StrikerS編。
遂に完結!

解き放たれたD/魂【こころ】


――ポタ…ポタ…ポタ…――

血の滴る音が、その時だけ静寂によって支配されたその空間の中で唯一する音だった。

「う、嘘だよね?…パパーーー!!」

石像から投られた槍によって、ネウロは腹と胸を串刺しにされて仰向け。
イーヴィルは左腕・左脚・左胸といった左半身を重点的に串刺しにされてうつ伏せ、変身も強制解除されてしまう。瀕死の重傷を負わされたことで、二人の手や顔には無数の亀裂が入っている。

『これで漸く、年に一回の面倒事とも暫くはおさらばできる』

バニティーは喜々とした眼で、瀕死の二人を見た。

「待って!!」
「待てない。今大事なところだから大人しくしててね」

バニティーはヴィヴィオの言葉にまるで耳を貸さない。

其の時、

「………ない」
「「ッ!?」

聞き覚えのある声。
その方向に顔を向けると、ゆらりと立ち上がるリインフォース。

「……さない」
『ン?なんていったの?』

バニティーはリインフォースの言った言葉を上手く聞き取れずに質問した。
しかし、それは過ちだった。

「許さないッ!!」

俯かせていた顔を上げると、その表情は鬼の形相で涙を流していた。
さらには身体からは感情の高まりに呼応して魔力がドス黒い色になって漏れ出している。

――グォォォ!グオオオオオ!!――

「この叫び声は?」

ヴィヴィオが上方を見上げると、そこには漆黒の邪竜型ロボット…。

「来い!ダークネス!!」

――グオオオ!グオオオオオ!!――

久しぶりに暴れられることが相当嬉しいのか、ダークネスと呼ばれたロボットはリインフォースの手中に収まり、邪竜型ロボット形態のライブモードからガイアメモリ形態のメモリモードに変形する。

【DARKNESS】

スタートアップスイッチが押され、ガイアフォンからはダークネスメモリの宿す記憶がガイアウィスパーとして発せられる。

それに反応してゼロのドライバーにセットされているロードメモリとイーヴィルメモリがリインフォースのドライバーに転送される。

「変身ッ!」

【DARKNESS/LEADER】

「ウアァァァァァ!!」

激しい旋律(メロディ)の中、叫び声を上げながらリインフォースは、
荒々しく変化したアーマーの配色を黒き右半身と紫の左半身とした暗黒の統率者、仮面ライダーイーヴィル”ダークネスリーダー”となる。

「ママの方が、変身しちゃった…」
『なんだ?あのメモリは一体…!?』

「ウオオオォォォォォォォォォ!!」

ヴィヴィオとバニティーの疑念にもお構いなしに咆哮を上げるイーヴィル。

そしてジャンプしたイーヴィルは理性の欠片もない狂戦士(バーサーカー)のような動きで攻撃してくる。

「ウォォォ!」
『こいつ!攻撃が滅茶苦茶だ…!』

理性を捨て去ったダークネスロードは闘争本能剥きだしの戦い方をしてくる。
良心的かつ知的な性格であるリインフォースからは想像すらつかないバトルスタイルを具現化していると言っても過言ではない。

予測の出来ない掟破りな動きにバニティーも苦戦する。

――ガシャン!――

【TALON DARKNESS】

ダークネスメモリの角部分・ブラッドアントラーを一度弾くと、イーヴィルの手の甲と前腕部には闇エナジーが纏わりついたことで完成する二重の鉤爪”タロンブラッカー”が現れる。

「ウオオオオオオオオ!!」

右拳を振り回してバニティーに攻撃を加えていくイーヴィル。

『くッ!近寄るなケダモノ!』

バニティーはエネルギー弾と魔力で造った小型刃をイーヴィルに投げつけるも、

――ガギン!バギン!――

イーヴィルはフィストブラッカーで難無く障害物を破壊してバニティーに再び殴りかかる。
バニティーはこのまま真っ向から戦っていても消耗するだけだと悟り、一旦高くジャンプしてヴィヴィオの首を掴んだ。

