第219話『銀河英雄伝説編8 ヴェスターランド』


貴族連合軍に所属する事となったのは、貴族の私兵艦隊だけでなく、
正規軍でも、たまたま所属先が貴族連合側の揮下艦隊だった等もある。

ブラウンシュバイク公も大将であり艦隊を一応指揮できる身分であり、
予備ながらの艦隊をもっていた。

また所属先がガルミッシュ要塞や、レンテンブルク要塞等、
または各貴族連合側の星に配属された地上職員、正規警備艦隊、
または上官が貴族側に付いた…等などである。

兵力2560万はあくまで正規軍及び貴族達の私設軍の数であり、
各領地にいる警備艦隊、地上兵力については入ってなかった。

ただし、各領地にいる正規警備艦隊等は海賊相手の治安維持等の目的であり、
基本的にその惑星出身者または近海出身者がつく事がおおいい。
構成も100隻から500隻程とまさに治安維持目的の艦隊である。

キルヒアイス艦隊は、各貴族連合に参加したイセルローン側近傍を含めた辺境惑星の占拠へと向かう。

キルヒアイス艦隊が各貴族連合側についた警備艦隊に対し降伏勧告を行う。
が…警備艦隊は死兵の如く全滅覚悟で5万隻の艦隊へと突っ込んできた。

「何故です?勝負はみえてます。何故死にたがるのです?」

『貴族は好かねえがてめいらよりかましだ!餓死させるおまえらよりか!』

『われらの妻、子供はすべてヴァルハラにいる。
一矢報いてわれら妻と子の下に召されるだろう』

『リリーナの敵だぁ!』

彼らの親や妻や子供は先の帝国領侵攻のおり、焦土作戦の犠牲者となったからだ…
その恨みを背負い文字通り全滅するまで、死兵の如く戦ってヴァルハラに召されていく警備艦隊…

そういった辺境警備艦隊と戦い惑星上でも殲滅戦をし、
殲滅した警備艦隊の代わりに治安維持で100隻程度置き、
地上職員の代わりを手配し、
殲滅戦を繰り返す事約60回以上…

……

キルヒアイス艦隊はキフォイザー宙域制圧へと来ていた。

そこにはガルミッシュ要塞がある…

帝国領土の要塞宙域は、周辺治安維持の重要な軍事拠点であり、
基本的に各公爵、侯爵が治めていた。
焦土作戦のおりもイゼルローン側辺境惑星から回収した、
物資集結地に利用していたくらいだ。
この要塞が帝国領土攻略作戦で攻略されてたら、
銀河の歴史も違った展開になっていたろう…

だが、実際には要塞攻撃力及び防御力に恐れをなし同盟軍はここまで侵攻はして来なかった。

そして今、領地にキルヒアイス艦隊が接近しつつある事をしったリッテンハイム侯は、
一門の私兵艦隊含めた5万隻の艦隊をかり急行したてきた。

対するは約35千隻のキルヒアイス艦隊…
今此処に命を散らす戦いが始まる…

……

ガルミッシュ要塞にでたカオルはルーロスにてキフォイザー星域に向かい、
ペレグリン級4隻を浮かべ貴族連合軍の各艦に取り付きはじめる。

−リッテンハイム侯揮下艦艇−

「まったくやってられねぇよ」

「おい、上に聞かれたら厄介だぞ」

「しらね〜よ。なんで俺らが帝国軍同士で戦わなきゃいけないんだよ」

「そりゃ…この艦に配属されたからさ」

「あ〜あ、艦長寝返ってくれねぇかなぁ?」

「そりゃ無理じゃね?直属上司が大侯爵様だ」

「死ぬかな?」

「死ぬかもな…」

「生きたいな…」

「ああ、生き延びたいな」

そういった会話が、リッテンハイム艦隊の中の、
正規軍艦艇のいたるところでつぶやかれた。

彼らの願いは、リッテンハイム侯のさじ加減で吹き飛ぶ事となる。

またなんで帝国軍同士で戦わなければならないのか…と。
帝国に忠義を誓って軍人になった。
叛徒を叩き、この銀河に帝国の偉業を伝えよう…と…
同盟相手なら躊躇わず士気高く攻撃準備するだろう。

