数時間前のネルガル本社での出来事。彼は、エステバリスライダーになるかどうか説明を受けていた。
スキャパレリプロジェクト・・・火星に取り残された人々を助けに行こうとし
真の目的で企画された計画。だが、それは、建前でしかない本当の目的は、火星極冠にあるネルガル研究所の奪還である。
そして、相転移エンジンを搭載した新造戦艦ナデシコをサセボで制作をしているらしい。
だが、彼にとって火星にいい記憶は、無かった。乗り気では、ないような表情
をするが男の話を聞いていた。
「だから俺は行く気など無い。」
「いやいや、君は、行くよ。なんたってネルガルは、お得意様だろ?もし、お得意様が居なくなったらどうする?新しいクライアントを探すかい?クリムゾンか
い?明日香かい?彼らだって君の裏での顔を知ってるだろう?ハッキリ言
うと君の大切なお嬢さまを路頭に迷わせる結果になるかもしれないんだよ?」
彼・・・アカツキナガレは、ハッキリ言って切れ者である。だが、元の性格が
厄介なために彼の本質を読む事は、不可能であり。周りにしてみれば邪魔な存
在でしかないのだった。
「何故、いきなり俺がエステライダーなんかに?俺の本業は、暗殺だ。だから、
俺にこんな仕事をさせているんだろ?なのに何故、今更・・・。」
「そうだね。けど、君は火星で殺し以外もやっていたんだろ?例えば火星で作られた試作型のエステとかね。」
ニッとキランッと白い歯を光らせる。だが、彼にしては、疲れるだけの行動でしかなたかった。
「はぁ、お前という男は・・・一体何処まで知ってる?」
「う〜ん、君の名前と職業くらいだよ。しかし、『アキト』って名前だけしか知らないんだよ?君の生い立ちも知らないしね。けど、君が火星最強のエステライ
ダーだって事は、聞いているよ。」
「ふん、俺は、エステに乗るつもりは、毛頭ない。だが、今までの恩もある。
俺の本名を教えてやる。」
ゆっくりと椅子から降りるとマントを翻し彼独自の笑みを生み出した。
「俺は・・・『名無し』のアキト。ナナシアキトだ。」
機動戦艦ナデシコ〜MACHINERY/DARKNESS
第1話『君を守りたい』
古びたアパート内で2人は、和食を食べていた。米は、光り輝き銀シャリと呼ばれ塩シャケの香ばしい香りと疲れた心に安らぎを与えてくれる味噌汁を啜りなが
ら2人は、会話も無く食事を続ける。だが、彼女の方は、その空気に耐える事が出来ずに口を開いた。
「やっぱり、私が作るよりアキトが作った方がおいしいよね。」
「私のためなんかにお褒めの言葉・・・恐縮です。」
「ああ!なんでそう言うかな?私は、今アキトのご主人でもなんでもないの!主従関係なんか気にしないで会話しようよ。」
「いえ、そんな滅相も無い。私は、お嬢さまに助けてもらってから永遠にあな
たの従者でしかないのです。貴女が命令をすれば例えば月に居る兎を捕まえてくることもできます!」
「う〜、アキトは、情が深い事は、知ってるけど。いくらなんでも度が過ぎるよ?」
「そうですか?」
キョトンとした表情をするアキトに対して彼女は、笑うしかなかった。それを見ると今まで殺伐した表情が消え優しい子供のような表情をしながら笑みを作り出
した。
「さて、食器片付けますね?」
「あっ待ってアキト。」
食器を持ちながら彼女の止める声を聴きピタッと止まる。
「私は、仕事することしたの。」
時が止まった。アキトは、腕を震わせながら食器を持つ手を咄嗟に放してしまい皿がこぼれ落ちた。
「わっと!危ないよ!!」
その声に反応し直に皿をテーブルの上に神業の如く並べ直し彼女の肩を掴んだ。
「ア、アキト!?」
「何故・・・何故ですか!?お嬢さまが仕事をなされる?そんな、そんな!!それは、アレですか?私が出すお金が足りないからですか?もし、足りないのなら