『………ッ!……ヴィヴィオ!』

其の際、ゼロの魂がようやく目を覚まして左複眼を点滅させる。

『止まれ!止まるんだ!』

バニティーはヴィヴィオの首に魔力刃を押しあててイーヴィルを牽制しようとするも、

「ウオオオオオオオオ!!」

狂戦士と化したイーヴィルにそんな脅しは通用しない。
迷うことなくバニティーを攻撃しようとする。

『止せ!止すんだ!リインフォース!』

幾らゼロが呼びかけても全くもってリインフォースは止まろうとしない。
その拳を振るい、ヴィヴィオまでもが巻き添えを喰らうであろうという勢いだ。

『止まれと言っているのだ助手ーーー!!』





*****

必死になって叫んだゼロ。
気がつくとそこは無数の本棚と、そこに並べられた本が燃え盛っている場所だった。

「これは…次元書庫?…いや違う。これは、リインフォースの精神世界。
今あいつは、自分の心と記憶が燃え上がるような恐怖に襲われている…!」

ゼロはそう確信する。

「おい!リインフォース!どこにいる!?助手!!」

精神世界を歩き回るゼロ。
だけども、歩いても歩いても見えてくるのは燃え盛る本棚だけ。

しかし、一か所だけ。
火の気が全く移ることなく、床に山積みされた大量の本があるのを見つけた。

ゼロはその大量の本を退かしていくと、そこにはリインフォースが居た。
ゼロは彼女の身体を抱き起こす。

「リインフォース!」
「ゼロ。…信じていました。きっと貴方が私を見つけてくれるって…!」

ゼロに見つけてもらえた喜びに、リインフォースは優しい笑顔になる。

「当たり前のことだ。私達は一体何だ?」
「…そうですね」

二人は御互いを見つめ合い、次に言うべき言葉を共に言う。

「「二人で一人の、仮面ライダーだ!」」

その言葉と共に二人は手を握り合い、共に立ちあがる。
燃え盛る恐怖の精神世界は消え去り、何時もの穏やかな次元書庫の風景が広がっていた。





*****

「………」

ヴィヴィオはイーヴィルの攻撃の直前、反射的に目を閉じていたが、いつまで経っても攻撃による衝撃が来ないことを不審に思ってゆっくり眼を開けると、イーヴィルの拳はヴィヴィオに直撃する寸前で止められていた。

「ヴィヴィオ。もう大丈夫だから」
「ママ…!」

右半身から聞こえてきた声は、ヴィヴィオの掛け替えのない母の声。
イーヴィルはバニティーの腕からヴィヴィオを開放すると同時にバニティーを殴り飛ばす。

「『さあ、貴様の欲望を差し出せ…!』」

バニティーを指さしながら決め台詞を述べるイーヴィル。

『クソッ!こうなったらネウロ様の身体で!』

苦し紛れにネウロの身体を乗っ取ろうとするバニティーだが、

――ガシャン!ガシャン!――

【ARROW DARKNESS】

ブラッドアントラーを二回弾くと、イーヴィルの右腕から弓状のブーメラン・”アローブラッカー”が現れる。イーヴィルはそれを左手で取ると、思い切りバニティー目掛けて投げつけた。

アローブラッカーは変幻自在な軌道を描いてバニティーに何度もダメージを与えてネウロへの接近を阻止する。

「ゼロ…。次の一撃で決めます」
『メモリブレイクするには、左右のタイミングを噛みあわせなければな。…技名の方は、そうだな、ダークネスデストロイヤーでどうだ?』
「どうぞ御自由に」

