ラインハルトが見つめるメインスクリーンには、同盟軍二個艦隊の光群が帝国軍の左翼方向に向って突進する光景が映っていた。そこはつい先刻まで防御網の薄い部分だったが、ラインハルトは同盟軍の動きをすばやく察知し、キルヒアイスとワーレン艦隊を使って重厚な防御陣を築こうとしていた。

 「よし、今度こそヤン・ウェンリーの命運も尽きたぞ」

  しかし、直属のオペレーターが不安そうな声を上げた。

 「敵艦隊の先頭集団に高密度の重力反応を確認!」

 「なに?」

 勝利を確信していたラインハルトの蒼氷色の瞳が信じられない光景を目撃した。

 刹那の間に同盟軍先頭集団から放たれた雷撃のような光跡が帝国軍左翼の一部を丸々包み込み、発光とともにそれが消え去ったとき、そこには何も存在していなかったのだ。

 「な……」
 
 未知の攻撃に恐れを抱いたのか帝国軍の陣形が乱れた。

 「何をしている! ひるむな!」

 ラインハルトは一喝したが、同盟軍は速度を緩めることなくほころびの生じた防御網に集中砲火を浴びせ、帝国軍に立ち直りを与えない。

 続けて第二斉射が放たれた。巨大なエネルギーの円が帝国軍艦艇を広範囲に包み込み、それが消え去った瞬間、やはり艦艇はそこだけ跡形もなく消え去っていた。同盟軍艦隊はぽっかりと空いた防御網に突進し、ついに帝国軍の重包囲を突破してしまう。

 「くっ……何が起こったというのだ!」

 金髪の元帥は不本意な怒りに身を震わせつつ、遠ざかる同盟軍艦隊の光群を見送っていた。








闇が深くなる夜明けの前に

機動戦艦ナデシコ×銀河英雄伝説




第七章(前編)

『もう一つの英雄伝説/そして──』








T


 ラインハルトは、ブリュンヒルトに帰投した提督たちの労をねぎらっていた。

 「卿らの戦い見事である」

 提督たちは敬礼し、豪奢な金髪を有する元帥に感謝の意を表明する。その直後、艦橋にキルヒアイスが姿を現し、提督たちは自然と道を作った。

 ラインハルトは一段高い指揮フロアから降り、自ら親友を出迎えて固く握手を交わし、一度だけ肩をぽんと軽く叩く。会話はなかったが、二人にはそれで充分だったのだ。

 しかし、にわかに艦橋の空気が重く変化した。オレンジ色の頭髪を有する猛将が悄然とした姿で来訪したのだ。ラインハルトの表情が厳しさを増し、若すぎる元帥は再び指揮フロアに立った。

 ビッテンフェルトは、ラインハルトの前で立ち止まると無言のまま片膝をつき、頭を深々と下げる。集う提督たちの間に重い沈黙が流れた。

 蒼氷色の瞳が猛将を冷たく俯瞰した。少なくともこの直後までは──である。

 「ビッテンフェルト提督」

 「はっ」

 猛将の声は低く、張りが欠けている。

 「卿は味方を救援するも功を焦って猪突し、多くのいらぬ犠牲を払った。なにか異義はあるか」

 「ございません……」

 ビッテンフェルトの声は戦場の只中にある豪快不遜さとは程遠く、とても弱々しかった。メックリンガー艦隊を援護するために同盟軍に突撃をかけたまではよかったが、深入りしすぎて逆撃を食らってしまったのである。彼の艦隊は同盟軍の連係プレーの前に一方的に撃ちのめされ、一つ間違えれば帝国軍全体のバランスを崩しかねない事態だったのだ。

 ほぼ同じように同盟軍の強襲を受けて麾下に少なくない被害を出したメックリンガーは終始粘り強く抵抗し、戦場のバランスを崩さなかったのだから、そのいずれも欠いて大きなピンチを招いた猛将にはなんらかの厳しい処分が下されることが予想された。

 「ビッテンフェルト提督……」

 ラインハルトは言いかけて思い直したように言葉を切り、再び唇を動かした。キルヒアイスは親友の思わぬ変化にすぐに気がついた。

 「ビッテンフェルト提督、卿の軽率な深入りは本来なら処分の対象であるはずだが、卿は大幅に減った戦力で果敢に敵に挑み、全滅覚悟で武人としての責務を全うした。戦いには勝利したことだし、今回は卿の罪は問わぬことにする」

 思いがけないラインハルトの言葉にビッテンフェルトは驚いて顔を上げ、理由を知りたそうに忠誠心の対象を仰ぎ見た。他の提督たちの表情も意外に満ちている。

 「どうしたビッテンフェルト、厳罰に処してほしかたのか?」

 ビッテンフェルトは恐縮して再び頭を深く下げた。

 「……その覚悟で参りました。多くの兵を損ない、また敵の突破を許したこと、小官の罪は軽くないと痛感しておりましたから……」

 ラインハルトは、言葉を切ったビッテンフェルトを蒼氷色の瞳で見下ろしたが、その視線には数十秒前のような鋭さはない。

 「卿に罪はない。罪があるとすれば、それは敵司令官たちの力量を甘く見積もり、対応を怠った私自身にある。卿を裁くことはできぬ」

 おおっ、と諸将たちの間から感嘆のどよめきが上がった。ラインハルトの器の広さにいたく感動したのである。ミッターマイヤー提督はほとんど神々しいまでに忠誠心の対象である若者をグレーの瞳で見つめている。そのやや後方では親友であるロインエンタール提督が「まあまあだな」とかすかに呟いていた。

 ラインハルトは特に周囲の反応を気にせず、威圧のない声でビッテンフェルトに言った。

 「卿は貴重な経験を得たのだ。その経験を糧とし次の戦場で奮闘せよ。一度の敗北は次の勝利で償えばよし。当面はシュワルツランツェンレイターの再建に尽力せよ」

 ラインハルトの寛大なる処置は猛将の心の奥底に強く響いていた。

 「閣下のご処置、深く感謝にたえません。無能非才の身ではございますが、この上はさらなる忠誠心の全てを閣下に捧げ、粉骨砕身お仕えする所存でございます」

 「大いに期待しよう。楽しみにしているぞ」

 「ははっ!」

 ラインハルトはビッテンフェルトの力強い返答に満足し、明るい表情を取り戻した諸将に告げた。

 「卿らも長い戦闘で疲労していよう。次の指示があるまで休息とする」

 解散! と短く続け、ラインハルトはキルヒアイスを伴って自室に通じる通路に消えた。

 オーベルシュタインは、ラインハルトの後方を歩くキルヒアイスにじっと義眼を向けて胸中で呟いていた。

 「覇者とは私情と無縁であるべきなのだ。ローエングラム伯との中を特権的に考えられては困る……」

 ビッテンフェルトのもとには多くの同僚たちが集まり、安堵したように「よかったな」と次々と声を掛けて肩を叩いたが、猛将は反応せず、肩を小刻みに震わせたまましばらく顔を上げることができないでいた。



◆◆

 ラインハルトのプライベートルームに伸びる廊下を歩くキルヒアイスは、前方を歩く親友に尋ねずにはいられなかった。

 「ラインハルトさま、どうして急にお心変わりをされたのですか?」

 金髪の元帥は立ち止まって赤毛の親友に振り返ると、いたずらっぽい微笑を口元にたたえた。

 「おれの心が変化してはいけなかったかな?」

 「そうではありませんが、ラインハルトさまは途中まで明らかにビッテンフェルトの失敗に対して怒っておられました。ですが彼の失敗を問いただしたあと、次の発言までの間に何がラインハルトさまのお心を変えたのでしょう?」

