Tの焦り/誤【あやまち】


ゼロとリインフォースが機動六課にやって来てから一週間。
二人を含んだ機動六課メンバーはヴァイス・グランセニック陸曹の操縦するヘリに乗っていた。

ミッドチルダ 首都南東地区上空。

「ほんなら改めて、ここまでの流れと今日の任務のおさらいや。
これまで謎やったガジェット・ドローンの製作者及びロストロギア、レリックの収集者は現状ではこの男…違法研究で広域指名手配されとる、次元犯罪者ジェイル・スカリエッティの線を中心に捜査を進める」

はやてはモニターにスカリエッティに関するデータを映しだしながらそう言った。

「こっちの捜査は主に私が進めるんだけど、皆も一応覚えておいてね」
「「「「はい!」」」」

フェイトの言葉にフォワード陣が返事する。
スカリエッティの顔写真を見ると、ゼロは獲物を狙う獣の表情になった。
ゼロの正体を知っている者達はなんとなくその意味に気付いていたが、フォワード陣は怯えていた。

「ゼロ、子供たちが怯えていますので…」
「…あぁ、わかっている」

リインフォースの言葉にハッとなったゼロはすぐさま表情を元通りにした。
そんな中リインは少しビクつきながらもモニターに写っている写真を別にものに変えた。

「そ、それで今日向かう場所は此処…ホテル・アグスタ」
「骨董品美術品オークションの会場警備と人員警護、それが今日のお仕事ね」

「取引許可の出ているロストロギアが幾つも出品されてるので、その反応をレリックと誤認したガジェットが出てきちゃう可能性が高い、とのことで私達が警備に呼ばれたです!」

リインが胸を張りながら説明した。

「この手の大型オークションになると、密輸取引の隠れ蓑になったりするから…色々油断は禁物だよ」

と、注意を呼びかけるフェイト。

「現場には昨夜からシグナム副隊長とヴィータ副隊長他、数名の隊員がが張ってくれてる」
「私達は建物の中の警備に回るから、前線は副隊長の指示に従ってね」
「「「「はい!」」」」

あらかたの説明が済むと、

「あの、シャマル先生。さっきから気になってたんですけど…その箱って?」

キャロが挙手してシャマルの足元にある五つの箱に着目する。

「ん?あぁ、これ?隊長達とゼロさんとリインフォースの”お仕事着”♪」




*****

ホテル・アグスタ。
受付担当の者がやってきた大勢の客達の対応をしていると、そのうちの一人が機動六課の身分証明書を出してきた。

「あ!?」

それを見た受付人は驚いた。

「こんにちは、機動六課です」

ドレスやスーツを着た隊長陣とゼロとリインフォースがいた。

「…なんだか、似合いませんよねこう言う格好///」

紫色のドレスを着ていたリインフォースは少し恥ずかしそうに言った。

「そんなことあらへんで、リインフォース♪」
「うんうん。似合ってるし綺麗だよ」
「もっと胸を張って自身持って!」

そんなリインフォースに隊長三人は彼女のドレス姿を褒めた。
実質、今のリインフォースは雪のように煌めくロングの銀髪に綺麗な白い肌、そして何よりその美貌も合いまってか、周りの男たちの視線を集めている。

「馬子にも衣装とはこのことだな」
「褒め言葉として受け取っておきます」

微笑みながら意地悪な物言いをするゼロ。
だがそれをフレンドリーな言葉として受け取ることにしたリインフォースは同じように微笑んで返した。

そして、内部の会場に入場していく。

「会場内の警備は流石に厳重っと…」
「一般的なトラブルには、十分対処できるだろうね」
「外は六課の子たちが固めてるし、入口には防災用の非常シャッターもある。ガジェットがここまで入って来る要素はなさそうやしな」
「うん。油断はできないけど、少し安心」
「ま、どっちにしてもわたし達の出番は、ホンマの非常事態だけや」

なのはとはやては警備・警護に関する話をしている時、

「オークション開始まで、あとどれくらい?」
『3時間27分です』

廊下を歩いていたフェイトは待機モードのバルディッシュに時間を聞いた。

「あれ?」
「先生、どうかしましたか?」
「あぁ…いえ」

この会話をしていた男二人の内、一人の名はユーノ・スクライア。
遺跡発掘を生業とするスクライア族の一人。10年前のロストロギア・ジュエルシード事件をきっかけになのはがレイジングハートを手にして魔導師となるきっかけを作った人物である。





