WとAの来訪/都【ミッドチルダ】


「…何処いったんだ?」
「どうかしたの?」

自宅でなにかを探すゼロに御霊が尋ねる。

「…バニティーメモリが無い」
「え?…あの、バニティーメモリって前聞いたヘルって奴の遺品の筈じゃ?」

トンデモないことが発生した。
ヘルの死後、ゼロがガイアドライバーと共に保管していたバニティーメモリが紛失したのである。

「妙だな。ガイアメモリは最初に使用した者した使えんようになっている筈。…いや、それ以前に私の領地から盗みを働くとなると…相当な…」

なんか一人でブツブツと呟き始める。

「ゼロー、管理局から連絡が入ってますよ」

そこでリインフォースが電話片手にでてきた。
ゼロは受話器を渡される。

「依頼か…。ほう、わかった。そちらさんの希望通りに」
「なんの依頼ですか?」
「リインフォース。左達と照井を呼べ。」





*****

「なんのようだ?」
「僕達は忙しいんだけど」
「用件があるならさっさと済ませろ」

Wとアクセルの三人は無限宅に集められた。

「悪いがすぐすむ用事ではない。貴様らには私達と共にミッドチルダに来てもらう」
「ミッドチルダ!?以前いっていた魔法都市に?」
「その通り」

フィリップの問いにゼロは答える。

「行こうよ二人とも!こんな機会は滅多にない!!」

フィリップは興奮しながら翔太郎と照井に詰め寄る。

「で、でもなフィリップ。幾らなんでもいきなり「何をいっているんだ!僕達では想像もつかないようなテクノロジーが向こうの世界では存在しているんだよ!」……ちょっとお前が怖くなってきたんだけど…」

翔太郎はフィリップの探究心に引いてしまう。

「…仕方ない。どうせNOといって断ろうとも、お前は無理矢理俺達をつれていくに決まっている」

照井の推測にゼロは頷く。

「あぁもう!わかったよ!行けばいいんだろ!行けば!」
「よろしい」

翔太郎もヤケクソ気味に承諾した。

「ではミッドチルダに移動します。皆さん一ヶ所にかたまって下さい」

リインフォースは記憶の魔導書のページを開いてミッドチルダの次元座標を呟く。
それと同時に一同の足下に巨大な魔方陣が現れた。

「行きますよ」





*****

ミッドチルダ首都・クラナガン。

「ホントに来ちまった…」
「…ッ!」

翔太郎と照井は驚きのあまり開いた口が塞がらない。
フィリップに至っては目から光線がでるんじゃないかと思うくらいにキラキラと輝いた目つきである。

「さて、地上本部のロビーで待ち合わせをしている。とっとと行くぞ」
「そのまえにこの街の文化レベルを「管理局に行けば幾らでもわかる。魔法やデバイスのデータもあるしな」…ゾクゾクして堪んないよ!」

こうして一同が地上本部に向かうと、そこにはゼロにとって馴染み深い顔がそろっていた。

「あ、皆。きたよ」

やってきたゼロ達を出迎えたのは元機動六課のメンバー達だった。

「久しぶりだな、ゼロ」
「連れてきてくれたんですね」

そういったのはディアンとフェイト。
現在ディアンはフェイトの専属補佐として活動している。
役職こそは補佐だが、フェイトとは御互いに相棒として認めあっている。

「その人達がWとアクセルなんだよね?」
「思ってたよりイメージちゃうな〜」

なのはとはやてが感想を漏らす。

翔太郎は余りにも美女が揃いすぎているこの光景に一瞬反応が遅れたが、

「…どうも。鋼の名探偵、左翔太郎です」

ハードボイルドな口調で自己紹介する。

「風都署の超常犯罪捜査課課長…照井竜だ」

照井も何時も通りな感じである。

「僕は翔太郎の相棒を務めるフィリップだ」

そして最後の一人も自己紹介を終える。

「仮面ライダーネイルことディアンだ。フェイトの補佐役をしている」
「フェイト・テスタロッサ・ハラオウンです」
「高町なのはです」
「わたしは八神はやてや」

隊長陣とディアンが名乗ると次は

「主はやての守護騎士・ヴォルケンリッターが将、シグナムだ」
「同じくヴォルケンリッターの騎士・ヴィータだ」
「私は医療担当のシャマル」
「……ザフィーラだ」

守護騎士も挨拶を済ませる。

「スバル・ナカジマです」
「ティアナ・ランスターです」
「エリオ・モンディアルです」
「キャロ・ル・ルシエと、飛竜フリードリヒです」
『キュクー』

フォワード陣も挨拶した。

「で、依頼の内容は何なんですか?」

リインフォースが聞くと、

「知っての通り、管理局は年中人員不足になやんでいる」
「そこでゼロさんを含む、仮面ライダーの皆さんに協力してもらおうと思ったんです」

シグナムとシャマルはそう説明した。

「ハッハハハ!お安い御用ですよ。この左翔太郎、必ず皆さんのお役にたってみせます」
「…とりあえず何をすればいい?」
「僕は魔法文化やデバイス技術を知られる場所ならどこでもいいよ」