 ラインハルトが思いとどまったあの瞬間、キルヒアイスでもわからない心境の変化があったに違いないのだ。

 「そうだな、お前には話そう」

 とラインハルトは前置きし、親友の青い瞳をまっすぐに見た。

 「たしかに俺はあの瞬間までビッテンフェルトに厳罰を科そうとしていた。だが、そのときにおれの脳裏にあの砲撃が浮かんだんだ」

 「第14艦隊から放たれた強力な重力系兵器のことですね」

 「そうだ。おれはアイツらに突破された光景を思い出して何に対して怒っていたのか気がついて目が覚めたのさ。全ての怒りが向けられていたのはヤン・ウェンリーと第14艦隊司令官に名をなさしめた自分自身に対してだとな。ビッテンフェルトはそのとばっちりを受けたにすぎない」

 それを聞いたキルヒアイスの表情が「敬意」以上のものを形成した。

 「ごりっぱです、ラインハルトさま。よくお気づきになられました」

 ラインハルトの口元が緩んだが、照れ笑いと苦笑いが同居していた。

 「ああ、気づいてよかった。そうでなければおれは今頃ここでお前に説教されていただろうからな」

 「ええ、ラインハルトさまがビッテンフェルトに厳罰を科していれば全力でお諌めするところでした」

 「やれやれ、キルヒアイスは怖いな」

 ラインハルトは肩をすくめて親友の笑いを誘ったが、急激に表情を正した。

 「おれの前面にはヤン・ウェンリーと第14艦隊司令官、後背には門閥貴族どもだ。おれの行く道は決して平坦ではないから身内の中に敵を作るべきではない。そうだろうキルヒアイス?」

 「はい、その通りです。そこまでおわかりとは流石です」

 「その一点においてはお前に怒られなかった分、第14艦隊司令官には気づかせてくれた事だけは感謝すべきだろうな」

 ラインハルトは冗談を述べつつキルヒアイスに笑顔を向けたが、無二の親友はいささか神妙な顔つきをしていた。

 「どうしたキルヒアイス、今のは冗談が過ぎたか?」

 「いえ、そうではありません。実は例の強力な重力系兵器を放った見慣れない同盟艦艇についてなのですが……」

 キルヒアイスは、彼の部下であるベルトマン准将からの告白を要点を絞ってラインハルトに伝えた。

 「ほほう、一年も前にヴァンフリートでそんな事がな」

 「はい、准将も隠していたわけではないようです。詳細が定かではなく、その後は情報もなかったので調査が難航したとか。またオーベルシュタインを通してオーディンに報告書を送ったので上層部に伝わっているものと思っていたそうです」

 ラインハルトの表情が意外と納得の両方に変化した。

 「フッ、まさかオーベルシュタインが一枚絡んでいるとはな……まあ、あの男の場合は故意に隠したとも考えられるな」

 「その可能性もございますが、オーベルシュタインにとっても実態の見えない存在はベルトマン准将と同様に確信がもてなかったのではないでしょうか?」

 キルヒアイスが珍しく義眼の参謀長を擁護したが、「あの男に限ってそんなことはない」とラインハルトは思っていた。

 「まあいい、オーディンに到着する前に二人から話を聞こう。あとでベルトマン准将をブリュンヒルトに出頭させてくれ。いずれにせよ、今後の対応を諸将と協議する上でも話は聞かねばなるまい。早いほうがいいだろう」

 「かしこまりました」

 キルヒアイスは一礼したが、彼が顔を上げたとき、今度はラインハルトがどこか意味ありげな表情をしていた。

 「どうされました?」

 「いや、今日の戦いでなんとなくあの時の謎が解けたような気がしたのさ」

 それはキルヒアイスも感じていたことだった。

 「アスターテの一件ですね」

 「そうだ。状況は違うが似たような事態がアムリッツァで起こった。機雷の乗っ取り、アスターテでは通信の乗っ取りだ」

 「アスターテに密かに存在した第三者はあの白いH型の艦とお考えなのですね?」

 ラインハルトはうなずいた。確実な証拠があるわけではなかったが、この際、状況証拠だけで充分だった。機雷が勝手に動きだしたのは第14艦隊の戦場宙域であり、残存する機雷が追撃を阻んだとき、最後に通り抜けたのは第14艦隊だった。信じられない事態があったときその近くにいたのは第14艦隊と旗艦を務めていたらしい白い変わった艦なのだ。

 「いろいろと面白いことになってきたようだな」

 ラインハルトは、好奇心と興味が絶妙にブレンドされた笑みを浮かべた。多くの謎が多い第14艦隊旗艦とその司令官──前者は同盟艦艇思想からはほど遠い艦型を成し、恐るべき破壊力のある兵器を搭載している。後者はラインハルト麾下の名だたる有能な提督たちと互角以上に渡り合った姓名不明の艦隊司令官だ。

 ラインハルトをしてヤン・ウェンリーと同じく感嘆せしめた司令官である。だが、恐れはない。その相手が彼の征く手に立ち塞がってこようとも、必ず不明な部分を暴き、次は雪辱を晴らす!

 「いこうか、キルヒアイス」

 ラインハルトはきびすを返しかけて動きを止め、再び赤毛の親友に向き直った。キルヒアイスにはラインハルトの頬が上気しているように見えた。

 「なあ、キルヒアイス」

 「はい、ラインハルトさま」

 「おれは宇宙を手に入れることができると思うか?」

 ジークフリード・キルヒアイスは真っ直ぐに親友の瞳を見て迷うことなく答えた。

 「ラインハルトさま以外の何者にそれがかないましょう」








U

 自由惑星同盟軍は悄然としていたが、整然と艦列を整えてイゼルローン要塞に向けて帰途に着きつつあった。

 その一角──第13艦隊旗艦ヒューベリオンの艦橋ではヤン・ウェンリーが行儀悪く両足を指揮卓に投げ出し、ベレー帽を顔に乗せてなにやら思考していた。

 (やれやれ、たいへんな戦いだったな……)

 ヤンは目を閉じたままアムリッツァの戦いを振り返った。同盟軍6個艦隊は当初こそ敵を圧倒し善戦したが、最終的には帝国軍の別動隊に後背を突かれ、大きな損害を出してしまった。

 「それでもよく5万隻以上も残ったものだな……」

 2万隻近い損害をさらに出したが、前後で挟撃されたにもかかわらず全軍崩壊という最悪な結果は免れ、ほぼ整然と撤退に成功することができたのだ。犠牲が少しでも減ったことはヤンの気持をいく分軽くした。また吉報といえば重傷を負ったウランフやアップルトンも峠を越え、回復に向いつつあるという。

 「ぞっとしないな……」

 ヤンは身震いして肩をすくめた。もし6個艦隊の戦力がなければ、はたして後背の攻撃に対処できただろうか?

