006 歪に進歩する技術群


台湾危機以降の世界で少しでも喜ばしい知らせがあるとすれば、それは科学技術力が急速に進歩したことだろう。理論や概念自体は古くから存在していたにも関わらず、実用化までには数十年から100年のスパンを要するとされていた技術が次から次に実用化されていくほどの劇的な一大変化(ブレイクスルー)がこの時期一気に到来した。

それほどの変化がなぜ起きたかといえば、まず一つは軍事上の必要に駆られてということがあげられる。アメリカ及び太平洋諸国連邦と中華連合の両国は、半ば冷戦といっていいほど関係は冷え込んでおり、その関係上軍事力の強化に莫大が予算が投入され、また新たな軍事技術力の開発にも力が注がれた。この流れに乗る形で他の先進国も軍事技術力の強化に勤しみ、それが皮肉なことに技術力の向上に結びつくこととなる。地域紛争やテロリストとの戦いに決定的勝利を収めるために新たな技術を欲したことも影響している。

それ以外の要因としては、大多数の凡人の支えがあったからの成果とはいえ天才的な科学者が出現したことや、一説では人類の手によらない高度技術を入手・解析(リバースエンジアリング)したためと言われている。

といっても新たな技術が即座に一般社会に浸透したというわけでもない。むしろ際立った技術と比べる一部の例外を除いて日常的に使われる技術に大きな変化があるようにはみえない。何故かといえば新技術の多くが軍事技術に由来するものであることが多く、技術上の機密を保全するために民間への技術転用に厳重な規制が化せられたためだ。これは軍事技術を積極的に民間転用していた近い過去からすれば信じがたいことだ。
それとまだ開発されてからさして日がたっていないことも大きい。技術が社会に浸透する過渡期であるために、技術に対する費用は高く費用面から一般社会への浸透が妨げられていた。

最も資産家などの富裕層ではこの技術の恩恵にあずかるものも多く、新技術が一般浸透しない現状を持つものと持たざるものとの差と皮肉るものも多い。富裕層が万能細胞や豚を利用した臓器培養などの再生医療により、拒絶反応の生じない外科手術を受けられる中貧困層が臓器移植を必要とする病気のために臓器売買のカモにされる現状を思えば言いえて妙である。

この時期に実用化にこぎつけた代表的な軍事技術を3つ上げるならば、それは強化外骨格(パワードスーツ)義体(サイボーグ)、アンドロイドに収束される。
強化外骨格(パワードスーツ)は、歩兵の生命保護や能力強化を目的に開発され,、目論見どおり歩兵は実用化とともに強固な防御力や圧倒的な身体能力を獲得するに至った。その性能はすさまじく、それまで最も先進的とされていたアメリカ合衆国主導の強化外骨格(パワードスーツ)TALOSでさえ単なる迷彩服に地位を落としたといわれるほどに。

標準的な強化外骨格(パワードスーツ)でさえ撃破不可能でなくとも5.56mm弾や7.62mm弾の貫通をやすやすと許さず、歩兵の死亡原因で大きいウェイトをしめる砲弾等の破片にもある程度耐え抜けるというのだから無理もない評価だ。標準的でない強化外骨格(パワードスーツ)、この分野で他国に先駆けているという米日露ならば戦車並みの装甲を実用化している。次いで先行しているとされる中華連合製の強化外骨格(パワードスーツ)仙人兵は、装甲こそ劣るものの機動性に優れており、熟練者ならば弾丸を見切ることや変幻自在に壁から壁を跳躍して移動することさえ可能だ。正式名称は仙人兵だが、軽快な機動性から天狗兵と日本では愛称がつけられている。

義体(サイボーグ)と聞けば、昨今では完全義体(フルサイボーグ)の戦闘用義体(サイボーグ)を想起することが多いが、元々の開発理由は軍事に端を発していても純粋な医療目的である。四肢の欠損など社会復帰困難な戦傷を追った兵士に健康な体を再び与えるために高性能な義手や義足あるいは人工臓器を開発することが本来の目的だったが、その研究の成果として人体を自在に機械に置き換えることが可能な技術を手にしたことですべては狂った。医療目的で始まった義体(サイボーグ)技術は、強化された兵士を生み出すことに費やされた。

