◆Side:Yui
クチュクチュと舌先が立てる濡れた水音が、キャビンの壁に反響する度に私の頬が熱くなる。
慎み深くあるべき武家の女として、己がどれほど破廉恥な真似をしているかを自覚する毎に、脳が煮えてしまいそうな羞恥が私を襲うが、それでも私の行為は止まらない、否、止められなかった。
『はぁぁ……あぁぁ♡……ふぁぁぁ♡……』
シートに座った明憲様の脚の間で片膝立ちになり、未だ衰える素振りも見えない隆々とした逸物の先端にチロチロと舌を這わせていく。
熱せられた鋼の棒の様に熱く硬いソレに、隙間なく絡む情事の名残を丁寧に舐め取っていくと、国連軍の軍服に隠された私の心臓がドキドキと高鳴っていった。
私の鼻を突く噎せ返るほど生々しく濃厚な男と女の匂いが、つい先程までの激しい交わりを否応なく思い出させる。
同時に私の胸の奥で勢いを増す嫉妬の炎が、胸を掻き毟りたくなる様な衝動を齎すが、それは叶わぬ事だった。
無意識の内に動こうとする腕が、私の背後でギシギシと軋む。
先程の上総と同じく後ろ手に回した腕を、自身のネクタイで拘束された私は、戒められた不自由な体のまま淫らな奉仕を繰り返していた。
『……あぁぁ♡……ああ…こんなところにも……こんなにもぉ♡………』
明憲様の逸物が放つ熱気に半ば乾きかけているねっとりとした白濁の粘液を、舌に絡めて舐め取っていきながら、はしたなくも腰を揺すってしまう私。
機上の人となる前に、私のお尻に仕込まれてしまった淫具は、未だ、この身を責め苛んでいた。
胎内から伝わって来る鈍い震動に、戒められた手の平を爪が食い込むほど深く握り締めながら耐え忍び、教え込まれた作法通りに明憲様のモノを清めていく。
『………ふぅん♡……ふっ……はぁぁ♡……』
咥え込むことすら苦労する大きな先端を、口全体を使って掃除し終えた私は、竿を唇で横咥えて押さえながら、忙しなく舌を動かして舐めしゃぶり、べっとりと貼り付いていた男の精と女の蜜の混合液を綺麗に落としていく。
そして代わりに自身の唾液を塗り込んでいくのだ。
コレが……この方が、私だけのモノであると主張するかの様に……
『はぁ♡……はっ……はぁぁ♡………うでぇ……腕が、つかえればぁ♡……』
濃い性臭に当てられて鈍る思考の中、使えぬ腕をもどかしく思った。
そして、そんな事を願ってしまった自身の考え無しぶりを呪う。
この腕の戒めさえなければ、もっと上手に、もっと丁寧に、ご奉仕出来たものをと……
だが……
『……でも…あっ♡……そういう事を好む人も居ると……雨宮があぁぁぁ♡……』
前触れ無しに勢いを増した体奥の振動に、ビクンッと背を波打たせながら、先程の鮮烈な光景を、そして少し前の出来事を思い起こす。
上総が明憲様に抱かれるのを見るのは、初めてではなかったが、先程のソレは今までの比ではなかった。
私を抱く時よりも、ずっと情熱的に見えたこの方と、腕を縛られたまま明憲様に抱かれ、初めて聞く乱れ切った艶声を上げ続けていた上総。
そんな二人の激しい情交を、お尻に仕込まれた淫具で嬲られながら見ているだけだった私の脳裏に、以前、雨宮が言っていた事が過ってしまったのが、この不自由な奉仕を強いられている原因だった。
あの時……そう、明憲様の『お願い』に屈し、上総を妾にする事を認めて数日後、事の経緯を知った彼女は――
『……よろしいですか隊長。
男女の営みの中には、特殊な形――傍から見れば、眉をひそめたくなるようなモノもあるのです。
……正直、隊長の様な初心な御方に、その様な事を教えるのはどうかと思うのですが、既に山城中尉という強力なライバルが居る以上、如何なる形であれ、後れを取る事は許されません。
もし隊長が、正妻という形式的な立ち位置に満足し、明憲様の寵愛を得る努力を怠る様なら、きっと後々、後悔の涙で溺死する事になるでしょう。
故に、この雨宮は、心を鬼にして、敢えて禁忌を破りましょうぞ!』
そう言って拳を握りしめ、耳まで真っ赤に染めながら、訥々と語ってくれた……その……ご、ごく特殊な趣向を持つ男女間の営みの知識の中に、相手を縛り、或いは縛られて情を交わす事に、強い悦びを覚えるというモノがあった事を思い出してしまった私は、眼前で展開される激しい交わりもまた、そういったモノなのだと理解してしまった。
理解して、そして……
『はっ!……ふぁぁぁ♡……あっ♡……あきの……りさまがぁ♡……望まれるなら……』
……受け入れた。
明憲様が、そういう営みを好まれるというなら、私も妻として、それに応えようと。
そうやって、恥ずかしさを堪えて望んだのが、今の私の姿。
正直、縛って欲しいとお願いした際は、死にたくなるほど恥ずかしかったが、これも妻として夫たる御方に喜んで頂く為と信じ、必死に耐えた。
なにより――
『……上総には……あっ♡……ま、負けられない……くぅん♡……』
そんな決意を思い返しながら、体奥でチロチロと淫火を燃やす振動を、卑猥にお尻をもぞつかせて耐える。
もはやショーツどころかストッキングまで、滲み出る恥ずかしい蜜で濡れそぼっているのが、はっきりと感じ取れたが、それすらも無視して私は奉仕を続けた。
溢れ出る唾液を舌先に載せ、たっぷりと湿らせながら、夢中になって情事の名残を舐め取っていく。
私の唾液でヌラヌラと黒光る逸物。
その威容を至近で見、そしてその匂いと味を感じながら、これを受け入れた際に齎されるであろう鮮烈な悦びを想像してしまった私の喉が上下する。
――昨晩と同じく、牝犬の様に四つん這いにさせた私を、後ろから激しく攻め立てるのだろうか?
