世界の十面鬼と他の世界の十面鬼を比べていたが。
*****
「ス〜、ス〜、ス〜…」
「ふぅ〜ふぅ〜ふぅ〜」
廻と流姫はお互いを抱き枕にして心地良い眠りを堪能していた。
しかし、幸せな時間は長続きしないものである。
――ズバァーーーン!!――
「「!!?」」
突然聞こえてきた爆音に二人はビックリして飛び起きた。
窓から外を見ると、アンノウン・魔化魍・トライアルE・ミラーモンスター・タイガーロイドの五体が士らやアマゾンに攻撃を仕掛けている場面だった。
二人は即座にドアを開けて、その場に駆けて皆の眼前に赴いた。
「廻!流姫!」
士が二人の登場に喜んだ直後、アポロガイストが次元の壁から現れた。
「アポロガイスト様!僕はまだここにいます、攻撃を中止してください!」
「君はライダー共と共に、名誉の戦死を遂げるのだ。…やれ」
マサヒコの言葉に耳を貸さず、無情な命令を下すアポロガイスト。
「んなことはどうでも良い!!」
廻が突然大声を出したことに皆は驚いた。
「あれ程心地良くて、気持ちいい時を過ごしていたと言うのに…」
「狙ったかのように邪魔するとは言い覚悟だな〜、オイ?」
二人は満面の笑みだった。でも目は全く笑っていなかった。それどころかヤバいオーラを出している始末。そりゃもうドス黒いオーラを。…そんな二人を見て…。
『怖ッ!!』
その場の者全てが恐怖に凍りついたのは当然の話と言える。
≪KAMEN RIDE≫
「「変身ッ!!」」
≪DEROAD≫
≪DI‐GUIDE≫
変身した二人の姿は怪人達には修羅に見えていたとか。
「オイ…見てるだけかな?」
「「「「いえ!勿論参加させていただきます!!」」」」
ディロードの言葉に士・ユウスケ・アマゾン・信彦は鬼軍曹を目の前にした兵士のような反応をした。
「変身」
≪KAMEN RIDE≫
「変身!」
「変身ッ!」
「アァーマァーゾォーーン!!」
≪DECADE≫
三人はディケイド・クウガ・SHADOW・アマゾンに変身。
「アポロチェンジ」
アポロガイストも怪人態となり、交戦が始まった。
ディケイドはアポロガイスト・ディガイドはトライアルEと相手に決めると、ディロードも残った怪人を片づけようとした瞬間、
「…!?」
突如次元の壁が出現し、ディロードの進行を妨害したのだ。そしてそこから現れたのは、黒い髪の一部に赤いメッシュ・赤色のロングコート・右手だけにはめた黒革手袋と言った風貌の男だった。
「お前は…?」
「俺の名はデス・ナイト」
デス・ナイトを名乗った男は懐から”黒いディケイドライバー”を取り出した。
「見るがいい終焉者ディロードよ。俺の、消滅者の変身をな…!」
「…消滅者…」
≪KAMEN RIDE…DECADE≫
「お、おい士!!」
「ば、バカな!?黒いディケイドだと!?」
遠くからだが、ユウスケと士はデス・ナイトの変身を見て大驚愕した。
黒と灰色を基本色とするアーマー。不気味に光る青い複眼。胸に輝くメタリックレッドの十字線。
これらの相違点さえなければ、本物のディケイドと寸分違わぬと言わしめたであろう姿だった。
「仮面ライダーデスディケイド」
「それがお前の…消滅者としての…ライダーの力と姿か」
何時もの冷静な態度を崩すことなく、ディロードはそう言った。
「そうだ、ディロード。お前に頼みたいことがある」
「…なんだ?」
ディロードがそう聞くと、デスディケイドはこう言った。
「俺達の組織…”デス・ナイツ”に協力して欲しい」
「断る。俺には興味のないことだ」
「…即刻で交渉決裂か…。まあ良い、ならばお前を倒す。
お前は味方にすればかなり頼もしくて心強いが、敵に回したらこの上なく厄介極まるからな」
デスディケイドはため息混じりにそう言うと、ライドブッカーからカードを取り出し、ディロードもライドセイバーからカードを同時に取り出した。
≪ATTACK RIDE…BLAST≫
≪ATTACK RIDE…EXTRA BLAST≫
今ここに、終焉者と消滅者の戦いが始まった。
次回、仮面ライダーディロード
「ディエンドの、パワーアップカードだね」
「これで全人類怪人化計画を実行できる」
「この世界はアマゾンが救う」
「スーパー大切断!!」
真友…!
全てを救い、全てを砕け!
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