*****

(でも今日は八神部隊長の守護騎士団全員集合か〜)
(そうね。あんたは結構詳しいわよね。八神部隊長や副隊長のこと)

一方こちらではスバルとティアナが念話で意思疎通していた。

(うん、父さんやギン姉から聞いたことくらいだけど…。八神部隊長の使ってるデバイスが魔導書型で、それの名前が”夜天の書”ってこと。副隊長達とシャマル先生、ザフィーラは八神部隊長個人が保有してる特別戦力だってこと。で、それにリイン曹長合わせて六人揃えば、無敵の戦力ってこと。まぁ、八神部隊長達の出自や能力の詳細は特秘事項だから、あたしも詳しいことは知らないけど…)

(レアスキル持ちの人は皆そうよね)
(ティア、なんか気になるの?)
(別に)
(そう。じゃあまた後でね)

念話が終了すると、ティアナはこう思考する。



六課の戦力は、無敵を通り越して明らかに異常だ。
八神部隊長がどんな裏技を使ったかは知らないけど…隊長格全員がオーバーS。副隊長でもニアSランク。他の隊員たちだって、前線から管制官まで、未来のエリートたちばっかり。あの年でもうBランクを取ってるエリオとレアで強力な竜召喚士のキャロは、二人ともフェイトさんの秘蔵っ子。危っかくしてはあっても、潜在能力と可能性の塊で、優しい家族のバックアップのあるスバル。

そして、管理局の精鋭達でも敵わなかったドーパントを相手に圧勝し、今や管理局中の話題になっている…仮面ライダーイーヴィル・無限ゼロさんと、その助手を務めるリインフォースさん。

やっぱりうちの部隊で凡人はあたしだけか…。だけど、そんなの関係無い、あたしは、立ち止まるわけにはいかないんだ。





*****

其のころ、ホテル・アグスタから離れた森林で…。

「あそこか…。お前の探し物は、ここには無いのだろう?」

フード付きのコートを羽織った壮年の男が、隣にいる長い薄紫色の髪をした少女に尋ねる。

「なにか気になることでもあるのか?」

壮年の男がそう聞くと、少女は頷き、彼女の指に奇妙な銀色の虫が停まった。

「…ドクターの玩具が、近づいてきてるって」

虫が持ってきた情報を、少女はそのまま口にした。





*****

「クラールヴィントのセンサーに反応。シャーリー!」

同時刻、シャマルの指輪型デバイスのクラールヴィントに反応があった。
シャマルは管制室に居るシャリオ・フィニーノ。愛称シャーリーに呼びかける。

「はい!」
「来た来た!来ましたよ!ガジェットドローン陸戦I型、機影30…35!」
「陸戦III型…2、3、4!」

管制室のロングアーチメンバーがガジェットの出現を探知すると…。





*****

「エリオ、キャロ。お前達は上にあがれ。ティアナの指示でホテル前に防衛ラインの設置をする」
「「はい!」」

地下駐車場に居たシグナムは一緒に居たエリオとキャロに指示をする。

「ザフィーラは、私と迎撃に出るぞ」
「心得た」

狼形態でのザフィーラが喋ったことで

「!?…ザフィーラって喋れたの!?」
「ビックリ…!」

エリオとキャロは驚いた。
なにせこの二人は狼形態のザフィーラが口を利いた場面に一度も居合わせた試しがないのだ。

「守りの要はお前たちだ、頼むぞ」

ザフィーラはそう言ってシグナムと一緒に迎撃に向かった。





*****

「前線各員へ、状況は広域防御戦です。ロングアーチ1の総合管制に合わせて、私、シャマルが現場指揮を行います」

それに応じてフォワード一同は動き出す。

ティアナはクロスミラージュからホテルの外壁に向かって魔力で造ったアンカーを打ち込むと、今度はそれをリールのように巻き取って一気にホテル敷地内に入った。

「シャマル先生!私も状況を見たいんです。前線のモニター貰えませんか?」
「了解、クロスミラージュに直結するわ。クラールヴィント、お願いね」
『Yes』

シャマルはクラールヴィントにキスすると、騎士甲冑を身に纏う。

(シグナム、ヴィータちゃん)

