第203話『第銀河英雄伝説編2 アスターテ会戦』
アスターテ会戦…アスターテ星系でまもなくおころうとしている戦いであった。
第五次、第六次イゼルローン会戦において帝国軍は勝って当たり前のが、肉薄や直接攻撃を許している苦戦と、
帝国臣民や貴族達の心象にはあった。
それに対して会戦における華々しい勝利をと、
即位30周年の華を沿えるべく帝国軍は侵征決議し同盟領へと出征していき、
第三次ティアマト会戦がおこった。
同盟軍は敗走し、帝国軍は深追いをせず勝利をもぎとって帰還する。
第四次ティアマト会戦はイゼルローン攻略に向かった同盟艦隊が、
帝国軍迎撃艦隊出陣の報をうけ艦隊戦にきりかえた為におこった会戦だ。
この会戦は消耗戦におちいったが帝国軍の勝利に終わる。
帝国では年度があけて出征が決定され、
ラインハルト上級大将を司令官とした軍団2万規模が編成され、
同盟領へと向かっていた。
フェザーンから情報を受けとった同盟軍は、
必勝の構えで2万の倍約4万構成になるよう、3個艦隊規模の派兵を決定。
当初はウランフ提督等第十艦隊等精鋭を予定していたが、
評議会からの圧力で第二、第四、第六艦隊が出陣していく…
誰もが同盟勝利を疑ってなかった。
……
第二艦隊旗艦パトルクロス艦内では…
「それでは艦隊作戦会議を行う」
「では私めから説明いたします。
今作戦主目的は、我が方のアムリッツア星域へ接近中の、
帝国軍ラインハルト艦隊約2万の編成艦隊の撃退になります。
最高評議会ではダゴンの戦いの様な完全勝利を望んでおり、
その際に使われた包囲陣による殲滅を採用。
我が艦隊は艦隊司令協議の結果、右翼を担当。
迂回して敵3時の方向から包囲網を形成、
敵艦隊の殲滅を狙う事となりました。
また敵艦隊は定石通り中継衛星を破壊しつつ来ており、電波妨害による隠蔽が予想されます」
「閣下、わたしの作戦案はいかがだったのでしょう?」
「これかね…」
「はい」
「この作戦案に賛同するものはいるかね?」
一人もたたない。それを確認して…
「ヤン・ウェンリー准将、確かに作戦は読ませて貰った。
しかしいささか慎重論過ぎる。敵に比べ我が方は倍だ。
逃げ道を考えて戦っている場合ではない。
何故今更負けない算段をしなければならないのだ?」
「しかし、戦場では何が起こるかわかりません。油断は禁物でしょ?」
「とにかく全員の意見でこの作戦は却下する。
いっておくが…君にふくむところがあるわけではないぞ」
「そのお言葉だけで充分です。では」
ヤン准将は作戦案を拒否され退出していく…
……
(え〜と、艦隊にそれぞれとりついた。増えている…で、大丈夫だよな?)
各艦隊にとりついた分裂体がどんどん分裂して別の艦にとりついていってる…
その数既に3万以上にわかれていった。
殆ど不死だからよいもののその単体能力自体は普通の人以下にも劣ってきた。
その他ちまちまトリップ中に同化改造していた貨物船ペレグリン級を投入。
艦内では詰め込み要員の分裂体が100体スタンバってる。
初めて他世界で利用するOG世界の艦船だが、
もちろん同化でキャーティア技術を投入等色々強化し、特にステルス等は自重なく強化されそうそうにばれはしないだろう。
そしてルーロス内ではムーア提督とラップ少佐が入ってる救助カプセル…もとい遠隔擬体カプセルが転がってる。
初の試みなので動作を監視しておくつもりだった…
戦況は同盟軍が数に劣る帝国軍艦隊に対し3方向からの包囲殲滅を選択、
これは過去のダゴン会戦の際に同盟側が圧勝した結果があり、
数の差から殆どの者は同盟側勝利を疑ってなかった。
まもなく戦端が開かれる…
−第四艦隊旗艦レオダニス−
『まもなく敵艦隊予定宙域到達』
「よ〜し…作戦通り包囲を形成させる。距離を保ち第二、第六との連携をたもつぞ…」
パストーレは計算しつつ…
「各艦停船せよ」
『各艦停船』
「よ〜し…よし…そろそろ…」
『敵艦隊、予定の宙域に留まらず、我が艦隊へと接近してきます』
「むっ、全艦後進!!…距離を保つぞ」
『敵艦隊、更に接近!』
「全艦全速後進!!第二、第六はどうなってる?」
戦域スクリーンには第二、第四艦隊が回頭しつつある状態であり、