――ガシャン!ガシャン!ガシャン!――

【DARKNESS・MAXIMUM DRIVE】

イーヴィルの右足に三本のガイアメモリエネルギーが集中していき、踝部分から2本の刃=マキシマムブラッカーが生え出す。

「『トオッ!』」

イーヴィルは天高く跳躍して空中前転し終えると同時に右足を突き出す。

「『ダークネスデストロイヤー!!』」

イーヴィルは技名を叫ぶと同時に激しくドリル回転しながらバニティーに必殺キックを喰らわせた。

『ドアァァァァァ!!』

直撃を喰らったバニティーは爆発し、イーヴィルはメモリブレイクが決まったことを確信して変身を解いた。

が、しかし…。

『やってくれたなクソアマァ…!!』
「なに!?まだ仕留め斬っていない!!」

ダークネスデストロイヤーによって身体のあちらこちらからは血が出ているものの、身に纏う闘気をバックにしながらバニティーはゆっくりと立ち上がる。

『今度はこっちがテメーを抉る番だ!!』

バニティーは魔力刃とエネルギーブレードを両手につくってリインフォースを切り刻もうとする。予想外の事態にリインフォースも再び変身する時間を失う。バニティーの狂刃がリインフォースに襲いかかろうとした瞬間…。

【BLIZZARD】

「そうはいかん!」

ネイルの爪から放たれたブリザードの斬撃波が遺跡の柱を破壊した。
それを見たリインフォースは素早く上空に飛んでヴィヴィオの隣に立ったが、結果として柱の残骸がバニティーに降り注いだ。落ちてきた柱の瓦礫のせいで巨大石板の中央に大きな亀裂が入った。

「ディアンさん!!」
「なんだ…?」

それを見たヴィヴィオはネイル大声で呼びかける。

「なんてことするの!?下にはパパ達がいるんだよ!」
「問題ない。いや、それ以前にこれ位で死ぬような輩ではない。…そうだろう?」

焦るヴィヴィオとは反対にネイルは何時も通りの冷静さ。

すると、

『冗談じゃない。ボクには時間が無いって言うのに…』

瓦礫から出てきたバニティー。

「大人しくしろ、ヘル。今こそ断罪の時間だ」

ネイルは武器をバニティーに向ける。

『こいつら………ッ!!』

苛立ちを感じた束の間、バニティーは尋常ではない気配を感じた。

瓦礫の隙間から凄まじい勢いで噴出するドス黒い気体。
その中でゆっくりと立ち上がる二つの影があった。

「パパ!」
「ゼロ!」

そこには先程の重傷のことすら微塵にも感じさせない程に生命力あふれたゼロとネウロ。

『御二方…どうして?』
「瘴気は魔人にとって、人間の酸素と同じ」
『瘴気……ッ!!』

バニティーはネウロの言葉で気づいた。

「さて、大罪人ヘル。ここからは…貴様へのお仕置きの時間だ」

ゼロはネウロともども指が刃と化した魔人の手を構えながらバニティーに歩み寄る。

『…フッ。もうどうでもいいや。ボクは只あんたらを、殺す!!』

バニティーはヤケを起こしたかのように荒っぽい動きで二人に接近して攻撃しようとするが、二人は余裕で攻撃を受け止め、逆にバニティーを投げ飛ばす。

バニティーは投げ飛ばされても上手く着地して再び二人に素早い俊敏な動きで攻撃を重ねていく。

『フッハハハハハハ!アハハハハハハハハハハ!!』

狂ったように笑うバニティー。
そのヤケクソじみた攻撃は単調だったが、なにぶんスピードがスピードなだけにゼロとネウロは防御に徹する状況だ。

バニティーは一旦足に力を溜め、ネウロ目掛けてジャンプして刃を突き立てる。

――ブシュゥーーー!!――

常人なら気絶するであろう程の量の血液が溢れ出すもネウロはそれに構うことは無い。
バニティーはその状態で刃を振り下ろし、ネウロも手を長剣へと変えて反撃するも、バニティーは掠り傷・ネウロは二の腕を刃で刺される。

