見えてきました首都星ハイネセン!
 とても大きな惑星です
 水も緑もあって地球みたいです
 でも地上の形は違います
 当然ですよね……

 軌道上になにか丸いものがありますが、あれって?
 あれが「アルテミスの首飾り」ですか?
 12個もある軍事衛星にはもったいない
 おしゃれな名前です
 ネーミングセンスは合格だけど
 私なら簡単に無力化できます?

 ではハイネセンに降下開始!
 ……できません
 同盟軍の艦艇は地上降下能力がありません
 ナデシコは降下できますが
 私たちは別の意味で目立つことが出来ません

 少し離れた宙域にある軍事宇宙ステーションに向います
 そこは第14艦隊用です
 すでに艦隊が集まりつつありました
 その数は5000隻に及んでいます

 「へえー、大艦隊だよねー、壮観壮観」

 少将の陽気な声が聞こえます
 ナデシコを降りたら
 統合作戦本部ビルに行くんですよ!
 まったく緊張感がありません

 まあ、この人らしいといえば、この人らしいけど
 はっちゃけたことはしないでくださいね

  ──ホシノ・ルリ──





闇が深くなる夜明けの前に

機動戦艦ナデシコ×銀河英雄伝説








第五章(中編・其の一)

『八月の序曲/幕僚集結!』





T


 「──と言うわけだ。一応、アカツキ君の期待には応えられたと思うよ。今後も君とは良い関係を築きたいものだ。私も大いに楽しみにしているよ」

 ヨブ・トリューニヒトが白い歯を覗かせて通信を切る。直後にアカツキ・ナガレは疲労したようにソファーに沈み込んだ。

 「やれやれ、国防委員長がまさかあんな人事を決定するとは意表を突かれたな」

 アカツキは深々とソファーにもたれかかり、額にかかる髪をかき上げながら天井をふと見上げる。彼の瞳に映ったのは無機質な白い建材ではなく、つやのある黒髪を背中辺りまで伸ばしたエリナ・キンジョウ・ウォンだった。彼女の色香ある唇が開いた。

 「どうします会長?」

 「どうするといってもねぇ……トリューニヒト氏の早とちりに乗るしかないでしょう?」

 アカツキは戸惑い半分に呟いた。なぜなら、ミスマル・ユリカは艦隊司令官に、ナデシコは新設される第14艦隊の旗艦になってしまったのである。戸惑って当然だった。

 確かにアカツキは同盟での地歩を固めるためにナデシコの情報を一部トリューニヒトに流し、それをダシにはしたが、あくまでも自分が同盟に一歩を標すための素材として使い、ナデシコの存在に対しての保障を取り付けたかっただけである。大げさな進展など期待はしていてもそれには順序が必要であり、簡単に実現するとは考えてもいなかった。もちろん狙ったわけでもない。

 そもそも軍事組織が地球連合宇宙軍より厳格かつ強大であり、一個艦隊の基本定数が12,800隻を数える10個宇宙艦隊を有する同盟軍内部で、いくら才能があるとはいえ若すぎるユリカが簡単に地位を築けるほど甘いとはさすがに思っていなかった。

 ──はずなのに、実現してしまったのだ。これは滑稽で皮肉っぽく笑うしかないのだが、ユリカが早々と正規艦隊司令官になるなど正直想像外だった。順序を踏むならばまずは第10艦隊に所属し、彼女の階級からして分艦隊司令官が妥当であったろう。そこから順序を踏むのが正道である。もうこれはトリューニヒトの発想の偉大さというか迷走というか決断に拍手を送るべきだろうか?

 やってくれるじゃないの……

 アカツキは上半身をソファーから起こし、テーブルに置かれた水を一気に飲むと一息ついたのか緊張した身体の力を抜いた。

 「ま、なるものはなっちゃたから、この際ユリカくんやみんなにがんばってもらうしかないね。とりあえず合流しようか」

 最後の発言がやけにあっさりしすぎていたので、エリナは聞き流してしまうところだった。

 「ですが会長、私たちが何か工作したんじゃないかとみんなに疑われているんじゃありませんか?」

 エリナの指摘はごもっともだった。アスターテ後くらいから同盟の目が光っていたことはアカツキも承知していたが、上手く欺けていると考えていたのだ。

 しかし、それは度し難い間違いだった。トリューニヒトの話を聞いて──いや、シドニー・シトレという老練な統合作戦本部長に見張られていた時点で気づくべきだったのだ。

 ミスマル・ユリカが第14艦隊司令官として抜擢されたからには、自分たちの行動の一旦を知る本部長が当然のごとくみんなに話しているということだ。詳細な内容まで知られているとは思わないが、アカツキの行った工作が今回の想像もしない人事を実現させた可能性には至っていることだろう。

 「やれやれ、今頃みんなどういう顔をしていることやら……」

 木星蜥蜴が同じ人間だと知られたときとは明らかに立場が違う状態だ。あの時、彼はネルガルという巨大企業の会長であり、地球連合宇宙軍と太いパイプでつながっていた。
密かに工作することも、武装した兵士を動かすことも可能だった。

 しかし、今は違う。企業権力はまだなく、同盟中枢部とようやく顔見知りになったに過ぎない。彼を守ってくれる組織的な力は絶対的に不足しているのである。ただ、そんな権力などナデシコの連中には意味がないかもしれないが……

 「それを承知で合流するというのですか?」

 「まあね」

 とアカツキはエリナにあっさりと返答した。ネルガル時代からの優秀な秘書は渋い顔をする。

 「今度こそ袋叩きにされるかもしれませんよ?」

 エリナの脅しを耳に入れた風もなく、ロン毛の青年は先ほどとは違って勢いよくソファーから半身を起こした。

 「トリューニヒトの早とちりには意表を突かれたけど、建設的に考えようじゃないか。時間を要すると思われた計画の一つがすぐに実現しようとしているんだよ。なんて刺激的で面白いことだと思わないかい?」

 アカツキは満面の笑みを浮かべた。まさに事件に餓えた新聞記者のような面構えである。切り替えが早いのもこの若者ならではだ。

 「ここでもし合流しなかったら、僕らは自分からトリューニヒトに対する工作を進めたことを認めて逃げたことになる。話としては事実だが、新編成については僕のあずかり知らぬ事だからね。僕は僕自身の言い分をきちんと言うつもりだよ」

 腕を組んでソファーの横に立つエリナは甘いと言いたげだ。

 「随分と気楽に構えているんですね。自信がおありなんですか?」

 それほどでもない、とアカツキは軽く手を振った。エリナはあきれ顔になる。

 「そんな顔をしないでくれよ。トリューニヒトとシトレ元帥の能力を見誤ったのは確実に僕のせいだけど、結果的にはナデシコのみんなが望む形になったんだよ。まあ、怒られることは違いないだろうけどね。でも、これからみんなは歴史的に見ても稀な大遠征に参加するんだ。僕らの力も必要だと思うから邪険には扱わないさ」

 「そんなことは心配していません。そもそも私は慣れ合いなんてものは好きではありませんし、嫌われようがいっこうにかまいません。ですが、せっかく同盟で足場を築きつつあるのに想像もできない大規模な遠征に合流するんですよ。今度こそ”死ぬ”という可能性に疑問を呈さずにはいられません」

