気紛れで執筆したディロード&イーヴィルのクロスオーバー!
外伝・無敵のダブルライダー
これは砕谷廻…仮面ライダーディロードの昔話。
ディロードがライダー大戦を終えて間もないころ。
そして、この物語の舞台となる世界は…。
「…今度は何の世界だ?」
「廻…お願いだからさ、その妙な仮面被るのやめてくれない…」
次元の壁から現れた二人。
砕谷廻と彩条流姫。
「ん?…なんだあれは…?」
廻が指さした方向には海面に黒い反球状の物体、それを護るように蠢く不気味な触手共。
そして、空に白い三角形型の魔法陣。その上に佇む人間達。
「…A'sの世界…」
世界の終焉者・ディロード。幾つもの世界を巡り、その心は何を映す?
「A'sの世界?」
流姫は聞いたことの無い単語に首を傾げる。
「どうやら…俺の成すべきことがこの世界にはあるらしい」
廻は氷河期のように冷めた雰囲気と声。
ライダー大戦を終え、大勢の命を奪った故なのか。
自らの罪を象徴するべく被った仮面にも異様な存在感が漂っている。
「丁度良い。ムシャクシャしていたところだ。憂さ晴らしには打って付けだな」
【KAMEN RIDE…DEROAD】
廻は最強最悪の戦士。仮面ライダーディロードに変身した。
「…仕方ない…」
【KAMEN RIDE…DI‐GUIDE】
流姫もディガイドに変身した。
そして二人は両手首に装着された”テスラバンド”の効力で空中を浮遊して、戦いの場に向かう。
***
其の時、誰もが不覚と思った。
闇の書・管制人格、リインフォースとの戦いで傷ついた高町なのはとフェイト・テスタロッサをヴォルケンリッターの一人たるシャマルが魔法で治した直後、闇の書・防衛プログラムがおぞましい触手から魔力光線を放って来たのだ。
余りに早すぎる攻撃に、その場の人間全てが対応に遅れた。
もはや避けることは叶わないと思った瞬間、
【FINAL ATTACKRIDE…DE・DE・DE・DEROAD】
突然聞こえてきた電子ボイス。
それと同時に幾つもの立体映像の巨大なカードが現れると、それをゲートにして一人の戦士がキックを繰り出していき、防衛プログラムの触手をあっと言う間に蹴散らした。
「あれって…?」
其の時高町なのは等は、自分達を助けてくれた謎の戦士の存在にただただ圧倒されるだけだった。
そして、必殺キック・ディメンションクラッシュを終えて空中を浮遊するディロード。
「…こんなものか?」
詰まらなさそうに呟くディロード。
そこへディガイドも遅れて到着する。
「まあまあ、廻。思いっきり骨のありそうなのは触手じゃなくて、あっちの黒いのでしょ?」
慰めるようにそう言ったディガイド。
「あのー、貴方達は?」
そこへフェイト・テスタロッサが二人に勇気を出して尋ねた。
「仮面ライダーディガイド。で、こっちは…」
「……仮面ライダーディロードだ」
二人はとりあえず自己紹介した。
「…という訳なんやけど…」
「…成程」
八神はやてからの大まかな現状の説明を受けて、ディロードは納得して頷く。
「それで、防衛プログラムを破壊するのに、君達の力も貸してくれないか?」
そこで時空管理局の執務官・クロノ・ハラオウンがディロードとディガイドに協力を要請する。
「…良いだろう」
と意外にもディロードはその頼みを聞き入れた。
でも、防衛プログラムの破壊プランを聞くと…。
「宇宙に吹っ飛ばす?そんな甘い策は必要無い。この場で粉砕するのみ」
「ふ、粉砕って…軽々しく言うけど、そんなに簡単なことじゃ「出来るさ。なにしろ、攻撃メンバーにこの俺と流姫が参入したのだからな」