バニティーはネウロの腕を踏み台に高く跳躍して調子づいたように笑うも、

「魔界777ッ能力…花と悪夢(イビルラベンダー)

バニティーをあざ笑うかのようにネウロは魔界能力を発動し、右手には花のつぼみのようなものを召喚してバニティーの腹部にそれを深々と刺して貫通させると…それは巨大なラベンダーの花となって大きく開花する。

「まだまだいくぞ。筋肉繊維をズタボロになるまで引き裂く魔界の電流だ」

吐血するバニティーの背後にゼロが魔人態になって回り込む、

『魔界777ッ能力…銀の被雷針(イビルプレッシャー)

ゼロの後頭部からは巨大なスタンガンのような怪物が召喚され、バニティーには特大の雷に匹敵する程の電撃が叩きこまれる。

魔人二人の連携攻撃をまともに喰らい、バニティーは力尽きたかのように落下していった。

「パパ…!」
「案ずるな。生命維持に必要不可欠な内臓(パーツ)は、無傷の筈だからな」

一見すれば重傷を絵にかいたようなバニティーだが、ゼロは命には別条はないことを説く。
バニティーは余りのダメージに変身も強制解除されてしまう。

「くッ…!」
「どうした?立て、ヘル」

ゼロは悔しそうな表情をするヘルにそう言い放つも、ヘルは一向に起き上がろうとしない。

「どうやら、終わりのようだな。…にしても疑問だな。
何故さっきの戦いでドーパントとしての力を使わなかった?」

「「「!!?」」」

ゼロの言葉にネウロを除いた全員が気付く。
確かにゆりかごに絶対防御の理想を描いたのなら、適当な無機物を用意しておけばこのようなことにならなかったのは明白だった。

「あの、力には、一つ欠陥があってね。一度発動すると、既に発動している理想を消さないと、別の物には、使えない…」

途切れ途切れに話すヘル。
それを聞いて三人は納得する。

「…ぼ、ボクは…あんたらを殺すことを考えてるときだけは、自分自身の空虚な部分がある恐怖を…忘れられた。でも、本当に時間が無いんだ。ボクの身体は、もう直ぐ…朽ち果てる…」

涙ながら、ヘルはそう言った。

「…わかんないよね?」

今度は自嘲気味な笑い。

「自分の身体を交換するごとに、自分が何なのかを問いたくなる気持ち。なんでこんなに強く生きたいと願うのかなんて…」

「貴様の魂(こころ)の声は、貴様にしかわからない。…わからないというなら、あの世で考えて己なりの結論を出すことだな」

スパッと言い切るゼロ。

「…貴様を理解し、労われるのは…貴様だけだ」

ゼロの最後の言葉を聞くと、ヘルは眼を見ただけで幸せそうだとわかるくらいの笑顔を浮かべ、

「ゼロ様。去り逝く際に、お教えします。ボクがバニティーメモリとガイアドライバーを得たのは…”地球”の、”風都”…!」

それだけ言うと、彼の身体は星屑の如き煌めきと共に塵となった。その煌めきはまるで、彼の魂の光輝のようだった。

「…ヘル…」

ネイルは変身を解き、今まで殺意の憎悪の象徴としてきた男の名を静かに呼んだ。



――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…ッ!!――



ゼロとネウロが引き起こしたものとは比べ物にならない地響き。
先程、瘴気が漏れ出した亀裂からは見たこともない光が…。

「魔界への扉が開こうとしている」

それを見たネウロは左手に魔力を纏って掲げる。

「魔帝7ッ兵器…深海の蒸発(イビルアクア)

