第204話『銀河英雄伝説編3 地獄への道程』


アスターテ会戦が終わり、ペレグリン級も回収し…

「ん〜楔拠点をどうするかだよな…ハイネセンは遠いし…
ハイネセンが舞台になるのはだいぶ後だしなぁ…」
1番最初の楔であったテネシー251は撃沈した。
今では星間を漂う鉄屑であろう。

「そうでちね…この星系はどうでちか?」

「ん?どれどれ?」

ヴァンフリート星系をルーロスがさしている。

「あ〜…たしか…無人にもうなってるよな…」

イゼルローン回廊に程近い星系で、
イゼルローン要塞攻略の為の後方支援基地がつくられていたが、
あまりにも近かった為に襲撃を受け甚大なる被害をうけた。

その襲撃は全くの偶然ではあったが…

会戦がこの星系で起き、隠蔽工事中であった基地は艦隊戦中にはばれてはなかった。
だがグリンメルスハウゼン艦隊が北半球へと降下して補給基地をつくり始めてから状況が変わる。

一旦混迷状態だった戦場から引かせ、お荷物の艦隊…
万が一ラインハルトが部下にいた時に死なれると寵姫が許しはしないだろうと、
お荷物となった艦隊だ。
帝国側も予想だにせず、武勲にあせるリューネブルクが攻撃の指揮をとり襲撃してきた。

結果薔薇の騎士連隊も被害がでて、
かつ基地司令が捕虜になる等被害がでかかった為に、
再建は諦められ爆破処理された。

薔薇の騎士連隊…

同盟軍最強の陸戦部隊であった。
亡命兵らで構成され、元々は政治目的で組織されたが、屈強な者があつまり、
その名声は紋章をみれば気の弱い帝国軍兵士らは漏らしたり崩壊する程だ。
連隊だがその戦力は師団規模に匹敵する。

また同時に危険性も備わっていて、歴代連隊長で退役したものは12人中2人、
半数の6名は帝国へと逆亡命していた。

現代の連隊長はワルター・フォン・シェーンコップ。
当時は副連隊長であった。

同盟最強の陸戦隊をもってしても、基地は広く、
また一個艦隊規模の兵器や兵士を全て迎え撃つにはたりなかった。

「じゃあ楔はそこと…あとイゼルローン要塞いってハイネセンだな」

「了解でちぃ〜」

イゼルローン要塞、帝国側の回廊の要塞で、楔拠点としては人がいすぎて相応しくないが、
情報取得の為に向かう…

イゼルローン要塞…回廊に設置された直径は60kmの巨大な帝国軍所有の人工要塞。

惑星表面は超硬度の結晶繊維とスーパーセラミックで覆われており、
近接した敵に対しては浮遊砲台及び最大戦力のトールハンマー…所謂要塞砲で迎撃し、
その威力は一個艦隊位なら消滅してしまう程だ。

内部は広大な宇宙港を持っており、最大で2万隻の艦隊を収容可能。
また長期的な籠城を可能にする軍需工場や格納庫もあり、
イゼルローンに駐留する兵士の食糧を自給自足可能な農場施設も存在し、
更に民間施設も充実しているため物理面だけでなく精神的にも長期戦に対応可能とまさに難攻不落であった。

カオルはヴァンフリートに楔打った後より、帝国軍の軍用情報取得およびビダン菌打ち込み…

……

アスターテ会戦後…

敗戦であったアスターテ会戦を大勝利と発表した以上、政府は1人の英雄をたて隠蔽工作にはしる。
第ニ艦隊で途中から指揮をとり全滅を防いだヤン・ウェンリー准将を…

ヤンを少将に昇進させ、第四・第六残存兵力に新兵を加えて第十三艦隊を編成し、
司令官として彼を就任させ、そしてイゼルローン要塞攻略を命ずる。

過去数個艦隊規模での攻略に失敗しつつあるのに、
半個艦隊規模で無謀ともいえる命令であったが、
ヤン自身の提出したレポートにシトレ元帥が興味をもち、
いけると判断し抜擢。

他の上層部は失敗を予見しトリューニヒトも軍部の力を削ぐ点で許可をした。

そして見事に奇計…
拿捕した帝国軍艦に白兵戦部隊を帝国軍服をきせてイゼルローン要塞に接近させ、
要塞内部に侵入、同盟最強の部隊が見事に制圧し悠々とイゼルローン要塞内部へと入港する。

現代では他国の軍服を着て作戦に従事するのは、偽装兵装といって立派なジュネーブ条約違反ではあるが、
銀河英雄伝説の時代には互いに国として認めてないが為に、
また地球時代の国際条約なんかあったもんでない。

