VとSの計画/前【ぜんぺん】

時空管理局地上本部・後悔陳述会が間近となり、ディアンやフォワード陣とギンガやなのはとヴィータ、リインがバイス陸曹の操縦するヘリに乗り込んで地上本部に向かい。

はやて達もヘリ出発から数時間後に地上本部に赴くこととなった。

しかし、イーヴィル=ゼロとリインフォースは非常時に備えて六課に残ることにした。
二人が六課に残るを聞いたヴィヴィオは嬉しそうな表情で両親に思いっきり遊んでもらうように甘えたのは別の話。





*****

ミッドチルダ
9月12日 AM 11:55

『公開意見陳述会開始まで、あと三時間を切りました。本局や各世界の代表による、ミッドチルダ地上本部の運営に関する意見交換が目的のこの会。波乱含みの会となることも珍しくなく、地上本部からの陳述内容について、注目が集まっています。今回は特に、かねてから議論が絶えない地上防衛用の迎撃兵器、アインヘリアルの運用についての問題が話し合われると思われます。陳述会の開始まで、内部の映像と共に実況を続けてまいります』

淡々とした口調で話す女子アナウンサー。
そのニュース番組を六課の自室で見ていたゼロは、理由の分からない、嫌な虫の予感を感じていた、

「パパ、どうしたの?」
「…別に。気にするな」

ヴィヴィオが心配そうにゼロに尋ねると、当人は無愛想にそう答えた。





*****

(それにしてもだ…今一わからねえ。予言どおりに事が起こるとして、内部のクーデターって線は薄いんだろ?)
(アコース査察官が調査してくれた範囲ではね)

陳述会が開始されたころ、なのはとヴィータは念話で連絡を取っていた。

(そうすっと外部からのテロだ。だとしたら、目的は何だよ?
犯人は、例のレリック集めてる連中…スカリエッティ一味だっけか?
奴らだとしたら、さらに分からねえ。局を襲って何の得がある?)

(兵器開発者なら、自分の兵器の威力証明、かな?
管理局の本部を壊滅させられる兵器や戦力を用意できるって証明できれば、欲しがる人は幾らでもいるだろうし…)

(威力証明なら、他にできる場所は幾らでもある。リスクが高すぎるだろ)
(…だよね)
(どうも読めねえ)
(まあ、あんまり考えてもしょうがないよ。信頼できる上司が命令をくれる。私達はその通りに動こう)
(…そうだな)

二人の念話はこのような形で締められた。

一方陳述会真っ最中の大きな会議室の内部警護についていたディアン。

「………ッ!?…気のせいか?」

なにやら不吉な予感を感じていた。





*****

ミッドチルダ上空。

「連中の尻馬に乗るのは、どうも気が進まねえけど…」
「それでも貴重な機会ではある。今日ここで全てが終わるなら、それに越したことはない」

そこではゼストとアギトがいた。

「まあね。つーか、あたしはルールーも心配だ。大丈夫かなあの子?」
「心配なら、ルーテシアについてやればいい」
「今回のことに関しちゃ、旦那のことも心配なんだよ!ルールーにはまだ虫たちやガリューがいるけど、旦那は一人じゃんか」

アギトはあくまでゼストにつく気でいるらしい。

「旦那の目的はこのヒゲオヤジだろ?そこまではあたしがついていく。旦那のこと、守ってあげるよ」
「…お前の自由だ。好きにしろ」
「するともさ。旦那はあたしの恩人だからな」





*****

「ナンバーズ。No.3トーレからNo.12ディ―ドまで、全配置完了」

そのころウーノはコンソールを叩きながら現状況を報告。

「お嬢とゼスト殿も、所定の位置に着かれた」
「砲撃準備も全て万全。あとはゴーサインを待つだけです〜」

モニター通信でトーレとクアットロが報告する。

整いつつある計画への第一歩。
それを目前にしたスカリエッティは笑いをこらえきれない。
椅子に座っている彼の隣に立つヘルも包帯越しでも分かるような笑顔をしている。

「お二方、楽しそうですね?」
「あぁ、楽しいさ。この手で世界の歴史を変える瞬間が。…研究者として、技術者として、心が湧きたつじゃないか」
「そうは思わないかいNo.1ウーノ?」

