Rの真実/超【でんせつ】


魔界屈指の上級魔人。
無限ゼロがメルトの王に即位してから三日が経過した。

「それで、また報告か?」

ゼロは玉座にゆったりと座り、何時もの服装の上に漆黒のマントを羽織っていた。
シキ曰く、「王は王らしくして貰わないと困ります」という意見ゆえに、このマントを着けさせられていた。

「はい、ゼロ様。今度は近隣の次元世界で、異常な魔力量が検出されたようです」
「また一昨日のように、魔力結晶の崩壊・・・だったなんてことはないな?」

ゼロは疑うように、報告をしにきた伝令役をにらむ。

「・・・・・・否定しきれないのが、現実です」
「はぁぁぁ」

ゼロはうんざりしたかのように、ため息を吐きだした。

「まあ良い。いくぞ、相棒」
「あぁ、ゼロ」

傍らで控えていたリインフォース。
ちなみに、リインフォースもまた、シキの意見によって紫紺色のイブニングドレスを身につけていた。
所々に魔力を凝縮した魔力結晶の宝石が散りばめられた物もあったが、そのように飾りっ気の多い服を着ることに慣れがないリインフォースが、多少豪華な程度のドレスで妥協を打った。
まあ、仮にも一世界の王の実質的な妻=奥方として見合った扱いを受けている証拠であろう。

「では王よ。屋上へと御願いします」
「言われなくともわかっている」

――ギュゥゥゥゥ!!――

「イダダダ!!」

少しイライラが溜まっているのか、ゼロは伝令役の頬を抓った。
リインフォースはもう、止めることすら放棄し、ただただ額に手を当ててため息をつくばかり。

こうして、三日の今日、ゼロは『伝説の魔人』を探しに出かけていく。





*****

大広間。

ゼロとリインフォースが出かけた頃、他のライダー達は、この大広間で寛いでいた。
否、寛いでいるといっても、実際には決戦に向けて模擬戦をやったり、『伝説の魔人』の手がかりを探したりしている。

「・・・はぁぁ、パパ達、今頃どうしてるかな?」
「そりゃ、色んなとこを、飛び回ってんだろ?」
「それはわかってるんだけど・・・・・・どうしてシキさんたちは毎度毎度のこと、報告の度にパパとママだけを連れて行くのかな?」

ホッパーは至極当然の疑問を口にする。

『確かに、不自然かもね』

W・ソウルサイドが答えた。

「・・・よし、私も調べに行って来る」
「そうだな。我も行くとしよう。無限達だけを働かせるわけにはいくまいて」
「俺も賛成だな」
「僕も同じ意見です」

そうして、五人のライダーの意見がまとまった。

ただし、五人全員が出て行くと、万が一の時にメルトが危機的状況に陥る可能性があったので、最初に調査を行うのはホッパーとネイルということとなった。
W・アクセル・クロスは、ホッパーはネイルのどちらかが帰ってきたら、交代に調査をしに行くということになったのだ。

「それじゃ、行ってくる」
「できるだけ、情報を集めてくるから、待っていてくれ」

そういって、ホッパーとネイルは調査に向った。





*****

名も無い管理外世界。

「「変身!」」

【MAGICAL/LEADER】

――ピュゥゥゥ――

悲しいまでに虚しいまでに、瘴気の風が吹く。

『キィィィィイイイ!!!』

目の前にいるのは、鳥類・昆虫・猛獣・魚類の特徴を兼ね備えた不気味で巨大な魔法生物。
ここには『伝説の魔人』はいなかったが、この生物はどうやら体内にロストロギアを隠し持っているようで、その恩恵によってここまで巨大になったようだ。

【EVIL/LEADER・MAXIMUM DRIVE】

しかし、ただデカイだけの敵に苦戦するようなイーヴィルではない。
即行でメモリをマキシマムスロットにインサートした。

「『リーダーブレイクラッシャー!』」

イーヴィの二連キックは見事に命中した。

『キイイィィィィアアアアア!!!!』

魔法生物はたいした活躍もなく、単純なかませ犬の役目だけ全うして倒れた。

そして変身を解除し、魔法生物が吐き出した物を見る二人。

「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」

ただただ黙るゼロとリインフォース。
その目の前には、巨大生物の口から、永久に微弱な魔力を放出し続けるだけのロストロギアがあった。

調べた結果、そのロストロギアの名称は"フィナーレス”というロストロギアだという。
しかし、二人から言わせれば、どうでもいい代物だったので、時空管理局のクロノあたりに転送して押し付けた。

「帰るぞ」
「あぁ」

そして、何事もなかったかのように帰った。

((何しに来たんだ、私達は?))