一方、私設艦隊の方はというと意気揚々と部下にわたるまで、
「敵艦隊を打ち破ると褒美がでるぞ!」

「うっしゃー!」

彼らの主人は率いている貴族であり、帝国ではない。士気は高かった。

だが…乗っている艦に問題がある。
いや艦隊というべきか…
本来戦艦や巡航艦なども大量生産できるように機能美を追求していた。
しかし貴族は流行のデザインを我先に追い求め、その結果…
色とりどりの艦型が見え機能的に統一してない。

リッテンハイム侯爵以下、貴族達の乗艦は…いうまでもなく、
デザイン美、内装美を追い求め…

それが、数隻ならともかく、約1000隻以上…
また、独自デザインにあきた貴族は次々と注文し、
ある門閥貴族は、全て独自艦で私設艦隊を編成していた。

また、ただ数だけ揃えればいいやの貴族もいて…
軍事費なんて馬鹿らしい、遊ぶ費用に回せの貴族は、
本来警備艦隊にまわされる旧式艦で編成されていた。
こんな感じで私設艦隊はてんでバラバラの編成である…
そういったバラバラ艦隊が、単一に纏まって戦闘行動をとれるわけでもなく…

正規艦隊、練度、士気も上々のキルヒアイス艦隊と衝突するが…
最初は正面でがっつりあたるも、撹乱部隊が横から突っ込んでくると、
混乱をきたし…

不利と感じたリッテンハイム侯は味方をみすて早々と逃げ出した。

しかも撤退進路上にいた味方補給艦隊を…

「うわぁぁぁ」

「な、何故……?」

被害を受けた艦橋でそうつぶやき目から光を失った。
味方のはずのリッテンハイム侯の船から射撃された。

補給艦隊は混乱し次々と爆沈しまたなんとか射線から離脱できた艦もいる。

……

ガルミッシュ要塞、帝国領内にある軍事拠点で、球体をW型に組み合わせた要塞である。
防空レベルの砲台はあるが、要塞主砲は存在しない。
そこに逃げこめたのは約5万隻の内、約3千隻だけであり壊滅といってよかった。
指揮する者が指揮を放棄し、個々にてんでバラバラな行動をした為である。

……

「ウェーゼル狙撃大隊のガウリッツ中佐、リッテンハイム侯にお目通り願いたい!!」

「そのような汚い格好では」

「汚いだと?…」
(始まったか…そろそろだなぁ…
さて、ザビーネ・リッテンハイムはどうかな?)

ザビーネ・リッテンハイムは、父と共にここガルミッシュ要塞へときていた。

父は要塞寄港後出陣し敗走して戻ってきたが、
ザビーネ、侯爵夫人はその事をしらされてなかった…

(さて…心清らかなら救助しても価値あるが…)

……

カオルが再び出た先はガイエスブルク要塞…

ローエングラム陣営による巨大な仕掛けにつられて出た貴族連合の壊滅劇のなかで、
人員救出を考えていた。
元々いたペレグリン級ほかに多数うかべ…

……

艦隊決戦では勝ち目無しと判断した貴族連合は難攻不落のガイエスブルク要塞をつかった長期戦、メルカッツ提督の案をそのまま採択、
ローエングラム陣営の補給疲弊をねらっていた。
メルカッツ提督は当初練度の低い艦含めて18万隻を使っての籠城戦を考えていたが、
この時点で既に10万隻強…だがまだいけるとふんでいた。

ローエングラム陣営はシャンタウ星域に補給拠点構築を狙ってたが断念、次なる手段を考えざるえなくなる。
内乱は長期戦の構えをみせている。

ラインハルトの耳にも同盟反乱軍艦隊消滅が耳にはいっており、なるだけ早めに終わらせなければならないと判断していた。

要塞攻めをする際は短期戦と長期戦の二つの選択肢がある。

短期戦で取れる戦術は、圧倒的な大軍を動員した上で、身の生命を保証したり、様々な条件を示し交渉を行う、所謂兵糧攻め。
だがラインハルトは生命は助けるがそれ以上は譲らず…まずないだろう。

もう1つが大規模な会戦…要塞を戦力の損耗を覚悟の上で強攻するだ。
その他としては、強襲揚陸艦にて要塞の内部に侵入し、要塞に籠る守備側の優位性を奪うと言う事も有り得る。
ただし要塞強攻はガイエスハーケンがある以上、過去の同盟軍イゼルローン攻略での平均被害…
2個艦隊以上の被害は覚悟せねばならず、対同盟をも考える以上、
要塞主砲を撃たれない状況下を目指さなければならない。