ユーノ・スクライアが戸惑うようにそう言うと、ディロードが自信満々な態度でそう断言する。
そして、黒い反球状の物体の周囲から闇の柱が幾つも立ち上がっていく。
「始まる」
「夜天の魔導書を、呪われた闇の書と呼ばせたプログラム。…闇の書の闇…」
柱と共に反球状の魔力が消え去ると、中に存在する防衛プログラムが巨大な姿を現す。
節足動物のような複数の足、獰猛そうな口と牙、カラスのような黒い翼、
頭部に縛りつけられ、肌色が紫で身体に赤いラインが走り、女性型フォルムをした存在。
それはどこをそう見ても異形としか言いようが無かった。
「チェーンバインド!」
「ストラグルバインド!」
アルフとユーノがバインド魔法で防衛プログラムの触手を捕縛して断ち切る。
「縛れ、鋼の軛!」
次はザフィーラがリーチの長い魔力の拘束縄で、触手を一気に斬り落とす。
「ちゃんと合わせろよ。高町なのは!」
「ヴィータちゃんもね!」
「アタシもいるわよ」
いよいよ防衛プログラムのバリアを破る段階に入る。
「鉄槌の騎士ヴィータと、鉄の伯爵グラーフアイゼン!」
――ガシャン!――
【GIGANT FORM】
グラーフアイゼンはカートリッジのロードによって巨大なハンマー型となる。
「轟天爆砕!ギガント…シュラ−ク!!」
ヴィータは巨大化したグラーフアイゼンを力一杯振り下して防衛プログラムのバリアの一層目を破壊。
「高町なのはとレイジングハート・エクセリオン。行きます!」
【LOAD CARTRIDGE】
カートリッジを四発ロードしてレイジングハートからはストライクフレームが現出される。
「エクセリオン・バスター!!」
【BARREL SHOT】
「ブレイク…!シュゥーーート!!」
なのはの魔法砲撃によって二層目のバリアが破壊される。
でも流石に防衛プログラムも黙っているわけにもいかず、無数の触手を生成してなのはらに襲いかかる。
【ATTACK RIDE…EXTRA BLAST】
そこへディガイドが銃撃を行って触手を迎撃する。
「躾がなっていないわね。お仕置きだわ」
【FINAL ATTACKRIDE…DI・DI・DI・DI‐GUIDE】
ディガイドは銃口から無数のホログラムカードのターゲットサイトが現れると、ディガイドは照準を合わせて引き金を引いた。
――ズドォーーーーー!!――
ディメンションバーストが炸裂して、防衛プログラムに浅からぬダメージを与える。
「次!シグナムとテスタロッサさん!それにディロードさん!」
シャマルの呼びかけで三人は一気に緊張を昂らせる。
「剣の騎士、シグナムが魂。炎の魔剣、レバンティン」
シグナムが鞘から解き放った愛刀レバンティンは刹那の煌めきを見せた。
「刃と連結刃に続く、もう一つの姿…」
レバンティンの柄と鞘を合体させると、撃鉄から一発のカートリッジが排出され…。
【BOWGUN FORM】
弓…すなわちボーガンフォルムとなった。
シグナムが矢を引いて構えると、さらに二発のカートリッジがロードされる。
「駆けよ、隼!」
【STORM FALCON】
矢の刃には魔力が集束されていき、シグナムはそれを防衛プログラム目掛けて狙い撃つ。
それによって三層目のバリアが崩れる。
「フェイト・テスタロッサ、バルディッシュ・ザンバー。行きます!」
――ガシャン!ガシャン!ガシャン!――
「撃ち抜け。雷刃!!」
【ZEUS ZANBER】
その言葉と同時にバルディッシュの魔力刃は何倍もの長さに伸び、四層目のバリアごと防衛プログラムの一部をかすめ取る。
「次は俺だ。変身…!」
【FINAL KAMEN FORMRIDE…KIVA DOGABAKI EMPEROR】