 答えは「否」である。おそらくウランフ提督やボロディン提督、ミスマル提督がいなかったら圧倒的な敵の戦力の前に同盟軍はもっと大きな損害を被っていたかもしれないのだ。ヤンだって自分が今ここに生きていたか怪しく考えてしまうくらいだ。

 同盟軍が全軍崩壊を免れた要因はまずウランフ提督がすかさず反転し、同盟軍全体の動揺を最小限に抑えて退路を確保し、帝国軍別動隊に対処したことが大きいだろう。その後すぐに第14艦隊が加勢して帝国軍の追撃を長時間阻むことに成功し、味方の撤退を支援してくれたことも忘れてはならないだろう。

 その一連の戦いの中でもミスマル提督の能力は軽くヤンの期待を越えていた。

 「あれほどの用兵の才があるとはねぇ……」

 ヤンは唸った。帝国軍に対する攻勢のタイミングといい、ここぞというところで大軍を相手に粘り強く守勢に徹する手腕といい、ウランフやボロディンといった同盟軍の名だたる名将たちにひけをとらない指揮統率ぶりである。いや、ある戦局においては自分をも上回っていたかもしれない。彼女は同盟軍に警告を発して奮闘し、半個艦隊で帝国軍の猛攻を切り抜け、ウランフを救援までやってのけているのだ。

 今までどうして表舞台に現れなかったのか大きな疑問すら感じるほどである。

 「まさにそれが謎だな……」

 いろいろと例外が多すぎるのだ。まず、ミスマル提督の階級は年齢に対してあまりにも高すぎる。ヤンの副官であるフレデリカ・グリーンヒルは「中尉」である。士官学校を2年前に卒業し、順当に一年間勤め上げていればほぼ中尉に昇進できるのだ。それが士官学校卒業生の通常の昇進経過である。

 ミスマル提督の年齢はグリーンヒル中尉と同じ22歳。階級はなんと少将だ。本来ならありえざる昇進速度だ。8年前、エル・ファシル脱出劇の功労者として二階級昇進したヤンの例外の比ではない。士官学校に名簿が存在しないのも大いなる疑問だった。シトレ元帥の話だと彼女は「実験艦ナデシコの艦長」として初めは特務に従事し、船の特異性から士官学校とはちがう軍施設で学んでいたということだが……

 もうひとつは「戦艦ナデシコ」が搭載する兵器だ。あの船体にあれほどの強力な武装が施されているとは完全に反則である。いったいどういう兵器理論によって開発されたのか、今すぐにでも軍部に問いただしたいくらいだ。

 「ハイネセンに戻ったら本部長にもう一度聞いてみるかな……」

 とはいえ、ヤンも今まで集めた情報を統合し一つの仮説を立てつつあった。はっきり言って突拍子もない仮説ではあるが、彼が解き明かした歴史の結末やシトレの話から想像すると「ナデシコ」という存在が──極めてノンフィクション的かつタイムパラドックス的な仮説になるが──つまり時間を超えたのではないかと……

 第一次殖民惑星独立戦争で唯一、そちら側の戦力として最期が不明な「戦艦ナデシコ」。同盟にもたらされた──消された歴史の真相はごく一部が伝えられただけあり、それ以上はヤンの持つ写本の暗号を解いてもわかりそうになかった。その真実を解き明かすには、おそらく帝国にあるべき地球に関する歴史資料をかたっぱらしから調べるしかないだろう。

 「うーん、まあムリだし、まだ結論としては当分保留かな」

 本当にそうだ。あまり早急に結論を出すべきではない──いや、出せるものではない。まだヤンは彼らのことを知ったわけではないのだ。生き残ったのだから話す機会もあるだろう。彼らにより触れることによって真実は徐々に解き明かされていくに違いない。シトレ元帥の言うように自分の目でゆっくり見極めてからでよい。そうでもしないと四六時中頭から離れそうにないのだ。

 「閣下……」

 不意に声がした。ヤンがベレー帽の下から片目をのぞかせると、その先には美しい副官が立っていた。

 「やあ、レディの前だけど失礼するよ」

 「いえ、お疲れのところをすみません。紅茶をお持ちしましょうか?」

 「そうだね。できればブランデーをタップリとね」

 「はい」

 ヤンは、優美にきびすを返した副官を呼び止めた。

 「どうかされましたか?」

 「ああ、実は一つ中尉の意見を聞いてみたいんだが、いいかな?」

 「はい、私でよろしければ」

 ヤンはベレー帽を取り「それじゃあ」と言って質問内容を口にした。

 「ミスマル提督と戦艦ナデシコのことをどう思う? 中尉の感性でいいんだけど」

 フレデリカは胸中に小波をたてたが顔には出さない。質問の内容を単純に受け止め、単刀直入に感想を述べた。

 「おかしな表現かもしれませんが、“懐かしい”とでも言うのでしょうか。ミスマル提督とナデシコを目にしたときに共通に感じたことです」

 グリーンヒル中尉が言い終えて黙っていると、ヤンは顎に指を当てて思考するようなしぐさをした。

 やがて……

 「なるほど、充分参考になったよ」

 意外な返事だとフレデリカは思う。

 「いいえ、漠然としたもので申し訳ありません」

 「いいんだ。率直な感想をありがとう」

 「はい。それでは紅茶をお持ちしますね」

 「ブランデーをタップリ入れてね」

 「かしこまりました」

 フレデリカは歩き出し、そしてヤンのほうを振り返った。アムリッツァでも魔術を展開した「奇跡のヤン」は再びベレー帽を顔に乗せ、その表情はうかがい知れなかった。

 (いったい、どういう意味の質問だったのかしら……)

 フレデリカはきびすを返し、ティールームのほうへ歩いていった。



 ヤンは、少ない情報から彼らの真実を解き明かそうとわずかながらも迫ろうとしていたが、彼が考えるよりも「ナデシコ」と「ユリカ」の真実はやや斜めに存在していた。そこまで想像がおよばなかったのはオーベルシュタインも同じであり、当然であろう。時間を結び付けても次元まですぐに結びつけるのはいささか異常というべきだった。

 彼らが複雑に絡んだ時間と次元の螺旋の先に到達するには、まだ多くの刻を必要とするのである。

 グリーンヒル中尉が紅茶を運んできたとき、ヤン・ウェンリーは静かに寝息をかいていた。








V

 ナデシコの艦橋は静かだった。帝国軍の重包囲を突破して警戒態勢が解かれると、主な艦橋人員のメンバーはふらふらとした足取りで自室に向かい、幾人かは力尽きてシートに座ったまま寝てしまうほどだった。ナデシコクルーにとってかつて経験したことのない過酷な長時間戦闘は未知の領域に達していたのだから無理からぬことだろう。

 ユリカも例外ではない。誰よりも長く艦橋で指揮を執り続け、彼女が自室に消えたのは会戦終結後6時間を経過してからである。

 ──いや、正確には力尽きたところをアキトに背負われて自室に搬送されたというところだろう。

 だから艦橋は静かである。ナデシコは自動航行、操舵席にはエリナ、通信席にはユキナ、艦長代理は今はスールズカリッター大尉が務めていた。戦闘指揮席はもう戦いは起こらないだろうから無人のままのはずだったが、ゴート・ホーリーは生来のタフさを発揮したのか数時間後に艦橋に戻ってきていた。

 その艦橋には4人のほかに戦場がアムリッツァに移ってからは出番のなかったエステバリスのパイロットが数名たむろしていた。いずれも会話を交わすでもなく、艦窓からじっと宇宙の大海を眺めている。

 テンカワ・アキトはそんな一人だった。頭にまかれた包帯が痛々しくあるが、電子治療は順調に行われ、あと数回ほどで完全に治癒する予定である。傍らには保護者を心配したラピス・ラズリが青年の手を握りながらしばらくその表情を見つめ、それから悠久のときの流れに視線を移した。