魔界王の大砲型大型兵器イビルアクアは主砲の口を開き、一同を飲み込んで遺跡から飛び去っていく。





*****

遺跡からある程度離れた森林の中。

「…危なかった」
「でも、本当に魔界への扉が…」

ヴィヴィオとリインフォースは不安げにそう言っていると、上空からゼロとネウロが降りてくる。

「このままでは、全次元世界は魔界に喰われてしまう」
「…『欲望』や『謎』を生み出すであろう人間どもを、一挙に失うことになる」

魔人から告げられた言葉。

すると、なのは達から緊急通信が入る。

「皆!大変だよ!ゆりかごを撃墜した直後に、ミッドチルダを始とする多くの主要世界で奇妙な現象が立て続けに起こってるの!」
「クロノからも、史上初・前代未聞な規模の次元震が起こってるって!」
「特にシイルは一番影響を受け取るんや。早くアースラに戻って!」

通信の内容は最悪だった。でも、
はい、そうですか。と言って戻るわけにもいかない。
なにしろこの事態を引き起こしたのは他ならない自分たちなのだから。

「どうしたら良いんですか?ゼロ!」

リインフォースが聞くと、

「私とネウロの魔力で、魔界への扉を再び封印するしかあるまい」
「しかし、二人に魔界への扉を封印する余力なんて…あるんですか?」
「我等を、誰だと思っている…?それに私の腹には、デザイアメモリで得た魔力がたっぷり残っている」

ゼロは得意げに語る。
そしてネウロと歩調を揃えて、三人の前に出た。

「いいかリインフォース。貴様は、人間の本質を最も理解できる人間なのだ。そして、己自身の可能性を知ることや誰かに幸せになってもらいたいと思うことにも真摯だ。私が『究極の欲望』を求めるのと同じようにな」

「…ゼロ?」

ゼロは一旦リインフォースのほうに振り向き、

「それが、私が貴様を選んだ理由だ」
「選んだ理由………ゼロ」

ゼロは一瞬、優しく微笑み…。

「私の留守中は頼んだぞ…相棒」

そして再び前を向くと、ネウロ共々魔人態に変貌し、その翼で空を羽ばたく。

「ゼロッ!」

リインフォースは叫んだ。最も信頼し、最も愛する人の名を。

「…ゼロ」

しかし、呼んだところで止まるわけない。

彼は魔界の『欲望』を喰い尽くしてきた魔人。
無限ゼロ。

やがて、ゼロとネウロの姿が光の中に消えた。
二人がどんな力を使ったかはわからないが…恐らく、魔界への扉は閉じられたのだろう。
地上は元の姿を取り戻した。

だが、ゼロとネウロは帰って来なかった。





*****

ヘルとの決戦から三ヶ月。

逮捕されたスカリエッティと、事件捜査に協力の意思を見せなかった戦闘機人達は、それぞれ別世界の軌道拘置所。

罪を認め、捜査に協力的姿勢を見せた戦闘機人達は、ミッド海上の隔離施設。
ライトニング隊が保護した二人、ルーテシアとアギトも、自分たちで決めてそこにいる。



ゼストは、ネウロの言いつけ通り管理局の保護を受け、八年前の事件から始まる戦闘機人事件の詳細を収めたデータを事情聴取の際に提出・自供したことで、戦闘機人事件の全ては綺麗にカタがついた。

レジアスはスカリエッティや最高評議会との非合法な裏取引故に、上層部からそれ相応の処分を受けたが、当人はそれを真正面から受け入れ、嘗ての正義と理想を取り戻してオーリスと一緒に頑張っている。



ミッド地上にも平穏が戻り、機動六課のオフィスも修理完了。
部隊員達も全員、職場復帰。

ヴィヴィオも一時的保護や検査を終えてリインフォースと一緒に平和な生活を送っている。
しかし、時折寂しそうな表情を浮かべていた…。

そして…。





*****

0076年4月28日
機動六課隊舎

「長いようで短かった一年間。本日をもって、機動六課は、任務を終えて解散となります。皆と一緒に働けて、戦えて、心強く嬉しかったです。次の部隊でも、どうかみんな元気に、頑張って」