二人同時に同じことまで考えていた。
やはり物足りなかったらしい。

「・・・・・・」

――ギゥゥ・・・!――

だがしかし、ゼロとリインフォースのお供としてついて来ていたメツは、何故かゼロの姿を見るたびに、苦い表情をしたりして、遂にはゼロを遠めから睨んで拳を握り締めるにまで至っていた。

一体なにが彼をそうさせるのか、答えは近いうちにわかるだろう。





*****

さて、場面は変わり、ここは白宮光輝の夢の中。
今度は一体いかなる悪夢の世界に迷い込んだのか?






――どういうことだ?何故貴様らが?――

ゼロが誰かに語りかけている。

――フン!全ては貴様の身から出た錆さ!――

ゼロに返答する誰か。

――今こそ、今こそ時は来た!破滅するが良い!!――

そう叫んだ誰かは、隣にいた人物に、ある物を手渡す。
全身が紫色で筋骨隆々とした、その人物に。

――変身!!――





「ハッッ!!」

光輝は眼を覚ました。

「大丈夫か?」
「うなされていたよ」

顔色を真っ青にする光輝に、翔太朗とフィリップが声をかける。

「あの、その・・・・・・」
「まあ、無理に思い出したくないような夢だったか?」

照井は尋ねてみた。

「・・・・・・もう一度寝てみます」
「またか?」
「はい。もう夢を見れば、ハッキリとわかる気がするんです。・・・なにかが」
「お前がそういうなら、止めんよ」
「ありがとうございます」

大した情報がなかったので先ほど戻ってきたディアンに促され、光輝は感謝する。
そうして光輝は、再び眠りに入っていく。





*****

ホッパー、バッタの記憶を宿したライダーは今、メルトの調査をしていた。
手にはアンテナのような触手のような訳のわからん物がついたレーダーと、メーターのように見えてはいるが針のような薄さ故に向こう側が透けて見える装置を手に持っている。

実はこれ、ゼロがヴィヴィオに持たせておいた魔界能力である。

執念深き捜索者(イビルレーダー)
謀り切れぬ計測(イビルメーター)
イビルレーダーの効力は、簡単にいうと使用者が知りたいと思った情報を指し示すの魔界能力。
ただし、映し出した場所にどんな情報があるかなどの細々としたところまではわからない。

イビルメーターの効力は、使用した場所の詳しいデータを正確に調べつくす。
ただし、効果範囲が狭いので、使用する場所を正確に限定させる必要がある

ホッパーは調査においてはこれ以上ない組み合わせの魔界能力を頼りに、一人調査を勤勉にきなしている。

――ピピピピピピッッ――

その時、イビルレーダーがなにかをキャッチした。

「えっと、南西の方角・・・」

映し出された方角に向かい、愛機のテンペストのエンジンをうならせるホッパー。
実際には十分程度しか経っていないが、何故か彼女には時間がその倍くらいに感じられた。

そうしてたどり着いたのは、誰も立ち入りそうにない寂れた洞窟。
すこし中を覗いてみると、あちこちに魔力結晶がこびりついて光を発しているため、明るさについては問題なさそうだ。しかし、洞窟の地面は妙に湿っている上、奥へ奥へと続いていく洞窟自体が不穏な空気を垂れ流しにしていた。

ホッパーも入るのを少し戸惑うも、レーダーがこの向こうを指しているのだから、行かないわけにはいかない。

「スー、ハー、スー、ハー・・・・・・よし!」

深呼吸して息を整え、気合を入れなおし、洞窟内へ侵入していく。

洞窟の中にいざ入ってみると、コツ・コツ・コツ、という足音だけが響き、それ以外の物音といえば、水滴がピチャピチャと落ちる音だけだ。

侵入してから10分間、微妙に怖い思いをしながら進むホッパー。

すると、洞窟の最奥の場所に辿り着いた。
そこには、なにやら不気味すぎる程に不気味な水晶が何層にも重なっている。
しかし、その水晶から放たれている妖しい紫の輝きも、微弱なものとなっていた。

