AとNの共鳴・WとHの共闘/共【とも】


――ブゥゥゥウーーーーーン!!――

猛々しいバイクのエンジン音。
それはディアンのリベンジャーと照井のディアブロッサの咆哮にも聞こえた。

「おい、訓練校はまだか?」
「もうすぐ着く」

そう二返事して五分後。

「良し、ここだ」
「思ったより大きいな」

二人は駐車場にバイクを止めて校舎にはいった。

「どうも、ディアン補佐官殿。…あれ、そちらの御仁は?」
「あぁ、今日一日、我の手助けをしてくれることになった…」
「照井竜だ」

現れた訓練校の教官に二人は迎えられ、生徒達の訓練のようすを見ることとなった。

「あ…それから一つ御願いしたいことがあるんですが…」
「それは一体?」
「自分が生徒達に貴方達を紹介するまでは、あまり目立つ行動は控えて欲しいんです。視察の方が来ているとわかったら、皆緊張してしまうでしょうから」
「わかりました」
「善処しよう」

そのようにして二人は物静かに視察することとなった。

案内役の教官に訓練校の様々な設備や教導のカリキュラムなどを説明され、照井は何度興味深気にしていた。そして、警官学校に通っていた頃の記憶…家族と平凡ながらも幸せだった日々を思い出して、少し切なそうな顔をしていた。

ディアンは照井のそんな横顔に昔の自分と同じ気配を感じ、声をかけた。

「……そうか…お前も家族を…」
「我と同じ境遇の者が、いたとはな…」

ディアンと照井は正しく似た者同士を絵に描いたといっても過言ではない。
殺し方の違いはあれど、ウェザーもバニティーも己の力を試すために幸せな家族の命を捻り潰したのだ。そして残された照井とディアンはシュラウドとプレシアに前触れなく仮面ライダーの力を与えられた。

「…お前が羨ましい。…家族の仇を討つことのできたお前が…」
「いや、(ヘル)を討ったのは我にあらず。我ができたのは、精々助力程度だ」

二人は悲しい雰囲気のなか、そのような話題をしていた。
まるで御互いの傷を舐め合うかのように。

そこへ案内役が生徒達に紹介するということでついてきて欲しいといった。

そうして訓練場。
流石に視察の人間が少し前から既に到着していたことに生徒達は多少驚いていたが、一番驚く原因は視察員がディアンであることだ。

「おい、あのディアン補佐官だよな!?」
「あぁ、ミッドチルダや次元世界を守るもう一人の仮面ライダー…」
「羨ましいよな。あのエリートで美人なテスタロッサ執務官と何時も一諸にいられるんだしよ」
「でも、あの赤ジャケットの人は誰?」

