とある魔術の未元物質
SCHOOL145 世界を救う者と世界を守る者
―――運命。
人は運命に抗えないと言う者がいる。一方で人間は運命を打ち破ることが出来ると言う者がいる。相反する二つの意見、主義主張。果たしてどちらが正しいのか。その答えを用意できる者は少ないだろう。だが一つだけ自信を持って言えることがある。運命を打ち破ることは出来ずとも与えられた運命を知りながらも抗うことは出来るということだ。ただし運命に立ち向かう勇気がある者だけが。勇気なき者に運命と言う名の壁を破壊する力は与えられない。
アックアはボロボロの体をどうにか立ち上がらせると、自分で自分に簡単な治癒魔術をかけて応急処置をして地面に突き刺さったままのアスカロンを抜き取った。
どうやら命拾いをしたらしい。
アックアはフィアンマによって使役されていたガブリエルの力を削ぐ為、大本であるガブリエルの『天使の力』を吸い上げる作戦を行った。無論、サーシャ・クロイッツェフのような特殊な才能でもない限り天使の力をその身に収めるなど不可能なことだ。幾らアックアが聖人で『神の右席』であったとしても所詮は『超人』が精々。際限なくガブリエルの力を吸収していけば器の肉体が耐え切れず自壊する。アックアは自らの命を捨てる覚悟を持ってその自殺行為の作戦をとった。
しかしこれもアックアが聖人だったからだろうか。神というのは慈悲をくれた。アックアの体が再起不能になる直前、垣根帝督と一方通行の二人がガブリエルを倒したのだ。お陰でアックアはダメージこそ負ってはいるが取り返しようのつかない負傷はおっていない。
聖人としての力も『神の右席』としての力も残っている。
ただ……今は無理をしたせいで全開で動くのは無理だろう。精々普通の聖人レベルの戦闘力しか発揮できない。
（それで十分である）
足が動き手も動くなら、アックアは戦える。
まだ第三次世界大戦は終わっていない。ガブリエルを超える力をもつフィアンマは依然として天空の居城にあり、各地ではあちこちの勢力が絶え間ない戦いを繰り返している。
アックアは自分という人間がどこまでいっても『傭兵』でしかないことを理解していた。英国女王エリザードのように国を動かす力もないし、革新的な病気の治療法を生み出すこともない。世界中で蔓延る差別や貧困を解決する方法も知らない。だが、それでも戦う理由がある。
自分は傭兵でいい。傭兵という生き方で生ききる。傭兵故に不器用で無粋な方法しかないが、それでも目の前の悲劇を感激にかえるだけの力くらいはある筈だ。
「むっ！」
アックアが戦場へ赴こうとしたその時、上空のベンツへレムの星で、懐かしいような腹立たしいような、それでいて憎らしいような魔力の塊が噴出するのを感じた。アックアは噴出している魔力の質に心当たりがあった。奇妙な縁で何度も戦うことになった垣根帝督の魔力にそっくりだ。だが、何かが違う。例えるなら蛹が蝶へとなったような。
良く似ているのに違う。垣根帝督の魔力であることは間違いないと思うが、その方向性や根本などを総合したものが変容しているのだ。
こういう感覚にアックアは心当たりがある。今まで当たり前だったものが消失し、より高位の地点へと至ってしまうこと。
（……似ている。この私が『原罪』を消し去ることで『神の右席』になった時感じた違和感と）
聖人なのは生まれつきだが『神の右席』の力は後天的に得たものだ。『神の右席』になる際、人が当たり前にもつ『原罪』を消すことで人間から天使に近い存在へとなる。アックアが『神の右席』になった時も、今までの自分と今の自分に違和感を感じた。
（まさか垣根帝督は……っ。そうだとしたら…全ての説明がつく、ではあるが。―――――ッ！ 違う。垣根帝督だけではない。この肌を焼き尽くすような嫌な気配、フィアンマ！ まさかフィアンマも！）
ベンツへレムの星で二人の冒涜者が産声をあげた。
絶対にして全知全能たる唯一神。
その絶対神に並ぼうとする者。同格を示す右席へと座り、神を凌駕せんと企んだ冒涜者達。