 「というと?」

 エリナは、ゆるい顔で問い返してきたアカツキに秀麗な顔を怒りに変えて片眉を吊り上げた。

 「艦長……いえ、あの楽天家娘が半個艦隊とはいえ、地球連合宇宙軍時代には想像もできなかった85万人規模の艦隊を率いるんですよ。戦争規模もテクノロジーも半端じゃない世界で強大な帝国軍相手に生きて帰ってこれる保障なんてあるんでしょうか?」

 「意外だね、君がそんな懸念を言うなんてさ。木星蜥蜴と戦争していたときはナデシコ一隻に乗船していても死ぬなんて考えてもいなかったはずなのにねぇ……」

 バンッ、とエリナはクリスタルテーブルを手のひらで叩いた。

 「当たり前です。ナデシコは古代火星人のテクノロジーを基に木星蜥蜴と互角以上に渡り合える能力がありました。ナデシコ一隻で宇宙軍の100隻に匹敵したでしょう。ですが、この世界では違います。大きさは標準の巡航艦クラスに匹敵するだけ。相転移エンジンとディストーションフィールド、グラビティーブラストがあるという以外、ハードウェア的にはたかだか兵装が他より違うといういち艦艇でしかないんですよ」

 「そんなことはわかっているさ。逆に言えば並行世界とはいえ、1400年経ってもなおナデシコのテクノロジーは劣化していないんだよ。それって凄いと思うけどなぁ」

 アカツキは「並行世界」と言い切った。そう言えるだけの資料は揃えたと言う事だろうか?

 エリナは頷きつつ、自分が抱く懸念をぶつける。

 「それだけ古代火星人の築いたテクノロジーが進歩していたからでしょう。それに、ナデシコ個艦の能力が高くてもこの世界ではそれだけでは通用しません。ナデシコに匹敵するか、それ以上の能力を有する一万隻以上の艦隊戦です。ハードはもとより、ソフト面も重要です。7500隻もの艦艇を率いて戦争できる能力がミスマル・ユリカにあると思いますか?」

 「あるよ」

 とアカツキは即答した。エリナは口をあんぐりと開けている。その反応を楽しむようにロン毛の青年は続けた。

 「地球連合大学主席卒業、木星蜥蜴との戦いでも数多くの功績を立てた美人艦長……1年前のミスマル・ユリカなら可能性は低かっただろうね」


 アカツキの言葉は奇妙な矛盾で表現されていた。

 「功績を立てているのに、一年前ならダメだったとはどういう意味でしょうか?」

 「ああ、言えば君も理解してもらえると思うけど。まず、彼女は確かに優秀さ。大学卒業して初めて軍艦に乗り込んだとは思えないくらいにね。けれど、一つ一つの行動と言動を冷静に見つめた場合、ミスマル・ユリカという天才肌の美人艦長は多くの未熟さを露呈させていたんだ。それは戦術や戦略に及ぶと思う。彼女はシミュレーションでは無敗を誇ったそうだけど仮想世界と現実世界は違う。現実には必ず不確定要素が入り込むからね。思いがけない事態や自分の精神状況、第三者の介入などがそれさ。
 事実、火星の生き残りの人たちを見殺しにすることになったり、隠密作戦で自分の感情を優先させた挙句に不用意な行動をとって作戦を長引かせてしまったり、状況も確認せずに味方に被害を与えたりね。テンカワくんの存在は彼女を勇気づかせたけど、逆に多くの迷走を生んだ」


 例というにはあまりにもアカツキの口調は辛辣すぎた。エリナは彼が何を言わんとしているのかだいたい摑めてきた。

 「ユリカくんはあの性格だからねぇ、なんでも出来てしまうけど、それゆえに視野が狭くなるときがある。ナデシコを指揮していた時も自分の勢いを優先して回りを見ていないことが多かった」

 アカツキは見ていないようで見ていたのだ。彼のしたたかで鋭い分析にエリナは内心で唸った。

 「けれどアスターテで意識が変わった。それが重要だということですか?」

 アカツキは秘書の言葉にうなずき、アスターテがミスマル・ユリカに与えた影響について言及した。

 「あれは岐路だよ。ミスマル・ユリカという個人が次の段階に進むために必要な出来事になった。彼女は本当の意味で挫折を味わったと思うよ。ナデシコ一隻ではどうにもできない状況が存在し、それは自分自身の想像を超えていたという現実だよ。それまでは蚊帳の外なり影なり、自分が目の前に起こる事態を引っ張っていたんだという自負が無意識的にあっただろうからね」

 アカツキはクリスタルテーブルの上で手を組み、切れ長の目を窓の外に注ぐ。その視線は単に景色に向けられたものか、ちがう別の何かに向けられたものかは定かではない。

 「彼女は今までナデシコ個艦だけの世界にあったんだ。それがアスターテの一件でナデシコ視点と自分だけ視点を卒業し、視野を広げるようになったんだよ。表面的にはいつものミスマル・ユリカに見えるかもしれないが、『個の視点』から『群の視点』へ脱皮を果したんだ。それを証明したのがサイオキシン麻薬の摘発事件さ。この世界で大なり小なりもまれて大人びた視点を持つようになった彼女なら大いに期待してもいいと思うんだ。もちろん、みんなにもね」

 ユリカに限らず、ナデシコ乗員の著しい成長をアカツキは感じていた。実際に彼も関わった数々の事件やら出来事、そしてアスターテ会戦、サイオキシン麻薬摘発事件に至るまで、ユリカやみんなの成長は確実に彼自身の目と連絡掲示板の中身に綴られていたのである。

 それらを感じ、読み取ったからこそ、アカツキはユリカが大艦隊を率い、みんなと戦うことができると信じているのだ。

 「僕はこの目で見てみたいのさ、ミスマル・ユリカとナデシコの可能性をね。彼女にとっては本当の意味で実力を試される出兵だからね。強大な帝国軍相手に彼女がいかにして艦隊を指揮統率し、人材を活用するのか今度こそ間近で見る必要があるんだよ」

 「随分とミスマル・ユリカのことを高く買っているんですね」

 「当然さ。エリナくんだって認めているだろ?」

 黒髪の美女は答えない。その沈黙をアカツキは肯定と受け取った。もちろん追及はしない。

 「ナデシコも随分と強化されたみたいだし、ワープエンジンの設計図が手に入る前にエンジンそのものが搭載されたからね。エステバリスの強化も気になるし、僕らが集めた情報をみんなに伝える必要もあるし、久々にホウメイさんの料理も食べたいし、いろんな意味で一旦ナデシコに戻ろうと思うよ」

 エリナは沈黙したままだった。アカツキは素直じゃない彼女に意地悪な作戦を思いついた。

 「君がナデシコに戻りたくないならそれでもかまわないよ。ハイネセンに残って引き続き政治工作してくれると助かるなぁ。トリューニヒトはなかなかエリナくんを気に入っているようだしね」

 すぐに反応があった。エリナは怒った顔をアカツキに向けた。

 「別に戻りたくないわけじゃありません。せっかく地歩を固めつつあるのにこの時期に離れる意味があるのかと疑問に思っただけです」

 トリューニヒトの口説き文句なんか聞きたくない、とはさすがに言わない。アカツキは「ふーん」と素っ気なく呟きつつ内心で笑い、迷っているらしいエリナの背中を押した。

 「今回は帰ることに意味があるんだ。歓迎されるかは別だけど、一度帰らないと僕らも先に進めない気がするんだよね」

 エリナは、何か遠くを見つめるようなアカツキの視線が気になったのか、ズバリ問い返してみた。

 「……ん? ああ、そんなふうに見えたかい。そうだね、いろいろ楽しみなんだ。それまでもいくつか岐路はあったけど、今回の遠征は極めつけだからね。その前の岐路には立ち会うことすらできなかった。実に惜しいことをしたけれど、今回はその機会があるんだ。観客としてより俳優として大舞台に立たないと面白くないんだよ。ヤン提督の言葉じゃないけど、僕は歴史の証人になろうかね」