なんてことを生徒達はヒソヒソと呟いている。

「それでは是より、午後の教導を開始する。全員気を引き締めるように」
「「「「はい!!」」」」

教官の呼び掛けに生徒達は返事をした。

「フッフッフ♪…そろそろだな」

そんな様子を影から見る物が居た。





*****

三時間後。

「よーし!ではこれで今日の教導を終わる!」
「「「「ありがとうございました!!」」」」

「あー、終わったな」
「滞りなくな」

其の時、

【MASQUERADE】
【NIGHTMARE】

突然聞こえた無数のガイアウィスパー。

現れたのは数名のマスカレイド・ドーパントに、それを束ねるリーダーは”悪夢の記憶”を宿した”ナイトメア・ドーパント”である。

いきなり現れて訓練校の生徒や職員に攻撃したドーパント達は

『ここに居る奴ら全員デバイス捨てて身を伏せろ!いまからお前等は人質になってもらう!』

なんてハッチャけてくれた。
でも彼らは最悪のタイミングで、この計画を実行してしまった。

――ブンッ!――
――ドガシャアァーーーン!!――

『イッタァ!!』

ナイトメアに投げつけられたのはエンジンブレード。
無論それを投げたのは照井。

『テメッ!なにしてんだ!』
「捨てろというから」
『どんな捨て方だ!』

漫才みたいな遣り取りの最中、照井はアクセルドライバーを装着。
そしてアクセルメモリのスタートアップスイッチを押した。

【ACCEL】

『な…ガイアメモリ!?』

ナイトメアだけでなく、生徒達もメモリのガイアウィスパーを耳にして驚く。

「変…身ッ!!」

【ACCEL】

メモリスロットにアクセルメモリを挿入してパワースロットルをひねると、照井の身体は仮面ライダーアクセルとなる。

『か、仮面ライダーだと!!』

これにはナイトメアも声にだして驚くほかない。

「驚くのはまだ早いぞ」

【NAIL】

「来るぞ来るぞ来るぞ!!」

ネイルメモリの起動に訓練生達が興奮する。

「…変身…」

【NAIL】

遂にディアンも仮面ライダーネイルに変身。

「さあ、断罪の時間だ」
「さあ!…振り切るぜ」

二人は交互に決め台詞を口にする。

『ひ、ヒイィーーー!』
『大将!相手が悪いんじゃ…?』

(今時大将って…)

ネイルとアクセルをみたとたんに怯えるマスカレイド達。
さらにはナイトメアを大将と呼ぶその古臭さに訓練生もちょっと呆れる。

「行くぞディアン」
「応よ」
『お、俺。一抜けたー!』

そこで一人のヘタレなマスカレイドが逃げようとする。
だけど、

「ハッ!」

アクセルはバイクフォームに変形。

「仮面ライダーが、バイクになっちゃった!?」

当然、訓練生達は驚く。

「乗れ!」
「あぁ」

ネイルは二本の刀を手にしてバイクフォームに跨った。
そしてバイクフォームはパワースロットルを捻り、爆走して一気に逃走したマスカレイドに追いつくと、そのままネイルが刃をもって切り裂く。