 二人の瞳に映るのは5万隻を越える敗残の群れだった。整然と隊列を組んではいるが、どこか物悲しく感じるのは膨大な人命と艦艇を失い、残存するそのほとんどが傷ついた姿をさらけ出しているからだろう。

 「はあ……」

 アキトはため息をついた。なんとか生き残ったものの、青年にとっては大きな課題を再発見した戦いだったのだ。緒戦において早々に戦線離脱を余技なくされ、結局そのあとの戦闘には出撃できずに終わってしまったのである。

 ──15分前──

 「いいかテンカワ、戦場での勇気と無謀は紙一重だ。以前からそうだったけど今度あんな無茶をしやがったら俺はお前をおもいっきりぶっ飛ばすからな!」

 リョーコが怒るのも無理からぬことだった。リョーコ機の代わりに巡航艦の砲撃を食らったアキト機はある意味において「おせっかい」で命を散らすところだったのだ。「アイツを救って俺は死ぬ」などというヒロイックじみた死などになんの意味もない。個人技の応酬といえるドックファイトでは自分に責任を持つべきであり、己の失敗をほかの味方に被らせるなどパイロットとしてのプライドが許さないのである。

 本来ならあの砲撃は注意を怠ったリョーコが受けるべきだった。アキトが傷を負うべきではなかったのだ。

 しかし、リョーコはアキトに感謝することを忘れなかった。

 「礼は言うよ。テンカワのおかげで助かった」

 青年がさわやかな笑顔を返すものだから、ついついリョーコも未練を残してしまうのだが……

 「なぁ、テンカワ、アスターテを間近に見た俺たちパイロット全員は木星蜥蜴を相手にしていた戦闘スタイルを抜本的に見直す必要性に迫られた。でも実際に戦ってみれば後半は今回の様だ。これからも決して甘くない戦いが続くはずだ。その時はより冷静な視野と判断力が要求されるだろう。そう、俺も成長する。だからお前はもっと成長しろ」

 リョーコは最後に言い残し、一人艦橋を後にした。

 「リョーコちゃんの言うとおりだよなぁ……」

 アキトはつくづく感じた。より成長しなければ絶対に生き残れない戦争に身をおいているのだ。同盟軍の戦力が減少した今、この先帝国の侵攻があれば今回の比ではない過酷な戦闘を経験することになるだろう。ただでさえ戦闘規模が地球で戦っていたときとは違い組織力と戦力で1000倍近い差があるのだ。相対する帝国軍の提督たちの有能ぶりもより困難な戦いを想像させた。

 青年がもっとも反省したのがミュラー戦のおける早期戦線離脱なのだが、より落ち込んだのが「厳しい現実を受け入れる」と宣誓したわりには緒戦の戦果に気をよくして油断してしまったことだった。

 「ふう、俺ってまだどこかゲキガンガーなのかなぁ……」

 自己嫌悪に陥るとはこういうことだろう。

 「まあ、そう落ち込むな。ゲキガンガーの熱血・友情は悪いわけじゃないぜ。強いて言えば使い方を誤まるなってとこだろうな」

 タカスギ少尉の激励は逆にアキトの気を重くした。なぜなら、現実と理想の区別を怠り、タカスギ少尉の言う間違いを犯したからだ。

 「だめだよなぁ……」

 この嘆きは、実はアキトを含めたパイロット連中全員の共通だった。特にこれまで木星蜥蜴と戦ってきたアキトやリョーコたち古参のパイロットたちには戦闘スタイルを完全に変化させることができず、帝国軍の組織戦に如何に対抗するべきかそれぞれが思い悩んでいたのだ。

 アキトは強く思う。

 「これまでのやり方では先に進めない。これじゃあ自分はおろか誰も守ることなんてできやしない。不本意な結果を自ら招くことになる」

 不意に手が強く握られた。ラピス・ラズリがアキトの心の葛藤を感じたのか、保護者の手を勇気づけるように握りしめたのだ。

 アキトは、心配そうに彼を見つめる黄金色の視線に気づいて後ろ向きな気持ちを反省し、自分らしく前向きに行動していこうと意志を新たにした。

 「ありがとうラピス、なんか力が出てきたよ」

 そういって少女の頭を撫でてやると、彼女の顔がぱっと明るくなった。この笑顔を守るために自分は戦っている。いつかみんなと元の世界に戻るまで決して気をゆるめちゃいけないんだ。

 アキトは、そっと少女に告げた。

 「シミュレーションルームに行こう。お兄ちゃんは少しでも特訓して強くならないといけないんだ。力を貸してくれる?」

 「うん、アキトと一緒ならどこにでも行く!」

 青年と少女は目的に向って歩き出す。その後ろを自然とタカスギ少尉やイツキ・カザマが追いかけていた。

 葛藤を繰り返すテンカワ・アキトとエステバリスのパイロットたちが第13艦隊の二大エースに出逢うまで、なお二ヶ月を必要とした。








W

 帝都へ向けて凱旋する帝国軍のもとに思いがけない急変がもたらされていた。

「皇帝崩御!」
 
 最初、ラインハルトはその事実に呆然としたが、復讐の対象である皇帝の突然死に次第に怒りがこみ上げてきていた。

 「心臓発作だと! あの男にはもったいないくらいの自然死だな……あと5年、いやあと2年生きていれば犯した罪に相応しい死に様を演出してやったものを」

 キルヒアイスも同様に頷く。もう10年も前にラインハルトの姉アンネローゼを理不尽にも奪って行った皇帝フリードリヒ四世。二人にとって大切な女性を奪われたあの日からラインハルトとキルヒアイスの今日が始まったのだ。

 その対象たる男が自分たちの手にかかることなく死んだ。暗殺でも事故死でもなく「心臓発作」という自然死である。二人には皇帝に「逃げられた感」があり、強く憤らずにはいられなかったのだ。

 とはいえ、今後どうするか。皇帝は後継者を定めずに死んだのだ。皇帝の三人の孫をめぐり帝位継承の争いが起こることは火を見るより明らかだった。

 ラインハルトは、すぐに各艦隊司令官を召集して対応を協議し、オーベルシュタインの進言に従い、固有の武力をもたない国務尚書リヒテンラーデ公が擁立すると予想されるフリードリヒ四世の嫡孫エルウィン・ヨーゼフの後ろ盾になることを決定した。

 いずれにせよ、新興のラインハルト勢力と門閥貴族の旧制勢力とは相容れない。ラインハルトには野心があるからごく自然な選択だった。

 しかし、より度肝を抜いた通信文が帝都を経由して届いたのは協議終了直後である。

 ラインハルトは、蒼氷色の瞳を煌めかせて妙に感心したようにうなずき、ビッテンフェルトは怒りを通り越したのか身体をよろめかせ数歩後ずさった。ミュラーとメックリンガーは粛然として襟を正し、その衝撃に満ちた事実を受け止めた。

 「第14艦隊の司令官は20代の女性。名をミスマル・ユリカ、階級は少将。旗艦名はナデシコ──」

 絶句という感情が諸将の間を強烈に駆け抜けたが、それは冷徹なる義眼の所有者も同じだった。帝国軍の名将達を苦しめたのがまさか若い女性司令官だったとはかなり意表を突かれたのだ。