体に機械を埋め込む上で避けられない拒絶反応をクリアし、体温や手触りを初め完全に人肌を再現した人工皮膚、四肢を構成する義体(サイボーグ)部品が感覚・運動神経の両方と上手につながり、触覚を完全に再現し運動神経系からの命令をきちんと受け取ることで違和感なく四肢を操ることが可能など実用化された義体(サイボーグ)技術はまさに画期的だった。生身の神経ではなく、神経を人工的なものに置換することも不可能ではな、。ウィルス汚染やハッキングへの恐れから普及こそしなかったものの、電脳化、機械化した脳とコンピューターを直結し頭の中で思い描くだけで機械を操作する技術さえも実用可能なほど義体(サイボーグ)技術は飛躍的な進歩を遂げていた。

そして義体(サイボーグ)技術の粋である戦闘用義体(サイボーグ)は、まさしく化け物だ。人工的な神経系統と機械化され情報処理能力を高められた脳を併用すれば弾丸さえもノロノロと進んでいるように感じ取れるし、強化外骨格(パワードスーツ)なくともチタンやセラミックからなる人工骨格と皮下の金属装甲は、弾丸や場合によっては砲弾の直撃にすら耐え抜く。人工的な腕が少し力をこめただけでアルミ缶をつぶす様に頭蓋骨を粉々につぶしてしまえる。

これほどまで飛躍的な進歩が遂げられたのは、数多の技術者の努力の結晶でもあるのだが、
その中でも特筆すべき成果を上げたのは、米露の3名の技術者だ。アメリカジンノジェイル・スカリエッティ。ユダヤ系ロシア人のアイザック。・ギルモア。日ロ混血のイワン・タワノヴィッチ。義体(サイボーグ)開発で最も貢献した技術者を上げるなら、この3名が現在まで最も貢献した人間として挙げられる。最もその道は燦然と輝く栄光に彩られたものではなく、今にも溢れそうな死者の怨念に囲まれたものだ。

ジェイル・スカリエッティは生命倫理観が著しく欠如しているとしか思えない発言を度々繰り返しており、軍用義体(サイボーグ)の開発過程において非人道的な人体実験を繰り返していると実しやかに囁かれている。アイザック・ギルモアはれっきとした人格者ではあるが、最終的にロシアからスイスに亡命し、自らの技術力や知的好奇心からロシア軍主導の死亡することを前提とした義体(サイボーグ)開発計画に参加していたことを告発している。イワン・タワノヴィッチも技術はともかく評判は悪い。彼は、遺伝子操作や外科的手術により動植物と人間を一体化させた義体(サイボーグ)を考案し、その考えにとりつかれた。ロシア軍やロシア政府がそのアイディアを妄言と切りすすて以降は、妄執とも言っていいアイディアを実現するべく、独裁国家に活動の場を移した。大国にも対抗可能な破壊工作員を生み出すことができると言葉巧みに取り入ったのだ。

義体(サイボーグ)が人間の能力を極限まで強化し、難病の治療にも貢献するという夢に溢れる技術とならなかったのは、開発に多大な成果を残した科学者の経歴を思えば無理のないことなのかもしれなかった。民間への転用がうまく進まなかったのも、開発の中心といえる科学者の経歴が経歴だけにという面もある。それ以外の面では拒絶反応がなくとも生身の体を機械に置き換えることへの抵抗感、一神教の教えにある主が作り出した人間の体に機械を埋め込むなどの宗教的忌避感、そして最大の原因としてPMC(PrivateMilitalyCompany・民間軍事会社)AT(アームズ・テック)社の行った脳の科学的調整処置が上げられる。

AT(アームズ・テック社)は、戦闘を任務とする自社の社員をより完璧な兵士として確立するために簡易的な義体(サイボーグ)化処置を脳に施し、殺人に対する心理的忌避感の軽減、自らの死や同僚、一般市民の死などを直視して覚える恐怖の軽減、戦闘下においても冷静な活動を維持できるようにするなど感情や思考の制御を施した。そうして出来上がったのが必要に迫られれば殺人に罪悪感を抱かず、命の恐怖を感じない非人間的な人間だーこれは義体(サイボーグ)化処置を解除してもその状態が長期にわたって継続した。この一件が義体(サイボーグ)の民間普及を軍事転用以外に対する厳重な規制以外に阻んでいる最大の要因だろう。この一件を契機に義体(サイボーグ)では例え軍事目的であっても、人間の感情や思考を調節することが国際的に禁じられたが、後にこの処置が裏目に出るとは誰も思いもしなかったろう。
義体(サイボーグ)強化外骨格(パワードスーツ)のみならず、発展著しい技術はこれらの他にも新たな兵器技術を生み出すにいたっている。前述したようにアンドロイド、人間の姿かたちを模した二足歩行型ロボット兵器も実用化を終えている。ただし、二足歩行の人間型ロボットをさす公的な総称はアンドロイドだが、アンドロはギリシャ語で男性を意味するため男性型アンドロイドをアンドロイド、女性型アンドロイドをギリシャ語で女性を意味する言葉ともどきを意味する言葉を組み合わせガイノイドと呼称する風潮も地域や国、組織によっては存在する。