――或いは、初めてこの身を貫いた時の様に、情熱的なキスと温かな抱擁の中、優しく愛でて下さるのかも?
このご奉仕が終わった後、訪れるであろう享楽の刻を想像し、呼吸と鼓動を更に昂ぶらせながら、ゴツゴツと血管の浮き出た竿の上半分まで清め終えた私。
そこから更に下を清めようと身を屈めた所で、無理な姿勢が祟ったのか、そのまま体勢を崩してしまう。
『マ、マズイッ!』
ぐらりと崩れた状態で、そのまま明憲様の方に倒れ掛かる身を、なんとか逸らそうとするが、バランサーでもある両腕を縛られた状態では、上手く動けよう筈も無い。
無理な力を入れた結果、反動で仰け反る様に後ろへと倒れ掛かる我が身。
受身すら取れぬ状態で、衝撃に耐えるべく無意識に歯を食い縛る。
食い縛ったのだが――
「あっ?」
制御不能となっていた私の身体が、後ろ向きに倒れる動きが停止した。
そのまま逞しい腕が、グイッとばかりに、この身を上へと引き上げる。
「あ、明憲様!?」
「これならバランスを崩す心配も無いだろう?」
そう言って困惑する私に笑いかける。
明憲様の膝の上に、上半身を載せた形で置かれてしまった私は、どう答えていいのか見当もつかずに、ただ唖然とするだけだったが、続く言葉が、その縛りを解いた。
「続けてくれ、唯依」
「……あ……ハイ……」
竿の残り、根元に近い部位へと再び舌を這わす。
すると必然的に、上体に体重が掛かり、明憲様の膝上で、軍服に包まれた私の胸がムニュッと潰れた。
――重くないだろうか? 痛くないだろうか?
そんな心配が私の中に芽生えると、明憲様のモノを咥えながらも、ついチラリと見上げてしまう。
「――っ?」
熱を帯びた瞳で、私を見下ろしていた明憲様と眼が合ってしまった。
見下ろす双眸が緩み、柔らかな笑みを湛えると、延ばされた右手が私の髪を撫でる。
優しく慈しむ様な明憲様の手。
その指で髪を梳られ、その手で背を撫でられるだけで、うっとりとしてしまった私の耳朶を、再び明憲様の声が打った。
「……唯依、続きを」
「も、申し訳ありません!」
苦笑混じりの催促に慌てて答えた私は、再び、明憲様のモノを清め出す。
既に乾き切った情事の痕を唾液で溶かし、舌先でこそぎ取っていく私と、その背をゆっくりと撫で摩っていく明憲様。
触れられる度、撫でられる毎に、私の身体の芯を微弱な電流が流れていく様な錯覚に酔い痴れながら、私は必死にご奉仕を続ける。
少しずつ、少しずつ、私の身体を愛でる様に降りていく大きな手。
それが私の呼吸と鼓動を、更に更に高めていく。
――このまま行けば。
肩から背へ、背から腰へとゆっくりと降りていく感触に、その先を想像してしまった私の下腹部によどむ熱も更に熱く重くなっていく。
そして、そんな私の恥ずかしい期待に応える様に、更にその下へと明憲様の手が延びていった。
「アゥンッ♡」
期待し、待ち侘びていたにも関わらず、思わず嬌声が漏れた。
再び、私の尻たぶの上をサワサワと這い回り始めた明憲様の手。
時にきつく爪を立て、時に優しく撫で摩り、そして時に力強く揉みし抱いて来るソレに、私の身体が、ますます火照っていく中、呼応する様に胎内に仕込まれた淫具も振動を強くしていった。
『……うっ♡……くぅぅ♡……はぁ…はぁ……あぁぁ♡』
内と外からじっくりと攻め立てられる中、今にも溢れ出しそうな卑猥な喘ぎ声を、必死に噛み殺す。
身も心も捧げた愛しい方の前とはいえ、いや、だからこそ淫蕩な痴態をお見せしたくはなかったからだ。
無論、既に幾度となく肌を合わせ、はしたなく乱れながら気をやり果てる姿を晒している以上、意味の無い事なのかもしれない。
だがそれでも私は、貞淑たるべきという大和撫子の規範に縋り、この方の未来の妻として恥ずかしくない姿を死守しようとしていたのだ。
……しかし、そんな私のささやかな抵抗すらも蹂躙し、屈服させるかの様に、明憲様の攻めは更にエスカレートしていく。
「ヒぅッ!?」
噛み締めていた歯列を破り、小さく悲鳴が漏れた。
いきなり捲り上げられた軍服のタイトスカートが、皺くちゃになりながら私の腰に纏わりつく中、薄いストッキングと小さなショーツ越しに外気と接し、汗とは異なる粘液質な湿りを帯びたそれらが冷たくなっていくのを感じながら、私の下肢がブルッと震える。
――期待と恐れに。
そしてそれは、一瞬の後、現実のモノとなる。
いとも容易く、何の躊躇も無しにショーツ諸共にストッキングが引き下され、私の下肢はあっさりと剥き身にされてしまったのだ。
「……あぁぁぁぁ♡………」