ただ…国際条約はないが、やられたらやり返されるが為に法…
帝国側は人道で降伏は認めていて、
相手側の捕虜を収容する施設等も建設されていた。

イゼルローン要塞を制圧した同盟、国民は熱狂し出兵を世論は次第に求めてきた。

軍部はそれを抑えるべく…
理由としては財政や人材問題が破綻すると現在のシトレ元帥らの上層部は判断していた。
少なくとも回復の期間は必要だと…

だが…フォーク准将が一回は上層部に退けられた大規模侵攻作戦案を、
直接議員を通して最高評議会に提出する暴挙にでる。

議会は軍部から提出されたと渡りに賛成多数、否決派少数で出兵を議決する。

評議会で決められたからには出兵せざるえない軍部…
建前の出兵もフォーク准将が作戦参謀についたが為に、
大規模動員をせざるえなくなる。

イゼルローン回廊をおさえた為に帝国軍の脅威が減った為に、同盟領内の各辺境警備艦隊からの抽出もおこない…

そして…

宇宙歴796年8月

イゼルローン泊地には、
要塞内部におさまりきらない大規模艦隊が集結。
その数要塞内駐留ロボス艦隊以外で、8個艦隊約12万隻、支援艦艇集団約6万隻…
合計約20万隻に及んでた。
帝国領土に侵攻しようとしていた。

一方…フェザーンから大規模侵攻情報を流してもらった帝国軍は、焦土作戦を計画、
非人道的にイゼルローンからの侵攻ルートにあたる人民から食糧を徴収し回収しようとしていた。

22日、同盟軍の大規模侵攻が開始された。
それを探知した帝国軍、焦土作戦を開始する。

焦土作戦…
本来であれば人民を引き上げ相手側の軍に利用価値のある資源等を残さない作戦である。
回復した後に住民の生活等に深刻なダメージが残るが、
敵軍側補給系統に深刻な負担がかかる為に、
特に寒冷地等においては寒さによって効果的でもある。

例えばだ…極寒の地において木を燃やし尽くし、建物も燃やしつくしたら…
敵軍はもってきた分しか使えず食糧も直に炊けなくなり、
補給まちとなり多大な負担がかかる。
また寒さを凌ぐ建物もなく…犠牲者が大量に発生するだろう。

ただし緑豊かな温暖気候や自然回復力が激しい熱帯では効果が薄く、
最大限の効果を発するのは食糧や燃料事情が厳しい乾燥地域や寒冷地域である。


街の住民ごと虐殺した焦土作戦も人類史にはあった。
ニコラエフスク・ナ・アムーレでの焦土作戦である。

赤軍パルチザンのトリャピーツインらの1部分軍の暴走による残酷な事件ともいえるが…
日本軍を足止めすべく赤軍関係者を移動させた後に地元住民を虐殺し街を廃墟にした。

生き延びたのは赤軍進行時に町に居なかった者や、
虐殺前に自主的に退去した外国人…町にいた者は虐殺された。
あと個人的に中国人に匿われた者、
また逃げきったものだけであった。

この焦土作戦は見事に足止めに成功し、赤軍パルチザンは悠々と撤退していった。他の者の多大な犠牲により…


銀河帝国軍は、臣民だけを各惑星に残し、
返却を約束するも、食料、医療品、その他生活に関わるのを一切合財徴収し、
また田畑は焼き払い、牛や家畜等も回収し、撤収していく焦土作戦をとる。

臣民も避難させるなら惑星全土の緑を焼き払い、
海や川に毒物等を流さなければ完全な焦土作戦にはならず、
その際には復旧に多大な労力がかかる。

同盟側の人道的措置をとるだろうとした、
食糧負担をねらった焦土作戦であった。

回収にあたった帝国軍艦船が同盟に発見される訳にはいかない。
ケスラー提督のもと、迅速に回収され同盟軍がくる前に撤収していく事に成功した。

帝国領へと侵攻していく同盟軍の大群が、帝国軍の抵抗受けずに帝国領の星系へと進出し、
地上へとシャトルで降下すると、両手をあげて解放軍として歓迎された。

ただし政治的な解放軍としてではなく飢えから解放される解放軍としてだ。

次々と帝国領土内部へと侵攻していく…



……

しかし…ある辺境惑星が焦土作戦により飢餓による滅亡の危機にひんしていた。

ジャムシードの宙間工廠及びモジュール生産施設等を、ナノマシン利用で取得したカオル一向。

「この星か…」

イゼルローン要塞の分裂体及び、回収を任されていたケスラー艦隊司令部に取りついていた分裂体からの情報で、
回収したはものの未だに同盟軍がこない…いや同盟側が認知してない惑星がある事をしり、
惑星衛星軌道上へとたどり着いた。