 自信タップリにアカツキは答えて颯爽と立ち上がり、驚くエリナの視線をものともせずにジャケットを羽織ると、虚をつかれてたたずむ秘書の肩を軽く叩いた。

 「さて、みんなと合流する前に第二のネルガルになる企業へ赴くとしようか」

 アカツキは足取りも軽やかに玄関に向って歩き出した。エリナは二瞬してから我に帰り、素直にもなれる青年を羨ましく感じつつ、その背中を慌てて追っていた。










U

──宇宙暦796年、標準暦8月10日──

 地上55階、地下80階におよぶ壮大な人工建造物を、ミスマル・ユリカは地上車の窓からまぶしく降り注ぐ日差しを気持ちよさそうに浴びながら、半ばはしゃぐように仰ぎ見ていた。

 「すっごいなぁ、これが統合作戦本部ビルかぁ」

 「本当に大きいですねぇ」

 「うむ……」

 同行するプロスペクターとゴート・ホーリーも同感といったところだろう。建物は本部ビルだけではなく、周囲には技術科学本部、後方勤務本部、宇宙防衛管制司令部、首都防衛司令部が整然と配置され、同盟軍の軍事の中枢部を形成しているのだ。その敷地面積も半端ではない。

 しばらくして地上車を降りたユリカ一行を出迎えたのは、感じの良い健康そうな顔つきの男性将官だった。

 「シトレ本部長の次席副官を務めていますアレックス・キャゼルヌです。遠路はるばるお疲れ様でした」

 ユリカは好感のもてる挨拶に笑顔をたたえて返礼した。名前にも記憶があったのだ。

 「ミスマル・ユリカです。わざわざのお出迎え恐縮です。ナデシコ編入の際には大変お世話になりました。こうして直接お礼が言えて嬉しいです」

 「……こちらこそ、ようやくお会いできて光栄です。それにミスマル提督が想像以上の美人で驚きましたよ」

 キャゼルヌの返事がやや遅れたのは、同盟軍服に肢体を包んだユリカの敬礼があまりにも優美でまぶしかったからだった。

 (なかなかいい役得だな)

 などとキャゼルヌは内心でとぼけつつ、黒いスーツ姿のプロスペクターと同盟軍服を着用しても全く違和感のないゴート・ホーリーとも挨拶を交わし、「どうぞこちらへ」と言って3人を本部長室まで案内する。

 「お出迎えが小官一人で申し訳ない。本来ならもっと大勢でミスマル提督を迎えるべきですが、今回の少将の艦隊司令官就任は半ば秘密になっているものでして派手にできません。どうかご容赦ください」

 「いえ、とんでもありません。気を遣っていただいてこちらこそ申し訳ありません」

 じゃあ、お互い様ということで、というキャゼルヌの一言に笑いつつ、正面玄関をくぐったユリカたちは一階ロビーの広さに目を丸くした。大げさかもしれないが、サッカーでも野球でも出来そうなくらいに見えたのだ。ちょうど午後の軍務のピークを迎えようという時間帯であり、かなりの同盟兵士がフロアを行き交っているのだが、それほど多くないと錯覚してしまうほどだった。

 キャゼルヌを先頭にユリカたちは重力エレベーターに乗り込んだ。途中、キャゼルヌにむかって幾人かの兵士がすれ違いに敬礼をしていたが、当然ながら視線の先は次席副官のすぐ後ろに集中した。

 「おい、次席副官殿の後ろを歩く女性は誰だ?」

 「誰って、幕僚の誰かだろ?」

 「あんな美人いたっけ?」

 「さぁ……」

 やや二名ほど存在を軽視される格好になっていたが、キャゼルヌの後ろを歩く見知らぬ麗人に対する感想は、すれちがうどの兵士もほぼ同じだった。

 「ミスマル提督、ハイネンセンまでの旅はどうでした?」

 エレベーターに乗り込んで早々にキャゼルヌが気さくに話かけてきた。口調はなめらかであり、好感のもてる響きだ。雰囲気が温和であることもユリカたちを安心させたが、後日、彼らは良い意味で次席副官殿の毒舌ぶりを知ることになる。

 「ええ、とても快適で愉しい旅でした。数千光年を7日間は悪くありませんでしたよ。新鮮な驚きで一杯でしたから」

 ユリカがにっこり笑うと、キャゼルヌも自然と口元がほころんだ。

 「なるほど。急な就任でハイネセンまでは強行になるので大変かと思いましたが、ミスマル提督にはささいなことだったようですな。通常は10日ほどかかる航程なのですが、見事な艦隊行動です。ますます提督の手腕に期待がかかります」

 キャゼルヌの響きには微塵の嫌味も含まれておらず、さわやかそのものだ。

 「お褒めの言葉をいただき恐縮です。ですが本番はこれからです。ご期待を裏切らないように努力したいと思います」

 ユリカが向ける真剣な眼差しを、キャゼルヌは大きな名声を得た後輩の眼差しと重ねた。そのまんまのほほんとしているように見えて、いざという時にはプロフェッショナルの顔に変化するそれだ。ヤン・ウェンリーも普段は数々の奇蹟を成功させた知将というより、相変わらず無名時代の「ごくつぶしのヤン」といった印象のほうが強い。

 ミスマル・ユリカにも似たような既視感をはっきりとキャゼルヌは抱いた。初見での美しさと凛々しさ、フロアを好奇と興味の目で見回す子供のような無邪気さ、エレベーター内で彼女が見せた優秀さの証でもある真摯な変貌。非公式とはいえ、彼女はしっかりと功績を立てているのである。

 なるほど、シトレ元帥やウランフ提督が高く評価するわけだな……

 キャゼルヌは、シトレからナデシコ乗員の履歴データーを確認したとき、その乗員の大半がE式名であることに奇妙な疑問を抱いた。黙っていると、

 「彼らをあらゆる手段を尽くして自由惑星同盟軍人として正式に登録してもらいたい」

 とシトレより謎に満ちた命令を受け、ためらいつつもナデシコ乗員の疑問を尋ねるに至った。

 そして驚愕することになったのだ。

 「まさか……そんなことが起こりえるなんて…」

 キャゼルヌの反応はもっともであり、銀河を舞台に専制を敷く国家との永い戦争の真っ只中に突如として出現した「異質」の存在を即座に理解できる者などありはしない。

 「今日は4月1日か?」

 などと古いジョークが復活したのかと思わずカレンダーを見てしまったが、もちろんドッキリではなく、シトレがそんな冗談とは無縁であることは誰よりも次席副官が一番承知していることだった。

 そして、シトレが秘密(表面的ではあるが)を打ち明けてくれたことを嬉しく思い、黙々とナデシコ乗員の編入処理にあたったのだった。

 それから数ヶ月が経った。これまでは秘密の漏洩を防ぐ意味もあり、ナデシコ乗員と通信越しでさえ相対することはなかったが、日に日にキャゼルヌの思いも増大していった。

 その思いがつかず離れずを繰り返し、今日、ようやく会える機会が訪れたのである。近づいてくる地上車をそれまでにない心拍数をともなって出迎えた次席副官は、長い髪を夏のそよ風になびかせて颯爽と降り立ったユリカの姿を虹色の既視感を伴って脳裏にとどめることになったのだ。

 「彼女がミスマル・ユリカ提督か……」

 その存在は「極めて異質」ではなかった。遥か過去から時間を超越してきた「女性」には見えなかった。街のショッピング通りで日常的にウィンドウの前で彼や友達とファッションについてやりとりを交わす「容姿端麗な女性の一人」としか映らなかった。ごくごくありふれた日々の中で、ただその時間がキャゼルヌと今まで交差しなかっただけのごく身近な妙齢の美人としか思えなかったのだ。

 それは、ヤン・ウェンリーやダスティー・アッテンボローと出会った時と同じく、とても親しみやすい感覚だった。

 ──心地よい既視感というやつかな?