彼等をローマ正教の暗部を知る者は『神上』と呼んだ。
「…………っ！ やはり、来たのであるか？」
歴史的瞬間をアックアは目撃する。
二人の神上が同時に現れる。こんな背徳的な奇跡、人類史全てを紐解いても見つかれぬ記述であろう。
ベンツへレムの星から二人の者が飛び立っていく。
一人は光り輝く十二枚羽を羽ばたかせながら。一人は燃え盛る炎の六枚羽を羽ばたかせながら。
垣根帝督とフィアンマは赤と光の線を描きながら時に交差しぶつかり合いながら雲を超え、ひたすら上へと飛んで行っていた。イカロスの努力を嘲笑うかの如く雄大かつ堂々と、太陽の光などものともせずに上昇していく。
人間の手の届かぬ場所、宇宙空間へと。
重力という鎖を引きちぎり地球という檻から抜け出た垣根とフィアンマ、二人の神上は軌道上で睨み合った。
学園都市という最先端科学の塊である学園都市で過ごしていた垣根だったが、まさか生身で宇宙に来る日がこようとは思わなかった。しかもこうして宇宙まできたのは科学技術ではなく魔術というオカルト。人生というやつは本当に分からないものだ。
「ベンツへレムの星から見上げる地上も良かったが、ここから眺める地球は格別だな。感慨深かろう、俺様が右腕を一振りすればどこぞの国に雷を落とすことも出来る。嘗て地球に生命が一つも亡き頃、神はここでこうして下界を眺めながら命を生み出したのだろうかな」
「御託ぬかしてんじゃねえ。こんな場所まで人様を連れてきやがって」
「そう言ってくれるな。地球は神上二人が暴れるには些か狭すぎる。俺様の目的は世界を救うことであって滅ぼすことではない。なのに俺様達が戦えば本当に世界が滅びかねん。その点ここなら誰も邪魔する無粋な輩はいない。鬱陶しいアックアも上条当麻もここまで来ることは出来ん」
「そりゃそうだ」
宇宙は生命が生きることを許さない極寒の地獄。
流石のアックアでも来れるとは思えないが、仮に来た所でこの地獄では生きてはいけないだろう。異能を殺す右手以外はただの人間の上条当麻は言わずもがなだ。
しかし垣根帝督とフィアンマは別。
二人は既に『到達』してしまった者。生命を許さぬ地獄だろうと自らの命を守る事ができる。酸素や重力など矮小なものなど二人にとっては語るに値しないものだ。尤も垣根はインデックスの十万三千冊の知識によって仮初の『神上』になっているだけだが、単純な力関係ならばほぼ同格だ。
「改めてお前には感謝するぞ」
フィアンマは仰々しく腕を広げながら言った。
「お前がいたから俺様は正真正銘の神上になることが出来た。もしお前という敵対者が俺様の下に現れてくれなければ、俺様は第三次世界大戦により人々に生まれる『悪意』という矮小な敵しか得られず仕舞いだっただろう。俺様の右手も『幻想殺し』と『十万三千冊』がなければ維持できぬものだった筈だ。お前はまさに俺様にとって運命が与えてくれた贈り物だったよ」
「ぬかしやがれっ！」
腕に力を込める。背中から生える十二枚の翼はまるで身体の一部のように思い通りに操ることが出来た。垣根は周囲に無数の光槍を作り出す。ルシフェルの全能性を使えば多種多様な魔術を操ることも出来たが、やはり光を掲げる者にとって扱いやすいのは光。火・水・風・土だろうと変幻自在に使いこなすこともできるが、フィアンマ相手となると光一本に特化した方が効果的だ。
「光り輝く十二枚の翼。ルシフェルの伝承通りだな。その光槍も『光を掲げる者』を背負うに相応強い力だ。槍の一本一本が街を吹き飛ばすだけのエネルギーをもっている」
光槍が一斉にフィアンマへと飛ぶ。
威力はフィアンマの言った通り一本が街を破壊する戦略兵器。当たれば聖人だろうと重傷は免れないだろう。
「――――――そして『光を掲げる者』を象徴するのが十二枚の光翼ならば、俺様の神の如き者の象徴たるは右手に持ちし剣」
フィアンマの背中のあたりにあった『第三の手』が粘土細工のように形を変えていく。鋭利な爪の生えた指は鋼鉄の刃へと、手の甲は剣の柄へと。