「これって・・・・・・」

ホッパーは不審に重い、イビルメーターを使用してみた。
計測の結果はこうだった。


計測結果
惑星コアエネルギー結晶
エネルギー残量・微弱
生誕後経過時間・30億年


「え、惑星コアエネルギー?」

ホッパーは不穏なワードを眼にする。

「・・・もっと詳しく調べよう・・・」

そしてホッパーは衝撃の真実を目の当たりにすることとなる。


惑星寿命・・・・・・


「ッッ!? これって・・・!」





*****

夢の中。

――『伝説の魔人』の正体は、お前だ!――

光輝はその人物を指差した。

――フハハ・・・ハハハハ!バレてしまったのか。では仕方ない。奥の手を出そう――

笑い出したのは、指さされた人物の傍らに居た男だった。

――さあ、時は来た。思い出すのだ○○よ。憎悪と破滅の記憶を!!――



「・・・・・・・・・わかったぞ」

眼を覚ました光輝は、一直線に玉座の間に駆けた。





*****

一方ゼロは、玉座に踏ん反り返り、堂々とこういった。

「帰る」

実にシンプルな一言だった。

「え、ちょ、あの、ゼロ様?なにか御気に喰わない点でも?」
「ハッキリ言ってつまらん」
「『伝説の魔人』も一向に現れないしな」
「ちょっと、奥方様まで・・・」

ゼロとリインフォースは内心、シキの齎した情報に疑いを持ち始めていた。

「まだ三日ですよ?たった三日ですよ?ちょっと気が早すぎるのでは?」
「なにをそんなに焦っているのだ?」

ゼロはシキの態度に首を傾げる。
王として招きいれた以上、来て早々に帰られては困るというのはわかるが、流石にこの焦り方は妙な何かをにおわせる。

「シキ、メツ。まさか貴様ら我々に隠し事をしているのではないか?」
「め、滅相もございません!」
「俺っち達は何にも隠しちゃいませんよ!」

咄嗟に反論する。

(余計に怪しい・・・)

ゼロは益々持って疑う。
後ろめたいことが無いのなら、最初はまず冷静で、徐々に疑われていることによって焦り始めるものだ。

「本当だな?」
「「マジです!」」

ハモって答えた。
親子なだけに息がピッタリだ。

そこへ、

――バンッ!――

誰かがドアを蹴破ってきた。

「おぉ、白宮。どうかしたか?」
「どうしたもこうしたもありませんよ!」

光輝は息を荒げる。
すると、ゼロの目前で通信モニターが開かれた。
通信者はホッパーのようだ。

「ヴィヴィオか。貴様も、なにかあったのか?」
『なにかあったなんてもんじゃないよ!』

光輝もホッパーも、かなり重要な情報を持ってきている。

『さっき、洞窟の一番深いところで、惑星コアエネルギーの結晶を見つけて、魔界能力で調べたの』
「結果は?」
『この惑星っていうか、この世界の寿命・・・・・・蝋燭が消える間際に、一際大きく燃えるよね?あれと同じみたい・・・』

ホッパーはそういった。
ゼロはすかさずシキとメツにいった。

「どういうことか、説明してもらおうではないか。この私が確実に納得できる言葉でな」
「くっ・・・」

シキは悔しそうに唇をかんだ。

「もう好い加減、正体を見せろ・・・『伝説の魔人』・・・創路メツ!!」

そして、光輝はドンとした姿勢で、メツを指差した。

「お、俺っちがっすか?そんな冗談キツいですよ!」

メツは自分が倒すべき対象だと言われ、慌てふためく。

「フハハ・・・ハハハハ!」

すると、唐突にシキが笑った。

「バレてしまったのか。では仕方ない。奥の手を出そう」
「お、親父?何言ってんだ?」
「上手くいけば、ゼロ・・・貴様をこのメルトごと葬れると思ったが、やはり簡単にはいかぬものだな」