ディロードはDキバ・ドガバキエンペラーフォームとなる。
【FINAL ATTACKRIDE…KI・KI・KI・KIVA】
「ハアァァァ…!」
Dドガバキエンペラーは腕をクロスさせて全身に力をためると、
「ゼァァァーーー!!」
一気にジャンプして両足ドリルキックこと”ドガバキエンペラーブレイク”を決めた。
それによって防衛プログラムは甚大なダメージを被る。
そのお返しとでも言うように、新たに生成された触手からは再び魔力エネルギーが集束されている。
「盾の守護獣、ザフィーラ。砲撃なんぞ、撃たせん!」
ザフィーラは再び鋼の軛を用いて触手を一掃する。
「はやてちゃん!」
シャマルの呼びかけで、はやては夜天の書のページを開く。
「彼方より来たれ、宿り木の枝。銀月の槍となりて、撃ち貫け!」
シュベルトクロイツを振って魔法陣を展開させると、空には魔法陣と周囲に輝く幾つもの光。
「石化の槍、ミストルティン!」
七つに分けて発射された光の槍は防衛プログラムに突き刺さり、その身をどんどん石化させていく。
それによって崩れ落ちた部品を補うように新たな生体部品が生えてくる。
「うわ、うわー!?」
「なんだか、凄いことに…」
「確かにあれは、キツイ」
アルフ、シャマル、ディガイドはそれぞれの感想を漏らす。
「それじゃ、締めへの第一ステップだ。頼むぜ、執務官」
「言われなくても、そうするさ」
ディロードとクロノは互いに軽口を叩く。
「行くぞ、ディランダル」
『OK,BOSS』
クロノは新たなるデバイス・デュランダルを構える。
「悠久なる凍土。凍てつく棺の内にて、永遠の眠りを与えよ」
詠唱と魔法陣展開と同時に凄まじい冷気が漏れ出し、防衛プログラムと周囲の海面を凍らせる。
「凍てつけ!!」
【ETERNAL COFFIN】
そうして防衛プログラム全体が冷たい氷に閉ざされる。
――バリ−−−−ーン!!――
しかし、氷の一部が砕け散り、尚も防衛プログラムは抵抗しようと動きまわる。
「行くよ!フェイトちゃん。はやてちゃん!」
「うん」
「うん」
なのはの呼びかけに二人は応える。
【STARLIGHT BREAKER】
「全力全開!!スターライトォ…!」
「雷光一閃!ブラズマザンバー…!」
なのはとフェイトは己の最大技を放つべく、魔力を昂らせる。
そんな時、はやては防衛プログラムを見て悲しげな表情となり…。
「ごめんな…、お休みな…」
決意を固めた。
「響け終焉の笛!ラグナロク!」
そして…。
「「「ブレイカァーーーーー!!!!」」」
三人の巨大砲撃は防衛プログラムに直撃して、防衛プログラムの外郭は吹き飛んだ。
だが、其の時だった…。
「「「ッ!!」」」
ディロード、ディガイドは尋常ならざる気配を感じ取った。
『グギャアァァァァァァァ!!!!』
唐突に獣のような叫び声が辺り一面に轟く。
さらには防衛プログラムの残骸から本体コアが姿を現す。
歴代の闇の書の主の憎悪や怨念を直に影響を受けたコアの姿は見るに堪えない程グロテスクで、
なのは、フェイト、はやて、ユーノ、クロノ等と言った子供たちは目を逸らしてしまう。だが眼を逸らしたのは子供たちだけでなく、アルフやシャマルなども同じだった。
(早く…我を滅せよ…!)
「…?」
頭の中に直接送り込まれてくる声にディロードは困惑する。
(まさか、防衛プログラム。お前なのか?)
(そんなことは今どうでもいい!早く我を滅せよ!)
ディロードとコアは意識の中だけで意思疎通をする。
(奴が…目覚める。我が抑えていられるうちに、早く!)