解散式は滞りなく終わった。

「なんか、割とあっさり終わったわね」
「ですね」
「まあ、この後もお別れ二次会がありますもんね」
「…うん」

廊下で歩きながら談笑するフォワード陣。

(スバルさん、元気ないね…)
(なんはさんともお別れだし、今度の配置、ティアさんと進路が別れちゃったから。ゼロさんのことだって…)

エリオとキャロは念話で話していた。

「皆、ちょっと」

呼び止められた四人は振り返る。

「なのはさん」
「ギン姉も」
「ディアンさんまで」

「二次会前に、フォワードメンバー、ちょっと良いかな?」





*****

訓練場。
舞い散る桜吹雪の中、フォワードに技能を叩きこんできたなのはとヴィータは涙ながらも、四人がストライカーとして立派に成長したことを告げ、それを聞いたフォワードも嬉し涙を浮かべる。

そして前触れ無く、機動六課最後の模擬戦。

リミッターが外れた隊長・副隊長VS成長したフォワード陣
による手加減無しのガチンコバトル。

一同は各々の相棒を片手にバリアジャケットや騎士甲冑を展開。

はやてとギンガの合図により始まる模擬戦。
其の時…。

「…『欲望』の気配がするな」

空から聞こえてきた声に、皆は戦いを中断して驚く。
だがそれと同時の喜びの表情にもなった。

――ガシッ!――

突然何者かが、リインフォースの頭を掴んだ。

「邪悪で美味なる…『欲望』の気配だ」
「…痛いじゃないですか…。ゼロ!」

振り返った先には…魔人・無限ゼロ。

「行くぞリインフォース。『究極の欲望』を追い求めるのだ…!」






StrikerS編・完

次回、仮面ライダーイーヴィル

E達の休息/癒【おんせん】

「この『欲望』はもう、私の手中にある…」



ダークネスメモリ
「暗黒の記憶」が刻み込まれた黒い特殊ガイアメモリ。
自立稼働する邪竜型ガジェット形態のライブモードとガイアメモリ形態のメモリモードの二形態を併せ持つ。このメモリを用いて変身する場合、他の九フォームとは異なり、リインフォースをボディとしてゼロのソウルを込めたリーダーメモリとイーヴィルメモリが転送されることで変身する。

リインフォースの護衛用として製作されたが、一年前のビギンズナイトで研究所に押し寄せてきたドーパントの軍勢を倒すためにこのメモリで変身して圧倒的な力を振るった。ダークネスメモリの内包する力の凄まじさを逆に恐れたリインフォースの意思に従い、今までは自ら姿を暗ましていた。ゼロと精神世界での邂逅を果たしてからは自由な呼び出しが可能になっている。



ダークネスリーダー
リインフォースの肉体がダークネスメモリとリーダーメモリ・イーヴィルメモリの力で変身した姿。左半身にゼロの魂が憑依する。ダークネスメモリのブラッドアントラーを弾く回数によって武装が変化する。トゥーズイレイザー=マフラーはリーダーサイドのみに存在する。必殺技はダークネスサイドの足を突き出しながら高速ドリルキックを喰らわせる”ダークネスデストロイヤー”。

タロンブラッカー
ブラッドアントラーを一回弾くことでイーヴィルの右手に闇エナジーを纏わせて形成する鉤爪。拳と前腕部から二重に生えているので、攻撃・防御を両立させた近接武器である。

アローブラッカー
ブラッドアントラーを二回弾くことで、右腕から出現する弓状のブーメラン。エネルギーを集束させた矢を射抜く遠距離武器や弓部の双刃を活かした近接武器としても使える。

マキシマムブラッカー
ダークネスリーダーの必殺技のダークネスデストロイヤーを発動する際、右足の踝部分から生える2本の刃。

身体能力
身長/200cm
体重/105kg
キック力/20トン
パンチ力/13トン
ジャンプ力/70メートル
走力/100mを2.5秒
ダークネスデストロイヤー/破壊力・60トン


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