赤い炎を纏うのは天使長ミカエルが持ちし炎剣。フィアンマは自らの力をもって天上世界よりミカエルの剣を降臨させたのだ。
フィアンマは軽く炎剣を振ると光槍を次々に落としていく。
「神様から玩具貰ってギャーギャー吼えてんじゃねえよコラ」
フィアンマの炎剣に対抗するように十二枚の翼が輝きを増していく。
十万三千冊の知識が垣根の脳髄に流れ込んでいき、魔術によって構成された0と1にない超常の数学をその頭で解きだしていきフィアンマの炎剣に対する戦い方を算出していった。
「俺様にはどうもお前の戦う理由というやつが分からんな」
光と炎が互いを喰らい合う最中、フィアンマが小さく零した。
フィアンマの炎剣――――『神の如き者』の持つ性質は絶対性だ。如何なる相手だろうとそれを超える出力をもって打倒する絶対の力。100の力を持つ相手ならフィアンマは101の力になる。そして右手を振るだけでフィアンマはおよそ人が想像しうる殆どの奇跡を紡ぐことができるのだ。
「俺様の知るお前はもっと利己的な男だった。禁書目録――――インデックスの『首輪』をどうにかするために奔走していたようだが、それすらもお前は自己から湧き出る欲求に付き従ったに過ぎぬこと。決して上条当麻のような『善意』はなかった。お前は善人ではない」
「そんなことは、知ってんだよ！ 今更テメエに説教されるまでもねえっ！」
「だからこそ俺様は疑問を投げかける。お前はどうして俺様に挑む。俺様の邪魔をする。もはや俺様は目的を果たした。禁書目録もいらん。お前はその力で禁書目録を抱き抱えつつ俺様の行う救世を眺めていれば良い。世界中の人間がどうなろうと貴様には関係ないのだろう？」
「……まぁ、そうかもな」
炎が光を押し始める。
フィアンマの炎剣が垣根の光を侵食していた。
「そう言うテメエこそ、よくも世界を救おうなんざ考えるもんだ。これだから下手に頭の良い野郎は馬鹿なんだ。なまじ頭が良いだけの常人には理解できねえ思考にぶっ飛んじまう。世界なんざ救ってテメエは何が楽しいんだよ。俺はうざってえ野郎が軒並み死んで取り敢えずの『平穏』ってやつがありゃ幸せだとは思うがな」
「―――――――小さいな、垣根帝督。俺様と同じ神上に至ったとはいえ、やはりお前は『人間』という枠にはまった考え方しか出来てない。現実を見ろ、人類が始まって以来脈々と続く先端の歴史。第三次世界大戦を引き起こしたのは俺様だ。だが、もし世界というものに膿がなければ俺様がどうちょっかいを出そうと世界規模の戦争になんてことにはならなかった筈だ。人間は所詮、不完全なものなのだよ。人間が人間を統治し支配し裁く現代のシステムでは歪みを治せん。ならば人間を超えた力を持つ者が人間を統治してこそ世界というものは回る。俺様がそれを為す。俺様は世界を救う。人を超えし力によって！」
フィアンマの強い意志を吸い取ったのだろうか、炎剣がみるみるうちに巨大化していく。炎翼もそれに呼応し熱を増していった。
宇宙に満ちる熱き魔力。これがフィアンマだ。人間の身でありながら人間の限界を超え神の隣に至りし超越者。
古の英雄の誰もが今のフィアンマを前にしては膝を屈する他ないだろう。龍だろうと悪魔だろうと人間は倒すだけの底力をもっている。だが人間が決して勝てない相手こそが神。人間では神には勝てない。それが歴史に名を遺した英雄だとしても。
神を前にした垣根は顎を下げポツリと言う。
「――――小さいな、フィアンマ」
呆れ返ったように神たるフィアンマに言い放った。
ハトが豆鉄砲を喰らったようにフィアンマが怪訝の二文字を顔に描く。
「俺様が小さい……だと？」