さらにはそのままバイクフォームは疾走を続け…。

――ドガ!バキ!グシャ!グジョオ!――

マスカレイド達を轢きまくった。

『………』

残ったのはもう、ナイトメアのみ。

ネイルがおりると、バイクフォームから元通りになるアクセル。

『こ、こうなったら!』

ナイトメアは手から黒いエネルギーを発生させると、それをネイルとアクセルに投げつけ、黒いエネルギーは二人の頭部に命中した。





*****

「ん?ここは…?」

アクセルは攻撃を喰らった直後、なにか凄まじく見覚えのある場所にいた。

「ッ!?」

そう。井坂=ウェザーに殺される直前、パーティーを開く準備をしている照井家のすがた。
そんな幸せに満ち満ちた時間と空間もあっという間に崩れ去った。

【WEATHER】

時間がいっきに飛んで、井坂がウェザー・ドーパントになる場面となる。

「せめて、妻と娘だけでも!」
『まあ、ついでです』

照井雄治の懇願にも耳を貸すことなく、絶対零度の冷気を照井家にあびせまくる。

「竜!竜ぅ!!」

「やめろ…!やめろぉォォォ!!」

アクセルの叫びは過去に届くことなく、ただただみているしかなかった。




*****

「ここって…。おじさん…おばさん!」

ネイルも同じように生前の家族が家にいる場面にいた。
そこへヘルが押しかけてくる。

「誰だ君は?」
「死に逝く者に答えても、無駄」

ヘルはガイアドライバーを装着すると、バニティードライバーを起動。

【VANITY】

「キャアァァァ!!」

バニティー・ドーパントの出現に皆は悲鳴をあげる。

「うるさい」

――ザシュ!――

「う…」
「あ…」
「お前達!!」

バニティーは手刀で兄弟の胸部を貫くと、そのままボールをなげるようにして捨てた。
そして…。

「あ…あ、アァァァァーーー!!!!」

アクセル同様、ネイルもまた届かぬ叫びを木霊させた。





*****

現実では動きがピタリととまってしまったネイルとアクセル。

『これこそが俺の能力。黒いエネルギーを浴びた者は、今迄の人生で最も忌まわしい記憶を超鮮明に蘇らせる…!』

ナイトメアは自慢げに語る。

『よーし。いまのうちに攻撃してやる!』

えらく卑劣で卑怯な作戦である。

「ふざけるな!」
「このチンカス野郎!」
『ハゲッ!』

突然訓練生達がデバイス片手に魔法攻撃を喰らわせた。

「「あ…ッ!」」

それによってナイトメアの呪縛が解けてネイルとアクセルは正気に戻る。
そして、人生で一度拝めるかどうかすらわからないような禍々しい邪悪でドス黒いオーラが…。

『ヒエェェェーーーーー!!』
「覚悟しろ…!!」
「命で償え…!!」

超怖い二人にナイトメアは後退りするも、

――ガシッ!――

職員や教官の皆様方が青筋立てながらナイトメアをガッチリと掴む。

「良し。合図したらそのゴミクズを投げ飛ばせ」

その言葉に教官&職員は頷く。

ネイルはスロットからネイルメモリを引き抜いてマキシマムスロットに挿す。
アクセルもマキシマムクラッチレバーを作動させる。

【ACCEL・MAXIMUM DRIVE】
【NAIL・MAXIMUM DRIVE】

そして合図として指をクイクイっと動かすと、教官と職員はナイトメアを投げ飛ばす。

それに合わせてダブルライダーはジャンプした。

「「ライダー!ツインマキシマム!!」」

ネイルダウンフォースが脳天、アクセルグランツァーが脇腹に決まる。
ナイトメアは大爆発を起こしてメモリブレイクされた。

「絶望がお前の、ゴールだ…」
「復讐の一撃を、その身に刻め」

こうして、ディアンと照井の仕事は視察から犯罪者の逮捕となって終わった。





*****

とある次元世界。

以前からガイアメモリの不法使用によって指名手配されていた一団を管理局が突き止め、そいつらのメモリをブレイクし、逮捕するのが翔太郎とヴィヴィオの請け負った任務だ。

「あれが敵の隠れ家…」
「腕が鳴るぜ…!」

二人はドライバーを装着し、ガイアメモリを構えた。

【HOPPER】

「変身!」

【HOPPER】

ヴィヴィオが変身すると、次は翔太郎がジョーカーメモリを起動させる。

【JOKER】

「……?」

ガイアウィスパーがなっても、ライトスロットにサイクロンメモリが転送される気配がない。

【JOKER】

(フィリップ)
(なんだい翔太郎?)
(変身だ)
(今スッゴク盛り上がってるところだから邪魔しないで)

どうやら地球からすれば未知の情報を詰め込んだ無限書庫で有りっ丈の本をよんでいるらしい。

(ツベコベ言わず変身だ!)
(後一時間待って)
(待てるか!)

【JOKER】
【JOKER】
【JOKER】

催促していることを強調するため、ガイアウィスパーを何度も鳴らす。

(あーもう!わかったよ)

【CYCLONE】

「それじゃ、いってくるよ」
「いってらっしゃい。戻って来たらまた話そう♪」

フィリップは短時間においてすっかり意気投合したユーノに一時任せると、サイクロンメモリをスロットに挿して転送した直後に抜け殻状態となって無重力空間で漂う。

【CYCLONE/JOKER】

漸くサイクロンジョーカーに変身する翔太郎。

『早くケリをつけてくれよ翔太郎!こっちは正しく至福極まる場所にいたんだからさ!』
「…わかったら。いい加減元通りのテンションになってくれ…」

(二人で一人っていうのも、苦労かかって大変そうだな…)

ヴィヴィオは何気に自分のライダーシステムが相方が居なくても使用できる機構であることに少し喜んだ。

そして操縦席と後部座席、ハードボイルダーに二人が乗った。

(私もバイク欲しいな〜)