スカリエッティとヘルの声には誰の耳でも分かるような期待感があった。

「我々のスポンサー氏にとくと見てもらおう。我等の思いと、研究と開発の成果をな」
「「さあ、始めよう!!」」

スカリエッティとヘルの声が揃い、ウーノはコンソールを叩いてゴーサインを奏でる。

「ミッション・スタート!」

クアットロの任務開始宣言と共に、全てが動き出す。

「アクスレピオス、限定解除」

そのころ地上本部では、

「エネルギー反応?」
「おい、嘘だろ!?」
「通信管制システムに異常?」
「クラッキング?侵入されてます!」
「馬鹿な!」

コンピューターの異常・クラッキングによる混乱が起こっていた。
だがそれは…。

「クアットロさんのIS・シルバーカーテン。
電子が織りなす嘘と幻。銀幕芝居をお楽しみあれ!」

クアットロのISによるものだった。

「こっちの通信機だけじゃないのか?」
「通信システムそのものが可笑しい!」

地上本部の局員たちはこの状況にてんてこ舞いする。

「緊急防壁を展開!予備のサーチシステム、立ち上げ急げ!」

そこで、その場の責任者と思われる局員が命令を下す。
だがそれも、ある意味無謀であった。

――ドガアァーーーーーン!!!!――

突然、何者かが天井から落とした爆弾によって、局員達は気絶してしまう。
無論、それをやってのけたのはディープダイバーを使ったセインだと言うことは言うまでもない。

さらに、地上本部のエネルギーを生み出す動力室では…。

「IS発動。ランブルデトネイター」

隻眼に眼帯をした銀髪の小柄な少女が、数本のナイフを動力室内のパイプに幾つか投げ刺すと、ナイフはNo.5チンクのISによって爆発を起こした。

「防壁出力減少。…ルーお嬢様〜、お願いします〜」
「…遠隔召喚、開始…」

それにより、地上本部前に召喚される無数のガジェット。

一方、地上本部から離れた高層ビルの屋上では

「IS…ヘビィバレル。バレットイメージ、エアズルシェル。…発射」

――ズドオォーーーーーン!!――

イノーメスカノンの大砲撃を地上本部に向けて発射するディエチの姿が。
大砲撃は地上本部の外壁に風穴をあける。

そんな大事は陳述会の会議室にも伝わりつつあるようだ。

レジアスはあくまでも会の中止の意思は見せず、地上本部の防御力を過信する。

「別に、中にまで入る必要はないもん。囲んで無力化しちゃえば♪」

クアットロはレジアスの施行をあざ笑うかのようにガジェット達を地上本部周囲に展開されたバリアにわざと接触させる。

最初の内はガジェットの数機が無茶な過負荷で爆発したりしたが、余りの数の多さに…。

地上本部と外部を繋ぐ出入り口は自動で遮断されてしまう。

建物内部に閉じ込められたのだと、はやて達が痛感していると…。

【MASQUERADE】
【MAGNET】

仮面舞踏会を意味するガイアウィスパーが多数聞こえてきた。

皆がその電子ボイスのした方向を見てみると、そこには局員になり済ましていた黒服の怪人。マスカレイド・ドーパントが大勢集まっている。
さらには磁石の記憶を宿したマグネット・ドーパントまでいる始末だ。

それを見た本物の局員達は大混乱に陥る。

「やはりそういうことか…」

【NAIL】

「変身ッ!」

【NAIL】

ディアンは仮面ライダーネイルに変身。

「皆、怪我したくなかったら退いてろ!!」

ネイルの呼びかけに一度はさらに混乱する局員たちだが、はやて達が呼びかけ協力したことで局員達は急いでネイルやドーパント達から離れる。

――ザシュ、ザシュッ、ザシュッ!――

戦闘員のようなマスカレイド・ドーパント達はネイルの一太刀の一振りごとに着実に数を減らしていく。そしてとうとう最後に一体を片づけてネイルが僅かな間とはいえ、油断したすきをついて、

『フンッ!!』

――ドガッ!!――

「ウオォォォ!!」

マグネット・ドーパントが超磁力でネイルを刀ごと引っ張り、一発体当たりをブチかます。

「…さあ、断罪の時間だ」

【NATURAL】
【BLIZZARD】

ネイルはネイルクローを装備すると、ナチュラルメモリをセット。
一気にブリザードの絶対零度の冷気を纏わせて、マグネットに放つ。
それによってマグネットは足を凍らされて身動きが取れない。

『バカめ。動きを封じても超磁力をもってすれば「だったらこっちから出向いてやる!」

【FIRE】

さっきの属性とは真逆の高熱火炎を纏わせたネイルクローでマグネットを上方に吹っ飛ばす。
ネイルはスロットのスイッチを四連続で押した。

【NATURAL・MAXIMUM DRIVE】

「ナチュラルスクラッチャァーーー!!」

斬撃によってネイルクローから解き放たれた四大元素のエネルギーを絡めた四つの衝撃波はマグネットに直撃した。

「復讐の一撃を、その身に刻め…!」

メモリブレイクが決まり、マグネットはガイアメモリの効力を失い、人間の姿に戻った。

「…ここまで大がかりなこととなると…、もしや奴らの目的は…!」

ネイル…ディアンとゼロの不吉な予感と虫の知らせは、最悪の形で的中しつつあった。





*****

其のころ、ゼストとアギトがヴィータとリインと交戦し、
フォワード陣もノーヴェとウェンディといった戦闘機人(ナンバーズ)と接触した頃、

機動六課では隊舎に高速で向かってくる正体不明の存在を確認していた。

隊舎は勿論、寮にも警報が鳴らされ、非戦闘員はただちに非難するように指示が下される。

ヴィヴィオはザフィーラとアイナ・トライトンに連れられて安全な場所に向かうことになり、ゼロとリインフォースは敵の迎撃に向かうべく隊舎内を走っていた。

「行くぞ」
「了解」

【MAGICAL】
【LEADER】

「「変身ッ!」」

【MAGICAL/LEADER】

イーヴィルに変身した二人。

『…お!ようやく出てきてくれたね、ゼロ様♪
ようやくボクの願いが…あんたを殺して、あんたを越える…この時がね!』

無限の欲望と虚無の記憶。
二つの悪意が重なる時、史上最大の悪夢が誕生する。


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次回、仮面ライダーイーヴィル

VとSの計画/後【こうへん】

「この『欲望』はもう、私の手中にある…」


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