シャマルの念話を受け取って、シグナムとヴィータはシャーリーにデバイスのロックの解除とレベル2への起動承認をして貰い、

「グラーフアイゼン!!」
「レバンティン!!」
『『Activating』』

二人は騎士甲冑姿になると、ガジェット迎撃のために空へ飛んだ。

「新人共の防衛ラインまでは一機たりとも通さねえ。速攻でぶっ潰す!」
「…お前も過保護だな」
「うるせぇよ!」





*****

そして…会場内部では。

(フェイトちゃん、主催者さんは何だって?)
(外の状況は伝えたんだけど、お客の避難やオークション中止は困るから、開始を少し伸ばして様子を見るって)

なのはとフェイトが念話で連絡を取っている時、

「フムフム、『欲望』の気配が濃くなってきたな」

ゼロはリインフォース共々、客達がたむろする会場に堂々と立っていた。

「本当にガイアメモリを持っている人間がいるんですか?」
「ガイアメモリであろうとなかろうと、犯罪に走らせる一歩手前まで『欲望』が膨れ上がっていることは事実の他ならない」

と二人は話し込んでいた。
そんな時、会場の外で…。

【FUNGUS】

「!…『欲望』が弾けたぞ」
「ではやはりドーパント!?」

ガイアメモリ使用による『欲望』の完成を感じ取ったゼロ。

(八神よ、聞こえるか)
(どうしたんですかゼロさん?)
(ドーパントが現れた。後を頼むぞ)

念話でそう伝えると、(え?ちょっと待って!)なんて言っていたが、ゼロはモロに無視して念話を切った。

ゼロとリインフォースはホテル・アグスタの外にある木々の生い茂る茂みにまで移動すると、変身ツールを身につける。

【MAGICAL】
【LEADER】

「「変身!!」」

【MAGICAL/LEADER】

魔法の統率者の声が発せられると茂みからはイーヴィル・マジカルリーダーが飛び出してきた。
額に位置する緑色のターミナルアイが輝くと、イビルホイーラーが自動操縦で走行してくる。
イーヴィルはイビルホイーラーに跨ると、颯爽とドーパントのところに駆けていく。





*****

『フハハハハ!皆逝っちまえ!!』

菌類の記憶を刻んだフングスメモリによって変身したフングス・ドーパントは身体から大量の毒胞子を撒き散らす。

『そこまでですよ』
『誰だッ!?折角のいい気分を!』
「その良い気分を狩りとるのがこの私だ」

――ブゥオォォォォォォン!!――

バイクのエンジン音がそこかしこに響き渡る。
すると、イビルホイーラーに乗ったイーヴィルが颯爽と登場する。

『お前は!?』
「仮面ライダー、イーヴィル」

イーヴィルはバイクから降りて、何時もの通りに…。

「『さあ、貴様の欲望を差し出せ…!』」

右手でフングスを指さしながら決め台詞を決めた。

『あ、相手が悪すぎる!逃げるが「そうはいかん」

――ガシッ!――

フングスが逃げようとすると、イーヴィルは魔人の驚異的な走力を生かしてあっと言う間に追いつき、頭を掴んだ。

「折角の食糧をみすみす逃がすような趣味はない」
『は、放せェエエエ!!』

フングスは必死になってイーヴィルの手を振りほどくと、胞子を撒き散らして煙幕代わりにする。

『ゼロ、あれで行きましょう』
「応」

【KNIGHT】
【SONIC】
【SONIC/KNIGHT】

イーヴィルの左半身は青、右半身は金色に変化したソニックナイトにハーフチェンジする。
イーヴィルは即座にナイトグレイブにある二つのマキシマムスロットにメモリをセット。