長期戦ではまず、補給路・交通路などを確保し兵力をおいた上での、要塞の包囲。
相手の数倍の戦力をもって要塞を包囲し外界との接触を遮断する。

その次に謀略的な面からの圧力、調略を行いながら心理的な圧力をかける事も有り得る。

基本的には全てを行い、十分弱まったと判断したら総攻撃をかけるのが長期戦だ。

メリットは攻撃側の損耗は最小で済む長期戦の方がありそうだが、時間がかかりすぎる。

守備側と同様に攻側も食料補給が求められるし、要塞からの奇襲に対する備えだけでなく、
周囲警戒の厳重さも求められる。

そこで決戦状を挑発的、侮蔑的言葉をいれ混ぜて送りつけ兵力削減を狙う。
さらには若手貴族がミッターマイヤーを打ち崩した!と騙されていた…

再び攻撃を仕掛けてきて釣られて総攻撃にでた。
しかし…それは死出の旅…

若手貴族の暴走で蟻地獄の罠に引き込まれてく。
8万の艦隊で出たが長い間の追跡劇で前後にかなり広がっていた。

そこを待ち構えていたローエングラム陣営。
手痛い攻撃をくらい、通信妨害の為指揮もとれず、
不利を感じてブラウンシュバイク公は撤退を命じ艦を後進させた。
ついて来るだろうと信じて…
それでも前進する若手暴走貴族…光の中に消える。

長い道程を釣られた貴族連合、まっすぐガイエスブルク要塞に逃げ込もうとしても、
退路に待ち伏せしていた艦隊が次々と襲い掛かってきた。
私兵艦隊約8万隻ででた艦隊が次々と光の中に消えていき、約2万隻に打ち減らされてく…

ベルリンが被弾、推力が…の時、
留守を守っていたメルカッツ艦隊がローエングラム陣営を強襲、救援に成功す。

しかし…出撃した艦隊の内、約6万5千隻あまりをこの戦いで失った。

……

(おいしゅうございました)

ペレグリン級4隻の艦内は戦場であった。
幼年学校卒業したばっかりの若い男性兵士もかなりいた。
帝国側は艦隊勤務はまだ男性だけで編成できていた。
同盟が男性だけで編成できない人材不足という事情があったが…