最後の防壁を容易く破られ、遮る物も無いままに外気に晒された私の下半身の肌がプツプツと粟立っていき、この後の展開を想像しただけで、熱い吐息が私の唇を割った。
茹で立ての卵の様に、ツルリと剥かれてしまった私のお尻の上を、明憲様の手の平が滑っていく。
滑っていって、そして――
「はぅン♡」
クチュリといやらしい音が鳴り、同時に私の背が反った。
意思を裏切り、零れ落ちたはしたない声が、キャビン内に響く中、場違いな程に静謐な声が、それを掻き消していく。
「まるで粗相をした様だな」
その一言で、私の顔が、身体が真っ赤に染まる。
先程から、必死に堪えようとしても、堪え切れずに零れ落ちていた淫蜜が、外気に触れて冷えていく感覚が下半身全体から感じられた。
ぐしょ濡れになった下着を見られ、触られた事で、取り繕っていた外面の下に息づいていたはしたない願望を露わにされてしまった事に、絶望感にも似た眩暈を覚える私の耳朶を、明憲様の声が抉る。
「……唯依は、本当にエッチな身体だな」
含み笑いを含んだ声が私の羞恥を更に煽る。
だが言い返そうにも言い返せない状況に、思わず口籠る私を弄う様に、クチュクチュと私の中を掻き回す明憲様の指が、そのお言葉が事実である事を証明していく。
「……ふぅ♡……は…はぁ♡………アァァ……♡」
長時間に渡る執拗な攻めに、トロトロに蕩け切っていた私の秘裂を割って、中に入り込んだ二本の指が、容赦なく柔らかくほぐれた媚肉を嬲る度に私は甘い悲鳴を漏らす。
尽きる事無く溢れ続ける豊潤な蜜が濡れた水音を立てていくのを遠くで聞きながら、もはや、ご奉仕を続ける余裕を失った私は、途切れる事無く送り込まれる快感に翻弄されながら、明憲様の膝の上でピクピクと痙攣する事しか出来なかった。
私の
この身体の殆ど全てを知り尽くしたそれらは、巧みな技で私の悦びを掘り起こしながら、最後の未開地へとまっしぐらに侵攻していった。
甘く切ない快感に混じる微かな痛み。
それが快楽に溺れかけていた私を、わずかに正気付かせた。
「……あぁぁぁぁ……」
諦めと期待が入り混じった喘ぎが、私の唇を割る。
無意識に腰が動き、尻が揺れた。
拒もうとしているのか、求めているのか、私自身ですら判別がつかない中、乙女の徴を指先で突きつつ、弄う様に問い掛ける声が響く。
「感じるか、唯依?
私の指先が、そなたの純潔に触れているのを」
問われるままに、コクリと頷く私。
その先への期待と恐れが、私の吐息を荒く熱く爛れさせていく。
「もう少し力を込めれば破れてしまいそうだな……さて、どうしたものか?」
絶える事無く送り込まれる悦びに身体を小刻みに震わせながら、後ろ手に縛られた不自由な体勢で身を捻り見上げる私の視線の先で、明憲様が楽しそうに笑いながら首を傾げてみせる。
言外に求めている事は、私にも直ぐに分かった。
口中に湧いてくる生唾を、ごくりと飲み込む。
「……ハァ♡……ア……うぅ……」
荒れる呼吸と鼓動に翻弄されながら、口を吐きそうになったおねだりの言葉を、必死で飲み込む私。
私が求めれば、いや、首を微かに縦に振るだけで、この方は今この場で私の純潔を奪うだろう。
そして、そのまま床へと押し倒され、一気に貫かれたなら、その瞬間、私は歓喜の悲鳴を上げてイき果ててしまう筈だ。
或いは、このまま抱き上げられ、明憲様の膝の上で処女を散らされたなら、先程の上総以上に淫奔に乱れ狂ってしまうと思う。
それ程までに私は、餓え渇いていた。
乙女の徴のその奥、未だ誰にも許していない場所が、ジンジンと熱く疼いているのが良く分かる。
甘く温い快感に浸りながら、せわしない息使いの下、私は欲情に煙る思考の中で、ふと思った。
――自分は、本当にまだ、清らかな乙女なのだろうか、と。
確かに、未だ自身の『女』は、『男』を迎え入れてはいない。
だから生物的、或いは医学的に言えば、間違いなく処女だろう。
だが……
放置され続けた菊門が、ヒクヒクと痙攣しているのが分かった。
そこから発する疼痛にも似た感覚が、先程から絶え間なくこの身を責め苛み、抑えようのない餓えを増していくのも。
「……あぁぁぁぁ♡」
落胆と歓喜が入り混じった複雑な溜息が洩れた。
この身は既に、男と肌を合わせる悦びを知っている。
猛々しい牡の象徴で、胎内の奥深くまで貫かれ、粘膜を擦り合わせる際の気の遠くなる様な快楽を、嫌というほど教え込まれているのだ。
迸る熱い精を幾度となく注ぎ込まれ、身も心も征服される瞬間の絶頂を、数え切れぬ位に刻み込まれてしまった私。