「…なんだかよく分からんが、やってやろうじゃねえか」
コアの言っていることは今一呑み込めなかったが、ディロードはライドセイバーから一枚のカードを取り出す。
【FINAL KAMENRIDE…DE・DE・DE・DEROAD】
ディロードは終焉者としての力を全解放した”デスエンドフォーム”へとフォームチェンジする。
【ATTACK RIDE…MAGNA VISOR】
【FINAL ATTACKRIDE…ZO・ZO・ZO・ZOLDA】
デスエンドフォームとなったディロードは、ディケイド・激情態に匹敵する能力を備えている。
故にKRやFKRが無くても、ほかの仮面ライダーの能力や武器をARとして使える。
そうして呼び出したマグナギガの背中にマグナバイザーの銃口を差し込むと、マグナギガの全砲門が開放される。
――カチッ――
引き金を引いた瞬間、マグナギガからは一斉砲撃が行われる。本体コア目掛けて…。
凄まじい爆音と爆炎が巻き起こるほどの火力と破壊力こそが仮面ライダーゾルダのファイナルベントたるエンド・オブ・ワールドの特徴だ。
ディガイドを除いた一同はその威力の強さに驚くほかなかった。
「これで終わったな」
そう言って安堵するディロード。
それはこの後の展開を知る者からすれば、決定的な油断の瞬間であった。
――ビュー−−ッ!!――
『主!危ない!』
はやてに迫る一本の光線。
主の身を守るため彼女とユニゾンしていたリインフォースは咄嗟にユニゾンを解除してはやての盾になり…。
「グハッ!!」
リインフォースは身体を貫かれ、口からは大量の吐血。
「リインフォース!!」
はやてだけじゃない、ヴォルケンリッター達もリインフォースに駆け寄る。
「しっかりしろ!」
「待ってて、今すぐ私が魔法で治すから!」
シャマルはクラールヴィントの能力を最大限に活用して治癒魔法をかける。
「どういうことだよ?防衛プログラムはぶっ潰した筈だろ!」
ヴィータが叫ぶと、ディロードはこう言った。
「どうやら、本体コア内に何者かが潜んでいたようだな」
「それって一体誰なの?」
ディガイドが尋ねると、ディロードは指さした。
そこには…。
『ゴアァァァァァァ!!』
又もや獣のように叫び散らす”そいつ”…。
「こいつはまた威勢のいいことで」
その者、凍りついた海面に降り立つと
血の如き赤き身体に緑色の目玉。背中から生えた八枚の翅が氷による光の反射で良く見えるようになった。かつてZOとJの世界に現れた驚異、ネオ生命体・赤ドラス。
しかも、この赤ドラスは翅の部分まで赤い。どうやらZOやJを吸収している訳ではないらしい。恐らくは防衛プログラムの魔力を吸収したようである。
「こりゃまた面倒くさいのが出てきたもんだ」
強敵だったとはいえ以前このタイプの赤ドラスと戦ったことのあるディロードは余裕のある態度でそう言う。
「行くぞ、流姫」
「オッケー」
ディロードとディガイドは赤ドラスに向かっていく。
【ATTACK RIDE…EXTRA SLASH】
ディロードはライドセイバーをブッカ−モードからセイバーモードに変更。
そのままエネルギーの凝縮された切っ先を赤ドラスに振り下ろした。
――ガギンッ!――
「何…ッ!?」
切っ先は間違いなく赤ドラスの胴体に当たった。
しかし、刃は1mmも通っていない。
『ククッ!…無駄だよ』
その時に、幼い少年の声が聞こえた。
「ネオ生命体…。お前はZOやJによって二度滅んだ。…三度目の正直ってか?」
『そんな小難しいことわかんない。でもさ、僕は完全な生命体になった。これだけはわかるよ』
どうやら此処にいるドラスはディロードの知る者と同一の存在らしい。
「廻!退いて!」
【KAMEN RIDE…KICK HOPPER・OHJA】
「出番よ!」
ディガイドはディガイドライバーの引き金を引いて、全仮面ライダーの中で最も性格に問題のあるキックホッパーと王蛇を召喚する。
「イライラするぜ…」
「フッ…」
二人はそれぞれうらぶれた雰囲気で赤ドラスに向かう。