 「どうした卿ら? たしかに驚くべき情報ではあるが同盟にもヴェストパーレ男爵夫人のような聡明かつ勇敢な女性がいてもおかしくはあるまい」

 才のある女性がたまたま艦隊司令官だっただけだ、とラインハルトの事実の受けとめ方は実に単純だった。同盟における女性の社会的地位は帝国よりずっと高いというから特に不思議ではないということらしい。

 「ラインハルトさまにとっての驚きとはいかなるものなのでしょうね」

 提督たちを退出させたあと、ジークフリード・キルヒアイスが愉快そうに尋ねると、若い元帥はさも当たり前のように答えたものである。

 「人類の歴史の中で女性が組織の司令官を務めた例はいくらでもある。同盟にとっては初であろうが、全体ではその一例に過ぎないからな」

 「驚きはアムリッツァで充分だとおっしゃいますか?」

 「まあな。性別など問題ではない。俺にとっての驚きは第14艦隊司令官の能力だ」

 ラインハルトの女性像というのは姉アンネローゼが絶対的な基準になっている。彼にとって美しいだけで中身のともなわない貴族の令嬢などは軽蔑と嫌悪の対象でしかなかった。裏を返せば美貌の若者にとっての女性とは容姿端麗である必要はなく、聡明で家庭的であれば気にしないということである。

 古代の有名な軍師と似たような価値観だが、アンネローゼと比較したとき、ラインハルトの理想とする女性像はあまりにもハードルが高すぎるといえよう。そういう意味ではユリカも満点とはいえない。家庭的という一点においては致命的な弱点があった。

 ユリカが女性であることをラインハルトは知ったが、たとえ麗人だと知ってもさほど驚かないに違いなかった。

 「しかし、フェザーンの連中もタイミングがよすぎるな。意図が見え透いているというか、同盟に勝利したこの時期にわざわざ狙ったように知らせてくるのだからな」

 「本来なら仰るとおりでございますが、今回は例外をともないます。タイミングは偶然ですが」

 親友の謎を含んだ発言にラインハルトは優美に眉をひそめた。

 「どういうことだ? ナデシコの情報はフェザーンが流したものではないというのか」

 「はい、そのとおりです。フェザーンからの情報もございましたが、より詳細な情報を得たのは違うルートです」

 「ああ、そうか。お前の部下が突き止めたのだな、ずい分と優秀じゃないか」

 キルヒアイスが首を横に振ったので、ラインハルトはますます怪訝な顔をした。

 「どういうことだ?」

 「はい。実はフェザーンに頼もしい協力者がいるのです」

 思いがけないキルヒアイスの言葉にラインハルトは一瞬だけ呆然とした。

 「協力者だと?」

 「ええ、ラインハルトさまの未来にぜひ協力したいと私の部下に申し出てきたのです。ラインハルトさまもご存知の人物です」

 「おれが?」

 ラインハルトは思わず声を高め、頬杖をついて1分間ほど考え込み、記憶の引き出しからまさかと思う人物を脳裏に思い浮かべた。

 「キルヒアイス、もしかして……」

 赤毛の友にその名を告げると、親友はあたたかい笑みを浮かべて肯定した。

 「そうか、表舞台に出てきたか。あれから3年、いや5年になるのか。フェザーンを出し抜いたくらいだ、さぞ聡明に育ったのだろうな」

 ラインハルトは納得したように二度頷き、その胸中に心地よい躍動感が広がった。アムリッツァの勝利、第14艦隊の登場、皇帝の死と過去に出会った人々とのあらたなつながり。時代と体制の変革は始まりつつある。それは内と外、敵と味方ではやや異なるたち位置であったが、歴史を動かそうとする新星たちにラインハルトの鼓動はより一層高鳴った。

 「どう銀河が動くかさらに面白くなってきたな」

 「ええ、ラインハルトさま」

 不意にドアがノックされた。ライハルトが許可すると守衛が扉を開けて一礼し、ベルトマン准将とオーベルシュタインの来訪を二人に告げた。







X

 キルヒアイスを経由してその事実が伝えられたとき、ナデシコと最初の接触をした帝国軍人の反応は他の提督達とはやや違っていた。「ひゅー」と口笛を吹き、腕組みしたまましばらく考え込み、かと思うと困惑した表情を浮かべて首をかしげた。

 「奇妙な反応だ」

 とウーデット中佐は思う。今までずっと知りたいと追い続けてきた白い戦艦とその指揮官の名前が判明したのである。それも極上の驚きをもってである。ラインハルト麾下の各艦隊司令官はのきなみ衝撃を受けて絶句したというから──驚いて当然だろう──准将も同じように打ちのめされるのではないかと予想したのだ。

 「いや、充分驚いたぞ。驚きすぎて反応するのを忘れてしまっただけだ」

 「はぁ……」

 冗談なのか本気なのかウーデット中佐にも判断がつきかねた。が、たぶん両方なのだろう。ビッテンフェルト中将などはラインハルトに叱責されたことよりもよほどショックだったのか、なんだか妙に大人しいらしい。誰も近づかないのはそのマイナスのオーラが暴発しないかと迷惑がられたからだ。

 いずれにせよ一つの事実は判明した。だが相変わらず様々な謎は一向に解けていない。あの艦は何の目的をもって存在し、数百隻の艦隊を消滅させる力をもつのか。フェザーンも帝国も全く把握していない何かがまだ多く隠されているとしか思えないのである。

 「さて、そろそろ時間だな。ローエングラム伯のもとへ行くとしよう」




◆◆

 ベルトマン准将はウーデット中佐を伴ってブリュンヒルトにあるラインハルトの司令官室を訪れたが、その前でオーベルシュタインと合流した。ベルトマンがオーベルシュタインと直接顔を合わせるのは5月のイゼルローン要塞失陥以来である。特に声をかけるでもなく、ベルトマンはオーベルシュタインと共に一礼してラインハルトの執務席の前に立った。

 三人はうやうやしく敬礼する。

 蒼氷色の瞳が青紫色の瞳と重なった。

 「准将、疲れているところをすまない」

 「いえ、例の艦のお話を聞いていただけるということですので、喜んでご協力いたします」

 「うむ。卿の戦場での働きは見事だった。キルヒアイス中将も卿の戦術眼と勇猛ぶりにはいたく感心している。昇進は約束しよう」

 「はっ、ありがとうございます」

 ベルトマンは内心で歓喜の声を上げ、ラインハルトに感謝して深々と一礼した。一部隊の指揮官でしかない准将に総司令官が直接昇進を約束したのである。キルヒアイス麾下にあって武勲を上げ、ローエングラム伯ラインハルトという若き天才軍略家に名前と顔を覚えてもらったことは昇進以上の収穫だった。

 「では本題に入ろう。キルヒアイス中将からおおよその内容は聞いているが、卿がヴァンフリートで遭遇したという白い艦──ナデシコについてもう少し詳細を知りたい」

 「はい、承知いたしました。では……」

 ベルトマンは、哨戒中に感知した重力反応時点から同盟軍艦艇が現れてナデシコの追撃を断念するまでを詳細に述べた。

 「そうか、単独で突然現れたのか」

 ラインハルトの響きは明らかに疑問を呈していた。ベルトマンが当初推理したように何らかの実験ではないかと考えたのだが、もしそれが跳躍実験だとすれば、なぜ危険を冒してわざわざ帝国軍に見つかりやすい宙域を選んだのか。惑星が多くひしめき、跳躍に影響を与えかねないヴァンフリートを選んだのか、何かと首をかしげてしまう点が多々あるのである。