本来の男女の交わりには用いぬ場所を用いての交わりですら、それ程の悦びを齎してくれる事を覚え込まされてしまった私には、まだその先があると囁く淫蕩な女の本能を無視する事が出来なかった。
そんな私が、清らかな乙女であろう筈も無い。
どのような言い訳をしようが、私は、篁唯依は、当の昔に明憲様の女になっているのだから……
「ハァ♡……ハァハァ……ああぁぁ♡……」
息が荒く熱い。
胸がどうしようもない程、苦しかった。
クチュクチュと私の媚肉を弄ばれる音が、イヤになるほど鮮明に聞こえ、送り込まれる快感が、この身と心を震わせる。
救いを求める様に上げた視線が、優しく微笑む明憲様を映し――
「ひぅッ!?」
――甘い悲鳴と共に、私の背が反った。
いきなり勢いを増した胎内の淫具と、秘裂の中で蠢く明憲様の指が、協力し合う様に動き、前と後ろを同時に攻め立てられた私は、急速に押し上げられていくのを歯を食い縛って堪える。
燃える様な身体の熱に頭がボーッとしていった。
視界全てに薄桃色の霧でも掛かっているかのような錯覚を感じながら、ゾクゾクと打ち寄せて来る悦楽の波に耐える私の耳朶を、明憲様の声が弄う様に撫ぜる。
「……で、結局、唯依はどうして欲しいのだ?」
心が揺れた。 どうしようも無い程に。
餓えた牝犬の様に口を開け、ハァハァと荒く熱い息を繰り返しながら、狂おしいまでに切ない思いと共に明憲様を見上げる。
私の純潔を、嬲る様に引っ掻き、或いは突く指先の感触だけが頭の中を満たしていた。
疼痛が幾度となく走り、それが更に甘い刺激となって私を玩弄する。
ください――ただその一言が、何度も喉につっかえた。
はしたないおねだりの言葉。
そして自身が望んだ約束を自身で破る破約の呪文だ。
それが今にも零れ落ちそうになるのを、必死に堪えながら私は首を振る。
――縦ではなく、横へと。
「……やぁ♡…やく……そくを……ほごぉ♡……に……もり……アンッ♡」
快楽を餌に誘惑してくるひどい人を、途切れ途切れの言葉で非難する私。
そんな私を見下ろす明憲様の頬に、柔らかな笑みが浮かぶ。
お尻を攻め立てていた胎内の淫具が止まった。
同時に、肩で息をしていた私の肢体を、明憲様が持ち上げる。
私と明憲様の視線が、再び絡み合った。
欲情に潤んだ瞳が、怜悧とすら言える整った表情を映す中、明憲様の唇がゆっくりと動き出す。
「ああ、本当に唯依は愛らしいな」
ボンッ――とばかりに私の顔が熱くなる。
女の疼きとは異なる衝動が、私の呼吸と鼓動を乱した。
動揺と混乱が、いい加減、茹り切っていた私の頭を引っ掻き回す中、意味不明な呻きを漏らす私の唇を、明憲様のソレが塞ぐ。
「んぅっ!?……うぅぅ………ふぅん♡」
私の唇を奪った明憲様は、躊躇なくその舌先で私の口内を侵していく。
捕えられた私の舌を絡め取り、それごと私の口を征服しながら、たっぷりと唾液を流し込んで来るのを、音を立てて啜り込んで私も舌を絡め返した。
未だ崩れぬ軍服の下で、硬くしこりきった乳首を、明憲様の胸に擦りつけ甘えてしまう私。
上の口と下の口を同時に愛でられる悦びに塗れた私の身体が、やがてビクビクと震え出した。
堪らなく心地良く、気持ちいい。
このままずっと溺れていたくなる様な法悦に、その身を浸していた私。
そんな私の耳を、濡れた水音が引っ掻いていく。
「あぁぁぁぁ……」
思わず喪失と期待が相半ばする吐息が漏れる。
私の中を弄っていた明憲様の指の感触が失われ、代わって菊座に添えられるのを感じ取ったからだ。
たっぷりと掬い取られた私の淫らな蜜が、丁寧に擦り込まれていくのを感じながら、お尻をもぞつかせる私に向けて、今度は、からかいを含んだ口調で尋ねてくる。
「約束を守れと言う事は、今日もこちらを差し出すという意図と理解して良いのだろう?」
そう訊きながら、私の菊座を嬲る明憲様。
応ずる様にヒクヒクと動き出してしまったソコに、私は真っ赤になりながらコクンと頷いた。
「ひんっ♡」
小さな嬌声が迸る。
頷くと同時に、私の菊座へと押し込まれた指先が、中へ中へと食い込んでいくのを感じながら、私は明憲様の胸に縋りついた。
第二の女性器へと改造された上、数時間に及ぶ執拗な責めに蕩け切っていた私のお尻は、抵抗の欠片すら見せる事無く、愛おしそうに明憲様の指を咥え込んでいく。
キュッキュッと指を締め付ける菊門から、鮮烈な快感が断続的に送り込まれ、腸壁越しに押し込まれ嬲られる媚肉が、鈍い疼きを伝えて来た。
明憲様の胸に縋りながら、それらの刺激に震える私は、鼻孔を擽る慣れ親しんだ男の人の匂いを、胸一杯に吸い込みつつ、この先への期待に身体を熱くする。