相対距離からは引き離されていく。
『敵艦隊、更に接近イエローゾーンに侵入!』
「帝国の司令官は何を考えている!?」
『敵艦隊レッドゾーンに侵入…敵主砲、ミサイル攻撃きます!』
機先を奪われた第四艦隊…
「これはどういう事だ!?迎撃せよ。全艦総力戦用意、スパルタニアン全艦発進!」
スパルタニアン…同盟軍の40m級宇宙単座式有人戦闘機で、
近接エリアでの最大戦力で、制宙権を握るのに必要な機体であった。
ここまで近接される前に真っ先に発進命令を出すべきだったろう。
包囲網を完成させる為に、距離を保つ事に集中していた為、抜けてしまった重要な一言だった。
『敵戦闘艇強襲、スパルタニアン発進まにあいません!』
先制された状態ではたやすく発進できるわけでもなく…
戦闘艇の発進命令がだされたが遅すぎた。
パイロット達が待機室から愛機へ急いで向かう。
パイロット達が愛機に搭乗したままでは疲労が蓄積するのは変わりない。
なので待機室から向かうが…人間の足だ。
各待機室から搭乗まで50秒はかかる。
同盟側空母ラザルス級は900m級の重量級で、
戦闘艇を100機搭載可能であり、命令が下ってから各待機室からパイロットが搭乗後40秒程で100機の全力出撃が可能であった。
だが全力出撃を可能とする為に、100機が10×10の並んで列をなす半開放収納型であり…
現代で考えればハリアー等のVTOL機が、
平甲板の空母に全機駐留していると思ってもらえればよいだろう。
そこにミサイル等が発進準備を終え燃料満載の機体の中へ飛び込んできたら…
『空母アルキメデス3、ロータス7撃沈!発進不能!』
下腹部に見えている発進前のスパルタニアンに、
次々とワルキューレ…帝国側の戦闘艇から放たれたレーザーが命中、
エネルギーが満タンの状態の機体が爆発し、次々と他機が爆発、
誘爆を引き起こす。100機の連鎖的爆発がおきた。
正面からの艦砲射撃には頭でっかちの分厚い装甲および防御シールドで、
堅牢な防御力を発揮する同盟空母であったが、
まさに火薬を腹に抱えているようなもんである。
『空母全撃沈!!空母からのスパルタニアン発進確認できません!』
第四艦隊には直属に非常にコストのかかる空母が1000隻編成されてたが、
全て轟沈してしまった。
出撃できていれば空母だけで約10万機あまりのスパルタニアンであり、
艦の防御シールド内部へ潜りこめば1機で艦を斬る事ができる機体である。
ラインハルト艦隊も楽はできてなかっただろう。
正面から正対する予定だったのが…
「持ちこたえさせろ!!全艦密集陣、撃て!!」
しかし…この時点で全体の24%に被害をうけ、
近接戦の主力でもあるスパルタニアンの過半数を封じられたのが痛かった。
出撃できたのは戦艦に搭載されている機体だけであった。
同盟側の戦艦も大半は半開放式のスパルタニアン収納部が最大の弱点といえた。
エネルギー満載のスパルタニアンにパイロットをのせやっと放出し…
間に合わなかった戦艦は次々とワルキューレのレーザーがスパルタニアンに命中、誘爆し轟沈する。
空母に比べたった9機で、
また整備スペース等も空母に比べ劣り反復攻撃等はしずらく、
発進にも空母よりかは時間がかかる。
それでも3分半程で全力出撃していき…
『戦艦レメウス215轟沈!』
『戦艦クロス312、サヨナラを打電してます』
「むぅ…」
戦場にスパルタニアンは約半分強の13111機にまいかあがったが、
既に制宙権を握られ単純に数の差で減ってく一方である。
艦船数の多い巡航艦も半開放式で3機搭載してはいるが、
機体からはエネルギーや弾薬を常時抜いているのと、
偵察任務等の専用機体、強行偵察型が搭載されて戦力外だ。
なので命中しても誘爆はないが為に戦艦に比べて被害はすくない。
だが敵艦からのシールド担当の戦艦が早々多数爆沈している為に、
相対的に被害が拡大しつつある。
1番被害が少ない艦種は火消し役の駆逐艦であり、
側面砲搭及び対空砲搭、短射程ながらの火力をもち、かなり堅牢でもある。
今もワルキューレが襲い掛かろうとして駆逐艦からの砲火に火だるまになった。
次第に被害数値がどんどん上がってく…
「第二、第六艦隊に打電!我敵艦隊に突貫す!