集音マイクで地上の様子を確認すると…
『どなたか、ミルクをわたしの赤ちゃんにのませるミルク、
あまってませんか?』

『ママーお腹すいた』

『畜生、俺らは帝国にすてられたんだ』

『果樹も作物も何もないのに、どうすりゃ』

同盟軍はイゼルローンからオーディン方向へと、基本的に侵攻範囲を広げていった。

一方帝国軍はイゼルローンから考えられる範囲のすべてを、
同盟の勢力進行スピードを予測して回収…

その戦略的違いが、この星の運命が決まった。

帝国軍も同盟の勢力圏拡大で侵攻してるものと思い引き上げた。
例えその星に侵攻がないとわかったとして、補給しようにも…
同盟の勢力圏内を物資積んだ輸送艦隊が横断しなければならない。

同盟軍が欲しがる補給物資をだ。

一方同盟は既に補給線がのびきってとりあえず休止の状態で、
そのような惨状の星がある事すら知らない状態でもある。

惑星住民が助けを求めようにも市民には個人船をもってもなく、
貴族も引き上げていった…

そのような星が幾つかあった。

「助けて回収するか…ルーロス姿あらわして地上におりてくよ」

「了解でち」

この惑星に4つあるオアシスの内一つに下りてく…

『助けだぁ』

『食糧もらえるの?』

『どこの個人船だ?』

空港に着き外にでると、ルーロスを囲んで人々がいた。

「わたしの赤ちゃんを助けて下さい!」

「どこの誰でもいい、とにかく救援をとってくれ!
食べ物がとにかくないんだ!」

「もう3日なにも食べてねぇ…飯を…」

「うちの寝たきりおばあちゃんを…」

「すみません!まずは代表者の方と話させて下さい!」

取り囲んでいた人達が辺りを見回し、町長がいねぇ、おら呼んでくる!
と何人かが探しにいった。

町長が呼ばれてくるまでの間に、この惑星のデーターだが、
4つのオアシスを中心とした牧農、農耕で成り立っている辺境惑星だった。

農業は水源施設を破壊され供給がとめられていた。
その為食べ物もなし水も貯めてあるだけ…
まさに滅亡の危機に貧している。

惑星人口は4つのオアシス合計で34万9254人であった。

「わしが町長ですがなにか?」

「素直におたずねします。あと1箇月帝国軍も同盟軍も来ない状態だと…どうなります?」

「…それは真か?」

「ですね…」

「この惑星の人が全て無惨な状態でヴァルハラに行きますじゃ…」

「そうなりますよね…で皆さんに二つの道を提示いたします」

「二つとは?」

「一つ、このままこの星で過ごしなんとか生き延びる手段を探すこと」
おしまいだぁ…等聞こえた。

「一つ、この星を離れ異世界の住民になってもらう事。勿論食住は保障します」

「星をすてるですか…どの様な方法でかの?宇宙船も…まさかこの小型船いっせきー」

目の前にシェルターをだした。

「!!どどどどこから出てきたのじゃ?」

「人間やめてるので、方法はイロイロあります。考えたら頭いたくなりますよ。
まぁ…自分を信じて助かるか、
このまま死ぬか?素直にこの二択です。
いかがなさいます?」

「考えたらわからないか…まぁよい。町を棄てましょう…
時間はどれくらいあるかの?」

「まっ…特にはないですね」「「こんなふうに別の場所にお声掛かけしにいくので」」
目の前で分裂した。

「…わかったのぅ…さて皆の衆!!」

此処は町長以下全員で移住希望になりました。
我が儘な貴族が部下と共に星を棄ててた様でそこが大きかったろう。

……

領主、貴族が残っていた場合だと…

そういった我が民を見捨てられないという、良心的な領主であった為、

同盟軍の進行ルートから外れてる、
補給も勢力圏横断の為ない、
のを諭すと、
折れて民を願いします。と…

大概この後が、領主はこのまま踏み止まるになり、

「開拓して、先祖代々伝わるこの土地を見捨てては、
先代に申し立てる事ができません。
わしらの事は良いので民の事をよろしくお願いします」

(またかぁぁぁ)

そうなるとお決まりパターンで、領主家族や執事がのこり始める…

民に話すと…やはりご恩を…が出はじめたので、
「領主様〜」と屋敷を取り囲んで…
領主様とご一緒でなければ…

で、領主様共々救助の形になる事と…

(分裂体じゃなきゃ…どんだけ時間かかったか…)