前回と今回でかなりの男性兵士が救助でき、
男性が慢性的不足の世界にとっても有益な事になるだろう…

……

先の戦いの結果、ガイエスブルク要塞は初期の2割弱の艦船数まで減っていた。

さらにガイエスブルク要塞周辺領地も次々ととられ食料入手先もなくなりつつあり、
それでもガイエスブルク要塞には多数の人員がいる。まだガイエスハーケンがある。

ローエングラム陣営は被害覚悟で強攻か、もう少し削り取るかの判断を決めかねている状態であった…

食料補給問題にガイエスブルク要塞周辺のブラウンシュバイク領地、惑星ヴェスターランドで、
一門のシャイド男爵が食料調達を更に強化して対応しようとしていた。

要塞内部で賄えるのは約350万人あまり。
先の戦いで敗れ大幅に人員を減らしたとはいえ約700万人がまだ要塞内部につめている。

つまり…残りの約400万人はいつかは飢える事となり、貴族連合側人員も部下に対してそういった事をすると、
忠誠心どころではないとわかっていたからである。

だが財を放出しフェザーンから入手する気にはならず、
食料を賄う先は民衆に…

ヴェスターランドで徴収するのは収穫した作物ばかりでなく、
領民の食料や来年度の種にも及び始めた。

普段の量を1とするとその実に3倍相当の量である。
因みに普段の税も6:4で、6割がたがブラウンシュバイク一門のシャイド男爵の手に入る状態である。

これには惑星住民達も困惑し住民代表は普段起こさない直訴を…

しかし…生活ができなくなる訴えを男爵は退けるばかりか、直訴を訴える者を全員殺した。
ここまでなら封権政治に至っては普通だろう…だが……

「そうだな…確かその肉塊がいうには、食べるものがないそうだな?」

「はっ!そう呟いておりました」

「ちょうどよい、目の前に食料があるではないか、施しできるな」

「おやかた様!そのような」

「おや?わたしの命令に逆らうのか?」

「……わかりました。おい!」

住民代表の遺体を処理しシチューとして施しを行う…

「食べたらしっかりと物資を納めよ。
でないと、そなたらが今食べてる者のようになるぞ」

「は?」
その言葉を聞き理解した一部がシチューを投げ出しトイレに駆け込んでいく。

次第に青くなる顔色が広がる。

「あ、あの男爵様?」

「今、そなたらが食べているだろう?賎しくも訴えにきた代表を」

「うぇぇぇぇ」
「ララ、吐き出して!」
「おロロロロ」

食べてた民衆は阿鼻叫喚、戻すもの多数でていた。
この仕打ちに施しをうけていた集落の住民は怒り、
「でてけ、でてけ、でてけ、でてけ」

「ぶ、無礼な。賎民が!しゃ、射殺しろぉ!!」

集落が壊滅近くに陥いるが生き残りが事情を付近の集落に伝える。
一集落の壊滅、人肉シチューの話が瞬く間に全土に広がり…

大規模暴動へと繋がった。
数の差を覆す事ができず、
「や、やめろ!ぶ、無礼な!」

シャイド男爵は捕まり、

「た…た…ぐふ…たすけ…ガハッ」

男爵は惑星住民により殴打され、

「おやかた様を救助しろ!!」

なんとか救助はできたが重体の身であり警備隊長はヴェスターランドからの脱出を優先、
全力でもってシャイド男爵を警備しながら宇宙港からシャトルでガイエスブルク要塞へと向かう。

……

惑星上では貴族の圧政から解放された喜びで、
いたるところで祝宴が開かれていた。

しかし、甥を殺されたブラウンシュバイク公は…
惑星に核熱兵器を使用、惑星住民全員を滅ぼす事に決めた。

居並ぶ貴族の中には反対の意見もあったろうが、
大公爵の決めた事だ。
アンスバッハのように反対意見をのべる事はできなかった。

また第一、他家の領地の件であり、それに対しての干渉や口だしはできない。

直接干渉できるのは皇帝のみである…

ブラウンシュバイク公内部の問題に意見できるのは、
ブラウンシュバイク公一門だけであり、
アンスバッハの意見が跳ね退けられた以上、止められるものはいなかった。

……

ヴェスターランドに全土に熱核攻撃が打ち込まれた。
惑星住民は約200万人…

(アチアチアチ)

前日に惑星に進入し全土に同化範囲を広げてたカオルは、
惑星住民を核に焼かれながら救助していた。
用意してあった擬体を衝撃波が届く前に放り出す。

……

非道な行いは帝国全土に放送で流れた。

兵士達が、貴族連合に愛想を尽かし次々と逃亡し始める。
止める筈の衛兵も流石に非道に嫌気がさし一緒に逃亡する。

貴族達も次々と逃亡し始める兵力を見て、
悲観し家族ごと無理心中や、フェザーン方面に逃げ出したり、ごくわずかながら投降。

今やガイエスブルク要塞に残っている貴族は…
目で数えられる位まで減っていた。

そして最後の決戦を決意し、次々と逃亡する兵力で稼動できなくなった艦船を、
私兵から抽出し、なんとか態勢を整い、
決戦を挑み…そして最後の拠点を失った。

ブラウンシュバイク公は自害し、貴族連合は敗れさった。

同盟側では各地の反乱は鎮圧された。
痛手的には同盟側がかなり大きかっただろう。
帝国側は若手新鋭のローエングラム側が残り、一線級の連度の高い艦隊がのこった。
同盟側はただでさえ人材不足の中グリーンヒル大将、ルグランジュ中将はじめ、数少ない実戦艦隊を丸々うしなった。