同盟に栄光あれ!
全軍機関最大、突き抜けろ!」
全滅覚悟の命令を下して旗艦レオダニス以下が突貫するが…
『敵艦主砲正面!!シールド容量80%!!』
「怯むなぁぁ!」
『シール…』
敵主砲が防御シールドを突き破り艦橋を貫いた…
レオダニスが炎に包まれ轟沈する。
分艦隊司令のフィシャー准将が引き継いだ時には、第四艦隊は分断され、連携がとれずに…
組織だった抵抗ができず、少数グループに別れていた状態だった。
フィシャー准将は生き残りを選択、
四方八方へと散会していった。
帝国艦隊は追撃掃討をせずに突き抜けていく…
生き残りの第四艦隊所属艦艇は、電波妨害下であった為、レーダーにも映らないが、戦域外のある一点に対して上官の指示通りに艦を進めていく…
……
第六艦隊は既に戦闘待機命令をだして長い時間たっていた。
兵士達は緊張が続くなか、司令官に文句を言わずに艦隊の運営等についている。
「まだ見えぬか…」
電波妨害下ではレーダーは使用できず、艦橋のムーア苛立っていた。
「あとどれ位だ?」
『会敵予想まで残り1時間!!』
「そろそろ正面に敵艦が見える、正面観測厳にしろ!
くそっ忌ま忌ましい…
電波妨害がなければ…」
『四時半方向に艦影』
「四時半方向だと?」
右手後方の方向から艦影が表れた…
「敵です。迎撃の用意を」
「うろたえおって…敵は我々のゆくてだ。そんな方向にいるはずがない」
「ですが閣下、敵は恐らく戦場を移動したのでしょう」
「第四艦隊との戦闘を放棄してか?」
「申し上げましたでしょう…第四艦隊は既に敗退したのです」
「不愉快な事をいうな」
「現実はもっと不愉快です」
『敵襲です!!』
敵艦隊からの主砲斉射及びミサイルが第六艦隊へと襲いかかる。
「応戦だ、反転して応戦だ!」
「いけません。勝敗は目にみえてます。
今は少しでも犠牲をすくなすすべきです」
しかし命令は続行されつつ…停船反転が…
振動が艦をおそい…
「黙れ…俺は卑怯者にはなれん」
艦橋に爆発がおこり、
擬体ラップ少佐は柱に押し潰される…
「ヤン、お前はこんなざまになるなよ」
胸ポケットから3Dフォトがでて…
「ジェシカお前とも会えなくなった。ここで消える俺を許してくれ…」
ペルガモンの艦内に炎が巡り爆沈する…
第六艦隊は早々と旗艦を失った事により、
生き残った幕僚の指揮する戦隊に引き継がれたが、
もはや勝敗はけっしていたといえよう。
不利な後方からの襲撃により混乱により各個に逃走し始める艦、
旋回命令を律儀にまもり旋回中に撃ち抜かれる艦、
また逃走中の艦が被弾そのまま旋回中の艦に突っ込み炎上する。
幕僚が引き継いだ時には、最大戦力であった13000隻が、既に8000隻辺りまで減っていた。
『旋回、応射せよ!!』
そして幕僚は前司令の命令を引き継いだ。
主砲攻撃がくるなか、愚かな事に停船旋回する…
正面に正対し、撃ち合うように造られている銀河英雄物語の主力艦。
対艦火力も正面方向にすべて向けられていた。
また撃ち合い想定も正面である。
その為正面に向かなければ撃てない。
何故側面には…それは被弾面積割合だ…
このように次々と主砲ビームが突き刺さると防御シールドが破れ、
艦中央や機関部に突き刺さり、
爆発炎上してしまう。
その為基本は、被弾面積が一番少なくなるように、
正面正対で撃ち合う形で設計されていた。
また反転する速度は個々の艦によっても違う。
連携とりつつ等できないものだ。
つまり艦隊として統制した行動等無理であり、
秩序の維持もできないものだ。
次々と撃ち抜かれ、
勢いにのる帝国軍艦艇に反撃できるように旋回し終えた時には、5000隻を割っていた。
愚かな命令をだしたムーアと引き継いだ幕僚により、
艦隊の半数以上がすでに沈んだ。
そうなると数の勝負である…
約19400隻対約4900隻…
勢いにのるラインハルト艦隊はそのまま蹴散らし、
早々と幕僚がのった艦を沈め突き抜けると…
残存兵力を放置し、第二艦隊予測宙域へと向かう。