このままお尻を貫かれ、激しく攻め立てられたなら、身も世も無い風情で喘ぎ狂い、上総以上に淫らに果てるだろう自身を確信していた私は、はしたない期待に唇を戦慄かせながら、荒い吐息を繰り返していた。
だが、そう易々と止めを刺して貰える筈も無い。
いつも寡黙で真面目な明憲様だが、私達を抱く時だけは、非常に意地が悪くなるのだ。
それはこれまでの行為でも証明されている。
出発間際のトイレで私の菊座を嬲った上に、悪辣な淫具を仕込んでから、素知らぬ顔でクルーに挨拶させ搭乗させた方だ。
羞恥心と口には出来ぬ悦びに打ち震える私を涼しい顔で眺め、弄うていた意地悪な人なのである。
そんな方が、あっさりとこの身を責め苛む事を止めよう筈もなかったのだ。
明憲様の一言により、私はそれを、改めて実感する事になる。
「ふむ……これは困った。 取れん様だ」
「ふぇっ?」
私のお尻を、二本の指で巧みに穿りながら、さりげなく呟く明憲様。
その呟きに不吉なモノを感じ取った私は、快楽に濁る頭を振りつつ、明憲様を見上げる。
――とてもとてもイイ笑顔だった。
この方には珍しい程、にこやかな顔で私を見下ろす姿に、私の背筋がブルリと震える。
災厄の到来を予感し、顔を引き攣らせる私の耳朶を、ひどく穏やかな声音が撫でていった。
「取れぬといった。
思った以上に、奥に咥え込まれてしまったようだ」
そう言って、困ったものだと言わんばかりの表情を作りながら首を振る。
対して私の顔はと言えば、真っ青になっていた。
何が?――などと問うまでも無い。
今、明憲様が何をしているかを考えれば、あっさりと答えは出る。
思いも寄らぬ事態に、アウアウと動揺を隠せぬ私。
そんな私に向けて、明憲様は事も無げに言い放つ。
「まあ仕方が無い。
無理に取ろうとして唯依の尻を壊してしまう位なら、医者に診せて取って貰う方が安全であろう」
「――なっ!?」
再び、真っ赤に染まる私の顔。
あまりと言えばあまりな事態に、クラクラとする頭の中で、見ず知らずの医者の前で、お尻を広げている自身を想像した瞬間、卒倒しそうになる私が居た。
「む、む、無理です!
そそそ、その様な真似はっ!!」
絶叫が私の喉から迸った。
誰かに聞かれるのでは、等という懸念も配慮も全くない心の底からの叫びに、明憲様は涼しい顔で応じて来る。
「とはいえな。
取れぬ以上、仕方あるまい」
「………」
全く他人事としか言えぬ口調に、つい先程までの甘い空気は霧散し、私のこめかみに青筋が立つ。
――貴方が望まれたからなのに!!
そんな思いが私を満たし、溢れだそうとした瞬間、明憲様がまたクスリと嗤った。
「―――っ!?」
どこかゾクリと来るその笑みに私の喉が、思考が凍る。
そして固まった私の鼓膜を、明憲様の声が再び震わせた。
「ならば自身で産み落とすしかあるまいよ」
私の眼が丸くなった。
一瞬、言われた意味が分からなかったからだ。
そして次の瞬間、一拍遅れて理解が追いつき、私の顔が、また青くなる。
「な……な……な……」
思わず絶句する私。
そんな私に向けて、常と変らぬ静謐な声が、選択を突き付けて来る。
「到着まで、あと四時間もあるまい。
身支度を整える事も考えれば、更に短くなる。
あまり時間はやれぬ以上、さっさと選んで貰わねばな」
時計を指差しながら、そう告げる明憲様。
それと面と向かいながら、グシャグシャになりかけた頭の中で、必死に考えを纏めた私は、究極の選択をする破目になる。
「じ……じ……じ……」
声が震える。
恥辱の極みとも言うべき選択に、私の声帯が麻痺してしまった様にも感じられた。
そんな私を弄う様に眺めている明憲様。
――嗚呼、本当に、本当に、ひどい方。
胸中で恨み事を呟いた私は、丹田に力を込めて言い放つ。
「じ、自分でやります!」
裏返った声がキャビン内に木霊する。
面白そうに笑う声が、それに重なるのを聞きながら、憤然として立とうとした身が、そのまま引き寄せられ、シートへと押し付けられた。
「あ、明憲様!?」
驚愕の声が、私の唇をつく。
だがそれは序の口だった。
「あぁぁぁっ!?」
シートに押しつけられた私の両脚が、グイッと持ち上げられる。
膝裏を取った明憲様の仕業だった。
そのまま後ろ手に縛られた背ごとキャビンの壁に押し付けられた私の両脚は、大きくMの字を描く形で押し広げられてしまう。
明るい光の下、前も後ろも剥き出しされた驚愕と羞恥が、私の頬を焼いた。
真っ赤になりながら、恥ずかし過ぎる拘束から逃れようともがく私。
だがガッチリと押さえ込まれたこの身は、戒めから逃れる事は叶わなかった。
「ここで良かろう?