 キャゼルヌがその胸中を一度閉じたとき、一行は統合作戦本部長室の前に立っていた。

 「アレックス・キャゼルヌです。ミスマル提督と幕僚の方をお連れしました」

 入りたまえ、という声が返ってきた。キャゼルヌはドアを開けてユリカたちを招きいれた。

 「さあ、どうぞ。本部長がお待ちです」










V

 本部長室のドアをくぐった若すぎる女性艦隊司令官を迎えたのは、2メートルにならんとする黒人元帥の威風堂々とした姿だった。

 ユリカは毅然として歩を進め、本部長の前で敬礼した。



 「ミスマル・ユリカです。艦隊司令官の辞令を受け、統合作戦本部に出頭いたしました」

 「うむ、長旅ご苦労だったな。シドニー・シトレだ。はじめましてというべきだろうな」

 面と向って直接は初めてなので「外している」とは言えない。なんとなく芝居かかった挨拶にユリカは内心で笑ってしまった。

 ユリカが同行してきたプロスペクターとゴート・ホーリーを紹介した。今回はウランフ提督との会見とはまったく中身が違うため、選ばれるべくして選ばれた人選である。本来ならユリカ一人が面会するはずだが、シトレはプロスとゴートに対しても礼儀をもって迎えたのだった。

 ユリカが二人を紹介し終えると、シトレはあらためて彼の傍らに控える幕僚を紹介した。そう、部屋にはキャゼルヌの他にもう一人の同盟軍人がいたのだ。

 「統合作戦本部次長ドワイト・グリーンヒルです」

 英国紳士風の端正な容姿と落ち着いた雰囲気の高級将官だった。階級章から「大将」であることがすぐにわかった。ユリカが敬礼するとグリーンヒル大将は物腰も柔らかく返礼してきた。キャゼルヌと同じくとても好感の持てる人だと彼らは感じていたが、その逆に凄い場所にいるのだと背筋を急に正した。

 つまり、本部長室にはユリカたちナデシコに直接関わっている同盟軍の中枢が3名も勢揃いしているのである。しかも同盟軍を背負う強大な宇宙艦隊を統べる面子である。ユリカたちの背筋が自然と正されるのも無理のないことであろう。その緊張感が心地よいことも初の女性艦隊司令官を不思議な気分にさせていた。

 ユリカとシトレの間で二、三のやりとりが交わされると、彼女は正式な辞令書と少将の階級章、艦隊司令官を示すオレンジ色のリボンに「宇宙艦隊のロゴマーク」をあしらったバッジを受け取った。

 シトレが尋ねた。

 「ところで今回は同盟の軍服を着用しているようだが、なぜかね?」

 意外な質問だが確かにその通りである。ユリカは一瞬きょとんとしたが、それをすぐに戻して理由を口にした。

 「目立つのは極力控えろってみんなに言われまして……こちらに滞在中は同盟さんの軍服で過ごすことになりそうです」

 「なるほど、気を遣ってもらって悪いな。しかしよく似合っているぞ、ミスマル提督」

 「えへへへ、ありがとうございまーす! みんなにもそう言われましたぁ」

 ハッとしてユリカは思わず口を手で押さえた。素が出てしまったのである。シトレはある程度経験済みのはずだが、やはり直接だと効果は大きいらしい。虚を突かれた顔をしている。

 「情報どおり、ミスマル提督は実に明るくてユーモアにあふれた性格のようですな」

 キャゼルヌがすかさずフォローした。プロスも感心するほどの絶妙なタイミングだった。つられてシトレもグリーンヒルも笑った。一方は納得し、一方は苦笑いだろう。ただ、今の思いがけないやり取りは双方の緊張をだいぶ緩和したようである。

 「ならばそれ以外はあのナデシコの白い制服で指揮を執るということだな?」

 「ええ、そうですが、何か問題でも? 目立ちすぎですか?」

 シトレは、穏かに首を横に振った。

 「いや、そうではない。実は貴官にささやかだが艦隊司令官の就任祝いをこちらで用意したのだよ」

 ユリカの顔がパッと明るくなった。

 「うわあ、ありがとうございます! それでそれで何をいただけるのでしょうか?」

 ユリカは、ハッとして恥ずかしそうに頭をかく。その恥らう姿に通常の男どもなら魅了されてしまうかもしれないが、シトレらは頬を緩めただけで泰然としたものだった。もっとも同年の娘をもつグリーンヒル大将はもう少し思うところがあったようだが……

 シトレがキャゼルヌに合図を送ると次席副官は一旦隣室に姿を消し、次に現れたときには手に黒っぽい何かを持っていた。

 シトレが告げた。

 「貴官の白い制服に合わせて作った特別なベレー帽だ。気に入ってもらえると嬉しいのだが」

 ユリカは、ベレー帽をキャゼルヌから受け取った。黒地のよい生地を使っていることは感触でわかった。何よりも彼女の目を輝かせたのは標準のベレー帽とは異なるバッジのデザインだった。自由惑星同盟を示す金色の五芒星の形は同じだが、ナデシコを象徴する花びらのマークがクロスするようにデザインされていたのだ。

 素敵なプレゼントだった。

 「ありがとうございます。ささやかだなんてとんでもない、とってもとっても嬉しいです!」

 ユリカは破顔して心からお礼を述べ、その場で真新しい黒地のベレー帽を艶やかな頭髪に乗せ、ファッションモデルのようにくるりと回る。

 「どうでしょうか?」

 その場の男連中の顔が感嘆という文字を形成した。

 「申し分なくお似合いだよ、ミスマル提督」

 「作った甲斐がありましたね」

 「じつによいですなぁ」

 「少将、ナデシコに戻ってからのみんなの反応が楽しみですな」

 「うむ」

 ユリカが満面の笑みを浮かべた直後、シトレのTV電話が鳴った。

 「シトレだが……そうか、ならば通してくれ」

 短いやり取りが終わると本部長はユリカに顔を向ける。少し楽しむように笑っている表情が彼女には妙に感じられた。

 「ふむ、じつにタイミングがよい。ミスマル提督、貴官に副艦隊司令官とナデシコに乗船することになる参謀と副官を紹介しよう。さあ、入りたまえ」

 ユリカたちが心構えを成立させる前にドアが開いた。

 「えっ!?」

 ユリカたちは大きな喜びと驚きをもって3名の新たな仲間と対面を果したのだった。










W

 ミスマル・ユリカは本部長室退出後、彼女の当面のオフィスとなる第14艦隊司令部で新たな幕僚たちと今後の予定などを話し合った。それが一段落すると艦隊再編作業中の副艦隊司令官を除き、直接ナデシコに乗船することになる副官と艦隊参謀をともなって統合作戦本部ビルを辞した一行は、その正面玄関の前で思いがけない人物2名と再会した。