生き残った艦艇数は…かなり少なかった…
第四艦隊は運用の才能がある、フィシャー准将が生き残りをかけ本気でランダム分散をしたおかげで、
集結地に向かっている艦艇が約6400隻程、
集結したら戦闘行動は可能だろう。
一方第六艦隊は愚かにも停船回頭繰り返したおかげで…
戦闘行動可能だけでなく、生存している艦艇は2000を割っていた。
……
擬体遠隔カプセルの正常動作を確認し虚数空間へと引き込む。
「一方的でちね〜」
「で、この後逃げ腰の第二艦隊と対戦するんだね」
ペレグリン級艦内は戦場だろがルーロス内で休息をとっていた。
死者の詰め込みは終わっているが重傷者
、重体者や負傷者の詰め込みは終わっていない。
「数のうえではもう決まってるでち」
「ところがそうでもないんだな…」
「ふぇ?なんででちか?」
「第二艦隊旗艦の艦橋出してみて」
スクリーンに艦橋内部が映される。
勿論ハッキングの成果だ。
「この人が艦隊司令なんでちよね?不安顔しているおっちゃん」
「あ〜…その人でなく、多分左にいる…うんその若手組」
「この人でちか?」
「その右手側にいるのが、キーの人だね。
ヤン・ウェンリー准将…奇跡のヤン、魔術師のヤン…
このころはエルファシルの英雄と呼ばれるのみかな?…」
「そのキーの人が司令押しのけるでちか?」
「いんや、それまではしないね…」
帝国艦隊は残る艦隊の場所確認の為電波妨害を解除し、互いに正対しあえる方向へと進路をとっていた。
戦域に残るは数で劣る第二艦隊と壊滅した第六残存艦隊、
そして戦域外に集結中の第四残存艦隊…
『敵艦隊。我が第二艦隊に接近中!』
『第四艦隊、第六艦隊亡き今、数の上では圧倒的に不利だ』
『閣下、全艦攻撃準備を!』
『あっ、ああ…そうだった!』
この時点で数で勝る帝国艦隊が第二艦隊に襲いかかる。
『全艦応戦!砲門、開け!』
機先を取られた第二艦隊。
「あ、旗艦損傷したでち」
「そろそろだな…」
『こちら後部砲塔、艦橋応答せよ、
どうか司令を。
こちら後部砲塔、艦橋応答せよ、
どうか司令を』
『機関室、こちら機関室、艦橋応答願います』
「気がついたな」
『こちらは機関室艦橋応答願います』
『総司令官が負傷された。軍医は艦橋にきてくれ。
運用士官は被害状況しらべて修復せよ。
報告は後でいい。
後部砲塔は各個の判断で攻撃続行、
機関室は何か?』
『艦橋が心配だのです。機関室に損害はありません』
『あ〜それはよかったこちらは機能している。安心して任務に専念してくれ』
また引き出して重傷者をカプセルにいれシェルターにいれる。
「これでヤンが艦隊司令の位置にたつんだよね」
「でも最悪の段階でちよ?」
『全艦隊に告げる私は総司令官の次席幕僚ヤン准将だ。
総司令艦は旗艦パトルクロス被弾の為重傷をおわれた。
総司令官の命令により私が全艦隊の指揮を引き継ぐ。
心配するなぁ。我が部隊は負けやしない。
新たなる指示が出るまで各艦は各個撃破に専念せよ以上だ』
「あ、ごちゅじんたま、帝国軍艦隊が鏃のような形になってきたでち」
「紡錘陣形だね。中央突破を狙っての陣形さ」
「中央突破でちか…
この先頭の船はちずむ確率たかいでちよね」
「まぁ…だろうな…けど軍隊だから、命令には従わなければならない…
助かりたいからって離脱は逃亡罪かな?死ぬより悲惨らしいよ」
実際小隊等で敵陣地の射点確認に、部下を2から3名先行させる。
この事にたいして杭命は罪に値するのが軍隊という組織だ。
なをすこしずれるが、人道的にという意味での杭命権=民間人を虐殺しろの命令に対しての杭命権は、
ドイツ等ではあるが、自衛隊では実は杭命権は存在しない。
『各艦に通達、戦術コンピュータのC4回路を開け』
ラインハルト艦隊は紡錘陣形で中央突破を決行しはじめた。
『主砲斉射』
至近距離から主砲の直撃し、敵艦は防御シールドの負荷が突破し直撃、爆沈す。
『敵艦、ケルベレン正面!!』
『回避せよ』
敵艦が艦の左側を通ってく。