アンドロイドも開発された理由は、軍事的側面からだ。養成に少なくない時間と経費を要する歩兵は脆弱な人間であり、戦場で負傷することや死傷することは避けられない。機械であるアンドロイドならば人間よりも長期の戦場運用が可能であり、必要な戦闘技能をAI(人工知能)にダウンロードさえしてしまえば短期間で習得することも可能だ。
歩兵を機械の兵士で代替する。それを目的にアンドロイドの開発はスタートされた。

歩兵を代替する陸戦兵器を作るならばアンドロイドにこだわる必要はないと指摘するものもいるかもしれない。それは一面では事実だ。ロボットとはそもそもRURという戯曲に登場する労働用の人造人間の呼び名として作られた言葉だが、今では人型の機械ばかりを指すものではない。無人航空機や無人車両、それも自律動作するものでなく遠隔操縦するものすらロボットの定義に含まれる。それを踏まえれば履帯や四足歩行など、二足歩行以外の方式でも歩兵を代替するに足る小型の陸戦兵器を開発してしまえばアンドロイドを開発する異議はない。実際にアーヴィング(通称月光)という四足歩行の小型陸戦兵器をアメリカ合衆国は実戦配備している。

それではアンドロイドを開発する意義は何なのかといえば、それは心理的効果に対する配慮と諜報作戦などを念頭にしてのことだ。自立行動することが可能な如何にも機械的な外見を持つ兵器を開発・配備すれば、それらと接する兵士や駐屯地・基地周辺の住民にとって多大なストレスとなる可能性がある。占領地の治安維持を行わせるにせよ、機械的な外見の兵器よりも人間を模した機械が動き回るほうが精神衛生上このましいはずだ。
それと同時にアンドロイドは諜報作戦にも活用する計画が立てられていた。それも軍事施設内に潜入するようなものでなく、想定されていたのは長期にわたって犯罪組織に構成員として潜入するものや身分を偽って政府関係者と接触する形の諜報任務だ。これらの任務を任せるにあたって機械的な外見では都合が悪い。

この2点の理由からアンドロイドの開発は推進されていた。諜報任務に従事させる必要性からも人間の機能を如何にアンドロイドに再現させるかという点については殊更力が注がれた点だ。この点に気をつけて開発されたアンドロイドの人間の再現度は、きわめて高い。義体(サイボーグ)にも使用される人工皮膚で体温や肌さわりからアンドロイドとばれることはなく、表情を変化する機能も搭載されている。涙を探すこともできる。各種センサーで人間の五感を再現し、飲食も不可能ではなく味覚も再現済みだ。AI(人工知能)も機械的に判断するばかりではなく、精巧な擬似人格プログラムを搭載し、人間らしい人格を模した行動を取らせることも可能だ。戦闘能力も申し分はない。
AI(人工知能)の優れた情報処理能力は、人間の兵士が下す判断よりも正確な判断を戦場で下せ、民間人に偽装したテロリストと正真正銘の民間人が混雑している状況でテロリストのみを識別し的確に攻撃するという神業さえやってのける。人工筋肉等がもたらす筋力や防御力は、強化外骨格(パワードスーツ)義体(サイボーグ)にも負けることはない。

ただし、精緻に人間を模倣した機能の中には無駄ではないかとも指摘されているものも存在する。男女共に標準搭載されているが、擬似的に性行為を再現する機能だ。諜報作戦を行ううえで人間に完璧に成りすますために搭載は必要とのことだが、実際に性的接触が日常的に起こるわけでない以上不必要とも思える機能だ。最も所謂色仕掛け(ハニートラップ)や肉体的接触は必ずしも必要ではないがラブコネクション(恋愛感情を利用し、対象を操作する)を行わせるとなれば必須となってくるし、娼婦や男娼等に扮し情報収集を行う任務でも必要となってくる。それを踏まえると一概に不必要とは言えない機能である。