なんてヴィヴィオはおもっていたけど…。
流石に仮面ライダーなのに持前のバイクが無いのがちょっと寂しいヴィヴィオだった。





*****

『おい、なんかこっちに向かってないか?』
『いわれてみれば…?あれってバイク?』

見張りをしていたドーパント二人。

――ブゥーーーーーン!!――

それは紛れもなくW専用のスーパーバイク・ハードボイルダーのエンジン音だった。

「インパクトキャノン!」

――ドガアァーーー!!――

ホッパーの魔力攻撃で見張りの二人はあっけなくやられた。

「この儘アジトに突っ込むぞ!」
「うん!」

そのまま二人はアジト内部に突入する。

『し、侵入者だ!』
『捕えろ!』

ドーパント達も突然の敵襲に混乱する。

その混乱に乗じてホッパーは魔力を冷気に変換して…。

「アイスプリズン!」

掌から極寒の冷気を大量に放出して片っ端から雑魚共を凍り付かせる。

『やるね、ヴィヴィオちゃん』
「こっちも負けてらんねぇぜ」

【HEAT】
【HEAT/JOKER】

Wはヒートジョーカーにハーフチェンジ。

「ヒートナックル!!」

Wも右拳に3000度の高熱を発生させてドーパント達を殴りまくる。

『怯むな!あの二人の首をとれ!』

苦し紛れに他のブロックにいる仲間を呼び集める。

「そうくるか。…だったらもう一回怯えさせてやる!」

【JOKER・MAXIMUM DRIVE】

Wは両手から赤と紫の炎を噴出しながら跳躍し、

「『ジョーカーグレネイド!!』」

セントラルパーテーションを境にヒートサイドとジョーカーサイドが分割し、そのまま二体のドーパントに一発ずつパンチを食らわせてメモリブレイクした。

「どうだい?御仲間があっさりやられる様子は?」

Wは余裕たっぷりにそういった。
流石に好い加減強がっているのが困難になったのか。
逃げ出すドーパントもでてくる。

【LUNA/METAL】

しかしながらWはルナメタルにハーフチェンジ。
メタルシャフトを鞭のように振って逃走するドーパントに打撃を与える。

「オラオラどうだ!!」
『翔太郎、僕の静かな怒りの分まで徹底的にやってくれ』

Wは正しく、心を鬼にしている。

「よーし、私も!セイグリッドクラスター!」

ホッパーも魔法で次々とドーパントを蹴散らす。

『く、クソ!こうなったら!』

そこでリーダー格と思われるドーパントが手元にある装置のスイッチを押した。

――自爆装置作動…自爆装置作動…――

「自爆装置だと!?」

Wはまさかこんな古典的な手段にでるとは露ほどに予想していなかったので、かなり驚く。
ドーパントはメモリを排出して、狂ったように笑いながらアジトの最深部へ向かった。

『奴を追うんだ!自爆装置の中枢に行けるかもしれない!』

フィリップに指示に二人は了解して、リーダー格をおいかけると、そこには本当に自爆装置の超大量の爆薬の横に置かれた爆破制御装置。

「ハハハ…!いっておくが止めようたって簡単には行かないぜ。なにしろ制御装置の中枢の周りにはトンデモなく精密な部品が集まってる1cmでも狙いを外したら、その瞬間にお陀仏だ」

リーダー格の男はそういった。

【CYCLONE/TRIGGER】

だけどWはサイクロントリガーにハーフチェンジ。

『一発できめるよ、翔太郎』
「おう、フィリップ」

そして何処からかとんできたバットショットをてにとる。

【BAT】

Wはバットショットをトリガーマグナムに合体させると、メモリをマキシマムスロットに挿入。

【TRIGGER・MAXIMUM DRIVE】

バットショットがスコープの役割を果たし、銃口の向きと狙いを寸分の狂いなく整える。

「『トリガー、バットシューティング…!』」

撃ちだされた風の弾丸は制御装置の中枢を確かに撃ち抜いたのだ。
助かったのだという実感が湧き、ホッパーは胸を撫で下ろす。

「任務完了だね」
「ハードボイルドにな…!」
『それじゃ、僕はもう戻らせてもらうよ』

サイクロンサイドがメモリを引き抜いて変身を解き、フィリップの身体が意識を取り戻す。

「さて、ゾクゾクする検策を再開しよう♪」



こうして、この二組の活躍は役目は無事終了した。

次回、仮面ライダーイーヴィル

Eの教導/虐【サディスティック】

これで決まりだ!

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