【EVIL/KNIGHT・MAXIMUM DRIVE】

「『ナイトゲイルスラッシャー…!!』」

フングスは胞子の煙幕から出て、イーヴィルとは100メートル以上も離れたところにいたが…。

――ザシュッ!!――

『な、なんで…!?』

フングスは斬られた。
イーヴィルは超高速移動によって技名を叫んだ直後に敵を叩っ切ったのだ。

「敗北感を知れ…!」

フングスはドーパント形態から人間の姿に戻ってしまう。
ゼロは壊れたメモリを踏みつけた状態で魔人態になり、

『いただきます』

――ガブッ!!――

「ごちそうさま」

あっと言う間に『欲望』をたいらげた。





*****

「は〜!副隊長やザフィーラも凄いけど、やっぱりゼロさんが一番凄い!」

シグナム達がガジェットを破壊する様子をモニターで見ていたスバルとティアナは、別のモニターに写っていたイーヴィルの行った戦闘場面の一部を観戦していた。

「あの様子、まるで…」

実際に見た仮面ライダーとドーパントの戦い。
ティアナは自分ならまず敵わないであろう敵を雑魚のように扱うイーヴィルを見て、シグナム達の時と同様に再び拳を握った。





*****

一方こっちでは、

「ごきげんよう。騎士ゼスト、ルーテシア」

壮年の男・ゼストと長い薄紫の髪の少女・ルーテシアが六課の戦いを観ていると、ジェイルスカリ得ッティがモニターで連絡を取って来た。

「ごきげんよう」
「…何の用だ?」

ルーテシアは挨拶を丁寧に返すも、ゼストはスカリエッティを邪険にするような声で尋ねる。

「冷たいね。近くで状況を見ているんだろ?あのホテルにレリックは無さそうなんだが、実験材料として興味深い骨董が一つあるんだ。少し協力はしてはくれないかね?君たちなら、実に造作もないことのはずなんだが…」

スカリエッティが協力を頼むと、

「断る、レリックが絡まぬ限り、互いに不可侵を護ると決めた筈だ。それにあの場には仮面ライダーがいるようだしな」
「…ルーテシアはどうだい?頼まれてはくれないかな?」

ゼストが断ると、今度はルーテシアに話を振った。

「いいよ」

ルーテシアもかなりあっさりと承諾する。

「優しいな、ありがとう。今度是非、お茶とお菓子を奢らせてくれ。君のデバイス、アクスレピオスに私の欲しい物のデータを送ったよ。仮面ライダーの相手も、ドーパントがしてくれる」

スカリエッティはルーテシアのグローブ型デバイスにデータを送ると、イーヴィルの相手をする者のことを教える。

「じゃあ、ごきげんようドクター」
「あぁ、ごきげんよう。吉報を待っているよ」

そうすると、双方に展開されていたモニターは消えた。

「いいのか?」
「うん。ゼストやアギトはドクターを嫌うけど、私はドクターのことそんなに嫌いじゃないから」
「…そうか」

ゼストの言葉にルーテシアはそう答えた。
そして両腕を開いて濃い紫色の魔法陣を展開する。

「我は乞う…」





*****

「はッ!?」
「キャロ、どうしたの?」

ルーテシアの魔法発動に感づいたキャロの反応にエリオが声をかける。

「近くで誰かが召喚を使ってる」

其の情報はシャマルは勿論、ロングアーチも探知していた。





*****

「小さき者、羽ばたく者、言の葉に応え、我が命を果たせ。召喚…インゼクト・ツーク」

詠唱を終えると、魔法陣から召喚されたインゼクトの群れ。
ルーテシアのお願いで飛んで行ったインゼクト達は、ガジェット内部に入り込んだ。

すると、ヴィータやシグナムの攻撃に対して今までとは一味違う動きを見せる。

「急に動きが良くなった」
「自動機械の動きじゃないな」

そう、ルーテシアの放ったインゼクト達の力の一端である。

「ヴィータ、ラインまで下がれ。向こうに召喚士がいるなら、新人たちのところに回り込まれるかもしれん」
「わ、わかった!」

シグナムの言葉を聞いて、ヴィータは急いでフォワード陣のもとに向かう。

(ザフィーラ、シグナムと合流して)
(心得た)

シャマルはザフィーラに念話で指示を送る。





*****

「やはり素晴らしい。彼女の能力は」
「極小の召喚獣による無機物自動操作…シュテーレ・ゲネゲン」

スカリエッティがルーテシアの能力に称賛を贈ると、モニターに映った女性…ウーノがルーテシアの能力の解説をする。

「それも、彼女の能力のほんの一端に過ぎないがね」

そうしている間にルーテシアは…。

「ブンタ−ヴィヒト、オブジェクト11機、転送移動」

そして、アクスレピオスから自分につき従う召喚獣・ガリューに目的の骨董品の確保を向かわせた。





*****

ルーテシアの魔法によってフォワード陣の前に出現してきたガジェット。

「あれって、召喚魔法陣?」
「召喚ってこんなこともできるの?」
「優れた召喚士は、転送魔法のエキスパートでもあるんです」

驚くスバルとエリオに同じ召喚系の魔法を扱うキャロが説明する。

「何でも良いわ!迎撃いくわよ!」
「「「応!!」」」

拳銃型デバイスクロスミラージュを手に、ティアナはそう言った。

(今までと同じだ。証明すれば良い。自分の能力と勇気を証明して、あたしはいつだってやってきた!)