三人はそう言った。

「その前に取り合えず、模擬戦してくれへんか?」
「三人の実力も確かめたいし」





*****

模擬戦場。

最初の模擬戦ではアクセルVSネイルという構図となった。

「行くぞ…!」
「手加減はせんぞ」

【ACCEL】
【NAIL】

「変…身ッ!」
「変身!」

【ACCEL】
【NAIL】

二人を変身して対峙する。

その様子をみていた翔太郎とフィリップは、

「あのドライバー…似てる」

シングルドライバーの形は鳴海壮吉…スカルの変身ベルトであるロストドライバーの鏡写しといっても過言ではなかった。翔太郎は少し切なげに呟く。

「成程、スカルのドライバーと同型…か」

フィリップはフィリップで冷静に分析している。

「さあ!…振り切るぜ」
「さあ、断罪の時間だ」

二人は各々の決め台詞を口にして戦闘を開始する。

「オラッ!」
「フッ!」

まずは御互いにネイルカリバーとエンジンブレードをぶつけ合わせる。
重量とパワーはアクセルのほうが勝っていたので、初撃はアクセルが決めるかと思われたが、

「そうはさせん」
「なに!?」

ネイルはエンジンブレードを受け止めるのではなく受け流し、そのまま自慢の俊敏さを活かしてアクセルの背後に回りこんで一撃を入れた。

「グッ!」
「良し」

「お、あの照井竜から一本とるなんて、彼も中々やるね」
「当然だよ。何しろ私の相棒(パートナー)なんだから」
「おや、フェイトちゃん?さり気に惚気るとは幸せ一杯やな〜」
「ち、違うって!今のは、その…」

フィリップの褒め言葉をトリガーにはやてはフェイトをからかう。
まあ、こっちはさておき…。

【NATURAL】
【ENGINE】

二人のライダーはネイルクローとエンジンブレードにギジメモリを挿入。

【ELECTRIC】
【THUNDER】

さらに同じ電気エネルギーを発揮する。

――バリバリ!ビリビリ!!――

二つの刃が交わる毎に、接触する電気が御互いを求めあうかのように激しくスパークしていく。

「やるな…!」
「そっちこそ」

――ブゥーン!ブウゥーン!!――

【FIRE】

アクセルはパワースロットルを捻ってエンジンブレードの刀身に高熱を帯びさせ、ネイルもファイアの炎熱機能を起動させる。

「ハアァ!」
「ウラァ!」

――ガギン!ガギンッ!!――

何度となく打ち鳴らされる重く鈍い音。

【JET】
【TORNADO】

今度は衝撃波と突風がぶつかった。

【BLIZZARD】
【STEAM】

冷気と高温蒸気もまた対極の属性同士、打ち消し合う。

そして遂に…。

【ENGINE・MAXIMUM DRIVE】
【NATURAL・MAXIMUM DRIVE】

「ナチュラルスクラッチャー!!」
「振り切るぜッ!」

アクセルのダイナミックエース、ネイルのナチュラルスクラッチャーが激突!
模擬戦場は激しい爆発と煙に包まれた。

「はてさて、結果はどちらに傾いたかな」

ゼロが呑気にそういってると、煙は晴れていく。
すると、アクセルもネイルもたっていた。
二人は同時にメモリをスロットから引き抜いて変身を解く。

「引き分け…だね」

ヴィヴィオはそういった。



第一模擬戦・ネイル対アクセル
勝敗の結果・引き分け



続いて第二模擬戦。
W対ホッパー

「良っしゃ、行くぜフィリップ」
「了解だ」
「ヴィヴィオ、怪我しないように」
「わかってるよママ」

三人はフィールドに立つ。

【HOPPER】
【JOKER】
【FANG】

「「変身!」」
「変身ッ!」

【FANG/JOKER】
【HOPPER】

ホッパーとファングジョーカーが姿を現す。

「あれがヴィヴィオの変身したライダー…」
「カッコイイ!!」

ティアナとスバルは思わず感想を口から漏らした。

「さあ、始めよう…」
「さあ!…決めるよ」

Wは決め台詞を変化させながらホッパーを指さし、ホッパーは厭いなく構えをとる。
そして拳の前に巨大な魔力球を出現させた状態でを思い切り振りかぶると、一気に拳を振り下ろして攻撃するインパクトキャノンを行う。