(こっちはまだ説得中だよ)

(130日程放置されるか…)

(まぁそんなもんでしょ)

(飢餓というか地獄が発生したよね…)

(だよなぁ…)

(こっちは、まさに暴動寸前だったし)

(あ〜そこはヤバかったよねぇ)

……

我が子のミルクを貰おうとして、断られた男性が、
猟銃を家から持ち出し、押し入りしようとしてたのが確認できた。

発砲したらあとは想像がつくだろう…
食糧の為に血を流す争いになる…

(まぁ間に合ったから良いさ)

(でも漏れ結構あったね)

貴族の貧しい惑星等を同盟側が認知してなかった理由は、
イゼルローン要塞での帝国領の航路情報は消されており、フェザーンから買った航路情報であった。
つまり商売にならないや寄港が認められてない惑星情報はなく…
一方カオルは軍用情報を取得していた為に詳細な星系座標をも取得していた。

オーベルシュタインは、民の事をなんともおもってなく、
この後の大惨事を見逃す事を進言せずに焦土作戦を提案したのだろう。

せめて隠匿できる保存食等の隠蔽、
医薬品や栄養剤、
子供の粉ミルク等を除外してれば、
暴動寸前まではいかなかった筈だ…

(擬体残すのわすれないようにね)

(了解)(わかってるよ)
餓死を勿論偽装する為に擬体を残していった。

オーベルシュタインは元帥に伝える必要なしと、餓死者多数の情報は侵攻作戦終了まで握り潰されるだろう。

同盟側の侵攻スピードが遅ければまた違った結果にもなっていたかもしれない…


作戦期間は実に1ヶ月半近く継続する。
カオルはほぼ全惑星を巡り目処ついたので途中、
分裂体を回収し世界扉で時間を渡る…

……

10月

人民を犠牲にした焦土作戦は艦隊物資消費に実に効果的だった。
艦隊物資は日に日に減ってきた。
食料生産手段をとりあげられた帝国臣民への供給が続いてたからだ。

フォーク准将は動きが遅い艦隊を叱咤し、
より帝国領土内部への侵攻の命令を連発する。
その為に日々増えていく食糧消費事情…

当初はイゼルローン要塞を根拠地とした補給で大軍の食糧事情を長期賄う事を計画していた。
各艦隊の巨大輸送艦を使い護衛のもと、前線の兵士達を胃袋を賄う…
3000万人分の負担はイゼルローンとのやり取りで可能な最大計算であった。

その他各艦に戦闘に必要なエネルギーや推進材等もやり取りで可能な計算であった。

だがすでに破綻しつつある…
第五、第十、第十二、第十三艦隊は予見しており、
フォーク准将のもっと進軍せよの督促をのらりくらりとかわし、
フォーク准将のたてた作戦進行予定の行程を15%もこなしてはなかった。

もっともその他の艦隊も予定の30%をやっとオーバーした程度だが…

因みに少し侵攻が遅い星…第五艦隊らの予定宙域へはケスラー提督は独断で補給を続けていた模様であった。
明日にはくるかもしれないが、今だ同盟軍がこないそれらの星には、
小出しに駆逐艦を当日分の食糧をのせ派遣し、
臣民を見殺しにする事なく援助はつづけていた。

艦隊司令らは再三撤退を提案するが作戦首席参謀であるフォーク准将に一蹴されてしまう。

更に補給担当のキャゼルヌ少将もイゼルローンにはもうなにもないと悲鳴をあげ突き付けていたが、
フォーク准将は動じなく本国へと追加申請をする。

無い袖はふれず遠征司令部からの追加食糧の要請はハイネセンに伝わり、
出兵を指示した最高評議会のメンバーも、その結果となる膨大な負担費用に困惑した。

元々の遠征費用でさえ国家予算の5%以上になり、
更にわかっているだけで約5000万人に及ぶ帝国臣民に対する費用まで計上する羽目になり…
更に計測しきれない数が増えていくとの事だ。

責任をとりたくたい出兵賛成派は、散々反対派の弁にも関わらず、
撤兵をわかっていながら、なんだかの成果をえるまでは撤兵せず。
膨大な費用にあたる物資食糧を供給し続ける。
という結論に達してしまった。青い顔しながら…

たった90日分の追加でそんな顔色してるのに、
作物収穫までの270日どうするの?と、どっかの議員が呟いたとか…
もし、この時点で撤兵決定してればまた違った結果になったろう。