 「少将殿、お元気そうで何よりです。まずは艦隊司令官就任おめでとうございます」

 「おめでとうございます」

 アカツキ・ナガレとエリナ・キンジョウ・ウォンだった。ロン毛の青年の祝辞はわざとらしくもあり、演技でもあり、まったく悪びれていない。傍らに控えるエリナも泰然としたものだった。

 「会長……」

 その先を怒りを込めて言いかけ、ゴート・ホーリーはユリカの発言で制止される。アカツキは同盟軍服姿のユリカに内心で唸りつつ、正面に立った美人少将の言葉を待った。

 「おかえりなさいアカツキさん、エリナさん」

 2人は、笑顔で意表を突く言葉を掛けられて戸惑った表情を見せたが、「ミスマル・ユリカらしい」という感想とともに彼らの「上官」に敬礼した。

 「アカツキ・ナガレ、エリナ・キンジョウ・ウォン、任務を終え、ナデシコに合流するために参上いたしました」

 ロン毛の青年の上手い言いぐさにプロスもゴートも舌打ちを禁じえなかったが、ユリカが
「任務ご苦労様です」と言うと、彼女に倣って敬礼するしかなかった。




 ユリカは、怪訝そうにする副官と参謀長にアカツキとエリナを紹介し、一行がナデシコの停泊する第14艦隊宇宙ステーションに帰還したのは18時20分だった。

 シャトル発着所に集合していたのは新メンバー歓迎のためにクラッカーを持ったナデシコ乗員だった。ユリカに同行したプロスペクターとゴートを除く全員である。

 シャトルが到着し、乗降用ハッチからまずユリカがみんなに手を振って出てくるのは毎度のことだった。が、次に姿を現した人物に大半のクルーたちは心臓を止めてしまいそうになった。

 「ガイ?」

 「ツクモ……さん?」

 「お兄ちゃん?」

 アキト、ミナト、ユキナの反応が特に感慨深くなるのは仕方のないことだった。クセのあるやや長めの頭髪、端正で引き締まった眉目…故人と同じくらいの長身……

 中佐の階級章を襟に付けた同盟軍人は降り注がれる視線に戸惑いを隠さない。

 「……はあ、みなさんよく小官の名前をご存知ですね」

 と呟いてからユリカに小声で話しかけた。

 「ミスマル提督、小官の名前をみなさんに連絡したのでしょうか?」

 「いいえ」

 ユリカは首を横に振り、2人の故人の雰囲気を併せ持つ参謀長にそっと言葉を向けた。

 「先ほど話しましたよね? 中佐は私たちの仲間だった人たちととても似ているのです」

 「なんとも奇妙な感覚ですね……」

 新しい参謀長は居並ぶナデシコクルーの前に歩を進め、足をそろえて凛々しく敬礼した。

 「このたび第14艦隊参謀長を拝命し、ナデシコにお世話になることになりましたガイ・ツクモです。至らない点もあるかと思いますが、全力でミスマル提督をサポートいたします。どうぞよろしく」

 アキトたちは、中佐の出来すぎともいえる名前に再び驚いた。「そんなバカな」と言いたげである。だが、メリハリの利いた口調はシラトリ・ツクモを連想させる。一同は駆逐艦の艦長として出会ったムネタケ・アキサダ少佐と同じように「奇蹟が起こっているんだ」と心から信じ、より感慨を増すこととなった。



◆◆

 シトレ元帥から第14艦隊の参謀人選を請け負ったアレックス・キャゼルヌは、このことを第5艦隊司令官ビュコック中将と10艦隊司令官ウランフ中将に告げて協力を仰ぎ、その過程でウランフ、チェンの推挙を受けたツクモ中佐が最終的に選出されたのである。

 ……実のところは人選の話を聞きつけたツクモ中佐が自分から立候補したのだ。

 「優秀で信頼にたりる人物」

 という条件は満たしていたので申し分なかったが、立候補した理由をウランフから尋ねられた彼は自分でも不思議そうに答えたという。

 「彼らと初めて会った気がしなくて……」

 ウランフはナデシコを訪問した際、ヤマダ・ジロウとシラトリ・ツクモの話を聞き、その遺影も目にしていたのでツクモ中佐の既視感をまじめに汲み取った。

 そして選出されるべくしてガイ・ツクモ中佐は第14艦隊の参謀に就任したのだった。

 もっともクルーが笑ってしまったのは、容姿はヤマダ・ジロウに近い中佐が「艦隊参謀」という肩書きであることだった。そのまんま「ガイ」だったら参謀など間違い人事の極みである。そもそも厳格で秩序を重んじる軍隊内でヤマダのような性格がやっていけるはずがない。その反面、生真面目な視線をクルーに注ぐ「ガイ」という名前を冠する士官に大いなるギャップを感じてしまうのだが、参謀という役職を考えると「ツクモ」という姓属性が相応しいと納得できるのである。

 「ようこそガイ……ツクモ中佐。どうぞよろしく」

 気さくに差し出されたアキトの右手がどれほどの思いが込められたものか、たぶん中佐はわからなかっただろう。それでもミナト、ユキナと続けて握手を交わし、ユリカの言葉を思い出して故人を偲ばずにはいられなかった。

 再び「わあ」という歓声が上がり、ツクモ中佐の周りには人だかりが出来ていた。突然のことに戸惑った彼だったが、一人一人が向けてくる言葉に笑顔を踏まえつつ丁寧に答えていた。


 そのやや後方にはツクモ中佐の登場があまりにも強烈だったため、その存在を忘れかけられそうなもう一人の同盟士官が立っていた。

 ユリカの副官を拝命したスーン・スールズカリッター大尉である。背格好も容姿もしごく尋常な26歳の同盟軍人であり、大過なく任務をこなす能力の持ち主だった。

 ただ、しばし彼は同僚たちから笑い話のネタにされることが多かった。「スールズカリッター」という先祖譲りの妙な姓についてである。

 そのつづりも複雑であり「SOULZZCURITTER」と示されても、どこでどうアクセントを付けてどう発音するのかと問われる始末だった。

 「あのう、スーン・スール大尉」

 その呼称が自分に向けられたものだと知った珍姓の大尉は、やや新鮮な驚きとともに初の女性艦隊司令官に振り向いた。

 「すみません。中佐が亡くなった仲間に似ているのでみんなはしゃぎすぎてしまって……」

 ユリカが謝った内容とは違う返答を大尉はした。

 「今、なんとおっしゃいましたか?」

 「え? いえ、みんなはしゃぎすぎてすみませんと……」

 「いえ、小官のことをなんと呼んだのでしょうか?」

 ユリカは、あまりにも自分に注がれた視線が真剣だったため、新任の副官が気分を害したのではと考えた。

 「す、すみません。誰だってご自分の名前を勝手に短くされたら怒りますよね。ご気分を悪くしたのなら深く謝罪します」

 ユリカは頭を下げた。アスターテ以降、KY思考が影を潜めつつある。もとい、上下関係の厳しい軍隊内にあって彼女の態度は異例といえる。

 このとき、スールズカリッター大尉の関心は美しい艦隊司令官の低姿勢ではなく、彼女が何気なく口にした彼の姓名だった。

 「ええと、ちょっと言いにくかったので私なりに考えて言い易くしてしまったんですが……不快な思いをさせて申し訳ありません。どうか気を悪くしないでください。次からはめんどくさがらずにフルネームでお呼びします」