今まで稼いだ分がピースランドに5千万ほど預金が御座います。もし、足りないのでしたら幾らでも引き出しますから!!」
涙目になりながら彼女の肩を必死に掴む。それは、まるで雨に濡れる子犬が見つめるような雰囲気を生み出している。
「うぅ・・・ナナシアキト!!」
我慢できなくなり彼女は、アキトを怒鳴りつけるとアキトは、身体をビクッと
し彼女から離れた。
「!!はっ。」
「いい?私は、ヒヅキアカリ。貴方のなんですか?」
「は、はい!私『ナナシアキト』は、貴方の盾となり剣となる従者です。お嬢・・・いえ、アカリ様。」
「はぁ、私だってこんなこと言いたくないんだよ?でもね、アキトは、私が死ぬまで従者でいるつもりなんでしょ?」
「その通りです。ですか、お嬢さまが仕事をする必要なんて無いんです。」
「でも、私だって何時までたってアキトに世話されてるだけじゃダメなの。木星トカゲが着てから私は、アキトにまかせきりだったでしょ?だから、仕事をした
いの。お願い!今しか出来ないことなの!!」
本気の想い・・・それは、人に伝わるのだ。アキトは、諦めた表情で彼女を見つめた。
「分かりました。ですが、その仕事の契約書を見せてください。もし、如何わしい店だったら・・・潰します。」
低い声で呟くが彼女アカリは、笑いながらタンスの中から一切れの紙を取り出しアキトに手渡した。
「・・・・・・!!」
「別に如何わしくないでよ?あ、でもスカウトしてきたのは、ムッツリしたおじさんとちょび
髭を生やしたおじさんだったかな?でも、ちゃんと名刺も貰ったし。」
そう言って名詞を手渡すとアキトは、完全に後ろに居る存在に気づいた。
「あいつ等〜〜〜!!」
所変わってネルガル本社・・・そこでは、スキャパレリプロジェクトに関する最終調整を始めていた。
「首尾は、どうだい?」
「ええ、コックからパイロットなどのスカウトは、終了しました。しかし、パイロット合わせて
4人というのは、心もとないと思いますが・・・なんせ優秀な人材は、軍に引き抜かれていますしね。」
メガネをかけた髭の男が自分の手元にある資料を読み上げるとアカツキは、何かを考
えるように顎に手を添える。
「なるほどね・・・。エリナ君?ナデシコ方は?」
「ほぼ90%完成しています。あとは、テストをすれば完成します。それで会長どうするの?私もパイロットが居た方がいいと思いますけど?」
彼女もパイロット問題で心配をする。だが、それに関してアカツキは、ニコッと笑みを作り出した。
「ああ、その心配ないよ。ゴート君にプロス君ちゃんと彼女からサインは、貰ってきたんだよね?」
「はい、しかし・・・彼女は、一体何のエキスパートなのですか?」
「私もそれが気になりますな。会長?まさかと思いますが彼を引き抜くためのカードな
のですか?」
「彼?」
「むぅ。」
2人が疑問に思った表情をしながら彼という者が誰なのかを考えていた。
「彼はね・・・『バタン!』来たみたいだね。」
「ですな。」
扉の開いた方向には、黒い姿をした男が立っていた。
「だ、誰!?」
「何者だ!」
2人が驚いたように声を上げる。しかし、彼の眼中に彼等は、存在しない。ただ、目の
前にいるアカツキだけを見ながら前に突き進んでいく。
「貴様何者だ?」
「不審者よ早く着なさい!!ったく、うちのSSは、何してるのよ!!」
苛立つように連絡を入れ一向に連絡は、無い。少しずつ近づいていく男を見ながらゴートが立ちふさがった。
「何処のどいつか知らんが拘束させてもらうぞ。ぬぉぉぉぉぉ!!」
プロのアメリカンフットボールプレイヤーの突進のように力強く飛び掛ってくる。
「邪魔だ・・・。」
その一言で激震と呼べるゴートの突進をかわし片腕を持ちそのまま横に投げ飛ばした。
「ぬおっ!!」
ドシンッ!!