「世界を見ろ。テメエは井の中の蛙だ。ローマ正教って小さい箱庭からしか『世界』を眺めていねえだろ。俺も、昔はそうだった。科学の中心、学園都市で闇がどうたら暗部がどうのこうのピーチクパーチク騒いでるだけの莫迦だったよ。だがな、フィアンマ――――テメエの救おうとしている世界ってやつはデカいんだよ。インデックスのことがあって俺はロシアやルーマニア、ヨーロッパのあちこちを飛び回った！ そこで知ったんだよ。世界中のあちこちには俺も知らねえような文化があったり宗教があったり考え方ってもんがある。世界地図に移ってるもんだけが『世界』だなんて思ってんじゃねえぞ！ 世界一デカいエベレストも！ 合衆国大統領も！ 下町で駄菓子屋やってる婆さんも含めて、全てが『世界』ってもんなんだよ。そんなことも知らねえような野郎が一丁前に世界を救おうなんざ吼えてんじゃねえ三下ァ！」
「屁理屈を。俺様も確かに『世界』に生きる一つ一つを認識してはいない。しかし、それを言うならば国の代表として首相の地位についている者達はどうだ。その者達は自分の国民一人一人の情報を暗記しているとでもいうのか。重要なのは『知る』ことではない。救ったという事実だ。事実があれば人間は救いを受け入れる」
「なら返答してやる。俺の知る国家元首は誰もテメエの言う『救い』なんて必要ねえって言うだろうぜ。命を賭けていい。特にアレイスターの糞野郎は最悪だ。テメエに救われて喜んで踊りまわるような愉快な生活はしてねえ」
宇宙を満たす炎が光に押されていく。
束になった光。光を侵食した炎を照らしだし押し返していく。フィアンマの炎が世界を焼き尽くすというのなら、垣根の光は炎を押し戻す。
「フィアンマ、テメエが世界を救うために戦うなら、俺は世界を守るために戦う」
らしくない台詞を垣根は吐いた。
自分でも笑えてしまうような歯の浮くセリフだが事実なのだから仕方ない。
「お前が、世界を守る？ 何の冗談だ？」
「俺の『世界』はテメエが救おうとしてる世界と比べりゃ小せえもんだろうな」
フィアンマが救おうとしている『地球』を見る。青い地球はまるで青いドレスをきた花嫁のようでもあった。
美しい。
芸術的完成などない自分でもそう思わずにはいられない。あそこには70億を超す人達が生活を営んでおり、それを遥かに超える数の生命が生きているのだろう。
垣根の世界は矮小だ。自分の知る世界は小さく、そこに生きる人は全体の1％にも満たない。
「だがテメエが救おうとしてる世界には俺の世界もある。俺の世界はテメエなんぞに救われたりはしねえ。テメエが世界をどうしても救いたければ俺を殺してから救うんだな」
「では、そうさせて貰おうかっ！」
炎剣を振るい宇宙に炎の川を作り出すフィアンマ。
問答は不要だった。
垣根帝督とフィアンマの二人が宇宙空間を飛び回りながら幾度となくぶつかり合う。炎と光が地球の外の空間を満たしていった。
「無駄だ！ ルシフェルは全能！ ミカエルは絶対！ お前では俺様に絶対勝てんッ！ 既に聖書にそう記されているのだからなっ！」
フィアンマの炎剣は再現なく力を増していく。垣根が炎剣の出力を超えようとすれば、炎剣もそれに合わせて出力を増す。それを超えようとすれば、また炎剣の出力が増す。終わりのない二拍子。どれほど垣根がフィアンマを追っても常にフィアンマはその一段階上の高みにある。
それでも垣根は頂上なき山を登りつづけた。
「フフフフーッ！ アーハハハハハハハハハハハッ！ 来たぞ、俺様の最大出力まで到達したッ！ これで貴様も終わりだな！」
嘗てない程に肥大化したフィアンマの炎剣。
熱風がソラを焼く。光翼を使い賢明に『命』を守ろうとするが、無慈悲な炎は容赦なく垣根の命を奪いに来ていた。
「お前も頭が悪いな。ルシフェルではミカエルには勝てんと、これは双子天使が世に産み落とされた当初から決まっている運命だ。これには抗えん！」
炎がやがて垣根の体を覆い尽くす。
紅よりも真っ赤な紅蓮の炎。熱さすら感じる事なく魂を焼く聖炎。それに包まれた垣根はやがて力を失い落下していった。地球の重力に足を引かれ、神上からただの人間が住まう下界へと堕天していく。光を掲げる者が地獄へ落ちた時の様に。
フィアンマは自らの勝利を確信して笑みを浮かべる。
「――――――――――だがな、俺達に運命は通用しねえ」
「なに？」
疑問の声を発するフィアンマ。その返答は顔面に突き刺さる右手だった。思いっきり殴り飛ばされたフィアンマは背中の炎翼を撒き散らしながら吹っ飛ばされる。