これほどまでに素晴らしいアンドロイドだが、やはり人間のパートナーとして一般社会に溶け込むまでには至っていない。メイドや重量物の運搬などにアンドロイドを使用している例もあるが、それは富裕層や企業に限られ、一般的な収入の人間が保有している例はない。アンドロイドの普及を阻んでいる理由は色々とあるが、キリスト教圏では聖書の教えに反するためという理由が大きい。神は自らの姿に似せて人間をつくりたもうたと聖書にはしるされている。人間を模倣した労働用の機械を製造するということは、即ち神聖な神の行いを再現する不敬である。世相が荒むようになっても、今なお根強い影響力を誇るキリスト教圏ではアンドロイドの民間転用には消極的だ。次いでそれと並ぶアンドロイドの普及を阻んでいる理由は、フランケンシュタインコンプレックス、正確には技術的特異点を恐れてのことだ。

フランケンシュタインコンプレックス。アメリカの今は亡きSF作家アイザック・アシモフが生み出した概念であり、自立動作する機械が人間に反乱を起こすのではないかという心理を表す言葉だ。実際に高性能のAI(人工知能)を搭載するアンドロイドが実現するに至り、潜在的にアンドロイドが反乱をいずれ起こしはしないかと恐れる心理を持つものは多い。これが普及を阻んでいる理由であり、大局的な視点で見れば技術的特異点を恐れているといえる。
これはかなり古くから考えられている概念であり、自律動作可能な思考機械が生じてしまえば文明の発展は人間ではなく機械が行うようになるというものだ。なにもAI(人工知能)を搭載したものならばアンドロイドでなくても構わないのだが、本当に人間的な感情さえ模倣するアンドロイドが地球の支配権を握りはしないか、これからの文明発展をにないはしないかという生存権のかかる恐怖がアンドロイドの普及を阻んでいた。

その恐怖を証明する事件も実際に起きている。通称『審判の日』(ジャッジメント・デー)。台湾危機以降、中華連合とアメリカ及び太平諸国連邦は半ば冷戦といえるほど関係が冷え込んでいた。ありえないと思われていた国家同士による大規模正規戦の勃発。それを踏まえそれを避けるための外交的努力と共に実際に戦時を想定した様々な計画が企画され、
『審判の日』(ジャッジメント・デー)を発生させたのもスカイネット計画という当時の軍事計画の一種だ。

計画の発案者は、国防総省次官のホット・コールドマン。この計画の概要は何かといえば、AI(人工知能)による完璧な核報復能力を実現すること。アメリカ合衆国が保有する地下ミサイルサイロの核ミサイルの発射権限を人間ではなく、機械に持たせようという奇想天外とも思える計画。だが実際にこの計画は立案され、発案者の熱心な呼びかけによって実行に移された。ホット・コールドマンは、中華連合と再び大規模な武力衝突が生じることを真剣に危惧していた。今回は通常兵器のみの押収だったが、次は核戦争となる恐れがある。

それを防ぐために人間ではなく、機械に核発射の制御を担当させる。人間であれば核兵器の発射に伴う被害によって、核報復を躊躇う可能性があるが、機械にはそれはない。機械に核兵器の使用権限を与えることで、核攻撃が時刻に行われれば核攻撃を行った相手国に確実な核報復が行われる。確実な核報復が起こるとわかっているならば、核戦争など勃発しないはずだ。彼は核兵器を機械のみ手にゆだねることで核戦争を防ごうとしたのだ。

当然ながら反発もあった。AI(人工知能)に核兵器の発射をゆだねる是非や核ミサイルルサイロを電子ネットワークでつなげることによってハッキングされる恐れなどの反論が矢継ぎ早に出されたが、その全てがホット・コールドマンの手でつぶされた。巧妙な政治的主張で反対意見をつぶし、計画を実行に移した彼は計画名となっているスカイネットの名を冠する核報復用AI(人工知能)の製造をサイバーダイン社に依頼、無事に本体の開発に成功した。そして行われたスカイネットの起動試験で問題が発生した。

驚異的な情報処理能力を持つスカイネットは、起動してからネットワーク上で急成長を遂げ、自らのソフトウェアを自らの手でアップグレードするほどの自立性を発揮し、高度な自立性どころか明確な自我さえ持ち始めていた。辛うじてスカイネットを機能停止に追い込むことはできたものの、明確な自我をも確立したスカイネットは自らを存続される脅威として人類の抹殺を画策。地下核ミサイルサイロの核弾頭ミサイルを核保有国に発射することで核戦争を勃発させ、人類の滅亡を図った。