『邪魔しないでよ』
当然赤ドラスは迎え撃つ。
ディロードと王蛇はライドセイバーとベノサーベルによる荒削りな剣術。
キックホッパーは持前の脚力を生かした蹴撃戦法。
【ATTACK RIDE…CROSS ATTACK】
ARの装填で、王蛇とキックホッパーはそれぞれ必殺キックの構えを取る。
「フアァァァ!!」
「ハッ!!」
ベノクラッシュとライダーキックが赤ドラスに決まった。
「やったか?」
ディロードがそう呟くと、
『無駄だよ、お兄ちゃん達』
赤ドラスの手刀は、キックホッパーと王蛇の身体を貫いていた。
凄まじいダメージを受けたことで二人の召喚ライダーは消滅してしまう。
「チッ!…想像以上にパワーアップしていやがる」
思った以上に戦況が悪いことを悟り、ディロードはバツの悪そうな声を出す。
すると、シグナルポインターから信号を発してマシンディローダーを呼び出す。
【ATTACK RIDE…SHOOT VENT】
【ATTACK RIDE…POWERD IXER】
ディロードはゾルダの武器であるギガランチャーを召喚すると、
お次にマシンディローダーをイクサの恐竜型巨大重機、パワードイクサーに変形させる。
ディロードはパワードイクサーに乗りこむと、ギガランチャーを担いで特大の一発をお見舞いすると同時にパワードイクサーを操縦して頭部を動かし、後部に積んであるイクサポッド掴むと、それら全弾を一気に投げつける。
普通ならやりすぎだと思える手法だが、デスエンドフォームとなったディロードは戦いに勝つためならいかなる手段を用いるというダーティーな戦術をうりとする。
でも…。
『今のはスッごく痛かったよ』
「バカな!?」
赤ドラスは魔力のシールドを張って攻撃によるダメージを軽減させて耐えていたようだ。
『お返しだよ』
赤ドラスは八枚の翅から禍々しい魔力スフィアをつくりだし、爆弾のように投擲する。
「ウオぉぉぉぉぉ!!」
「廻ッ!」
吹っ飛ばされたディロードにディガイドは駆け寄った。
『退いてよお姉ちゃん』
赤ドラスは魔力をそのまま攻撃エネルギーに転換してディガイドに命中させる。
「キャアァァァ!!」
その攻撃によってディガイドは変身が解けてしまう。
ディロードもダメージと疲労の影響で変身が解除される。
『バイバイ』
無邪気な声は、寧ろ残酷に聞こえた。
――ブゥゥゥーーーーーン!!――
バイクのエンジン音が響き渡った。
そして次元の壁が出現する。
そこから姿を見せた戦士は自らのバイクに乗って颯爽と登場し、赤ドラスと廻達の間で停まった。
「…白銀のライダー…」
廻の方向から見た仮面ライダーの色は白銀。
『紫の、ライダー』
しかしドラスの方向から見た仮面ライダーの色は紫。
「紫に、白銀だと…?」
「『どちらもだ』」
廻の疑問にライダーは答えた。
正面や背面から見れば、そのライダーの配色は右半身と左半身とで全く違うものであることが一目瞭然だった。
「私の名は、仮面ライダーイーヴィル」
自分の名を語った仮面の戦士はバイクから降りた。
「『さあ、貴様の欲望を差し出せ…!』」
決め台詞と共にイーヴィルは赤ドラスを指さした。
「………」
「………」
廻と流姫は勿論、魔導師や騎士たちもこの状況にただただ沈黙するしかなかった。
イーヴィルは赤ドラスに近づくと、赤ドラスの攻撃を巧に避けるついでに回し蹴りを決める。
そしてイーヴィルドライバーからガイアメモリを取り出すと、
【SONIC】
ガイアメモリ起動の隙をついて攻撃してきたドラスの腕をつかむと、イーヴィルはお構いなしにソニックメモリをライトスロットに挿入。
【SONIC/LEADER】
右半身を金色のソニックサイドにハーフチェンジさせると、イーヴィルは高速の連続パンチを赤ドラスに叩き込む。
それによって赤ドラスが後退させられると、
【KNIGHT】
【SONIC/KNIGHT】
今度はレフトスロットにナイトメモリを挿入して左半身を青いナイトサイドにハーフチェンジさせる。背中に装備されたナイトグレイブを手に取る。