またフォーク准将という害悪がいなければ…

……

本国からの輸送船団500隻1000万tクラスがイゼルローン泊地に到達すると、

艦隊司令官から重要な絶対欲しい食糧物資を積んだ船に対して、
護衛の任務に我が艦隊を派遣したいと、司令部に要望するも…
「前線までは占領下にあり、安全が確保されてます。
各艦隊は占領地の確保を優先して下さい」
というフォーク准将が指示を返信し、
スコット提督以下26隻のみの護衛船団で送り…

1000万tの輸送船団500隻と護衛26隻は、
4個艦隊規模のキルヒアイス艦隊に襲撃され、文字通り全滅した。
フォーク准将の発言の安全なはずの占領下の宙域内で…
(回収うまうま)

それでもフォーク准将は撤退を認めず、
本国より新たな食糧物資が届くまで、必要な食糧は各艦隊が現地調達せよ。
と新たな愚行なる命令を下した。

各艦隊は背に腹はかえられぬ…
命令違反による更迭覚悟で、撤退準備進め始めたり、
また食糧の現地供給を停止したり、指示に従い現地より調達し始めた艦隊もいた。

すると…

……

第8艦隊占領下である、ここ惑星ペルーでは、
食糧供給を停止し撤退準備をしたのみの惑星である。
ある程度縮小しつつ進んでいたものの…
撤退間際においてとうとう食べ物をおいてけとばかりに勃発した。

「食べ物をおいてけぇ!!」

『これ以上近づかないで下さい!』

同盟軍の警告にも関わらず、空港施設のフェンスに突撃している民衆…
万を越えていた。

「隊長!!」

「まだだ、あと10名いる」

「しかし!!」

無線が入り、
「…残り5名だ…襲撃されて墜落だそうだ」

「隊長!!」
フェンスを押さえている兵士から限界の意味で叫ばれた。

「…撤収!!」

押さえている兵士が離れシャトルへと駆け出す。
鋼鉄製の金網フェンスが民衆の押す圧力により、
根元からうき始める…
「急げ急げ!!」

シャトルは管制無しに発進準備を整え、
滑走路へと3便が待機していた。

第1便が満員になり、滑走路で加速しはじめると同時あたりにフェンスが完全に押し倒され、
暴徒と化した民衆がその部分から流れこんできた。

暴徒と称したのは、既に踏み倒されて脚で踏まれて死亡した身内の者や、
フェンス最前で後ろに押されての圧死が出てたからだ。

空港施設内に強奪しに探しにいったり、
シャトル目掛けて怒涛の如く押し寄せてくる。

「発砲!!」
流石にシャトルに近づかれると命の危険を感じ、
暴徒目掛けて2便、3便の搭乗口、非常口から射線が伸びる。

次々と撃たれ、射殺、または負傷して転んだ身体を踏まれて死亡。

第二便が滑走路に出て、発進準備が整い緊急加速すると、滑走路上に暴徒がでて…
車輪で跳ね飛ばされ、シャトルは無事に飛び立った。

第3便も滑走路にでて何とか暴徒を近づけないように射殺して、
発進準備が整い搭乗口がしまる。

するとシャトルに取り付こうと暴徒が翼などに取り付くが…
シャトルが加速しはじめ無事に飛び立とうとしたが…

しかし、翼に取り付いた暴徒が抵抗むなしく勢いよく空気を吸うエンジンのファンに吸い込まれ…肉体が寸断される。

大気圏内両用エンジンの空気圧縮機内部のプロペラが暴徒の身体により破断、
金属片が内部構造を傷つけると炎をあげた。
加速中だったシャトルはバランスを崩し、ターミナルビルへと…突っ込み爆発炎上する…

とても今この時点ではどちらも救助できるような状態ではなかった。

その後は凄惨極める…

……

−Muv-Luvの世界−

「武ちゃん〜」

「ん?あ、そ、それは…」

手に持ってたのは、シェリル・ノームファーストライブチケット当選ハガキ。

「へへへ〜。一緒に行こ?」

「まさかハッキングしたのか?」

「してないよ〜。私が抽選してるんだから役得役得」

日時は、4月25日約1ヶ月後…

シェリル様は疲れきったこの世界に活力をあたえるが如く、
瞬く間に異世界軍のサポートもありながら、トップシンガーへと登りつめていた。

……




寸劇風後書き

作者「地獄への道程をおおくりしました〜」

ナギ大尉「焦土作戦での人民の苦しみですね…
この暴動の後、帝国軍が直ぐに食料をまきにくるの?」

作者「いや暫くは無理ですね」

ナギ大尉「え?じゃあ…」

作者「次回、飢餓地獄及び敗走…お楽しみにぃ」

ナギ大尉「えっちょっと!」


H24年11月改稿

H26年1月再改稿



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