妻たる者の初産に夫として立ち会おう」
笑みを含んだ声が、私の耳朶を揺らす。
その意味を、誤る事無く解釈した私の全身が真っ赤に染まった。
「そ、その様なご無――ひぅっ♡」
思わず上がり掛けた抗議の叫びが、甘い悲鳴に打ち消された。
明憲様の逞しいモノが、私の菊座に押し入って来る感覚と共に、全身に走った痺れるような快感に仰け反る私。
そんな私を嬲る様に、押し込まれた先端が、再び引き抜かれた。
「あぁぁぁぁぁっ♡」
熱く爛れた喘ぎが迸った。
最も神経が集中している菊門を張り出した傘で引き摺り出された瞬間、背筋を電流が走る抜ける。
数時間に渡ってじっくりと攻め立てられ、完全に出来上がりながらお預けを食わされていた私にとって、この不意打ちは余りにも強烈過ぎた。
一瞬にして達してしまった私の秘裂が潮を吹き、白く濁った蜜がドロリと滴っていく。
会陰を越えて滴る粘液が、菊門を突き、こね回す明憲様の逸物に絡み、淫猥な水音を立て始めた。
「……あぁぁ……はぁ♡……はぁ♡……あぁぁぁ……♡」
いきなり気をやらされた私は、荒く息を吐きながら震える事しかできなかった。
そんな私の両脚を、蜘蛛の巣に捕えられた蝶の様に押し広げながら、明憲様が嗤う。
「さあ遠慮は要らぬ。
この場で産み落とすがいい」
そう言って、絶望と羞恥に染まった私の唇を無造作に奪う。
戦慄く唇を割って、私の中へと入り込んできた舌先が、縮こまっている私のソレを強引に絡め取っていった。
「……ふぅん♡……あ♡、あ♡……はぁぁ……」
上の口と下の口が奏でる淫らな水音の二重奏。
絡め取られ蹂躙される舌先が齎す甘い快感と、柔らかく硬い明憲様のモノでこね回され綻ばされる菊門から走る鮮烈な快感が、私の理性をドロドロに融かしていく中、必死に頭を振って逃れた私の弱々しい抗議が、か細く響く。
「…ああ♡……お止め…下さい……お願い……許してぇ♡……」
最後に残った理性の一欠片。
だが、その必死の反撃は、あっさりとねじ伏せられた。
「夫が妻の出産を手伝っているだけの事。
何を恥じる事があると言うのだ?」
シレっとした顔でそう言いながら、更に私の菊座を弄ぶ明憲様の逸物。
幾度となく抉じ開けられ、そして引き抜かれる中、私は甘い悲鳴を上げ続けた。
既に開発され尽くしてしまった身体が、心をも犯していく。
そうするしかないと、自分に言い聞かせる自分の中の『女』。
明憲様に完全に征服され、屈服させられた事を改めて認識した私は、諦めの吐息と共に抵抗を止める。
下腹部に力を込めると、私の太股がピンと張り、同時に明憲様の責めも止まった。
私の変化、いや、屈服を悟ったのだろう。
菊座をこね回していた明憲様のモノが引き抜かれ、クプリと空気の抜ける音が小さく鳴った。
「さぁ、産むがいい」
そう言いながら、抜き去った逸物で、私の下腹部を愛でる様に擦る。
本当に、今この方の子を産もうとしている様な倒錯した感覚が、私を侵していった。
無意識の内に、お腹に力が籠る。
大きく広げられた両脚が、ヒクヒクと震える中、お腹の中のモノが、ゆっくりと押し出されていくのが分かった。
硬い感触が腸壁を擦る度に、疼痛にも似た鈍い快感が走り、私の呼吸を荒くしていく中、興味深げに見守っていた明憲様が、感心したように呟きを漏らす。
「美しいな唯依。
子を産む母は、皆、この様に美しいのかな?」
そう言いながら、再び私の唇を奪う。
だが先程とは違う優しい口付けが、私の緊張をゆっくりと解きほぐしていった。
「……あぁぁぁ……あ♡……ふぁぁぁぁ♡……」
ふわりと余計な力が抜け、腹の中のモノが、するりと動いていくのが感じられた。
クプッと間抜けた音と共に、菊門が内側から押し開かれるのが分かる。
――あと一息。
そんな思いが安堵と共に満ちる。
刹那――
「はぁぁぁぁぁぁっ!?」
最大級の衝撃が、私の芯を揺らし、蕩け切った悲鳴を絞り出させた。
私の秘裂が熱い飛沫を飛び散らせ、菊門から顔を覗かせた卵型のモノが、これまでにない激しさで振動しつつ、異質な悦びを強引に引き出していく。
「ああぁぁぁ♡……はぁぁ!?………ひぐぅぅぅ♡」
トロトロと零れていく濃厚な蜜が、菊座を蹂躙しているソレに絡み、無意識に押し出す力と相俟って、ヌルリと抜け落ちさせた。
「……ぁぁぁぁ……は…はぁ……あぁぁぁぁ♡……」