メツは豹変したシキに驚く。

「さあ、時は来た。思い出すのだメツよ。憎悪と破滅の記憶を!!」

これぞ正しく、光輝の見た夢の光景そのものだった。
シキは自分の本来の姿となる。

角が生え、翼が生え、尻尾が生えたその姿は、おとぎ話に登場する悪魔のそれを連想させる。

『ハッッ!』

シキは戸惑うメツの頭を掴んだ。
そして力の限り、メツの頭を思い切り掴んだ。
まるで何かを注入しているような、鍵を解いたかのような。

「ああああああああああああああああああああああ!!!!」

途方も無い声をあげるメツ。
しかし、その声も次第に小さくなっていき、彼の肉体にも激しい変化が現れる。

貧相な肉体はあっと言う間に筋骨隆々としたものとなり、体色も瞬く間に紫へと染まっていく。

シキとメツの親子は魔人態となったのだ。
ただし、メツのそれは、『伝説の魔人』として完全覚醒したものだ。

「どういうことだ?何故貴様らが?」
『”強大な力”は強大なる血統にのみ生まれるわけではない!幼少時においては制御することさえままならなかった強力すぎた魔力と人格を、僕はあえて封印することにした!メツが完全覚醒するこの日の為にな!!』

シキは怒り狂った口調で、説明した。

「では、何故私達を此処に呼び寄せた?」
『フン!全ては貴様の身から出た錆だ!』

ゼロの質問にシキは、妙に歯車の噛み合わない答えを出した。

『今こそ、今こそ時は来た!破滅するが良い!!』

シキは何所からか、完成したガイアメモリとロストドライバーをメツに手渡す。

『・・・・・・』

メツは何も言わずにドライバーを装着し、メモリを起動させる。

【RUIN】

破滅の記憶が、ガイアウィスパーとして表れる。

『変身!!』

叫び、メモリをインサートしたメツは、スロットを展開する。

【RUIN】

二回目のガイアウィスパーと同時に、メツの肉体はあっと言う間に変身した。

メモリと同じ紫色をベースカラーとし、白い仮面の頭部には金色のトゲが生えており、筋骨隆々としたボディからは圧倒的な威圧感を感じさせる。

伝説の破滅の魔人・仮面ライダールーイン!

「相棒」
「あぁ」

ゼロとリインフォースは、メモリを起動させるべく、スイッチを押した。

【MAGICAL】
【WISEMAN】

「「変身ッ!」」

【MAGICAL/WISEMAN】

魔法の賢者、イーヴィル・マジカルワイズマン。
それへの直接変身は敵の強力さを認めてのことだった。

「メツ、貴様が『伝説の魔人』であるとわかった以上、見過ごすわけにはいかん」
『お前はここで、私達が滅する』
「僕も助っ人しますよ」
「我もだ」

【CROSS】
【NAIL】

「変身」
「変身」

【CROSS】
【NAIL】

光輝はクロス、ディアンはネイルへと変身する。

「俺たちもいるぜ!」
「振り切るぜ!」

【JOKER】
【ACCEL】

「変身!」
「変・・・身!!」

【CYCLONE/JOKER】
【ACCEL】

「幾ら雑魚が集まろうと、俺様にとっては虫ケラも同然」

ルーインは5人のライダーを敵に回しても尚・・・・・・いや、覚醒し変身してから完璧に人格が変わり、今までの弱気な姿勢などはどこにもない。
声にすら覇気がのっている。

「どうかな?」
「お前は独りだが、こっちは四人」
「独りだけじゃできないことだってある」

W、アクセル、クロスはそういった。

「ほほ〜。では、俺様も頼もしい助っ人を呼び寄せることにしよう」

ルーインはそういうと、背中に背負っていた巨大な金鎚・ルーインハンマーを手に持ち、ガラスを割った。
パリーンという音を立てて割れたガラスのことなど気にも留めず、ルーインは二十階であるこの場所から盛大に飛び降りてみせた。

――ズシン!!――

重い音がした。
ルーインはハンマーを地面に突き刺し、魔力を地面に垂れ流す。

「甦れッ!下僕(しもべ)共よぉ!!」

そう宣言した途端、上から眺めていた四人のライダーは驚くしかなかった。

なにせ、ルーインの底なしに等しい魔力がルーインハンマーを媒介にして地中に送り込まれたと思えば、今度は地中から妖気に満ちたエネルギーが飛び出し、そのエネルギー達は百体近くものドーパントとして実体化してみせたのだから。