 「卿の見解はどうだったのだ?」

 「はい、当初は艦型が見たこともなかったので叛乱軍の新型艦の航行実験かと考えていました」

 「たしかにな。ほかの叛乱軍艦艇と比べると大きく逸脱した艦型だからな」

 船体色も白が中心である。極めて個性のない緑系で統一された他の同盟艦艇と比較しても、なぜその一艦だけ強調したような船体色なのかこれもまた疑問だ。

 「もう一つはミュラー艦隊がファンベルグで戦ったという人型機動兵器についてだが、その新型をヴァンフリートでは見たのか?」

 「いいえ、ナデシコだけです。人型との交戦はありませんでした」

 ミュラー艦隊がキルヒアイス艦隊と合流したとき、ミュラーはすぐにキルヒアイスを通して全軍に同盟軍の新型機動兵器の存在を伝えていた。ベルトマンもそのことを知ったときは、まさかと思うほど目を細めたものである。

 「そうか。ミュラーから正式な報告が上がってくるまで人型機動兵器の件は保留としよう」

 ミュラー艦隊が交戦したという人型機動兵器の数は全部で7機。それ以外は目撃されていないということだった。ラインハルトが目を見張ったのは兵器の形ではなく、味方の大きな被害だった。まったくレーザー兵装は役に立たず、ラインハルトの知己の人物も属する空戦隊の超エリート部隊「黒十字架戦隊」が三機も撃墜されたというのである。同盟軍パイロットが十数年も恐れた不敗集団の伝説が終焉を迎えてしまったのだ。さぞノヴォトニーのヤツは悔しがっていることだろうな……

 しかし、もっとも大きな問題は「ナデシコ」という巡航艦クラスの船体に搭載された著しい破壊力をもつ重力系兵器の存在だった。現在は映像とデーターを解析にかけ、こちらはあと数時間後に正体が判明するはずである。

 「卿はあの艦を追い詰めたが最後に例の砲撃で逃走を許したということだったな」

 「はっ、面目もありませんが、今回と同じくすさまじい威力でした。ナデシコの進路を塞いでいた数キロはある隕石を一撃で消滅させたのです」

 「ならば、艦隊があれだけ密集していれば数百隻にのぼる損害をだすわけだな」

 ラインハルトは考え込んだ。これまでの情報と証言から「ナデシコ」という存在が何の目的をもって建造されたのか、その役割とは何であるか彼なりの仮説を立てようとした。

 しかし、ラインハルトの思考はごく尋常にナデシコを同盟軍の新型実験艦としか想像しない。ヤンとは違い、思考のベクトルが斜めに方向に示されなかったのである。それでもやや納得しかねたのか、彼はオーベルシュタインに視線を移して問うた。

 「卿はベルトマン准将からナデシコの件を引き継いで報告書をまとめたそうだな」

 「はっ」

 と参謀長の返事は短い。ラインハルトは続けた。

 「卿はその過程でずいぶんと調べていたそうだが、何か判明したことはあるのか?」

 蒼氷色の瞳に鋭い視線を向けられても、オーベルシュタインは顔色ひとつ変えることはない。

 「いえ、特にございません。小官もイゼルローン要塞失陥後は何かと多忙を極めましたので、統帥本部に提出した報告書以外、今のところ調査は滞っております」

 参謀長をみるラインハルトの目は疑わしいが、口に出してはこう言った。

 「そうか、それは残念だな。卿ならば何かつきとめていると思ったのだがな」

 「お役に立てずに申しわけございません」

 オーベルシュタインは一礼する。ベルトマンは無言で二人のやり取りを聞き、参謀長に微妙な視線を向けていた。

 なぜなら、オーベルシュタインは何かを掴んでおり、その一部をベルトマンのみに明かしていたのである。ブリュンヒルトに赴く前、彼は参謀長から極秘に通信を受け、その事実を明かさないよう念を押されていた。

 『貴官に以前話した白い不明艦に関わるいくつかの判明事項はまだ仮説と憶測の領域を出ていない。ローエングラム伯に核心を聞かれても決して口外してはならぬ』

 ベルトマン自身ももちろん信じたわけではなかったので、ナデシコに関わる不確定な事実を伝えて混乱を招くより、より詳細が判明するまで信頼するウーデット中佐以外には口外しないことを決めていた。

 ラインハルトは再びベルトマンに質問した。まだ謎はあるのだ。

 「准将も知っての通り、戦場では異例づくしの事態が続いたが、アムリッツァで起こった機雷の不可思議な動きと似たような事がヴァンフリートであったか?」

 「と、おっしゃいますと?」

 「そうだな……システムを乗っ取られる様な事態に遭ったかということなんだが」

 「いいえ、そういったことはございませんでした」

 「そうか……」

 ラインハルトは考え込もうとしたが、ベルトマンが怪訝な顔をしているので理由を話すことにした。

 「今後のために卿らにも知ってもらおう」

 ラインハルトは、アスターテにおいて「叛乱軍第6艦隊旗艦」に降伏勧告したときに起こった「異変」をベルトマンたちに経過を追って説明した。

 ベルトマンと同行したウーデットの顔色が変わった。

 「通信そのものを乗っ取られたということでしょうか?」

 「ああ、断定はできないがほぼ間違いないだろう。アムリッツァの機雷と似たような事がアスターテでも起こっている。これが何を意味するのか卿にはわかるか?」

 ラインハルトの問いに、ベルトマンは最上の推理力を働かせた。

 「つまり、アスターテにあの艦がいたのではないか、と閣下はお考えなのですね」

 ラインハルトは満足げに頷いた。

 「どうやらここに至ってようやく個々のもつ情報がひとつにまとまったという事だな。私の推察だが、ナデシコはこれまで試みられなかった戦術理論に基づいて設計された特別な艦ではないかと思うのだが……」

 ラインハルトの頭脳は決して固くはない。ただ戦術や戦略面から外れると常識を欠くという一面が見られた。それは彼の欠点というべきものだが、二度言うように「ナデシコの存在を斜めから眺められる人間」のほうが少数といえるだろう。

 だからその対策もごく常識的な手段になるのはやむをえない。

 「まずひとつ、高度なハッキング技術を有していることは間違いないだろう。そのレベルまで計りきれぬが、あの砲撃の分析が済み次第、人型機動兵器と同じく改めて対策を練る必要がある」

 そう前置きし、ラインハルトはベルトマンとオーベルシュタインを交互に見やった。

 「卿らも知っての通り、皇帝陛下が崩御された。すでに我々の方針は決まっているが、旧勢力との間にやんごとなき事態がおこり、しばらくはナデシコに関わる対策を協議することはままならぬだろう。
 しかし、対策チームを発足したときは卿らの知識と経験が必要不可欠である。その時は力を貸してほしい」