凄まじい音をたててゴートは、壁にぶつかりズルズルと壁に寄りかかり気絶してしまっていた。
「嘘・・・・。」
そんな呟きが聞こえる。ゴートは、ネルガルのなかでも優秀な戦闘員でありプロでもある彼がたった一瞬で倒れてしまったからである。
「アカツキ・・・貴様どういうつもりだ?」
「ははは、そんな怖い顔しないでよ。彼女は、医療免許持ってるんから医者としてスカウトしただけだよ?」
「だからどうした?別に他の奴でもいいだろう。俺が紹介してやろうか?」
体中から発せられる殺気・・・それに冷や汗をかきながらアキトをなだめているがアキトの目は、相手を殺す時の瞳をしていた。
「それにね・・・彼女の決めた事だよ?それなのに君が止める権利があるのかい?いくらなんでも干渉しすぎじゃないんだい?いくらなんでもそれは、ない
よ。」
「・・・・っ!」
何処か図星を指され苦虫を噛み潰した表情に変わる。だが、その表情を立て直すがアカツキは、弱点を逃がすほどあまい男では、ない。
「いいかい?君は、彼女の為に何でもやりすぎなんだよ。いくらなんでも君は、やりすぎだし世話しすぎ。行くらなんだって彼女だって16歳なんだ親から自立
したいと思う時期だよ?まぁ、彼女は、火星でも結構有名な名家生まれの医者の娘でしょ?それに彼女の腕は、地球の名医師も認めてるんだよ?」
「そ、そうなのか?」
「そうだよ・・・それに気になるなら君もどうだい?パイロットとしてナデシコの搭乗したら?」
彼の言葉に彼は、悩むような表情を浮かべるが直に答えを出すとアカツキは、満足し
たような表情を見せた。
「よかったんですか会長?」
「ん?なにがだい?」
静まり返った会長室でプロスとアカツキが会話していた。
「彼の素性は、ハッキリ言って未知数です。彼は、まさにジョーカー。もし、ポーカーなら切り札ですがババ抜きなら邪魔な手札ですよ。」
彼の目が影に潜む闇の者の目で採点する。それは、これからの為にも彼をどうにかしなくては、色々と障害ができるからである。
「大丈夫だよ。その為の彼女なんだから。」
「確かにそうですが・・・。」
何か心配した表情でプロスは、空を見上げた。
(これは、胃薬の準備が必要ですかな?)
とこれから必要だと今のうちから予測をしていた。
「お嬢さま?荷物は、これでいいですか?」
「うん。それにしてもアキトも一緒に来るなんてね・・・夢見たい。」
2人とも家具以外の必要な荷物をバッグに詰める。それは、今から2ヶ月後にナデシコ搭乗のためにネルガルが部屋を用意してくれていた。そのための引越しの
準備であり家具類は、もう運んでいき軽い私物だけを持っていくだけだった。
「さて、そろそろ迎えの車も着ます。いきますよ。」
「あっ分かった。」
先にアキトは、部屋を出て行くのを追いかける途中でアカリは、振り返り部屋に向かって一礼をする。
「どうしたんですか?お嬢さま?忘れ物ですか?」
「あ、違う、違う。早く行きましょう。」
「はい。」
2人が階段を降りると真っ赤なポルシェが止まっていた。それの赤に映えるように真っ白なスーツを着た女性が立っていた。
「始めましたかしら?私は、ネルガルのエリ「エリナ・キンジョウ・ウォンだろ?アカツキから聞いている。」ふ〜ん、でもそっちの子は、私の事知らないで
しょ?はじめまして。」
「あ、はい。私の名前は、ヒヅキアカリです。」
「ふ〜〜〜ん。」
品定めするように彼女をジロジロ見ている。明かりは、状況が飲み込めずに軽く汗をかきながらちょっと硬直してしまった。
「あ、あのぉ〜。」
「まぁまぁ・・・ね。この子がナナシ・・・貴方の主人なわけ?」