 「いえ、怒っているわけではないのですが……」

 「えっ?」

 副官は首を傾けるユリカにさらにフォローの言葉を向け、内心で「スーン・スール」という響きに衝撃にも似た喜びを感じていた。

 それもそのはずで、

 「あいつの父親候補は3人いて、だれが本当の父親かわからないから3人の姓をまとめてくっつけて名乗っているんだぜ」

 などという性質の悪い笑い話にうんざりしていたのだ。

 後日、大尉はユリカの何気ない呼称を正式に姓名にしてしまう。だが、「スーン・スールズカリッター大尉」が「スーン・スール少佐」に脱皮を果すのは帝国領侵攻作戦後のことである。


 「みなさーん、聞いてください!」

 ユリカは、よく通る声量で喧騒に沸き返るナデシコクルーの注意を向けさせることに成功し、頬を赤くする副官をようやくみんなに紹介した。悪いことをしたと反省したのか、ナデシコのみんなはツクモ中佐以上の歓迎の意思を表し、用意されたパーティー会場へ2人の士官の背中を強く押したのだった。










X

 統合作戦本部長室のドアが開き、3名の同盟軍人が入室すると、その一人にユリカたちの驚きが交差した。どこからどう見ても中佐の階級章を付けた士官は殉職したヤマダ・ジロウと、または地球連合政府と木連との和平に奔走し志半ばで暗殺されたシラトリ・ツクモに雰囲気が似すぎていたのだ。

 ユリカ、プロス、ゴートが呆然としていると、3名のうち灰色の頭髪と鼻から下を同色の髭に覆われた見た目60代前後の巨漢の軍人がユリカに向って敬礼した。

 「ミスマル提督、久しいな」

 そのしゃがれた低い声にユリカは聞き覚えがあった。

 「もしかしてラルフ・カールセンさん?」

 豪胆で知られる偉丈夫は髭に覆われた口元をほころばせて頷いた。

 「憶えていてくれて光栄だ。宇宙海賊討伐の際は大変世話になった。少将のおかげであの宙域は安心して通行可能になり、商船や民間船は大いに喜んでいたよ」

 ユリカは、協力してくれた第7辺境惑星守備隊司令官に敬意を込めて挨拶した。

 「いえ、こちらこそ大変お世話になりました。カールセンさんが私たちの情報を信じ、迅速に行動してくれたおかげです」

 カールセンは目元を引き締めて返礼し、他の2名の士官とともにシトレに向って再敬礼した。

 「ミスマル提督、もうわかったとは思うが第14艦隊副司令官のラルフ・カールセン准将だ」

 ニヤリと笑うシトレの顔をユリカは見逃さなかった。本部長の「楽しみにしているんだな」という言葉の意味をようやく理解したものの、「やっぱりこの人には敵わないなぁ」と内心で肩をすくめていた。

 シトレは、ユリカが艦隊司令官を承諾するにあたり、ナデシコの艦橋人員やその構成、ルリの役割を踏まえ、最低でも副官と参謀は必要であると判断した。彼は副官の人選をキャゼルヌに任せ副艦隊司令官は自らが選ぶことにした。その人物のページはすでにめくられていたのである。士官学校を卒業していないために不遇をかこっていたラルフ・カールセン准将だった。60も目前という実績も人望もあるたたき上げの偉丈夫を副艦隊司令官に据えることでユリカの経験不足と名声の弱さからくる指揮統率を補おうとしたのである。カールセンがユリカらと接触していたのも人選を決定させた。

 第7辺境惑星守備隊旗艦「ディオメデス」の艦橋で直通通信越しに「要請」を受けたカールセンは一切の感情を表に出さず、一言「承知いたしました」とだけ答えて急遽ハイネセンに帰還して出征の準備を始めたのだった。

 カールセンは口に出さなかったが、内心では副艦隊司令官就任をかなり喜んでいた。艦隊司令官ではないものの、正規軍を率いてようやく前線に立てるのである。功績の内容によっては一個艦隊司令官としての道も開ける。なによりもユリカに貸しを返せるとふんだのだ。

 長い下積みを経たといえるカールセンほどの人物でなければ、とても20代の……しかも女性艦隊司令官の下に甘んじることなど潔しとしなかったに違いない。ユリカとカールセン両者にとってよい方向に働いたのは、「宇宙海賊討伐」という事件を通して2人の間に見えざる信頼感が芽生えていたからであろう。

 この事件がなければ第14艦隊の運用が上手く機能したかどうかは微妙だったに違いない。


 ユリカは、二、三の短いやり取りをカールセンと交わし終えると、次に故人に似すぎている青年士官の敬礼を受けた。それは偶然ではあったが、実は接点があったのである。艦隊参謀として紹介されたガイ・ツクモ中佐の名前に再び驚きつつ、彼の口から語られた「出会い」をユリカは思い出した。

 そうあの時、ウランフとの会見の際、ユリカたちにおいしいコーヒーを運んできてくれた
「コーヒー道楽の士官」とはツクモ中佐だったのだ。まさか会見に集中していて「顔は見ていませんでした」などとはとても言えないので、「おいしいコーヒーをご馳走様でした」とお礼を言ってにこやかに微笑んでごまかした。

 そんな泣きたくなるような事実があったとはつゆ知らず、ツクモ中佐は「どういたしまして」と答え、ユリカの笑顔に終始だまされたままだった。

 次に紹介されたのはビュコックに推挙された珍妙な姓名で有名なスーン・スールズカリッター大尉だった。後方での勤務が多いがビュコックの副官を務めるファイフェル少佐の補佐を務め、実務にも経験豊富な26歳の堅実で信頼の置ける男に白羽の矢が舞い降りたのである。

 初の女性艦隊司令官に敬礼する姿勢も表情も一片の悪意がなく、ユリカは大いに好感を持つことになった。


 一通り紹介が済むと、シトレが両手を組んだまま口を開いた。

 「これで司令部の陣容は整ったといえるだろう。貴官たちはミスマル提督をよく補佐し、今回の遠征を成功に導くために尽力してほしい」

 シトレはそう激励した。今、彼がミスマル・ユリカしてやれる最大限の人事だった。

 元帥の提案とはラルフ・カールセンを除く副官と参謀長を幕僚としてナデシコに乗船させることだった。最初ユリカは懸念を表明したが、「信頼できる士官を厳選する」というシトレを信じて了承した。現実問題として数千隻の艦隊を率いることになるユリカには彼女を補佐し、戦闘における助言をしてくれる人材が必要不可欠なのだ。それをナデシコクルーの誰かに求めてもいいはずだが、ジュンとゴートを除けば専門的な知識と訓練を受けた人材は存在しない。能力だけなら副官はエリナ、参謀はプロスペクターに期待してもよいが、エリナはそのときナデシコにおらず、プロスペクター個人の能力は問題ないとしても、両者はともに専門的な軍事知識を学んでおらず、同盟の軍事組織に精通しているわけではなかった。