全身に脂汗を滲ませながら、荒い吐息を繰り返す私。
そんな私の面前に、羽音にも似た振動音を撒き散らすソレが突き付けられた。
「これはまた、随分と元気な子が産まれたものだ」
そう呟きながら、手の平に載せたモノを近づけて来る明憲様。
対して、擬似出産の衝撃に半ば虚脱した眼で見やる私。
明憲様が、またクスリと嗤った。
「腹を痛めて産んだ子だ。
母として慈しんでやるが良い」
そう言いながら、私の唇に粘液に塗れたソレを突き付けて来る。
大きさは鶏卵以下で、鶉のそれ以上。
人造の卵とも言えそうな淫具を、絶頂の余韻に震える唇へと押し付けられた私は、半ば呆けた状態のまま素直に口を開いてしまう。
複雑怪奇な味が口一杯に広がった。
重なり合う複数の味に、どう答えれば良いのかも分からず、困惑するしかなかった私の舌上で、不意に慣れた味が広がっていく。
『……あぁぁ♡……これはぁ♡』
欲情に呆けた私の中で、小さな呟きが零れ落ちた。
同時に未だ震え続ける小さな卵を、慈しむ様に口の中で転がしていく。
そんな私の反応を、不思議そうに見つめる明憲様。
疑問が他に勝ったのか、やや戸惑った様子で尋ねて来る。
「……そんなにも美味いのか?」
「ふぁぁぃ♡……あひのりさまの………あじがひます♡」
回らぬ舌で、それでも答える私だった。
昨晩、たっぷりと私の胎内に注がれた明憲様の精。
その残滓が絡み付いた『卵』を、愛おしそうに舐めしゃぶっていく。
そうしているだけで、本当にこの方の子を産み、慈しんでいるような気分になった私は、口一杯に『卵』を頬ばったまま甘い吐息を漏らした。
「……ふふ、本当に愛らしいな、唯依は」
夢中になって『卵』を慈しむ私の耳朶を、優しい声が揺らした。
「はぅっ!?」
いきなり走った衝撃と、それに絡み付く強烈な快感に、思わず仰け反った私の口から、ポロリと『卵』が零れ落ちていく。
「あぁぁぁぁ!?……はぁぁぁぁ♡……」
悲しみの悲鳴と、歓喜の艶声が連なって響く。
我が子を奪われる錯覚に囚われた私の心が、続いて送り込まれる強烈な悦びに塗りつぶされていった。
深々と私の菊座を貫いた明憲様のモノが、雄々しく律動を開始する。
貫かれる毎に甘い悲鳴が零れ、引き抜かれる度に啜り泣かされる私。
逞しい明憲様の逸物が、私の狭い穴を抉じ開け、擦り上げる度に、背筋を通って駆け昇って来る鮮烈な快感が私を狂わせる。
幾度となくこの身に刻みこまれソレを、再び刻み込まれる歓びに、私のお尻がヒクヒクと震えていた。
「あぅ……ひんっ♡……くぁぁぁぁ!?」
悲鳴とも嬌声とも取れる声が、はしたなくも零れ落ちていく。
充分に解された私の菊門に、秘裂から滴り続ける蜜が擦り込まれ、更に明憲様の動きは滑らかにしていくのを感じながら、私は無意識に腰を動かし、尻を振って明憲様を迎え入れる。
より深く、もっと深く、もっともっと奥へ。
決して満たされぬ場所がある事を自覚しつつ、それでもそこを満たす様に明憲様を求める私。
たわわに実った胸を、軍服越しに明憲様の胸に擦りつけながら、更に甘く爛れた喘ぎを上げる。
そんな私の痴態に興奮されたのか、明憲様の攻めが更に激しさを増した、
連続して突き上げられた私の肢体はズリズリと壁に沿ってずり上り、立ったまま睦み合うような体勢へと移り変わっていく。
シートに片足を掛け、更に激しく突き上げてくる明憲様の腰に、私の太股が白い蛇の様に絡みついた。
「明憲様ぁ♡……ああ♡、あき…のりさ……まぁ♡
……もっとぉ♡……もっとください……唯依の中にぃ……もっとぉぉぉ♡」
昨晩同様、激しく私のお尻を貪る明憲様に、甘く蕩けた声でおねだりする。
第二の性器として改造され、徹底的に開発されてしまった私のお尻は、開発者たる明憲様の逸物に恐ろしいほど馴染んでしまっていた。
口に含む事すら難儀する程に逞しい明憲様のモノを、私のお尻はしっかりと呑み込み、ヒクヒクと痙攣する菊門が、愛おしそうにキュッキュッと締め上げている。
擦り上げ、掻き出される菊門と粘膜から、悲鳴の様な快感が背筋を伝って絶え間なく送り込まれ、その度にあられもない艶声を上げ続ける私。
未だ純潔を保つ秘裂も、それが嘘であるかの様にトロトロに蕩け切っていた。
今この瞬間も
それが内部の滑りをいや増し、更に明憲様の動きを早く激しく加速させていくのもだ。
「いいぞ……はっ…ああ、やはり凄い!