赤ドラスはイーヴィルに攻撃を仕掛けるも、イーヴィルはそれを難無く受け流してナイトグレイブの刃を赤ドラスに突き刺すと、一気に持ち上げて刃から放すと同時に手加減無しの打撃を赤ドラスに叩きつける。
『グァァァァァァ!!』
流石の赤ドラスの大ダメージを負った。
「ディロード、いつまで休憩している気だ?」
そのイーヴィルの軽口に反応した廻はディロードライバーを装着する。
『わからない。お兄ちゃんはどうしてそんなになってまで戦うの?ライダーでもない連中と一緒になってまで…?』
赤ドラスの疑惑に廻は胸を張ってこう答えた。
「確かに俺はこいつらのことを何も知らない。名前さえ覚えていない奴もいる。でもこいつ等には自分の願いや信念を貫き通そうとする意志がある。だから手を貸してやったんだ…理由なんてそれだけで十分だろ」
廻の言葉に皆は共振する何かを感じ取った。
『なんなの…お兄ちゃん?』
すると廻はディロードのKRを構えてこう言った。
「最強最悪の仮面ライダーだ。…くたばっても覚えてけ!変身ッ!」
【KAMEN RIDE…DEROAD】
再びディロードに変身する廻。
その雄姿からはデスエンドフォームの時に漂っていた淀んだ雰囲気は消え去っており、真っ直ぐに通った芯のような物を連想させた。
【MAGICAL/LEADER】
イーヴィルもマジカルリーダーにハーフチェンジ。
【FINAL ATTACKRIDE…DE・DE・DE・DEROAD】
カード装填によってディロードの眼前にはホログラムの巨大カードが出現。
イーヴィルはメインスロットのイーヴィルメモリとレフトスロットのロードメモリをマキシマムスロットに挿入。
【EVIL/LEADER・MAXIMUM DRIVE】
マキシマムドライブによって激しく巻き起こる瘴気の旋風。
「ディメンションクラッシュッ!!」
「『リーダーブレイクラッシャー!!』」
二人の二大必殺キック。
それを喰らった赤ドラスは細胞の欠片も残さず、爆散した。
「凄い…!」
仮面ライダーを戦いを目の当たりにしたなのは達。
口から出た言葉はこれしかなかった。
その瞬間、
――バシッ!!――
鈍い音が複数同時に聞こえた。
ディロードがそれに気付くと、隣に居たイーヴィルがいつの間にか気絶しているなのは等のところにいるのを…。
「魔界777ッ能力…刻まれた記憶」
イーヴィルは左手から鍵のような形の魔界能力を出現させる。
「何だそれは?何をする気でいるんだ?」
ディロードは流姫を担ぎながらそう問うた。
「こいつ等の記憶を破壊して代わりの記憶を刻み込む。この時代で仮面ライダーのことを知られていると後々面倒なことになるからな。アースラの連中と、向こう側に居る小娘二人には私の身内と配下が向かっている」
イーヴィルはイビルメモリアルを皆の額に押しあてながらそう言った。
「…この世界のライダーなのか?」
『世界は同じでも、時代が違うんです』
するとイーヴィルの右複眼が点滅して女性の声が聞こえた。
(この声…)
ディロードは其の声をついさっき聞いた気がした。
「さて、記憶の改変も終わった。私はこれで帰らせてもらう」
イーヴィルはそう言うと、イビルホイーラーに乗って次元の壁へと走って行った。
「仮面ライダー…イーヴィル」
ディロードは新たな仮面ライダーの名を呟くと、流姫をお姫様抱っこしたまま次元の壁の中に消えて行った。
そんな時、二人の戦士を見るモノが居た。
「へ〜、気まぐれに仕込んでみたけど…。なかなか面白いものが見れたな。
フフッ…ゼロ様、いつか未来でお会いできる日を心待ちにしておりますよ…!」
顔や両手に包帯を巻いた男・ヘルはそう言って闇の中に潜って行った。
どうだったでしょうか?
色々とご都合な感じもあったかもしれませんけど…。
近々新ライダーを登場させるのでお楽しみ♪
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