それと同時に、この世界に居たはずの住民も、あったはずの村も全て消え去っていた。
そう、これは全てシキが創り上げた幻想だったのだ。

『左、フィリップ、照井、白宮。・・・覚悟はできているか?』
『当然さ』

リインフォースの質問に、フィリップが代表として答える。

「よし、行くぞォォ!!」
「『「「オオオォォォォ!!」」』」

イーヴィルの呼びかけに、皆はあらん限りの大声で応えて見せた。
5人は飛び降りて、ルーインが率いるドーパント軍団の前に躍り出る。

【ENGINE】
【LUNA/METAL】
【REQUIEM】
【NATURAL】

アクセルは機関の剛剣・エンジンブレードを火照らせ、
Wは幻想の闘士となり、
ネイルは断罪の爪に自然の力を、
クロスは鎮魂の剣に旋律を刻ませる。

「『ディバインバスター!!』」

イーヴィルが特大魔力スフィアを殴り、魔砲をドーパントたちにぶち当てたのを機に、他のメンバーも一斉に攻撃態勢に移る。

【JET】
【CANTABILE】
【BLIZZARD】
【METAL・MAXIMUM DRIVE】

「ハァァァアア!!」
「オオォォォ!!」
「『メタルイリュージョン!!』」

エンジンブレードから放たれる高熱の衝撃波。
レクイエムサーベルから照射される光線。
ネイルクローからの猛吹雪。
そしてW・サイクロンメタルのマキシマムたるメタルイリュージョンは、津波の如き勢いでドーパントたちを蹴散らし、一気に敵軍の中央に殴りこんだ。
イーヴィルもそれに乗じて突っ込んでいく。

「『プラズマランサー・・・ファイア!』」

今回は力を温存する意味をこめてか、ドーパント相手にはやたらと牽制的な技を使うイーヴィル(もっとも威力は通常のそれとは比べ物にならないが)。

【STEAM】
【ALLEGRO】

アクセルは刀身から蒸気を噴出させ、自分とクロスを含めた周囲全てを隠す。
そしてクロスはその蒸気の中に紛れ、高速移動での剣技を使いこなし、ドーパント達を切り裂く。

【ELECTRIC】
【TONE】
【NATURAL・MAXIMUM DRIVE】

――ビリビリビリビリ!!――
――ビュンビュン!――

さらには電気を纏ったエンジンブレードと、高周波と衝撃波を纏った振動剣と化したレクイエムサーベルを振り回し、さらに斬りかかって行く。
さらにはネイルクローの属性斬撃までもがついてくる。

【HEAT/TRIGGER】

Wは熱き銃撃者にハーフチェンジし、鞭状となったメタルシャフトを振り回してドーパントにダメージを与える。

『穿て、ブラッディダガー・・・!』
「さらに、デアボリックエミッション!」

幾つ物血塗れのダガーと、広域魔法攻撃の連携を行うイーヴィル。

【TRIGGER・MAXIMUM DRIVE】

「『トリガーエクスプロージョン!!』」

トリガーマグナムからの銃口からは3000℃を悠に越えた高熱火炎放射が発射され、周囲のドーパントを消し炭に変える。

それを奥で眺めていたルーインは、

「・・・少し、増やすか」

そういって再びルーインハンマーを地面に突き刺し、魔力を注入してドーパントを実体化させる。

『ダメだ!奴自身を倒さなければ、再生ドーパント軍団は不滅だ!』
「ならば、一気にドーパントを片付けて」
「奴の元にたどり着きます!」

【ENGINE・MAXIMUM DRIVE】
【REQUIEM・MAXIMUM DRIVE】
【VENOM】

クロスとアクセルは”ダイナミックエース”と”デスティニーグレイブ”によってドーパントの数量を一気に減らし、ルーインへと急ぐ。
ネイルもベノムメモリで強化変身する。

【CYCLONE/JOKER】

途中でWも加わる。

「フィニッシュ」

――ガシャン!ガシャン!ガシャン!――

【ACCEL・MAXIMUM DRIVE】
【CROSS・MAXIMUM DRIVE】
【VENOM・MAXIMUM DRIVE】
【JOKER・MAXIMUM DRIVE】

「喰らえぇぇぇええ!!」
「裁かれろぉぉおお!!」
「クロスインプレッション!!」
「『ジョーカーエクストリーム!!』」

Wとクロスとアクセルとネイルの同時キックがルーインの肉体に直撃した。

「・・・・・・ぬるい」
「なに!?」
「そんな!」
『まさか!』

ルーインは何事もなかったかのように二人を払い除けた。

「なら、これはどうだ?」

【XCELION】

そこへイーヴィル・MWXが、左手の人差し指を立てた状態で、指先に膨大極まる魔力を集束する。

「魔帝7ッ兵器・・・二次元の刃(イビルメタル)