 しかも、ここは連合宇宙軍の存在しないはるか未来? の世界であり、今回の出征はかつてないほどの規模を誇り、艦隊司令官就任は急すぎた。短い期間で確実に準備を整え、遠征で足手まといならないためには同盟の組織に精通した専門の人材が必要であるのは議論の余地がない。

 以上のような理由を踏まえ、ユリカはシトレの提案を受け入れ、ナデシコクルーにこの事を伝えて理解を取り付けたのだった。










Y

 パーティー会場になったナデシコ食堂は陽気な喧騒と寛容な歓迎ムードに包まれていた。厨房ではホウメイやホウメイガールズ、アキトがひっきりなしに調理を続け、食堂に集った223名の食欲を満たすために大忙しである。さすがに酒類は禁止されているので各乗員たちはここぞとばかりに思い思いのメニューを頼んで食べることにいそしんでいた。   

 少し離れた急ごしらえのステージの上ではマキ・イズミがウクレレを弾きながらかれこれ一時間ほどしょうもない詩を歌い続けている。中央のテーブルに目を向ければツクモ中佐がアルコールの入っていないシャンパンを片手にミナトとユキナに囲まれ、戸惑うような楽しむような顔で雑談している。その二つ隣のテーブルではスールズカリッター大尉が知己であるというタカスギ少尉と会話を弾ませており、ナデシコ乗船の先輩にいろいろ尋ねているようだった。

 めでたく? 合流したアカツキとエリナもパーティーに参加している。歓迎の席でアカツキの行動をとがめるわけにもいかず、なによりもユリカがアカツキを問い詰めるようなことはせず、穏やかに釘を刺しただけで終わりにしてしまったのだ。ユリカらしいといえばユリカらしく、しかしそれゆえにプロスペクターは懸念を訴えたものの、「出征の前にあんまりことを大げさにしたくありません」とユリカに諭され、以後表面的には口に出すことはしなくなった。

 もしこうなることを予測して現時点で合流をしてきたのなら、やはりアカツキ・ナガレは油断のならない男だろう。アカツキの中でいかほどが予測の範囲に納まったかどうかはプロスにも読むことは出来なかったが、優秀な後見人タイプの男がロン毛の青年の行動により注意を払うようになったのは言うまでもない。


 ユリカは、食堂のカウンター近くで進行するパーティーの光景を楽しそうに眺めていた。片手にはオレンジジュースが半分ほど減ったグラスが握られており、タカスギ少尉同様、ナデシコのみんなが新しい仲間をすんなり受け入れてくれたことにほっと胸を撫で下ろしていた。

 「ねえ、少将……」

 傍らからの声はホシノ・ルリだった。その頭髪の頂にはユリカがシトレから贈られた黒地のベレー帽が載せられており、ついさっきまでみんなから「ちょうー似合ってるぅ!かわいいかわいい」を連発されていた。

 「うん、なにかなルリちゃん?」

 ナデシコの美少女オペレーターは食堂をぐるりと見渡した。

 「なんかまた賑やかになりましたね」

 ルリ以外が言えばそれほど感情を刺激されない台詞だが、ユリカはナデシコの仲間と日々触れ合うことで精神的な成長が著しい少女の言葉の重みを理解していた。

 「いいんじゃないかなぁ。仲間が増えて、友達になって、みんなと楽しく過ごせた方がいいよ。私、最初はナデシコのみんな以外の人を乗せるのは不安だったんだけど、今はそう思わないよ」

 「どうしてですか?」

 ユリカはルリの問いに頭をかいた。

 「うーん、感覚的なものではっきりと言えないけど、なんか人とのつながりって循環が必要なのよねぇ」

 ちょっとわかりづらそうにルリは小首を傾けた。

 「えーとね、私たちがこれまでやってこれたのは外部の人との関わりがあったからだと思うんだ。その最初はウランフ提督だった。同盟にお世話になってからはマクスウェル少将だし、シトレ元帥でしょ。アスターテではラップ少佐が私たちの背中を押したし、ちょっと停滞気味だった人間関係を新鮮にしてくれたのはタカスギ少尉だった……」

 言葉を切ったユリカの横顔をルリは仰ぎ見ていた。楽天家で一方通行で失敗もある22歳の少将閣下。

 でもいざという時は誰よりもその本質を見抜き、的確に指示を飛ばす凄い女性だった。

 「私はこの人に追いつけるのだろうか?」

 ルリはそんなことを思いながら、尊敬する少将の言葉を待った。ユリカはパーティーで盛り上がる光景を眺めたまま桜色の唇を動かした。

 「一つ一つの岐路に必ず新しい誰かが存在していることに気がついたんだよね。だから私はシトレ元帥の提案を受け入れたんだと思う。これって無意識の理由かな? 実際、ツクモ中佐とスール大尉はまた新しい風をナデシコに呼び込んだもの」

 新しい風!

 ルリにはその響きがいつまでも耳に残った。まぶたを閉じて食堂に吹く風を感じてみる。みんなの心が躍っている。みんなの気持ちが一つになっている。笑い声が絶えず、不安という要素は一切感じられない。

 ふと、少女の身体に爽快な風が吹き抜けた。

 ハッとして目を開けると、ちょうど視線の先にはついにたまりかねたのかリョーコがイズミをステージからひきずり下ろしているところだった。

 (えぇっ、そんな風?)

 ルリが若干引き気味にしていると、まとわりつくような天然な声がした。

 「ねえねえ少将殿、一曲歌ってくださーい!」

 ヒカルが手招きして依頼している。片手にはマイクが握られており。ユリカが何も答えないうちに彼女たちの司令官が一曲歌うとアナウンスした。

 「えー、ヒカルさん、それはちょっと……」

 「まあまあ、ここは一つ我らがアイドル提督に歌ってもらって中佐たちの歓迎を盛り上げちゃいましょう。ねえ、みんなもそう思うよね?」

 すばやくヒカルが周囲から同意を求めると、すぐにウリバタケやサブロウタが反応し、ミスマルコールがたちまち連鎖の如く沸き起こった。プロスペクターとゴートもユリカを導くように両手をステージに向けている。

 「ちょ……」

 珍しく渋い顔をしたユリカだが、すぐ傍らから思いがけない申し出があった。

 「少将、私と一緒に歌いませんか?」

 「えっ? ルリちゃんも歌ってくれるの」

 「はい、ダメですか?」

 「ぜんっぜん、全くダメじゃないよ……う、うん、よし! 2人で歌っちゃおう!」

 ユリカとルリが手を挙げて歌うことを告げるとまたまた歓声が上がり、ステージの前にどっと観客が押し寄せる。ツクモ中佐とスールズカリッタータ大尉もミナトやユキナに促されてステージの前に立った。ホウメイやアキト、ホウメイガールズたちもちょっと手を休めて厨房から顔を出す。

 マイクを片手にユリカとルリはヒソヒソと歌う曲を相談した。

 「どうするルリちゃん?」

 「少将の十八番でいいと思います。私もあれは好きです」

 「よっし、じゃあ『私らしく』でいこう!」



 ──宇宙暦796年、標準暦8月10日、22時06分──


 新しい仲間を歓迎するパーティーは、当初の時間と目的を超えつつ深夜にまで及ぼうとしていた。生死に関わる重大な出征を前にしてもナデシコクルーはやはりナデシコクルーであり、かつてない規模の戦いが迫り来ようとも後ろ向きにならず、今の時間を大いに楽しんで鋭気を養っていた。