唯依の尻は……グッ……本当に、いくら味わっても……ふぅ……味わい足りないほど素晴らしい」
「あぁぁ♡……いぅ♡…言わないぃぃ♡……で…くださ……いぃ♡」
私のお尻を味わいながら、明憲様が感極まった様に言われるが、私にしてみれば、それは羞恥を煽られる言葉でもあった。
異質な交わりにより快感を覚えてしまう様にされてしまった身体と、それを恥と感じてしまう心。
相反するソレ等に翻弄されながら、私は真っ赤になって荒い呼吸を繰り返す。
本来、排泄に用いる為だけに在る筈の器官から、気が遠くなるほど鮮烈な性の快楽を絞り出され続けた私は、身も世も無い風情でよがり狂い、熱く爛れた喘ぎを上げ続けた。
性交に用いるべきではない場所を用いて行われる性の交わりと、禁忌を犯しているという認識を伴う背徳の
それに溺れ翻弄されながら、私は羞恥の余り啜り泣き、そして反する様に甘く蕩けきった悲鳴を上げ続けさせられた。
ズポリ、グチュリと、いやらしい音を奏で続ける私のお尻が、別の生き物の様な淫蕩さで蠢いているのを感じながら、私は恥じらいに耳を閉ざしたくなる。
だが……
「……あぁぁあぁぁ♡……はぅっ!……だ…ダメェ♡……そこは……そこはぁ♡……ああぁぁぁぁっ!!」
全てが気持ちよかった。
絶え間なく擦り上げら、掻き出される肛内粘膜も、明憲様の胸に押し潰された乳房の先端で尖り切った頂が、押し込まれたまま嬲られる感覚も。
口づけしながら舌を使って注ぎ込まれる唾液は、天上の美酒にも勝る甘露に感じられ、私は貪る様に啜り込み、飲み下していく。
既に私の肉体は、心を裏切り、貪欲なまでの淫蕩さで、齎される快楽に酔い痴れてしまっていた。
そうやって淫らに悦楽を貪る私に口付けながら、からかう様な口調で明憲様が告げる。
「いっその事……くぅ……このままずっと尻だけを愛でようか?
唯依の子が出来ぬだろうが……あ、跡取りは上総に産んで貰えば良かろう」
からかっている事が分かっていても、私はイヤイヤをする様に激しく首を振る。
狂乱の極みに達した喘ぎと共に、拒絶の言葉が紡がれていった。
「……だめぇ♡……だめぇぇ……赤ちゃん……明憲様の赤ちゃんぅぅ♡」
そう叫びながら、腰を振り、絡み付く太股に力を込めた。
最愛の人を、決して離さぬ様にしがみ付く私。
菊門をギュッと締め付ける動きに、微かな呻きを漏らしながら、明憲様が苦笑する。
「ふふ……冗談だ。
我が子を最初に産むのは、妻であるそなたの役目。
婚礼の夜は、決して寝かさぬから覚悟しておくがいい」
耳朶をチロチロと舌先で嬲りながら、直接注ぎ込まれたその言葉。
私の中の更に中、胎内の奥深くにある未開の場所が、キュンッと締め付けられる。
同時に全身に広がっていく安堵と歓喜。
それが愛しい人を受け入れている器官を、更に熱く火照らせ、決して離さぬとばかりに抱き締める。
いきなりの反撃に、明憲様も微かな呻きを上げ、驚いた様なお顔で私を見た。
「くぅっ!……凄い……食い千切られそうだ。
……それ程までに、嬉しいのか唯依?」
締め付ける菊門から迸る快感の奔流に、言葉を発する余裕もなく頷く私。
そんな私に愛おしそうに口付けた明憲様と私の舌が、濡れた水音を発しながら睦み合う。
確かに、嬉しくて嬉しくて堪らない。
だがそれが、愛する人の子を宿す事への喜びか、或いは、お預けにお預けを重ねた末に得られる交わりが齎すであろう究極の悦びへの期待なのかは、私にも分からなかった。
一度、自ら望んで交わした約束を、快楽に溺れて反故にする様な不様な真似はしたくない。
そんなくだらぬ意地だけで、私はあるべき姿を拒み、異常な交わりの齎す法悦に耽溺し続けていった。
重ねられていた唇が離れ、明憲様が私を見下ろしながら告げる。
「いずれきっちりと孕ませてやろう。
だから今は、淫らに逝き果てるが良い」
そう宣言するやと、一気に私を追い込みに掛かる明憲様。
軍服の上から、荒々しく私の乳房を揉みしだかれ、柔らかな肉が男の望むままに形を変えて、触角で、視覚で楽しませた。
ジュプジュプと泡立つ音が、一際激しくなっていき、飛び散る蜜が互いの下半身を濡らしていく。
明憲様の動きに合わせて、私はお尻を淫らに振りたくり、齎される悦びによがり泣き続けた。
ただ一心に愛する人を受け入れ、求め続ける私。
そんな私を激しく攻め立て、口付けながら、明憲様は感極まった呟きを漏らした。
「……ああ、本当に唯依は愛らしいな」
その呟きと共に、私のお尻を引き裂かんばかりに膨れ上がった明憲様の逸物が、胎内で弾け、熱い精を撒き散らす。
眼の奥で激しく火花が飛び散る中、それでも絡め合った舌を淫猥に蠢かせながら、お尻を震わせていた私の意識が白い闇に呑まれていった。
〜おまけなエピローグへ〜
後書き
ようやくメインヒロインによるメインディッシュも配膳完了。
お味の方は如何でしたでしょうか?
愛情たっぷりなご奉仕から、擬似出産プレイ、最後はお尻を愛でまくり。
ご堪能頂けたなら、幸いですな。
短期集中連載のえっちぃSSも、後はオマケのエピローグをつけてオチ。
中々に楽しかったですが、祭りの後の虚しさもチラホラと。
まあ最後までお付き合い頂ければ幸いですかね。
ではでは〜