指先には蝋燭の火の如き流線型フォルムをした剣が召喚される。
召喚した途端、ゼロは勝利を確信した。

なにせイビルメタルの特性は”斬る”という過程を無視して”斬った”という結果のみを造り出す剣なのだから。



――ポタ、ポタ、ポタ――



確かに、イビルメタルはルーインを切り裂いた。
もっとも、表層だけだったが。

「バカな!魔界最強兵器が、この環境下で全力を出して・・・・・・尚も原型を留めるだと!?」

イーヴィルは信じられなかった。
あらゆる逆境を確実に打ち消してしまう、上級魔人にとって最大の奥義をもってしても、敵に多少のダメージしか与えていない。

「フン、虫ケラよ、教えてやろう。『伝説の魔人』には、魔界能力や魔帝兵器に対して強い抵抗性がある。それに今は己が魔力をそのままパワーに変換するルーインメモリの加護により、俺様は魔界王さえも越えた。最早この全次元世界に、俺様の脅威となりえる者など皆無!」

ゼロを堂々と虫ケラ呼ばわりし、得意になって語るルーイン。


――ブゥゥゥゥーーーーン!!――

そこで聞こえてくるのはバイクのエンジン音。

「ごめん、遅くなった!」

乗っていたのは当然、ホッパーサンクチュアリ。

「また虫ケラか・・・」

「「・・・・・・ネクサスブレイブ」」

イーヴィルはネクサスブレイブを手に取る。

【NEXUS】

ネクサスメモリをソードのスロットにインサート。

【MAGICAL・MAXIMUM DRIVE】
【EVIL・MAXIMUM DRIVE】
【ZODIAC・MAXIMUM DRIVE】
【NAIL・MAXIMUM DRIVE】
【HOPPER・MAXIMUM DRIVE】
【WISEMAN・MAXIMUM DRIVE】