側面砲塔からシールド負荷を少しでもあげようと…
第二艦隊は傍目には中央突破の圧力にまけて、
分断されてる様に見えてた。
『今だ!機関全速』
両側に広がった第二艦隊は、ラインハルト艦隊の外側を走りぬけ…
『味方艦隊、敵の後ろにでました!』
ラインハルト艦隊の後方へと踊りでた。
『敵、前進を続けます』
ラインハルト艦隊は後方をとられたので、
全速力でヤン艦隊の後方に回り始めると…
「あれ?輪になったでち…」
「互いに互いの尻尾を食う形にね。
正面火力集中型だから、まぁこうなるんだよ」
ヤマトみたく砲塔型ならまだ横方向にも撃てたかもしれない…
だが、正面のみでこうなると…
「尻尾しか食えなくなり…しまいにはしようめつするでちね」
「単純には数で勝る帝国艦隊が食い切るかもしれんが、
まぁ被害も馬鹿にならない消耗戦になるからね…」
帝国艦隊の先頭が輪から離脱し始めた。
それに合わせて第二艦隊も追撃せずに敵艦隊からはなれてく。
『ヤン准将!帝国軍から電文が入りましたよ』
『電文か。読んでみてくれ』
『じゃ、ええと…貴官の勇戦に敬意を表す。再戦の日まで壮健なれ。銀河帝国軍上級大将ラインハルト・フォン・ローエングラム』
『勇戦と評してくれたか。恐縮するね』
『どうします?返信しますか?』
『いやぁ、いいさ。放っておいて。先方もそんなものは期待していないんじゃないかな。
それより残兵の収容を急いでくれ。助けられる限りは助けたい』
『ずいぶん犠牲が出たでしょうね・・・他の艦隊は』
『ああ。それに今回は、第六艦隊のラップ少佐を失った…惜しい奴だった。各艦に通達、
以後戦域での救助活動を行う』
ラインハルト艦隊の撤退を確認した第二艦隊は、
同盟勢力下にあるアスターテ星系の後始末を、引き継ぎの艦隊がくるまで、星系の復旧及び残存艦挺の救助を行い始めた。
無事な艦艇から100隻単位ずつに別れはじめて、
戦域にのこされた帝国軍の妨害衛星の除去。
治安維持の為敵離脱艦の有無の捜索。
第四、第六艦隊の残存艦隊の捜索救助等にわかれていった。
……
アスターテ会戦は、同盟側の大破、損失艦隊が実に約22,600隻にも及んだ。
アスターテ会戦の戦闘に動員された将兵は、帝国軍245万、同盟軍406万。
しかし戦死者数は帝国軍の15万に対し、同盟軍は実に十倍に及ぶ150万を数えた。
だが政府は敗戦であるアスターテ会戦を大勝利と発表した。
それにはあるマジックがある…死者数はごまかせないが、
損害艦船数はごまかすことができる。
艦船名であった…
テネシー251は破壊されたが、テネシー253は存在する。
そして家族にはテネシーのみしか伝えないようにし、
末尾番号を伝えるのは軍規で禁じている。
司令座乗艦等は艦名は1つだが、これにより同名艦は多数存在する扱いで、
かつ1隻の扱いであった。
他にも巡航艦の乗員数を定員の2倍と公式的には発表し、
撃沈数を大幅にごまかし大勝利と発表している。
もちろん死者が大量にでてごまかす事はできない為、中破や大破で損傷艦として修理を要する、
つまり無傷な艦は少ない扱いにはなっていた…
……
寸劇風後書き
作者「アスターテ会戦をおおくりしました」
ナギ大尉「作者、それぞれの艦隊の構成数書いてないけど…?
第四艦隊の空母が1000隻だけよね」
作者「うっ…え〜と…一応第四艦隊は戦艦2000、巡航艦5000、空母1000、駆逐艦5000、輸送艦250と考えてます」
ナギ大尉「第六艦隊は?」
作者「えっと…戦艦2000、巡航艦8000、駆逐艦3000の輸送艦400」
ナギ大尉「第ニ艦隊は?」
作者「文字数が多くなるので艦隊総数だけで勘弁して下さい。13300です」
ナギ大尉「あと輸送艦はなんで入ってるの?」
作者「…後ほどのネタで…さて次回、地獄への道程、お楽しみにぃ」
H26年1月再改稿
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