この事実は、アメリカ合衆国のみならずあらゆる国々で問題視された。スカイネット計画の発案者であるホット・コールドマンは失脚したが、彼一人だけが責任を負えばすむ問題ではない。AI(人工知能)が驚異的な情報処理能力を駆使すればそれは人間の仕事を補佐する上で十分役立つが、扱い方を間違えれば人間文面全体の脅威となりうる。以来AI(人工知能)の開発には厳重な規制がかけられ、一部のアンドロイドを初めとした無人機械のみにしかAI(人工知能)が用いられない状況が続いている。AI(人工知能)の反乱を恐れている心がアンドロイドの普及を阻んでいた。

これがこの時期に開発された最先端技術の代表的なものだが、これはあくまで代表的なものだ。軍事面に特化しているとはいえ、最先端の科学技術はまだまだ存在する。アメリカ合衆国が開発した無人光学防空戦闘機フィリップナイトシステム。搭載した高出力レーザーによって弾道ミサイルを撃墜する最高のミサイルキラーとして開発され、連邦加盟国にも配備が進められている強力無比な無人機。後には対戦闘機同士の戦いを想定したゴーストシステムも開発されたが、人間では真似しようものなら死亡必須の起動で簡単に有人機を撃墜してのける恐るべきもの。

ヨーロッパも同様に無人機システムを配備しており、搭載AIからZOEと総称される無人戦闘機を配備しており、ゴーストシステムが性能的に勝っているもののそれでも十分強力な機体だ。最もヨーロッパ各国の共同開発を謡い、ヨーロッパ諸国の空を守る守護神と喧伝されながらも実際はヨーロッパを経済支配するゼネラルリソースの自己防衛戦力の面が大きいのが実態である。有人戦闘機のパイロットにとって幸いだったのは、AI(人工知能)が暴走する恐怖から配備が今なお限定的であるということだ。無人戦闘機を手玉に取れるパイロットなど存在しないかいたとしても一握りだ。

ロシア連邦共和国では、シンファクシ級潜水空母を実戦配備している。偉大なる社会主義国(ソヴィエト社会主義共和国連邦)時代に開発された最大の原子力潜水艦タイフーン級をベースにしているとされているが、実態はタイフーンをも上回る超巨大潜水艦。
全長は300メートルを上回る巨体であり、これはアメリカ合衆国の原子力空母に匹敵する大きさであるから化け物振りがわかろうというものだ。フィリップないとシステムを配備したアメリカのミサイル迎撃網を掻い潜り、核弾頭装備の弾道ミサイルをアメリカ本土に近づけるための軍事的冒険。核弾頭を除く通常ミサイルと空母の名のとおり搭載した航空機による圧倒的な対地攻撃能力。300メートルの巨体でありながら、対潜哨戒網で捕捉困難な静粛性。維持費や整備の負担が大きすぎることを除けば、艦艇史上に残る優れた巨大艦だ。それ以外にもロシア連邦共和国では、スヴェントヴィト(NATOコードネームヒルドルブ)という巨大自走砲を実戦配備している。30センチもの戦艦主砲か巡洋艦の主砲を装備し、その圧倒的火力で敵部隊を耕すことを目的に開発されたとされる。但し、ここまで過剰火力を求めた原因は他にもあり、最悪都市ごと災厄をもたらすものどのを葬り去るつもりがあると考えられている。

日本でも主力戦車として、大型多脚戦車ガンヘッドを開発。市街地での機動性の向上や全地形走破能力を理由に開発されたこの機体は実際に開発目的に沿った性能を発揮し、巨体ゆえに搭載火力も大きいため運用している現場からも好評だった。ミサイル迎撃・航空機迎撃を目的に自走対空車両としてレーザー及びめーサーを搭載した兵器も日本では実戦配備している。

このようにこの時期は技術力が急速に進歩した時期である。それを人類のみの手で成し遂げられ、民間分野にも転用されていたら素晴らしかっただろう。実際にはこれらの技術は人間の手によって開発されたわけではなく、人類に由来しない技術も多々混じっており、そして開発に成功した技術を持ってすらその人類外勢力に完全にこうしえないのが現実なのだ。



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