これにより戦力バランスは一気に…

……

宇宙歴797年9月9日

占領下に収めたガイエスブルク要塞にて、
佐官以上や捕らえられた貴族の捕虜引見が始まろうとしていた…

「あっ…失礼ですが…会場内に武器をお持ちこみになりませぬよう、こちらでお預かり致します」

「わたくしは、キルヒアイス上級大将だが、これまでわたくしだけは、銃を帯びていっても構わなかったはずだが…」

「はぁ…申し訳ございませんが、一切の例外は認めないとのご命令があります」

「いや、いいんだ。わかった」

「はっ」

キルヒアイスが列に並ぶと…

「銀河帝国軍最高司令官、ラインハルト・フォン・ローエングラム侯爵閣下御入来!」

「捕虜の引見を始める」

高級将校から始まっていき、ファーレンハイトが列席を赦され、
アンスバッハがブラウンシュバイク公の遺体とともに入室してくる。

「ふん!主君の遺体とは結構な手土産だな」

御前にくると…カプセルの蓋をあけ、加工した遺体から携帯バズーカーを出す。

「ローエングラム侯、わが主君の敵とらして頂く!」

バズーカーが僅かにそれた…
キルヒアイスの手が砲身に僅かに届いたからだ。

狼藉者を取り押さえようとひっしに抑えにかかるが…
アンスバッハの指輪からビームが、キルヒアイスの左胸を貫く。
撃たれても倒れ込みながら取り押さえようと…
さらに首をビームが貫いた。

ここにきて再起動した並んでいた提督達が、
「何をするんだぁ」

「貴様ぁ!」
倒れたキルヒアイス提督の代わりにアンスバッハを押さえこむ。

「キルヒアイス!」

「提督これを!」
「引きはなせ!」
キルヒアイスの首の頸動脈の出血箇所にタオルが当てられ、
圧迫止血するが…

「キルヒアイス提督、気をたしかに」

「提督…医者だ医者をよべ!」

「もう…おそい」

「フハハハハ…ブラウンシュバイク公、お許し下さい…
このアンスバッハ無能にも誓約を果たせませんでした。金髪の小僧が地獄に堕ちるには、まだ何年かかかりそうです」

「何をいうか、この痴れもの」

「ですが、せめてものお土産に小僧の半身をもぎ取ってまいります。ヴァルハラにてお待ち下さい」

「止めろ!」

「毒か?」

「飲み込ませるな」

「おろかな真似を…」

「まだ仕掛けがあるかもしれん。遺体検査だ!運びだせ!」

「手をかせ、アンスバッハの遺体を運び出すんだ」

「キルヒアイス」

「ラインハルト様…ご無事ですか?」

「お前のおかげだ…見えないのか?」

「もう…わたくしは…ラインハルト様の…お役に立てそうも…ありません。
お許し…下さい」

「馬鹿な!何を言う!もうすぐ医者がくる。こんな傷すぐに治る。
治ったら姉上の所に勝利の報告に行こう!
なっ!そうしよう」

「ラインハルト様…」

「医者がくるまで喋るな」

「宇宙を…手においれ下さい」

「ああ…ああ…勿論だ。お前と一緒に」

「それと…アンネローゼ様に…お伝え下さい。
ジークは…昔の誓いを護ったと」

「いやだ!俺はそんな事を伝えない。お前の口から伝えるんだ!お前自身で!俺は伝えたりしないぞ、いいか?
一緒に姉さんの所にいくんだ、キルヒアイス!!」
キルヒアイスの目が力をなくす…
「キルヒアイス、返事をしろ!キルヒアイス、何故黙っている。キルヒアイス!」

「駄目です。亡くなりました。この上は…せめてやすらかに」

……

キルヒアイスの入った遠隔擬体カプセルを収容し…

帝国側の艦やナノマシンを打ち込んでいた帝国側工廠、
各要塞から技術情報を取得してたカオル。

「あといきわすれないよなぁ?」

「マスターが知らないなら知らないでち」

「ま、そうだな…じゃあ…とりあえず帰るか」

約2週間、内乱を巡ったトリップを終えペレグリン級を回収したカオルは世界扉をとなえ…

……




寸劇風後書き

ナギ少尉「貴族連合壊滅までで、一回帰還?」

作者「まぁそうだね。半年近くの期間を2週間ですましたし…」

ナギ少尉「え〜と同盟側のグリーンヒル大将は?」

作者「悩んだけどね…スルーね」

ナギ少尉「文字通り全滅まで戦った第11艦隊は?」

作者「殉教的だったし、スルー」

ナギ少尉「ビュコック提督は?」

作者「まだだよ」

ナギ少尉「アンスバッハは?」

作者「能力的に欲しかったけど…解決策、
殺した人と殺された人が…なので…」

ナギ少尉「こうしてみると案外救助してないよね」

作者「まぁ…ね」

ナギ少尉「さて、次回は…再び銀河英雄伝説の世界より帰還、お楽しみにぃ」

H26年2月再改稿



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