 ラインハルトはそう結び、ベルトマンらとオーベルシュタインは敬礼し、揃って司令官室を退出した。



◆◆

 ベルトマンは、前を歩く参謀長に聞かずにはいられなかった。

 「オーベルシュタイン准将、やはりローエングラム伯に判明している事実と仮説を話したほうがよかったのでは?」

 オーベルシュタインはしばらく無言のまま歩き続け、急に立ち止まってつぶやくように声を出した。

 「残念だが今のローエングラム伯では到底ご理解いただけぬ。理由は以前、貴官に話したとおりだ」

 「たしかに非現実的ではあるが……」

 ラインハルトの頭脳は現実的な客観性の世界において類稀な発想に至るが、ナデシコの場合はまったく別物であり、遠すぎる話だというのだ。

 「実際に遭遇した貴官が信じていないのだ。それは私とて半信半疑なのだから、到底他の者には余計に理解しがたいであろう。もうしばらくは様子をみたほいうがよい」

 オーベルシュタインは、再びつかつかと歩いてシャトル乗り場に通じるT字につき当たると、ベルトマンにふと独り言のように呟いた。

 「相転移砲……」

 「えっ?」

 「ナデシコが放った砲撃は相転移砲という。あと数時間もすればおおよその内容は判明するだろうが、いかなるものかより知りたければあとは貴官のほうで調べるといい。もちろん他言は無用だ」

 ベルトマンはとっさに言葉を返すことができず、遠ざかる参謀長の肉付の薄い背中を見送りつつ、胸中がふつふつとざわめくのを感じていた。

 「参謀長殿はいったいどこまで真実に迫っているというのだ?」









Y

 ミスマル・ユリカがふと目覚めたのは、同盟軍がイゼルローン回廊に撤退してからおよそ10時間後──標準時で2時20分ごろだった。まだ深夜といわれる時間帯である。

 帝国軍の重包囲を突破した直後、ほとんどのナデシコ艦橋人員は疲労困憊で撃沈してしまった。無理をしたルリは部屋に行く気力もないほど疲労していたのかIFSシートにもたれかかったまま寝てしまうほどだった。ゴート・ホーリーがミナトと一緒にルリを部屋に搬送したように、誰かの肩を借りなければ自室に戻れない者も存在した。

 ユリカは、そんな状況の中でも指揮を執り続け、完全に安全圏に達したところでついに力尽きてしまった。テンカワ・アキトに背負われて自室に運ばれたが、本人はまったく気がつかず、幸せな時間を認識することなく今まで眠りについていたのである。

 「ふう……」

 とユリカは浅く息を吐き出して部屋の窓の奥を眺めた。本来は仕様ではないが、ナデシコが同盟で改装を受けた際、強度に影響を与えないレベルでウリバタケに頼んだものだった。彼女が眼を凝らすと、そこには悠久の時の中を進む細長いシルエットの同盟艦艇がはっきりと映っていた。

 「やっぱり、なにもかも夢じゃないんだなぁ……」

 記憶にある激しい戦闘も緊張感も高揚感も、そして重い疲労感も全て現実だった。ふと目覚め、穏かでいることがユリカの現実を曖昧にしていたのだ。

 しかし、窓の向こうに見える全ての光景がこれまでの時間が現実であることを再認識させた。

 「いまさら全部が夢だなんて──わたしってまだダメだよねぇ……覚悟が揺らぐような反対の事を言っているんだから大勢の人を死なせて当然だわ」

 ユリカは大きくため息をついた。帝国領侵攻作戦における同盟軍の人的損害は著しく、動員された兵員の実に半数近くを失うという惨敗に終わったのだ。ユリカは不利な状況から少しでも結果を改善しようと奮闘したが、彼女の行動は大きく実を結ばず戦死者は信じられない規模に達してしまったのである。

 ユリカが率いた第14艦隊も多くの艦艇と人命を失っていた。彼女もあれだけの規模を戦うからには決して死者がゼロで終わるなどとは考えてはいなかったが、犠牲者の数が軽くいち都市に匹敵すればさすがに落ち込むのも当然だった。

 しかし、他の者から見た評価は違っていた。駆け出しの女性提督が率いた半個艦隊は最前線にあって常に激戦の只中にあり、そして生き残ったのである。未熟な組織を率いて帝国軍の猛攻に耐え切った手腕はヤンなどから高く評価されていた。事実、第14艦隊の将兵たちにとってユリカは彼らだけの上司であり、見事に激戦を戦い抜いた司令官の能力と幸運の双方を欲し、これからも彼女の下でありたいと願っていたのである。

 「貴官は充分すぎるくらいに役割を果してくれた。何も自分を責める必要はない。貴官が行動しなければもっと多くの人命が失われていたことじゃろう。尊い命を失ったことを悲しむのは大切なことじゃが、上に立つ人間は生き残った将兵にあらたな責任を負わねばならない。ミスマル提督、貴官は何かを成すことができたのかと自問自答しているようじゃが、わしがその問いに答えよう。
 
 “貴官は全力で何かを成した。だからこそ我々は生きているのだ”

 ──これが答えじゃよ」

 ビュコック提督が通信越しに語った激励の言葉である。ユリカの気落ちした心がどれだけ救われただろうか。彼女は感激し、少し涙を浮かべながら同盟軍の宿将に恭しく敬礼を返した。ウランフがこの場にいれば同じように駆け出しの女性司令官のがんばりを褒め称え、しっかりと責任を果したと言ってくれただろう。

 ユリカは、その光景をふと思い出して自分の情けなさを痛感した。

 「あー、やっぱり私ってまだまだダメだなぁ……ビュコック提督の言葉でもっとがんばろうって思い直したのに寝ている間にまたまた落ち込むなんて……数百万人の命を預かる艦隊司令官が元気がないんじゃ、それがみんなに影響してもおかしくないよね?」

 ユリカは、戦闘終了直後のナデシコクルー全員にみられた悲壮感のようなものをひしひしと感じていた。誰もが一連の戦いの反省と自分が果すべき役割について深刻に考え込んでしまっていたのだ。

 「まだみんな落ち込んでいるかなぁ……」

 帝国領侵攻作戦で被ったクルーたちの心身のダメージは決して浅くはない。だが、ユリカはこの世界における銀河規模の戦いに介入したことを後悔していない。それはクルーたちも同じだった。彼らが後悔するのは戦いの経過だった。ユリカと同じく「もっとなにかができなかったのか?」と自問自答していたのだから……

 「うんうん、やっぱりいつまでも沈んでいるのってダメだよね」

 ユリカの長所といえば「くよくよせずまっすぐに突き進む気質」である。

 「ミスマル・ユリカに落ち込む姿は似合わない」

 それと同じように「意気消沈するナデシコはナデシコじゃない」のである。

 「そうそう、みんな元気がないなら艦隊司令官のわたしがみんなを励まさなくちゃ!」

 でも今はもう少し寝よう……

 ユリカは目を閉じた。緩やかに眠りに落ちる間にどうやってみんなを励まそうかと考えることにした。次に起きたらまずお風呂にはいってリフレッシュして、お化粧を直して制服をビシッっと着て──艦橋で「おっはよう!」って大きな声で言おう。ああそうだ、その前に食堂でご飯食べよう。おなかが空いていたら大きな声が出ないし、アキトの作ったお料理食べたいしなぁ……あっ! ルリちゃん大丈夫かなぁ、着替えたら部屋にいってみよう……それから……ええと、それから……

 ユリカは穏かな顔のまま、いつの間にか深いまどろみのなかに意識を沈めていた。




──宇宙暦796年、帝国暦487年、標準暦10月14日──

 イゼルローン要塞に到着する数時間前のことである。

 こうしておよそ一ヶ月半にわたった同盟軍による帝国領侵攻作戦は、侵攻した側の全面撤退によって幕を閉じる。同盟軍の総動員兵力は3100万人。帰還せざる者は1500万人。大破または撃沈された艦艇はおよそ10万隻近くに上った。