エリナがアキトの方を見ると口元を緩め答えた。
「ああ、俺の最高の主人だ。」
そんな恥ずかしい事を言うとアカリは、顔を赤くする。エリナは、その様子を面白そうに見ていると時間が過ぎている事に気づいた。
「さてと・・・そろそろ行きましょうか?私も仕事がまだ残ってるのよ。」
「あ、はい。」
「ああ、そうだな。」
2人が車に乗り込むと車がエンジン音を響かせながら車を走らせていく。数分間は、何も喋らずに時間が過ぎていく。しかし、数十分後には、小さな寝息が聞こ
えてきた。隣を見るとアキトの肩に寄りかかるように安らかな寝顔をしながら睡眠をとっていた。
「寝ちゃったの?」
「ああ、この日を楽しみにしていて余り寝てなかったみたいだからな。まぁ、仕方ないだろ。」
「まるで、子供ね。」
「ふふ、だから・・・放っておけないのかもな。」
優しい表情をしながらアカリの髪をそっと撫でる。それをエリナは、微笑ましそうに見続けていた。
キキッ!!
車が目的地につき車が止まる。ゆっくりと車から出るとそこには、ボロアパートより大き
なネルガル系列の広いマンションが前にあった。
「ここか・・・。」
「前に住んでる家より大きいね。うん、これなら銭湯に行かなくても良さそうだね。」
「・・・・・・・。」
暗い表情をする。心の中では、自分が不甲斐ないばっかりにとか思っているのだろうが本来なら莫大な借金を抱えているヒヅキ家が暮せるのは、その借金を返し
ていったアキトのお陰だったのだがアキトにとっては、アカリに満足な生活をさせられないのが悔んでいた。
「ほら、貴方達。案内するからついて来なさい。」
「ん?ああ。」
「分かりました。」
自動扉が開くと中は、広いロービーになっていて高級感が漂っていた。そして、そこに薄い水色と銀の混じり光りを反射する髪をし白い雪のような肌を持った少
女が座っていた。
「あら・・・ちょっと待ってて。」
その少女の所に向かっていくとエリナが少女を連れてやってきた。
「一応紹介するわね・・・この子は・・・。」
エリナが紹介しようとすると彼女が前に出てきた。
「君は・・・。」
「はじめまして・・・ホシノ・ルリです・・・。」
あとがき
少し難しいですね。ナデシコSSを投稿するのが初めてだから上手くいきませんね。
内容をもっと詰めた方がいいかもしれませんね。
戦闘シーンは、結構得意分野なんで早くアキトの活躍を書きたいです。
あと、ユリカとアキトは、カップリングは、ありません。気分的に・・・。
感想
NEOさん今回は更に変えてきましたね。アキトの苗字はもうないと言う事でしょうか…テンカワという苗字を嫌っていると解釈すべきなのかな?
しかし、忠臣アキトですか…また斬新な設定ですね…まあ、庇護していると言う意味ではラピスとかでありますからイメージはありますけど。
かしこまるアキトと言うのはあまり見ないですね…今後も展開が期待されます♪
まあ、この世界のアキトさんは随分
違う方のようですし、大人しくアキトさんの動向を見守るとしましょう…
珍しいね、こういった場面で怒り出さないなんて。
最近思ったんです、あまりアキトさんを困らせないようにしないと…私待つ少女ですし。
追いかける少女では?(汗)
何か言いましたか?
いえ、何も(滝汗)
今回は気にしないで置いてあげま
しょう、兎に角、この世界のアキトさんが私に対してどう動くか期待しています。
結局同じやん…
消え
たいですか?
いえ…(震)
押して頂けると作者の励みになりますm(__)m
NEOさん
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