 明日はついに運命の作戦会議……

 ヤン・ウェンリーとの対面もまた近づいていたのである。




 ……TO BE CONTINUED

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 あとがき

 空乃涼です。五章の二話目をお届けします。この後の三話目を途中まで進めようかと思っていたら、見事にリアル事情に阻まれて手付かずです(汗

 それから同盟艦艇と比較したナデシコの大きさをこの話から改訂しています。
「標準の巡航艦に匹敵」とさせていただいています。 なぜなら、この話を書いている途中に、「ほぼ公式設定と思われる駆逐艦のデーター」を思わぬところから入手することが出来たためです。(それまでは資料によってあいまいだった)

 なので、それ以前の比較話の内容をまた修正する必要があります。そこはぼちぼち訂正していく予定です。

 今回の話ではシトレ元帥の提案の中身が明かされました。文中の人事となった訳ですが、いかがでしょうか? この三名はけっこう前から考えていました。途中から変更もなくすんなりと納まってよかったです。

 また、ユリカがいきなり銀河の歴史を変えましたw 変えられちゃった方の運命がどうなるか、今から作者の悩みどころです(マテw

 前回はたくさんのメッセージと感想掲示板への書き込みをありがとうございます。
今回もご意見、ご感想をお待ちしています。艦隊章のデザイン案もたくさんありがとうございました。まだ、時間がありますので引き続き案を募集中です。


 次回はいよいよ作戦会議です。さて……

 2009年5月12 ──涼──


 (以下、修正履歴)

 新章突入にあたり、追記および誤字修正をいたしました。
 末尾に長短編連載Aを追加しました。

 2009年9月20日──涼──


 微妙に修正を加えました(汗
 2009年11月15日


 ユリカの挿絵を描き直しました。あと文章も見直し、誤字脱字を修正。

 2010年10月3日
──涼──


 最終の修正を行いました。末尾IF短編は削除しました。
 
 2011年6月21日 ──涼──


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 ボツタイトル一覧

 以下は四章までの「ボツタイトル一覧」です。メモとかに残っていた分と記憶にあった分だけです。SSを書くのもそうですが、タイトルも頭を悩ませるんですよねー

 序章 第一案 「始まりのボソンジャンプ」
 序章 第二案 「遥かな時を越えて」


 第一章 第一案 「私たちらしくあるために」 (前編・中編・後編)
 第一章 第二案 「私たちらしくでいこう!」  (前編・中編・後編)
 第一章 第三案 「一つの戦い、二つの遭遇、私たちの選択」 (前編・中編・後編)

 第二章 前編 「時間と歴史を巡る考察」
 第二章 中編 ──変更なし──
 第二章 後編第一案 「やっぱり並行世界? 驚きの出会い」
 第二章 後編第二案 「懐かしき人に出会うとき」

 第三章 前編第一案 「誘うという名の危険な香り」
 第三章 前編第二案 「新しい日常へ!」
 第三章 後編第一案 「戦う理由を求めて」
 第三章 後編第二案 「戦う理由を求めて/ナデシコ出撃!」

 第四章 前編第一案 「私たちは振り返らない/アスターテ会戦」
 第四章 前編第二案 「私たちが変わる瞬間へ/アスターテ会戦」

 第四章 中編その一・第一案 「アスターテの衝撃」
 第四章 中編その二・第一案 「幸運のない戦場/アスターテに散りゆく友情」
 第四章 中編その三・第一案 「集う未来の恒星たち/予兆は訪れる」

 第四章 後編その一・第一案 「イゼルローン攻略/舞台へ!」
 第四章 後編其の二・第一案 「嵐の中の穏かな日々」
 第四章 後編其の三・第一案 「その扉の向こうへ」
 第四章 後編其の三・第二案 「ささやかな熱めのプレゼント/決断の時」
 第四章 後編其の四 ──変更なし──

 以上です。細かいものだともっとあったと思うのですが、当然覚えていません。タイトルって難しい……
 基本的に大体のあらすじを書いたときに仮の表題をつけるのですが、書いていく過程で変更になってしまうことがよくありました。最終的にはSSを仕上げた時点で内容に合ったものを再考します。

 ふう……てな感じですw

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◇◇◇◇◇◇◇◇メッセージ返信コーナー◇◇◇◇◇◇◇◇

 まいど遅くなって申しわけありません。頂いたメッセージの返信です。



 ◆◆2009年4月6日(12時20分)


 ほ〜〜艦隊司令官就任ですか^^これからの活躍に期待ですねw

>>>これしかない! という結論(妄想)に至りました(汗  ユリカやアキトたちの戦いに注目していてください

 (22時8分)

 あ、あれ〜…3週間程見ていなかったら四章完結している上に感想ご指名で期待されてる(笑) 年度末or期初めor家庭サービスで読んでいる暇が無いです。GWまで待ってくだせぇお代官様orz

>>>GW中は読んでいただけたでしょうか? なにかとお忙しいようですね。時間が空きましたら感想くださいねw

 (23時21分)

 銀英伝は大好きな作品です。ナデシコと関わる事で、どう話の展開が変わってくるのか毎回楽しみにしています。

>>>ありがとうございます。銀河に突如と出現した「異質」たち。彼らが激闘を繰り広げる銀河の歴史をどれだけ変えることが出来るのか、ぜひ応援よろしくおねがいします。

 (23時24分)

 さあ、前哨戦である帝国軍の焦土作戦をどう料理するのか楽しみです。期待してますよ!

>>>ひ、ひえー!! 料理できるかなぁorz と、とりあえず任せとけ


 2009年4月7日(8時55分)

 いよいよナデシコが前線に行くことになりましたね。綿密な行動を立てて行動するヤンや、ラインハルトにとってユリカは奇抜な戦術で相手を翻弄するタイプなので帝国側から見れば非常に厄介な相手になりそうですね。

>>>ユリカがどれだけ艦隊を統率できるのか、艦隊戦術を自分のものに出来るのか、それにも影響されそうですね。ユリカは化ければ相当な用兵家になれるはずですからね。

 (16時46分)

 銀英とナデシコ、ある意味両極端(片や熱血お笑い時々涙と片や遠い未来のif)の合作いいですねぇ。今後も期待します。

>>>ありがとうございます。このクロスで本当によかったと思えるようにがんばりたいです。応援よろしくです!

 2009年 4月11日 (11時55分)

 更新お疲れ様です。ナデシコはデザイン的に絶対周りから浮いて目立つからなぁ。マークは地味めでも…

>>>優美さにおいてはブリュンヒルトに遠く及びませんが、形と色は目立ちまくりですからねw 艦隊章は誠意ご意見を基に思案中です。 

 2009年5月3日(16時27分)
 

 黒旗軍(BFF)が国旗軍になってますよ

>>>う、うわぁぁぁぁぁぁ…… なんてこった! 見直したはずなのに思いっきり誤表記のままでした。ご指摘ありがとうございます。 ちょっと落ち着いたら修正します。


 ◆◆艦隊章に対するご意見がWEB拍手にありましたが、そちらは「艦隊章案」ということで、こちらに「返信」という形で記載はしていません。雑談掲示板にあるレス扱いにさせていただきました。


 以上です。今回の話にもぜひメッセージや感想掲示板の書き込みをお待ちしています。

◇◇◇◇◇◇◇◇メッセージ返信コーナー◇◇◇◇◇◇◇◇

 

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