だがその程度の攻撃など、Wは簡単に回避してタクティカルホーンを弾く。

――ガシャン!ガシャン!――

【SHOULDER FANG】

右肩から生えたショルダーセイバーを手にとると、Wはそれをホッパー目掛けて投げた。
ショルダーセイバーはブーメランのように複雑な動きをしてホッパーを切り裂く。

「(やっぱり、強い。…でも!)セイグリッドクラスター!」

ホッパーは魔力球飛ばす同時に散弾させてショルダーセイバーを撃ち落とす。
でもホッパー=ヴィヴィオは直感的に悟った。

仮面ライダーとしての戦闘経験が浅いヴィヴィオと一年間ドーパントと戦ってきたW。
戦いとは能力スペックだけでなく戦いの勘や経験というものまで重要になってくる。
そう感じとったのだ。

「ハアァァァ!!」

ホッパーはでたとこ勝負でWに低姿勢で突っ込んでいく。

『一気に勝負を決めるきのようだな』
「望むところさ」

――ガシャン!――

【ARM FANG】

右腕からアームセイバーを生やして身構える。
ホッパーも拳に電気に変換した魔力を纏わせる。

「アームセイバー!!」
「プラズマアーム!!」

互いに野獣の牙と電撃の拳がクロスするとき、誰もが眼を見開いた。



ファングジョーカーの牙はホッパーの肩アーマーに喰い込み、ホッパーの拳もファングジョーカーの仮面に入っていた。




「初心者にしてはやるね」
「ありがとう」

再び距離をとる。

【HOPPER・MAXIMUM DRIVE】

――ガシャン!ガシャン!ガシャン!――

【FANG・MAXIMUM DRIVE】

「『「トオッ!」』」

二人は高くジャンプして、

「『ファングストライザー!!』」
「ホッパーライダーキックッ!」

二人の必殺技(マキシマム)は空中でぶつかり合い、激しい閃光が迸った。
皆は余りの眩しさに目を瞑り、再びを眼を開けた時には、片膝をついたホッパーとそのホッパーに手をさしのべるWだった。

『筋は悪くなかったぜ、レディー』
「ファングジョーカー相手に、ここまで応戦できるなんて大したものだよ」

フィリップと翔太郎はホッパーを褒めながら変身を解除した。
ホッパーは変身を解いて差し延べられた手を掴んで立ち上がる。

「ありがとうございました」
「どういたしまして」

行儀良く軽く頭を下げて感謝するヴィヴィオにフィリップは簡単な言葉を投げかけてフィールドから退場した。



第二模擬戦・ホッパー対W
勝敗の結果・経験の差によって、Wの勝利




「ごめんなさい、負けちゃった」
「いいんですよヴィヴィオ。さっきの戦いで得たモノを、次の機会に活かせれば」
「貴様もこれで一歩だが、仮面ライダーらしくなったな」

母親も父親も、娘がほんの僅かながらも進歩していくことを覚える。

「…良し。それじゃあ照井さんやフィリップ君の模擬戦が終わったところで、私たちも模擬戦やろうか?」
「「「「はい!」」」」

なのはの呼び掛けにスバル達が元気良く答える。

(まっていたよ、この時を!)

フィリップは漸く魔法戦闘がこの眼で見られると知って期待感MAXである。





*****

「ディバイーーーン!バスタァーーーーー!!」
「トライデント…スマッシャー!!」
「遠き地にて、闇に沈め。…デアボリック・エミッション!」
「紫電…一閃ッ!」
「ラケーテンハンマー!!」
「リボルバー…ナックル!」
「クロスファイアー…!シューーート!!」
「一閃必中!!」
「フリード、ブラストレイ!!」

隊長・副隊長・フォワード。
それぞれの死力を尽くした模擬戦。

「凄いね…!ゾクゾクするよ!」
「フィリップ、他人の戦いみて荒息をついて興奮してるのを他所の人が見たら十中八九、戦闘狂(バトルマニア)と勘違いされるぞ…」

「なにを言うんだい翔太郎!才能と努力が成す業とはいえ、ガイアメモリも使わずに人間があそこまでの力を発揮しているんだよ!普通気になると思うだろ!?理解し尽くしたいと思うだろ!?」

「わ、わかった。わかったから顔を急速接近させないでくれ…」

翔太郎は今迄これ程フィリップが怖いと思ったことは無い。
まあ、それと同時にドン引きもしたけど。





*****

全ての模擬戦が終了した。

「いやー良い汗掻いたね♪」
「ホント。ここまで全力全開でやったのは久し振りだよ」
「スッキリした♪運動も不足も解消できたで」

などといって皆は爽やかな表情をしている。

そして仮面ライダー達に与えられた役割(ポジション)はと言うと、



ディアン&照井
武装局員訓練校への視察。

翔太郎&ヴィヴィオ
他の次元世界での次元犯罪者(ドーパント)の確保。

フィリップ
無限書庫で司書を勤めるユーノの手伝い。

イーヴィルコンビ
地上本部・本局のルーキー達への教導。



このような形となった。

さあ、この四グループはどんな活躍を見せてくれるのか?
それは次回のお楽しみである。

次回、仮面ライダーイーヴィル

AとNの共鳴・WとHの共闘/力【ライダー】

これで決まりだ!

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