ネクサスブレイブに六本のガイアメモリをインサートし、その全てをネクサスソード一本の集約する。

「「ブレイブショックストライカー!!」」

イーヴィル・MWXの渾身の一撃は、迷い無くルーインに振り下ろされた。

「フン!!」

しかし、

「無駄だっ!!俺様には効かん!!」

ルーインはそれさえも耐え切って見せたのだ。
ルーインハンマーを持ったルーインは、それをそのままイーヴィルに振り下ろす。

――ドゥガァァァァアアン!!――

「「ウアァァァ!!」」

総重量は70トンにも及ぶルーインハンマーの一撃。
それを喰らったのだから、幾らイーヴィルといえどもひとたまりも無い。

「パパ!!ママ!!」
「クソ、よくも!」
「許さんぞ!」
「おのれぇぇ!!」

ホッパー、W、アクセル、ネイルは怒り心頭の様子だ。

【XTREME】
【OVER】

無論、二段変身は行う。

「潰れろ虫ケラども!!」

ルーインは突貫してくる四人に対し、ルーインは武器のハンマーにルイーンメモリをインサートした。

【RUIN・MAXIMUM DRIVE】

「アルマゲドンボンバー!!!!」

威力・・・・・・約1500トンの超弩級の一撃が大地を割ると、突貫しようとした四人は、

「「「「グァァアアアア!!!!」」」」

生じた凄まじすぎる衝撃に、無惨な悲鳴をを上げる。
それによって、変身解除する暇もなく、四人は一気に気絶してしまった。




暫しの沈黙



「ふぅぅ、この程度か。まあいい、丁度良い準備運動にはなった」

ルーインはこの面子の相手を準備運動と表現した。

「さて、このまま魔界に赴き、魔界の支配者になるのも悪くない。・・・・・・いや、全世界の支配者というのも良いかもしれん」
「良いわけないだろ」

ルーインの独白に、辛うじて反論したものがいた。

「やはり腐っても上級魔人か。実にしぶといな」
「どうとでもいえ」
「貴様ごとき虫ケラの相手をする気はとっくに失せた」

そういって、ルーインは武器の矛先を気絶した四人に向ける。

「ゆえに、貴様の仲間を殺し、貴様にこの上ない、敗北感と絶望を抱いてもらおう」

ルーインはそういって、先ほどのマキシマムの際にあまったエネルギーを全て四人に向けた。
破壊エネルギーは真っ直ぐに四人に向った。

――バチバチバチバチ!!!――

「・・・・・・はぁ、まだ邪魔するか」

ため息をつくルーイン。その視線の先には、

「「おおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」

死力を尽くし、ネクサスブレイブを盾にして仲間の命を守ろうと必死になるイーヴィルの姿。

「その努力する姿を見て、貴様に餞として、この技をつかってやる」

ルーインメモリは、ロストドライバーのマキシマムスロットにインサートされる。

【RUIN・MAXIMUM DRIVE】

「死に逝けぇぇぇぇええ!!!」

右足を突き出しながら、ルーインは突っ込んでいき、



――バリィィィィイイン!!!――



砕け散る音。
それは盾が砕け散る音。
そして、双つの魂と体が砕ける音。




――バタン・・・ッ――

「そんな・・・・・・ゼロさん、リインフォースさん・・・・・・」

クロスは目の前で起きたこと全ては信じられなかった。
無限の使徒と呼ばれ、あらゆる奇跡さえ実現してきた、彼でさえ・・・。





*****

1000年後の某所

殺風景極まる、荒野のような、寂れた野原のような、そんな場所だ。
そこでは一人の戦士が、この戦いを見てたたずんでいた。
もっともその戦士はわけあってか、かなり奇抜な外観となっていた。

X字型のベルト=メモリドライバーを装着しているところから見て、仮面ライダーであることは間違いない。
しかし、頭部・胸部・両肩・両腕・両脚には、アーマー状の拘束具が取り付けられている。

「ネオ」

そんなとき、戦士の名を呼ぶ声。

「これで理解したな」

現れたのは、銀色の身体に星座の線状のラインを刻んだ奇妙な戦士。
しかし、シングルドライバーを装着しているところから見ると、彼もまら仮面ライダーのようだ。

「本当だったんだな・・・・・・あの話は」

戦士はそう呟いた。

「貴様の修行も、もう400年になる。かつての貴様にないモノが、今の貴様にあるかどうかは知らん。しかし一応問うことにする。・・・・・・貴様、戦いたいか?」
「戦う!!そして、必ず勝つ!!」

星座のライダーの問いに、戦士は力強く言った。

(どうやら、時が来たようだ)

星座のライダーは戦士の拘束具にふれ、ロックを解除した。

「行け!仮面ライダーエクシード!」
「・・・・・・・・・ッ!」

星座のライダーに促され、エクシードは上空に魔界のタイムマシン、普遍の亜空(イビルディメンション)を召喚し、そこへ飛び込んだ。

上空へとジャンプする際、バイザーから除く黄金の複眼を光らせ、跳び立つ時、全ての拘束具を飛散させながら。

「・・・・・・・・・・・・」

それを静かに見送った星座のライダーは、ゆっくりとメモリをドライバーから抜き取り、変身を解除した。

180cm余りの長身、髪に複数つけられた逆三角形の髪飾り、青いスーツといったいでたちの男だった。

「ゼロ。これで貴様への借り、全て返した」

男はそういうと、緑色の瞳を光らせ、頭部を鳥類の如き異形へと変貌させる。

『我が輩は、もう帰らせてもらおう』



『謎』喰い魔人・脳噛ネウロ
仮面ライダーゾディアック変身者。

次回、仮面ライダーイーヴィル

Eの息子、その名はX!/時【みらい】

「この『欲望』はもう、私の手中にある・・・」





仮面ライダールーイン
『伝説の魔人』=創路メツがロストドライバーとルーインメモリで変身した仮面ライダー。屈強とした白い仮面に頭からは金色のトゲが生えており、筋骨隆々としたボディをしている。基調色は紫。因みに、ロムスカさんがアイディアをくれたオリジナルダークライダーである。

必殺技は右足による跳び蹴り”ルーインデストロイヤー”
リューインハンマーによる滅びの鉄槌”アルマゲドンボンバー”

身長・240cm
体重・106s
キック力・570トン
パンチ力・440トン
ジャンプ力・420メートル
走力・100Mを二秒
ルーインデストロイヤー・980トン
アルマゲドンボンバー・1500トン


ルーインハンマー
ルーインの専用武器。重量が70トンという規格外な重さゆえ、これを使いこなせるのは計算上ルーインだけとされている。マキシマムスロットにルーインメモリをインサートすることでアルマゲドンボンバーが発動する。

ルーインメモリ
「破滅の記憶」を秘めた紫色のガイアメモリ。
変身者の魔力に応じて戦闘力を大きく上昇させるため、『伝説の魔人』として完全覚醒したメツが使えば、何者にも劣らない凶悪で圧倒的な力を得る事が出来る。

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