自身の魔力光と同じ、オレンジ色の魔法陣を展開。

魔力の弾丸を撃ち出すも、ガジェット共は巧に避ける。
そして、後方に控えるガジェットが小型ミサイルを撃つと、

【BARRET F】

クロスミラージュの電子ボイスとともに連射撃で小型ミサイルを撃つ。

「ティアさん!」
「!!!」

キャロが叫んだときにはガジェットがティアナに向けて攻撃を行っていた。
ティアナはそれを避けて反撃も、搭載されているAMF(アンチ・マギリング・フィールド)という、一定範囲内の魔力結合を消去することで魔法攻撃を弱体化させるフィールドによってガジェット本体にはヒビを入れる程度の効果しか得られない。

「防衛ライン、もう少し持ち堪えてね」
「はい!」
「ヴィータ副隊長がすぐ戻ってくるから」

シャマルとスバルの通信を聞いていたティアナは、

「守ってばっかじゃ行き詰ります。ちゃんと全機落とします!」
「ちょっと、ティアナ大丈夫?無茶しないで」

管制室からティアナを心配する声に対し、ティアナ自身は、

「大丈夫です!毎日朝晩、練習して来てんですから!エリオ、センターに下がって。私とスバルのツートップでいく!」
「あ、はい!」

ティアナの指示にエリオが従う。

「スバル!クロスシフトA、行くわよ!」
「応!」

スバルは魔力で作り上げた道、ウイングロードをインラインスケート型のデバイス、マッハキャリバーで走っていく。

ガジェット達は自分の真上を移動するスバルにつられて移動する。

ティアナはカートリッジをロードして魔法陣を展開。

(証明するんだ。特別な才能や凄い魔力が無くたって、一流の隊長達のいる部隊でだって…どんな危険な戦いだって!)

心の中でそう自分に言い聞かせると、ティアナはクロスミラージュを構え、周りに多数の魔力の球体を出現させる。

「私は…ランスターの弾丸はちゃんと敵を撃ち抜けるんだって!」

しかし、ロードしたカートリッジの数が数だけに…。

「ティアナ、四発ロードなんて無茶だよ!それじゃティアナもクロスミラージュも!」
「撃てます!」
『Yes』

撃てると返事したものの、ティアナとクロスミラージュにはそれ相応の負担がかかっていた筈だ。

「クロスファイアァー!シューーート!!」

ティアナが腕をクロスさせた瞬間、魔力弾は一斉にガジェットへ飛んで行き、破壊する。
しかし、ガジェットに命中することなく漏れた一発は、スバルの方に向かっていく。

その瞬間、

――ガギーン!!――

魔力弾は何者かの攻撃で潰された。

「ぜ、ゼロさん…!」

そこにはイビルホイーラー・フライトモードに乗ったイーヴィル・ソニックナイトの姿があった。

『ティアナ、無茶のし過ぎです』

イーヴィルの右複眼が点滅し、リインフォースの意思がティアナに語りかける。

そこへ遅れてヴィータに到着した。ことの顛末(てんまつ)を見ていたこともあり、イーヴィルに感謝の言葉を贈った直後、ティアナに怒気の籠りまくった声で怒鳴った。スバルはそれを弁解しようとするも、先程の光景を見たものならどう考えてもスバルの言葉には説得力というものは感じることはできなかった。

「もういい、後はあたしとゼロとリインフォースでやる。二人纏めて、すっこんでろ!!」

そうヴィータが言った時、ティアナの顔には言い表しきれない感情が表に出ていた。

だがその時に…。

【SNAKE】

次回、仮面ライダーイーヴィル

Tの本心/兄【かこ】

「この『欲望』はもう、私の手中にある…!」

押して頂けると作者の励みになりますm(__)m


<<前話 目次 次話>>

作家さんへの感想は掲示板のほうへ♪

作品を投稿する感想掲示板トップページに戻る

Copyright(c)2004 SILUFENIA All rights reserved.