 同盟軍は人材と艦艇において著しい損失を被り、困難な再建への道を探り出さねばならなかった。

 ユリカがアムリッツァにおいて率いた第14艦隊の総兵員数は120万6200名(第9艦隊の兵力を含むが第10艦隊の兵力は含んでいない)、戦死者は32万4000名あまり。総艦艇数は11,600隻、うち大破および撃沈された艦艇は4000隻あまりであった。

 ミスマル・ユリカとナデシコは生還し、次の舞台へ立つことになる。

 それは、まだ誰も知らないもう一つの英雄伝説の始まりだった。




 ……TO BE CONTINUED

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 あとがき

 どうも涼です。第七章前編をお届けいたします。いやあ、1ヶ月に1話とか嘘こいてすみません。うまく運びませんでした(汗
 
 ボリュームだけはムダにありますので、じっくりとお読みいただければと思います。

 アムリッツァが集結したので、その直後の描写です。ユリカやナデシコの面々はいろいろ悩んでいましたが、「ユリカ! あんたは銀河の歴史を変えちゃったんだよー」と教えてやりたい気持になりました。
 ライやオペ、ベルトマンの持つ「点」と「点」がついに繋がり、帝国軍にユリカの情報まで一部判明してしまいました。
 
 さて、帝国軍はどう対応するのか? ユリカはどう対抗すのか? 

 次回の後半はそれぞれの新たなる体制の描写になるかと思います。(帝国は大して変わりませんが)

 一応、次回の更新は年末を予定していますが、年始にかかる可能性もあります。次回もお待ちいただければ幸いです。 ご意見とご感想、妄想も毎回お待ちいたしております。

 そういえば同盟軍の役職って一体何があるんだろうか……記載されている以外に知っている方がいましたら、ぜひ教えていただけると嬉しいです。私もさらに調べますが。

@統合作戦本部長
A統合作戦本部次長
B宇宙艦隊司令長官
C宇宙艦隊総参謀長
D幕僚総監
E査閲部長
F後方勤務本部長
G同盟軍情報部長

 2009年12月10日──涼──

 (以下、修正履歴)

 誤字や脱字の修正と文章を一部追記しました。
 文末に短編10話を加筆。


 2010年 元旦 ──涼──


 最終の修正を行いました。矛盾していた箇所や段落を修正。
 文末のIF短編は削除しました。

 2011年7月4日 ──涼──


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 ボツタイトルコーナー

 今回はありました。

@ 『新たなる潮流/そして──』
A 『終わり、始まり/そして──』
B 『私たちの始まり/そして──』

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 二次小説 「闇が深くなる夜明けの前に」の執筆の軌跡A


 このコーナーは、作者が執筆の裏側を勝手に書き連ねるコーナーです。

>>>TV版にするか劇場版にするか、作者は悩みました。

 前回の終わりはこんなでした。最終的にTV版じゃないとユリカをたてるのは難しく、以前、読者さんの質問に答えたとおりの理由でTV版にしました。その理由は五つありました。

@劇場版だとアキト側とナデシコ側の合流が難しいこと
A彼らは劇場版では、すでに成長していること
B上記に関連し、彼らの成長を銀英伝世界で書きたかったこと
Cユリカの復帰を明確にするのが困難なこと。劇場版ではルリが中心になっている。
Dユリカの方が感情が豊かなので、銀英伝のキャラとからませるのが楽しい

 以上のことから、TV版にしました。私にはちとアキトがシリアスになりすぎているし、「これはちょっとなー、ナデシコのクルーもバラバラだし」と感じましたのでTV版です。

 さて、だいたい資料を揃え、私は執筆にとりかかりました。ある程度の貯金をしておこうと序章から一章まで書き連ねようとしましたが、とんでもない量になったので分けることにしたと思います。

序章部分執筆日数 2008年5月14日〜5月29日
序章部分清書日日数 2008年5月27〜29日、6月1日、4日、6日

投稿日 2008年6月8日

 ちなみに、あとで他の作者さんの作品を見て「ずい分俺の序章って長いな」と感じましたw
 
 それから、初稿はB5ノートに書いてます(汗 ノートが増えて困ってます。なんでルーズリーフに切り替えたのですが、けっこう書きづらいという意表をついてくれました。

 ──続く──

◎◎◎◎◎◎◎◎◎メッセージ返信コーナー◎◎◎◎◎◎◎◎◎

こちらはいただいたメッセージの返信コーナーです。毎回書いてくれる読者様、メッセージを残してくれた読者さまに感謝いたします。

 ◆◆2009年10月26日◆◆

 ◆◆21時57分

 ウランフ、アップルトンが重傷ですか・・・。生きていれば十分復帰は可能ですが、どうにかはやめの復帰を望みたいですね。クーデターが控えている以上同盟に残されている時間は余りにも少ない。

>>>メッセージをありがとうございます。ウランフとアップルトンの容態は今話で記載しています。アムリッツァの結果は変わりましたが、流れはそのまま……
はたして、クーデターはどうなるのか、次回以降をお待ちいただければ幸いです。

 ◆◆22時4分

 同盟軍は何とか原作での生存者に加えて三人の名将を二人重傷とはいえ生還させましたね。生きてさえいれば相当医療技術が発達していることでしょうから十分戦線復帰できると思いますし、ベストではありませんがベターな結果では有りますね。
それに、第8・10・12の三艦隊が残存したことで優秀な将兵も原作よりも残りましたし。問題なのは相転移砲ですかね。アレの仕様は非常に大きな波紋を広げそうな雰囲気ですし。

>>>6個艦隊をそろえて善戦した同盟軍でしたが、提督の能力も同等以上が揃い、戦力でまさる帝国軍にはしてやられてしまいました。ウランフ、アップルトンともに重傷ですが、きっと回復してくれるでしょう。相転移砲の事実はどうなるのか……双方の陣営に注目しましょう。

 ◆◆10月27日◆◆

 ◆◆20時46分

 いつも楽しみに拝読させて頂いております<(__)>
ウランフ、アップルトン両提督が重傷とはいえ、なんとか6提督とも生還しホッと胸を撫で下ろしています。
とはいえ6艦隊とも損害も多く、国内体制や戦力の再建など多くの困難があるでしょうが、両提督の復帰と栄光の自由惑星同盟軍宇宙艦隊の復活を信じています。


>>>ありがとうございます。おかげさまをもちまして続けていられます。
同盟軍は原作より被害を受けなかったとはいえ、充分大敗ですから戦力の再建は困難を極めるでしょう。その中で原作よりも熟練兵が残ったので、同盟軍にあたえる人的影響は多少なりとも防げるのではないでしょうか。

 ◆◆2009年11月14日◆◆

 ◆◆23時25分

 ユリカが好感の持てるキャラに描けていて良いと思います。大変楽しめました。
×指令官→○司令官 の誤字は直してほしいです。
辞書で指令と司令の使い分けを確認してください。



>>>すみません(汗 えらい混乱振りでしたね。同音異語は特に気をつけたつもりだったのですが、華麗にスルーしていました。ご指摘ありがとうございました。五章以降は修正できたと思います。

 以上です。今回もご感想いただけると作者も次回の執筆に熱が入ります。

◎◎◎◎◎◎◎◎◎メッセージ返信コーナー◎◎◎◎◎◎◎◎◎

 

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