この宇宙空間でフィアンマを殴り飛ばせる者など一人しかいない。
垣根帝督はフィアンマの絶対を超える力を纏いそこにいた。
「な、なにぃ? お前のルシフェルは出力が最高の筈！ もはや限界を迎えたのだ！ なのにどうしてまだ出力が上がる！」
「言ったろうが。俺『達』に常識は通用しねえってよ」
垣根の隣に折り重なるようにしてもう一人の影があった。
普通とは違う真っ白な修道服とシルバーのロングヘア、透き通った緑色の瞳。身体は小さいが、彼女は垣根にとって最高の援軍だった。インデックス、唯一人垣根が命に代えても助けたいと思った少女。
「禁書目録の遠隔制御礼装から禁書目録の意志を！？ そうか……お前は、お前達は！ 『二人』だったのか！ 俺様は垣根帝督と戦っていたんじゃない！ お前達二人と戦っていたのかっ！」
ルシフェル一人ならばミカエルには勝てなかったかもしれない。
けれどルシフェルの傍らに最高の仲間がいれば、或いはルシフェルはミカエルを打ち破っていたかもしれない。
垣根帝督は一人ではない。どれほどの距離が離れていようと、同じ大地に足がついていなかったとしても、二人は常に共にあった。彼女がベランダにかかっていたあの時あの瞬間からずっと。
「俺様が、俺様が負ける、だと！？ お前の世界に俺様がっ！」
垣根とインデックス、二人の力は完全にフィアンマを上回った。
もはや二人を遮る障害はない。
（嗚呼、）
――――――おなかへった。
全ての始まりは少女のそんな一言。たった数か月前のことなのに何十年も昔のことに感じられる。ふとインデックスに出会わなかった場合、自分はどうなっていたのかを想像してみた。きっと碌な人生は送ってなかっただろう。もしかしたら学園都市の抗争で死んでいたかもしれない。あの出遭いが垣根の運命を変えた。
冒険の始まりは敗北だった。『自動書記』を起動したインデックスとの戦いに敗れ、インデックスは自分と出会った時の記憶を失ってしまった。それからエイワスという怪物と出会い、そこでロシアに行くこととなった。学園都市を出る前に『アイテム』の襲撃にもあったし、飛行機にのればテロリストにハイジャックされた。ロシアについた早々にアックアと戦うことになり、危ないところをサーシャやワシリーサ達に助けられた。エリザリーナには世話になったし大天使と入れ替わる何て騒動もあった。ローマで会ったオリアナやリドヴィアについて学園都市へ潜り込むことになり、その後はワシリーサの頼みでまた学園都市へ戻った。そして学園都市の策略で心理定規が死に自分も重傷を負った。イギリスのクーデターでは我ながら暴れすぎてしまった。
幾度とない大冒険を乗り越えて、最後の敵を倒す。
「なぁ神様、聞いてるかよ。アンタはなにやら御大層なシステムを作ったようだが」
フィアンマの首根っこを掴み地上へと投げ飛ばす。
真っ黒な景色が一転して雲だらけの白に包まれる。大気圏の壁を意図も容易く突き破りフィアンマの首根っこを掴むと、そのまま垣根は急降下していく。
やがて白い大地が見えた。雪に覆われたロシアの大地。
「――――――この垣根帝督に！ テメエの作った『常識』は通用しねえぇッ！」
右手がフィアンマの顔面に突き刺さる。
フィアンマの体が流星のような速度で消えていった。ルシフェルは大地に残りミカエルは地に堕ちる。
聖書とは逆の結果。
垣根帝督の戦いは終わった。
後書き
あれ？ 変だな？ 垣根が普通に主人公している？
というわけでインデックスとの愛の力でフィアンマを見事に倒しました。きっとインデックスのヒロイン補正が垣根の逆補正をほんのり中和してくれたんでしょうｗ
次回！ 遂に垣根の願いが成就します！ 本当に成就します。絶対成就します！ ホントなんだってば！ バッドエンド大好きな作者だけど本当に垣根の願いは叶いますよｗ
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